参照:小学校学習指導要領解説 生活編(平成20年8月) 文中では「解説」 解 説 p . 9 - 4 0 ■ 教科目標は変わりません。 ■ 学年の目標は、3項目から4項目に変わりました。 (1)主に自分と人や社会との関わりに関すること (1)主に自分と人や社会との関わりに (2)主に自分と自然との関わりに関すること 関すること (3)生活科特有の学びに関すること (2)主に自分と自然との関わりに関すること (3)自分自身に関すること* (4)生活科特有の学びに関すること *「自分自身に関すること」 従前から目標(1)(2)と深く関わり、重視されていました。今回の改訂において、身近な人々、社会 及び自然と直接関わり合う活動によって、自分を見つめ、自分のよさや可能性に気付き、自分の成長 についての一人一人の認識を深めることがさらに重視されたことから、新たに目標(3)として掲げ、 明確にすることとしました。 □ 内容構成の基本的な視点 今次改訂では、内容構成の捉え直しによって、 (1) 自分と人や社会との関わり 生活や地域の出来事を伝え合い、進んで身近な (2) 自分と自然との関わり 人々と交流することができることを目指した「生活 (3) 自分自身 や出来事の交流」を新たな内容として位置付け、 さらに詳しく 九つの内容となりました。 □ 内容構成の具体的な視点 ア 健康で安全な生活 イ 身近な人々との接し方 ウ 地域への愛着 エ 公共の意義とマナー オ 生産と消費 カ 情報と交流 キ 身近な自然との触れ合い ク 時間と季節 ケ 遊びの工夫 コ 成長の喜び 「内容構成の具体的な視点」と サ 基本的な生活習慣や生活技能 「学習対象」を組み合わせ、そこ に生まれる学習活動を核として 内容を構成することになります。 □ 低学年の児童に関わってほしい学習対象 ①学校の施設 ②学校で働く人 ③友達 ④通学路 ⑤家族 ⑥家庭 ⑦地域で生活したり働いたりしている人 ⑧公共物 ⑨公共施設 ⑩地域の行事・出来事 ⑪身近な自然 ⑫身近にある物 ⑬動物 ⑭植物 ⑮自分のこと
学習対象・学習活動等 思考・認識等 能力・態度等 児童が直接関わる学習 対象との関わりや学習 思考・認識等を通して 対象や実際に行われる 活動を通して生まれる 一体的に育まれる能 学習活動等 気付きなどの一人一人 力・態度 の思考や認識 解説 p,23 内容の3つの要素を
セットでとらえる
Q
例えば内容(7)において、飼育栽培をすれば生き物への親しみをもち、大切にすることができるで しょうか。 答えは「No」です。A
学習対象・学習活動等 思考・認識等 能力・態度等 動物を飼ったり植物を育てた それらの育つ場所、変化や成長 生き物への親しみをもち、 りする の様子に関心をもち、また、そ 大切にすることができる れらは生命をもっていることや 成長していることに気付く 児童が直接関わる動植物の飼育栽培を通して、関わる対象や自分自身への気付きが生 まれることを大切にし、その上で、生き物への親しみをもち大切にすることができるようにする ことが大切です。つまり、「学習対象・学習活動等」「思考・認識等」「能力・態度等」の3つの要素 をセットでとらえ、単元を構成することが求められています。 そのためには、活動の十分な時間や場はもちろん、児童の気付きを交流する時間や場、そ のための教師の手立ての工夫などが必要になってきます。参照:小学校学習指導要領解説 生活編(平成20年8月) 文中では「解説」 生活科は、創設時から「気付き」を大切にしてきました。今次改訂では「気付き」について、次のように示しています。 対象に対する一人一人の認識であり、児童の主体的な活動によって生まれるものである。そこ には知的な側面だけではなく、 情意的な側面も含まれる。 また、気付きは次の自発的な活動を 誘発するものである。 解説p,4 ■ 対象に対する一人一人の認識 対象と関わって感じたこと、思ったこと、考えたこと等が児童一人一人違うと いうことであり、多様性を保障することが大切です。 ■ 児童の主体的な活動によって生まれる 児童が自分なりの思いや願いをもち、意志や判断に基づいて対象に働きかけて いくことから気付きが生まれます。とりわけ、活動に浸る中から気付きが生まれ るようにすることが大切です。 ■ 知的な側面だけではなく、情意的な側面も含まれる 「きれい!」「ふしぎ!」「おもしろい!」