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高等学校公民科における「生徒が自ら構築する合理的意思決定学習の方法論的意義」 : 日本のTPP参加問題を事例として

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(1)

『社

第24

号 2012

(pp.81-90)

高等学校公民科における「 ̄

生徒が自ら構築する合理的意思決定

学習の方法論的意義」

日本のT

P参加問題を事例と

して−

Decision-making Processes for Developing the Students' Logical Thinking Centered Approach:

Through Lessons on Economic Issues Related to TPP in High School Civics

田 

中 

一 裕

(新

I。はじめに 近年,高等学校公民科で取り上げる論争問題に おいて,「 ̄不確実性をもつ問題」が多くなってい る。不確実性をもつ問題は選択肢を実行した場合 の評価が不確定で,客観的な判断をおこなうこと ができない問題であり,これまで意思決定学習を 構成することが難しい問題であった。 本実践では,不確実性をもつ問題に対する意思 決定力を獲得させることを目的として,生徒自身 が意思決定のために資料や理論,意思決定支援モ デルを応用して論理的に意思決定のプロセスを構 築していく匚生徒が自ら構築する合理的意思決定 学習」を開発した。事例として現在国内で議論さ れている匚日本のTPPへの参加問題」を取り上げ た。匚日本のTPPへの参加問題」は,参加した場 合と参加しない場合の影響を正確に評価すること が困難な不確実性をもつ問題であるといえる。 匚生徒が自ら構築する合理的意思決定学習」の 授業開発をおこなうにあたり, B.G.マシャラス の探究学習理論の有用性と,社会科教育への方法 的概念の必要性にもとづき授業を構成した。また 不確実性をもつ問題へ取り組む意思決定理論とし て, H.A.サイモンの匚限定合理性」理論を応用 し,問題の分析方法や意思決定理論を取り入れ授 業開発をおこなった。 授業では,マシャラスの探究学習理論の視点か ら,教師が可能な限り生徒の学習に介入せず,意 思決定に必要な客観性の高い資料を生徒自身が選 択し,理論や意思決定支援モデルを応用して,意 思決定を進めていく方法的概念の獲得を目指した。 また,対象とする論争問題の内容についての分析 過程では,サイモンの匚プログラム化できる問題 とプ1コグラム化できない問題」の視点を応用し, 生徒自身が客観的な事実の部分と不確定な部分に 分けるための分析をおこない,匚プログラム化で きる部分」においては,これまで学習した数学的 理論・経済学的理論を意思決定に応用させた。 匚プログラム化できない部分」に対してはサイモ ンの匚限定合理性」理論にもとづき,意思決定支援 モデルの手法を応用させた。 n。授業開発のための基礎的考察 (1)筆者のこれまでの合理的意思決定学習 これまで筆者がおこなってきた合理的意思決定 学習は,根拠となる資料の分析過程において客観 合理性を求めさせ,社会認識力を高めることを目 指した授業構成であった。 匚社会科教育辞典1)」の中で小原友行氏は,合 理的意思決定について次のように定義している。 『合理的意思決定とは,目的・目標を達成するた めに考えられる実行可能なすべての行動案(手段・ 手法)の中から,あるいは,問題を解決するため に考えられるすべての解決策の中から,より望ま しいと合理的に判断できるものを選択・決定する 活動である。また,そのような活動を社会科の究 極目標である市民的(公民的)資質を育成するた めの方法原理とした授業論である』としている。 しかし不確実性をもつ問題に対する意思決定学 習は,客観合理性の実現が難しい問題である。そ のため問題の構造を生徒自身が分析し,選択肢や 評価基準を確定させ,問題の内容に適した意思決 定プロセスを自ら構築する学習方法を体験させる

(2)

