0:墅● 07S ▲G▲ h 既
累川 岡 曜 嬰 り膃 OT T− CHNOLOGy Vo124
,
No.
1,
1990電
力
に お
け
る
超 電
導
エネ
ルギ
ー
貯
蔵
の
評 価
増
田正
美
*Assesment
ofSuperconducting
Magnetic
Enargy
Storage
for
Electric
Utility
Use
Masami
MASUDA
The
Superconducting
Magnetic
Energy
Storage
(SMES
)is
aningeneous
use of one of the character−
istics of superconductiv 董ty so called permanent current.
The
currentin
superconducting coil flowspermanently because of the zero resistance of superconducing cable
.
The energy is stored 1n a magneticfield
as adistored
space,
The most excellentfeature
ofSMES
is
the storage e笳ciency.
It
is
better
than 90% while other means
,
for instance,
pulnped hydro,
battery storage and compressed air storagehave poor ef 丘ciency of aro 岨 d 65%
.
The point is,
however , the large scale application of superconduc・
tivity for utility scaleSMES
is far beyond the present technological level.
In
th量s paper thebasic
principle,
engineeringfeasibility
and economics ofSMES
for
utilityhave
been described,
The
conclusionderived
from this study is that the large scaleSMES
as the pumpedhydro alternative is technologicaly feasible and has the good potential for commercialization
.
The small size
SMES
has also been discussed and the possibility of commercialization is measured.
ま え が き 我 国の電 力需要は特に 夏に ピ
ー
クを迎え るが,
そ の原 因 の1
つ に,
クー
ラー
とテ レビの 同 時 併 用が上 げ られ る。
図 1は一
例 と して東 京電 力の 1 日の 電 力 需 要変 動を 示 す ものである。 これを見 ると,
夜 間に は電力需要 が少 な く,
昼間に大 きな負 荷 ピー
ク の ある のが わ か る。 この よ う な負荷変 動に対 する解 決策の 1つ が,
夜 間電 力 を 貯 蔵して昼 間に発 電 する電 力 貯 蔵の役 割である。 表 ユ は, 現 在 電 力業 界が検討し てい る電 力貯蔵 装 置の効 率 を一
覧と し た ものである1) 。 現在 電 力業界で 実用的に使 用 されて い る唯一
の もの は 揚 水 発 電で ある が,
その効 率 は約65〜70
% であ り,
夜 間電力の貯 蔵 も30〜35
% の 損失のあるこ と を意味して い る。
現 在 電 力 貯蔵と して研 究 中の他の貯 蔵 装 置,
た とえ ばバ ッ テ リー
貯 蔵や 圧縮 空 気 貯 蔵 も,
その効 率はそ れほど 良い ものではない 。 超 電 導エ ネル ギー
貯 蔵 (SMES )は これ ら貯 蔵 装 置の中では 傑 出して い るの が わか る。 これはSMES
の 場 合エ
ネル ギー
変換過程 が単 純である からで ある。 総 需 万kW3000
25002000
要1500
1000
東 京 電 力 1978,
7.
25 1978,
1,
191977,
10,
7
1 5 0 寺 − 1 日 5 − − 亥 20 図 1 東 京 電 力 の 各シー
ズ ン に お ける 日 間 負 カー
ブ 表1
各 種 電 力用エ ネル ギー
貯 蔵装置の 効率 方 式 運 転 効 率 (% ) * 材 料工 学 科 教 授 平 成 元 年 10 月 12 日受 付 電 池 池 気 蔵 蔵 貯 貯 発 電 電 空 力 勸 水 蓄 型 縮 水 導 下 電 揚 鉛 新 圧 地 超65〜7075
〜
8075〜
80〜7067
〜
7290 以 上NII-Electronic Library Service 相模工 業大 学紀要 第
24
巻 第1
号 こ の よう な,
超 電導を用い た電 力貯蔵 装 置 (SMES
)の 実用 化の研 究は,
日米 と もに 1980年 頃か ら 開 始 され た。 我 国で は,
新エ ネル ギー
総 合 開 発 機 構 (NEDO
)2)が,
ま た (財)エ ンジ ニ ア リン グ振興 協会 (ENAA
)3) が,
こ の 技 術の アセ ス メ ン トを計 4 ケ年行なっ た。 これ に参加し た委 員は,
大学,
国 立 研 究機 関, 民 間企業らの研 究 者で あり,
産官 学の協 同 研究体 制で ある。
民間 か らの参加に は, 電 力,
重電,
重工,
鉄工, 建設, ガス , = ン ジニ ア リン産 業 などが参加 し て い るQ これはSMES
が非 常に 広い範 囲の総 合技術を 必要とする こ とを意味 し てい る。 本 論 文は これらの活 動に よっ て開 発 中のSMES
の 評 価 を 行 うの を目的 とし てい る。SMES
の 原 理SMES
の原理 と な る永久 電 流の実 験は,1911
