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相模湾,真鶴半島尻掛海岸におけるノープリウスy(Crustacea: Maxillopoda: Facetotecta)の出現

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Academic year: 2021

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(1)横浜国立大学教育学部附属 理科教育実習施設研究報告(7). :. 67-75. (1991). 相模湾,真鶴半島尻掛海岸におけるノープリウスy (Crustacea. Maxillopoda. :. **. 菊池 Nauplius from. **. 知彦・高橋. Manazuru,. 垂男**. 一生+・蒲生. (Crustacea. y. Facetotecta)の出現*. :. :. Maxillopoda. Sagami. Bay,. Central. **. Tomohiko. Summary. Ninety-five. of the. facetotectan. which. were. They. were. clearly shield. Two. cephalic. by. distinguished. described. X. identification. of the rest. nauplii. collecting evening.. peak A. Maxillopoda,. the night. types. were. subsurface eight. of them by Ito. are. noted. review. to. be. types very. untill further. present. In addition,. in most. of the research. the. plankton. types. materials. are. of the. all months. scales. of all nauplii. of this enigmatic. and. research occurred larvae. Bay. to. the. (Hansenocaris. IX. available. were. y". samples,. in Sagami. differences,. some. "nauplius. of the. patterns to. similar with. in the. off Manazuru,. their. CAM()**. larvae. nauplius. towing by. Sigeo. and. found. were. (1987a, 1990). is reserved,. in August.. literature. TAKAHASHI+,. of the characteristic. specimens. furclfera)and The. Kazutaka. crustaceans,. obtained. Japan*. **. KIKUCHI,. :. Facetotecta). :. the exact for study.. period. with. early. in the. is also conduct-. ed.. 】. はじめに. 甲殻類の中には,その系統と起源を考える上できわめて重要な意味を持つグループが. いくつか存在する。その中で,近年その形態や個体発生について様々な議論の対象とな (1981)によってバ. っているものにレミペデイアとノープリウスyがあげられる。YAGER ーミューダの洞窟から報告されたSpeleonektes. leucayensisは従来知られていた甲殻類と. は大きく異なる胸部・腹部の区別が無い相同の体節が繰り返す胴部に2叉型の葉状肢を持 っており,一つの独立した綱(ClassRemipedia)が設立され,その原始的な形態につい て,かいあし類との間にいくつかの類縁関係が指摘されている(ITO, 1989a)。一方,ノ ープリウスyは初めて記載されてから既に100年近い年月を経過しながら,その成体に関 する知見が今だに得られていない「謎の甲殻類」のままである。しかし,その幼生とし *横浜国立大学教育学部附属理科教育実習施設研究業績第31号 Faculty **横浜国立大学教育学部生物学教室(Department of Biology, National University) Division, +現在東京大学海洋研究所プランクトン部門(Plankton Ocean sity of Tokyo). of. Education,. Research. Yokohama. lnstitute, Univer-.

