協同的な理科の教授・学習過程に関する基礎的研究
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(2) 164. 森本信也,渡辺素 乃子,太田川哲, 八嶋 真理子. ]. 問題の所在 知識というものは 個人内でのみ. 構成・完結されるものではなく、. 多種多様な価値観・ 思. 集団内において、 個人によるその 集団内の活動への 参加を通じてその 構成美 機は拡大される。 さらに、 知識というものはあ らゆる場面、 文脈において 普遍・共通なの. 考の交差する. ではなく、 その用いられる 文脈や状況に 応じて多様な 意味あ いを帯びてくる。 だからこそ 概念の構成は 多種多様な文脈を. 持っ集団の中で、. 個人が多様なネットワーク. ( 情報網 ). と. の 交渉の中からその. 文脈を媒介手段として 利用するようになったときに、 社会・集団内の 相互の関係の 中でなされていくのであ る。 (1) こうした見解はヴィ コソ キ ー らの教授・学習論に 基礎を置く、 知識の構成を 個人のみで はなく、 社会的な視点からも 捉えようとする 考え方であ る。 こうした視点に 立つと き 、 学 習とは今まで 論じられてきたような 知識・技能の 獲得・熟達といったいわゆる 知識の内化 だけではなく、 子ども一人ひとりの 文化的実践活動への 参加、 言い換えるならば 教室にお けるコミュニケーショ. ソ のネットワーク. 視点に立つとき 子どもの「発達の. 作りといわれるものへと 姿を変える。 このような. 可能性」は、 教室内の人間関係や 社会的文脈の 構成によっ. て伸縮 し 、 学習を援助する 手だて「足場づくり (sca什blding) 」㈹によって 変化する。 したがって、 この教授・学習課程における 教師の役割は、 従前の子どもの 学習の到達の 度合を評価することから、 彼らの持つ認識・ 価値観、 そして、 そこまでに至ったプロセス の価値づ け 、 さらには、 子ども一人ひとりの 学習成果に対する 固有の意味の 見けだし、 す なわち「価値づ け 」と言 う 意味での「評価」を 行い、 その結果から 適切な支援、 すな ね ち、 「発達の最近接領域」における 学習の跳躍のための「足場づくり」を 行 う ことへと変化し ていく。 教師がこのような 学習の場やネットワーク 作りを保証することにより、 学習者は 学習者自身による 評価活動すなわち「自己評価」を 行い、 学習者本人の 活動に意味を 見い だし、 自ら学習活動を 改善していける 環境を作り上げることができるようになる。 子ども にとって学習活動が「教えられるもの」から「自ら 学ぶ」という 感覚になるのであ る。 そのため、 適切な自己評価の 上に 、 更にお互いの 意見を承認・ 認識して、 互いに価値づ. げていくこと、 すなわち「相互評価」がなされたとき、 その教授一学習過程は 子どもにとっ て 真にリアリティーをもって 成立すると言える。. 本研究では、 こうした自己評価・ 相互評価という 視 ,点を組み込みながらいわば協同的な 学習 (colJaborativelearning,jointinvo@ve巾ent) の場での子どもの 知識構成を援助する、 理科の教授・ 学習過程のあ り方について 検討した。. 2. 協同的な学習を 基礎にしたの 授業展開の基本的視点 子どもは授業において、 対教師・子ども・ 事象と自己の 論理との多様な ネ、 ッ トワーク を 形成しながらコミュニケーショ. ソ 活動を行っている 0 子どものこうしたコミュニケーショ. 0 基本となる単位は、 「発話 (utt 也 ranee) 」であ る。 「発話」は、 「話されるにせ よ、 書かれるにせよ、 つねにあ る視点から表現され」㈹るものであ る。 そして、 「生きた発話 ソ.
(3) 協同的な理科の 教授・学習過程に 関する基礎的研究. 165. の 理解はどれも、. 能動的な性格をもっ。 どのような理解も 返答をはらみ、 何らかの形で 必 ず返答を生み 出す。 つまり、 聞き手が話者になる。 ( 中略 ) 全一的な理解も、 能動的な 返 答 なのであ り、 返答のための 準備段階に他ならないのであ る。 ( 中略 ) 彼が期待するのは、 受動的な理解、 賛同、 共感、 反駁、 遂行」㈲なのであ る。 こうした性質を 持っ「発話」行為がコミュニケーショ ソ 活動において 位置づげられると き、 学習者は与えられたものをただ 受 げとめ記憶するといった、 いわば「お仕着せ」の 学 習から、 他者との積極的な 交流・意見交換を 通じて一人ひとりが 科学を創り出していくと も 言えるような 学習へと変化していく。. 従来、. 活発な意見交換をしない 子どもや発表回数の 少ない子どもは、 授業に参加してい. ない、 授業を理解していない 子どもであ ると考えられがちであ った。 しかし、 授業におい て 活発な意見交換がなされているとき、 新たな意見・ 考えが導入される ( または論じられ る ) とき 、 そういった積極的でない ( とされる ) 子どもも、 その新たな「発話」を 彼らの 内的な「発話」と 対話しながら 受 げとめ、 彼らの概念を 構成する機会を 捉えていると 言え るのであ る。 こういった活動の 中で新たな疑問、 知りたいことや 調べたいことが 出てきた とき、 子ども自身の 開く主体的な 探求活動に基づく 知識構成を目指す 学習が成立している と 言えよう。 個人の学習により 構成されてきた 知識は、 こうしたコミュニケーショ ソ において社会化、 つまり 外 化され他者へとその 意味が伝達され、 かつ拡大される 契機を持つ。 もちろん、 そ の 外 化のプロセス 以前には、 自己の意見を 表現するための 自分自身の意見の 評価、 すな ね ち、 自己評価が存在していることは 言うまでもない。 そして、 当然のことながら 相互に出 されてきた知識・ 意見は集団内で、 相互に評価されることに よ り相対化され、 それはまた 各個人の中に 学習の成果として 内 化される。 他者の学びを 受け入れることにより 新たな 知 識は構成されていくのであ る。 こうした視点から 学習を概観すると、 学習とは自己評価を 経て覚 化 、 相互評価を経て 内仏、 というプロセスを 繰り返す、 いわ ぽ 知識のループコミュ ニケーショ ソ という様相を 呈してくる。 そして、 個々の学習というものが、 集団内での様々 な 意見の中で相対化され、 価値づげられるだけでなく、 集団活動の中で 活性化もされよ う 。 授業を構成する 基本的視点をこのように 設定すると き 、 教師の教授活動もこれに 連動して 変容する。 すな ね ち、 教師は一方的な 授業者・知識伝達者ではなく、 むしろ、 こうした コ、 ュ ニケー 、ンョ ソネットワークを 支えるコーディネータⅠ学習活動維持のための 支援者・調整者に. なっていく。 もちろん、 前述したような 知識構成のコミュニケーショ ソ 活動において、 教 師自体も学習の 対象とされる 物 同様、 ネットワークの 構成要素の一つとなる。 子どもと 同 じく コミュニケーショソネットワークの 構成員の一員であ るのと同時に、 教師はコミュニ ケーショ. ソ 活動維持のための. 調整者であ り、 子どもの発達を 手助げする支援者として 位置. づげられる。. 教師による支援、 それは具体的には、 先に述べたよ う に、 ヴィ コソキ 一の「発達の 最近 接領域」への 着目、 ブルーナ一の「足場づくり」であ る。 「発達の最近接領域」とは、 子 どもが一人で 行う問題解決の 発達的レベルと、 大人、 あ るいは自分より 能力のあ る同輩と.
