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英文読解の指導-語彙の観点から: 沖縄地域学リポジトリ

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(1)

Title

英文読解の指導−語彙の観点から

Author(s)

喜友名, 宏

Citation

沖縄短大論叢 = OKINAWA TANDAI RONSO, 10(1): 33-57

Issue Date

1996-03-01

URL

http://hdl.handle.net/20.500.12001/10669

(2)

英文読解の指導一語葉の観点、から

喜友名

l はじめに 本稿では、読解指導と語集の問題を取り上げて検討する。最初に、読解につ いての歴史的に重要と思われるいくつかの考え方を比較検討する。読解指導を 考える場合の前提として考慮しなければならないことは、読解の特質を先ず明 確にする必要があり、そのためにも、読解指導が歴史的にどういう捉え方をさ れてきたかをたどってみて、それに基づいて、現在の指導の問題点を検討する 必要があるからである。 従来の考え方である言語的な面を重視過ぎるところから言語的な領域を超え た学際的な面も強調する最近の傾向に鑑みて、読解をもっと多面的に捉え直す 必要がある。その際、文法構造と意味理解の問題や言語外の幅広い知識の活用 等の問題がある。 外国語としての読解では、特に文レベルの理解が基本的であろう。文法構造 を説明し、理解させようとする時、問題になってくるのは、文法という構造的 な説明であるが、往々にしてそれが抽象的になり勝ちであり、そのため、文法 構造の説明が意味理解とうまく直結しない嫌いがあることも否めない。説明を より具体的にするために、語棄を文法的な説明のための例示として使うという 消極的な取り扱いではなく、語棄の働きについて理解を深め、それを構造的意 味的な理解のために、もっと積極的に活用していく必要があると言うことであ る。読解指導における語棄の重要性を認識する必要がある。単に単語の数を増 やすということではなく、語棄のもつ意味的構造に豊かなresourceをどう捉え、 どう活用していくかであると思う。 語裳の問題は文レベルに留まらず、最近、読解をより完全なものにするため に、指導の強化の必要性が高まってきている文を超えた談話構造のレベルまで 拡大して、検討を要する。その談話構造的に重要な語葉結束 CLexicalcohesion} 内 J q J

(3)

において語棄の果たしている役割の範囲とその特質を明らかにすることも重要 である。

2 読解指導の歴史的検討

本論文のテーマを取り上げる前に、読解に関する歴史的経過を検討する必要 があると思われる。ここではいくつかの間題点にしぽって述べることにする。

(1) Phonic Method and the Whole-Word Method

PhonicsについてJ.CRichards,J.Platt(199Z)は次のように定義づけている:

A method of teaching children to read. It is commonly used in teaching

reading in the mother tongue. Children are taught to recognize the

relationships between letters and sounds. They are taught the sounds

which the letters of the alphabet represent, and then try to build up the

sound of a new or unfamiliar word by saying it one sound at a time.

単語を個々の文字に分解し、一つ一つの文字を音声と結び付け、そしてそれ らを線形的に積み上げて語全体を発音するという指導方法である。そのような 教え方の強固な批判者であった Bloomfieldは語は一つの完全な単位であって、

phonicsのように語をばらばらに小さな部分に分解することは言語の本質を歪め るものだと批判した。またphonicsの教え方を改善した方法としてのtheWhole

-word method (J.C Richards, 1991: A method for teaching children to read,

commonly used in teaching reading in the mother tongue, in which children

are taught to recognize whole words rather then letter-names)に対しでも英 語のalphabeticnatureを無視、あたかもそれを中国語である知く取り扱ってい ると批判したのである。 Bloomfieldは読みの学習指導の初期の段階における子 供たちは、文や語の意味ではなく、 visualdiscriminationの訓練が必要である と述べ、それには英語のspellingsystemを理解しなければならないと述べた。 その習得には、 non-sensesyllables and non-sense wordsの使用も有効である とさえ述べている。 a a τ q J

(4)

(2)

L

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nguistic Model and Spelling Patterns Bloomfieldの後継者である Friesもほぼ大体彼の路線を受け継いでいると思 われる。 WrittenLanguageはSpokenLanguageを表現したもので、第二義的 なものであるという捉え方をしている。こういう考え方に立つと、Languagesignals (基本的な言語構造)は共通しているので、 nativespeakersである子供たちに 読みの指導を始める場合、まず彼らが直面する問題はすでに身につけている音 声言語をvisualsignsにどう結びつけていくかである。Fries(1963:Introduction) は次のように述べている。 The process of learning to read is the process of transfer from the auditory signs for language signals which the child has already learned, to the new visual signs for the same signals. Learning to read, therefore, means developing a considerable range of high-speed recognition responses to specific sets of patterns of graphic shapes... 個々の文字は個々の音声とは一対ーの対応関係をなしていないが、 spelling patternsの観点から言うと、音声と文字との聞にはある規則性が見られる。こ のようなspellingの規則性を活用したgraphicsignsの音声化を通して意味を理 解する。 Friesは読みの指導にSpellingPattern Approachを採用していると 言える。こう見てくると、 Bloomfieldと同様、 Friesも読みの指導において、 どういう風に意味を理解するかという comprehensionには余り注意を払わず、 言語的な面への片寄りが見られる。

R

.

