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全ゲノムSNPデータの新解析手法の確立及びそれによる肺胞微石症責任遺伝子の同定

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Academic year: 2021

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全文

(1)

全ゲノムSNPデータの新解析手法の確立及びそれに

よる肺胞微石症責任遺伝子の同定

著者

呼 群

2344

発行年

2006

URL

http://hdl.handle.net/10097/22960

(2)

多多多多ー…………ー多多ξ一手ーー…多多ーー3一…ζーー…}一蓋

氏名(本籍)

学位の種類

学位記番号

学位授与年月日

学位授与の条件

研究科専攻

学位論文題目

論文審査委員

フ呼

チュン

群(中国)

士(医学)

医博第2344号

平成18年3月24日

学位規則第4条第1項該当

東北大学大学院医学系研究科

(博士課程)医科学専攻

Anovelhomozygositymappingalgorithm

utilizinghigh〔iensitySN'PgenotyPing

i〔ientifiestypeIlbso〔iiunlphosphate

co-transporter(SLC34A2)asacausative

geneforpulmonary'alveolarmicrolithiasis.

(全ゲノムSNPデータの新解析手法の確立及び

それによる肺胞微石症責任遺伝子の同定)

(主査)

教授貫和敏博

教授帯刀益夫

』345一

教授石岡千加史

(3)

論文内容要旨

肺胞微石症(Pulmonaryalveolarmicrolithiasis.PAM)は,リン酸カルシウムを主成分と する微小結石が肺胞腔に蓄積する常染色体劣性の稀少遺伝疾患である。全世界で現在までに数百 例が,日本では最近50年で約100例が報告されている。疾患発症のメカニズム,責任遺伝子と も不明であった。劣性遺伝疾患では,疾患発症には疾患遺伝子がホモ接合となることが必要であ る。一般に突然変異率は105-10-l」/遺伝子/世代と推定されており,突然変異によって疾患遺伝 子が生じ,さらにホモ接合となる可能性は高くない。近親婚によるホモ接合性の増加が原因とな り,特定の先祖がヘテロ接合として有していた疾患遺伝子がホモ接合となる機会の方が,特に日 本のように近親婚率が世界的にも高い国では遥かに多いと考えられる。よって,常染色体劣性の 疾患遺伝子は,近親婚によるホモ接合部位,すなわち同和染色体領域(autozygoussegment) に存在すると考えられる。同和染色体領域全ての遺伝子多型がホモ接合となる。よって,遺伝子 多型がホモ接合となる領域を検出すれば同和染色体領域が推定でき,さらに多数の患者で共通の 同和染色体領域を同定すれば,そこに疾患遺伝子が存在する可能性が高い。この原理は疾患遺伝 子解析に利用されるhomozygositymapping法の基礎となっている。 近年Gel/eChip技術が進歩し,全ゲノムSNPダイビングが簡便に行えるようになった。我々 は,homozygositymappingをGeneChip解析データに効率よく適用するアルゴリズムを考案 し,肺胞微石症の責任遺伝子同定を行った。肺胞微石症患者3例の末梢血ゲノムDNAを用いて GeneChipで得られたデータより,染色体4番短腕に12.7Mb長の共通のホモ接合領域を同定し た。この領域には50遺伝子が存在しており,うち31遺伝子は機能が推測されるか,または判明 していた。これらの遺伝子のうち,カルシウム,リン代謝に関与することが既知データより明確 な遺伝子はナトリウム依存性リン共輸送体遺伝子SLC34A2のみであった。SLC34A2はH型 Na『一Pi共輸送体遺伝子SLC34のファミリメンバーで,主に肺で高発現しており,肺胞微石症責 任遺伝子の候補と考え,患者検体で遺伝子変異の有無を確認した。6名の患者のうち2名がexOn 7の欠失心挿入変異,残りの4名がexon8のスプライシングのドナーサイトの変異を有していた。 10名の健常人でSLC34A2遺伝子の全コード配列を検索したが,全て正常配列であった。さら に患者で検出された遺伝子変異の有無を188人の健常人で検索したが,変異を有する者はなかっ た。患者でのハプロタイプ解析では,変異周辺のハプロタイプは両変異患者で保存されており, 両変異はともに単一の先祖から由来した変異(創始者効果:founderg・eneeffect)によると考 えられた。この遺伝子変異はSLC34A2のフレームシフト変異であり,正常蛋白の約半分長の 異常蛋白を生じる。変異SLC34A2cDNAより転写したmRNAをアフリカツメガエル卵母細 胞ヘマイクロインジェクションすることにより,変異SLC34A2が完全に正常機能を喪失して 一346一 マr 豊