(2) 菊池知彦・高橋一生・蒲生重男. 68. ての形態が,フジツボやカメノテなどの完胸類(Thoracica)や,ヤツデヒトデに寄生す る甲殻類として知られるシダムシなどの嚢胸類(Ascothoracica)の幼生に類似してい ることから,これが含まれるThecostracaというグループ(亜綱)の中の一つの目 (order)として位置づけられ,大きくは,かいあし類などを含んだ甲殻類の中でも大きな, 1986)。. そして原始的なグループ(綱)であるMaxillopodaに含まれている(ScHRAM, 従ってノープリウスyは,これに近縁なグループとの系統類縁関係を検討し,その分類学 的な位置を明らかにしてゆくことで,かいあし類や甲殻類自体の起源と進化の課程を解. き明かすための,極めて重要な情報を提供しうる動物群であると言えるのである。 ここでは近年,その分類,形態,そして系統について徐々にではあるが明かとなりっ っぁるノープリウスyについて,従来の知見を整理しつつ,相模湾において初めて出現し たノープリウスyについて,その形態を記載すると共に,出現状況について得られた知見 を報告することとする。 Il研究史. HANSEN. (1899)は大西洋のプランクトン中に出現する甲殻類の幼生を報告し,その中. の同定不能のものについてα, β, γ,あるいはⅩ,. yといった記号を付して暫定的に報告. した。そのなかの大部分は,今日,蔓脚類やかいあし類の幼生であることが明かとなっ てきているが,. (y幼生)と名付けられた5つのタイプのノープリウスは,近年. y-larvae. までその実体が不明のままとなっていた。ノルウェーのSc=RAMはHANSENのy幼生につ HANSENが記載した5つ y (ノープリウスy)なる呼び名を与え, いてはじめてnauprius. の型(type)を整理し,それがType 異として整理し直し,. cephalicshield. IとTypeIVの二つの型の発育段階における形態変 (頭楯)に見られる多角型のプレートについて,そ. 1970b, 1972)。一九ノープリウスyに の配置を詳細に観察して名称を施した(ScHRAM, IVのノープ BRESCIANI 続く段階のものについては, (1965)がデンマークにおいてType. リウスy数個体と共に得た1個体の未知の甲殻類について考察し,これをノープリウス ScⅢRAM (1970a)は, 期に続く発育段階であるcypris (キプリス)幼生であるとした。 BRESCIANIが記載したのと同様のキプリス期幼生をバ-マより4個体得て,それぞれにつ いて詳細な検討を行い,蔓脚類のキプリス期幼生とは区別されるものとして,これに cyprisy. (キプリスy)なる名称を与えた。. 日本ならびに北太平洋海域において,この未知の甲殻類が知られたのは,和歌山県の. 田辺清から報告されたキプリスyl個体としてであった(ITO の翌年,. and. OHTSUKA,. 1984)。そ. ITOは和歌山県田辺湾産のキプリスy5個体に基づいて,蔓脚類やかいあし類を. 含む甲殻類の中の亜綱(Subclass)としてとらえたMaxillopodaに含まれる新属HansenocarisをHansenocaris. paclfl'caを模式種として設立し,ほかに2新種,. H・. rostylataと. acutlfronsをあわせて報告した(ITO, 1985).一方,同年,嚢胸類について研究を行っ ていたGRYGIERにより,キプリスyがMaxillopodaに含まれる嚢胸類(Ascothoracica). H.. によく似た形態を示している事から,これを嚢胸類と対等の上目(Superorder)として 1985)。ま 設立したFacetotectaなる分類群にまとめるという見解が示された(GRYGIER, たこの間, ITOはノープリウスyに関する研究を平行して進め,. HANSENが用いたType-杏.

(3) 69. 真鶴尻掛海岸におけるノープリウスyの出現. る表記法を用いてこれらを暫定的に整理していった。彼はHANSENがTypeVまでを使用 し,また,. GRYGIERが大西洋産のものについてTypeVIを用いる用意があったことを知り. (現在のところType. VIは報告されていない),田辺汚から得られた3種類のノープリウ. スyについて,新たにPacificType. IとTypeVIIを設立し,さらに,もう一つのノープ. リウスyについてはそれをすでに発表したHansenocaris. paclfl'caの初期幼生であるとし. た(ITO, 1986)。彼は翌年ノー7oリウスyの形態,特に頭楯に見られる多角形状のプレー トについてScHRAM (1972)の施した名称をさらにすすめた詳細かつより一般的な名称 Type. を提唱し,新たに発見された4種類のノープリウスyについて各々,. Vm-a,. Type. XIは 1987a) 。しかし,このType 自らが斤peclfl'caのノープリウスとして記載していたものであったが(ITO, 1986),詳細な IX,. TypeX,そしてTypeXIとして報告した(ITO,. 研究の結果,このTypeXIはH.paclfl'caのノープリウスではなく,別の種として捉え直すこ さらに,これも既に記載し. とが適当であるとの結論から,そのままTypeXIを存続させたo. TypeⅧ. ておいたTypeⅧ-aに,同じ場所から採集され似た形態を持つふたつについて,. -bとTypeⅧ-cなる名称をあて, その後,. Type. ITOは既に自らが報告済みのType. Ⅷの3つの型として報告した(ITO,. 1987b)0. Ⅸにあたるノープリウスyを実験室で飼育. し,キプリスyにまで育てることに成功し,得られたキプリスyを新種Hansenocarisj:urclj:eylaとして記載した(ITO,1989a)。また一方で,ノープリウスの発達段階毎に極めて詳 細な記載を行い,ノープリウスの時期が全部で5期あることを突き止めた(ITO, 1990)0 以上をまとめ,現在知られているノープリウスyのタイプ,およびキプリスyについて 義-1と表-2に示す。 甲殻類におけるノープリウスyならびにキプリスyの分類学上の,また系統学的な位 置については,既に述べたGRYGIERによる見解(GRYGIER, よって提唱された見解がある。それは,. 1985)の他に,. ScHRAM. (1986)に. Maxillopodaを6つの亜綱(Subclass)を持つ綱. (Class)として捉え,亜綱の一つであるThecostracaの中の一目(Order)として Facetotectaを位置づけるものである。. このことについてもう少し詳細な分類学的経緯を説明しておくことは,従来,これら 表1.現在までに知られるノープ))ウスyのタイプ タイプ. 研究者 Hansen,. 1988. Ito, 1986a Hansen,. 1899. Grygier. (未発表). Ito, 1986a lto, 1987a,b lto, 1987b lto, 1987b lto, 1987a lto, 1987a lto, 1987a.