(4) 森本信也,渡辺素 乃子,太田川哲,八鳴 真理子. 166. 一緒に問題を 解決するときの 潜在的な問題解決の 発達的レベルとの 間の距離のことであ り、. その段階にいる 子どもにとっては、 適切な支援しだいで 新たな高みに 到達できる機会であ り、 彼らの知識が 見慣れた状況から 新しい状況に 一般化するための 架け橋となる、 という ものであ る。. ブルーナ一の「足場づくり」は、 その発達の最近接領域における 学習の跳躍のための 足 場を構築することであ り、 教師の具体的な 支援そのものであ るといえる。 すな ね ち、 足場 づくりとは発達の 最近接領域への 着目であ り,それは、 具体的には教師による 子どもの 意 見の価値づげや 意味づ け 、 表現の多様性の 保証、 確認や言い替え、 板書という行為を 意味 する。 さらには、 子どもを新しい 世界に誘 う ような考え方の 導入もそれに 含まれてくると 言っても過言ではない。 結局、 足場づくりとは、 子どもの論理の 必然性に基づく 学習の場 づくりであ り、 彼ら自身が学習を 見通せるよ う に、 適宜教師により 与えられるものであ る。 こうして発達の 最近接領域により 子どもは、 適切な足場を 与えられることにより、 彼ら 自身の必然性に 即した学習を 一段階ずっ進めることができるようになるのであ る。 この 具 体 化が発達の最近接領域に 象徴される他者の 学習の取り入れによる、 個の世界の広がりを 目指す協同的な 学習の場の実践なのであ る。. 3.協同的な学習を 基礎とした理科授業の 構想とその実践 小学校第 5 学年理科「植物の 発芽」を扱った 単元「 種 って不思議、 植物って不思議」の 授業を事例にして、 こうしたコミュニケーショ ソ 活動を通した 協同的な学習の 具体的な意 味 内容にっ 、 、 て 検討した。. 3.1. 単元構想と指導計画. この単元は、 通常、 種子の内部構造や 発芽の条件探しなどに 終止し、 とかく子どもの 情 意面とはかけ 離れたものとなりやすい。 しかし、 本 単元では子どもの 感性に呼びかけ ろ 「種子」との 出会いを工夫し 、 彼らの中にあ る「無機質的な 種子 観 」を、 「生命を持った ものとしての 種子 規 」に変容させ、 実際に一人ひとりが 種子から植物を 育て、 観察する 活 動を通して、 植物体の持っ「生命の 不思議さ」に 目を向けさせることを 目的とした。 それ は、 図 1 に示すような 構想のもとに 展開される学習活動であ る。 この具体的な 展開は 、 表 1. に示す通りであ る。.
(5) 167. 協同的な理科の 教授・学習過程に 関する基礎的研究. @ Ⅴ 強 ムル. い。傾向. 多る がす もと. ど う. っ求. 手よ ため. カ. ( 物質的種子観から. ど称答. い正 つ﹁ にて. みし 組用. 仕利. やな. 部鑑 内因. めや. 予科. ●●. 種資. 「. 種 ってなあ に」. 生命の神秘性を 伴った種子観への 変容をねらって. ). Ⅰ命のタイムカプセルとして 生命を伝える 種子の素晴らしさ、 命が目覚める メ. ニズムへの感動を 伝えることはできないか。. 種 ってふしぎ植物って 不思議. ;. 教材との出会い. ヰ Ⅰ. 種子のもっ命の 不思議、 「おもしろそうだ」 という学習への 意欲を喚起する 導入. 「調べてみたい」. 「不思議だ」. サ @@. 、ソタソ カーメ ソ王 とともに三千年間眠っていた 種が目覚め、 成長した話と、. ツタソ カーメ ソ の ェソドウマメ の実物の提示. 子どもの思考にそった 単元展開の用意 (. 子どもの思考の 多様性を生かす 授業 ). 適. 欲 意一 ] 単元の構想. 温. 因 要 的. 気 空. 水. の. 分 養. 子 種. り. の. 作. 外. の. 芽. 発. 因 要 的. 内. の. 芽. 発 子 種. 図. i.
