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インクジェットにおけるドット形成メカニズム

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(1)

インクジェットにおけるドット形成メカニズム

塩谷

真*,岡崎 猛史**,田村 泰之*** (1997.6.11受理) Dot Formation Mechanism in lnk Jet Printing

Makoto SHIOYA,Takeshi OKAZAKI and Yasuyuki TAMURA

 We studied dot formation process of water based ink on inkjet paper.Experimental investiga− tion shows that an ink droplet spreads on paper in several microseconds and penetrates into paper in several miliseconds. We propose penetration model including void fraction of coated layer,ink且11up ability,ink spreading on paper s皿face by wetting,and ink penetration velocity.On the basis of the model, computer simulation program has been developed.The simulator can predict dot diameter on coated paper in10%error range. Key words:ink jet,dot formation,penetration,Saucer penetration model,simulation  インク滴がインクジェット用紙に浸透してドットを形成するメカニズムを検討した.実験は種々の体 積のインク滴をインクジェット用紙に種々の速度で着弾させ,インクが浸透する様子を観察するととも に,形成されたドットの径・断面を測定した.また紙の吸インク特性をブリストー法によって測定し た.  この結果,インク滴は紙に着弾後,紙上で数μs∼10数μsの時間オーダーで拡がるのに対して,浸透 は数ms∼数10msのオーダーで起きることが分かった.さらにインクの毛細管浸透の理論に基づい て,紙の空隙率・空隙へのインク充填率・紙とインクのぬれ性・インク物性などをパラメータとして含 む浸透モデルを考案した.このモデルによれば,インクジェット用紙上でのドット径を精度良く予測す ることができる.

1.はじめに

 インクジェット記録において画像を形成する単位とな るドットは,ヘッドから吐出したインク滴の紙表面への 着弾と引き続いて起きる浸透によって形成される.ドッ ト径は,インク滴の体積・着弾速度・インクの粘度・表 面張力・密度・紙の凹凸・空隙率・インクに対するぬれ  *キヤノン株式会社 B化成品開発センター  〒213−8512 神奈川県川崎市高津区下野毛3−16−1 **キヤノン株式会社 Bコンポーネント開発センター ***キヤノン株式会社 B商品設計センター  *CANON INC.BJ Supply Products Development Center  Shimonoge3−16−1,Takatsu−ku,Kawasaki−shi,Kanagawa,  213−8512Japan **CANON INC.BJ Component Development Center ***CANON INC.BJ Product Design Center 性などの要因によって支配される.ドットが形成される メカニズムを解明し,さらに与えられた条件からドット 径を予測することは,ヘッド・インク・紙の設計を行う うえで有用である.  種々の紙に対するインクの着弾,浸透については多く の研究が報告されている1)∼9).これらの報告においては 紙内部におけるインクの浸透速度,紙表面とインクとの ぬれ性,紙表面でのインクの蒸発などが扱われている が,バルクのインクまたは大容量(μ1オーダー)のイ ンク滴に関する研究が大部分である.Oliverlo), Borhan11)らはインクジェットで用いられる大きさ (p1)のインク滴を用いて着弾,ぬれ,蒸発に関する研 究を行った.また,鈴木,甘利12)はインク物性やインク 滴の速度とドット径の関係について研究を行っている.  我々はこれまでに着弾現象について報告し,着弾拡が       (13)

(2)

りが被記録材の物性に関係なく,レイノルズ数とウェー バー数によってのみ決まることを明らかにしたi3〉.本論 文ではインク滴が着弾後,紙中にどのように浸透して行 くかについて実験,観察を行った結果を報告する.ま た,インクが漫透してドットを形成するモデルを考案し た.このモデルと着弾に関する前報塒の知晃に基づい て,ドット径を定量的に予測するシミュレータを開発 し,シミュレーシ鷺ンを行った結果についても報告す る.

