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<原著>心筋梗塞あるいは心不全にて急性期の治療を受けた患者のクオリティ・オブ・ライフ

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(1)          . 川崎医療福祉学会誌   原  著. 心筋梗塞あるいは心不全にて急性期の治療を受けた患者の クオリティ・オブ・ライフ 牧  山  布   美½. 要     約 心筋梗塞,あるいは心不全にて ,急性期の治療を受け ,プライマリーケア施設へ転院,あるいは再.

(2)  )の特徴と ,その関連要因を  つの尺度( 計 問) からなる自己記入式質問表(

(3)  )を用いて,心筋梗塞名,心不全名の患者群名と ,健常者 名を対照群として調査を行い,以下の結果を得た .  )患者群の

(4)  得点は ,健常者に比べ,対人関係の尺度では有意差を認めなかったが ,総得点, 入院して継続治療を受けている患者のクオリティ・オブ・ライフ(. 明らかにすることを目的として ,身体機能,情緒適応,対人関係,生活目標の. 身体機能,情緒適応,生活目標の尺度において,有意に高かった ..  )患者群の

(5)  に関連する要因として,年齢,性別,冠リスクファクター(高脂血症,糖尿病,. 高血圧,肥満),喫煙,仕事の有無,独居,扶養子の有無,過去の入院経験,再発,胸痛経験,脳卒中.

(6)  得点に有意差は認めなかったが ,喫煙者で得点が高い傾向が認められた .  )心筋梗塞と心不全の

(7)  得点を比較した場合,他の尺度では有意差を認めなかったが ,生活. 合併の有無による. 目標の尺度で心不全群の得点が高い傾向にあった .拡張型心筋症と他の疾患を比較した場合,総得点 と生活目標の尺度において ,得点が高い傾向にあった. 以上より,心疾患で急性期の治療を受けた後,プライマリーケア施設に転院した患者の.

(8)  の結果. は,健常者と比較すると総得点,身体機能,情緒適応,生活目標の各尺度別得点において不良であり,彼ら.

(9)  の悪化へ

(10)  を高めるために,プライマリーケア施設におい. が疾病による様々の機能障害から心身の能力低下を起こし ,さらに社会的不利,全人的な と至っていることを示唆していた.これらの患者の. ては ,身体症状や苦痛の緩和に努めるだけでなく,生活目標の再構築支援を行う必要性が示唆された . 一方,医療制度改革が進むに連れて,一般に「か. はじめに. かりつけ医」あるいは「家庭医」といったプライマ. 人口の高齢化,少子化に伴う疾病構造の変化とと. リーケアの重要性も認識されつつある.. もに ,循環器疾患は悪性腫瘍とならび ,我が国の最. 筆者の臨床経験から ,身体機能評価の結果退院し. たる死亡原因であり,受療率も高い.医療費の高騰. てもよいと判断された患者でも,心理的危機からの. による財政の圧迫に伴い抜本的な医療保険制度の改. 回復には至っていない症例も多い.. 革が求められており,定期的な診療報酬の改正ごと に ,診断群別包括支払い方式(. また ,諸家らは ,死の恐怖を伴う胸痛発作を経験.  )の導入. した患者は ,症状が安定した後も,その経験が引き. 分野が拡大されるなど ,入院期間の短縮をめざした. 金となって心身症状を呈することもあること  ,多. システムが導入されている .こうした状況下では ,. くの心筋梗塞後の患者にうつ状態がみられること  ,. 急性期の治療を終え身体的機能面に問題のない場合,. 虚血性心疾患患者の多くに精神的,情緒的問題があ. 施設にとっても,患者にとっても,自宅療養が望ま. り,それは胸痛経験と関連がみられること  などを. しい.しかし ,それは重症の疾患からの回復過程の. 示唆している.しかし ,これらの多くは海外でなさ. 患者及び受け入れる家族にとって ,心理的に新たな. れたものであり,国内において重症心疾患後の回復. 危機となる可能性がある.. 期のクオリティ・オブ・ライフ(以下.  川崎医療福祉大学  医療福祉学部  保健看護学科  卒業 香川県綾歌郡国分寺町新居 (連絡先)牧山布美   〒  . .

(11)  )に関す.

(12) . 牧  山   布   美.

(13)  は ,飯田ら  によって作成さ. るリサーチはなされていないのが実状であり,実態. 査を実施した.. は把握できていない.. れた.

(14) . 精神面での回復は,身体的機能回復に遅延し ,.