(6) 168. 森本信也,渡辺素 乃子,太田川哲, 八鳴 真理子. 表] 単元老 (時間数. 指 0. 導. 指導計画の教師の 視点 内. 教. 容. (. ッタソ カーメ ソ の ェソ ドウ豆」の話を聞き、 実物を見 て 感想や疑問を 述べ合う。 Ⅰ種は臥 0 年も生きていられるの ? Ⅰ放っておくと、 ずっと芽は出ないのかな ? e 何で種 って腐らないの ? Ⅰ って、 偉人なしているのかな ? Ⅰ水をあ げただけで中の 物が育つって 不思議。 e 育てて、 種を増やしたいな。 「. 皿. 次 種. 種の不思議を 調べよ. 0学習の計画を. フ. 。. 視 り. 点 ,. ). 「. 示する。. 0 ;. の. ナ種を乳幼児メタファーとして 考えさせる。 * 種の持つ命の 不思議さに目を 向け、 学習へ の 意欲と問題がもてるようにする。 3 千年の眠りから 覚め、芽を出した ッタ ソ カーメ ソ の ェソ ドウ豆 」の話と、 種を提. 弔垂. 第. 師. 足場作. ツタソ カーメ ソ の ェソ ドウ豆は 、 秋に蒔く ことを知らせる 0. 0 種について、 学級内に多様な・ 見方・考え. 立てる。. 方があ ること、 共通の問題があ ることが 分. 育てながら変化の 様子を調べよう。. 子. かるよ. う. に、 意見を図示する 0. の * 「絵本」に種への 思いを、 自由に表現させ. 作 り. を. 60 種の中にはなにがあ のか、調べよう。. る. て. 自己評価Ⅰ. 種を目覚めさせるためには 調べよ. 何が必要なのか う. 調 べ. よ う. 3. 0 種子のつくりを 観察する。 Ⅰ固い. (第 2 次へ). があ る。 e おへそのような 物があ る。 Ⅰ豆の中にくぼんだところがあ る。 Ⅰチューリップみたいなものがあ る。 Ⅰしっぽみたいなものがあ る。 屯寅. ①親祭したものが 何か自分の考えを 発表する。 Ⅰチューリップと 尻尾がくっついて 芽になると 思、 うよ。 e チューリップみたいなものは・ 葉っぱになるんだよ。 Ⅰしっぽが になると 思、ぅ 。 手芹. Ⅰ他の部分は、 どんな働きをするのかな。 Ⅰどこが育っか 調べてみたい。 (第 3 次へ). 0 種子は大きく、 つくりの 見やすい物を取り 上げる。. 0 汲水させた種は 、 中を視察させやすいと か ぅ 利点はあ るが、 子どもの考える「 種 か ら飛踵があ り、 ここでは、 そのまま観察 可 能な イソ ゲソマメ を取り上げる。 」. * 「絵本」に視察したことや 考えたことを かせ、 意見交換させる。 (相互評価 ).
(7) 協同的な理科の 教授・学習過程に 関する基礎的研究. 169. 種は烏、をしているのかな。. 第二次種子の発芽の条件を調よ べう 3. 0 種は半日、 子ども達に分かるよ. Ⅰ水をあ げると芽が出て 、 花が咲く。 生き物だよ。. 生き物だから 息をしているよ。. う. に水に浸. げておく。 長く 没 けすぎると、 発芽率が落. ちるので注意する。. Ⅰ死んでいたら、 芽が出る む げないよ。. Ⅰ水に 漫 げておいたら、 息が出来なくて 死んでしまうか 0 気体検知管を 用意し、 吐く 息 (二酸化成 素 の 多い気体 ) では、 検知管の色が 変わるこ. もしれない。. Ⅰビニール袋に 閉じこめておいたら 息が出来ない。. とを 演示し、水に浸けた種と 水に授ける 前. 0 水に浸けておいた 種と、 そのままの種とて、 種を入れて. の種を比較するように 助言する。. Ⅰそのままの 柏丘は、 息をしていない。 Ⅰ水に没げておいたのは、 群れてしまったはずなのに、 人問と同じように 息をしている。 Ⅰ種は水をもら ぅと、 息を始めるんだ。 Ⅰ水がないと、 息もしないでずっと 眠っているようだ。. * 種が目覚める 仕組みについて、 自分の考え、 思い な 、 「絵本」に田かせ、 意見交換させ る 。 (相互評価 ). Ⅰ種が目を覚ますには、 水が必要なんだ。 0 種の中の変化を 視察する。 Ⅰ種が 2 倍以上に彫らんだ。. Ⅰ皮が柔らかくなった。 Ⅰしっぽみたいなものが、 膨らんで伸びてきた。 Ⅰチューリップみたいな 物が大ぎくなって 筋が見える。. 第二次種子の発芽の条件 を. 調 べ. よ う. 3. 種を発芽させるには. 育っには、 種のどこ. 何が必要なのかな。. 0発芽の条件について イソ ゲソマメや. が必要なのかな。 (第 3 次へ). 0 調べること以外の 条件は統一して 実検する. 話し合う。. トウモロコシなどの 種子を蒔いて 確か. よりに助言する。. める。. Ⅰ水をやらない と発芽しない Ⅰやりすぎると. Ⅰ空気を送って やらないと発 妾芹. しない. 腐る. 光. 温度. 空無. 水. Ⅰ室温だと発芽 する Ⅰ寒くても 廿. く. Ⅰ日が当たらな くても、 発芽 する. 土. 肥料. Ⅰ士が無くても 発芽する. Ⅰ肥料が無くて も 発芽する. ても ダメ. Ⅰ大きく育てるには、 何が必要なのかな。 0 自分の種を育て、 視察を統げる。. (次単元へ). * 種の「絵本」に、 発芽の条件についての 分の考え方を 宙き、話し合わせる。. 自.