過程で,意思決定力を育成する必要がある。 (2)匚本質的概念・価値的概念・方法的概念2)」 マシャラスは,発見探究型の学習方法は生徒の 意欲を最も高める学習方法であり,生徒自らが疑 問を持ち考察を続けていくプロセスの中で,学ぶ という本来の姿勢が身につくと考えている。不確 実性をもつ問題に取り組む学習プヨセスとして, 教師側からの働きかけを最小限度に抑えて,生徒 が主体的に探究していく学習方法が重要であると 考える。 また,マシャラスは社会科教育または学習計画 で指導すべき三つの概念として,厂本質的概念, 価値的概念,方法的概念」をあげており,匚本質 的概念は,社会科学の内容から導き出された専門 的な構造や社会的な枠組みを,価値的概念は理想 と信念,個人的・文化的選択の尺度を,方法的概 念は科学的知識の発見と根拠づけの過程と態度に 必要である」としている。本質的概念と価値的概 念はこれまで意思決定学習で,中心的概念とされ てきたが,方法的概念は注目されてこなかった。 しかし不確実性をもつ問題に対する意思決定学 習では,最適な一つの解を求めることができない ために,意思決定のプロセスの中で可能な限り客 観合理性を実現することが求められており,その ための方法的概念を生徒自身が認識し,獲得する ことが必要である。不確実性をもつ問題に対して 意思決定のプロセスそのものを生徒自身が構築す る方法的概念には,客観合理性の実現を常に中心 において意思決定を進める姿勢が求められている。 (3)匚客観合理性をもつ問題」と匚限定合理性」 サイモンは,意思決定問題において,匚客観合 理性をもつ問題」とは匚①各選択肢の選択に続い て起きる諸結果についての完全な知識と予測を可 能とし,②将来に起きる諸結果に対する価値につ いて現在完全に予測でき,③起こりうる代替的行 動のすべての中から選択することを可能とした場 合」であるとしている。しかし不確実性をもつ問 題では厂①ではすべての選択肢による諸結果を完 全に予測することは困難であり,②では将来の価 値を現在の価値で予測することは不完全であり, ③ではすべての選択肢を思いつくことはできず, 二つか三つ程度の選択肢しか思い浮かばない」と -匚合理性の限界」を示している。 本実践で事例として取り上げる匚日本のTPP 参加問題」に対して上記の①から③を考察した場 合,合理性の限界からすべての国民にとって客観 合理性をもつ最適な決定を導き出すことは困難で あるためまたサイモンは,匚,不確実性をもつ問題であるといえる。意思決定問題は,プヨグラ ム化できる問題(programmed decision)とプログ ラム化できない問題(non-programmed decision) に区分することができる」3)としている。プログ ラム化できる意思決定問題では,数理的考察が可 能となり,意思決定に至るまでの根拠のすべてを 数学的に定式化し,シミュレーションすることで 客観合理性をもつ解決が可能となるoプログラム 化できない意思決定問題では,数理的考察をする ことが困難となり,隕られた計算能力と外界の不 確実性との双方の理由から,特定の選択肢の選択 結果がきわめて不完全にしかわからず,また価値 観の対立などの問題では数学的に定式化し計算す ることが難しいため,客観合理性をもつ解決が難 しいといえるラム化できる意思決定部分とプログラム化できな。また一つの問題の中にも,プログ い意思決定部分の二つに分けることができる問題 もある。 本実践では数理的考察可能な部分では,数学的・ 経済学的理論を中心に客観合理性を実現できる理 論の応用をおこない,また数理的考察が可能では ない部分では,匚限定合理性理論」4)や匚意思決 定支援モデル」を利用して意思決定のプロセスを 論理的に構成させることを目指した。 (4にれまで実践した合理的意思決定授業実践例 本年度,第1学年匚現代社会)の中で,匚エネ ルギー・ペストミックス問題」,匚戦略的環境アセ スメント問題o」,匚日本の年金制度改革問題」を 事例としてエネルギー,意思決定授業を実施した。・ベストミックス問題」では,階 層化分析法(AHP)6),二段階資料提示法7)など を応用した。匚戦略的環境アセスメント問題」で は,費用便益分析8),仮想評価法(CVM) 9},重 みづけ,二段階資料提示法などを応用した。「 ̄日 本の年金制度改革問題析10,重みづけ,二段階資料提示法などを応用し」では,コンジョイント分 82−

(3)

