可視光と中間赤外線から探る
球状星団内晩期型星の特徴
12S1-013
大久保瑞希
要旨
赤外線衛星あかりと木曽観測所のシュミット望遠鏡で観測された画像を解析し、球状星 団M53 の晩期型星の特徴を見つけることを目的とする。シュミット望遠鏡で撮影された画 像をマカリで一次処理し、IRAF で測光をし、HR 図を描き、そこから特徴を見つけ出す。 狙う星は、最も明るく輝き、最も赤い星たちのため、露出時間が長く、赤いバンドの物を 使用した。あかりの画像は、一次処理済みのものを使用した。 HR 図を作成した結果、球状星団に見られる特徴が見られた。また、星団内で最も輝く星 たちの雲が出来ている可能性があることが分かった。 書式変更: フォント : 12 pt, 太字 書式変更: 中央揃え コメント [m1]: シュミット望遠鏡で撮影 … コメント [m2]: 可能性があること…目次 1.はじめに 2.研究対象 1.球状星団について 2.球状星団に見られるHR 図の特徴 3.M53 について 4.観測機器 3.解析 1.使用データ 2.一次処理 3.測光の仕方 4.測光の正確さの確かめ方 4.結果 5.考察 6.まとめ 7.謝辞 8.参考文献
1.はじめに
私は、球状星団の晩期型星の特徴を調べた。可視光と赤外線のデータを使い、HR 図を作 り、HR 図からどのような特徴があるのかを探ることを目的とした。可視光と赤外線の両方 の画像がある球状星団を見つけ、目標天体とした。 可視光と中間赤外では、見られる星の波長が違う。可視光では、星全体から発せられる 光を観測し、中間赤外では星の周りにある塵(ダスト)やガスを観測する。異なる波長の 画像を解析することで特徴が見えてくると考えた。 HR 図を作成するにあたって、V-I と波長範囲を大きく取ることで、広範囲の温度範囲の 星の色指数の変化を探り、V-R、R-I とすることで、より狭い範囲の温度範囲の星の色指数 の変化を細かく探ることを目指した。 測光をするにあたって、今回PSF 測光を選択した理由は球状星団は星が混み合っている ため、開口測光では不向きである。そのため、PSF 測光を行った。2.研究対象
1.球状星団について
球状星団は、数万~数百万個の恒星が球状になったものである。中心部ほど密集し ている。銀河系のハロー全体に広がって分布している。年齢は100 億年を超えている。寿 命の短い星は残っていなく、寿命の長い星しか残っていない。そのため、球状星団は赤く 見える。星団を構成している星の質量は小さく、太陽ほどの質量しかない。現在知られて いる球状星団は120 個である。球状星団は、タイプによって集中している密度が区別され ている。タイプは、ⅠからⅫまである。 コメント [m3]: 星団を構成している星の 質量…図1 球状星団と散開星団の分布 「自由探検コース」引用
2.球状星団の
HR 図に見られる特徴
図2 M15 の HR 図 「理科年表オフィシャルサイト」引用 球状星団の HR 図では、図2のような特徴がみられる。球状星団は、赤色巨星枝、水平 分枝、漸近巨星分枝という順番で末期を迎えると考えられている。赤色巨星分枝とは、ヘ リウムの周囲で水素が燃えている状態、水平分枝とは、中心でヘリウムが燃えて、核融合 を起こし、炭素と酸素の芯を形成している状態、漸近巨星分枝とは、炭素・酸素の芯の周 囲でヘリウム殻・水素殻が燃焼している状態である。漸近巨星分枝は、赤色巨星分枝と重なってしまいHR 図では確認できないことが多い。このような図を用いて年齢なども計算 することが出来る。
3.M53 について
かみのけ座からおとめ座にかけての空域は銀河が多数集まっている。これらの銀河の 中にポツンと置かれたような球状星団がM53 である。春の空では数少ない球状星団で、ボ ーデが1779 年に発見した。 図3 M53 「県立ぐんま天文台」引用3.観測機器
(1)赤外線観測衛星あかり あかりは2006 年 2 月 22 日に打ち上げられた、日本初の本格的な赤外線天文衛星 である。口径は67 ㎝、打ち上げ後約 550 日の観測が可能である。観測装置は、遠赤 外線を観測するFIS と、近・中間赤外線カメラである IRC の 2 種類がある。2011 年11 月 24 日に停波し、すべての運用を終了した。 図4 赤外線衛星あかり「JAXA 赤外線天文衛星「あかり」(ASTRO-F)」引用 (2)木曽観測所の105 ㎝シュミット望遠鏡 長野県の木曽郡にある。木曽観測所は1974 年(昭和 49 年)4 月 11 日に東京大学 東京天文台の5番目の観測所として開設された。 