Wardhaugh (1974:p.45)は:

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Fries had very little to say about comprehension;both apparently regarded comprehension as a basically passive activity highly dependent on oral language skills. 戸 h u q 喝 M

(5)

勿論、読みにおいて、まず、視覚的な区別ができることは極めて大事である が、それはあくまで読みの初期の段階における一面 (comprehensionへの通過 的な活動ではあるが)だけの活動であって、それだけでは読みの指導は完結し ないことは言うまでもない。話し言葉と書き言葉の違いを考慮する時、尚更の ことであるが、両者とも読みを読み手の側の積極的な働きかけとしてではなく、 受け身的なものとして捉えている。 Friesの読みの指導が指導現場に大きな影響 を与えていて、現在も尚、いろいろな形でそれが意識されずに存続しているも のも否定できない。従って、その特質と実態を把握しておくことは最近注目さ れるようになった読みに対する考えを正しく理解するのに極めて重要であると 考えられる。 上記の方法は主として母国語話者の子供を対象にした読みの指導法で、かれ らはすでに音声言語を習得している。外国語としても初期の学習段階では、勿 論文字と音声との対応関係を学習することは読みの導入段階において、まず問 題となることは言うまでもないであろう。これはあくまで文脈の中での意味把 握のための準備段階的な作業と考えるべきで、余りにもそれに注意が奪われる と、手段が目的化して本来の読みの学習指導から逸脱してしまう。それはcompre -hensionを目的とした読みではない。実際に教えて、発音はできるが、意味の理 解の伴わない中途半端な学生をよく見かける。母国語話者の場合は、読みの学 習時にはすでに音声言語を習得しているので、文字を音声化できれば、ある程 度意味が理解できる。しかしながら、書き言葉には話言葉にはない独特なもの があり、母国語話者でも文字が音声化できたからといって即全部意味が分かる とは限らない。積極的な推測を必要とするであろう。 (3) Psycholinguistic Model 1. Top-down model

上記のapproachと正反対と言うか、著しい違いを示すGoodmanとSmithの

読解に関する見解を検討することにしよう。それは書き言葉が話し言葉に従属 する、音声を単に文字として表わしたものだという考え方に対する挑戦であろ

う。Goodmanはかれが編集した (ThePsycholinguistic N ature of the Reading

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(6)

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の序文で次のように述べている:

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文字を視覚的に捉えるだけでは言語を処理していることにはならない。読解 とは自ら持つ言語知識、経験、世界の知識を駆使した心理言語学的な認識活動 であり、読み手は受け身的ではなく、積極的な

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の参加 者でなければならないということだろう。そういうわけで、読解の特質に対す る認識を深めるには、書き言葉は話し言葉とは関連を持ちながら、同時にそれ とは独立した体系として研究するとともに、読者はいかにして書き手からの

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あるいは

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を再構築するかという読み手の役割を検討する読者 論が必要となってくると思う。 この考えを一歩進めたのが

Smith

の読解論である。

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は次 のように述べている。

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(7)

increases the probability of tunnel vision

memory overload

and ambigu -ity caused by over reliance on visual information. 要するに、言語的知識、経験、世界的知識等の予備知識が豊かであるほど、 視覚的な情報への依存度が少なくてすみ、文全体の意味を理解するために、語 の綴りと極端な言い方をすると個々の語の確認も最低限にとどめられることが 可能であることであろう。 Lado (1988)はF.Smithの考えを次のようにまとめている:

Smith proposes that readers anticipate the meaning of words from

general knowledge and the context and

through the meaning

arrive at

the sounds of the words with only partial confirmation from the graphic representation. 最初に述べたPhonics(the relation between letters and sounds)の正反対の 考え方といえよう。確かにこれはsk

i

I

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edreadersのことを述べたもので、一語 一語こまかく詮索すると、 comprehensionも困難であるし、ましてや、速読も 不可能であろう。外国語としての英語の読解指導においても、それは学習指導 の最終目的であることは確かだと思われるので、 sk

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edreadersの特質につい て理解を深めることは極めて大事なことだと考える。 unsk

i

I

I

edreadersを対象 にした指導では、当面の目標ではないが、その目標の達成は、学習者のそれぞ れのレベルでの課題を次々乗り越えて始めて可能であることは言うまでもない ことである。 2. Interactive model 以上のような意味を文脈や世界に関する知識から推測するという Readingを

“a psycho-linguistic guessing game"と捉える Goodmanのtop-down的な考

え方に対してbottom-updecodingとtop-downanalysis聞の相互作用が特に外 国語としてのReadingにおいて重要でFあることを強調しているDavid

E

.

