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「環境バイオテクノロジーの20年後」

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Academic year: 2021

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巻  頭  言

環境バイオテクノロジーの 20 年後

金 原 和 秀 環境バイオテクノロジー学会は 1996 年 4 月に設立された学会である。2013 年で創立 18 年になる。この間, ISEB2000 を京都で開催するなど,国際活動も行ってきた。 本学会の研究課題である環境バイオテクノロジーは,これまで環境問題とのかかわりで発展し,現在も進 化を続けている。前号の巻頭言で,内山裕夫先生が 20 年前の将来展望と現状の対比をしていた。その中で, バイオレメディエーションは,実際には汚染処理技術としてメジャーなものになっていない現状を述べてい る。今回は,PCB を中心に難分解性物質の分解処理の実用化にかかわった研究者として,バイオレメディ エーションの現状を再評価してみたい。 まず,PCB 微生物処理の実用化開発を行うため,企業の研究所に勤めていたとき,Battelle 財団主催の シンポジウムに数回参加し,その変遷を肌身で感じたことを述べたいと思う。このシンポジウムは「In situ and On-site Bioremediation」と題して 1991 年から 2009 年まで開催された。筆者は第 3 回目(1995 年)から 4 回参加したと記憶している。初めて参加したときは,バイオレメディエーションが盛り上がっていた時期 でもあり,世界中で汚染処理の試みが行われていた。ところが,参加を繰り返すたびに Monitored Natural Attenuation(自然減衰のモニタリング,つまり何もしないこと)などという項目が目立つようになり,つい には参加する意義を失うに至った。これは,バイオレメディエーションを研究している研究者が現場実験で 経験したように,特に難分解性の汚染物質の分解は極めて難しいことから,減衰をモニタリングするしかな いという,その当時の流れによるものだと考えられる。

しかし,Battelle シンポジウムは昨年から,「Bioremediation and Sustainable Environmental Technologies Symposium」としてリニューアルして開催されている。バイオレメディエーションだけではなく持続可能な 環境技術を含むシンポジウムへと変容と進化を遂げたのである。以前のシンポジウムにはなかった,グリー ンかつ持続可能なレメディエーションとか,バイオベースの代替エネルギーとか,従来型ではない原油と天 然ガス抽出にともなう生物プロセスなど,現在,世界中で研究開発されている持続可能社会の構築に必要な 技術も対象としている。この流れは,現在人類が直面する問題を解決する技術が求められていることの反映 である。 日本でも同様で,今年の日本生物工学会大会でも,バイオマスの資源化,バイオベースの物質生産など, 持続可能な社会を目指す研究が多くなってきた。ひと時のバイオエタノールブームは少し沈静化したが,バ イオマス変換技術に関する研究はこれまで以上に進められている。このことは,もはや資源は無尽蔵ではな いという,古くて新しい命題が再認識されていることの現れである。本学会の原点である,バイオレメディ エーションに関しては,2012 年度の日本生物工学会大会で開催したシンポジウム「産業活性化の鍵となる 環境浄化技術−バイオレメディエーション−」で企業の研究者の発表を中心に最近の動向を考える機会を得 た。バイオレメディエーションが採用される例が少ないこと,それは,期待したほど効果が出ないことと, ケースバイケースによる効果の開きが大きいことに原因があるという内容であった。バイオレメディエー ションは,現場の土壌の質,微生物生態系の違いなど,様々な要因に左右される。土壌の質は改良可能性で あるが,経費と手間がかかる。微生物生態系の違いは,ここ数年飛躍的に進歩しているゲノム解析を用いれ ば,解析可能である。ゲノム解析の費用は今後ますます安くなるので,データが蓄積していくと思われる。 しかし,企業も研究費を削減している関係で,なかなか基礎的なデータが取れない現状がある。研究費不足 で基礎データが取れない⇒バイレメが不安定である⇒バイレメが採用されない⇒研究費が削減される⇒・・・ という,負のスパイラルに陥っている。この現状を打開しないとバイレメは現状のままである。地道な基礎 研究は将来の応用技術として開花するという,研究開発の原点に戻らないと,日本の環境技術は衰退してし まうかもしれない。今こそ,環境バイオテクノロジーの 20 年後の議論が必要である。 (静岡大学工学部)

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