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児童の「人間関係形成能力」を育成する外国語活動の授業実践に関する研究 : キー・コンピテンシーを踏まえた目標の可視化

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Academic year: 2021

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(1)児童の「人聞関係形成能力」を育成する外国語活動の授業実践に関する研究       一キー・コンビチンシーを踏まえた目標の可視化一 教科・領域教育学専攻   言語系英語コース.      M10129B      寺元 恵子.  0ECDは,人生の成功や社会の良好な働きに貢献.  このようにキー・コンビチンシーの枠組みの下で. するための能力の概念を一つにまとめるために,. は,言語活動の充実が求められている一方で,人間. 1997年に「デセコ(Definition&Se1ectionof. 関係形成能力も重視されている。どの教科において. Co㎜petencies;  Theoretica1  &   Conceptua1. も,互いの立場や考えを尊重しながら,言語を通し. Fomdations;以下,DeSeCoと表記)」と呼ばれる. て適切に表現したり正確に理解したりする力,すな. プロジェクトを立ち上げた。このプロジェクトによ. わちr伝え合うカ」を育成することが求められてい. って,教育,経済,政治,福祉を含めた広い範囲で. るが,それは,人間関係を築くカにもつながるもの. の生活領域に役立つ能力の鍵概念が,「キー・コンビ. とされている。あくまでも,様々なものや人とのか. チンシー」として定義された。それは,(1)相互作用. かわりを通して「伝え合うカ」を育成することが求. 的に道具を用いる力,(2)異質な集団で交流するカ,. められているのである。そのため,ツールとしての. (3)自律的に活動するカであり,この枠組みの基本的. 言語の活用カだけではなく,自己と他者の関係の申. 部分は,自己を省みて内省することのできるカ,r思. で,互いの立場や考えを尊重し合う人間関係形成能. 慮深さ(Ref1ectiveness)」である。このDeSeCoプロ. 力を育成することが重要であると言える。. ジェクトの概念枠組みは,世界的な流れの中で国際.  そこで,本研究では,新しい学習指導要領の実施. 化されてきており,日本の教育において重要な理念. で小学校5,6年生に位置づけられた外国語活動に. である「生きるカ」は,このキー・コン・ピテンシー. おいて,DeSeCoが定義したキー・コンビチンシー. を先取りした考え方として定義されている。平成23. がどのように具現化されているかを検証し,特に,. 年度より実施された新しい学習指導要領では,この. 相互作用的に道具を用いるカ,異質な集団で交流す. 「生きるカ」を育成するために,思考力・判断力・. る力が,具体的な目標や教育内容の中で,どのよう. 表現力の育成が重要であり,そのためには,基盤と. に実質化されているかを検討した。その結果,キー・. なる言語の能力が必要であると強調されている。本. コンビチンシーと新しい学習指導要領およびその実. 研究で対象とする外国語活動は,このような社会的. 践レベルにおける学力観には,構造的な違いがある. 情勢や学力観の変更を背景に新設されたものであり,. ことが分かってきた。それは,外国語活動の目標が. コミュニケーションヘの積極的な態度を育成すると. キー・コンビチンシーの枠組みに影響を受けている. ともに,言葉への自覚を促し,幅広い言語に関する. にも関わらず,キー・コンビチンシーを構成する人. 能力や国際感覚の基盤を培うことが目標となってい. 間関係形成能力が,教科実践のレベルでは十分に実. る。. 質化,あるいは,明示的な目標とされておらず,人. 一250」.

(2) 間関係形成能力の育成があくまでも教師の配慮事項. 者の良さや頑張りについて再発見したりすることが. として位置づけられているということである。その. できる。また,他者とかかわり合うことによって,. ため,学校現場においては,外国語活動が「児童の. 次は自分から働きかけようとする姿勢にもつながっ. 英語カを育てる」ことを目標としていると解釈され. ていく。. ることがあり,このような認識が,教師の外国語活.  さらに,道具として言語を使用するだけでなく,. 動に対する抵抗感や不安感,また授業作りの難しさ. 児童自身が他者意識をもってコミュニケーションし. につながっている。. ようとするために,教師と児童とが目標を共有して.  このように,キー・コンビチンシーに基づく目標. おくことも重要である。目標を共有し,児童自身が. が実践レベルで十分に可視化されておらず,授業作. 経験を振り返る過程を通して,児童は,自分の課題. りや評価の観点において言語の道具性が強調されて. も発見することができるようになり,こうした体験. いるという点に,外国語活動が抱える問題点がある。. を経ながら,人間関係形成能力を含めた他者と良好. そこで,本研究では,人間関係形成能力の育成を外. な人問関係を築くための技術を身に付けていくこと. 国語活動の明示的な目標とし,児童相互のかかわり. ができる。これは,キー・コンビチンシーの基本的. 合いに焦点を当てて外国語活動の授業作りを行い,. 部分である「思慮深さ」の育成にもつながると考え. 児童の人間関係形成能力に対する意識を高めること. られる。. ができるのかを検証した。.  このように,外国語活動において,キー・コンビ.  まず,先行研究を踏まえて,児童の人間関係形成. チンシーで定義づけされた能力観を育成するために. 能力を育成するために必要な観点を導き出した。そ. は,キー・コンビチンシーを踏まえ,目標を可視化. れは,(1)自己に対する肯定的評価,(2)他者に対する. することが何よりも重要である。そして,それが人. 肯定的評価,(3)言葉を使った相互作用への参加であ. 問関係形成能力の育成,すなわちr自己に対する肯. る。外国語活動において人間関係形成能力の育成を. 定的評価」「他者に対する肯定的評価」「言葉を使っ. 明示的な目標として掲げるだけではなく,具体的に. た相互作用への参加」であると言うことができる。. これらの観点をもった上で実践することによって,. さらに,このような視点をもった上で授業を展開し,. さらに,児童の人間関係形成能力に対する意識を高. 児童自身にも経験を振り返る観点として示すことは,. めることにつながるのではないかと考えたからであ. 児童の人間関係形成能力を育成すると同時に,r学び. る。. 方を学ぶ」という「生きる力」の理念にも結びつい.  授業分析は,2校の事例研究を基に行った。授業. ていくと考えられる。. 実践においては,協力校における授業者と本研究の.  本研究において,外国語活動の目標を,キー・コ. ねらいについて共通理解を図り,授業を行った。そ. ンビチンシーを踏まえ可視化したことは,コンテン. して,児童による振り返りカードや,筆者による授. ツからコンビチンシーへというグローバル社会にお. 業観察.記録等を基に授業を分析した。その結果,ま. ける学力観へとつながり,今後の外国語活動のさら. ずは教師が授業の中で,他者とかかわり合いのある. なる発展への可能性が見えてくると言えよう。. 活動をデザインする必要があることが分かった。か かわり合いのある活動を通して,児童は他者と交流 する喜びを感じ,自分自身の成長を実感したり,他. 皿251一. 主任指導教員吉田達弘. 指導教員吉田達弘.

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