Eskey

(8)

-38-(1988)は次のように考えている:

Top-down models do have some limitations. They tend to emphasize such

higher-lebel as the prediction of meaning by means of context cues or

certain kinds of background knowledge at the expense of such lower-level

skills as the rapid and accurate identification of lexical and grammatical

forms. That is, in making the perfectly valid point that fluent reading is primarily a cognitive process, they tend to deemphasize the perceptual and decoding dementions of that process. 要するに、 Eskeyが強調していることは、熟練した読み手は文字、語象的文 法的な形式を正確に認識する lower-levelの言語理解の過程が不要であるのでは なく、それらを無意識的自動化していることである。従って外国語としての読 みでは、下位レベルでの言語理解が先ず、克服されなければならない最大の課題 であり、一挙にhigher-levelからの意味理解を目指すのは本末転倒と言わざるを 得ないということであろう。 Phonicsは別として、 Goodmanや大体において同じ立場に立つSmithと

Bottom-upとTop-downとの相互作用を強調する Eskeyを中心としたinter

-active modelを採用するグループとの聞に大きな違いがある。前者はどちらか というと skilledreadersに関して述べたものであり、後者はdevelopingreader に外国語としての読みを取り扱い、ハイレベルのskilledreadersを目指す途上 にある学習者に最適な指導モデルであると考えられる。両者の聞に見られる共 通点は読みのcognitiveprocessの面を強調していることである。 interactiveな モデルにおいても、心理言語学的な推測、予測という読み手からの積極的な働 き掛けの必要性を強調しているので、 word

phrase

sentenceの意味の理解と いう decodingにおいてもcognitiveprocessは欠くことのできない言語理解の 過程であるということであろう。読解指導上、心理言語的なprocessを重視する 傾向は、母国語だけでなく、外国語としてもその重要性が強調されるようになっ ており、今後わが国でますますその面の指導が盛んになるであろう。

(9)

-39-3 わが国におけるいくつかの指導例 今まで述べてきたことを踏まえて、学校等で行われている指導例のいくつか を取り上げて検討する。読解の指導例の一つに、難しいと思われる語棄の辞書 的意味を与え、すぐ全訳を行うという方法がある。この方法では、確かに重要 語句の説明はなされてはいるが、提示された英文と日本語訳との聞の構造的な ギャップが余りに大きく、その必然性は余り明らかにされず、学習者の側から 言うと、どうしてこのような意味解釈がなされたのか、構造的意味的な根拠が 良く理解されない場合が多いので、英語の意味が分かつたというより日本語訳 を通して意味が分かつたという感じが極めて強いと思われる。学習者の側に、 英文の読解ができたという成就感が弱い。従って、英文の意図している意味を できるだけ主体的に自分の頭で理解しようという学習意欲につながりにくいと 言う面を持っている。それだけではなく、学習者にそれが読解だという学習感 を植え付けてしまう懸念が生まれてくる。教師の訳に対する依存度が高くなれ ばなるほど、読解力を身につけるのに絶対的な条件である教師のモデルを離れ た読みに対する意欲的な取り組みの芽を摘み取ってしまうことが教育的な損失 であると言えよう。言語的意味的な認知過程を経ないでは英文理解は起こり得 ない。このような意味獲得の過程

Language

理解の心理言語的な過程ーを認識 することは必要欠くことのできないものであろう。 指導の二つ目の方法として、語句の辞書的意味の説明に加えて、全文訳をす る。その後で、意味の説明がなされた英文の文法的分析を行うのがある。語句 の説明や全文訳はあくまで文法分析のための素材(例示)のようなものになっ ている。しかしながら、本来、文法分析は意味理解の手段として、活用する方 向で進められるべきで、

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と意味の理解作業が密接に結び付いていない と思われる。指導現場で読みの指導がいろいろな方法で試みられていると思う ので、ここで例示された指導方法は、支配的と言う意味ではなく、読解指導の 一つの例として検討した。文法分析を行う場合、文法用語を多用することがよ くある。主語、目的語、形容詞的用法、副詞的用法等を使用して、文法構造を 説明する。これは、学習者からすると、極めて抽象的で、文理解の手掛かりと しては、効率的でない。

