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Title
Effect of platelet-derived growth factor-BB on root
resorption after reimplantation of partially
denuded tooth in dog
Author(s)
野田, 克哉
Journal
歯科学報, 112(4): 570-571
URL
http://hdl.handle.net/10130/2927
Right
論 文 内 容 の 要 旨 1.研 究 目 的
再植歯の予後には歯根膜組織の状態が決定的な役割を果たすことが示されている。血小板由来増殖因子 (Platelet-Derived Growth Factor ; PDGF),なかでも PDGF-BB は細胞増殖,走化性,コラーゲン合成促進能 を有し,歯周組織再生に適した growth factor であることが明らかにされている。しかし歯の再植における PDGF-BB の応用に関する報告は少ない。本研究の目的は,ビーグル犬を用いて部分的に歯根膜を除去した歯 の再植を行い,歯周組織治癒および歯根吸収における PDGF-BB の効果を病理組織学的に検討することである。 2.研 究 方 法 実験動物として健康なメスのビーグル犬15頭を用いた。実験開始時に,下顎前臼歯に根管治療を行った後, 分割抜歯した。その後各歯根において CEJ より根尖側2分の1にラウンドバーにてノッチを形成し,ノッチ 部より歯冠側にスケーリング・ルートプレーニングを施し歯根膜とセメント質を除去した。根端側は歯根膜組 織を保存した。実験群では,1歯根あたり180μl の PDGF-BB(0.3mg/ml)溶液を歯根表面と抜歯窩に応用し再 植した。対照群は PDGF-BB を応用せず再植した。実験期間は2,4,8週とし,通法に従い標本を作製し, H-E 染色,AZAN 染色,Proliferating cell nuclear antigen(PCNA)免疫染色を行い,鏡検した。また,2週に おける PCNA 陽性細胞数,4週,8週における歯根吸収について統計学的に検討した。 3.研究成績および考察 歯冠側部は,2週において,実験群では紡錘形細胞と毛細血管を含む新生結合組織が認められたのに対し, 対照群では,隣接骨組織からの細胞豊富な線維性結合組織の侵入が認められ,歯槽骨付近の残存歯根膜線維束 は結合組織内に不規則に分布していた。4週から8週にかけて,実験群では,歯槽骨が再植歯の周囲に認めら れ,歯根膜様組織の線維束は新生セメント質と歯槽骨に埋入していた。象牙質に達する歯根吸収および置換性 吸収の発現はわずかであった。対照群では,4週において,既に置換性吸収の兆候を示し,8週では歯根表面 に広く認められた。一方,根端側部では,実験群と対照群の治癒に顕著な違いは認められず,歯根表面および 歯槽骨部に残存していたと考えられる歯根膜組織による再付着が生じ,歯根吸収はほとんど認められなかっ た。免疫染色による観察において,再植後2週の実験群では歯槽骨側の結合組織内に多数の PCNA 陽性細胞 が認められ,その数は対照群と比較して有意に多かった(p<0.001)。4,8週において,象牙質に達する歯根 氏 名(本 籍) の だ かつ や
野
田
克
哉
(新潟県) 学 位 の 種 類 博 士(歯 学) 学 位 記 番 号 第 1935 号(甲第1181号) 学 位 授 与 の 日 付 平成24年3月31日 学 位 授 与 の 要 件 学位規則第4条第1項該当学 位 論 文 題 目 Effect of platelet-derived growth factor-BB on root resorption after reimplantation of partially denuded tooth in dog
掲 載 雑 誌 名 Dental Traumatology, doi : 10.1111/j.1600-9657.2011.01070.x.
論 文 審 査 委 員 (主査) 齋藤 淳教授 (副査) 井上 孝教授 中川 寛一教授 加藤 哲男教授 歯科学報 Vol.112,No.4(2012) 570 ―114―
吸収および置換性吸収の発現は,実験群が対照群に比較して有意に少なかった(p<0.01)。
4.結 論
以上の結果より PDGF-BB の応用は,再植歯歯根膜組織の治癒を促し,歯根吸収を抑制する可能性が示され た。
論 文 審 査 の 要 旨
再植歯の予後は歯根の状態に大きく依存していることが示されている。Platelet-Derived Growth Factor (PDGF)-BB はサイトカイン療法の一つとして,歯周組織再生療法に応用されている。本研究では,歯の再植 後の治癒,特に歯根吸収に対する PDGF-BB の効果を検討した。ビーグル犬を使用し,実験開始時に下顎第 3,第4前臼歯を分割抜去した。その後,根中央部にノッチを形成,ノッチより歯冠側は歯根膜組織およびセ メント質を除去した。実験群には歯根表面および歯槽窩に PDGF-BB を塗布後,再植し,対照群は PDGF-BB を応用せずに再植した。実験期間は2,4,8週とした。通法にしたがい標本を作製,鏡検した。その結果, 実験群では,残存歯根膜組織からの細胞の増殖に伴い,象牙質表面には新生セメント質の形成を生じ,新生セ メント質と歯槽骨との間には,歯根膜様組織を認めた。歯根吸収および骨性癒着の発現はわずかであった。対 照群では,広範囲で象牙質に達する歯根吸収および骨性癒着が生じていた。根端側部では,実験群,対照群と の間で治癒に差は観察されず,歯根吸収はほとんど認められなかった。PCNA 陽性細胞数は,実験群が対照 群に比較して有意に多かった。4,8週における歯根吸収の発現は実験群が対照群に比較して有意に少なかっ た。以上の結果より再植歯において PDGF-BB の応用は,歯周組織の治癒を促し,歯根吸収を抑制する可能性 が示された。 本審査委員会では,1)実験条件の詳細,2)再植歯の残存歯根膜の状態,3)PCNA 陽性細胞数の定量 および発現部位,4)歯根吸収の分類,5)PDGF-BB の細胞レベルでの作用,等についての討議ならびに質 疑がなされ,概ね妥当な回答が得られた。論文の構成,図の表現,考察の論理展開等に改善の指摘があり修正 され,修正論文を審査委員が確認した。 本研究で得られた知見は,歯科医学の進歩発展に寄与するところ大であり,学位授与に値するものと判定さ れた。 歯科学報 Vol.112,No.4(2012) 571 ―115―