(4) 菊池知彦・高橋一生・蒲生垂男. 70. 表2.現在までに知られる"Cypris. y". acutlfrons Ito,. Hansenocaris Hansenocaris. Hansenocaris. acutzfrons lto,. j:wclfeylaIto,. hanseni. Hansenocaris. Hansenocaris. Steuer,. hanseni. paczfica lto Ito and. y". Hansenocaris "Cypris. rostrata. p. 56, figs 1-7. :. Ito, 1990, p・ 201, figs 2-10・. ; Steuer,. 1905, p・ 116, figsト4. 1911, p・ 115, fig・ 108・. p. 119.. Ito, 1985,. 1985. Ohtsuka,. p・ 179, figs. 1984,. 1985, p. 114,. paclj:jcaIto,. Hansenocaris. 1989,. (Steuer, 1905). proteolepas Hanseni. "cypris. 1989. jTurclferalto,. Hansenocaris. 1985, p. 116, figs 214・. IX〃 Ito, 1987, p・ 913, fig, 2B・. y, Type. りNauprluS. Hansenocaris. 1985. 1-4・. figs IA-C,. 5A・. lto, 1985. Ito, 1984, p. 367, figsト4・. y". Hansenocaris. Hansenocaris. rostylata. tentaculata. Hansenocaris. p. 115, figs. Ito, 1985,. ID-F,. 5B.. Ito 1986. tentaculata. Ito, 1986,. p. 334, figs. l13.. の動物群を述べるときに,やや暖味なまま用いられてきている,いわゆる``蔓脚類''なる. 分類名について認識を正すと共に,ノープリウスyの置かれている分類学上の位置と``蔓 脚類''との類縁関係を正確に把握するための一助となろうかと思われるので以下に記す。 ``蔓脚類"についての分類学的位置・基準について近年まとめられたものとしては BowMAN. &. ABELE(1982)による分類体系がある。そこでは,蔓脚類を,嚢胸目. (Ascothoracica),完胸目(Tboracica),尖胸目(Acrothoracica),根頭目(Rhizocephala) Cirripedia)として位置づけ,ヒゲエビ亜綱(Subclass の4日を含む亜綱(Subclass Mystacocarida),かいあし亜綱(Subclass. Copepoda),鮭脚亜綱(Subclass. Branchiura). の3綱と共にMaxillopodaに含まれるグループとしてとらえている。しかし,その後に出. されたSc日RAMの見解では(ScⅢRAM, 目と尖胸目を下目(Infraorder. 1986)蔓脚類をMaxillopodaの亜綱とはせず,完胸. Thoracica,. Infraorder. Acrothoracica)として持つ蔓脚. 目(OrderCirripedia)としてとらえ,根頭目と嚢胸目,そして上述したファケトテク夕 冒(Order. Facetotecta) (GRYGIER, 1985)を併せた4目をMaxillopodaの亜綱として復. 活させたテコストラーカ(Subclass. Thecostraca. Gruvel,. 1905)に含まれる目(Order). として位置づけている。また,Thecostrace以外の亜綱として,ヒゲエビ亜綱,かいあし亜綱,.

(5) 真鶴尻掛海岸におけるノープリウスyの出現. 図-2.真鶴尻掛海岸より出現したノープリウスyの4タイプ.. 71.