たoこの3つの意思決定授業では,ワークシート に従って生徒が意思決定を進めていく構成とした。 本実践では,特に次の①∼⑤の力を生徒につけ させることを目標として,生徒が自ら構築する意 思決定力の育成を目指した。 ①問題内容の分析力の育成 問題の内容を,客観的な事実の部分と不確定な 部分に分ける。 ②資料の発見・選択力の育成 意思決定に必要な客観性の高い資料を,インター ネットを通して発見・探究し,選択する。 ③理論の応用力の育成 これまで学習した社会科学の概念と理論を意思 決定に応用する。 ④意思決定プロセス構築力の育成 意思決定支援モデルやその理論・手法を意思決 定に応用する。 ⑤総合的な意思決定力の育成 選択した資料と,理論と意思決定支援モデルか ら,総合的に意思決定をおこなう。 (5)生徒が自ら構築する合理的意思決定授業 これまで著者が実践した意思決定授業では,教 師が多くの資料を事前に用意し,また考察用ワー クシートをあらかじめ作成し,そのワークシート に従って意思決定を進めていく授業を実践した。 本実践では意思決定を進めていくワークシート を可能な限り取り払い,生徒が自ら意思決定プロ セスそのものを創造的に構築し,意思決定に必要 な資料を発見・探究し,理論や意思決定支援モデ ルを応用していく授業構成とした。 また小論文として意思決定のプrコセスとその根 拠を表現することで,総合的な意思決定力の育成 を目的とした。 Ⅲ.単元内容 剛単元の目標 平成21年3月に告示された新しい高等学校の学 習指導要領解説公民編の匚現代社会」では,冂 内容」で匚現代社会における諸課題を扱う中で, 社会の在り方を考察する基盤として,幸福,正義, 公正などについて理解させるとともに,現代社会 に対する関心を高め,いかに生きるかを主体的に 意思決定のワークシート・資料を事前に月意 「エネルギー・ペストミックス問題」 「戦略的環境アセスメント問題」《 「F1本の年金制度改革問題」

意思決定のワークシートー資料を最小限用意 「日本のTPP参加問題」 生徒が自ら構築する意思決定 考察することの大切さを自覚させる」としている。 本実践研究でも,合理的意思決定授業により生 徒の主体的に考察する力の育成を目指している。 (2)「 ̄日本のTPP参加問題」 「 ̄日本のTPP参加」をめぐっては,内閣府, 農林水産省,経済産業省がTPPへ参加した場合 と参加しなかった場合のシミュレーション11)を それぞれおこなっている。その評価は大きく異なっ ており,選択肢である匚参加」,匚不参加」による 影響を正確に評価することが困難な不確実性をも つ問題であるといえる。 また評価基準も輸出産業・輸入産業への影響, 農林水産業への影響,医療や労働分野などへの影 響など多様であるため,日本経済全体に対する影 響の評価は不確定な部分が多い。どのような資料 をもとにして,どのように理論を立て,どのよう に意思決定をおこなっていくのか,大変難しい意 思決定であるといえる。 本実践では,生徒に対して意思決定をおこなう プロセスの大きな枠組み(ワークシート1と2) を提示し,これまでの意思決定学習の経験にもと づきTPPに参加か不参加かを意思決定させる授 業構成とした。 (3)プレ調査・1回目意思決定 意思決定前までの認識を明確にさせるためにプ レ調査を実施する。 次に資料集の説明を使いTPPの概要, FTAと EPAの相違点を学習す,経済産業省から出された参加。また内閣府,農林水産と不参加の場合

(4)

