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<資料>外来で心エコー検査のため入眠処置を受ける乳幼児の睡眠リズムへの影響 利用統計を見る

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外来で心エコー検査のため入眠処置を受ける

乳幼児の睡眠リズムへの影響

The Effects on Sleeping Rhythm of Inducing Sleep in Infants

Prior to Echocardiography

佐原 彩香

1)

,石川眞里子

2)

SAHARA Ayaka, ISHIKAWA Mariko

要 旨

心エコー検査を受ける 0 歳から 4 歳の乳幼児およびその親 40 組を対象に,心エコー検査に関するアンケー トおよび生活調査票を用いて,年齢・催眠剤の使用の有無による睡眠リズムの変化と,疲労症状について調 査した。検査後の生活では,夕食時刻,就寝時刻のズレにおいて催眠剤の使用の有無による有意な差が認め られ睡眠リズムへの影響が明らかとなった。睡眠リズムのズレがみられたことから,疲労症状が増加するの ではないかと考えたが,催眠剤使用による疲労症状の得点に有意差はみられなかった。しかし,自由記述か らはふらつきや不機嫌が見られる児がいることが明らかとなり,帰宅後も眠剤の影響を受けて生活していた。 以上の結果を踏まえると,可能な限り子どもの睡眠リズムに合わせた検査と,検査後の生活にまで目を向け た看護が必要である。 キーワード 心エコー検査,入眠処置,睡眠リズム,乳幼児,トリクロホスナトリウム

Key Words Echocardiography, Treatment of Sleep, Sleeping Rhythm, Babies and Infants, Triclofos Sodium

Ⅰ.はじめに

近年,社会的に子どもを取り巻く環境は大きく変化し てきている。社会および親の生活時間の変化に伴い,子 どもの睡眠リズムが崩れてきていると言われ,就寝時刻 が遅くなることで夜間睡眠時間が短縮し,子どもの発達 に影響が出てきていることが指摘されている1)。小児科 外来では,心エコー検査時に体動や啼泣で協力を得るこ とが困難な児に対して,催眠鎮静剤を使用している。園 田2)は,年齢から見た入眠効果の違いを検討し,「 催眠 のために早朝レム睡眠を中断したり,睡眠制限を行うこ とは,“睡眠─覚醒リズム”の乱れをきたし,乳幼児の発 達に影響を与える可能性は否定できない 」 と述べてい る。小児の入眠処置を必要とする検査に関する看護の先 行研究3)∼ 5)では,検査前の午睡を 30 分未満にすることで 検査の成功率が上がるということが述べられ,渡部ら3) は外来で心エコー検査を行う乳幼児の眠剤による効果的 な睡眠導入の方法を,また山下ら6)はトリクロリールシ ロップ与薬時の問題点を検討している。しかし,検査後 の“睡眠─覚醒リズム”や子どもの生活に目を向けている 研究は見当たらず,子どもたちが家庭に帰った後の影響 は明らかにされていない。そこで,心エコー検査後の乳 幼児の睡眠リズムの実態を把握することで,検査に伴う 児の生活への影響を明らかにし,生活面に配慮した検査 後の指導について検討したいと考えた。

Ⅱ.研究目的

小児科外来において心エコー検査を受ける乳幼児の睡 眠リズムと疲労症状を調査し,その実態を明らかにする。

Ⅲ.研究方法

1. 調査対象 A 大学医学部病院小児心臓外来で心エコー検査を行 う 0 歳から 4 歳の乳幼児とし,回答者を親とした。なお, 対象としたのは自宅で生活する子どものみとした。 受理日:2011 年 8 月 1 日 1) 山梨大学医学部附属病院新生児回復治療室:Growth Care Unite, University of Yamanashi Hospital

2) 山梨大学大学院医学工学総合研究部小児看護学:

Department of Pediatric Nursing, Interdisciprilnary Graduate School of Medicine and Engineering, University of Yamanashi