年 超 電 導の発 見 者であるオ ラン ダ ・ ライデン大学の カ メ リン ・ オ ンネス 教 授に よっ て試み られてい る。 図 2(A)は そ れ を 示し た が, ガ ラ ス製の魔法瓶の中に液体ヘ リュー
ムを 充 満し,
その 中に鉛で作ら れ た超 電 導コ イルを 漬 け,
図 に お けるス イ ッ チ S1 を 閉 じ, バ ッ テ リー
電 源か ら電流 を流 すと次 式に した がっ て電流は時 間と共に直線 的に上 昇する。V
=L ・
dl
/dt
こ こ で V: コ イル 端子 電圧L
: コ イル のイ ンダク タ ン ス 」: コ イル の 電 流 こ の電流 値がある所 定の値に 達 する と, (1
> ス イ ヅ チS2
を 閉 じ て液 体ヘ リュー
ム 内で閉 回 路 を 作 り,
これに永 久 電流を流し た もの で ある。 ス イッ チ S2 も超電導 材 料 を 電 極 として,
そ れ を 機 械 的に接触 させ る ものを製 作 すれ ば,
この閉回 路 は すべ て 超電 導と な る 。 こ の回 路に流れ る電流は理 論 的に は次式に従っ て減 衰 する。 1= lo・
”
tt「 こ こでlo
; コ イル の初 期 電 流 値1
: コ イ ル の減 衰電流値 τ; コ イル の時 定数 (2) こ の時 定 数 τ はコ イル の イ ソダ クタ ン ス L を抵
抗 R で 割っ たもの であ り,
し た が っ て 抵 抗 値がゼ ロ の回路で は 時 定 数が無 限 と な り,
超 電 導は本 質 的に 抵 抗 がゼF
で あ る の で電 流は無限 時 間 流れ る こ とに な る。 これ が超電導 の永 久電流で ある。 現 在のSMES
に おけ るエ ネル ギー
充 電,
貯 蔵,
放 電B
、,,e,y
「
(A
)A.
C.
Line
Superconducting
−
rMagnet
」
噛
’
一 “
一
「一胴
PerSiStent
dUrrefi
書CryOgeniC
Are
α (B
) 図2
超 電 導エ ネル ギin 貯 蔵 ・ 原 理 図 (発電)の原 理 も,
これ と異な るもので は ない。 図2
(B) の よ うに現 代 的 なサ イ リ ス タ 変換 器を用い るだ けであ る。 こ のサ イ リス タ変換 器は,
大 小さ ま ざ ま な ものが実 用 化 さ れて お り,
最 大級の もの は電 力に おける直 流送電 に実 施さ れ てい る。 北 海 道 電 力 と東 北 電 力は,
津 軽 海峡海 底に直 流 送電線 を 敷 設し,
北 海 道 電 力は 函 館に サ イ リス タ変 換 所を おい て交流 を 直 流に し,
東北 電 力は下 北 半 島に おい て これを 受 電し,
.
直 流を交 流に 変換し て送 電線と リンク し て い る。 図2
(B
)に おい ても, 充 電 時に は交 流 を 直 流に変 換 し て超 電 導コ イ ル を励 磁 し,
所 定の電 流 値に達 する と超 電 導ス イ ッ チ (これはサ イ リス タ で置 き 換 えるこ と も出 来 る) を含む閉 回 路に還 流 さ せ て貯蔵 し,
発 電 時には変 換 器の サ イ リス タ点 孤の 位 相 角を逆 変換モー
ドに して直 流 を交 流に するものである4) 。 その動作はエ レ ク トロ ニ ク ス の 故に簡 便で あり,
か つ レ ス ポ ン ス も早い 。 こ の レ ス ポ ン ス の早さ,
別の言葉で は瞬動性は,
現在 稼 動し てい る揚 水発 電では 不可能なもの であ り,
SMES の 特長の 1つ と して み られてい る。 電 力 用SMES
の 聞 題 点 電力用SMES
は,
小 型の系 統 安定 化,
無 効電 力 調 整一
32T一
N工 工一
Eleotronio Library電 力に お ける超 電 導エ ネル ギ
ー
貯 蔵の評 価 (増田 正美 ) 電 磁 力 用 外 部 図 3 コ イ ル の 膨張 を外 部 タガで防止 す る コイル か ら,
上記の大 形 揚 水 発 電に代わ る もの ま である が,
小 規 模の超 電 導 技 術は現 在で も確 立 されて お り, し た が っ て経 済 性を除い て はそれほ ど技 術上の問題 点 があるわ け で はない。 そこ で こ こ で は大 型のSMES
,1
例 とし て基 幹 電 力 系 統に おけるピー
クシ ェー
ビ ン グ機 能 を 目的 と し た もの につ い て述べ る。 こ の よ うなSMES
は,
まず そ の規 模の大きさ か ら来る問 題 点 が ある。 そ れは,
大 規 模 超電 導コ イ ル の発 生 する電 磁 力 閉 じ込め の問題である。 い か な る保 存力の 場にお い て も,
閉じ込め ら れた エ ネ ル ギー
は最 小の ポ テン シ アル 状態に落ち着こ うとする。 そ れは究 極 的に は エ ネル ギー
を 発 散させ るこ と で あ る。 電 磁 空 間に おい て は,
超 電 導コ イル が電磁 場を作っ てエ ネル ギー
を 貯 蔵 す るが, こ の場 合におい て もコ イル は膨 張 して破 壊 されよう とする。 その破 壊 を 止める 原 始 的な 方 法は,
図3
に示 すよ うに ス テ ン レ ス 鋼に よるカ ラー
で あろ う。 こ の よ うな 構 造 物の 材 料 強 度 と 比 重 を仮定 し て,
上記 電磁 力 に対 処 す る ため に は,
ある程 度の重 量が 必 要であ るが,
それ は次 式 Viria1 の定理 に よっ て評 価 で きる5)。
W = le・
E・
ρ1
σ (3
) こ の 式 におい て,E
なるエ ネル ギー
を 貯 蔵 す るた めに は,
比重 p,
強 度 a なる材 料が,
重 量W
必 要だ と言 う こ とに な る。 k は形状か らくる因 子であ り,
概 略 的 な 議 論で は無 視で きる。 大 型 SMES,
例え ば現存揚 水 発 電の最 大 規 模,1
,000
。
kWh を貯 蔵するもの に おい て は,