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となる資料検索をおこなう。選択した資料につい ては,資料の客観性を考察させて,根拠としての 説得力を自ら評価させる。 さらに,これまでの意思決定学習の中で応用し た意思決定支援モデルを選択して,意思決定プロ セスを構築させる。また学習した理論を選択して, 選択した資料との関係や,評価基準との関係を明 確にさせ,意思決定の根拠とする。これらの匚資 料」匚理論」匚意思決定支援モデル」を総合的に理 論立てて意思決定を構成するO匚資料」を優先し て後から厂理論」匚意思決定モデル」を構成する のか,また匚理論」を優先して匚資料」匚意思決 定モデル」を構成するのか,匚意思決定モデル」 にもとづき匚資料」厂理論」を構成するのか,多 様なプヨセスが可能である。またそれぞれを同時 に考察しながら構成することも可能である。 (5)2回目意思決定 選択した資料,選択した理論,選択した意思決 定支援モデルを論理的に構成し,意思決定をおこ ない,内容をワークシート2に記入する。 (6)意思決定の表明・シェアリング・振り返り・小 論文作成 付箋に意思決定の内容を記入して,黒板に貼り 付けることでクラス内で決定内容を表明するとと もにシェアリングする。他の生徒の決定と自分の 決定を比較して,その決定の根拠を明確化する。 自らの意思決記入し,自己評価させる。また意思決定の内容定プヨセスを匚振り返りシート」に

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VI.単元の指導構想「国際経済の問題と日本の役 割」(全七時間) 剛第一時 自由貿易と保護貿易の目的を理解し,比較生産 費説の理解と関税や非関税障壁が貿易に与える影 響を考察する。国際収支の内容を理解し,その変 動から国際的経済取引の状態を分析する。 (2)第二時 外国為替レートの変動による円高・円安が,貿 易に与える影響を考察するOまた固定為替相場制 から変動為替相場制への移行を理解する。 (3)第三時 GATT・WTOによる国際的貿易交渉の変化を理 解し,日米貿易摩擦問題や,プラザ合意以降の日 本の国際的経済取引の変化と問題点を考察する。 (4)第四時 EUの成立過程から,地域的経済統合やEPAを 理解し, NAFTA ・ AFTA などの特徴や今後の進 展を考察する。 (5)第本実践匚五時∼第七時日本のTP参加問題」 V。小単元計画「日本のTPP参加問題(全」三時間) (1)第五時 TPP , FTA, EPAの違いについて理解する。 経済産業省・農林水産省・内閣府のシミュレーショ ンについて考察し,問題の構造を明確にする。こ れまで使用した理論(比較生産費説,関税の原理, 食糧安全保障論),意思決定支援モデル(階層化 分析,マクシミン原理,仮想評価法)を再確認す る。プレ調査と1回目の意思決定をおこない,ま た次の時間に,疑問点や調べてみたい内容を明確 にする(ワークシート凵こ記入)。 (2)第六時・第七時 前の時間に抽出した疑問点や調べてみたい内容 について検索をおこなう。意思決定の根拠となる 資料と,選択した意思決定支援モデルや理論にも とづき2回目の意思決定をおこなう(ワークシー 84

(5)

卜 2に記 入)。 意思決 定の 結果 と, 利用 した資料 ・理論 ・意 思 決定 支援 モデ ルを発表 し, シェ アリ ングをお こな (3)授 業 展 開 う。 意 思 決定 の 内 容 を 論 理 的 に小 論 文 にま と め る。 振 り返 りを お こ な う 。 発  問 資 料 教 授 = 学 習 過 程 生 徒 に習 得 さ せ た い 知 識 【 第五 時 】 <導 入 > OTPP は 具 体 的 に ど の よ う な 内 容 か ? OFTA とEPA と の 違 い は ど こ か ? OFTAAP,TPP,ASEAN の 加 盟 国 の違 い は ど こ か ? T 二発 問 す る S: 発 表 す る T 二発 問 す る S: 発 表 す る T 二発 問 す る S 二発 表 す る ○ 資 料 か らTPP の内 容 を 考 察 す る ○ 経 済 連 携 協 定 (EPA ) は , 物 流 , 人 の 移 動 , 知 的 財 産 権 の保 護 , 投 資 , 競 争 政 策 な ど で の 連 携 を 目 指 す 条 約 で あ る こ とを 理 解 す る ○ 資 料 か ら, FTAAP, TPP, ASEAN に 加 盟 し て い る 国 を 認 識 す る < 展 開 1 > ○ 内 閣 府 の シ ミ ュ レ ー シ ョ ン で は, ど の よ う な 影 響 が 発 生 す る の か ? ○ 農 林 水 産 省 の シ ミ ュ レ ー シ ョ ン で は, ど の よ う な 影 響 が 発 生 す る の か ? ○ 経 済 産 業 省 シ ミ ュレ ー シ ョ ン で は , ど の よ う な 影 響 が 発 生 す る の か ? 1 ( 試 算 総 括 表) 1 ( 試 算 総 括 表) 1 ( 試 算 総 括 表) T: 発 問 す る S: シ ー ト 1 へ 記 入 す る T: 発 問 す る S: シ ー ト 1 へ 記 人 す る T: 発 問 す る S ニシ ー ト 1 へ 記 入 す る ○ ①FTAAP へ の 参 加 , ②TPP へ の参 加, ③TPP 十

