中小企業政策形成の視点についての一試論 -- わが国中小企業政策の研究〔1〕 --
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(2) 活の充実を可能にすることができる。 そこに、. 一. 国の経済政策形成 の 一 つ. の重要な基盤がある。 換言すれば、 経済政策の 一 環として、 国民経済のエ 業部面に展開される工業政策の形成の契機は資本主義の発展とともに必然 6). 51. 的にうまれてくる。 そしてその政策目的は工業化の進展を確保するところ にあることはいうまでもない。 要するに、工業政策は 「 工業の発展を意図し 71. て工業の発展を通して国民経済生活の充実を配咆する手段の大系」である。 そしてこの政策の展開過程において 、 その対象となる資本制企業は、 それ が生産した商品を社会的な需要に充足させる過程において、 利潤を獲得し、 資本としての存在を貫徹するのである。 ところで企業が存続するうえにおいて獲得せねばならない利潤は企業内 部の計画的活動と企業外部における無政府的活動とのおりなす所産であり、 それは、 原則的には、 大規模経済の利益追求を通しての市場競争のただな かで実現される。 その結果、 歴史の教えるところによれば 、 資本主義の発 展とともに、 優位の資本による劣位の資本の整理・淘汰という資本の運動 法則が基本的傾向として露呈してくる。 そして企業の資本機能としての最 低必要資本覧の下限も上昇し、 大企業が国民経済において支配的となる。 さらにこの過程の 一 層の進展は少数の独占的大企業による国民経済の支配 にまで高められる。 換言すれば、産業革命以後の資本主義の発展は「生産に 必要な大きな資本と組織力とを提供する資本家と単に労働力だけを売る大 18). 衆貨金労働者との社会的な分業の上に成立する」工業化現象であり、 それ を生産力に関していえば、 工業部門の労働生産性が飛躍的に増大すること であり、 産業史的にみれば、 だいたい新機軸による四つの経済発展の時期 を内容とするものである。 すなわち、 それは、 資本主義がイギリスを先発 国としてヨ. ー. ロッパ諸国、 アメリカなどの後発国へと侵透する過程におい. て、 十八世紀後半から十九世紀前半にかけての紡績機械、 蒸気機関の発明 を中心とする軽工業部門の産業革命の時期、 十九世紀後半の鉄鋼と鉄道を 中心とする重工業部門の産業革命の時期、 二十世紀初期の電力産業、 化学 工業および自動車工業の中心的発展の時期そして原子力産業、 高分子化学. -174-.
(3) 工業および電子工業を中心とする現代からなる。 そして各時期の継起は 「産業内での競争的企業がしだいに巨大化する単線的な発展ではなくて、 主 9). 導産業したがってまた主導企業の浮沈交替によって生じるものである」 o 以上のことから、独占ないし寡占とよばれる資本主義段階にいたると、国 民経済の成長・発展が主導産業あるいは主導企業の経済活動の如何んによっ て左右され、そしてこの産業または企業が国民経済構造の重要部分を掌握し ている少数の独占的大企業に該当することが容易に推測できる。 さらにこ の独占的大企業と国民経済の成長• 発展との関係について、 次の点を指摘 しておくことも重要である。 工業生産技術の特性からいって資本の有機的 構成の高度化が技術的進歩と労働生産性の増大をもたらしそしてそれが国 民経済の成長 • 発展の原動力となるといわれるけれども、 資本の有機的構 成の高い独占的大企業の利益と国民経済の利益とが必ずしも前向きにおい て一 致するとはかぎらないのである。 独占的大企業は自己の利潤が極大に なる生産方法を採用するが、. 「技術的進歩や古い工業を新しい大規模工場. に取り替えることには、 以前よりも熱心でなくなる。 なぜなら、 そうする ことは、 かれらじしんの設備を廃棄することを意味するからである」。. 斯. 10. くして、 国民経済の成長 • 発展は独占的大企業の経営活動によって大きく 左右される傾向を持つのである 。 ここに工業政策はその政策対象を総f本と しての企業のなかでも、 ことに大企業に傾斜していかざるをえないであろ 11). う。 そしてその使命と役割は大企業の工業生産力の展開を確保せんとする のである。 その結果、 確かに国民的生産力が高まり、 国民生活水準の向上 12). がf呆証されるのである。 注 '.l). 黒松厳著「工業経済学」昭和 41 年、 第一章工業経済学参照。. (2) 松原藤由著「工業経済学の基本問題」昭和 44 年、 第四卒工業経済参照。 (3) (4) (5). 山中篤太郎著「工業政策論」昭和38年、 8 頁。 同. 上. 9頁。. 生産政策である工業政策に対する国民的要求は 、 最終的には安価 、 豊富な 消費物資の提供による生活水準の一 般的な向上という点に集約出来よう、. -175-.