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(10)

-40-である読みの教材を使用して、説明を繰り返しているといつでもあながち言い 過ぎではない。 もう一つの指導例として挙げられるものに、

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の考え方であろう。それは、 もともと音声言語を既に習得している母国語話者の子供たちに読みを導入する 際の指導方法で、従って、文字を音声化できるように指導することが第ーの目 的であるが、日本における読みの指導に依然として影響を及ぼしていると思わ れるので、

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については、すでに触れていて繰り返しになるが、別の観点、か らもう一つの指導例としても検討する価値があると思われるので取り上げて見 たい。文の意味を理解するためには、語棄の辞書的意味、語順、語形、機能語 の相互作用が必要であると述べている。先ず、全文訳に基づいて、文の部分に 文法的な名称を与えて、英文分析をするいわゆる伝統的な手法からは一歩進ん でいると考えられ、文の表層的な特徴である語形、語順、機能語等の手掛かり により、文の構造を確定して、文の意味を把握しようとしている。

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な文法 的な分析を行う伝統的なものに比較して、より具体的で読みの意味理解の手段 として文法を本来の機能により一層近づけたとも言える。その意味では、確か にこのような文の特質は読解のための大きな手掛かりになることは言うまでも ないことである。しかしながら、それも顕在的な表層構造にだけに依存した構 造分析で、意味解釈には潜在的な深層構造のレベルまで拡大し考慮する必要が ある。 読解指導で行われていると思われるいくつかの指導例を挙げてきたが、指導 例は枚挙にいとまがないほどであろうが、便宜上、少ない例にとどめた。相互 に多少の相違はあるものの重要な点で共通しており、何が共通し、又、読解指 導上、どう言う問題点があるのか検討することにしよう。先ず第ーに、英語教 育を取り巻く状況が大きく変化しているにもかかわらず、依然として長い伝統 に根ざした知識としての英語を強調する教養主義が大きな勢力を保っているこ とである。読解指導にもそれが現れている。話す聞くの学習と同様に読みも書 き手の意図する意味を読み手が理解するという正しく

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であるわ けで、上記の読みの指導の例を考えると、単語、句等の説明や日本語訳をあら かじめ与えておいて、それを使用して、文法体系の形式を知識として内面化す

(11)

-41-ることに特に注意を払う。語裳や文法が意味の理解のためにいかに活用するか という面が第一義的に扱われなければならないが、それが結果的には有効的に 利用されない傾向があると思われる。教師は知識として文法構造とその例示と しての英文の説明を教師中心に行い、学習者はそれを受け身的に聞き、ノート を取る。学習者をして言語の文法形式それ自体に注意を集中させ、それを活用 して、英文の意味を積極的に推測し、理解しようとする processが陳かにされる ことが往々にある。いわゆる教師中心の授業が展開される心配がある。それら に共通してもう一つは翻訳である。文法構造の指導においてもそうだがミスを 排除する完壁主義になり易い。英文をいかに理解するかという ReadingCompre-hensionを問題にするのではなく、あくまで英文に対応する日本語にいかに置き 換えるかと言う形式面に心を奪われてしまう。学習者は意図している意味は一 つであるのは勿論だが、訳の仕方までが唯一つしかないと画一的に考え、自ら 意味を追求しようとする学習態度が失われてしまう傾向が強化され、英文を自 ら読む習慣形成の基礎を築く学習指導にはつながらなくなってしまう。 英文の意味を推測し、把握するには、いろいろの文法的意味的な手掛かりを 駆使することを必要とする。人間の言語は意味理解に必要以上の手掛かりが与 えられている。すなわち、余剰性が高いもので、読んで理解したりする際、い ろいろのレベルでの手掛かり又は情報を選択的に活用して、意味把握に到達す るのである。言語だけでなく非言語的な情報をも利用しているのである。文法 的説明と翻訳という一面的なせまい範囲に限定して考えると、意味の理解の可 能性を余にも限定してしまう。(それらの情報の利用の可能性は言うまでもな く、学習者のレベルに依ってその使用の特徴と程度は異なってくる。)例えば、 ‘She closed the

or'と言う不完全な文を与えられた場合、読み手(聞き手で もよい)はcontextから欠けている要素はdとoであることが推測できるし、 文法(定冠調theの後には名詞が続く)とか語の配列(collocation)やSpelling Pattern等やその他一般的な知識が同様に予測の手掛かりになる。従って、理解 とは優れて総合的な推測作業だといえる。このような観点から、教師による一 方的な語象的文法的な説明、母国語訳だけでは、読解指導における学習者の側 からの積極的な推測の重要性から見て、明らかに不十分である。上で知識とし

