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Title
インプラントアンカーを用いた一塊での上顎歯列後方移
動時における上顎歯に生じる応力解析 : 有限要素法をも
ちいて
Author(s)
鈴木, 正能; 東郷, 聡司; 片田, 英憲; 末石, 研二
Journal
歯科学報, 111(4): 443-443
URL
http://hdl.handle.net/10130/2580
Right
目的:骨格性下顎前突症患者の特徴として dental compensation がみられる。そのため外科的矯正治 療が適応となる患者では術前矯正治療として術後の 咬合の安定と側貌の改善を目的として術前矯正治療 によって上下顎歯軸の適正化が行われる。しかし下 顎前歯部の唇側移動は下顎骨正中部の形態に制限さ れ,かつ下顎前歯部の歯周組織は薄いため,術後や 保定観察中に下顎前歯部の歯間乳頭が退縮し下部鼓 形空隙の増大,いわゆるブラックトライアングルが 出現することがある。そこで本研究では,術前・術 後の下顎前歯の位置や歯軸の変化および下顎骨正中 結合部の形態等を計測し,下部鼓形空隙の増大との 関連を検討した。 方法:外科的矯正治療を施行した骨格性下顎前突症 患者30名を調査対象とした。男性15名,女性15名, 初診時平均年齢は24.7歳であった。資料は術前・術 後セファロ写真ならびに口腔内写真を用いた。方法 は術前・術後の口腔内写真において下顎前歯部の下 部鼓形空隙を,Jacklyn の方法に準じて0∼4まで の5段階にて定性的に評価した。また,側貌セファ ロ写真において下顎前歯の傾斜と位置,下顎骨正中 結合部の形態について計測を行った。そして,下部 鼓形空隙が術後にスコアが0又は1しか変化しな かったものを良好群,スコアが2以上変化したもの を増悪群とし,両群をt検定により比較,検討し た。 成績および考察:下顎前歯部の下部鼓形空隙は術前 ではスコア0が32名,スコア1が8名,スコア2が 2名であった。スコア3と4はいなかった。術後で は ス コ ア0が3名,1が17名,2が16名,3が2 名,4が4名であった。変化量においては0が4 名,変化量1が21名,変化量2が14名,変化量3が 2名,変化量4が1名であった。良好群26名と増悪 群17名を比較したところ,良好群では術前の下顎正 中結合部の最前方点での厚径・高径比は有意に大き く,術前後の変化量は有意に小さかった。しかしな がら,下顎前歯の歯軸変化に関連した項目には有意 差が見られなかった。以上より,骨格性下顎前突症 患者の治療計画では症例分析により下顎前歯の位置 づけを行うだけではなく,術後の健全な下顎前歯部 歯周組織の保護,維持のために下顎骨正中結合部の 形態を考慮して立案することが重要であることが示 唆された。 目的:近年,矯正治療においてインプラントアン カーが絶対的固定として不正咬合治療に応用される ようになった。 インプラントアンカーによる前歯部の後方移動に 関しては近年様々な報告がある。 しかし,全歯列を後方移動した際の歯の様相に関 しての報告は少ない。 全歯を一塊で後方移動する際の各歯に生じる応力 の解析は,有効なインプラントアンカー植立部位や フックの高さの選択につながると言える。 本研究の目的は,インプラントアンカーにて全歯 列を後方移動した際の抵抗中心の位置を求める事, インプラントの植立部位,アーチワイヤーにつける フックの高さによる各歯の動態の変化を解析する事 である。 方法:ヒト乾燥頭蓋骨を CT にて断層撮影後,得ら れた CT データから Mimics(Materialise)を用い モデルを作成した。作成されたモデルを Ansys(サ イバネット)にて有限要素モデルとした。条件とし ては,歯はソリッド要素とし,歯根の表面は,シェ ル要素を用い歯根膜を再現した。上顎骨はまず上顎 骨全体をソリッド要素で海綿骨として作成し,上顎 骨の表面は,シェル要素を用い皮質骨として作成し た。ワイヤーはビーム要素とした。歯とワイヤーを 完全拘束し,ワイヤーに連結されたフックからイン プラントアンカーを用いて歯列を後方移動する有限 要素モデルとした。 フックの高さをワイヤーから0mm,5mm,10 mm,の3条件。インプラントアンカーの植立部位 を,牽引力が上顎第一第二大臼歯間,歯根中央を基 準に,その①上を通る②基準点上を通る③下を通る と3条件にわけ合計9条件で歯にかかる応力を測定 した。 成績および考察:上方での牽引①では前歯部に圧下 方向の力が見られ,下方での牽引③では前歯部に挺 出,傾斜を示唆する応力分布が認められた。インプ ラントの植立部位,フックの高さで歯にかかる応力 は異なることから,臨床での動きにも違いが出てく ると考えられ歯の移動様相の予測に有用であると示 唆された。