(8) 森本信也,渡辺素 乃子,太田川哲, 八鳴 真理子. 170. 種 のしくみは、 どんな役目があ るのだろう。. 次. 0 子葉や胚だけのものや、. 千葉を取り除いたもの、 完全な ものについて 発芽の様子を 調べる。 e e. 種. e. の. e. 養. Ⅰ. 分. e. を. e. 調 べ. 0. 第. e. 双子葉頽 と半千葉類 さ、 共に育ててお う. にさせ、 比較視察ができるよ. う. く. よ. にしてお. <0. チューリップみたいなものは、 本葉になった。 チューリップみたいなものは 葉っぱの 基 だったんだ。 しっぽみたいなものは、 茎 と根っこになった。 しっぽみたいなものが、 茎と根の基だった。 マメ をとってしまうと 育たない。 半分でも付いていると 育つ。 マメ が二つとも付いているもが、 一番良く育っている。 マメ が芽を出すための、 栄養補給 タソク になっている らしい。. よ う. 0 ヨウ素液 を使って調べる。. 被 せたらすと、. e 発芽する前の 種にヨウ素 2. たし. O. e 発芽した後の 種は、 あ まり変化がない。 e 芽が根になるところ 以外の 、 マメ の部分は、 でんぷん. が含まれていて、 それが発芽に 使われた。. * ヨウ素 液は 、 でんぷんと反応すると 青紫色 に変化することを 知らせ、 発芽前と発芽後. の様千を比較させる。 * 種の持っ命の 不忠誌さについて、 「絵本」 をまとめ、 自分の学習を 振り返るようにす る。 ( 自己評価 ).
(9) 協同的な理科の 教授・学習過程に 関する基礎的研究. 171. 子どもは種を 土に植え水をかけ ろと、 何らかの変化が 始まって、 植物が成長するという. ことは直感的に 捉えている。 しかし、 発芽や成長と 内的な条件、 環境条件 ( いわ める発芽 0 条件 ) とを関連 づ げて理解しているとは 言いがたい。 また、 前述したよ う に植物の発芽、 成長というこの 単元では、 どうしても機械的に 発芽の条件を 調べていくという 活動になり がちで、 植物というものが 自分たち人間と 同じ生物であ るということを 見失いやすくなる。 発芽の三条件自体も、 本質的には我々が 生存していくのに 必要なものであ り、 植物が我々 人間と同じ生命体であ ると言 う ことを意識化できれば、 そのための要素として 発芽の諸 条 件を捉え直すことができるのであ る。 そこで 本 単元では、 図 1 および表 1 に示すように、 このような授業展開を 志向して、 「. ッタソ カーメ ソ の ェソ ドウ 豆 」の話 ( 「・ジプトの 王家の谷に ッタソ カーメ ソ 王のミイラ. と 共に三千年眠っていた. 種が、 目覚め成長したという 語 ) という導入がなされた。 導入は. いわば、 この学習の始めに 子どもが「 種 」と出会う場面であ るが、 ッタソ カーメ ソ の ミイ. うと共に眠っていた 種が、 三千年もの時を 経て発芽・成長したという 話は、 種の不思議さ、 その生命力を 象徴し、 子どもの学習への 意欲を喚起するものとなるのとなるのであ る。 授業においては、 クラスでのコミュニケーショ ソ 活動を通して 学習の目的を 定めてい き 、 実験や観察をして 疑問点の解決、 または更なる 問題点を顕在化していく。 そしてその後、 自分自身が分かったこと、 または疑問に 思ったことを、 図 2 一 1 ∼ 3 に示すよ う に文と 絵 の 両面を交えた 学習記録であ る「絵本」として 自由に表現・ 記述し 、 コ、 ュ ニケーシ, ソ. 活動と絵本づくりを 繰り返しながら、 学習を成立させていった。 5 年 @組. ってなあ に ? . 種の中には, どんな不思 轄が 入っているのかなあ ? . . . 種. 耗 , 召。 俘 化くて味は乙あ がうこの Ⅰ t. 壬、. 和約小工 い ころ 口こ. 字弟 ィ呵. 力. イりの. いな卍匂. た. 化ろ・. ・. め 玉斗. 、与. 工. わかり、な い ぐも. 私にら円仁Ⅱに. 生 さ ヰゆ の ふ け. じ. ・. おね. 化けところ 頑 ら卸 ; マて. の. 九 し ⅠⅠ 描. 達 も. ど 子. 2. 図.
(10) 森本信也,渡辺素 乃子,大田川哲, 八嶋 真理子. 172. 積. ってなあ. に ?. 5 年 l組. . . . . .. 種の中には, どんな不思議が 入っているのかなあ 杜 一. 幸くし㌔. ?. , , .. 生. ゑのれ布. グ舞. へへ. ⅠⅡ. がロ ・. ユ. んゼ ¥. の. かリ. は・. す. ぢ小 /. 号、". た 。 ん. ヶ,て. ム. Ⅱ,コイ 二. 4 千@. 2 一. 2. 種の中には,. /. 子ども達の抽いた「栓木」 (2) 5 年 l組. 一一l. 極 ってなあ に ?. """. どんな不思議が. Ⅰ;. 向. た%. テ-ア. 図. 一一一. 、. 入っているのかなあ ?. 了気ヒ ・ヤ色 ォラ. """""""". 生長のど 叶入じよ -- 一コ せ,う、. ス豆. Ⅰと. 図. 2 一. 3. ww>. フ @. Ⅱ. 5,. 子ども達の抽いた「栓木」 (3). :.
