ナノテクノロジーへの招待 -先端科学を体験しよう- : サイエンス・パートナーシップ・プロジェクト2010(講座型学習活動/プランA)報告書
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(4) はじめに. 科学は面白い。特に、未来を拓く先端科学技術の話は、大人も子どもも胸が躍る人が多い。例. えば、我が国のナノサイエンス・ナノテクノロジーの発展は目覚しく、中学校理科の教科書にも 題材のひとつとして取り上げられている。具体的には、「科学技術と人間」という単元が設けられ ており、理科学習の有用性を実感できるような指導方法の充実が求められている。しかし、先端. 技術ゆえに、教師の多くは学生時代に学んでいない最新情報等が必要になるため、現場では敬遠 されがちであることは否めない。また、「入試に出ない」=「必要ない知識」という風潮が学校教. 育に蔓延していると言っても過言ではない。理科離れが社会問題化する中、科学的リテラシーの 向上のためには生徒たちがナノサイエンス等の最新の先端科学技術を基礎から学び・体験するこ とが必要である。. 本報告書は、平成22年度に独立行政法人科学技術振興機構(JST)のサイエンス・パートナー シップ・プロジェクト(講座型学習活動/プランA)として実施した「ナノテクノロジーへの招 待∼先端科学を体験しよう∼」の成果をまとめたものである。本講座は、大学の知的資源と施設 を活用して、先端科学のひとつであるナノサイエンスを生徒たちが基礎から学び・体験すること. を目的に行われた。本企画の主な特徴として、①先端機器の操作など大学でしか味わえないよう な内容にした点、②生物学と物理学を融合した実験および活動を中心にして、座学を極力避けた 点、③少人数制を導入し、より受講者の主体性を高める点、④学習の定着を促進するために、生. 徒間のディスカッションの時間を十分組み込んだ点、などがあげられる。本学の所在地である函 館市を含む南北海道地域には科学館等がないため、身近に子どもたちが先端科学について体験的 に学ぶ機会がほとんどない。こうした地域性も考慮した企画である。. 本実験講座を実施するに当たり、連携機関としてご協力いただいた知内町教育委員会、特に同 教育長の田中健一氏に厚く御礼申し上げる。また、北海道教育大学函館校の星祐貴氏、伊勢和敏. 氏、竹内豪志氏、東堂祥平氏、堀沢育実氏、伊藤竜太氏、加藤貴峰氏、加納貴宏氏、久保優太氏、 藤川弘晃氏、FernanPenieroTupas氏にTAとしてご協力いただいた。ここに記して感謝の意を表 す。. 国立大学法人北海道教育大学 准教授(函館校) 松浦俊彦. −1−.
(5) 講座名 ナノテクノロジ“への招待 (A月101094). 実施体制 実施機関. 北海道教育大学教育学部函館校. 実施責任者. 席澤好博(北海道教育大学副学長(函館校担当)). 実施主担当者. 松浦俊彦(北海道教育大学・准教授(函館校)). 実施副担当者. 松木貴司(北海道教育大学・教授(函館校)). 連携機関. 知内町教育委員会. 申請経費総額 500千円. 新聞報道 ・最先端の科学を体感しよう29、30日「ナノテクノロジーへの招待」,函館新聞(2010.7.10) ・ナノテク講座で先端科学を体験29、30日、函館,北海道新聞(2010.7.20夕刊みなみ風) ・29∼30日ナノテクノロジーへの招待道教育大学函館校,北海道通信(2010.7.28日刊教育版) ・ナノ世界の実験 真剣に取り組む SPPプログラム,函館新聞(2010.7.31). ・ナノサイエンスを体感SPPの一環で道教育大函館校中高生がDNA抽出実験,北海道通信 (2010.8.6日刊教育版). ・科学楽しむ高校生DNAを抽出函数大で実験講座,北海道新聞(2010.8.11). ・最先端の科学技術体感道教育大学函館校で知内高生5人顕微鏡でDNA観察など,北海道通 信(2010.8.19日刊教育版). −2−.
(6) 講座の概要.