4 8 a τ

(12)

ての文法的な言語形式について述べたが、それを軽視することではなく、それ 自体を目的化することが問題であり、学習者の側に立って、その知識をあくま で意味把握の作業に諸々の手掛かりのーっとして直結させていくことが重要で あるということである。特に学校教育という作られた言語学習環境での英語の 特にcommunicationを強調する指導の場合、知識をまとめて学習者に教えるこ とと、学習者による自由な学習活動との問題は、学習者の言語習得の度合をど うするか柔軟に考えていかなければならない。上で読解(聴覚についても)は 学習者の側から積極的な働きかけを必要とする総合的な推測活動で、その際、 読み手はいろいろの情報を活用していると述べた。文脈、文法性、語と語の結 合の問題、その他諸々の情報等が要求されるが、非言語的情報を含めて、文脈、 語結合、 spellingpatterns、文法構造等は総じて、語棄の問題に帰結する。それ らの情報の活用は、教師が学習者に一方的、直接的に完全な形で教えられるも のではなく、学習者の側からの積極的な働き掛けを促すよう側面的にstrategy の点でガイドすることだけではないだろうか。 4 語藁と意味的文法的構造 学習者に積極的に推測するよう促しでも、彼等に今までに身につけた語糞的 知識(辞書的意味だけでなく、又母国語に関する経験を含めて)を活用しよう という姿勢や語棄に関する意味的構造的な蓄積したresourceが乏しければ、そ の活用は極めて困難である。語棄をsyntaxの説明のための第二義的要素ではな く、積極的に位置付けて、多面的な角度から独立した教材項目として一貫した 指導が必要であると考える。ただ文法構造だけが強調されすぎて、語棄の持つ resourceが軽視されると文法構造の説明さえも抽象的な説明に終わってしまう という心配がある。こういう観点から文レベルだけでなく、文を超えた談話構 造まで範囲を広げて、語実自体の構造を含むLexicalStructureとその働きの重 要性について検討することによって、語棄の観点から、読解指導の問題点を探っ て見たし〉。 推測を活発にするため語棄に関してどれだけ知っていればよいだろうか。文 とは勿論無意味の単語の羅列ではなく、又有意味の単語の羅列だけでもない。 q a a 唖

(13)

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に従って決まった語順をなしていなければならない。

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man.

(1)を構成している単語はすべて英語の単語であるが、意図されている意味が (2)なのか(3)なのか明確でない。 (2)においては、

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k

iIl

i

n

g

という行為の

Agent

であり、

t

h

eb

e

a

r

P

a

t

i

e

n

t

である。動詞

k

i

l

l

Agent

P

a

t

i

e

n

t

とい う二つをとる。これらの文の意味を理解するためには、語順は重要な役割を持 つ。しかしながら、つぎの場合は、意味を決定するのには、

w

o

r

d

-

o

r

d

e

r

は必ず しも決定的な条件ではない。

4

.

farmer d

u

c

k

l

i

n

g

k

i

l

l

5.

d

u

c

k

l

i

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g

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r

k

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l

l

6.

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i

l

l

d

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k

l

i

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g

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a

r

m

e

r

(H. G.

Widdowson

1990:83) いずれでも、三つの語義からして、その文中の機能は変わりがない。すなわ ち、

f

a

r

m

e

r

k

i

l

l

という行為の

Agent

d

u

c

k

l

i

n

g

P

a

t

i

e

n

t

である関係は変わ らない。要するにこの場合は常に

f

a

r

m

e

r

Agent

であり、生活環境での経験 からして、

d

u

c

k

l

i

n

g

Agent

になりえないということを知っているのである。 従って文の意味を理解するときは、語棄の辞書的意味、文法構造、語棄の持 つ潜在的な

s

e

m

a

n

t

i

cs

t

u

c

t

u

r

e

や我々の持つ世界的知識等の総合的な解釈行為で あるといわなければならない。語順にしても動詞の持つ潜在的な意味論的な特 質が大きな決め手になっている。こうした条件をぬきでは文法も語順もないと いっても過言ではない。こうした観点から語棄を

s

y

n

t

a

x

の補助的で周辺的なも のと見なすことはできない。もっと積極的に一つの独立した

s

k

iIlとして取り扱 い、語棄と読みとの関係を再検討していくことが重要である。読解を考える場 合は、辞書的意味を提示するだげでは学習者の読みの力は養えない。意味理解

