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Establishment of HepG2-derived cell lines permissive for coinfection with hepatitis B and C viruses 利用統計を見る

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Academic year: 2021

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氏 名 乙黒 光姫 博士の専攻分野の名称 博 士 ( 医科学 ) 学 位 記 番 号 医工農博甲 第 27 号 学 位 授 与 年 月 日 令和 2 年 3 月 19 日 学 位 授 与 の 要 件 学位規則第4条第1項該当 専 攻 名 人間環境医工学専攻

学 位 論 文 題 名 Establishment of HepG2-derived cell lines permissive for coinfection with hepatitis B and C viruses

(B 型および C 型肝炎ウイルス共感染許容細胞系の樹立) 論 文 審 査 委 員 委員長 教 授 齋藤 正夫 委 員 准教授 萩原 明 委 員 講 師 前川 伸哉

学位論文内容の要旨

【研究の目的】B型肝炎ウイルス (HBV) やC型肝炎ウイルス (HCV) はヒトの肝細胞に感染し、 慢性肝炎、肝硬変、肝細胞癌といった重篤な肝疾患を引き起こす。また、C型肝炎患者の約10-1 5%は、HBVに重複感染していると推定される。このようなHBV/HCV共感染患者では、HBVま たはHCVの単独感染患者と比較して肝炎の状態が悪化しやすく、肝硬変や肝細胞癌の発症リス クも高いことが知られている。このことから、HBV-HCV間に何らかのウイルス学的相互作用が 存在すると考えられるが、これらウイルスの共感染を許容する信頼性・汎用性の高い培養細胞系 が無いため、HBV/HCV共感染による肝疾患進展機序へのウイルス学的な影響はよく分かってい ない。本研究の目的は、HBV/HCV共感染を許容する新規培養細胞系を樹立し、両者の各々に対 する干渉作用と共感染による宿主細胞への影響を明らかにすることである。 【方法】ヒト肝細胞がん由来細胞株HepG2またはその由来細胞への発現プラスミドの導入はリポ フェクション法により、microRNA-122 (miR-122) の導入はレンチウイルスベクターシステムに より行った。また、培養細胞のHCVゲノム複製許容能を調べるため、HCVレプリコンRNAをエ レクトロポレーション法により導入した。細胞内で複製するHCVレプリコンRNAは抗HCV剤 (ダクラタスビルおよびテラプレビル) を用いて除去した。HCVに対する感染性の評価は、HCV シュードウイルスまたは感染性HCV (JFH1株) を用いて解析し、HBV粒子産生Tet-off 誘導細胞 株Hep38.7-Tetにより調整した感染性HBVを用いてHBV感染性を解析した。ウイルスRNAおよび mRNAはqRT-PCR法で定量した。培養上清中の感染性HCV粒子量はフォーカス形成法にて測定し