2.実

験  前報鋤の装置(飛g.三〉を用いて,インクジェットヘ ッドから吐出するインク滴をインクジェット用紙に着 弾・浸透させ,紙上のインク滴の形状変化を横方向から 顕微鏡とストロボ光学系を用いて観察した.この際,送 り装置を用いて紙を送り,常にフレッシュな面にインク 滴が着弾,浸透するようにした.用いたインクジェット

用紙は,シリカコート層を持つヘビーコート紙3種

(A,B,○,微量コート紙1種(D〉であり,それぞれの 紙のコート層の厚さは紙断面の電子顕微鏡観察により, A l34μ瓢,B l42μ艶,C l24μ撫,D l4μ瓢以下であ cα》c繍鶏織 醸αむ§c辮融

欝縫難獅轟癖癖鉾 嫉癖麟韓 智 欝鞍α騰鐙α 憾」麟蕪穣議雛 翼鍛感叢〉綴v雛 F嚢9ほAsc!he搬我ticd絵霧r&搬oft盤総expαi驚ε簸t撮   縫rr&鍛ge懲e簸t. s翫

ink  ro撫総 wれeel 尋曲碗一一一れeadしbox Fig。2 A schematic diagram of Bristow}s tester. (14) った.インクは水系で粘度7.5×10弓Pa・s,表面張力 5.22×10㎜2N/搬,密度i.06×iO3kg/m3を用いた.形 成されたドットの径,断面形状を光学顕微鏡を用いて観 察,測定した.ドットの断面は,紙をアルミ箔で包み, ドットにカミソリを当てこれをハンマーで叩くことによ って切断し,作成した.これとは別に,使用したインク ジェット用紙のインク吸収特性をブリストー法’4〉により 灘定した.難麟.2はブリストーの装置の概略を示したも のである.ホイールに紙を巻きつけヘッドボックスにイ ンクを∼定量入れ,ホイールを一定速度で回転させる. この時,インク量をγ,スリット巾をi,回転速度を 鍵,紙へのインク転移面積をSとすると,γ1Sより単 位面積当たりの吸インク量,レ鍵より接触時間が求ま り,鋸を変化させて測定を繰り返すことによって接触一 時間と吸インク量の関係が求まる.

3,結

果  3.裏着弾,浸透の観察結果  インク滴が着弾,浸透する様子の一例をPhoね1に 示す.前報鋤で報告したようにインク滴は着弾後約10 μsで平らな円盤状になる.その後,数10μs後にイン ク滴は表面張力によってドーム型になり,その形状を保 ちつつ高さを減じてゆく.インク滴表面からの水分の蒸 発は,実験および理論的検討(塩谷,未発表)により, i秒当たり数μ搬のオーダーで起こることが確認されて いるので,このインク高さの減少は浸透によるものと考 μ総£

  o

9

5G 眺遭roplet P縦pα 200 5001 i30G 1簿春 Photo.1 0bservation of impact and penetration     of an ink drOP.

(3)

Table l Observation results of dot diameter and    penetration thickness on four coated papers.    ∂:impact velocity(m/s),泥:ink droplet    volume(pl).    Z):dot diameter(μm),の:penetration    thickness(μm) 紙 Vd V

D

tD

A

153.3 141.8 141.8 140.5 134.7 133.1 132.8 129.1 110.3 107.0 99.0 84.3 83.4 67.8 7.10 7.10 7.05 7.00 3.35 6.30 7.00 6.30 5.60 5.60 4.90 2.44 3.50 2.30 166.7 178.8 161.6 163.0 153.9 154.0 165.1 159.7 151.9 151.0 142.9 124.6 127.9 117.1   一   一   一 24.3   − 26.0   一   一   一 24.6   − 23.9   一   一

B

147.9 140.4 121.6 71.1 7.00 6.30 5.60 2.60 171.5 171.9 163.0 124.1 24.1 25.6 23.3 19.9

C

136.6 119.3 109.1 71.1 7.00 6.30 5.60 2.60 147.9 137.2 132.4 109.3 17.0 14.5 18.2 15.0