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2. 調査期間 平成 22 年 7 月下旬から 9 月であり,調査日は週 2 日 の小児科循環器外来診察日に実施した。 3. 調査方法 調査方法は構成型及び半構成型質問紙調査とした。質 問項目は先行研究)3)∼ 5)を参考に①心エコー検査に関する アンケートと,②子どもの生活調査票を作成した。①は 検査当日に処置室で配布し,当日の検査終了後に回収し た。②は親が家に持ち帰って回答し,郵送法にて返送す るよう依頼した。また,回答時期が異なる 2 種類の調査 票の回答者を一致させるために連結可能匿名化を図った。 4. 用語の操作的定義 1) 乳幼児の疲労:疲労に関係すると保護者が認識し た「乳幼児に表れた状態変化」をさす。 2) 睡眠リズム:起床や就寝時刻,夜間睡眠時間,午 前寝,午後寝時間等の睡眠の規則性。 5. 調査内容 1) 心エコー検査に関する調査票の内容 子どもの①年齢,②性別,③身長・体重,④疾患名, ⑤日常生活の様子(睡眠,遊び,食事),⑥生活習慣への 親の意識,⑦検査経験・回数,⑧通院に要する時間・方 法,⑨検査に対する負担感の有無と内容,⑩検査の説明 の受け方,子どもの理解度とした。回答所要時間は 5 分 から 10 分であった。 2) 生活調査票 ①検査当日ならびに検査前・後の総計 3 日間の子ども の生活の様子。この 3 日間の②就寝時刻と起床時刻,睡 眠時間,昼寝時間,③食事の時刻とした。これに④光岡7) の幼児用疲労症状調査を加えた。光岡の幼児用疲労症状 調査とは,Ⅰ群『眠気とだるさ』として,「あくびをして いる」「眠そう」「疲れている」「だるそう」「体を使う遊 びが少ない」の 5 項目,Ⅱ群『精神的症状(注意集中の困 難さ)』として,「落ち着かない」「遊びに集中できない」 「じっとしていられない」の 3 項目,Ⅲ群『局所的身体症 状』として,「頭が痛い・お腹が痛い」「気持ちが悪い」の 2 項目で,全部で 10 項目とした。調査票は②③の時刻と, その時の子どもの様子を自由記述で記入するものとし, 所要時間は 1 日につき 10 分程度である。 3) 検査中の子どもの状態 検査時の入眠時間,覚醒時間,追加処置の有無は調査 者が観察したデータとした。検査に用いられた催眠薬の 種類と量は調査者が診療録から収集した。 使用された催眠鎮静薬は以下の 2 種類である。 (1) トリクロホスナトリウム(トリクロリールシロッ プ):短期作用型の催眠鎮静剤で,生体内において トリクロロエタノールとリン酸に加水分解され催 眠作用を呈する。副作用には依存性,ショック,め まい,ふらつき,興奮等がある。 (2) 抱水クラロール(エスクレ坐薬):超短期作用型の 催眠鎮静剤で,中枢神経系に作用し,中枢抑制・催 眠作用ならびに抗痙攣作用をあらわす。 6. データの分析方法 1) 得られたデータから,①睡眠リズム,生活習慣へ の意識,催眠剤の使用について年齢による影響,② 心エコー検査に対する保護者の負担について,催 眠剤の使用による影響,③検査後の生活時間のズ レについて,年齢,催眠剤の使用による影響につ いて分析を行った。生活時間のズレとは,生活時 間が 30 分以上早まった,または遅れた場合を「ズ レた」「遅れた」とした。 2) 普段の生活,検査日の子どもの疲労症状について は,10 項目について「全くない」0 点,「少しある」1 点, 「まあまあある」2 点,「かなりある」3 点,「いつも ある」4 点として平均点を比較した。  解析はχ2検定,Mann-Whitney の U 検定にて行 い,有意水準 5%をもって差があるとした。なお, 集 計 及 び 統 計 解 析 に は Microsoft Excel お よ び JMP8 を使用した。 7. 倫理的配慮 研究内容の説明は検査当日,処置室にて,口頭および 文書で行った。参加は自由意志であること,参加しない ことによる治療や看護への不利益はないことを説明し た。研究対象の選定は心エコー検査を受ける患児の主治 医が行った。研究の依頼はプライバシーを確保するため に,他の患児,家族のいない処置室で行い,アンケート の記入後は封筒に入れ回収するような配慮をした。デー タ管理は A 大学看護学科小児看護研究室で施錠し管理 した。 親の調査協力への自由意思を尊重する配慮として以下 の工夫を行った。調査票の回収は無記名の郵送法とし, どの親が回答したか否か,主治医と調査者に判らないよ うにした。 さらに本調査のあらゆる過程で不快な思いをした場 合,または調査による過重な負担がかかりそうになった 際に,親がその表明をできるよう配慮した。 なお本調査は,A 大学医学部看護学科の卒業研究であ り,A 大学医学部附属病院に研究計画書を実施前に提 出し,実施の許可を得た。