(14)

-44-の

s

o

u

r

c

e

は一つではなく読解はいろいろの手掛かりを利用して行われる。読み にとって推測あるいは

g

u

e

s

s

i

n

gs

k

i

l

l

は前提条件であると同様に単語の学習にも 文脈からの推測は重要であり、読解の推測には単語の役割は極めて大きいと言 わざるを得ない。学習者にただ推測するように勧めても、語棄が貧弱であった り、その構造について理解させ、意識させない限り、効果を示さないと思われ る。従って、本稿では、文や談話の意図する意味の推測を活性させるためには、 指導上、語集というものの意味的文法的な特質がどう言うもので、それを学習 者にどの程度彼等のレベルに応じて理解させ、意識させるか、文のレベルだけ でなく、談話構造も含めて、検討することは重要だと考える。先ず、語裳の問 題を独立した語実自体の意味的特質と語と語との聞の意味的関係に分ザて検討 することからはじめよう。前者が最も基本的なことで、それに基づいて後者の 相互作用関係は明確にされると考える。語葉の働きについてはいくぶん述べた が、問題を具体的に取り上げる前に、語嚢能力とは何か、言い変えると語棄を 知っていることとは何なのかもっと明確にするために、

R

i

c

h

a

r

d

s

(

1

9

7

6

)

の語嚢能 力

(

L

e

x

i

c

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c

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)

についての定義を引用することにする。

1

.

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0

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1

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l

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2

.

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.

3

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4

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.

5

.

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(15)

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.

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.

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.

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.

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.

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meanings (

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l

y

s

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m

y

)

.

この定義からも、語棄について学ぶべき事柄が多様であることが明らかであ ろう。通常での辞書的な意味だけでは単純で、言葉の意味機能には絶対不十分 であろう。

(

1

)

語集の意味的統語論的な特質

Lyons (

1

9

8

1

:

7

5

)

は語柔構造について‘

Lookeda

t

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e

l

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i

o

n

s

.

.

.

'

と述べている。語 棄の役割と機能はより大きな文脈のなかで考えるべきであるが、そのためには それを構成する語の意味的統語論的な特質を検討する必要がある。 単語聞の意味的関係は辞書的意味からでも推測できょうが、より明確に又容 易にするために有効なものとして、

c

o

m

p

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l a

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a

l

y

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がある。

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として‘

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m

a

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m

a

l

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;

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m

l

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'

;

a

d

u

l

t';‘

n

o

n

-

a

d

u

l

t'がある。].

Lyons

(1

9

8

1

:

7

6

)

は‘

m

a

n

'

;

woman';

b

o

y

'

‘,

g

i

r

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'

を次のように区別している:

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=

HUMAN

&

MALE

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ADUL

T

woman'

=

HUMAN

& -

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ADUL

T

b

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y

'

=

HUMAN

&

MALE

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ADUL

T

g

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l

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=

HUMAN

& -

MALE

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ADUL

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l

d

'

=

HUMAN

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ADUL

T

g

i

r

l

'

と‘

ch

i

I

d

'

とは‘

g

i

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-MALE

がないということで区別される

o

'

m

a

n

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は‘

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o

y

'

(-ADULT)

‘,

woman'( -MALE)

‘,

h

o

r

s

e

'

(

-HUMAN)

から区別される。語業は

(16)

-46-このような

commonf

e

a

t

u

r

e

s

は語と語が結びつく場合、有意味であるかいなか と言う条件を規定する選択制限

(

s

e

l

e

c

t

i

o

nr

e

s

t

r

i

c

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i

o

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s

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の役割を果たす。例え ば、

t

a

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k,

t

h

i

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dream

等の動調は

HUMAN

の特質をもっ主語しかとれない又 動詞

t

h

i

n

k

LIQUID

の特質をもっ目的しかとれないと言う選択制限の影響を 受けることになる

(

M

.B

i

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s

c

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.

Lyons

1

9

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)

*

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.

*

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y

.

上記のような

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e

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u

r

e

s

は語の持つ唯一の特質ではなく、語には

S

y

n

t

a

c

t

i

c

a

l

F

e

a

t

u

r

e

s

もある。語には、それが使用される文脈によって、複数 の文法機能を有するものもあるが、一般的な傾向としての文法機能を想定する ことは重要である。語の品調的特質を意識し、意味の推測に活用することは語 をより大きな構造のなかに位置付けて考える際、特に重要である。名調であれ ば、主語、動調の目的語、補語、前置詞の次にきて前置調句を構成し、文中に 占める位置、言い変えると、他の品詞との関係で捉えるようになれば、文構造 を分析、把握するのに大きな手掛かりとなる。伝統文法の中の品詞のことを考 えると、とかく抽象的なもので、単なる知識の域を出ないように思い勝ちであ るが、それぞれの品詞には他の品詞との結びつき方の特質というか、顕著な傾 向というのが見られるところを考慮する時、品詞の明確な概念を持つというこ とは、文理解に極めて生産的な役割を果たす。

K

i

m

b

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l

l

(

1

9

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3

)

は機能語

(

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q

u

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t

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e

r

s

e

t

c

.