(6) 菊池知彦・高橋一生・蒲生重男. 72. 鮫脚亜綱の3亜綱に貝虫亜綱(Subclass LINCOLN. Ostracoda)を加え,さらに,. BoxsfIALL. &. (1983)が深海底の甲殻類に外部寄生する甲殻類として設立した綱であるタンチ. ェロキャリグ(Class. Tantulocarida)を亜綱(Subclass. Tantulocarida)に引き下げ追. 加し,全部で6つの亜綱をMaxillopodaに含めている。. ‖. 材料と方法. 試料は1990年4月から翌1991年の2月にか. けて毎月行われた相模湾西部の真鶴半島の尻 掛海岸(図-1)における終夜連続のプラン クトン採集により得られた。採.集は日没から 日の出までの毎正時,岸から約50m沖合いに 予め設けた定点において,手曳プランクトン 図-1.調査を行った真鶴尻掛海岸の位置.. ネット(目合0.095mm)の海底直上からの表. 面までの鉛直曳として行われた。試料は採取後直ちに7%中性フォルマリン海水により 固定され,実験室に持ち帰った後に,実体顕微鏡下で選別し,生物顕微鏡にて観察,ス ケッチを行った。なお,スケッチには描画装置を用いた。. lV. 結果及び考察. 尻掛海岸に出現したノープリウスy 8タイプ,. 尻掛海岸での調査から同定不能の個体を含め,. ′合計95個体のノープリウスy. が出現した(表-3)。尻掛に出現したノープリウスyのうち代表的な4つのタイプを図 -. 2に示すo. 体である。. IX,即ちHansenocarisfurcljTeraと考えられる個 aは最も多く出現したType ITO (1990)の記載と比較した結果,ノープリウス第1期と考えられたが次の. 4点に顕著な違いが認められた。 が内側に凹み,. i) wがほぼ円形であること. ii) 0-1プレートの外側 0-2のプレートが卵円形であること。 iii)C-1プレートが長く後方に. 伸長し0-4プレートの中ごろまで達しているが,完全な一枚のプレートで,. るようなC-2プレートを持たないこと。 まで伸長していないこと。. bはTypeX. bに見られ. iv)E-2のプレートがC-1プレートの後緑 (ITO, 1987a)と考えられた個体である。. すると前後に短い卵円型である。各プレートについてITO. aと比較. (1987a)と比較すると次の4. 点で違いが認められた。. i) wが極めて大きく,長方形であり,その前方のF-1プレー トが前後に非常に短く,薄くなっていること。 ii) 0-1プレートは左右に明瞭に分かれ. ているが,. iii)0-7プ. 0-2にはそれを左右に分けるような境界が認められないこと。. レートが, 0-6プレートの直後に付随的にしか認められないこと。. の中央を横切る境界が認められること。 のか判断できなかった個体である。. iv) M-7プレート. cとdは従来の知見からはどのタイプに含まれる. cは0-4,. P-3以降のプレート並びに外側のMプレ. 1990)に似たプレートパ ートが認められず,dはH.furclfe71aのノープリウス第4期(ITO, ターンを示すものの, i) wが極めて大きいこと。 ii)頭楯復縁に小型のプレートが認め られないこと。. iii)wより後方で正中線に沿って左右対照のプレートを5組持つこと。な.