(4) と水野武氏は. 工業政策論形成のための覚円」 (神戸大学経済学研究第7. 「. 号)において述べている。. m. (6). 水野武(工業政策論形成のための覚. (7). 松原j/桑由著『工業経済学の基本問題 」 288頁。. 「経済学研究第7号」参照。. 18). 山中篤太郎著「工業政策論」 9 頁。. (9). 長洲ーニ編「資本主義」昭和45 年 、 18頁。. 00). J ・ スタインドル著(訳)米田清貴• 加籐誠一. 「小企業と大企業 」 昭和40. 年 、 133頁。 (11). なお 、 われわれはこの直線的な方向のみを弥調するものではない。 グラン ツエル(J · Grunze I). が述べるように 、. 「工業政策は常に国民経済の隆. 盛を意図するもであって必ずしも工業の振興のみを意図するものではない。 公益のために工業を抑制することさえある」という立場は忘れてならない。 松原 、 前掲丼参照。 02). 水野武(工業政策論形成のための覚;in. 2. r経済学研究第7号」265頁。. 工業政策と中小企業. それでは劣位な資本としての中小企業は工業政策上いかなる位置を占め るのであろうか。 市場における大企業と中小企業との競争戦において、 後 者が前者の成長 • 発展とうらはらにすべて整理・淘汰されるわけではない。 中小企業の 一 部 はそのような運命に直面するとしても、 その他の中小企業 は広汎にかつ大量に存在し、 独占化が進行する国民経済を構成する重要な 要素となっている。 それというのは、 中小企業がいかに資本として小なる ものであっても、 社会的分業にもとずく迂回生産にそれぞれ位置しており、 II. その存在なしには大規模経営自体を有利に維持することが困難になるから である。 換言すれば、 国民経済の成長 • 発展にともなう社会的分業の深化 過程において、 大企業は 一 方において競争関係にある中小企業を整理 ・ 淘 汰するとともに、 他方においては、 従米からの依存関係にある中小企業あ るいは新しい分業関係の創出にともなう新生中小企業との相互補完的関係 21. を形成していくのである。 したがって、 国民経済の成長• 発展を問題とす る場合、大企業の成長 • 発展を碁軸にして考えざるをえないと同時に中小企. -176-.
(5) 業の成長 ・ 発展もまた重要な意味をもつのである。 そのことから、 国民経 済の成長・発展の問題は大企業への工業政策の傾斜化を是正して、 工業部 面全体としての 一 様な工業化を考えることが政策上理想的であるといわね ばならないであろう。 つまり資本主義の発展にともなう資本の二極集中化 3). 現象を工業政策がいかに対応するかということが問題になってくるのであ る。 以下において、 それを敷術しよう。 市場における大小さまざまな企業による競争関係・相互補完的関係は資 本主義の発展とともに複雑な経済現象をもたらす。 しかしそれを貫徹する 基本的動向もまたみられるのである。 たとえば、 それは競争の観点からみ れば、 自由競争から寡占的ないし独占的競争への発展的な移行であり、 企 業形態からいえば、 個人企業から株式会社への支配的な移行、 さらにはカ ルテル ・ トラストなどの企業結合の出現である。 このような過程における 大企業の存在は. 原則として非能率的なものを排除し能率的なものを奨励. 「. 4). する傾向を持つところの競争の諸力の産物」として生成発展してきたもの. であり、 それは資本制企業として自己を近代的に組織化・合理化しつつ存 在している経営体であり、国民経済における 工業化の中心的担い手である。 51. それに対して中小企業はスタインドル(J· Steindl)などが示すように、 「資本主義の経済法則が支配する社会のもとでありながら、 それに適応す 6). べき経常体としての最 低限度での合理性を具えるまでにいたっていない」 側面が強いのである。 しかも大企業の資本的属性は原材料市場・製品市場 の独占的支配あるいは銀行資本との結び付きによる金融市場の支配を通し て競争関係・相互補完的関係にある中小企業の利益の 一 部または全部をう ばいとるところにある。 すなわち、. 「独占を項点とする資本の運動法則の 81. 71. 場に囲饒され」ている中小企業は、 社会的分業の体系である産業構造にお いて、. 「横の平等な分業関係として併立する余地を次第に狭められ、 独占 9). 的大企業による縦の支配 • 従属の分業関係を強いられるようになって」< る。. つ ま り 大 企 業 と 中小企業との存在は単なる資本・規模の大小あるい. は資本の成長の遅速にあるのではなくて、 質的に異なるものであり、 同 一. -177-.