日EU 十 日 中 へ の 参 加 , ④ 日EUEPA 十 日 中EPA

( セ ン シ テ ィ ブ 分 野 自 由 化 せ ず), ⑤ 日 本 がTPP, 日EU ・ 日 中EPA い ず れ も締 結 せず ,韓 国 が 米 国・ EU ・ 中 国 とFTA 締 結 の 場 合 の 5つ の シ ミ ュ レ ー シ ョ ン を 分 析 し , そ の 影 響 に つ い て デ シ ジ ョ ン・ テ ー ブ ル へ記 入 す る。 ○ ①GDP 減少 額 , ② 農 産 物 生 産 減 少 額 , ③ 食 糧 自給 率 の 減 少 , ④ 農 業 の 多 面 的 機 能 の 喪 失 額 , ⑤ 就 業 機 会 減 少 の五 つ の シ ミ ュ レ ー シ ョ ン を 分 析 し , そ の 影 響 に つ い て デ シ ジ ョ ン ・ テ ーブ ル へ 記 入 す る。 ○ 日 本 がTPP, 日EU ・ 日 中EPA い ず れ も 締 結 せ ず , 韓 国 が 米 国 ・EU ・ 中 国 とFTA 締 結 し た 場 合 の 自 動 車・ 電 気 電 子・ 機 械 産 業 の10 年 間 の ① 実 質 GDP の 減少 額, ② 雇 用 減少 の二 つ の シ ミュ レ ー シ ョ ン を 分 析 し , そ の 影 響 に つ い て デ シ ジ ョ ン・ テ ー ブ ル ヘ 記 入 す る。 代 替 案 関 税 率 例 外 日 本 のGDP の 伸 び 率( 金 額) ( 内 閣 府) 自 動 車・ 電 気 電 子・ 機 械 産 業 ( 経 済 産 業 省) 農 産 物 生 産 ( 農 林 水 産 省) 参 加 ①FTAAP 十 日EU 100 % 8兆 円 ①GDP 減 少 額7.9兆 円 ② 農 産 物 生 産 減 少 額4.1兆 円 ③ 食 糧 自 給 率40 % →14 % ④多 面 的 機 能 喪 失3.7兆 円 ⑤ 就 労 機 会 の 減 少 数340 万 人 ②TPP 十 日 中 十日EU 100 % 6.9∼6.1兆 円 ③TPP 十 日 中 十日EU コ メ 5.5∼4.7兆 円 ④TPP 十 日 中 十日EU センスティブ 4.9∼4 疆兆 円 ⑤ 日 中 十 日EU センスティブ 自動 車 2.8∼2.5兆 円 不 参 加 −0.6∼0.7兆 円 ①GDP ―10.5兆 円 ② 雇 用 81.2 万 人 減 シ ー ト 1 生 徒 記 入 例 ①

(6)