(4)

ラマロ 確多

tーーー多多ー

-いることを確認した。 肺の表面活性物質はリン脂質を主成分とする。古くなった表面活性物質はマクロファージによっ て分解されることが知られている。それによって生じたりン酸イオンは1型肺胞上皮細胞で発現 するSLC34A2によって肺胞腔から除去される必要があると考えられるが,SLC34A2が機能し ない場合,肺胞腔内にリンが蓄積すると推定される。これが肺胞微石症で微石が生じるメカニズ ムと考えられる。 本研究において,我々は,肺胞微石症責任遺伝子が第4染色体のナトリウム依存性リン共輸送 体遺伝子SLC34A2であると決定した。肺胞微石症に対しては,カルシウム代謝をターゲット とした治療が試みられているが,その効果は明確でない。肺胞微石症責任遺伝子機能より,今後 はリンの代謝をターゲットした治療を開発していく必要があると考えられる。 一347一

(5)

審査結果の要旨

ゲノム解析がほぼ終了し,その膨大な情報をどう活用するかが現代医学の課題である。本学位 申請者は稀少疾患の原因遺伝子同定に,応用が進むSNPmicroarrayを用いた。肺胞微石症 (Pulmollaryalveolarmicrolithiasis.PAM)は,リン酸カルシウムの微小結石が肺胞腔に蓄 積する常染色体劣性の稀少遺伝疾患で,そのメカニズム,責任遺伝子とも不明である。劣性遺伝 疾患では原因遺伝子異常がホモ接合となる。近親婚ではホモ接合性が増加し,特定先祖のヘテロ 接合であった原因遺伝子がホモ接合となる機会が多い。特に日本のように近親婚率が高い国では かかる原因遺伝子を特定できる可能性がある。常染色体劣性の疾患原因遺伝子は,近親婚による ホモ接合部位(同和染色体領域(autozyg・oussegment))に存在すると考えられる。同和染色 体領域では全遺伝子多型(SNP)がホモ接合となる。逆に,SNPがホモ接合となる領域は同和 染色体領域となり,さらに多数の患者で共通(積集合)の同和染色体領域を同定すれば,そこに 疾患遺伝子が存在する可能性が高い。本学位申請者らはかかるhomozygositymappingを GeneChlp解析データに効率よく適用するアルゴリズムを考案し,以下のように肺胞微石症の責 任遺伝子同定を行った。 1)肺胞微石症患者3例の末梢血ゲノムDNAを用いてGeneChipで得られたデータより,染色 体4番短腕に12.7Mb長の共通のホモ接合領域を同定した。 2)この領域の50遺伝子のうち31遺伝子は機能が推測された。カルシウム・リン代謝に関与す るナトリウム依存性リン共輸送体遺伝子SLC34A2(且型Na'一P,共輸送体遺伝子SLC34の ファミリメンバーで,主に肺で高発現)に着目した。 3)患者検体で本遺伝子変異を検索したところ6名中2名がexon7の欠失一挿入変異,残りの4 名がexon8のスプライシング・ドナーサイト変異を有していた。健常人ではSLC34A2遺伝 子の全コード配列は正常配列であった。 4)患者でのハプ日夕イプ解析では,変異周辺のパブロタイプは両変異患者で保存されており, 両変異はともに創始者効果(foul/dergelleeffect)によると考えられた。 5)変異SLC34A2cDNAより転写したmRNAを用い,アフリカツメガエル卵母細胞発現系で, 変異SLC34A2がリン酸代謝の正常機能を喪失していることを確認した。 肺表面活性物質はリン脂質を主成分とし,マクロファージによって分解される。生じたりン酸 イオンはn型肺胞上皮細胞に発現するSLC34A2によって肺胞腔から除去されるが,異常SLC 34A2により肺胞腔内にリンが蓄積し,微石が生じる。本研究はゲノム情報を的確に応用し,肺 胞微石症遺伝子同定に成功したすぐれた論文である。 よって,本論文は博士(医学)の学位論文として合格と認める。 一348一 一

参照

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