(6) の基盤からそれらの経済活動を考察することは問題がある。 したがって、 このような経済的事実に直面した工業政策は工業化の促進をその政策対象 の特性に適応させながら展開せざるをえなくなってくるであ ろう。 それは資本主義の発展にともなう経済現象の複雑化に対応した政策的ア プロ. ー. チの当然の帰結ともいえる。 ここに、 きめの細かい政策の策定のう. えから、 大企業を中心とした工業化の促進を確保する政策と中小企業のそ れという専門化政策の形成の契機が生まれてくるのである。 !l) (2). その巣中的表現が中小企業経営における原料高 • 製品安である。 この過程において 、 新1日の中小企業分野における企業間競争は激化する。 し かしその激化の過程は 、 スタインドル 、 フロ ー レン ス 、 ドップ 、 ア ー ロノヴ ィッチなどの多くの研究者による中小企業の存立条件論に示されるように 、 「競争の激しさは敵対する諸資本の数に正比例し 、 その大きさに逆比例する。 それは 、 多数のより小さい資本家の没落をもって終るのを常とし 、 彼らの資 本は 、 一部は勝利者の手に移り 、 一部は消滅する」資本論(岩波文庫版(4)118 頁)という傾向は基本的にみられても直線的に進展するものでない。 そして 、 この過程における個々の中小企業は大企業ことに独占的大企業と おりなす経済活動を通して過度競争 、 低生産性 、 低賃金などの諸問題に直面 しているのである。 われわれはそれを中小企業問題と意識するのである。. (3). 山中篤太郎著「日本社会経済の研究」昭和8 年および同「中小工業の本質と 展開」昭和23 年参照。. (4). E · A · G ・ ロビンソン(訳)黒松麻「産業の規模と能率」昭和44年 、 17頁。. (5). 多くの中小企業存立条件論のなかで 、 それらの最大公約数的な要因を存立条 件として列挙している 、 スタインドルのそれを示しておこう。 小資本を犠牲にして、 大資本の発展する過程は時間 のかかる 、 漸進的な過程 である。 この過程の速度は本来資本蓄積そのものが時間のかかるものである ということ以外に 、 以下に示す要因によって遅くなる。 ①不完全競争要因。 企業の経済活動において必然的に生じる輪送費の問題以 外に生産物が個性、 消費者の商品に対する愛著心や無知 、 習慣などの要因に よる小企業市場の存続。 なお 、 労働市場の不完全性は生産物市場のそれよりも重要である。 低貨 金労働者の存在は小企業の存続を有力にする。 ②大企業の許容。 あるひとつの産業における寡占的状態は 、 その産業におい. -178-.