)

の文を構成要素に分析する際、重要な役割を果たすと考え、次のような

s

t

r

a

t

e

g

y

を提案している:

S

t

r

a

t

e

g

y

1

:

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n

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e

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r

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h

a

n

on w

o

r

d

.

(17)

-41-このことは他の品調にも当てはまることであり、品調は単なる定義づけに利 用するのではなく、意味の推測の積極的な手掛かりとなり得るのである。

内容語の中でも、文の構成上、文意味の伝達上特に重要で、中心的役割を果 たす品詞は動詞である。 Clark(1977: 63)は次のように述べている。

Content words themselves limit what can occur around them. Among

content words, verds restrict their environments the most. Within simple

sentences

for example

the verb often spcifies whether there should be

one

or three noun phrases

with it

as in the following sentences:

(1) The man slept.

(2) The man hit the ball.

(3) The man put the dog into the house.

(1)のsleptはただ一つの名調節(その主語)、(2)のhitは少なくとも二つの名詞 節(その主語と目的語)、 (3)のputは三つの名調節(その主語、目的語、所格) をそれぞれ必要とする。 文構造の理解がまだできていない学習者を対象にする場合は、特に、先ず動 調を指摘させることから始めて、動調を中心にして主語又は動詞が他動詞であ れば、目的を文中から選ばせるという指導手順をとると、文構造は把握し易い。 従って、意味の理解もそれだけ容易に行われることになる。意味理解が言語的、 文脈的な諸々の手掛かりを活用して、意味の選択範囲を徐々に狭めていく。Clark の言う‘verbsrestrict their environment the most'はこの辺の事情をよく表現 していると思われる。 T.Odlin(1994: 117)も次のように考えている: W ork on the syntactic properties of words will need to give particular attention to verbs and the verb phrase, for two reasons. First, the verb is the engine of syntactic structure-which helps to explain why early identification of the verds in a word jumble speeds up the elaboration of

(18)

-48-a

s

t

o

r

y

s

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m

a

.

S

e

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h

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i

c

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n

f

o

r

m

a

t

i

o

n

この読解において、意味把握の手掛かりになるものは一つではないが、その 中で最も重要なものは文構造だろう。その構造では動調の確定を先に行わなけ ればならない。主語動詞の関係、動詞目的(動調が他動調の場合)の関係を動 調の意味的文法的な特質を踏まえて、学習者に推測させることができれば、次 は英文を左から右へ順に自問を繰り返しながら進めていけば、ほぽ英文の意味 から大きくそれることはなくてすむであろう。未熟な読み手の場合は特に「木 を見て森を見ず

J

のたとえのように、英文を線形的に一語一語区別なく見てい く傾向がある。ぱらぱらの個々の単語の意味にとらわれ過ぎて、構造を把握し ないままに、想像を広げていき、英文意味から大きく逸脱してしまうことがよ く見られる。視点とその順序が文の意味の理解には極めて大事なことと言える。 語の品調性は、潜在的に語構造の一部を成しているが、文脈に左右されない唯 一不変のものではなく、例えば、名調は殆ど、文脈に依存して動詞としても機 能する。動調と一つの名詞又は複数の名詞と関係づけられるように、他の品調 聞にも同じ様な相互依存関係が見られる。例えば、名調と形容調(句)、動調 と副調(句)との関係である。従来、英語指導上どちらかというと、文法構造 の説明と意味の解釈とが遊離し勝ちであった傾向を修正して、語棄の豊かな資 源を媒介にして文法と意味獲得とを密接なものにする必要がある。そのために も語棄に対する理解を深めると共にそれを活性化して広く活用することが極め て重要である。

(

2

)

語嚢連合の構造 語の意味構造を考えるとき、個々の語桑自体の特質に限定するのではなく、 語と語の意味関係を含む

L

e

x

i

c

a

ls

t

r

u

c

t

u

r

e

を考えるべきである。

L

e

x

i

c

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lr

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l

a

-t

i

o

n

s

C

o

l

l

o

c

a

t

i

o

n

等の問題がある。R.