等、対象と関わって生まれる児童の 言葉には、その児童なりの思いや気持ち、考え、また科学的にも意味があること が含まれています。低学年のこの時期であればこそ大切にしたいところです。 ■ 気付きは次の自発的な活動を誘発するものである 児童なりに思ったり考えたりしたことがきっかけとなり、「~してみよう」等、 次の活動につながっていくことが大切です。 気付きの質の高まりについて、解説では次のように示しています。 この気付きは、活動を繰り返したり対象と関わりが深まったりすることに伴い、無自覚なものから 自覚された気付きへ、一つ一つの気付きから関連付けられた気付きへと質的に高まっていくこと が大切である。 … 生活科は、働きかける対象への気付きだけではなく、自分自身への気付 きへと質的に高まることも大切にする。 解説p,11 ■ 無自覚なものから自覚された気付きへ 単元「あきとなかよし」で、公園に行ったことを学習シートに描く活動を行いました。ある子どもが、 自分と木の葉の山の絵を描いていました。先生は尋ねました。「この葉っぱでどんなことしたの?」 その子は答えました。「葉っぱで山をつくったの。踏んだらカサカサ音がしたの」 絵を描いている段階で、この児童の気付きを無自覚なものと捉えたとしましょう。 教師から尋ねられたことに答えるという形によって、児童は自分の体験を振り返り、遊び自体 の面白さや自然の不思議さといったことに気付いていっています。 このとき、教師からの発問が有効に働いています。「上手だね」と絵の出来映えを評価するので はなく、「どんなことをしたの」と尋ねることによって、児童は体験を振り返りやすくなり、気付 きの質が高まることにつながっています。 ■ 一つ一つの気付きから関連付けられた気付きへ 同じく、単元「あきとなかよし」の振り返りの活動で、別の子どもが、一枚の葉っぱを丁寧に描写し、 文章にはこう表されていました。「春にはみどり色だったけど、秋には茶色のはっぱで地めんにおちて いました。みどり色のもあったけど、みどり色のはおちていませんでした。」 担任の先生は、「繰り返し関わる活動を設定したこと」「互いの気付きをひんぱんに交流させるこ と」を意識したそうです。そのことによって、「春はこうだった」「秋は…」と、児童自身が一つ一つ の気付きを関連させて新たな気付きを生むことにつながっています。 ■ 対象への気付きから自分自身への気付きへ 単元「アサガオをそだてよう」で「毎日おせわをしていたので、アサガオも大きくなりました。アサガオと いっしょにわたしも大きくなりました」と表現した児童がいました。 アサガオの栽培活動を通して、アサガオへの気付きはもちろんのこと、毎日お世話ができる自分に なれたという自分自身の成長への気付きまで、質の高まりが見られます。 「 活 動 を 繰 り 返 し た り 対 象 と 関 わ り が 深 ま っ た り す る こ と 」 が 、 気 付 き の 質 を 高 め る た め の 前 提 で す
第5章 第4節 「学習指導の進め方-気付きの質を高めることを中心に-」 解説p,64-66 ① 振り返り表現する機会を設ける ② 伝え合い交流する場を工夫する ③ 試行錯誤や繰り返す活動を設定する。 ④ 児童の多様性を生かす 例えば、飼育単元で、飼育している虫について紹介する活動を例にあげて考えてみましょう。 A 児 「イボバッタは、ぼくにバイバイしました」 B 児 「うちのバッタは、おなかがほねみたいなかたちをしています」 C 児 「キリギリスは口が赤かった」 D 児 「口というばしょは、とげのような形をしています」 自分のことを口々に発表する、こうした場面は低学年担当の先生ならどなたでもご経験があることでしょう。 こんなとき、気付きの質を高めるためにどんな工夫をすればよいでしょうか。
板書の工夫
児童一人一人の発言を共感的に受け止めながら、それらを類型化し構造化していきます。 上の例であれば、虫の「からだ」と「こうどう」とを分けて考えると仮定した場合、そ のときの児童の発言の流れに沿って「からだ」と「こうどう」をさらに分類していきま す。あくまでも、児童の発言に沿って類型化していくことが、生活科では大切です。 左の写真は、校内探検後の振り返り活動における板書です。 児童の気付きを類型化するキーワードとして「1かい」 「2かい」などの「階数」を用いています。そして、階層 を枠で区別することによって構造化を図っています。 また、児童の発言の特徴を単語で示したり 発言に合わせた写真を示したりすることで、 児童の活動への意欲を高める工夫をしています。発言をつなぐ