上 式 を 適 用 して み る とこの W は 200 万 t と な り,
こ の構 造 物 材 料 価 格の みでSMES
の経 済 性 を 破る こ とに な るD こ の よ う な問 題 解 決のため に,
従 来か ら大 型SMES
は地 下岩盤の 中 に構 築 し よ うとする計画が練られた。
図4
は こ の よう な 大型SMES
を地 下岩盤に設 置し た 想像図であ るs>。
地下 150m の深 さに お い て硬 質の花 崗 岩 体に,
高 さ約15
m , 幅 約7m
の トン ネル を掘り,
そ の 中に ス テ ン レ ス鋼壁で容 器を作 り内 部を 真空に し て,
いわ ゆ る魔法 瓶 を作る。 その中に液 体He
を溜め,
その 図4
一
一
NII-Electronic Library Service 相 模工 業 大 学 紀 要 第
24
巻 第 1 号 衰 2500 万kWh
SMES
の 諸 元 (JAPAN
) (EPRI
) StoredEnergy
Output
Power
Aspect
Ratio
Coil DiameterCoil
Height Underground Structure DepthPeak FieldHe
TemperatureCon
Current
No,
of Turns InductanceConductor
Size
Material
Length Weight Aluminum Structure Excavation Conv.
E伍 ciency CryogenicLoss
Overall
E伍ciency (MWh ) (MW
) ) ) mm ( ( (m ) (T
) (K
) (kA) (H
) (cm ) (km ) (Ton
) (Ton
) (M3 ) (MW
) (% ) 5,
0001,
000
0.
1400
376
400
10 .
8
18.
0 10,
83・
tunne1150
8.
4 4.
2 707330
71 .
8
21
×10Nb3Sn40325 ,50026
,0005.
4
×100
0.
956.
00.
905
,5001
,0000
.
01156815TRENCH 157.
01
.
876511267.
613・
5φ NbTi57424,
00041 ,0005
.
3Xloo O.
945.
30
.
91
Provisional classificatk )n of granitic rocks in the main part of Japan
o , 」
肺
. ■診
彡
,
s
、’
,t
訪
メ
転
謬
“3
窃
●
TsukubaTokyo%
Triassic Granitic Rooks 中 生 代初 期(三− 紀 )
鰡 Cretaceous Granitic Rocks 中生代 初 期 (白亜 紀)
区
1Lat
・T・rti・ry・G… iti・R・。k・第三紀図
5
わ が 国 花 崗 岩 分 布 図一 34 一
電力 に お け る超 電 導エ ネル ギ
ー
貯 蔵の 評 価 (増田 正 美 )t7
,
’
7
Epicenters
of main earthquakes onland
in
Japan
(
A
.
D
.
6791978
) {’
・
響
.
9暫
7’
c
嶋 !;
;e
翼
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曽
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一
一
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.
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一
一
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層
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79
」
,
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亀
亀
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’
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.
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r ♂.
o込
響
t°
杉∂’
・
。
/ イ ●o● ● A 、 ♂ ● 覧 ●,
,
ノ.
Jt「
F卩
Magnitude
Larger
than7 .
0
6.
0−69
’
Smai
「θr than5.
90r
not
yet
determined
図6
過 去 の 震 央 地 図NII-Electronic Library Service 相 模工 業大 学 紀 要 第 24 巻 第 1 号
He
容 器の中に超 電導コ イル を設置し よ う とするもの で ある。500
万キ 囗 ワ ッ ト時SMES
500
万kWh
のSMES
とは 揚水発電では 中規模に相 当する。 北 海 道 電 力では基, 東 京 電 力,
関 西 電 力で は数 基 を 必 要 とする規 模で ある。 こ の よ うな実用規 模のSMES
の概 念設 計は な さ れ た が, その諸 元 を 表2
に一
覧 とし た。 また ち ょ う ど 同時期 に ア メ リ カEPRIe
) が行な っ た研究の 結 果も 共に示 し た。 両 者の設 計に は,
国情,
つ ま り土 地価格の差,
産業構
造の差な どが 反 映さ れ てい る。 日本の ものがエ ネル ギー
密 度の大 きい , 直 径 400m の コ イル に対 して,
ア メ リカ の もの は直 径1,
5km
である。 ま た超電導 材料にお い て は 日本がよ り前 進しte
NbsSn を 用い るの に 対 して,
, ア メ リカ は保 守 的で あ りNb −Ti
を採 用 し てい る。 し か し冷 却に関 し て は ア メ リ カが 革新 的な 1.