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Ⅳ.結果

1. 対象の概要 対象の年齢は 5 ヶ月から 4 歳 3 ヶ月で平均年齢は 1 歳 8 ヶ月であった。その内訳を年齢でみると,1 歳未満が 11 人,1・2 歳が 22 人,3・4 歳が 7 人の計 40 人である。 対象者の疾患は心房中隔欠損 8 人,心室中隔欠損 7 人, 川崎病 4 人,その他ファロー四徴症,両大血管右起始症 等であった。乳幼児の保育施設への通園状況は,通園し て い な い の が 29 人(72.5%)で あ り, 保 育 園 に 9 人 (22.5%),幼稚園に 2 人(5%)が通っていた。過去の検 査経験を有していたのは 35 人であり,なしが 5 人であっ た。 また,年齢別における催眠剤使用の有無は,1 歳未 満では 10 人(90.9%),1・2 歳では 14 人(63.6%)が催眠 剤を使用しており,3 歳以上での催眠剤の使用は見られ なかった。使用催眠剤はトリクロホスナトリウムのみが 16 人(40%)で,追加処置として抱水クラロールを使用 した者が 8 人(20%)であった。催眠剤を使用していない 者は 16 人(40%)であった(表 1)。 2. 生活習慣における睡眠リズム 1) 普段の睡眠リズム(起床時刻,就寝時刻,夜間睡眠 時間,昼寝時間) アンケートの回収率は 100%であり,40 人から回収で きた。その内,起床時刻,就寝時刻,夜間睡眠時間,昼 寝時間の記入の無かったものは対象から除き,35 人を 対象とした。 対象者の起床時刻は「5:00 ∼ 8:30」で平均 6 時 54 分 であった(表 2)。一方,就寝時刻は「20:00 ∼ 23:30」 で平均 21 時 26 分であった(表 3)。就寝時刻の時間帯に ついては,21 時台が 15 人(42.8%),次いで 22 時台 10 人(28.5%),20 時台 7 人(20.0%),23 時台 3 人(8.5%) であった。年齢でみると,1 歳未満では 21 時台が 5 人 (62.5%),22 時台が 2 人(25.0%),23 時台が 1 人(12.5%) 表 1 対象の背景 n=40 項目 人 % 年齢 1 歳未満 11 27.5 1・2 歳 22 55.0 3・4 歳 7 17.5 通園状況 保育園 9 22.5 幼稚園 2 5.0 なし 29 72.5 検査経験 あり 35 87.5 なし 5 12.5 催眠剤使用状況 トリクロホスナトリウムのみ 16 40.0 トリクロホスナトリウム+抱水クラロール 8 20.0 なし 16 40.0 表 2 起床時刻 n=35 全体 1 歳未満 1・2 歳 3・4 歳 検定 n= 35 n= 8 n=20 n=7 1 歳未満 1・2 歳 × × 人 (%)  人(%) 人(%) 人(%) 1・2 歳 3・4 歳 5 時台 3( 8.5) 1(12.5) 2(10.0) 0 6 時台 10(28.5) 1(12.5) 8(40.0) 1(14.3) 7 時台 17(48.5) 5(62.5) 8(40.0) 4(57.1) 8 時台 5(14.2) 1(12.5) 2(10.0) 2(28.6) 平均起床時刻 6:54 6:50 6:49 7:15 p=0.980 p=0.244 注)Mann-Whitney の U 検定 表 3 就寝時刻 n=35 全体 1 歳未満 1・2 歳 3・4 歳 検定 n= 35 n= 8 n=20 n=7 1 歳未満 1・2 歳 × × 人 (%)  人(%) 人(%) 人(%) 1・2 歳 3・4 歳 20 時台 7(20.0) 0 7(35.0) 0 21 時台 15(42.8) 5(62.5) 4(20.0) 6(85.7) 22 時台 10(28.5) 2(25.0) 7(35.0) 1(14.3) 23 時台 3( 8.5) 1(12.5) 2(10.0) 0 平均就寝時刻 21:26 21:21 21:25 21:21 p = 0.756 p = 0.736 注)Mann-Whitney の U 検定