シュミット望遠鏡は、口径 105cm の補正板と 150cm の球面鏡を用いて 視野の広 さ、ほぼ満月 180 個分に相当する写真を撮ることができる。 コメント [m4]: 木曽郡…図5 105 ㎝シュミット望遠鏡 「東京大学木曽観測所」引用 (3)2KCCD カメラについて CCD は感度が高く、また精度の点でも写真乾板より優れている。2KCCD の大きさは 5cm 角もあり、木曽観測所ではこの大きな CCD を用いてより広視野のカメラを製作した。 2KCCD カメラは 2012 年度で運用を停止し、現在は、さらに広視野の KWFC が運用され ている。また、将来に向け、CMOS を多数並べて写真看板に迫る広視野カメラの開発も進 めている。 図6 2KCCD カメラ 「東京大学木曽観測所」引用 コメント [m5]: 2KCCD の大きさは… コメント [m6]: した。 コメント [m7]: 2KCCD カメラは 2012 年 度で運用を停止し、現在は、さらに広視野 のKWFC が運用されている。また、将来 に向け、CMOS を多数並べて写真乾板に迫 る広視野カメラの開発も進めている。
4.解析
1.使用データ
M53 の可視光のデータとして I、R、V があったのでそれを用いた。可視光で観測したシ ュミット望遠鏡で使用したバンドと露出時間は、I バンド 180 秒、R バンド 180 秒、V バ ンド 120 秒である。る。 赤外線で観測したあかりの使用した画像の波長は、波長3.1 ㎛(N3)、4.3 ㎛(N4)、7.0 ㎛(S7)、10.2 ㎛(S11)の一次処理済みの画像を使用した。 図7 S7 の画像 コメント [m8]: 一次処理済みの画像…図8 N4 の画像
2.一次処理
今回、あかりの画像は一次処理がされていたため、木曽観測所のデータのみ処理を行った。 一次処理には画像処理ソフトのマカリを用いた。ここでは、フラット補正とバイアス補正 を行った。 バイアスとは、露出時間がなくても写り込んでしまう模様のことである。これを取り除く ために、露出時間なしで撮ったバイアス画像を星の画像から差し引く。バイアス画像は、 その日に撮った画像を使用した。最終的なバイアス画像を作るために何枚か撮影したもの を平均した。 図9 バイアス画像を平均したもの 書式変更: インデント : 最初の行 : 13 字 コメント [m9]: バイアス画像を… コメント [m10]: バイアス画像は、その日 に撮った画像…CCD はピクセルごとに感度の差があり、それを補正するために同じ強さの光を入れたフラ ット画像を撮る。フラット補正を行うにあたって、マスターフラットを作る必要がある。 フラット画像は、各フィルターごとに撮影されたものを使用する。各フィルターごと、全 てのフラット画像を平均してマスターフラットを作成した。フラット画像は、平均した後、 規格化する。フラット画像には、バイアスも含まれているためバイアスを引く必要がある。 図10 フラット画像を平均したもの
図11 マスターフラット
3.測光の仕方
測光にはIRAF を用いた。IRAF に入るためには、cl を入力する。そこから、cd を 用いて自分が必要なデータがあるところまで入っていく。 開口測光 開口測光は、星の明るさを測定するために行う。 >displ 画像名 この作業を行わないと、tvmark したときにうまく表示されない。 >imexam星のfwhm(full width of half maximun:半値全幅)の測定
図10 プロファイル 画像の星のない所でm sky のバックグラウンド平均(MEAN)と標準偏差(STDDEV)の測定 その際、平均を取るように様々な領域で測定する。 コメント [m11]: half maximum コメント [m12]: 平均(MEAN)と標準偏差 (STDDEV)…
画像上でqで終了 >epar daofind(daofind の設定) fwhm に測定した値を入力 sigma に sky の標準偏差を入力 :q で終了 再度、:q で終了 >daofind 処理する画像の名前を入力 以後、出てくるものはそのまま使う。fwhm は入力済み。 ここで、画像の名前.coo.1 が出来る。 >tvmark
Imput…に daofind で出来た画像(画像の名前.coo.1 を入力)
図11 tvmark で星を検知した時 >epar phot photpar で:e apertur に fwhm の半分の値を入力 :q で終了 fitskyp で:e annulus に fwhm の2倍の値を入力 dannulu に fwhm の値を入力 :q で終了