8K の液 体 He を 採 用 し てい るの に 対 して,
日本は保 守 的で あ り,
4K の液 体He
で あ り,
産 業 構 造の差 を 示 し てい る。 し か し,
意味の あるのは,
こ の ように完全に独立 し た 日米に研究である に関わ らず,
その結 論と し た効 率に関 し て は,
ともに90
% 以上 を示 して お り,SMES
が高 効 率を特 徴と し てい る貯 蔵装 置であ るこ とを 証 拠 立て てい る。 用 地 問 題 こ の様に電 磁 力に 耐 えるた めの構 造 物 とし て,
地 下 岩 盤が必 要で あるが,
果た し てこの よ うな岩盤 が 我 国にあ るの で あろ うか。 こ の よ う な疑 問に対 して,
図 5は地 表 に露 出し た花崗岩の分布を 示 し たもの である。 し た が っ て この近 傍に は地 下に も 良 質の花 崗 岩が存 在 し,SMES
建 設適地だとい うこ とがで きる。 これを見る と,
関東 地 方で は阿 武 隈 山 系。 その南 端は筑 波 山であ り,
筑 波 山の 北 側は良 質の岩 石 産 出 場 として著 名で ある。 関西に も, 四国に も,
九 州に も適地が存在 するの がわ か る。 ア メ リカ の設 計は記 述の よ うに,
その エ ネル ギー
密 度 は 低く,
し た がっ て硬 質 岩 盤に構 築 する こと を 必ず しも 必 要 としない。 し たがっ て,
中西部の ナイア ガラ 泥岩 に,
あるい はロ ス ア ラモ スの砂 岩に構 築 するとい う計 画 を持っ てい る く らい で ある。 我 国に は適地 が 数多く在存 すると言 っ て もよい だ ろ う。
し か し,
我 国に とっ て 特に 重 大 な 問 題は 地 震 で あろ xlO: 1.
5 0 5 含 OO)
ZOF く α 凵 畄 り り く O 含.
05t.
1 (T
,) (Tv) M k h しUMPED MAsS SYS了εM一
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一
権 7幺ゴ=5D一 ・
佑 6急」=
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、
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’
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9
.
!’
、,
’
黙
‘、
.
3.
5 PERIOD(sec ) 13
図7
最大規 模 地 震の周 波 数 特性 とSMES
の共 振点Tv
;縦 方向TH
:水 平 方 向 う。 図6
は過 去の震 央を示 し た もの で ある が,
上記 阿武 隈山系は 地震 的にも静か な ところ とい うこ とができる。 さ し あ た り適地の第 1候 補であろ う。 図7
は過 去の最 大 級の地震に おける振動数を示 した も の である が,SMES
の 超 電導コ イル が図に示 す 構 造に よ っ て支 持さ れて い る と し て, その固有周波 数を 求め て み る と, 地 震の振 動 数 とは共 振しない こ とがわか り,
地 震 波か ら うける加 速 度は小 さい こ とがわ か る。 経 済 性の問 題 以 上の フ ィー
ジ ビ リ テ ィ ス タ ディ か ら,
この よ う な実 用 規 模のSMES
は,
現 有 技 術に よっ て建 設,
運 転が 可 能だ と し たが,
は た し て経済性は とい う疑 問 が 残る。 経 済 性の問 題は, C!V 法に よっ て な さ れた。 こ こ で C と はSMES
の コ ス トであり,
V
と はSMES
の価 値であ り,
こ の 両 者の 比較か ら経 済 性 を 議 論 する。SMES
は夜 間の原 子 力 ない し石 炭 な どの大 型 火 力の電 力を貯 蔵 し,
これを昼 間に発 電 するの で あるが,
その場 合,SMES
が無 くて石 油 火 力で発 電 した 場 合の コ ス トを 表 3500 万 kWh,
100 万k WSMES の限界 建設費 (1000
円1kW
) 貯 蔵減 資 比較火 力 稼働 率 (15
%) 稼 働 率 (20% ) 低 高 低 高 原 子 力 LNG 333.
6 405.
6 363.
9 435.
9 石 油297.
9398 .
7 335.
5436.
3 石 炭LNG
289.
5361 .
5
305.
9377
.
9
石 油 253.