(11) 協同的な理科の 教授・学習過程に 関する基礎的研究. Ⅰ. 73. その結果、 子どもの学習は 大きく次の三つの 段階から構成された。 生きるしくみを 備えた 種 11 生きるとは何か ? そのための動力源は 何か I11 水 ・空気・適切な 温度 1. ?. 3.2 子どもの認識の 変容とこれに 関する指導の 手だて 本研究のねらいは、 既に述べたよ. う. に 、 子ども一人ひとりの 学びを保障しっ っ 、 その 学. びの可能性を 広げる場としてのコミュニケーショ ソ の授業における 実現にあ る。 こうした 場の実現の中心的役割を 担 う のが、 足場づくりであ る。 本 単元の展開においては 上記の 1 ∼ 111をさらに次の 7 つの視点に分け、 子どものこうした 学習を支援した。. 1. 種の持つ命の 不思議さに目を 向けさせ、 子どもによる. 種を宰. し. 幼児と 例 える地楡 的表. 現を価値づける。 2. 種の仕組みについて 自由に考え表現させ、 仕組みについて 意味 づ げさせる。 3. 種が生きている 根拠について 自由に考え表現させる。. 4. 種の目覚め. ( 休眠状態から 活性化する ) の仕組みについて 自由に考え表現させる。 種が発芽する 条件について 自由に考え表現させる。 6. 種の発芽の条件を 同定させる。 7. 種の仕組みと 仕組みが働くのに 必要な条件を 結びつけ、 自分なりに表現させる。. 5.. 上記の学習過程における. 子どもの学習成果を、 形態学的視点、 生理学的視点、 解剖学的. 視点、. 発芽・成長条件という 四つの基本的生物概俳から 評価した。 こうした視点から 分析 した、 各段階ごとの 子どもの認識の 流れは図 3 に示すことができる。 図において、 枠の大. 小は子どもの 認識や感心の 度合いの高低を 示している。 枠が大きいほど、 その段階での 認。 識や関心の高まりを 表していると 言える。 こうした枠は、 その時の活動内容やコミュニケー 、ンョソ 活動によって、 それぞれのカテゴリーが 拡大したり縮小したりしながら、. それぞれ. の考えを絡ませ 会いながら、 さながら生態系であ るかのように 伸長していった。 また、 そ れら四つの枠の 中心に位置しているものは、 クラス全体でコンセ ソサス を得られたもの、 つまり彼らの 共有概念とでも 言えるものを 意味している。.
(12) 森. 本宿 也, 渡辺 素乃 子, 太 田 Ⅱ 哲, 八鳴 真理子. 174. 」. や. 0. ゆ. 英Q 甲. 穏 Q. 尽. 埜妊 0 ユ. M ●ⅠⅠ●●. 軽雙. ユコめ. 呂 WQ. モ膵宝姉甜朋. ) 埋. 穏トコ ) ト. 田 Ⅰ /. 朋. 瓜. 思 ぬ奏抑抑. 姉氷 朗夫 咀かコ朗. 雙. 卦. 卍. れせ蒋憶目 0脚・﹁. い. | |. 俺ノコ. 椰. 播 一 Ⅱ. l. Ⅰ. 一は. Q. め八 %4% 女ヰ 円G時てト Ⅰ Q4Q 套卍十困銀雄耶 Ⅰ 堰 % 安井 穏ミ. 里. ,ぺ. 堅 Ⅱ. ゃ釈. 田ロ. ,. 加 卍蛆 Ⅱ収. 膵穏尖奥丑 轟轟 愚漁 黒岳. 社田,. 鰍な妹. 岨 理即. ,. 螢 ●Ⅰ●●●. 掻史 ・田長 窩 14 @. 桧. 蛛. @. 搬. ゆ制札セ串株 撫ドユのり卦 ︶コ申 柑軽僻心沖せ田町甲 ユの史憶現出0里 Ⅱ. 0 四 % ゅや. 樹仙篤穏埋 湘 小円 罎 ㌣". 票. 瓠. べ. 冊. O. 埋. % 離. 帝 ●●● + Ⅰ●Ⅰ. Ⅴ 」. 目. l. 宅棚峡困 , rt f@震. イコ. 虫 蹴. こり月 Q 月牌. 抑ぶ苅 桃ホ円墳. ゆ. 麟. 月. 四条鞍心,コ Q 頃. 俺. (. 人 」. 衣 Ⅴ卍巴トい 奥. /. 拙. 患. ゆ憶. ド Ⅱ心思 民照ゆ嚥 Ⅱ 駈 め友女心 蝸即 Ⅰ 蒋 Ⅱ神 W 氷 + ね授二 ぷ寒桜Ⅰ. ゼ Q 田並 ゃゆ こ林 ゆユド円. Ⅰ. ∼条 Q 田ユドコ ま汁 埜埋 +. イミ. % 加俺埜縄円苅 七 % 寒桜Ⅰ. モ. ト円 ナq. ト. (. P. 卍.
(13) 協同的な理科の 教授・学習過程に 関する基礎的研究 蜜 西 ド. 0 奥. 鴇. 月 コ は. %. 埜. 騨. 螺 p 即ト棚. ●. ハ. 西. Ⅰ. 田 弍. ば. 込). 目. 嚥. 埜 温. セム. ,N. 牌. Ⅱ. 爾 ). 田. づ. 柵ド n,0%. スア ト 和ぺ 毛頃 リト 毛之. 邸 媛. 楽は卍の コ頃 雙 体毛Ⅱ l l 転田. 柿膣. Ⅲ. 百舌Ⅰ. 牲. ぬ. 棚. 回 Ⅰ. ぬ. ゆ玲. ・. 憶. コ. 皿. 嚥. プ曳. 宝展埋雙. レ. 脚. Q. 屯. ゆ俺. 洞. テ" 臣. コ. 吐 拙. 兵膵. 宝. 姉 接. H一. ミ. 冊. 皿. 催 岨. せ. 簗. ゼ. % とヰ と. 0. レ. さ. ヘミ. ) 毛 田 熊. 袷 山月 ) 社) 案 和 和め. イ. 仕. 雛 岨. 0. 毒 抹 妹. 咲耶 埜. P 七%. ( 田条の 丑ドド 膵 ) ぼ吏 ま部 且 ぶ目 p 寒寒. "). の. Ⅰ. 伸長 戸コ穏穏. @@@. Ⅱ. せ). 伸朗 寒胆 小小 枕. e. ゆ. ト. 月 ). 田. 右史食堂 4% こ 冊穏コ穏穏 桜月 e. Q 社 ∼ 0 甘. ( 0 _> 穏穏コ. 姉丑. 甜 e. 卍. 宗. 酋. 接七 % 膵 0 ゅ WQ. 安目. ●●●. (. 媛 長. 膵即. 囲. コ. 埜 里. 瓜. ト鵠妊 照Ⅱ困 ュ 田頭. 棚. Q. こ ト. い. ぽ. ド. 唾 里田田 ド邸 ㌣ 膵丑 二七 のの 廿 租 QP 案 力足 棚 姉埋コ垣 二名 穏穏 gtlⅠ. 雄 コ. 照. 175. @@ @@ @. 糟. ●Ⅰ. ●. ゆ制札訃僻心神 は廿 皿トムい蛆氏現出 0 叫. 囲. 沖. O. 臼. 田. Ⅷ. 寸 ,姉. ︵苅仏ぎ坦坦 ぬ兵鞭奏. % 安︶ ぶ姻皿 Q趨. ゆ卸 W軽Ⅲ 村 沖 り呵呵 トムのり薫 軽薄二 % 加川祐里 お.