(15)  評価質問紙で ,心ー身ー環境が循環的に. 相互作用するという系統的な階層理論に準拠し ,身 体機能・情緒適応・対人関係・生活目標の. に影響を及ぼすにもかかわらず ,現在の診療報酬制.  つの尺.  項目より構成されている.( 表  )「はい」  点が加算され ,得点が高いほど

(16) . 度の下では ,特に三次救急施設において ,身体的機. 度 ,計. 能回復を主眼に退院計画がなされているのが現状で. と回答すると. ある.そのため ,プライマリーケア施設における看. が悪く反映するように作成されている . 「きわめて.    点,「ふつう」   点, 「やや不良」  点, 「かなり不良」  点, 「き わめて不良」 点以上の  段階で評価している. 変数質問紙は ,

(17)  に影響を与える関連因子と. 護では ,身体的機能のみならず ,精神的,情緒的リ. 良好」 点, 「良好」. ハビ リテーションが重要となる. 本研究では ,心筋梗塞あるいは心不全で急性期治 療を受けた後,プライマリーケア施設へ転院,ある.

(18)  と健常者の

(19)  を比較し ,

(20)  の関連要因を明らかにするこ とから ,

(21)  を高めるプライマリーケアを実施し いは再入院した患者の入院直後の. して ,仕事の有無,独居か否か ,扶養すべき子供の 有無,入院経験,再発か否か ,胸痛の経験,生活指 導の受講経験,心疾患危険因子(高脂血症,糖尿病, 高血圧,肥満,喫煙)から構成されている.患者群. て行く上で ,どのような支援が必要かを明らかにす. には半構成的面接で ,健常群には自己記入法で調査. ることを目的とした.. した .変数質問紙及び面接で得られた情報をデータ.

(22)  の得点と合せて分析した .. 対象と方法. 化し ,.  )対象  年  月から 年 月までの  ヶ月間に,急 性心筋梗塞あるいは急性心不全で三次救急施設で集. 心疾患の危険因子については ,次のように定義し.   病院へ転院 ,あるいは退院 後再入院した急性心筋梗塞名及び急性心不全名 (拡張型心筋症  名,弁置換術後  名,その他  名) の名( 男性 )を患者群とした .対象として , 在宅で生活している健常者名( 男性  )を健常 群として用いた . (表  )  )方法 患者群に対しては ,入院後  週間以内に患者に半 構成的面接,および自己記入式

(23)  質問表( 以下

(24)  )による調査を実施した .健常群に対しては

(25)  及び変数質問紙を配布し ,自己記入による調 中治療を受け , 県. 表.  )高脂血症:総コレステロール値が   ! 以上の場合 , (  )糖尿病:治療中であるか ,ある いは空腹時血糖が   ! 以上の場合, (  )高血 圧:降圧療法中,あるいは入院後  回以上測定した 血圧がいずれも収縮期血圧 " かつ拡張期血 圧 " 以上の場合(  )肥満:身長と体重を記 載してもらい,算出した #$ が 以上の場合.. た. (. 結. 果.  )患者群と健常群の

(26)  の比較 患者群及び健常群の

(27)  を ,

(28)  総得点によ り「きわめて良好」から「きわめて不良」の  段階 に分類した結果を図  に示す.

(29)  得点 点以下. 対象者背景.

(30) 急性心疾患後のクオリティ・オブ・ライフ 表   自己記入式クオリティ・オブ・ライフ質問表(  ). 図    段階別患者群と健常群の . .

(31) . 牧  山   布   美.

(32)  良好, 点以上を

(33)  不良として患者群,

(34)  不良が有意に多 かった( %&   ).性別 ,年齢階級による

(35)  を. 表. 患者群における  良悪と各変数の関連. 表

(36). 心不全群と心筋梗塞群の  得点比較. 健常群を比較すると患者群は. 良悪の差はなかった ..  )患者群と健常群の

(37)  総得点および各尺度別. 得点の比較.

(38) 総得点の平均はであり,健 に比し 有意に高かった( %   ). 各尺度別に見ると, 身体機能は患者群 , 健常群 ( %   ),情緒適応は,患者群 ,健常 群( %   ),生活目標は患者群 , 健常群   ( %   )であり,これらの尺度に 患者群の. 常群の. おいては患者群で有意に高値であった .対人関係に ついては ,両群間に有意差を認めなかった. (表 表. ). 患者群と健常群の  得点比較.  )患者群における

(39)  の良悪と各変数との関連 患者群に おいて 各変数ご とに ,

(40)  が 良好で あった群と不良であった群について比較し た .平.