児童の発言に対して「よかったね」「では次の人」という「児童対教師」の構図ではな く、発言した児童と他の児童を教師がつなぎ、「児童対児童」の交流により、気付きの質 を高めるということが大切です。 ポイントは、発言をどう受け止めたのか、他の児童に尋ねてみることです。尋ねられる ことで、聞く側だった児童は自分の体験を想起し、同時に思考が活性化されます。そうし た部分を教師が引き出すことによって、個としての気付きだけでなく、集団としての学習 が高まっていきます。 児 童 ど う し を「 つ な ぐ 」
低学年の児童は、発達段階上、過去のことを順序正しく想起したり、伝えたいことを言葉で十分伝える ことができるとは限らず、「こうすれば…」「こう言えば…」等と「親心」が働き、児童を導きたくなります。 しかし、そこはぐっとこらえて、児童の表情やしぐさに目を向けてみましょう。 音声言語では伝えきれない分、表情やしぐさに伝えたいことがよく表れています。そこから活動に 対する思いや願いを推察し、児童に働きかけることによって、児童自ら気付きはじめます、そうした 児童それぞれの気付きを全体の場でつなぐことによって、さらに気付きの質が髙まっていくように することが大切です。参照:小学校学習指導要領解説 生活編(平成20年8月) 文中では「解説」 生活科は、創設時から「言葉と体験」を大切にしてきました。身近な人々、社会及び自然に関する活動の楽しさを味わ うとともに、それらを通して気付いたことや楽しかったことなどについて、言葉、絵、動作、劇などの方法により表現し、考 えることができるようにすることを目指しています。
生活科における「言葉と体験」のイメージ
豊かな体験活動が、豊かな「ことば」を生む
生活科では、児童が身近な環境と直接関わる活動や体験を楽しむことを大切にしています。 その中で、熱中し没頭したこと、発見や成功した喜び等は「伝えたい」という表現への意欲につ ながります。「伝えたい」という児童の思いや願いを、互いに交流して認め合ったり、振り返り捉 え直したりすることによって、さらに次の体験(活動)につなげていくことが大切です。 つまり「豊かな体験」と「多様な表現」は相乗的に関連し、気付きの質を高めていくとも言え ます。「ことば」に寄り添う
低学年の児童の発達特性上、文字言語による表現力が十分発達していないことへの配慮が必要 です。例えば「すごいな」という一言の中に、その児童が諸感覚を通して感じたことや思ったこ と、考えたこと等が含まれていますが、それらは時間の順序や物事の項目ごとに整理されている わけではありません。 表情やしぐさ、態度からも読み取る 児童一人一人が伝えたいと思っている気持ちや内容等について、言葉だけでなく 児童の表情やしぐさ、態度等からも読み取り、丁寧に会話を交わす中で、児童が自 分自身の体験を振り返り、自分自身や自分の生活について十分考えることができる ようにすることが大切です。 多様な方法で表現する場を設ける 対象との関わりを通して、児童は様々な気付きをしています。それらについて、言葉 だけではなく絵や動作、劇化等、多様な方法を使って表現することによって生み出した 気付きを自覚することにつながります。国語科との関連的な指導を進める
児童が伝えたいことをよりよく伝えることができるよう(伝え合うことができるよう)、 国語科の指導計画と関連させながら、効果的に指導を進めていくことが大切です。 例:生活科単元「アサガオとなかよし」(アサガオをそだてよう) 表現する内容 生活科(アサガオの栽培に関すること) 表現する方法 国語科(事柄の順序や場面の様子など、表現の仕方に関すること)「では、今日の振り返りを書いてください」…生活科に限らずどの教科の授業でも見られる 場面です。 教師側から見ると、学習の足跡を残すことにより、学びの成果を児童に自覚させたり、学習 評価に用いたりするということが、願いとしてあります。 一方で、児童側から見たとき、児童は本当に「振り返りたい」と思っているでしょうか。 「させられている」という思いがあるとしたら、それは受動的な学習態度につながってしまい ます。「振り返りたい!」と児童が思えるような、指導の手立ての工夫が求められています。