(14) 森本信也,渡辺素 乃子, 太田川 哲, 八 % 真理 子. 封 J. 神曲 セ仰. 字. 奥. 父姻 , 血月. 穏鞄. ㌣. 弩. 埜コ. 琳. Ⅱ. +. +. 二月. ド. 捧和 ぺト 蛆照. 伸. 里困 蝿 2% り唾 二把せ 唾 田瓜旧 0% @ モ 七 % 七 奥ム 峡 膵姻食こ リド 朗 呂 り無 ド項加 l 姉穏 [ID和皿曲穏ゅ. 下姓. 川. Q @P ・. 柴0. 叩. Ⅴ. 膵糎和. 咲耶. 宝. 君埜トュ 姉穏 ㍼ 月 甜e e 朋. 甜. 0. ●. 仕 拙. ゅけ 低回 嚥吐端株 紹 Q脚. 憶. 挫 ぺ l. Ⅰ. 吐拙抹献 Q埋. O ト 丑 嚥. 株. 唾膵. 租 姉. ピ Ⅰ. 掻. 唾膵. 宝 仲. 螢. ∼ 田ュぬ ド W 心 条 ぶ 棚 ぬ 氷 Ⅰ目 モ 伴 君 燵 升 幸拙屯 礫e せ 博 椰トT 岨 レ掻 舶囲る拙. 176. ミ. ミ. ・ の 穏西坤月ロ tt?@@ @@ @@ @ ・. 駄. 0 冊瓠呵. 卍. ぺ 埋. ゆ卸W仮 E吏吐怒株妹Q躍 ・の・. ゆ卸 W珪Ⅲ 旧准 は 皿皿 目白 0% 社寺 薄ト %浦綾趣 ・ の. Ⅷ 田 ㌣ 0 伸瓢叩卍.
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(16) 178. 八鳴 真理子 森本信也,渡辺素 乃子,太田川哲,. 具体的には、 その生理学的な. 図 3 の 1. 視点、. に見られるよ. う. に、. 子どもの関心は 種の形態に向げられっつも、. 不思議さに 向 げられ、 乳幼児に例えられた 種についての 概念が彼ら. の中では共有された、 ということであ る。 各段階での子どもの 認識の内容と、 これに対する 指導の手だてについて、 上述の図 1. ∼ 7 の学習段階ごとに 以下に示していく。 表題となっているものは 既に述べたよ. う. 3 の. に、. 図 3 の 1 ∼ 7 の中心に来るものと 同じく、 子どものこの 時間の活動から、 クラス全体とし てコソ セソサス の得られた概念であ り、 学びが 収 放していった 結果であ る。. 1. 生きるしくみを 備えた 種. (1) 積 ってなあ に ? 前述したように、 「ツタンカーメ 種の持つ命の 不思議さに目を. ソ のエンドウ. マメ 」の話を導入とすることによって、. 向けさせ、 そこから種を 自分たちと同じく、. 命 あ る一生命と. して捉えさせ、 種を植物の赤ちゃんや 卵のようなものとみなす 意見を 、 子どもによる 種を 「乳幼児」と 例 える地楡 的 表現として価値付けた。. それと同時に、. 「種はほっておくと 芽. はずっと出ないのか ? 「種はど う したら目覚めるのか」といったような 疑問から、 生育 の条件としての 発芽条件探しへの 足場づくりとした。 既に述べたが、 ここでは子どもの 種に対する形態学的視点、 生理学的な視点が 大ぎく発 」. 達し、. その双方向からのアプローチの れたいるのが 図 3 の 1 から伺える。. 結果、. 「乳幼児」としての 種といった概念が 獲得さ. また、 このような活動の 中、 子どもにはそれぞれの「 種 」の姿を、 図 2 一 1 に示すよ う に、 「絵本」として 描くよ う にさせた。 これはあ くまでもその 時点で持っている「 種 」に ついての考え 方のまとめであ り、 最終的なまとめではないのであ るが、 このような活動を 学習の合間に 挟むことにより、 子どもは彼ら 自身の考え方・ 新たに持った 疑問点を見直す 契機となっていった。. (2) 種のしくみ 命の不思議さを 持った子どもの 種についての. 考え、. つまり「乳幼児」として 種を見つめ. るようになった 子どもは、 種がどうしたら 目覚めるのだろうかという 疑問とともに、 種の 内部の仕組みにも 興味を示しだした。 ここに至り子どもの 学習は、 解剖学的視点を 強く持っ た、 種の仕組み調べへと 移行した。 通常こ う いった授業では 観察のさせやすさ 等の理由か ら、 吸水後の種の 観察が行われことが 多いのだが、 それは子どもがここまでで 考えている 種 」についての 考え方からは 飛躍があ り、 また水といったものが 種の目覚めに 重要な関 わりを持ったものであ ることを認識させるためにも、 ここでは乾燥したまま 観察可能な イ ソ ゲソマメ を取り上げ、 吸水双の状態で 観察を行わせた。 そ う いった活動結果として 解剖学的な視点が 伸長し、 前 時からの流れを 組む生理学的な 視点と相さって 、 種には決まった 仕組みがあ るという事が 共通の理解として 根付いていっ たことが、 図 3 の 2 から明らかであ る。 この時点で子どもは、 幼芽・幼根などに 当たる部 「.