(41)  良好群で  ,

(42)  不良群で   であった( ' .有意差を認めなかったも のの ,患者群内の

(43)  良好群に比し

(44)  不良群 に喫煙者が多い傾向が見られた( %&   ) .他の変 数においても

(45)  良好群と不良群の差は認められ なかった.また,患者群において

(46)  総得点を性 別で比較した場合,男性  ,女性が   であり,有意差を認めなかった . (表  )  )心不全と心筋梗塞症の

(47)  得点の比較

(48)  総得点は ,心筋梗塞群で   ,心不全 群でであった(  ).各尺度ごとの得点を 均年齢は. 表. 拡張型心筋症と非拡張型心筋症の  得点比較. 見ると ,身体機能,情緒適応,対人関係で有意差は 認めなかったものの,生活目標では心不全群で得点 が高い傾向にあった(. &   ).(表  ).

(49)  総  ,非. また拡張型心筋症と非拡張型心筋症の 得点を比較すると ,拡張型心筋症で 拡張型心筋症で. であり ,拡張型心筋症は. 非拡張型心筋症と比較し 得点が高い傾向にあった (. &   ).各尺度ごとの得点を見ると,身体機能,. 考. 察. 情緒適応,対人関係では有意差は認めなかったもの. 日本ではケアの効果判定は ,従来胸痛の回数や運. の ,生活目標は非拡張型心筋症に比し ,得点が高い. 動耐容能等,医療従事者側から評価され ,患者側か. 傾向にあった(. ら社会生活や日常生活の改善,患者自身の満足度に. &   ).(表  ).

(50) . 急性心疾患後のクオリティ・オブ・ライフ.  名は ,独居,無職,糖尿病コ. ついて検討されているものは少ない.しかし ,患者. ある.今回面接した. の葛藤や欲求,あるいは人生に対する目標や希望な. ントロール不良,喫煙者が多く,コンプライアンス. どにより,ケアの意義は大きく異なってくる.欧米. が低いとされる症例であり,ノンコンプライアンス. では ,この点が. の原因が生活目標を見出せないことにあることが示.

(51)  として論じられており,循環 器領域で,冠動脈バイパス術( ()# ),経皮的冠動 脈形成術( () ),薬物療法について,その効果が

(52)  を用いた患者の視点から評価されている   .

(53)  には広い概念が含まれており ,基礎疾患に よっても

(54)  の内容は異なり,何を持って

(55)  と. 唆された. ここ数年,社会のあらゆる分野において ,グロー バルスタンダード 化が求められるようになった .国 内では ,社会的には医療費の不要な伸びを抑制し , より効率的な医療の推進が求められ ,クリティカル. するのかという,いわゆるグローバル・スタンダード. パスを導入する施設も増えている   .患者の生. は確立していない.今回. 活面をみても,医療にかかる出費を削減し ,できる.

(56)  評価に用いた

(57) . は ,システム理論に準拠し ,身体機能,情緒適応 ,.

(58)  のシステム要素として 評価するものである.これらの要素は

(59)  評価の. 限り入院はせず働ける日には働きたいという要求も. 対人関係,生活目標を. 強い   .景気低迷および健康保険制度の破綻の時を 見据え ,医療費削減のための入院日数短縮は必至で. ための共通不変の要素であり,この要素が複雑に相. あり,今後. 互作用しあって ,欲求の充足度が決定されるという. の生活を余儀なくされる患者の増加が予測される.. 規定の下に作成されたものである  .諸家らの研究. 本研究でも,三次救急施設を退院した患者の多くは. で ,循環器疾患患者の.

(60)  を評価する際のスケー. ルとして ,信頼性は検証されている  ..

(61)  の回復には至らないまま,在宅で.

(62)  が未だに回復しておらず ,プ ライマリーケア. 及び在宅ケアを担う看護者は ,患者の生活目標の再. また ,諸家らは ,死の恐怖を伴う胸痛発作を経験. 構築のための自己実現にむけたモチベーションを引. した患者は ,症状が安定した後もその経験が引き金. き出す支援の必要性が示唆された .また ,健常群に. となって心身症状を呈することもあること   ,多く. おける.

(63)  良悪と各変数の関連をみても,患者群. の心筋梗塞後の患者にうつ状態がみられること  ,. と同様に有意差は認められないという類似した傾向. 虚血性心疾患患者の多くに精神的,情緒的問題があ. が認められたにも関わらず ,. り,それは胸痛経験と関連がみられるため,胸痛を. たことで ,精神的,情緒的リハビ リテーションを含. 軽減するための戦略として,精神的な介入を行うこ. めた看護介入の必要性が示唆された .どのような看. とでコントロールが可能であること  ,ストレスマ. 護介入を行うかは今後の課題である..

