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特集「料理情報の知的処理」にあたって

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Academic year: 2021

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2 人 工 知 能  34 巻 1 号(2019 年 1 月) 料理は,すべての人間が毎日何回も食べなければなら ないという点で,興味深く重要な研究対象である.その ような料理に関する情報も,古くはレシピや料理本,近 年は「クックパッド」や「楽天レシピ」などの料理レシ ピサービスの形態で膨大に流通・蓄積されている.ただ し,料理情報処理は,その普遍性・日常性ゆえに,味や 好みのような感覚的側面の処理や,仮想世界の料理情報 と実世界の料理の相互変換など,特有の技術的要求があ る.本特集では,特に料理情報のデータサイエンス的な 観点からさまざまな進歩的な研究を紹介すると同時に, 特有の課題や今後の方向性を提示する. 本特集は 10 本の解説記事で構成される. 原島 純による「レシピサービスと情報処理」では,実 際に広く使用されているレシピサービスであるクック パッドにおける自然言語処理,画像処理,機械学習など の技術の活用と,オープンサイエンスとの関わりについ て紹介している.研究者にとっては研究の種を,学生に とっては先進的な Web サービス企業における研究開発 の状況を知るために貴重な情報源である. 平手勇宇,関 洋平による「重複レシピの自動検知によ るユーザ投稿型レシピサービスのユーザビリティ向上」 では,インセンティブ獲得を目的として,ユーザ投稿型 レシピサービスに他者のレシピをほぼそのまま複製して 投稿する不正行為への対処という,正規ユーザの利便性 を確保したうえで不正ユーザに対処しなければいけない という実サービスの課題を取り上げている. 山肩洋子,難波英嗣,森 信介による「料理レシピテキ ストの処理と活用」では,料理レシピのテキストの自然 言語処理に関して,特にレシピ中の食材名や調理器具な どの表記の揺れなどに対応するための料理オントロジー と,自然言語で書かれた調理手順の意味構造解析手法を 取り上げて解説しているだけでなく,研究に役立つ有用 な言語資源も網羅されている. 安川美智子による「料理レシピ検索の評価用情報資源 の構築」では,国立情報学研究所が主催する NTCIR-11 で実施した RecipeSearch タスクにおける評価用情報資 源の構築の詳細や,レシピの同義語・類義語や類似レシ ピのような料理レシピ検索の特有の課題について解説 し,レシピ検索の研究開発に役立つ情報を提供している. 角谷和俊,難波英嗣,牛尼剛聡,河合由起子,王 元 元による「料理レシピデータの特性分析と利活用」では, 料理レシピデータの固有の特徴を分析・利用するさまざ まな手法を紹介しており,サービスの有用性の向上に データを利用するさまざまなアイディアを学ぶことがで きる. 柳井啓司による「食事画像認識の現状と今後」では, 食事画像認識における認識技術の発展や,食事画像認識 の固有の問題である食事量,カロリー量,栄養素量など の「量」の認識技術,そして画像からのレシピ検索や魅 力度推定などの最新動向について解説している.これは, 同時に深層学習の実践的な活用方法の紹介でもある. 相澤清晴による「写真からの食事記録ツールとその データ傾向」では,毎日の食事をマルチメディアデータ として蓄積・利用するシステム FoodLog を紹介し,健 康維持や医療のために必要な食事記録を情報処理技術で どのように実現していくかが述べられている. 渡邊恵太による「情報の道具化とスマート調理」では, ヒューマンインタフェースやインタラクションデザイン の観点から,調理を記号化して表したレシピを再現する プロセスで人間の代わりに自ら情報を読み取る調理器具 や,料理を設計と実施の過程に分けて,ソフトウェアと して設計された料理をフードプリンタで調理するスマー ト調理に関する研究を紹介している. 橋本敦史による「スマートキッチンのこれまでとこれ から」では,特に「家庭での調理」に焦点を当て,スマー トキッチンに求められる四つの役割と,外部知識・イン タフェース操作・行動観測のような入力と情報提示・作 業ログ・食事記録のような出力に着目して研究を紹介し, さらに人の調理作業のナビゲーションの機能と実装につ いて解説している. 井手一郎,山肩洋子による「食メディア研究の 20 年 を振り返って」では,過去 20 年間の食メディア研究の 動向や国内外の研究コミュニティについて著者らの経験 を踏まえて紹介しており,これから同分野の研究を行い たい研究者にとって,良い指針になるはずである. なお,今回の記事で紹介されているように,NII-IDR から公開されているクックパッドと楽天レシピのデータ セットは,国際的に見ても収録数が多く,人工知能の研 究開発環境で遅れをとりがちな日本にとって,数少ない アドバンテージの一つである.本特集がきっかけになっ て,さらに多くの研究者が本分野に挑戦し,さまざまな 研究成果を生み出すことで,人間の日常生活の向上につ ながることを願っている.

特集「料理情報の知的処理」にあたって

風間 一洋

(和歌山大学)

原島  純

(クックパッド株式会社)

参照

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