0 1 回 目 の 意 思 決 定 で は , 参 加 す べ き か , 参 加 し な い べ き か ? シ ー ト 1 T: 発 問 す る S: 1 回 目 の 意 思 決 定 記 入 ○ 政 府 の 3っ の シ ミ ュ レ ー シ ョ ンを も と に し て , 参 加・ 不 参 加 につ い て 意 思 決定 を お こ な う ○ 意 思 決定 の根 拠 を 具 体 的 に 記 入 す る 『 す P P 参 加 問 題 』 に お け る 意 思 決 定   1 回 目 シ ー ト 1 生 徒 記 入 例 ② 1 . 町本はT P P へ参カロ す る べき だ と 思い ま す か、 参力口し ない 方 が よい と,思い ます か ? 【   参 加ず る べき だ    参 加 し ない 方 が よい   ( どち ら かに ○を つ け る)    】ヽ- / 2 . どの よ うな 根拠 を も と にし て 、 決 定を しま し た か ?具 体的 に 答 えて く だ さい 。 【  責 怙 价 八 匸 匸   悦ご吠 衣 匹 が匸こ ⑤  佰 ク 言 士で に 古 註        1 3 .今 後 ど のよ うな 点 を 調 べて みた い と思い ます か ? 3づ あげ て く だ さい。 【 ①  爪 戸 サ ご て 已 っ 几 い い で      】 [ ②  卵 友 二 ≒ノ ミ 子 三 二 ≪二匸]と       】 ⊃   T レ フ ー・  づ 帽 、ヽ デ`ぐ ト バ、 1     1          1 ○ 今 後 調 べ て み た い 点 は ど の よ う な とこ ろ か ? シ ー ト 1 T: 発 問 す る S: 記 入 す る ○調 べ 学 習 を お こな う に あ た り, 疑 問 とな る と こ ろ を 記 入 さ せ , 今 後 の 探 究 の 目 標 を 設 定 さ せ る 【 第 六 時 】 < 展 開 2 > ○ 意 思 決 定 を 支 持 す る 資 料 は何 か ? ○ 意 思 決 定 を 支 持 す る 理 論 は何 か ? ○ 意 思 決 定 を 支 援 す る 意 思 決 定 支 援 モ デ ル は 何 か ? シ ー ト 2 シ ー ト 2 シ ー ト 2 S: 調 べ る S ニシ ー ト 2 に ま と め る ○ イ ン タ ー ネ ッ ト で 意 思 決 定 の 根 拠 を 検 索 し , そ の 中 か ら 自 ら の主 張 を 支 え る 資 料 を 選択 す る ○ 資 料 と支 援 モ デ ル に 関 連 す る 理 論 を 選 び, 意 思 決 定 の 根 拠 と し て 応 用 す る ○ 支 援 モ デ ル を 選択 し , 意 思 決 定 プiコセ スを 応 用 す る 【 第 七 時 】 < 展 開 3 > ○ 意 思 決 定 を 支 持 す る 資 料 は 何 か ? ○ 意 思 決 定 を 支 持 す る 理 論 は 何 か ? ○ 意 思 決 定 を 支 援 す る 意 思 決 定 支 援 モ デ ル は 何 か ? ○ 総 合 的 決 定 は ど の よ う に な る の か ? シ ート 2 シ ート 2 シ ート 2 シ ート 2 S: 調 べる , シ ー ト 2 に記 入 S: 調 べる , シ ー ト 2 に記 入 S: 調 べる , シニ ト 2 に記 入 S 二2 回 目 の 意 思 決 定 を シ ー ト 2 に記 入 ○ 自 ら の 主 張 を 支 え る 資 料 を 選 択 し , 要 約 す る ○ 資 料 の 客 観 性 を , 自 己 評 価 す る ○ こ れ ま で の 学 習 か ら 自 分 の意 思 決 定 を 支 持 す る 理 論 を 応 用 す る 0 1 ∼ 2っ の 意 思 決 定 支 援 モ デ ル を 選 択 し , 意 思 決 定 に 応 用 す る 0 2 回 目 の 意 思 決定 で , 参 加 か 不 参 加 を 決 定 す る ○ 選 択 し た 資 料 と, 選 択 し た 理 論 , 選 択 し た 意 思 決 定 支 援 モ デ ル の 関 係 性 を 意 思 決 定 の根 拠 と し て 論 理 的 に整 理 す る - 86 −

(7)

ト2

「T

P参加問題」

における童思決定

1 2 意思決定を支援する理論 【塵軻資料との濁引剥関わ寅洫一 嗷料b鴉片】 町叩μ硝叫5と.0おり忙l=こけ貧膣卩ズ谷し 【 脣謾貿笳諞一有護:関卮. 一資料との関わり (1阡凵二j・膕こ匹' 黝挧心ぢ齢=訟が'以・・yG el回尹順吋'・了乱 /年2組 第2回 シ ート2 生徒記入例③ 意思決定を支援する手法1.【 β恰酘破す斤ご娠   】