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見られた。1・2 歳は 20 時台と 22 時台が 7 人(35.0%)で, 21 時台 4 人(20.0%),23 時台 2 人(10.0%)であった。3・ 4 歳は 21 時台 6 人(85.7%)と,22 時台 1 人(14.3%)とや や遅い方にシフトしているが,就寝時刻の年齢による差 は見られなかった(表 3)。 夜間睡眠時間については「7 時間 30 分∼ 10 時間 45 分」 で平均は 9 時間 28 分であった。年齢でみると,1 歳未 満は 9 時間 29 分,1・2 歳は 9 時間 23 分,3・4 歳児は 9 時間 53 分であった。午前の午睡時間については 2 歳 未満では「0 分∼ 3 時間」で 1 歳未満の平均は 1 時間 36 分と,1 歳以上と比較して有意に多かった(p < 0.05)。 午後の午睡時間は「0 分∼ 3 時間」で 1 歳未満の平均は 1 時間 36 分,1・2 歳の平均は 1 時間 46 分,3・4 歳児の 平均は 42 分であり,3・4 歳児は有意に少なかった(p < 0.05)(表 4)。 生活習慣に意識していることがあると答えた保護者は 32 人で,具体的な内容を複数回答で尋ねたところ,「 食 事を 1 日 3 食食べるようにしている 」 が 26 人(65.0%), 「就寝・起床を決まった時間にしている」25 人(62.5%), 「 食後に歯磨きをする 」15 人(37.5%)であった。 3. 睡眠導入に対して感じる保護者の負担感 検査のために催眠剤を投与することに負担を感じてい る保護者は 14 人(35.0%)であった。催眠剤を使用して いない場合は 3 人(18.7%),トリクロホスナトリウムの みでは 5 人(31.2%),トリクロホスナトリウムを使用後 30 分以上眠ることができず,抱水クラロールを使用し た場合は 6 人(75.0%)が負担を感じていた。検査に対す る負担感は抱水クラロールの使用により影響されるとい う結果が得られた(p < 0.01)(表 5)。 負担を感じる理由を複数回答で尋ねたところ,記載が あったのは 13 人で 20 件の回答が得られた。「眠剤がな かなか効かない」と「眠剤を飲ませる時に泣く」は各 5 人, 「眠剤を飲ませると興奮する」2 人,「眠剤を飲ませるこ とに対して抵抗がある」3 人で催眠剤服用に関連する負 担が見られる。その他に「寝かしつけなければならない」 「どんな検査をするのかわからない」等が見られた(表 6)。 4. 検査当日の催眠剤使用の有無による生活リズムの 変化 生活調査票は,検査後自宅での記入を依頼し,21 人 (52.5%)から回収することができた。そのうち催眠剤を 使 用 し た の が 15 人(71%), 使 用 し な か っ た の が 6 人 (29%)であった。年齢別には 1 歳未満 9 人(43%),1・2 歳 8 人(38%),3・4 歳 4 人(19%)であった。 A 病院小児心臓外来では 9 時から 12 時の間に外来で の心エコー検査を行っているため,検査後の昼食時間は 検査の時間によっては遅れる可能性がある。そのため, 30 分以上昼食時刻が遅れたのは,催眠剤ありで 9 人 (60%),催眠剤なしでは 3 人(50%)であり,夕食時刻が 表 4 年齢別平均睡眠時間 全体 1 歳未満 1・2 歳 3・4 歳 n=35 n=8 n=20 n=7 夜間睡眠時間 9 時間 28 分 9 時間 29 分 9 時間 23 分 9 時間 53 分 午前寝  31 分 1 時間 36 分 28 分 0 午後寝  1 時間 31 分 1 時間 36 分 1 時間 46 分 42 分 総睡眠時間  11 時間 21 分 12 時間 07 分 11 時間 31 分 10 時間 36 分 注)Mann-Whitney の U 検定 *p < 0.05 * * 表 5 催眠剤の使用状況における保護者の感じる負担感の有無 負担感 催眠剤なし 催眠剤あり トリクロホスナトリウム トリクロホスナトリウム 全体 抱水クラロール n=16 n=24 n=16 n=8 n=40 人(%) 人(%) 人(%) 人(%) 人(%) あり 3(18.7) 11(45.8) 5(31.2) 6(75.0) 14(35.0) なし 13(81.3) 13(54.1) 11(68.8) 2(25.0) 26(65.0) 注)カイ二乗検定 **p < 0.01 n.s. ** 表 6 負担を感じる理由 人数 1.眠剤がなかなか効かない 5 2.眠剤を飲ませる時に泣く 5 3.眠剤を飲ませると興奮する 2 4.眠剤を飲ませることに対して抵抗がある 3 5.寝かしつけなければならない 4 6.昼寝を制限しなければいけない 0 7.どんな検査をするのかわからない 1

