-235- 日集中医誌 2021;28:235.
レター
呼吸サポートチームによる呼吸数測定の重要性に関する啓発
活動とその測定調査結果
編集委員長殿
多くの急性期病院では,血圧,脈拍数,体温,SpO2 が記録される一方,呼吸数は記録されないことが多い と報告されている1)。呼吸数が増加しても,SpO2は代 償機構の働きにより,正常範囲に保たれ,一見SpO2の 値だけ見ていると「異常なし」となってしまう。その 後,呼吸状態が悪化すると代償機能が破綻して呼吸不 全の状態へと変化する2)。したがって,SpO2は呼吸数 の代替指標にはなりえず,呼吸数は鋭敏なマーカーと して非常に重要であり,看護師や医師は呼吸数測定の 重要性を意識する必要がある。 当院では,患者に呼吸を意識させないよう自然に観 察し,脈拍測定と同時に1分間かけて呼吸数を測定す るよう指導している。10~15秒間の呼吸数測定では 誤差が大きくなるためである3)。呼吸数の測定および 記録を徹底するため,2007年から当院の呼吸サポート チームが活動を開始した。啓発活動を開始する以前は, 呼吸数の測定率は,1割程度だった。その後,2013年 から呼吸数の重要性についてポスターや年十数回の定 期的な勉強会などの機会を設けて啓発活動を行い, 2018年からrapid response systemを導入した。その啓発活動の有効性を明らかにするため,実際の 呼吸数の測定率を,電子カルテを用いて後ろ向きに調 査した。本研究は杏林大学医学部倫理委員会から承認 を得た。調査対象期間は,2019年1月1~8日。1日1 回でも呼吸数が測定されていたら,呼吸数の測定が実 施されていると定義し,電子カルテの経過表を用いて, 呼吸数が測定されているかどうかを抽出した。集中治 療室を除く,992床25病棟で呼吸数の測定日数を入院 日数で割った値をパーセント(%)にして,病棟ごとに 調査した。全体の8割の病棟で,90%近く呼吸数が測 定されていた。しかし,2割の病棟では0~42%しか呼 吸数が測定されていなかった。 以前と比較して,今は約8割の病棟で呼吸数の測定 が行われており,呼吸サポートチームの啓発活動の有 効性が示された。しかし,呼吸数の測定結果に病棟ご とで大幅に差があることが判明した。原因として,呼 吸療法の勉強会の開催が定期的に行われているが全員 参加でないこと,病棟回診が一部でしか実施されてい ないこと,などが考えられる。呼吸数の測定割合が少 ない病棟には,フィードバックを行い,ポスターの再 配布などの啓発活動を再度行った。今後は,病棟回診 を実施する予定である。呼吸数測定は簡便な検査であ り,啓発活動によりその認知度を高めていく必要があ る。 本論文の要旨は,日本集中治療医学会第3回関東甲信越支 部学術集会(2019年,甲府)で発表した。 本稿の全ての著者には規定されたCOIはない。 文 献
1) Cretikos MA, Bellomo R, Hillman K, et al. Respiratory rate: the neglected vital sign. Med J Aust 2008;188:657-9. 2) Lynn LA, Curry JP. Patterns of unexpected in-hospital
deaths: a root cause analysis. Patient Saf Surg 2011;5:3. 3) Lovett PB, Buchwald JM, Stürmann K, et al. The
vexatious vital: neither clinical measurements by nurses nor an electronic monitor provides accurate measure-ments of respiratory rate in triage. Ann Emerg Med 2005;45:68-76. 受付日2020年 3 月23日 採択日2020年 9 月 7 日 横田 泰佑,森山 潔,萬 知子 杏林大学医学部麻酔科学教室 (〒181-8611 東京都三鷹市新川6-20-2)
The respiratory support team enlightened
the medical staff on the measurement of
respiratory rate
Taisuke Yokota, Kiyoshi Moriyama, Tomoko Yorozu
Department of Anesthesiology, Kyorin University School of Medicine (6-20-2 Sinkawa, Mitaka, Tokyo 181-8611, Japan)