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一具体的利用方法 (か回付片漬忤 斤ま雅し・チ 墻71つ"1すをむ、ど匕べ"1. Eデしフjツー千一プ'/し. l 一具体的利用方法 〔尚か巧賺力べ疝ヶ’・ 叨一汗フバ・J庁略〕 *具体的作業内容は裏面へ記入

資料

資料1 <資料の客観的根拠

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弓│乙下け≒わ.唇・・9 卜がP‘/y t・巾≒万しふ一即尸⊃r/ jフヽ単品の9で基本々糘盍琵1が 胖蜜各々にぢ慟七日ホ.・・  DがPツ/“゛・k・・リバJ(り−1泙・刀)´     】 ’ ` 14〃” r て´こー‘1  丶 ’lr`・J ’jJ ・-’゛’ し一’`冫`-“ ’“1 ̄I ・” − 夕│ こ 彰 ぢ t 勺£ろ 可 限・ 世 が 石 弓. 布・戸,y:  ̄瞎 留 良 万 の葭 制廠か、収好裕・つま参仕用・り許可J防E・1ノハかJジドド拓〉ヽ、-かに祐皿別忽 支持する政策− TPPへの( <まとめ> 0400字で意思決定の内容 をまとめると,どのよ うになるのか? ○意思決定のプロセスで 最も重要なポイントは どのようなところか? ○他の生徒と意思決定は どのようなところが異 なっているかのか?

論文

振り返 りシー ト S:原稿用紙へ 記入する T:発問する S:考察する S:付箋に決定 を記入表へり付一覧 る C7 ) 服ふ牛に餃塾.人力どし ○意思決定のために選択した資料,理論,意思決定支援モデル を,論理的に構成し,小論文にまとめることにより,総合的 な意思決定をおこなう ○これも重でのなポ思決トをシー定のプロセストにを振し考り返,意思決定の上で ○意思表明として,自分の決定を付箋に記入し,黒板の一覧表 の場所に貼り付ける ○自分の意思決定について根拠を表明する

(8)

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いる(グラフ1)。 ③匚理論の応 用力の育成」で は, 89%以上の 生徒が,理論を 意思決定に有効 に応用すること ができた,と答 えている(グラ フ2)授業での匚。事前の自由 意思決定の根拠となる有効な資料を探す ことができましたか? 振り返りシー卜より(自己評価) 意思決定の根拠となる理論を意思決定 に有効に応用できましたか? 振り返りシートより(自己評価) 貿易論」厂比較生産費説」厂保護貿易論」匚関税に よる国内産業保護理論」匚食糧安全保障倫」など を,自分が選択した資料と関連させて,根拠とし て説明できたと答えている。

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⑤匚総合的な 意思決定力の育 成」では,資料・ 理論・意思決定 支援モデルを総 合的に利用して, 89%以上の生徒 が意思決定をお こなうことがで きた,と答えて いる。小論文を 意思決定を進めるために資料一理論・ 意思決定支援モデルを総合的に有効に 応用できましたか? 振り返りシートより(自己評価)

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また評価の対 象とした小論文 の分析の結果は, 想定した達成目 標80%に対して, 右の結果となっ た(グラフ5)。 「資料を根拠と することができ る」評価項目で 小論(著文へる評価)評価基準別違成割合 は, 93.2%の生徒が意思決定に資料を根拠として 応用することができている。また「 ̄理論を根拠と することができる」評価項目では87.7%の生徒が 意思決定に理論を応用することができている。 匚意思決定支援モデルを応用することができる」 評価項目では82.2%の生徒が意思決定支援モデル やその手法を応用して,意思決定をおこなってい る。 本研究の生徒自ら意思決定を構築するという目 的において,生徒自身の匚振り返りシート」と 匚小論文」における教師評価から,匚総合的な意思 決定力の育成」で約80%以上の生徒がその目的を 果たしたといえる。 また次にあげる生徒の記入例は,意思決定を進 めるために選択した資料と理論と意思決定支援モ デルにもとづき意思決定プロセスを示した一部で 88−