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33 さらに,検査当日の就寝時刻がズレたのは催眠剤あり で 7 人(46%)であった。一方,催眠剤なしでは就寝時刻 のズレは見られなかった。夕食時刻,就寝時刻のズレは 催眠剤の使用により有意差が見られた(p < 0.05)(表 7)。 5. 検査当日の疲労症状 1) 普段の生活と検査日の疲労症状 普段の生活における疲労症状の合計点は,催眠剤あり で 0 ∼ 20 点,平均 4.5 点であり,なしで 0 ∼ 10 点,平 均 5.3 点であった。またその疲労症状は,Ⅰ群「眠気と だるさ」は催眠剤ありで 2.2 点,なしで 2.6 点であった。 Ⅱ群「注意集中の困難さ」は催眠剤ありで 2.3 点,催眠剤 なしで 2.6 点となった。Ⅲ群「局所的身体症状」は全員 0 点であった(表 8)。 一方,検査日の疲労症状の合計点は催眠剤ありで 0 ∼ 18 点,平均 7.6 点であり,催眠剤なしは 2 ∼ 10 点,平 均 6.1 点であった。さらに疲労症状の群別では,Ⅰ群「眠 気とだるさ」は,催眠剤ありでは 3.7 点,催眠剤なしで は 3.3 点。Ⅱ群「注意集中の困難さ」は,催眠剤ありでは 3.8 点,催眠剤なしでは 2.8 点であった。Ⅲ群「局所的身体 症状」は催眠剤の有無にかかわらず 0 点であった(表 8)。 また,普段の生活と検査日の疲労症状の得点の変化に ついて,普段と検査当日変化は,催眠剤ありは普段 4.5 点, 検査日 7.6 点で 3.1 点の変化,催眠剤なしは普段 5.3 点, 検査日 6.1 点で 0.8 点の変化であった。しかし,催眠剤 の使用の有無にかかわらず,普段の日と検査日の疲労症 状の合計点の変化に有意差は見られなかった。他方で, 年齢による項目ごとの点数の変化では,3・4 歳では普 段から「おちつきがない」「じっとしていられない」など のⅡ群の症状が見られる児もあったが,検査当日には「眠 気とだるさ」を示す点数が高くなっていた。また,1 歳 未満ではⅠ群の「眠気とだるさ」が普段 1.3 点,検査日 2.4 点で 1.1 点の変化,「注意集中の困難さ」が普段 1.0 点, 検査日 2.7 点で 1.7 点の増加がみられた(表 9)。 2) 催眠剤を使用した子どもの生活の様子 生活調査票の自由記述欄から,催眠剤を使用した 15 表 7 催眠鎮静剤の使用による生活時間のズレ n=21 昼食時刻 夕食時刻 就寝時刻 昼寝時間 夜間睡眠時間 総睡眠時間 遅れた人(%) 遅れた人(%) ズレた人(%) 増えた人(%) 増えた人(%) 増えた人(%) 催眠剤あり n=15 9(60) 6(40) 7(46) 8(53.3) 10(66.6) 15(100) 催眠剤なし n=6 3(50) 0 0 2(33.3) 2(33.3) 4(66.6) 注)カイ二乗検定 n.s. 有意差なし  *p < 0.05 n.s. * * n.s. n.s. * 表 8 催眠剤の有無別普段の生活と検査当日の疲労症状 催眠剤あり n=15 催眠剤なし n=6 普段 検査日 普段 検査日 Ⅰ群 眠気とだるさ 2.2 3.7 2.6 3.3 Ⅱ群 注意集中の困難さ 2.3 3.8 2.6 2.8 Ⅲ群 局所的身体症状 0 0 0 0 合計 4.5 7.6 (+3.1) 5.3 6.1 (+0.8) 注)Mann-Whitney の U 検定 n.s.= 有意差なし n.s. n.s. n.s. n.s. n.s. n.s. 表 9 年齢別普段の生活と検査日の疲労症状 1 歳未満 n=9 1・2 歳 n=8 3・4 歳 n=4 普段 検査日 普段 検査日 普段 検査日 Ⅰ群 眠気とだるさ 1.3 2.4 3.5 4.8 2.5 3.0 Ⅱ群 注意集中の困難さ 1.0 2.7 3.8 3.7 3.2 3.2 Ⅲ群 局所的身体症状 0 0 0 0 0 0 合計 3.3 5.2 7.0 9.1 3.3 4.2 注)Mann-Whitney の U 検定 n.s.= 有意差なし n.s. n.s. n.s. n.s. n.s. n.s. n.s. n.s. n.s.