(7) <講座の概要>. 中学校理科の新学習指導要領にもあるように、生徒たちは科学技術の進歩について学ぶ。教科 書等に取り上げられている先端科学技術は生徒たちが学ぶ基礎的な科学の法則等を利用して発展. してきたものが多い。この事実を生徒たちが理解・実感できれば、学習内容と日常生活との関連 性を認識し、科学への興味・関心がさらに高まることが期待できる。例えば、我が国のナノサイ エンス・ナノテクノロジーの発展は目覚しく、中学校理科の教科書にも題材のひとつとして取り. 上げられている。具体的には、「科学技術と人間」という単元が設けられており、理科学習の有用 性を実感できるような指導方法の充実が求められている。しかし、先端技術ゆえに、教師の多く は学生時代に学んでいない最新情報等が必要になる七め、現場では敬遠されがちであることは否 めない。また、「入試に出ない」=「必要ない知識」という風潮が学校教育に蔓延していると言っ. ても過言ではない。理科離れが社会問題化する中、科学的リテラシーの向上のためには生徒たち がナノサイエンス等の最新の先端科学技術を基礎から学び・体験することが必要である。. 本講座では、大学の知的資源と施設を活用して、先端科学のひとつであるナノサイエンスを生 徒たちが基礎から学び・体験することを目的とした。具体的には、ナノの世界を観察できる走査 型プローブ顕微鏡【参考:中学校教科書でも紹介(単元:科学技術と人間)】を題材にして、その. 動作原理の基礎実験を行った。これにより、この顕微鏡の技術的な工夫が自然法則や原理に基づ いていることについて基礎から学んだ。また、CD、DVD、ブルーレイディスク等のメディア表面 のナノスケール観察やDNA【中学校(単元:生命の連続性)/高校(単元:遺伝情報とその発現)】. 等の生体分子を一分子レベルで観察する先端ナノイメージングを体験的に学んだ。さらに、学習 内容や実験結果などについて、本講座で学習したサイエンスの用語を活用しながら、活発な言語 活動を展開した。. 北海道教育大学函館校は平成19年度(教大1013)、平成20年度(教大81004)、平成21年度 (KDO91004)の理数系教員指導力向上研修を実施した実績がある。今回はこれまでの参加者アン ケートの結果に基づき、内容を厳選・改善し、中高生を対象とする企画を提案した。具体的には、. ①先端機器の操作など大学でしか味わえないような内容にした点、②生物学と物理学を融合した 実験および活動を中心にして、座学を極力避けた点、③少人数制を導入し、より受講者の主体性. を高める点、④学習の定着を促進するために、生徒間のディスカッションの時間を十分組み込ん だ点、などが本企画のポイントとなっていた。さらに、本学の所在地である函館市を含む南北海 道地域には科学館等がないため、身近に子どもたちが先端科学について体験的に学ぶ機会がほと. ー4−.
(8) んどない。こうした地域性も考慮した。また、知内町教育委員会とは、科学教育の連携実績があ った。 本実験講座「ナノテクノロジーへの招待∼先端科学を体験しよう∼」は、中学校および高等学. 校の生徒を対象に、北海道教育大学函館校にて夏期2日間の日程を2回(A日程:平成22年7月 29日(木)∼30日(金)/B日程:平成22年8月10日(火)∼11日(水))にわたって実施し た。A日程は一般公募、B日程は知内町教育委員会との連携で参加生徒を募った。実験内容は順 に、①バイオテクノロジー入門:細菌のDNA抽出実験、②ナノテクノロジー入門:原子間力顕微 鏡実験、③バイオイメージング入門:DNA一分子観察実験、④ディスカッション、などを行った。. 実験講座の実施体制は1名の主講師と4名程度の学生nを基本とした。 A日程の一般公募による受講者募集の周知は、(i)地元新聞3社(北海道新聞、函館新聞、北 海道通信)に募集案内の記事を掲載、(ii)地元の函館市内の公立および私立高等学校へ募集案内 をFAXにて通知、(iii)本学ホームページに掲載、などを行った。募集定員をA日程6名とした。. 募集を7月3日から開始し、7月21日には定員に達した。一方、8日程の参加者は連携先である 知内町教育委員会に町立高校の生徒5名(1年生2名、2年生3名)を推薦していただいた。 本講座には、北海道全域から中学生2名(1年生1名、3年生1名)、高校生10名(1年生2名、 2年生5名、3年生3名)の計12名(男性10名、女性2名)が受講した。そのうち、一般公募に よる受講者は、中学生2名.(1年生1名、3年生1名)、高校生5名(2年生2名、3年生3名)の 計7名で、すべて私立学校に通う男子生徒であった。この実験講座を知るきっかけとしては、新. 聞が4孝.、先生の勧誘が3名であった。参加者の居住地をみると、渡島管内(函館市を含む)6 名、十勝管内(帯広市を含む)1名となった。例えば、函館一帯広間の距離は東京一京都間にほ ぼ匹敵し、450kmを優に越える。宿泊を必要とするほどの遠方にもかかわらず、ご参加いただい た。. 一5−.