(9)

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多くの評価 基準を入れ た形で意思 決定をおこ なっている。 また具体的 対象者への 影響を想定 してる。 生徒レポー トBでは, 階層化分析

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(10)

理論を学習する場面は多いが,実際の論争問題に 対して理論を応用して意思決定をおこなうという 学習は少ないため,理論を意思決定に応用するこ とが,生徒自身初めての経験であった。今後も理 論を意思決定に応用する授業を開発していきたい。 また,意思決定支援モデルでは生徒が応用しやす いモデルと,応用が難しいモデルがあるために, 学習の中で意思決定支援モデルを使うだけではな く,その論理的内容を生徒自身が理解して使うこ とが重要であると感じた。 今後さらに研究開発を続け,生徒の認識を開く 授業構成の開発をおこなっていきたいと考えてい るO <参考資料> 1. B.G.マシャラス 1973『教室における創造的出会い』(黎明書房) 1975 Social Issues Through Inquirア(Prentice-Hall, hlc.) 2. H.A.サイモン 2009『新版 経営行動』(ダイヤモンド社) 1979『意思決定の科学』(産能大出版) 3.森分孝治編 2001 F ̄市民的資質育成における社会科教育一合理的 意思決定−」『社会系教科教育学会『社会系教科教育 学研究』第13号 4.松原 望 1997『計量経済学』(東京大学出版会) 5. P.クルーグマン 2010『クルーグマンの国際経済学上貿易編』(ピア ソン桐原) <注> 1)『社会科教育事典』(ぎょうせい,日本社会科教育 学会編), P.68. 2)本質的概念・価値的概念・方法的概念:

「subst皿tive concepts l value concepts ° method concepts」:Massialas, B.G. 1975 Social力sueぶThrough

j。quiry, P. 11. 3)プログラム化できる意思決定問題(programmed decision):サイモンは,数式化したものを当時普及 し始めたコンピュータにプログラム化することで, 複雑な計算を処理しようと考えており,「プ・グラム 化」という表現となった。「数式化できる意思決定」 と同じ意味である。『意思決定の科学』(1979年H.A. サイモン著), PP.63∼84. 4)「限サイモン著),定された合理性 PP.144」『新版 ∼145.経営行動』(2009年H. 5)戦略的環境アセスメント

(Strategic Environmental Assessment, SEA)早期の 政策決定段階や事業の適地選定などの構想段階から,

「計画アセスメント」をおこなうため,政策立案,施 策策定にあたって,環境影響の有無を調査・予想・ 評価し,環境配慮を組み込むシステム。

6)階層化分析法

(Analytic Hierarchy Process, AHP) オペレーションズ・リサーチの手法の一つで,数 式化できない問題などにおいて階層図を作成し,各 項目について一対比較をおこない,数値化し総合評 価値を求め,これをもとに意思決定をする手法。 7)二段階資料提示法:1回目と異なる資料を提示し, 2回目の意思決定を実施し,資料の変化が意思決定 を変化させることを体験させる手法。 8)費用便益分析(Cost-Benefit Analysis, CBA) 公共事業(道路,下水道など)の業績評価などに 用いる手法で,これは代替できる複数の公共事業の 費用と便益を比較し公共事業の間に優先順位を付与 する分析手法。

9)仮想評価法(Conthlgent Valuation Methods, CVM) 野生生物や生態系の価値など市場で取引されない非 利用価値に対して,支払い意思額や受け入れ補助額 を直接たずねることで環境価値を評価する方法。 10)コンジョイント分析(Co可oint Analysis) 授業の始めに選択肢を提示することで,その後の 意思決定実施において,生徒が何を決めるのかを事 前に認識させ,複雑な問題に対して論点を持ち続け て取り組むことが容易となるように応用した。 11)内閣府「包括的経済連携に関する資料・経済産業省・農林水産省のシミュ(内閣官房国家レーショ 戦略室web):http://www.npu・goj p/'policy/policy08/ archive02.html」 −90−

参照

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