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人のうち 11 人で機嫌の悪さや興奮がみられていた。ま た,抱水クラロールを追加した 5 人では,検査後に子ど もを休ませることなく保育園に連れて行ったり,眠気の 取れないうちから買い物に連れて行ったりしている様子 が見られた。興奮やふらつきの具体的内容としては,「帰 宅中から帰宅後も興奮状態で泣き続けて困った」(7 ヶ 月 男児),「ふらふらと転ぶ,ぶつける等大変だった。 ワーファリンを使用しているため目を離せずに心配だっ た」(1 歳 8 ヶ月 男児),「遊びたいがふらふらとして いて心配した」(1 歳 10 ヶ月 男児)等がみられた。

Ⅴ.考察

1. 心疾患のある乳幼児の日常生活における睡眠リズ ムの乱れ 一般的に乳幼児は睡眠パターンが,多層性睡眠から単 相性睡眠への変化するのが特徴である。今回の調査にお いて,児の普段の睡眠時間は,1 歳未満では昼間の睡眠 時間に比べ夜間の睡眠時間は約 3 倍になっており,睡眠 のパターンは確立しつつあった。平成 12 年度に小児保 健協会が実地した幼児健康度調査8)によると,22 時以 降に就寝する幼児の割合が,顕著に増加している。今回 の調査からも 1・2 歳で半数以上が 22 時以降に就寝して いることから,心疾患のある子ども達の間でも生活リズ ムの夜型化が見られていた。しかし,生活習慣に対する 保護者の意識では「就寝・起床時刻を決まった時間にす る」と 25 人(62.5%)が答えていたことから,保護者の就 寝・起床に関する意識は高いにも関わらず,実施できて いないと考えられる。また,児の年齢が上がるにつれて 保護者が生活習慣について意識し始めるという傾向が見 られた。これは保育施設への通園に伴い子どもの生活リ ズムを確立するよう,保護者の意識が高くなっていくた めであると考える。心疾患をもち外来で検査を行ってい る子どもたちは,幼少期から病院に通院していることも あり,看護者が意識することで保健指導につなげられる と考える。 2. 催眠剤の使用による保護者の負担感とその対応 心エコー検査では,心臓の微細な動きを検査するため, 30 分程度の間は身体を動かさないことが求められ,そ の協力が得られない乳幼児には催眠剤を使用して行うこ とが一般的である。A 病院では,検査を受ける子ども の保護者に児が身体を動かさずに安静にできるかを確認 し,入眠処置が必要であると判断した場合にトリクロホ スナトリウムを使用している。さらに,眠ることのでき ない場合には抱水クラロールを追加している。二宮9)は トリクロホスナトリウムの投与後 30 分以内に入眠した のは約 50 ∼ 70%であるが,60 分以内では約 90%以上 を占めていたと報告している。