(9) <実験講座の主なスケジュール>. ■【A日程・第1日日】平成22年7月29日(木)10時00分∼17時00分 主講師 北海道教育大学・准教授(函館校) 松浦俊彦. 本講座の趣旨説明をした上で、プラスミドDNAを細胞などから抽出する実験を行い、バイオテ クノロジーの基本的な技術を学んだ。具体的には、使用溶液の調整やスピンカラムを用いたDNA の抽出体験、電気泳動によるDNA分子の確認などを行った。また、走査型プローブ顕微鏡はナノ の世界を観察するため、通常の生物実験では行わない特殊なDNA分子の精製方法等の高度な専門 的方法も体験した。. 受講者 7名(中学生2名・高校生5名). ■【A日程・第1日目】平成22年7月30日(金)10時00分∼17時00分 主講師 北海道教育大学・准教授(函館校) 松浦俊彦. DNA一分子観察を可能とする走査型プローブ顕微鏡を実際に使用して、身近なものを観察する ことで、先端バイオイメージング技術の基礎を学んだ。具体的には、ナノスケール観察ためのサ ンプルおよび基板の準備方法、カンチレバーと呼ばれる微小ブロープへのレーザーあわせなどを. 体験した。そして、CDやDVD、ブルーレイディスクなどの表面を観察して、走査型プローブ顕 微鏡の基本的な操作方法を習得した。また、模型などを使って走査型プローブ顕微鏡の動作原理 を学ぶことを通して、物理法則などが動作原理にどのように応用されているかということも体験 的に学んだ。 後半には、自分たちで抽出したDNAの一分子観察を体験した。走査型プローブ顕微鏡を使用し て、実物のDNAがどのような形であるか、どれくらいの大きさであるか、などを実験データから 分析・解析し、DNAの基本物性を学んだ。このとき、ワークショップ型の研修を行うことで、説. 明能力やコミュニケーション能力など、参加者の言語力の向上を図った。 受講者 7名(中学生2名・高校生5名). −6−.
(10) ■【B日程・第1日日】平成22年8月10日(火)10時00分∼17時00分 主講師 北海道教育大学・准教授(函館校) 松浦俊彦. 本講座の趣旨説明をした上で、プラスミドDNAを細胞などから抽出する実験を行い、バイオテ クノロジーの基本的な技術を学んだ。具体的には、使用溶液の調整やスピンカラムを用いたDNA の抽出体験、電気泳動によるDNA分子の確認などを行った。また、走査型プローブ顕微鏡はナノ の世界を観察するため、通常の生物実験では行わない特殊なDNA分子の精製方法等の高度な専門 的方法も体験した。. 受講者 5名(高校生5名.). ■【B日程・第2日目】平成22年8月11日(水)10時00分∼17時00分 主講師 北海道教育大学・准教授(函館校) 松浦俊彦. DNA一分子観察を可能とする走査型プローブ顕微鏡を実際に使用して、身近なものを観察する ことで、先端バイオイメージング技術の基礎を学んだ。具体的には、ナノスケール観察ためのサ ンプルおよび基板の準備方法、カンチレバーと呼ばれる微′」、プローブヘのレーザーあわせなどを. 体験した。そして、CDやDVD、ブルーレイディスクなどの表面を観察して、走査型プローブ顕 微鏡の基本的な操作方法を習得した。また、模型などを使って走査型プローブ顕微鏡の動作原理 を学ぶことを通して、物理法則などが動作原理にどのように応用されているかということも体験 的に学んだ。 後半には、自分たちで抽出したDNAの一分子観察を体験した。走査型プローブ顕微鏡を使用し て、実物のDNAがどのような形であるか、どれくらいの大きさであるか、などを実験データから 分析・解析し、D]ヾAの基本物性を学んだ。このとき、ワークショップ型の研修を行うことで、説. 明能力やコミュニケーション能力など、参加者の言語力の向上を図った。. 受講者 5名(高校生5名). 一7−.
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