(17) 協同的な理科の 教授・学習過程に 関する基礎的研究 分を 「チューリップ. ( のような部分 ). 」や「しっぽ」、. 179. 「でべそ」等と 彼 固有の比 捻 により. 表現していた。. 11 生きるとは何か. (1). ?. そのための動力源は 何か. 種は息をしているのかな. ?. ?. ここでは、 種が生きているという 根拠について、 子どもに自由に 考えさせ、 クラス内で の 意見交換を通じて 表現させた。 三千年もの間眠りに 付いていたという 種を 、 子どもは命といったものの 観点からも見つ めている。 すな ね ち、 それほどの期間眠りについている 種とは本当に 生きていると 言える のであ ろうか、 といった問いかけであ る。 それはこの前の 段階の学習活動の 中で観察した 種というものが、 あ まりにも生命感を 持たないもののように 捉えられたからであ る。 そし て 、 ここから種は 生きているのかという 証明として、 種は息をしているかという 疑問 点. ・. 課題点が生じたのであ るが、 その申で呼吸の 検証として「種を 水に浸 は て、 溺れたら ( 発 芽しなくなったら ) 息をしているということだろう」とし ぅ 意見が出た。 なぜなら ぱ、 こ の 考え方の中には 種を自分たちと 同じ、 呼吸をしなければ 死んでしまう、 水中では溺れて しまう「生命」として 捉えているという 事柄が内包されているからであ る。 ここではその 「生命」としての 種への 視 , 点 、 生理学的な視,点が 中心となっていき、 種は息をしているの かという点を 主題として、 図 3 の 3 に示す学習が 進行していった。. (2). 水で目覚める 種. 前時に出てぎた 課題「種は息をしているのか ? 」に答えるために、 ここでは気体検知 管 を 用意し、 呼気 ( 二酸化炭素の 多い気体 ) では検知管の 色が変わることを 演 示し、 前日か ら ( 子どもに分かるとうに ) 水に浸げておいた 種と水に浸げる 前の種を比較するように 助 言した。 結果は子どもの 予想に反して、 そのままの種は 息をしておらず、 水に浸げておい た ( 子どもの予想では 溺れているであ ろう ) 種の方だけが 呼吸しているというものなので あ るが、 それに よ り子どもは、 種の目覚め ( 休眠状態から 活性化する ) には水が必要であ るということ、 水がないと、 息もしないで 眠りについているということに 気づき、 種の目 覚めの仕組みについての 自分の思い、 内部の観察結果を 図 まとめていった。. 2 一 2. またここでの 話し合いでは、 「水は種の目覚めに 関わる電池. に示すように「絵本」に ( 動力. 源). だ 」といったよ. うな意見がでたのだが、 この 比喰的 表現が広くクラス 全体で認知されたという 事実は 、 子. どもの「絵本」の 中に、 この表現が多く 見受げられるよ 図. 3. の. 4. に見られるよ. う. う. になったことからも 見いだせた。. にまとめてみると、 子どもは吸水後の 種の観察・検知 管 での実. 験結果という 形態学的視点・ 解剖学的視点と 電池という 比喰に 見られるような 生理学的な 視点から、 種の目覚めには 水が必要だと 言ぅ こと、 水で目覚める 種というイメージを 描い ていったと言えよう。.
(18) 180. 森本信也,渡辺素 乃子,太田川哲, 八鳴 真理子. I11 水 ・空気・適切な 温度. (1). 種の発芽条件. 水 といったものが 種の発芽に重要な 役割を果たすということがわかった 子どもたちは、 次に 、 種の発芽には 水だけで十分なのか ? ほかにはなにか 必要なのか ? といった疑問を 持 ち、 種の発芽条件について 自由に考え、 表現するようになった。 子どもたちの 話し合いの中から、 それら発芽の 条件探しの手段として、 マトリックスの 形で条件が羅列されることとなった。. このように述べると、. 一見変哲のない 活動のようにも. 思えるが、 前 時までの活動を. 踏ま. えながら、 生理学的な視点から 一歩進んで、 子ども自身に よ り発芽・成長条件に 着目した したという事、 図 3 の 5 のように芽を 出すのに必要な 条件に着目した 事は、 この学習活動 が 真に子ども自身のものになりはじめた 証左と見ることができる。. (2) 種の発芽条件を 同定する よく発芽の条件コソトロールとして、 マトリックスの 形で条件が羅列されることがあ る が、 この授業においてのそれは、 決して無味乾燥なものではなく、 子どもの中から 出てき た生きた疑問、 必然性にかなった 活動であ ることはこの 時点までの学習経過を 見れば一目 瞭然であ る。 そして、 その結果もあ くまでも、 種は自分たちと 同じ生命であ り、 生きるの に適した環境二発芽の 条件であ るということとして 認識されていったのであ る。 学習に現れてきたマトリックス、 そして子どもの 導いた結論が 無機的なだけのものでは なかったという 事、 生理学的視点から 種が生きて成長する 条件として、 彼らが発芽条件を 考え出したのだということは、. 図 3 の 6 から明らかであ る。. (3) 種の仕組みとその 働きについて 表現する 前 時までの学習の 一区切りとして、 そして更に外的要因だけでなく 内的な要因にも 着目 しっ っ 、 ここでは種の 発芽の条件を 同定した。 一般に言われる「発芽の 三条件」という 言. 葉の中にも現れるよ う に、 発芽では 水 ・空気・適温のいわゆる 外的な条件のみに 注目が向 げられることも 少なくない。 しかし、 実際には環境とともに 内的な条件といったものも 重要となってくる 0 ここで 子 どもは種の仕組みと 仕組みが働くのに 必要な条件とを 結びつげ、 表現するようになった。 すな ね ち、 発芽には彼らが「しっぽ」 「チューリップ」などと 表現していた 部分や、 発芽 のために蓄えられている 栄養も必要であ り、 それらのどれがかけてもいげないということ を、 図. 2. の. 3. に示すように「絵本」や 話し合いの中でも 表現していたのであ る。. また、 発芽に必要な 栄養二でんぷんについては、 このときにヨウ 素敵での検知を 行い、 発芽前と発芽後でも 様子を比較しているのであ るが、 やはり「絵本」に 見られるよ う に、 必要感のあ る学習として 深く理解されていった。 ここでの学習は 図 3 の 7 にも見られるよさに、 ヨウ素反応の 結果・内部構造の 観察とい ぅ 解剖学的視点、 前 時 での条件に栄養などの 視点を加えての 発芽・成長条件、 そして、 そ.