D

122.6 105.2 103.7 67.0 7.00 6.30 5.60 2.60 175.9 171.8 165.3 130.8 13.3 16.1 17.0 16.9 れ ε >0 9。う の ε 三8 窪 ’8自 お 甥 q σご o

b

0

 5    10 COntaCt time廊 15 えられる.  3.2 ドット径,断面観察の結果  A,B,C,D4種類のインクジェット用紙にインク滴 を着弾,浸透させ,ドット径,ドット深さを測定した結 果をTable1に示す.表から,インク滴容量,インクジ ェット用紙の種類によってドット径,ドット深さが異な ることがわかる.しかし,例えば用紙Aのデータに見 られるように,着弾速度が∂=3.35m/sと6.30m/sの ように違ってもインク滴容量が同じであればドット径は あまり変わらないことがわかる.  3.3 インクジェット用紙の吸インク特性  4種類のインクジ手ット用紙の吸インク特性をブリス トー法により測定した結果をFig.3に示す.図は,イ ンクの紙への接触時間を変化させた時の吸インク量をプ ロットしたものである.液体の毛細管への浸透は,良く 知られているようにLucas−Washbumの式,     漉γCOSθ   1一       (1)       4η   (1:浸透距離,4:毛細管径,γ:表面張力,η: 粘度,θ:接触角,渉:時間) に従う15).ここで,紙とインクが一定なら,以下のよう に定める吸収係数κα Fig.3 Results of Bristow measurement.   ●:paper A,○:paper B,△:paper C,■:   paper D

  Kα_ゴγc・sθ      (2)

      4η は,定数となり,

  1−Kα〉7      (3)

となるので,時間の平方根に対して単位面積当たりの吸 インク量(浸透距離)はFig.3の実線に示すように直 線となる.この直線の傾きが吸収係数Kαであり,A: 1.7,B:1.8,C:2.4,D:0.44(単位はいずれも μm/〉而)となった.ヘビーコート紙A,B,Cが微量 コート紙Dより吸インク速度が速いのは,ヘビーコー ト紙が吸収の速いシリカコート層でインクを吸収してい るのに対して,べ一ス紙の繊維が表面に現われている微 量コート紙ではシリカ顔料と紙の繊維の両方でインクを 吸収するためと考えられる.また,Cでは吸インク量が 20m1/m2で飽和しているが,これはヘビーコート紙 A,Bに比べてコート層が薄いためであると考えられ る.  Fig.3の〃軸切片の値は初期転移量または粗さ指数と 呼ばれ,渉=0で紙表面の凹凸にインクが転移する量と 考えられており,この初期転移量(κ7)を考慮すると 式(3)は,

  1=・K7+κ伽7         (4)

と表せる1).初期転移量は,表面の比較的滑らかなヘビ ーコート紙では5∼7m1/m2,べ一ス紙の繊維が表面に 現われている微量コート紙では約10m1/m2であった.

4.考

察  4.1初期転移      −  着弾,浸透観察の際の紙上のインク高さの時問変化の 一例をFig.4に示す.インク高さの減少速度に注目し てみると,数10μs(図中の矢印)を境として減少速度 が急激におそくなるように見える.ブリストー法による 測定では測定技術上の問題から数ms以下の接触時間に おける転移を測定することができず,初期転移が0∼数 (15)

(4)

40

  1

談   i 、鱒20轡

婁 1↑撫

蓉 i

榊叫   軒   }   ト   ol 蟻 鷺繕轡懲    毒礁 繍離  癖   嶺  嬢 藤  嬢 ・一      」      オ      i      誘      …      縁      ξ      き      手      セ      4      ぎ 儲瀞燃     1 撫   燈  !   輔  藩      }

1し仙

    0、0 0.5  i.台  i.5 2.0  2.5 3.G      盛&ps磁tl鵬(鵬〉藏鍵t艶撫照ct 飛齢4A薇&ngεOfねk魏至墓麺o鍛p3per滋tα癒ε   i懲P&ct. 搬sのいつ起きるかについては分からないが,今回の着 弾,浸透観察の結果,初期転移は数鎗μsで起きている と思われる.これは着弾現象と同程度の時間オーダーで あり,初期転移が紙表面の凹凸にインクが単に埋めこま れていく現象であることを示唆しているのかもしれな い.  4,2 ドツト径の予灘  P難oto1,Fig.4から明らかなように着弾現象と浸透 現象はその時問オーダーが異なる.従って,ドット形成 を考えるうえで着弾と浸透は別個に取り扱うことができ る.すなわち,着弾現象は被記録材とインクの接触面積 を決めるので,その意味では浸透現象に大きな影響を及 ぽすが,接触面積とインク容量が同∼であれば,浸透現 象はそれ以前の着弾現象に左右されず全く同一となる. 我々は前報鋤で着弾時における被記録材とインクの接 触面積(以後,着弾時ドット径という〉を精度良く予測 する実験式を導いた.従って着弾時ドット径とドット径 の関係を明らかにできれば,ドット径を予測することが できる。