8354,
6@277
.5378
. 一36
N工
工 一Eleotronio Library電 力に お ける超 電導エ ネル ギ
ー
貯 蔵の 評 価 (増田 正美 )SMES
の価 値 (V) とする。 こ の 価 値 (V)とコ ス ト (C
)を比 較し て
,
イー
ブンなコ ス トをSMES
の経 済上の限界 建 設 費 (BECC , Break Even
Capital
Cost
) とするもの で ある。 こ の よ う}こして出 さ れ た BECC を表
3
に一
覧 とし た 。 その値は,
比 較発電プラ ン トの コ ス トの上限, 下限,
ま たSMES
の稼 動 率 に もよ る が,
お お よ そ 25万 円 〆kW か ら 45万 円 !kW まで の範 囲であ る。500
万 キロ ワ ッ ト時SMES
の建 設 費 こ の よ うに経 済上 の 限界建設費ば評 価で きた。 従っ て 建設費が これ と比較して どうか が問題である。表 2 に示 さ れ た諸元に よっ て
,
建 設 費を評 価す る。
表 4 は こ の ため の 構 成 各 部 分重 量 を 示 し た。
こ れに よっ て500
万kWh
SMES
の建 設 費は,
表 5 }こ示 すよ うに な る。 これ を見る と,
直 接費1850
億 円に対 し て,
間接 費872
億 円, 予備費 185 億 円 を 考 慮 して い る。 総額2900
億 円であ り,
出 力 100 万 kWh で ある ので,
これ を建 設 費 単 価に評価し直す と,
29万 円1kW
と な り,
上記のBECC
との比較がで きる。こ の 建設 費 単 価は
,
明らか にBECC
の範囲内の下 限 に属 して い るの が わか る。 つ ま りこ の 種 の議 論上で は経 済 性が成り立つ とい え る。 ア メ リ カ の 研 究に おけ る経 済 評 価 手 法は 日本の もの と は若:
F
異な り,
直 接に両 者を 比較 する こ とは で き ない 表5500
万 kWh,
100万kW SMES の建 設 費 見 積 り (億 円) 部 品 費 工 事 費 直 接費 総 額 間 接 費 予 備 費 超 電導ケー
ブル 低 温 構 造 断 熱支 持 ヘ リウム容器 熱シー
ル ド 真空容器 冷 却 シ ス テ ム 液 体ヘ リ ウム ナ イ リス タ 変 換 器 制 御, 保 護シス テ ム 地下 空 洞 コ イル 組立 (総 建 設 費の30
%) (直 接 費の 10% )561
264240
39
39
94 74 3200
40 137 1591 ,850
872 185 総 建 設 費 (建設 費単 価 )2
,907
(29 万 円1kW
) が,
「この種のSMES
の コ マー
シ ャ リ ゼー
シ ョ ン・
ポテ ン シ ャ ル は高と」と言 う表現を し て 結 論を下 して い る。 超電 導の よ うに 高価な材 料 を 用い た装 置が,
こ の よ う に経 済上の現 実と なっ たことに は大い に意 味がある。 表 5 に示 し た建設費 算 定に おい て,
超電導ケー
ブル の 単価 は現 在の超 電導原 材 料 費 と超電 導ケー
ブル加工費を その ま ま用いた もの で あ り,
岩 盤 屈 削,
材 料の単価に お い て も,
現 在 価 格を用い て い る。 開 発 シ ナ リオ 表4500
万kWh
装 置の要素別 重 量 (t) 導 体 低 温 支 持 断 熱 支 持 真 空 容 器 He 容 器 熱シー
ル ド Nb3Sn 純アル ミ そ の 他 ア ル ミ合金 FRPFRP 受け台 べ一
ス 真 空 壁 支 持 台 岩 盤 支持 He 壁 支 持 材 シー
ル ド板 イ ン シュ
レー
シ ョ ン 地 下 空 洞 屈 削量He
液 量 1,
99020,
60036026
,000
1,
600 5,
20017,
750
ユ1,
530 7,270 7,070600,
000m
3,
200 2,
510 980 8.
6x 106 m246
×10
些m 呂 400m3 こ の よ うにt 評 価研 究に お い て プラス と結 論が出 た 限 りにおい て は,
その開発に対して前 向 きの 姿 勢が 必要で ある。 図8
は,
最 終 的に500
万kWh
の ものを建設 する と し て,
その 開発シナ リ オを 作 成し たもの で ある。 まず で きるか ぎり早 期に試 験 プラ ン トを建設 す る とし て,
エ ネル ギー
規 模で 50 MJ の ものが 提案さ れて い る 。 つ ぎ の段 階とし て は,
原 形プラ ン トとし て 10〜
20MWh,
実 証プラ ン トとし て 100MWh
,
最終の 商用 プラ ン トは 5QOO MWh で あ り,
その 実現 は 西暦 2020 年 頃 として い る。 これに示 された 開 発 速 度は 特異 なもの で は ない。 ス テ ッ プ・
バ イ・
ス テ ッ プで大 型に進む開 発は,
過去に お け る原 子 力, ま た巨 大 科 学 として の加 速 器に おい ても 同じ 速 度で行 な わ れて い る。 50 MJ の 試 験プラ ン トの諸元 を 表 6に示 し た。50
MJ
NII-Electronic Library Service 相 模工業 大 学紀 要 第
24
巻 第 1 号 西 暦1980
19851990 1995 2000 2005 2010
2015 試 験プ ラ ン ト 附 調 査 設 計 建設 運 転 13kWh l 原形 プラン ト1
万kWh
/
「
ハ
・
・
縛
開 発 ス テ ッ プ唇
ド ’
1
実証プラン ト1
°齢
L
. , 1100〜500
万kWh ノぞ 旨”
脾.