(64)  に有意差を認め. ネージ メントを含めた心臓リハビ リテーションを有. 本研究の限界として ,全体的な標本数の不足があ. 効に行うことで心疾患の死亡率,再発を減少させる. る.また各疾患別に比較した際の年齢,性別構成割. こと  など を示唆している .しかし ,これらの多. 合が患者群内で完全に一致していないことが考えら. くは海外でなされたものであり,国内において心疾. れた .. 患回復期の.

(65)  に関するリサーチはなされていな. 結. いのが実状であり,実態は把握できていなかった . 飯田ら  は ,循環器疾患の. .

(66)  の悪化要因と. して, 歳以上の高齢者及び脳血管障害をあげてい. 語. 心筋梗塞あるいは心不全で急性期の治療を受けた 後 ,プ ライマリーケア施設に転院した患者の.

(67) . る.本研究においては ,高齢者及び脳卒中合併例と. について,以下のことが明かとなった.. 他群を比較し ても. ( ) 健常者と比較すると総得点,身体機能,情緒.

(68)  得点に有意差は認められ. . ず ,他の要因においても有意差は認めなかった .ま.

(69)  良好群と不良. 適応,生活目標の各尺度別得点において不良. た健常者群においても,同様に. であり,彼らが疾病による様々の機能障害か. 群ですべての要因において有意差を認めなかった .. ら心身の能力低下を起こし ,さらに社会的不 利,全人的な. 拡張型心筋症患者と非拡張型心筋症を比較した結 果 ,拡張型心筋症の患者の.

(70)  総得点及び 生活. 目標の得点が高い傾向にあった .他の尺度において 差を認めなかったことより ,拡張型心筋症患者の.

(71)  の劣悪さは ,生活目標の低さに左右されてい ることが示唆された.拡張型心筋症は ,特定疾患に. .

(72)  の悪化へと至っているこ. とが示唆された .. ( ) 心不全患者,とくに拡張型心筋症の患者にお.

(73)  は劣悪であり,生活目標の側面に おいて

(74)  が低い傾向にあった. (  ) これらの患者の

(75)  を高めるために ,プラ いて. 指定されており,予後不良の疾患で心臓移植以外に. イマリーケア施設においては ,身体症状や苦. 根本的治療法はなく,突然死の危険性の高い疾患で. 痛の緩和に努めることはもちろんのこと ,ク.

(76) . 牧  山   布   美 ライエントの生活目標の再構築支援を行う必. するにあたってご協力いただいた病院スタッフの皆様,お. 要性が示唆された .. よび御指導いただいた瀬川睦子先生に深謝いたし ます. また本研究は川崎医療福祉大学平成年度保健看護学科. 稿を終えるにあたり,アンケートにご協力いただいた患. 第  期卒業論文を一部修正加筆したものである.. 者様,地域の健常者の方々に深謝いたします.また,調査. 文       献.  )石出猛史:心筋梗塞後顕在化した  

(77) 

(78) を伴う初老期うつの  例,千葉医学雑誌, (  ), , .  )

(79) 

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(91) .  )飯田紀彦,小橋紀之:循環器疾患とクオリティ・オブ・ライフ( )*+ ),新しい自己評価式質問表( )-.# )の検討, , (  ), , . 心身医学:. " )%

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(146)  , ," , . 7 )前掲書  ).  )飯田紀彦,小橋紀之:クオリティ・オブ・ライフ( )*+ )の評価  その .,新しい自己評価式質問表( )-.# )の検 討, ,関西大学   社会学部紀要, (  ),   , .. ( )前掲書  )  )前掲書  )  )前掲書  )  )0

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(160)  , ,( ," ..  )前掲書  ) " )阿部俊子:クリニカル・パスの作成,有効な活用に向けて,ハートナシング , (  ),( ,((( .  )家吉順子:心疾患領域におけるクリニカル・パスの実践,急性心筋梗塞の場合, ,ハートナーシング , (  ),77 , ((( .  )李英子:心疾患領域におけるクリニカル・パスの実践,'1 の場合, ,ハートナーシング , (  ),7" ,((( . 7 )岩松みつ子:心疾患領域におけるクリニカル・パスの実践,心臓カテーテル検査の場合, ,ハートナーシング , ( ) , (( ,((( .  )斉藤滋:心疾患患者の早期退院への可能性,日帰り心臓カテーテル検査, ,ハートナーシング , (  )," ,(( . (平成"年月"日受理).

(161) . 急性心疾患後のクオリティ・オブ・ライフ.    

(162) 

(163)        

(164) 

(165)    

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(266)

図     段階別患者群と健常群の

参照

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