5.灘型漫透モデル

 インク滴容量と着弾時ドット径からドット径とドット 深さを予測するために,インクがインクジェット用紙へ 浸透する過程のモデル化を試みた.獄g.5にその概要を 示す.  5.1浸透速度  インクの紙中での浸透はLt繊s W濃s繍umの式(3.3 項,式(3〉〉に従って起きるとする.インク供給端(紙 面)からインク浸透先端までの距離を/〆(Fig、5の2) とすると,1ノは紙のコート層を含む値であるのに対し て,式(3)中での/は毛細管内のインクそのものの長さ であるから,紙の空隙率をεで,その空隙に対するイ ンク充填率をoで表すと,  (16) G.impact

     ink drOplet     VGi慧me=Vd  ↓ 1.st畿rt of penetratiOn

       _D*一

paper

㌘↓↓↓↓畜ぐ

2.pe難etr&tio灘        lag        l一一}“一輔袖“←

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3.麺ksettin怠      ←一一一D Dot tD vo王雛me二Vdot F量霧謙As雛e拠畿ticdi徳r&mofS寂讐cerpenetration   幾○δε至.

  cεゾ価」       (5)

となる.従って,浸透を開始してから時問!経過後のイ ンク到達距離は,式(3〉,〈5〉から,

  〆二血》7      〈6)

    cε となる.インク到達点(浸透先端)におけるインクの浸 透速度レは,式(6)を時問で微分して,     ゴ/1 1κα 1

  レ㌔r万τ萄7    (7)

霧に式(ε〉を代入して,

  ・一壱(暫ナ    (8)

となる.  なお,浸透は等方向的に起きる,すなわち浸透速度は 紙の申の縦方向と横方向で同一とする(Fig.5の1).  慧.2紙表籔の未浸透インクの移動  紙表面の未浸透インクは,紙の最表層中に浸透したイ ンクの動きに追随して拡がると考える。紙上にインクが 存在する部分の直下では深さ方向のみの1次元的な浸透 が起きるのに対して,ドットの横方向の先端部では拡が り方向も含めた3次元的な浸透が起きる.このため,ド ットの先端部ではインク浸透の体積速度が大となってイ

(5)