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た。DNA、RNAおよび蛋白質は、それぞれサザン、ノーザンおよびウェスタンブロット法によ りそれぞれ測定した。また、HBVおよびHCV陽性細胞は免疫蛍光染色法とフローサイトメトリ ー法で解析した。 【結果】HepG2細胞はHBVおよびHCV感染(ただし、HBVの複製から粒子産生を許容する)を 許容しないため、HBVレセプターである胆汁酸輸送体蛋白質 (NTCP) を発現するHepG2細胞 [H epG2/NTCP (G2/NT) 18-A、-B、-C]を樹立した。これら細胞株にHBVを接種したところ、G2/ NT18-B細胞が最も高いHBV感染性を示した。次に、HCV複製の必須因子であるmiR-122遺伝子 をG2/NT18-B細胞に導入し、G2/NT/122細胞を調整した。G2/NT/122細胞にHCVレプリコンRNA を導入し、細胞内でHCVレプリコンRNAの自律的複製を許容する細胞株 (G2/NT/SGR1) を樹立 した。同細胞内の持続的に複製しているHCVレプリコンRNAを抗HCV剤により排除し、HCV複 製を許容する細胞株 (G2/NT/SGRcure) を樹立した。次に、適切なHBV/HCV共感染の培養条件を 検討するために、四種の培養条件でG2/NT/SGR1およびG2/NT/SGR1cure細胞にHBVを接種した。 その結果、ヒト初代肝細胞用培地はHBV感染効率を上昇させる一方、HCV複製を阻害すること が分かった。一方、DMEM由来の培養液による培養条件では、HBV、HCV共に比較的高い複製 レベルが維持されることが分かった。次に、HBV/HCV共感染を許容する細胞を樹立するために、 G2/NT/SGRcure細胞にHCVレセプターCD81を導入し、クローニングによりG2BC-C2および-D5細 胞株を樹立した。これら細胞はHCV感受性を示し、感染性HBVおよびHCVの感染を許容した。 また、HCV感染G2BC-C2細胞ではインターフェロン誘導遺伝子の発現がみられ、汎JAK阻害剤処 理によってHCV増殖が亢進した。HBVとHCVを接種したG2BC-C2細胞では両ウイルス量とも経 時的に増加し、約35%の共感染が見られた。また、本実験条件において各ウイルス複製に干渉作 用は見られなかった。各々の単独感染と比較して、共感染下ではCOX-2やVEGFなどの宿主因子 の発現量が相乗的に増加した。 【考察】本研究において、新規HBV/HCV共感染許容細胞株を樹立した (G2BC-C2および-D5)。 また、共感染培養条件としてDMEMを用いた培養条件が適していることが分かり、汎JAK阻害剤 により同細胞のHCV増殖能が亢進した。しかしながら、これら共感染許容細胞株のHCV感受性 は、汎用されているHuh7.5.1やHuh7OK1細胞より低く、培養条件の改善が必要と思われる。また、 本研究の条件下ではHBV-HCV間のウイルス干渉は見られなかったが、関連疾患に関与する宿主 遺伝子の発現がHBV/HCV共感染によって相乗的に亢進していたため、共感染による宿主遺伝子 の発現誘導が共感染患者の病態に影響することが示唆された。 【結論】本研究によって、HBV/HCV共感染を許容する培養細胞系が確立された。この系によっ て、今後HBV/HCV共感染のウイルス学が進展するものと思われる。

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論文審査結果の要旨

HBV と HCV が重感染している場合、単独感染と比較し、病態が重篤化することが知られている。し かしながら、その分子レベルでの解析が行われていない。そこで本研究では、病態の重篤化に関与す るメカニズムを分子レベルで解析するための第一歩として、HBV と HCV を感染させた細胞株を樹立 することを目的とし実験を遂行した。その結果、受容体遺伝子の導入などにより、細胞株が樹立でき、 さらに樹立された細胞株の細胞特性などを詳細に解析した。本研究は、今度ウイルス感染患者の病態 把握のために、基礎実験のツールとして応用が可能で、生理病理学的研究面からも発展性のある研究 であった。 本研究発表における審査委員からの質問、ならびに発表者の返答内容を以下に示す。 <前川委員> 1. 臨床的には重感染している場合に、最近進歩した抗 HCV 薬にて HCV を排除すると、HBV が再 活性化し、劇症肝炎などを招くことがあるが、そのような事象を本実験から検討することは可能か? 短期間の抗HCV 剤処理のみでは、HBV 再活性化現象は確認できなかった。この様な事象の再現は、 病態把握のため必須と考えており、今後再現できるように研究を継続したい。 2. HCV の感染成立のためには自然免疫系分子の抑制が重要であるということであったが、HBV 感染 成立のためには自然免疫系の抑制はあまり必要ないのか? 本研究ではJAK inhibitor I を使用することで自然免疫系を抑制したが、HBV 感染率の大きな増加が見 られなかったため、「HBV 感染成立のためには自然免疫系の抑制」は必要ではないことが分かった。 また他の研究結果において、HBV は自然免疫の活性化(インターフェロンの誘導)を阻害している ことが分かっている。つまりHBV 感染によって自然免疫の応答が見られないため、自然免疫系を抑 制してもHBV 増殖に対して効果があまりない事が予想される。 3. 単独感染細胞、重複感染細胞、各々における遺伝子発現はどのような方法で調べているのか?感 染させた細胞をFACS でソートして分取して行っているのか? ウイルスを接種するかしないかで、単独感染細胞と重複感染細胞を区別した。従って、両ウイルスを 接種した細胞内には「非感染細胞」「HBV のみ感染している細胞」「HCV のみ感染している細胞」「HBV とHCV が感染している細胞」が混在している。ウイルス感染の有無は FACS で解析できることが分 かったので、今後はFACS を用いることで上記 4 種の感染状態での遺伝子発現を確認したいと考えて いる。 4. 共感染細胞ができたのち、今後の発展性はどのようなことを考えているのか? 以下の2 点を考えている。1 点目:トランスクリプトーム解析により、共感染に特異的な遺伝子発現 パターンを解析することで、共感染による重症化メカニズムとウイルス感染との関係性 を明らかにできる。2 点目:共感染下でのin vitro薬剤スクリーニングが可能となるので、抗HCV 剤によるHBV 再活性化メカニズムの解明や共感染に対する新規治療薬開発につながることが期待さ れる。 5. ヒト肝細胞キメラマウスから作成した PXB 細胞を用いて、HCV、HBV 重複感染細胞の構築はで きないのか? PXB 細胞に HBV は感染・増殖できるが、HCV はほとんど感染・増殖しない。そして、HCV が感染