C

a

r

t

e

r

(1987: 18)は‘

Wordsdo n

o

t

e

x

i

s

t

i

n

i

s

o

l

a

t

i

o

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:

t

h

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m

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g

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l

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s

t

h

e

y

have w

i

t

h

o

t

h

r

e

w

o

r

d

s

.

'

と述べ、文、].

A

i

t

c

h

s

o

n

(1987 :

6

3

)

(19)

-49-be treated as if they were a swarm of bees-a bundle of separate items

attached to one another in a fairly random way. Theyare clearly interde

-pendent. 1n some cases, it is difficult to understand a word without knowing

the words around i

t

.

'

文のレベルにおいて、語の文法関係に加えて意味関係にはどう言うのがある か、 J. Aitchison (1987)の分類法に従って、検討して見ょう。これはWord Associationで語棄が相互に連合する方法である語実連合テストでは被験者があ る語を刺激として与えた場合、反応としてすぐ頭に浮かぶ語を挙げるもので、 同一言語内では、大体共通した反応が返ってくると言われる。語集の学習や記 憶に大きな影響を与える。意味理解にも効果を及ぽすものと考えられる。Aitchison の分類法は次のようになっている。 (1) Coordination (2) Collocation (3) Superordination (4) Synonymy (1) Coordinationはより一般的な意味を持つ語に対してその下位範鴎を意味 として持つ語(hyponym):knife

fork;Monday

Wedenesday (2) Collocation は意味に繋がりのある談話構造の中での語棄の共起の仕方を意味する:sharp

knife, happy day, shabby dog (3) Superordinationは上位語:animal, dog;

month

January. (4) Synonymyは非常に似た意味を持つ語:famished

star -ving; dog

canine

etc. 同一文中に一般的なclassを意味する語 (superordinate)とその下位語 (hyponym)が使用される場合、上下の連合関係が分からなくても、連合関係 による想起で意味の推測が容易になる。 (1) A horse is a very useful animal. (2) The doctor treated the patient. -50一

(20)

(3) My favorite color is red. (4) Flies, ants, wasps, and mosquitoes are insects. collocationの場合、それは直接的に連合するとは限らない。連合関係をなす 二者聞に他の語群が介在する場合もある。それでもニ者聞の連合関係は失われ ないのである。 (1) They collect stamps. (2) They collect foreign stamps only. (3) They collect many things

but chiefly stamps. (4) They collect many things, though their chief interest is in collecting coins. We are, however, only interested in stamps.(Greenbaum, 1970) 上記のようなLexiclrelationsとSyntacticalrelationsや読み手の主題に関 する背景的な知識等をあわせて活用することによって、ReadingComprehension における意味の推測の大きな手掛かりにすることができる。語棄の持つ意味的 統語論的な構造に加えて、語と語の聞のSenseRelationsに対する読み手の認 識を活性化することによって、読みの説明をどちらかと言うと、抽象的なもの にして、意味の理解を往々にして困難なものにしていると思われる文法的な説 明への依存過多を大幅に緩和できると考えられる。人間の言語には意味理解に 必要とされる以上の情報が与えられている。それが話し言葉の場合は特に、50% が余剰情報であると言われている。従って、意味に通ずる道は多様で複雑なも のである。その意味への手掛かりの多くが語棄に依存していると言っても過言 ではないと思われる。語棄の体系的な学習指導の重要性は文レベルに限らず、 文を超えた談話のレベルにおいて特にその必要性は大である。次に談話構造に おける語棄の問題を例を挙げてみよう。 (3) 談話構造と語索 談話構造に欠くことのできない文章や談話の断片が持つ意味的なまとまりを 噌 E A F h u

(21)

意味する Cohesionの問題を次に取り上げる。M.A. K.Halliday and

R

.

Hasan (1976)の分類法によると次の通りである。 1. Linguistic Cohesion (1) Reference (2) Substitution (3) Ellipsis (4) Conjunction 11. Lexical Cohesion 1. Reiteration (a) Same Word (Repetition) (b) Synonym (or near-synonym) (c) Superordinate (d) General Word 2. CoIIocation CohesionはLinguisticCohesionとLexicalCohesionから成り立っているが、 本稿では、最も重要と思われる LexicalCohesionに焦点を当てて検討しよう。

Halliday and Hasan (1976: 292)では次のような詩 (Rhyme)を例にして説

明をしている。

Sing a song of sixpence

a pocket fuII of rye

When the pie was opened, the birds began to sing,

Wasn't that a dainty dish to set before a king?

The king was in his country-house

counting his money

The queen was in the parlour

eating bread and honey

The maid was in the garden, hanging the

c

I

othes.

L

F h d

参照

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