ンクの供給が間に合わなくなり,紙表面のインクが紙最 表層中のインクから一定距離(1αg)遅れて拡がると考え る(Fig.5の2).♂αgは,吸液速度(体積速度),紙上 インクの動きやすさ(インクと紙のぬれ性,インクの粘 性,表面張力)に関係すると考えられる.  5.3浸透領域  インクは紙中の浸透可能な領域にのみ浸透する.この 浸透可能領域は,紙の空隙中にインクが充填される部分 である(Fig.5の3).紙中でのドットの占める体積を 「V識,インク滴容量を帽とすれば,   6ε・%。孟=盟       (9) となる.  5.4 初期転移の取扱い  前節4.1で述べたように初期転移は数10μsで起きる と考えられるが,本モデルでは初期転移現象の0次近似 として,インクが紙に接触すると同時に転移すると考え る.このようにしても浸透現象に比べて十分短い時間な ので誤差は無視できる.転移したインクは,その後式 (8)の浸透速度に従って紙内部に浸透する.  また,初期転移は紙最表層でインクが浸透した部分に おいて起きるとする.すなわち,初期転移はインクー紙 の接触面のみでなく,紙内部からインクが浸透して新た に形成された部分(1αgの部分)においても起きるとす る. 6.シミュレーション 以上のモデルを基にドット形成のシミュレーションプ paper A ログラムを作成した.  6.1アルゴリズムの概要  ドットの断面形状は,5.1,5.2項の前提からFig.5の 3に示すように着弾時ドット径(∠)*)の部分で紙面に 平行,周囲部で曲線の皿型になる.従って,この曲線部 分(皿の縁)の形状を計算すれば,全体の形状が求ま る.以下にその計算方法の概要を示す.  i インク滴容量琉!,着弾時ドッド径o*を入力と して与える.  ii深さ方向を0.025μm問隔で2000メッシュに分 割.  iii微小時間(1μs)経過後の浸透先端を式(6)から 求める.  iv 各深さの浸透先端における浸透速度を,インク供 給端すなわち紙上インクの端部からの距離と式(8)から 計算する.  v 新たな浸透先端を求める.浸透したインクの容量 を計算し,インク滴容量と比較する.  vi未浸透のインクが残っていれば,5.2項に従っ て,紙上インクの端部を移動し,ivから繰り返す.  vii浸透が完了すれば,浸透先端の位置からドット径 jD,ドット深さのを求め,出力する.  viii微小時問の大きさは浸透先端の進む距離が一定に なるように与え,精度の向上と計算時問の短縮の両立を 図る.  6.2パラメータの推定  計算に必要なパラメータは,κα,6ε,1αgの3つで

,:じ卸

一 ゆ 1.5 2.0 paper B

瓶,

bのo od H { ゆ c’ 0.5 1.0 1.5 2.0 0.3   0.4   0.5   0.6   0.7       Cε 0.3   0.4   0.5   0.6   0.7       Cε paper C

,1励残

       、_,一ノ ゆ

0.3   0.4   0.5   0.6   0.7       Cε paper D

,彰児

H

ゆ    0.5 0.3   0.4   0.5   0.6   0.7       Cε Fig.6 Contour maps of the evaluation functionπ   on the6ε一16zg plane. (17)

(6)

Table2 Penetration parameters.    6:ink fill up ability,ε:void fraction of    paper    ∠‘zg:a lag of ink spreading on paper surface    (μm).    κα:penetration velocity(μm/〉厨).

paper

oε 1α9 κα

A

0.32

14.0

1.7

B

O.30

10.O

1.8

C

0.57

8.4 2.4

D

0.34

5.4

0.44

ある.これらを以下のようにして求めた.  まず,καは3.3項のブリストーの測定によって求め た値を用いる.  6εと掬は,インクジェット記録によって形成され た実際のドットの径と深さから求めた.その方法を以下 に詳述する.  i まず,評価関数πを次式のように定める.

・一.昇.{(笠舛+(傷斡!

      (10) ここで,Z)。δs,の。δεはそれぞれドット径,ドットの深 さの実測データであり,0、、,,だ),、,は与えられた任意 の0ε,掬から本モデルによって計算されるドット径, ドットの深さの値である.実測データは複数の条件(イ ンク滴容量,着弾速度)で測定されているので,それぞ れについての計算値と実測値との差から評価値を求め, 積算する.  ii6εと1αgを系統的に変化させ,各々のoε,1αg について評価関数を求め,得られた評価値を6ε一1αg 平面上に等高線として描き,評価関数が最小になる点の oεと彪gをその紙固有の値とした.評価関数の等高線 図をFig.6に示した.  iii結果をTable2に示す.  6.3モデルの検証  モデルの検証をドット径とドット深さの実測データを 用いて行った.結果をFig.7,8に示す.ドット径,ド ット深さともシミュレーション結果と実測値との良い対 応が見られ,本モデルが妥当であることがわかった.ま た本モデルを用いればドット径を約10%程度の誤差で 求められることがわかった.ドット深さの予測精度は 20%程度と悪いが,紙の断面を出してインクに染まっ たところを測定するという方法による測定誤差が大きい ためであると考える. (18)

o

o

N

  の 一 零 ε

3

邸 8

十J   F→ 邸 ℃ ℃ ①   o +」   寸 邸   H

3

3

邸 Q  o

  N

  H

   の    9      100    120    140    160    180    200          0bserved data(μm) Fig.7 0bserved and calculated dot diameters.   ●:paper A,○:paper B,△:paper C,■