子どもの眠りやすい環境 を整えれば追加の催眠剤を使用しなくても,子どもを眠 らせることができると言える。今回の調査で,抱水クラ ロールを追加処置として利用する場合に保護者の負担感 が有意に見られた。負担感を感じる理由として,「催眠 剤がなかなか効かない」ことが述べられており保護者は 催眠剤が効かないことに対して焦りやプレッシャーを感 じているのではないかと推察される。催眠剤投与後の睡 眠導入を子どもの様子を良く知る保護者に任せてしまっ ている現状や,眠れない場合には追加処置を行うことが 一般的となっている。一方,渡部ら3)は 「 家族の精神状 態が,患児の睡眠導入に影響を与えている 」 と述べてい るが,実際にすぐに眠ることのできない子どもを前にし て,保護者が不安そうな表情で「眠れない」と訴える姿が 見られた。すでに催眠剤を要する検査には,催眠剤服用 後の眠らせることへの親の負担に配慮し,さらに追加処 置時には観察やケアが必要となると考える。看護者は子 どもの眠りやすい環境を整えるだけでなく,検査前から 終了後まで,保護者の安心を得られるような言葉かけを 行っていく必要がある。 3. 検査が子どもの睡眠リズム,疲労症状に与える影響 検査日の生活時間については,夕食時刻が催眠剤を使 用している子どもは有意に遅れ,就寝時刻も約半数に時 間のズレがみられた。家庭に戻った後も子どもたちは催 眠剤の影響を受けており,昼寝時間がズレることが日中 の活動量や,摂食リズム等の生活リズムにまで影響して いることが考えられる。また,長時間の昼寝や遅い時間 帯の昼寝は夜の眠気を解消してしまい,結果的に遅寝を まねくと言われており10),就寝時刻が遅れた今回の調 査結果は同様の現象と考えられた。 一方,疲労症状については催眠剤使用による「眠気と だるさ」が見られたが,催眠剤なしにおいても疲労症状 がみられていた。このことには,催眠剤なしにおいても 検査日当日の起床時刻が早まったことや,病院に来て興 奮したことが影響していると考えられる。さらに,検査 日に疲労症状の合計点が有意に高くならなかった理由に は,乳幼児の精神症状を親が判断しづらいことが考えら れる。特に,乳児は催眠剤で興奮し,「おちつきがない」 状況では「眠気とだるさ」の項目の得点が低下し,逆に「眠 気とだるさ」の得点が高い状況では「おちつきがない」の 項目が負の方向に働いたことにより,点数の変化が生じ なかったと考える。そのため,幼児用疲労調査の項目を 使用する場合には調査項目の見直しをする必要がある。 4. 帰宅後の子どもの様子と今後の課題 生活調査票の自由記述からは,抱水クラロールを追加 した 2 事例(1 歳 8 ヶ月,1 歳 10 ヶ月)において「ふらつき」