(7) て 、 ある 一定数の小企業の存続を保証する傾向がある。 その理由は、 価格 の指導者となった大企業は、 たいていの場合には、 全f共給量のうちのごく わずかな部分だけしかしめていないような小企業を排除しても 、 それによ ってえるところはほとんどないということ。同時に、他の小企業を残存せし めておくことは 、 その産業には「独占 」 が存在しないという決定的な証明 になること。 ③小企業家の「賭博的な」 経営態度。一__「小企業と大企業」 ( 第六章 、 ど のような要因が小企業の存続をたすけるのか)参照 — (6). 松井辰之助(中小工業の本質とその存在形態) 「中小工業の本質」 昭和39年 231頁。. (7). 山中篤太郎(中小企業本質論の展開) [中小工業の本質」 26頁。. (8). 大塚久雄(国民経済) 「大塚久雄著作集 第六巻」昭和44年 、 参照。. (9). 黒松厳(日本工業における中小企業問題の墓本的研究課題)経済学論叢 第15 巻 、 第3、 4号 、 87頁。. 3. 中小企業政策の形成. これまで、 われわれは経済発展の基本的動向としての工業化を工業生産 カの直線的な展開として理解し、 そして資本主義が独占ないし寡占の段階 にいたるとともに、 工業化の進展を確保しようとする工業政策にも二分化 傾向があらわれること、 すなわち一 方における大企業を中心とする工業政 策( これを以後便宜的に大企業政策と呼ぶ ことにする)と他方における中小 企業を中心とする工業政策すなわち中小企業政策の形成の契機が生まれて くることを述べてきた。 しかし、 現実における工業化は常に経済の発展過程に生起してくる資本 や労働力の不足、 独占価格、 労査対立と失業、 技術水準の低位性、 過剰生 産などの諸矛盾に直面しながら展開するものであって、 決して工業生産力 の直線的発展を通常とするものではない。 すなわち、 工業化の進展を阻止 する多種多様な矛盾を克服するところに、 政策形成の契機が実現化するの である。 そして実現化されることによってはじめて、 工業政策は一 国の経 済政策の 一 環として展開するのである。 すなわち、 それは決して自己完結. - 179-.
(8) 的な存在ではなく、 つねに経済政策の一 部門政策として存在する。 そのこ とは工業政策と大企業政策•中小企業政策との関係においても同様である。 大企業政策は大企業が直面する諸種の経済的矛盾のなかでその生産力拡大 の阻止につながる矛盾を政策矛盾と意識するとこ ろに策定・展開される。 中,J-:企業政策もまた同様である。 そして両者は個々別々のものとして存在 するのではなくて、 相互補完的立場にたって、. 一. 国の工業政策全体として. の成 果を高めるのである。 つまり両専門政策が相互補完的に策定 ・展開さ れることによ って、 独占ないし寡占段階にある資本主義経済における工業 政策はその存在価値をたかめていくのである。 とこ ろで国民経済の生産力に関する重要性の差異からいえば、 工業政策 における大企業政策は中小企業政策よりはるかに優位な政策たる位潰をし めねばならないのである。それでは、 大企業政策と中小企業政策との間にみ られる相互補完的関係と優劣関係はいかなる工業政策の展開のなかで一 体 化されるのであろうか。これは、後日掲載予定の「中小企業政策の基調」 におい て、詳細に述べるけれども、 国民経済の工業生産力を積極的に拡大するため には、 次のような政策展開が考えられる。 それは、 生産力の発展を志向し ながら、 その過 程に生ずる阻止的な経済的諸矛盾を克服すること、 すなわ 21. ち工業化基調とその中における矛盾対応の形で展開される。 それは積極的 な生産力拡大政策とその展開を直接、 間接に阻止する矛盾を克服する政策 からなる。そして大企業政策は生産力の展開を目的とする生産政策として当然 31. に、前者において機能し、中小企業政策は主に後者において機能するであ ろ う。 すなわち中小企業政策は、大企業の生産力拡大に対して中小企業が産業 構造上の阻止要因になると き、 はじめて策定 ・展開されるのである。 した がって中小企業の低生産性は大企業との生産的係わり合における生産力の 乖離の問題として政策矛盾となり、 中小企業の経営の不安定性は大企業生 産業市場の狭溢化の問題や大企業の省力化による労働力放出の吸収源の問 題として意識されるのである。 また中小企業の劣悪な労働条件はそれによ って生じる大企業との労働生産性の乖離の問題に関連されて政策矛盾と意. -180-.