  paperD

8

    ぱう ∈ N

3

8

薯。

℃  N

8

≦ コ £ 邸  LO Q  ▼→

2

●○ 飾 ■ ● ● △ ■ ●● ●ゆ ♂ ■  ■■ 10 15    20    25 0bserved data(μm) 30 Fig.8 0bserved and calculated dot thickness.   ●:paper A,○:paper B,△:paper C,■:

  paperD

7. ま と め  i インク滴は紙に着弾後,紙上で数∼数10μsの時 間オーダーで拡がり,その後,紙中に数∼数10msの オーダーで浸透する.  ii インクの毛細管浸透理論に基づいて,紙の空隙 率・空隙へのインク充填率・紙とインクのぬれ性・イン ク物性等をパラメータとして含む浸透モデルを考案し, インクジェット用紙へのインクの浸透現象がこのモデル で説明できることを明らかにした.  iiiさらに,このモデルを基に着弾・浸透現象をシミ ュレーションするプログラムを開発した.このプログラ ムによって,インクジェット用紙上でのドット径を精度 ’

(7)

良く予測することができる。 謝 辞  シミュレーションプログラムを開発するに際して多く の助言を頂いたキヤノン(株)Bコンポーネント開発セン ター立原氏に感謝します.

 本論文の一部は1992年電子写真学会年次大会

‘‘Japan Hard Copy92”にて発表したものである. 参 考 文 献 1)J.A.Bristow:Svensk PapPersti〔ining arg.,70,623(1967), 2)J、A、Bristow:Svensk PapPerstidning&rg.,71,33(1968). 3)M,B、Lyne and J、S.Aspler l TapPi J.,65(12),98(1982)、 4〉J.S.Aspler and M、B.Lyne:TapPi J.,67(9),128(1984)、 5)J、S.Aspler and M.B.Lyne二TapPi J、,67(10),96(1984). 6)M.B.Lyne and J.S.Aspler:TapPi J.,68(5),!06(1985). 7)岡山 隆之,木村 重昭,大江 礼三郎:紙パ技協誌,39(12〉,  1157(1985). 8〉岡山 隆之,木村 重昭,大江 礼三郎:紙パ技協誌,41(6),  515(1987). 9)S.」、Bares and K,D.Rennels:Tappi J。,73(1),123(1990). 10)」,F.Oliver:TapPi J.,67(10),90(1984). 11)A.Borh&n,S.B、Pence and A.H.Sporer:Chemistry,5(18〉,   (1989). 12)鈴木 健司,甘利 武司二色材,70(5),291(1997). 13)Asai A,,Shioya M,,Hirasawa S.and Okazaki T l J.Imag−   ing Sci.TechnoL,37(2),205(1993)、 14)Japan TAPPI紙パルプ試験方法No.51−87(1987). 15)E.WI Washbum,Physics Rev.,17,273(1921〉  聯隅‘’㌧’肥珊戴鞭・ 塩谷  真 昭和59年東京都立大学理学研究科地球 化学専攻博士課程修了,同年キヤノン (株)入社.一貫してバブルジェットの諸 現象解明の研究に従事.現在,記録技術 研究所所属.理学博士. 岡崎 猛史 昭63名古屋大学工学研究科電気工学・ 電気工学第二及び電子工学専攻博士前期 課程修了,同年キヤノン株式会社入社. インクジェットプリンター用ヘッドの開 発・設計に従事.現在,Bコンポーネン ト開発センターに所属。 田村 泰之 昭「50大阪大学理学部物理学科卒。同年, キヤノン(株)入社.画像記録技術の研究 開発に従事、現在,記録技術研究所所 属。 (19)

Table l Observation results of dot diameter and    penetration thickness on four coated papers.    ∂:impact velocity(m/s),泥:ink droplet    volume(pl).    Z):dot diameter(μm),の:penetration    thickness(μm) 紙 Vd V D tD A 141.8 153.3 141.8 140.5 134.7 133.1 1

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