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35 が認められ,保護者が不安に感じていることが明らかに なった。抱水クラロールは,超短期作用型の催眠剤であ る。抱水クラロールの消失半減期は血漿中で 8 時間から 10 時間11)であり,検査後に目覚めたとしても完全に排 泄されるまでは薬の影響を受けていると言える。今回の 調査では,検査後,催眠剤が排泄されていない状態にも 関わらず,十分な安静をとらず,外出や保育園に行く様 子が見られた。催眠剤の副作用と検査後の過ごし方に関 する説明が保護者に十分にされているとは言えないと考 えられる。催眠剤を飲んでいる事を理解できない子ども たちには,身体を十分休められるよう保護者が理解した 上で対応できるようになることが好ましい。以上のこと から,検査のために催眠剤を使用する際,検査を成功さ せることだけでなく,検査後の子どもの睡眠リズム,家 庭での生活にまで目を向けた看護を行うことが今後の課 題であると考えられる。

謝辞

本調査にご協力いただいた乳幼児及び保護者の皆さま に心から感謝申し上げます。また,研究の場を提供して下 さった医師,看護師の皆さまに心からお礼申し上げます。 引用・参考文献 1) 平松真由美,高橋泉(2006)乳幼児の睡眠覚醒リズムと育児スト レス . 小児看護,29(9):1294-1301. 2) 園田悦代(1992)検査を受ける患児の睡眠導入─年齢から見た入 眠効果の違い─ . 小児看護,15(9):1127-1133. 3) 渡部由衣,近藤かおり,他(2005)心臓超音波検査を行う乳幼児 への睡眠導入方法の検討 . 日本看護学会抄録集小児看護,36: 167-169. 4) 細川智代,徳光麻紀子,他(2008)心臓外来において午睡が検査 成功に与える影響 . 日本看護学会抄録集小児看護,39:203‐ 205. 5) 山岡多恵,近藤美月(2004)検査当日に午睡を行う睡眠導入方法 の検討─ 「 遅寝・早起き 」 を行う睡眠導入方法との比較─ . 日 本看護学会抄録集小児看護,35:116-118. 6) 山下美由紀,紙直子(1999)小児の眠剤(トリクロホスナトリウ ムシロップ)与薬時の問題点─実態調査をとおして飲めない理 由を考える─ . 日 本 看 護 学 会 抄 録 集 小児看護,22(8): 1027-1032. 7) 光岡摂子(2003)「幼児疲労症状調査」からみた幼児の疲労と日 常生活状況との関連 . 小児保健研究,62(1):81-87. 8) 川井尚(2001)平成 12 年度幼児健康度調査について . 小児保健 研究,60(4):543-587. 9) 二宮啓子(2001)検査・処置時の睡眠への援助と留意点 . 小児看 護,24(8):998-1002. 10)石原金由(2005)乳幼児期の睡眠の実態とその問題点 . 小児看 護,28(11):1459-1463. 11)高久史麿,矢崎義雄(2008)治療薬マニュアル 2008. 医学書院, 東京,213-214.

参照

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