(9) 識 さ れ る 側 面 が強 い の で あ る 。 斯 く し て 、 中 小 企 業政 策 の 形成 は 独 占 な い し 寡 占 段階 に お け る 工業 政 策 の 発展 的 ・ 必 然 的帰結 で あ る 。 そ の 場 合 、 わ れ わ れ は 次 の よ う な 中 小 企 業 政策観 を 持た ね ば な ら な い で あ ろ う 。 中 小 企 業 は 、 独 占 な い し 寡 占 の 段階 に 達 す る と 、 産 業構造上 の 矛 盾 と し て の経営 不 安 定 性 、 劣 悪 労 働 条 件 、 低生 4). 産性 な ど の 問 題 を 体 質的 な も の の ご と く ま と い つ か せ な が ら 存 在 す る こ と か ら 、 中 小 企 業政 策 は 第 一 義的 に そ の よ う な 中 小 企 業 問 題 を 中 小 企 業 の 経営 の 立場 に た っ て 策 定 ・ 展 開 さ れる も ので あ る と 性急 に理解 し て は い け な い 。 そ れ は こ れ ま で の 考察 か ら も 明 ら か な よ う に 、 中 小 企 業政 策 の 形成 は 国 民 経済 全 体 の 立場 か ら の 工業政策的 ア プ ロ ー チ が基 本 的 で あ る 。 中 小 企 業政 策 は 経済政策 こ と に 工 業 政 策 の 一環 で あ る こ と か ら 、 「 そ れ は そ の 政 策 の 対 5). 象 た る 企 業以 外 の 経済利 益 と の バ ラ ン ス に おい て の み し か 成 り 立 た な い 」 の で あ る 。 つ ま り 中 小 企 業 政 策 に 特定 の 中 小 企 業 問 題 が特 定 の 政策形成 を 求 め て い る と し て も 、 そ の 政 策 形 成 の 実 現化 は そ の 国民経済内 に お け る 政 6). 策形 成 の 基本 的 条 件 が あ り 、 そ の 作 用 の な か で の み 実 現 化 さ れ る も の で. あ る 。 そ し て そ の 基 本 的 条件 と は 、 中 小 企 業政 策 が生 産 政 策 の 一 部 門 政 策 で あ る と い う こ と で あ る 。 そ の 結 果 、 国 家 が展 開 す る 中 小 企 業政策 の 内 容 と 中小 企 業者 が要 求 す る 政 策 内 容 に は 総 じ て 乖離 の 関 係 が あ る こ と は 否 定 で き な い で あ ろ う 。 つ ま り 中 小 企 業 政 策 は 、 中 小 企 業 が 直 面 す る 経済 的 諸 矛 盾 の な か で 、 そ の 克服 が大企 業 の 成 長 、 発展 を 促進 す る と い う 側 面 を も つ も の の み を 政策矛盾化す る の で あ る 。 そ れ は 単 な る 政 策決定上 の イ デ オ ロ ギ ー の 問 題 だ け で は な く て 工業 政 策 の 本 質 に 根 ざ す 問題 と い え る 。 そ し て こ の 政 策 的 本 質 に 根 ざ す も の を 、 独 占 的 大企 業 が 自 己 の 経 営 上 有 利 に 利 用 で き る と こ ろ に 、 独 占 な い し 寡 占 と よ ば れ る 高 度 資 本 主 義 の 一 特徴 が あ る と い え る か も し れ な い の で あ る 。 (1). た と え ば 一 国の限りあ る 経済的資源が大企業の工業化促進の た めに政策的に ほ と んど投入さ れ 、 そのた めに中小企業の 工 業 化 が 資 源不足によって阻止 され る こ と が認められ た と して も. 、. その逆の関係は国民経済の存立基盤の脆. - 181 -.
(10) 弱化 を もたらす こ と から認められな い であ ろ う。 し か し 現実の正常な経済に お い ては 、 このような極端な例は ほ と ん ど 考 えられな い 。 なぜなら経済的資 源の配 分の問題は生産政策の主 目 的たる経済的進歩のほかに 、 他の政策 目 的 たる経済的安定 ・ 正義 • 自 由の考慮が払われるからである。 だ か ら と い って 、 経済的資 源の配分が常に適正に 行なわれて い る と 主張する気持はな い 。 た と え ば大企業政策 と 中小企業 と の間に優劣の関 係がある と い うこ と の背景には そのような要因が多分にふ く ま れて いるのである。. (2) (3). 水野武 ( 工業政策論形成のための覚笞 ) 経済研究第 7 号」 263 頁。 も ち ろ ん 後 者においても た と えば独占価格問題や公害問題な どの大企業政策の 展開が行 な われるであ ろ うが 、 ここでは 、 その指摘に と どめておく。. (4). 滝沢 菊太郎 ( 中小企業対策 を め ぐ る問題 点 ). 「日本経済政策の解 明(下)」 昭和. 37年参照。 (5). 山中篤太郎 ( 研究課題 と し ての 「中小企業」 ). 「経済成長 と 中小企業」 昭和. 41 年 34 頁。 (6) (7). 同. 上. 同頁参照。. 現実の中小企業政策の一つの主要な機能がその乖離の関 係 を いかに小 さ く と ど めるか と い うこ と にある。. - 182 -.
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