(7) 73. 真鶴尻掛海岸におけるノープリウスyの出現. 表3.尻掛に出現したノープリウスyのタイプとそれぞれの出現個体数の季節変化 Month Total. Type A Pacific-. I. VII VII[-a. M. ∫. A. 0. S. D. N. 1. 1. 1. 4. 1. 1 1. VIII-b IX. ∫. 4. 3. 5. 7. 27. 2. 6. 3. Ⅹ. 3. 6. 10. 1. 2. 1. XI. 2. (H. furclfera). unidentifi ed. 1. 2. 3. 4. 2. 14. 51. 1. 23 2. 2 14. 42. 1 4. 8. 5. 9. 2. どに違いが認められた。 ノープリウスyの出現種と出現時期・時間 S[enP!^!PUこ0」Oq∈nN. 調査期間中に出現したノー7oリウスyの月毎. の出現個体数を図-3に示す。採集を行った全 ての月で出現が認められ,. 6-8月に多く,特に. 8月には42個体が出現し,. 9月以降は減少した。. また,. 8月に見られた高い出現個体数は主に. Type. IXであるHansenocaris. jTurczfe71aとType. 30. 20. 0. Xが卓越したことによる。一方1-3月の冬季 のデータが欠落しているが,4-5月,ならびに 4. 5. 6. 7. 12月の採集個体数から推定して,この時期の出 現は極めて少ないものと考えられた。. その大半が集中し(ScHRAM,. I. で出現が認められ,2,. ll. 12. 1-6月には. 1. 2. June. 1970b),また,. IVについては大西洋の寒帯域から北極域. にかけての水域において,. 10. プリウスy出現個体数の季節変化.. 7月を除く全ての月 4,6月,そして9月の. 春と秋に特に明瞭なピークが報告された(ScHRAM, 1972)。これらの事は,実際その時期に成体の産 那,幼生のふ化が行われているのか,或は繁殖. 18. Sld⊃P!^!Puこ0」aq∈⊃N. Type. 9. 図-3.真鶴尻掛海岸におけるノー. ノルウェーのオスロフィヨルドではType のノープリウスyが通年出現し,. 8. Month. 19. 20. 21. 22. 23. 24. 1. 2. 4. 5. 3. 4. 5. 3. 4. 3 」uly. 0 5 0. 18. 19. 20. 21. 22. 23. 24. 1. 18. 19. 20. 21. 22. 23. 24. 1. 2. ー5 ー∩). 時期に季節性がなく,季節的な時間スケールで 変動する海流により,幼生の輸送が影響を受け,. 出現の季節性となって現われるのか(ScHRAM,. 2. Time. 1970b)については,採集個体数が極めて限られ. 図-4.真鶴尻掛海岸においてノープリウ. ているため,推論の域を出る事が出来ない。. スyが卓越した月の出現個体数の経時変化.. 5.

(8) 74. 菊池知彦・高橋一生・蒲生垂男. 調査期間中特に出現個体数の多かった6,. 7,. 8月について,日没後,. 1時間毎に有った 手曳7oランクトンネットによる採集の結果を図一4に示す。出現個体数は日没直後に最 大を示し,. 21時以降,ほとんど出現は見られなくなり,その傾向は採集が終了する翌朝. の日の出まで続いた。一方,. 7月に行った昼間のプランクトン採集からは少なくとも20 数個体のノープリウスyが出現しており,尻掛付近の海域では,この時期の昼間に特に多 くのノープリウスyが出現しているものと考えられた。. むすび. 本研究で得られた各個休それぞれには程度の差こそあれ,これまでにITOらによって明 らかにされてきたものとは明かな違いが認められた。それが,種のレベルでの違いなの. か,地理的な変異なのか,また,成長段階での違いなのかは現時点では不明である。し かし,少なくとも真鶴付近の海域には通年これらの「謎の幼生」が出現しており,特に 7-8月を中心とする夏期の,しかも昼間に多く出現する事が明かとなったことで,今 後,この時期に集中した採集・調査を行い,それに続く飼育実験,観察を行って行くこ とで,この不思議な動物の実態が少なからず明らかにされて行くものと思われる。 参考文献 BowMAN,. E・ B・ and. In. :. The. L・ G・ ABELE,. biology. of Crustacea. (ed. ABELE,. phy. BoxsHALL,. G. A.. BRESCIANI,. L.. on. larva・. cypris. M・. California, HANSEN,. Sam. exhibited. (Crustacea. :. North T・. to. Mar. Three. Pcific. 1986b・. A. a. new. Biol, types. Publ. new. to. ontogeny. Maxillopoda.. Ph.. Crripedien. der. Humbolt-Stifung,. Seto.. relationship :. D.. :. a. whit. 245-258,. new. pl. XL.. Thesis.. University. a. of. three. (G. d). 1158, pls., I -IV. to the bending reference :. formermerly. Biol. Lab.,. 29. described. (4/6). (Crustacea. y. from. species. Ergeb-. :. :. type. 369-374.. Maxillopoda) Spec.. Japan.. Publ.. 113-122,. (Maxillopoda. y". Biol. Lab., "Cypris. with. of cypris. and. of "Nauplius. of. 1-16.. of the Ascothoracida,. 2. of the. Mar.. the knowledge genus. species. (1) :. der Plankton-Expedition.. Pacific,. y specimen. Publ.. Mar.. and. of Crustacea. class. Forenリ128. and. und. Sta. 1985. Seto. new. Biol., 3. Naturh.. the North. cypris. Maxillopoda).. reference. 1986a.. y from a. 1985・ Contributions. Mukaishima. ITO,. Cladoceran. by. biogeogra-. and. pp.. xxi十417. cypris. a. Its distribution. the. der Plankton-Expedition. behavior. with. of. 1-27.. pp.. York.. ∫.Crustacean. morphology. phylogeny. ITO, T・ 1984・ Another. New. fra Dansk. crustacea,. the fossil record,. Tantulocarida,. HANSEN.. Medd.. Diego.. H. J・ 1899. Die. nisse. 1983.. J・ 1985・ Comparative. toward. step. ITO, T・. "y". Vidensk.. a. Press. crustaceans.. J・ 1965. Nauplius. GRYGIER,. ITO, T・. G.). Academic. other. of the recent. 1. Systematics,. R. ∫.LINCOLN,. and. ectoparasitic. 1982. Classification. y". 31. (1/2). :. Facetotecta). from. the. from. the. 63-73.. :. (Crustacea. :. Maxillopoda).