>phot
ファイル名を入力
画像の名前.mag が出来る(開口測光結果ファイル)
PSF 測光(Point Spread Function:点広がり関数)。
PSF 測光では、psf コマンドで星の平均の形(PSF)を決め、その型に当てはめて各星を 測光する。 vocl>noao >digi >dao この作業は、>の前の vocl を daophot に変えるために行う。 >epar psf daopars で:e psfrad と fitrad を入力 (fwhm,psfrad)=(3,11)(4,13)という例があるため、fwhm が4の場合は psfrad=13、 fitrd=4 と入力 :q で終了 再度、:q で終了 >psf ds9上で星を選び、a でその星の形を見ることが出来る。 図12 3 次元メッシュプロット コメント [m13]: psf コマンドで星の平均 の形(PSF)を決め、… コメント [m14]: 当てはめて各星…
この図はn,s,w,e で角度を変えて見ることが出来る。 n で xy 平面上の軸を中心に上方向に、s で xy 平面上を軸を中心に下方向に、w で z 軸を 中心に時計回りに、e で z 軸を中心に反時計周りに回転する。 その形を見て、良さそうな星ならば再びa を押し、追加する。追加しない場合には d を 押す。 指定する星がなくなったらds9上で w を押し、q を押す。コマンド上で q を押して完全 にpsf が終了する。 ここで画像の名前.pst,.psg,.psf.fit のファイルが出来る。 >epar allstar きちんと入力されているかを確認する。 :q で終了 >allstar これで測光が開始される。測光結果はals ファイルとして出力される。 図13 S7 測光前 図 14 S7 測光後 測光前と測光後で、観測された星が消えていることが確認できる。これで、しっかりと測 光出来たことが分かる。 コメント [m15]: される。測光結果は als ファイルとして出力される。 コメント [m16]: 測光
測光したデータの星の対応付け als ファイルにαδを入れる αは赤経、δは赤緯を表している。 この作業は、addaldel2als.pl というプログラムを用いて行う。 実際には、以下の形式で呼び出して用いた。 addaldel2als.pl >./addaldel2als.bat 画像ファイル名(als の前まで) これを実行するとals ファイル内の星の xy 座標からα、δを計算し、その結果を als ファ イルに書き加える。このファイルをaldel ファイルと呼ぶが出来る。 2 つの aldel ファイルについて、星の対応付けを行う
>./aldelmatch01 10 (基本となる aldel ファイル名) (対応させる aldel ファイル名) (対応付け 済みファイル名) このとき、最初の2つのファイル名は、….als.aldel まで入力、対応付け済みファイル名は、 自分で考え付ける。(例:M53_VRI.txt) さらに星の対応付けをする >./aldelmatchadd01 10 (付け加えられる対応付け済みファイル名) (さらに付け加える aldel ファイル名) この最後の作業を繰り返すと、どんどんaldel ファイルを付け加えることが出来る。 コメント [m17]: この作業は addaldel2als.pl というプログラムを用い て行う。実際には、以下の形式で呼び出し て用いた。 コメント [m18]: addaldel2als.pl コメント [m19]: als ファイル内の星の xy 座標からα、δ を計算し、その結果を als ファイルに書き加える。このファイルを aldel ファイルと呼ぶ。 コメント [m20]: aldelmatch01
4.測光の正確さの確かめ方
各等級を縦軸と横軸に取りグラフを書く。作られたグラフが斜めにきれいに並んで いれば正確に測光出来ていることになる。
このグラフのようにばらつきがあると正確に測光出来ていないことになる。
このグラフから分かるように球状星団のHR 図に見られる特徴が作った HR 図にも見る ことが出来た。他の可視光のみのグラフも同じようになっていることが分かる。漸近巨星 分枝は赤色巨星分枝と重なってしまっている。そのため、見られない。
上にある赤い丸で囲まれたところは少し右にずれている星である。明るい星が右にず れているということは、質量放出によって塵の雲が出来ていると考えられる。