(19) 協同的な理科の 教授・学習過程に 関する基礎的研究 れらの条件を 自分たち自身に. 置き換えて、. 181. 「生命」としての 必然性から出た 生理学的 視 ,点. の三方向からのアプローチを 中心に 、 種の仕組みとその 働 ぎに必要な条件を 理解していく 活動であ ったと言えよう。. 4. ループコミュニケーションと 化した子どもの 学習活動の保障 3. での実践結果に 示されたよ. う. に 、 子どもの学習は 個人での学習から、 集団の学習を 通. して相互に評価されるようになり、. 個人の学習成果であ ると同時にクラス 全体の学習成果. へと姿を変えていった。 その前提には、 各個人が自らの 考えを「絵本」などに 著 わし顕在 化させる内仏プロセス、 すなわち自己評価活動が 存在した。 ついで、 それぞれの学習から 得たものを、 話し合い活動等の 協同的学習の 場において互いに 披露し、 相手のものを 取り 入れたり、 自分の考えと 比較したりしながら 社会化していったのであ る。 それは一方的な 考えの押しつげ、 あ るいは受け入れではなく、 他者の学びというものを 相互に受け入れ、 拡張していく、 相互評価の形であ った。 この相互評価の 結果、 クラスの コソ セソサス とでも言えるような、 そのクラスそれぞれの 学びというものが 構築されていっ た 。 このことは、 言い換えればクラスや 構成している 各個人、 教師やその細かな 環境一つ. ひとつによって、 その学びというものも 少しずつ姿を 変えていくということであ る。 いつ でも普遍的で 同じ学習というものは 存在しないのであ る。 こうした集団での 学びというものは、 学習の成果として 再び子ども一人ひとりへとフィー ドバックされ、 コミュニケーシ 王ソ から得た新たな 学びとして個人の 学習の中に内化され. ていった。 集団での知を 作り上げつつ、 一人では行えない 集団での活動を 通じて、 個人の 知が 深化されたいったのであ る。 こうした関係は 図 4 のように模式化できる。. 社会化して 外化. 個人での学習 =. ( 内化 ). 自己評価. 集団での学習 ( 外化 ) 二 相互評価. 学習の成果としての 内仏 図. 4. コミュニケーションのループ 化. そして、 このような学習過程において、 教師の具体的な 活動は、 前項で触れたよ う に 、 子どもの発達の 最近接領域というものを 前提とした足場づくり、 子どもの必然性に 基づく 学習の場作りという 一点に収 敬 される。 こうした関係は 図 5 のように模式化できる。 それ は端的に言えば、 子どもの遊んでいるような 活動、 自由な思考活動からの 中で、 多種多様.
(20) 森本信也,渡辺素 乃子,太田川哲, 八鳴 真理子. 182 な. 表現の保障をしつつ、. その中から問題を 顕在化させるに. 至る視点を導入し、. 支援を行っ. ていくことなのであ る。 子どもの必然性 に 基づく学習の 場 作り. 学習過程 内. 指導過程. | 足場作り. イヒ | |. 自己評価. ( 確認。・言い替え・. Ⅰ価値付 け. Ⅰ意味付け 0 表現の多様性の 保障. 板書・新しい 世界 の 導入 ). 化. 外. 足場作り. | |. (. 相互評価 他物の学びの 受け入れ ) 内. Ⅰ自由に考え 表現させ ること. 足場作り. ィヒ. Ⅰ学習成果を 自分なり に 表現させる. ||. 自己評価 図. 5 学習過程と指導過程の 流れ. そこには、 別段目新しい 評価法も、 斬新な教材も、 も 一人ひとりの. 特別な指導法も. 存在はしない。. 子ど. 学びを承認。 し 、 そこに新たな 視点や足場を 与えっ っ 、 社会と個人の 相互の. 成長を見いだす。. そ. う. いった学習を. 保障する、. 一つのアプローチが 存在するだけであ. る。.
(21) 協同的な理科の 教授・学習過程に 関する基礎的研究. [. (1) 森本信也. 「子どものコミュニケーシ. 出版,19 ㏄ 年 , PP,23 l. 一. 註]. , ソ 活動から生まれる. 新しい理科授業」東洋館. 一 29. (2) Bruner,J.S The ontogenesisofspeech Dp.. 183. acts,JournalofChildLmguage,2,1975,. 19.. (3) K. クラーク 他 ・川端青男星也 訳 「ミハイール・バフ チソ の世界」せりか 書房,1990 年 , p,26. (4) M.M. バフ チソ ・新谷敬姉郎 他訳 「ことば対話テキスト」 ( ミハイル・バフ チソ著 作条 8) 新時代社,1988 年, pp.131 一 132 (5) ェソド 9 % メ の亜種であ り、 一般的にはこうした 名称で流布している。.
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