槻丁
、
叺
捌 建痘
図 8 ピー
クシ ェー
ビ ン グ 用SMES
の 開 発 ス ケ ジュー
ル 表 650MJ 試 験プ ラ ン トの諸 元 量 量 状 径 さ ス 流 料 部 容 容 形 直 高穿
材 ル ル ル ク ル 導肇
イ ・ イ 汐 ・ 電 貯 発 コ コ コ イ コ 超 低 電 磁 力 支 持 50メ ガジ ュー
ル (13kWh ) 3000kW ソ レノイ ド単 層 巻き 5m1.
5mO
.
15H26kANb3Sn4K
液 体ヘ
リュー
ム プー
ル ポイ リン グ 地 下岩 盤 表 7 各 種 超 電 導 応 用機 器に 必 要 な 張 り込み量 と消 費量 張 り込 み量 消 費 量 の一
般 的 な 超 電 導 コ イル はそ れほ ど技術 的に 問 題が な い。 しか し,
この コ イルは最 終の商 用 規 模SMES
の持 つ 様 式,
柔 構 造の超 電 導 コ イル を岩 盤に 支 持 する,
と 言 う概念をすで に持つ もの である。
し た がっ て,
こ の構 造 は人 類 がい ま だ かつ て経 験 し た事の無い もの で ある。 そ こ に この プラ ン トを進め る 理 由 がある。SMES
(500 万 kWh ) 送 電 (AC ) 送 電 (DC
) (500 万kW
) 発 電 機 (100 万 kW ) 核 融 合 炉 (100
万kW ) MHD (100
万 kW )300
7001100km300
!100km0.
2 70 41
〜 50。
03〜0.
2
2〜
8 高 温 超 電 導の必 要 性 1986 年発 見さ れ た 高温 超 電 導は 各 界に イ ン パ ク トを 与え たが,
これ を SMES に用い た場 合 を 考え る。 こ こ で,
高温 超電導とは液体窒 素 温 度で の使 用を 可能 と す る 超電 導である とする。 我国 は He をほ とん ど輸入に頼っ て お り,
し か もほ と ん どア メ リカか らで ある。 し たが っ て,
液 体 窒 素で 可能 と する高温 超電 導は特に我国に お い て注目され る ところ で ある。 表 7は従 来か ら検討されてい る各種 超電 導 応 用 技 術に 必要 な液体He
の 張 り込み 量 と消費量 と を 示 し た。 これ を見る と, 最 も液 体且e を 大 量に 必要とするの は,SMES
と超 電 導送 電で ある。 同 じ く超電 導応用技 術と し て の発 電機, MHD,
核 融 合,
加速 器 な どは そ れ ほ ど大 量の液 体 He を 必 要 としない。一
般の 電 力 関 連 技 術に おい て材料 供 給に問 題の ある技 術は,
そ れ がどの ように魅 力 的 な 特 性 を 持 と う と 受 け入 れる こ と が困 難 な もの である。 し たが っ て,
SMES とか 送 電の ような電 力関 連技術に おい て,
高 温 超電導の導入 はもっ とも歓 迎さ れ る もの であろ う。 高 温 超 電 導 を 用い たSMES
現 在 高 温 超 電 導 と 言え ば,
臨界温度の高い もの と し て はY −Ba −Cu −0
系がある。 こ の よ うな 酸 化 物超電 導に つ いての問 題 点は各 地で議 論 さ れて い る 。 その最大の も の は,
電 流密度がとれ ない と言 うこ と である。 表2
に示 し た よ う に,
日本が SMES の設 計に おい てNb3Sn
を4 .
2K
で使用し,
ア メ リ カがNb −
Ti を 1.
8K で 使 用 とする の は,
その 電流 密度を少 し でも 高い特 性に おい て 使 用 し たい た め であ る。 しか し,
酸化 物超電 導は現 在の とこ ろ これ らの 電 流 密 度に 比 し て, 約1
/100
に し かな ら ない。 その電 流 を 制 限して い る粒 界の問題は徐舟}蠏一 38 _
N工 工一
Eleotronio Library電力に お け る超 電 導エ ネル ギ
ー
貯 蔵 の評 価 (増田 正 美)1010
にξ
s
颱109
108
Nb3Sn
Nb −T
}rBa
℃ u_
0
(4
.