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できない原因が特定できていないため、PXB 細胞を用いて共感染細胞構築は難しい。 6. 今回作成した細胞では、HBV の自律増殖に必要な HBV-cccDNA は細胞内に形成されているのか? それを確認したか? 本研究で樹立した細胞系でcccDNA の確認は行っていないが、HBV 増殖過程の最終段階であるウイ ルス粒子放出が行われていることは確認しているので、おそらくcccDNA は形成されている。 <萩原委員> 1. G2BC-C2 細胞の樹立において、Jak inhibitor は HCV の感染や増殖に効果がみられたが、 HBV/HCV 共感染評価の実験ではあまり効いていないようにみられた。これはなぜか? 感染実験に用いたHCV 粒子が単独感染を行った実験の時と HBV/HCV 共感染を行った実験の時とで 異なるからである。具体的には、実験で用いるための HCV 粒子を G2BC-C2 細胞で増殖させるのだ が、その際にウイルス粒子にとって増殖しやすいような変異が導入され、JAK inhibitor I が無くても 増殖したものと思われる。HCV のどこに変異が導入されたかはまだ確認を行っていないが、インタ ーフェロン耐性を示す部分であることが予想される。 2. HBV に関しては、単独・共感染において陽性細胞の割合はあまり変わっていなかったが、HCV では共感染の場合陽性細胞の比率が半分程度に減少する傾向が見られた。これは先にHBV を感染さ せておくと、HCV の感染効率が低下するということか?②HBV, HCV の感染プロトコールによって 感染効率が変化するような現象はあるのか? ①HCV において、陽性細胞の比率から単独感染より共感染の方が HCV に感染している細胞の数が 少ないという事である。しかし、細胞内HCV RNA 量は単独感染と共感染で大きな差が見られない。 この 2 点の結果から、単独感染より共感染の方が「HCV 感染した細胞」の数は少ないが、1 つの細 胞内に侵入した HCV 粒子の数が多いことが示唆される。従って一概に HCV の感染効率が低下した とは言えない。 ②感染プロトコルによって感染効率の変化はある。今回の発表では HBV を先に感染させ、HCV を 後に感染させたが、両ウイルスの相対的な感染レベルに変化は見られなかった。しかし、感染の順番 をHCV→HBV にすると、細胞内 HBV RNA 量は単独感染と比較して共感染の方が低かった。 3. 受容体の遺伝子導入後選択培地での培養など、複数の操作をして樹立した細胞ですら、HBV/ HCV の共感染効率は十分とは言えない。これをさらに向上させる方法はないのか? 現状で有効な解決策は発案できていない。単純に感染効率を増加させるだけならば、HBV や HCV を 抑制する働きのある遺伝子をノックアウトするなどの方法がある。しかしこれを行うとヒトの肝臓と 生理状態がかけ離れてしまうため妥当ではない。 <斉藤委員> 1. HepG2 と Huh7 は感染していないので広く使われている細胞だが、実際、培養細胞で両方が感 染している培養細胞はないのか? A. PHH 細胞や HLCZ01 細胞など初代培養肝細胞やこれに類似した細胞は HBV と HCV が感染でき ると報告されている。しかしこれらは汎用性や再現性に乏しい。 2. co-infection を共感染と日本語訳しているが、医学用語的に妥当か?重感染や重複感染とのちが いは? 日本肝臓学会が発刊している C 型肝炎治療ガイドラインでは「重複感染」も「共感染」も同等の意 味として用いられているようです。

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3. Jak inhibitor をつかっているが、実際 Jak や Stat の活性はみているか

A. STAT1、STAT2 およびリン酸化 STAT1、リン酸化 STAT2 をウエスタンブロット法で検出し、 JAK inhibitor I の効果を確認している。

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