(9) 75. 真鶴尻掛海岸におけるノープリウスyの出現. North ITO,. T.. Pacific. 1987a.. T.. Three. 1987b.. from. from. the North. ITO, T. 1989a.. ITO, T. 1989b. Bay,. A. Publ.. :. (4/6) ITO, T.. :. and. T.. a. later. ScHRAM,. the. with. limbs,. Biol., 9. with. (Crustacea. y. nauplius. of four. (1/3). Facetotecta). :. 14ト150. to remipedian. and. 85-103・. :. (1/3). Bay,. 32. :. reference. (Crustacea. Tanabe. of. designation. provisional. :. Facetotecta). from. Publ.. Japan.. Tanabe. 55-72. :. furclferaIto (Custacea. of Hansenocaris. from. morphology. 913-918.. Biol. Labリ34. denelopment. S. OHTSUI(A Publ.. Seto. 1984.. Cypris. Mar.. Biol. Labリ29. F. R. 1986. Crustacea.. SCHRAM,. for. 333-339.. :. Biol. Lab.,. of Hansenocaris. Facetotecta). (3/6). VIIIlarvae. Mar.. in copepod. Mar.. 31. Seto. Mar一. :. Maxil-. Biol・ Labリ34. 20ト224.. lopoda). Sc日RAM,. Seto. :. type. y. ∫.Crustacean. Seto. ITO, T. 1990. Naupliar lopoda. Pub.. species. new. Japan.. of Nauplius. of the basis. limbs.. cephalocarid. S°i.,4. Zool.. Japan.. Pacific.. Origin. Facetotecta),. :. froms. Biol. Lab., terminology. new. of. Maxillopoda. :. types. naupliar. Mar.. Seto. Proposal. (Crustacea ITO,. Publ.. A. 1970a.. T. A. 1970b.. oxford. stage. On. the. North. (1/3). University. Prss,. larve nauprius. the enigmatical. New in the. y Hansen.. of nauplius. (Crustacea. Pacific. :. Maxil-. 179-186.. :. biological investigations. Marine. developmental. y from. York.. i-Ⅹiv, 1-606・. pp・. 14・ Cypris. Bahamas.. Sarsia,. 44. y Type. y,. 9-24.. :. I HANSEN.. Sarsia,. 45. 53-68. ScⅢRAM,. T. A. 1972. Further Sarsia,. waters.. A.. STEUER, Zool. STEUER,. 1905.. 50. Uber. Inst. Univ.. records. IV HANSEN. y type. of nauplius. from. Scandinavian. :ト24. neue. Wien,. 15. Cirripendien. eine. A. 1911.. Leitfaden. ∫.1981.. Remipedia,. (z) :. larve. ausdem. Golfe. Teubner.. Leipzig. ion. Triest.. Arb.. 113-118.. der Planktonkunde.. B.G.. und. Berlin. 382. pp・. YAGER,. Bahamas.. J. Crustacean. a. new. class. Biol., 1. :. of. Crustacea. 328-333.. from. a. marine. cave. in the. :.

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