2K )
(o) (A
)終
℃・一
・ (77K
) (B
) Y−
Ba−
Cu−
010
磁 界 強 度 (T )20
図9
低 温 お よび 高 温 超 電導材 料の 電 流 密 度 A :現 在の 特性 B ;C: ピ ン理 論か ら 出 し た特性10K
T
(臨 界 温 度 ) 95K B(臨 界 磁 場 ) 液 体 He 温 度での特 性 NdTi の特 性カー
ブJ
(臨 界温 度 )T
(臨 界温度 ) 液体 窒素温 度 で の特 性YBCO
の特 性 カー
ブ 図10
低温超 電 導 (NbTi > の3
特 性 比 較 B (臨 界 磁 場 ) 100T と高温超 電 導 (YBCO
) 決さ れ る徴 候 が 見え て い るが,
もしそ う だ とし て,
粒状 と超電 導の コ ヒー
レ ン ト長 を仮定 し て推 定 し た電 流 密 度 を図9
に示し た。 これはある程度,
酸 化超 電 導の究極の 電流 密 度と見て も よい が,
液 体 窒 素 温 度で は とて も電 流 密 度が とれない こ とを示 し てい る。 あるい は十分な電流 をと る た め に は 液 体 He 温 度を 必要 とするか もしれ な い。 そ れで は高温 超 電 導の意 味が無い 。 ま た図 10 は こ の ような 酸 化 物 超 電 導 と,
従 来の もの との 3 特性 の比較を し た。 これ を見る と,
現 在の よ う な95K
近 傍の 臨 界 温 度で は 77K の液 体 窒 素 温度に近 過 ぎ,
十 分な超 電 導特性を 望 むに は,
臨界 温 度 に お い て 200K
を必 要 と するか もしれ ない ことが わか る 。 その 他に も,
例え ば永 久 電 流 特 性に おい て も,
また酸 化 物 超 電 導ケー
ブルの 安 定 化におい ても問 題がある が, そ れ がすべ て解 決 し た もの と仮 定し て高 温 超 電 導SMES
を考 慮 し た 場 合,
数多 くの利 点 が発見 で き る。 1) 液体窒素は He に 比 較 して その価 格は 無 視でぎる ほ ど安 価で あり,
かつ 資 源 的に問 題が無い 。 2) 液 体窒素 液 化装 置は He の もの に比 し て, 商用 化 さ れた 技術で あ り,
信 頼 性,
安 定 性,
経 済 性に お い て優 れてい る。
3
) 液体 窒 素温 度での断 熱は簡 単であ り,
現 在商用 化 さ れて い る液 体 天 然ガ ス貯 蔵技術が その ま ま利用 で きる。 ) ) ) ) 45ハ
07 多 層 真 空 断 熱を 必要 と しない 。 応 力 支 持 用 断 熱 構 造 物 が 簡 単に な る。
地下 岩 盤で の 空洞が小さくで きる。 パ ワー
リー
ドが簡便に なる。 な どで ある。 高 温 超 電 導500
万 キ ロワ ッ ト時SMES
超 電導が 液 体 窒 素温 度,
77K で実用 性 が ある とする と,
その冷 却 技術に略 [司 じ温 度である天 然 液 化ガス の技 術を転用 す るこ とがで き る。 日本の ガ ス会社の保 有す る 液 化 天 然 ガス タ ン ク の メ ン ブ レ ソは,
液 体 窒 素SMES
の断熱 材料と し て利用で ぎる。 図 11 は液 体 窒 素SMES
の地下 構 造を示 し た。 も は や真 空 断 熱を 必要 としない。 図に示すように,
上記メ ン ブ レ ン は超 電 導コ イル の外 側の液 体窒 素容器 壁 とし て機 能さ せ られる。 そのなか に液体 窒 素を 入れ,
これ が高温 超 電 導を冷却 す る。
低温か ら室温に か けて の電磁 力支 持 に お い て も,
温 度 差が小 さい ため に液 体 He に比 較 してNII-Electronic Library Service 相模工 業大学 紀要 第 24 巻 第
1
号7 〜
8
真空 容器 壁1
岩 盤「
− 9
真 空 領 域一 一一 .
曾
m ム/
鼓 ご 」1ド鹽
.
氈
幽
_
が L一
,
超電 導コイル と液 体He
容器 ベー
ス 低 温超電導SMES
の地 下 構 造攤
大 気領域
3
〜4m
断 熱壁 超 電導コ イルと 液体 窒 素容器 高 温 超電導
SMES
の地 下 構 造 図11
低 温及 び高温超電導SMES
の地 下構 造 低温 超 電 導 : 真 空断熱 高 温 超 電 導: 低 グレー
ド断 熱壁 長 さが短 くで きる,
し た がっ て空 洞 も 小さ くな り,
これ が空 洞 掘 削 費の減 少に結びつ くDさ らに簡素 化 し たもの と し て
,
岩 盤の表 面に 断 熱コ ン ク リー
トを吹き付け,
その中に液 体 窒 素を直接 張り込 む 方 法 も考 え られ る。 つ ま り,
高 温 超 電 導SMES
の設 計に は2
つ の選 択 が できる。 1つ は 従 来の設 計 を その ま ま採 用 し, したがっ て熱損 失 が従来の6MW
か ら800
KW
と小 さ く なり,
SMES
の効率が 90% か ら 95% まで向上 するもの,
他 の 1つ は 上記の よ う に断熱 方 法を簡 素 化し,
熱 損 失は改 良 され ない。 し たがっ て効率も 90% で あるが 建 設費を 減 少さすこ と が でぎる もの と がある。 この場合に はすで に 500 万 kWh で評 価 した 2900 億 円が,
約 30% 減少 できる。 こ の ど ち らが より経 済 的か の議 論は,
その運 用 方 法の よ り詳細な議論と共に 結論すべ き もの で あ ろ う。 小 型SMES
以上 500 万 kWh SMES , つ ま り基幹電 力 系 統の ピー
ク シ ェー
ビ ソグ用 につ いて議 論 し たが,
図 12 で は電 力 に おける SMES の規 模をか えて,
限 界 建設費と建設費 評価とを比 較 し たD 最 も悲 観 的 な 見 方は,
限 界 建 設費を 小さく厳し く見,
建設費を最大に見る場 合である。 こ の 場 合 経 済 性 要 求を満 足 させ る 規 模は 500 万 kWh と な一
40一
N工 工一
Eleotronio Library電 力にお ける超 電 導エ ネル ギ
ー
貯 蔵の評 価 (増 田 正 美 ) 100 50【
ヨ 漏 丶580
; 誘8
otoo 500 i。00Q 59000 iO零
OOQS
曾oroge capacity {MWh
】 図 12SMES の規 模をか え た 時の経 済 性BECC
:経 済 上 限界 建 設 費 る。 し か し 楽観 的な見 方に立つ と, つ ま り、
限 界 建 設費 は最大に見,
建 設費を最小に見る場 合,50
万kWh
の規 模に お い て も 経 済 性の成 立 が見え る。 しか し50万 kWh 以 下で は,
この よ う な手 法に よ っ ては経 済性 を 発 揮 させ 得る と は結 論でき ない。し か し
,
以上 の経 済評価の手 法,
つ まり,
深 夜の安 価 な 余 剰 電 力を貯 蔵 し,
これを 昼 間に発 電 して他 火 力を 不 必 要と させ る,
これは負 荷の底 部を持ち 上 げ (ボ トム ア ヅ プ) ピー
クを代替え (ピー
ク カ ッ ト) する方法である が,
こ の方 法で小 型 SMES の経 済 性を議 論する こ と は 無 理がある。 こ の よ う な小 型SMES
の有効 性を議論す るに は,SMES
が 排他 的に持つ 特 性,
例 えぽ,
瞬 動 性,
有 効 無 効 電 力の 同時 制 御,
秒単 位の 早さで の全 電 力の放 出 寿 命の長さ,
保 守の簡便 さ,
運 転 経 費の安さ,
その 他の特 性を付 加 価 値 と み て取 り入れる手 法の開発が 必要 だ ろ う。すでに述べ た ように
,
高温超電 導の開 発に よ っ て は,
SMES
の建 設 費は大 ぎ く減 少 する こ と がで ぎ る。 とくに 小型 SMES の建 設 費に しめ る, 超 電 導 材 料の コ ス トは 大 くい。 これ が 安価と なれば,
小型SMES
の経済性 は 上 記の限界を 通 り越 して,
か な り小 型の分 野に まで広が る 可能 性がある。1 例と して高 品 質の電 力と
,
絶 対 停 電 することの許さ れ ない イン テ リ ジェ
ン トビル の 電源 として,
1万kWh
くらい の規 模の もの, ま た太 陽 光発 電と組み合 わせ て 電 力 を 貯 蔵 する家 庭 用と し ての100kWh
の もの も,
考 慮 の 対象と な り うるだ ろ う。 し か し,
これ らはすべ て 今後 の 超 電 導 材 料の開発に よ るD結
言超 電 導エ ネル ギ
ー
貯 蔵 (SMES )の応用 範 囲は広いが, こ こ で は 電 力に おけ る応用 につ い てその 技 術を 評 価し た。 その結 論につ い て は大別 す る と2
つ ある。1)
揚 水 発電に 代わる実 用 規 模
SMES
につ いて,
現 有 技 術でも建 設 可能である。 2) 経済 性 も成 り立つ。 で ある。 し か し,
その 実現に至る 開 発 行 為 につ い て は ス テ ッ プ・
バ イ・
ス テ ッ プで進む必 要がある だ ろ う。 その開 発 シナ リ オ も提 案し た。本 論 文で は議 論 し な か っ た が
,SMES
か ら漏れ で る磁 場 が 生態 系に与え る影 響, つ まり環境 問題は無視で きな い。 放 射 線の 環 境問題の 前例 がある。 この テー
マ につ い ては世 界の各 研 究 機 関 が 重 点 的に研 究 して い るが,
現 在 まで の とこ ろ ま だ その影 響につ い て は認 識さ れて いな いo ) 1 ) 2 ) 3 ) ) 45 ) 6 参 考 文 献M
.
Masuda,
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Vol.
17,
57
(1987
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超 電 導エ ネル ギー
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超 電 導エ ネル ギー
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