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denuded skate flapを用いた乳頭再建術

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Academic year: 2021

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(1)

序 文 乳輪乳頭再建は乳房再建の総仕上げである。しかし それは単なる外観の復元にとどまらず,患者の心理面 へも影響するといわれており1),重要な意味をもつも のと考えている。 近年,乳頭の再建には局所皮弁と tattoo を組み合 わせる方法が多く報告されている2)。Tattoo は低侵襲 であり合併症が少ないなど多くのメリットをもつ3) が,一方で保険外診療であり,施行できる施設も限ら れている。われわれは tattoo を要しない工夫として, skate flap で再建した乳頭を脱上皮化して植皮を行っ ている。 本法の詳細につき供覧し,術後の乳頭形状(直径, 高さ),色調につき評価したため,若干の考察を含め 報告する。 対象および方法 乳房全摘術および乳房再建術後の乳輪乳頭形成術に おいて,健側乳頭が小さい,または健側に切開を加え ることを希望しなかった患者を局所皮弁法の適応とし た。そのなかで乳輪乳頭への着色方法として,植皮を 選択した症例に本法を施行した。 2017 年 11 月~2018 年 11 月の 1 年間に本法を行っ た 7 例を対象に,術後 6ヵ月以上経過時の乳頭の直径 および高さを測定し,健側と比較した。 術式および固定方法 術前に坐位で健側の乳輪乳頭と大きさ,および位置 が対称となるようマーキングしておく。手術は全身麻 酔下,仰臥位にて開始し,まず原法に従って健側乳輪 よりもやや横長の楕円形をデザインし,その中に両側 の真皮弁・中央の皮下脂肪弁を含む乳頭弁を作図する。 その際,26G 針とピオクタニンを用いて真皮層にも マーキングしておくが,インプラント症例では深く刺 しすぎると損傷する恐れがあるため注意する。次に乳 輪乳頭作成部すべてを,採皮刀で真皮浅層まで脱上皮 化し,原法と同様の方法で乳頭を作成する。脱上皮化 の際,皮膚表面をピオクタニンで染色しておくと,取 り残しなく切除できるため便利である。その後,色素 沈着した大腿基部から採皮し,乳輪乳頭部すべてに植 皮を行う(図 1)。固定方法であるが,まず乳頭の直 径よりもやや大きい穴を開けたポリウレタンフォーム 材(ハイドロサイト®ジェントル銀:スミス・アンド・ ネフュー株式会社)を乳頭より高くなるよう 2~3 枚 重ねて貼付し,抗生剤含有軟膏(ゲンタマイシン硫酸 塩軟膏 0.1%「タイヨー」:武田薬品工業株式会社)を 乳頭周囲に充填する。次に,上から穴の開いていない ポリウレタンフォーム材で蓋をした後,ポリウレタン フィルムで被覆する(図 2)。通常,初回の包交は 1 週間後とし,同様の保護を術後 1ヵ月間行う。 結 果 7 例の年齢は 50~59 歳(平均 53.7 歳)で,乳房再 建術式はインプラント 6 例,広背筋皮弁 1 例であった。 乳輪乳頭再建後の追跡調査期間は 6~17ヵ月(平均 10ヵ月)であった。 植皮は全例で生着し,1 例で部分的な表皮壊死を認 めたが,軟膏処置ですみやかに治癒した。再建乳頭に おける直径,および高さの平均健側比はそれぞれ, 114%,65.9%であった(表)。代表的な症例(症例 7) の経過を示す(図 3)。半年後ではやや色素沈着が目

仲宗根美佳

1)

 櫻井 敦

1)*

 桒水流健二

2)

 谷口智哉

1)

 北野大希

1) Key words:乳頭再建,乳輪再建,脱上皮化,植皮,ポリウレタン 1)加古川医療センター形成外科 2)三菱神戸病院形成外科 2020 年 1 月 26 日受領 2020 年 11 月 18 日掲載決定

(2)

図 1 Denudedskateflap ⒜ 原法に準じ,健側より楕円になるようデザインする。 ⒝ デザインどおりに刺青し,脱上皮化する範囲の皮膚表面にも塗布しておく。 ⒞ 乳輪乳頭作成部すべてを真皮浅層で脱上皮化する。 ⒟ 皮弁の両側は真皮深層で挙上し,真皮弁とする。 ⒠ 真皮弁挙上後。 ⒡ 皮弁中央は皮下脂肪層をつけて剥離し,皮弁全体を挙上する。 ⒢ 両側の真皮弁で皮下脂肪を包む。 ⒣ 中央の皮弁採取部は縫合閉鎖する。 ⒤ 形成された乳輪乳頭部すべてに植皮を行う。 ⒝ ⒜ ⒞ ⒠ ⒟ ⒡ ⒣ ⒢ ⒤ 図 2 ドレッシング ⒜ ドレッシングのシェーマ。穴開きポリウレタンフォームの数は,乳頭の高さに合わせて適宜調整する。 ⒝ 穴を開けたポリウレタンフォームを貼付後,抗生剤含有軟膏を充填する。 ⒞ 穴なしポリウレタンフォームで蓋をし,ポリウレタンフィルムで被覆する。 ⒜ ⒝ ⒞

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立つが,2 年後には安定し,患側乳輪および健側乳輪 乳頭と比較し,おおむね良好な色調を維持している。

考 察

Skate flap は Little が 1984 年に報告し4),以後広く

用いられている局所皮弁法の一つである5)。他の術式 と比較して乳頭の高さの損失が少ないとする報告もあ り5),われわれも好んで用いている。 原法4)では作成された乳頭部に後日 tattoo を行うが, tattoo は低侵襲であり,繰り返し施行できる3)といっ たメリットから,近年わが国でも広く用いられている。 針の刺入による創の離開や局所の感染が一部に報告さ れている3)が,しばしば問題となるのは術後の褪色で あり,良好な結果を得るためには,褪色を見据えた色 素調整を行うなどの工夫を要する6)。また,再建乳頭 への tattoo は保険外診療であり,施術可能な施設も 限られる。そのため tattoo を導入していない施設に おいては,保険診療かつ 1 回の手術で完結できる方法 は,よい選択肢となり得る。 局所皮弁法において,乳輪と乳頭へ同時に植皮する 3 52 LD ― 13 9 144 2 5 40 11 4 59 SBI ― 15 12 125 2 2 100 9 5 52 SBI ― 11 12 92 4 6 67 8 6 56 SBI ― 8 8 100 4 8 50 7 7 54 SBI ― 12 10 120 11 9 122 6 SBI:シリコンブレストインプラント,LD:広背筋皮弁 図 3 症例 7 ⒜ 術後半年の正面像 ⒝ 術後半年の側面像(乳頭の高さ 11mm,健側比 122%) ⒞ 術後半年の両側正面像 ⒟ 術後 2 年の正面像 ⒠ 術後 2 年の側面像(乳頭の高さ 8mm,健側比 89%) ⒡ 術後 2 年の両側正面像 ⒜ ⒝ ⒞ 術後半年の状態 術後 2 年の状態 ⒟ ⒠ ⒡

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術式には box top nipple や S flap,Yanaga らの報告 などが知られている2,7)。われわれはこれらを参考に,

乳頭部分にも脱上皮化を行い,乳輪と同時に植皮を行 う skate flap の変法(denuded skate flap)を用いて きた。本法では乳頭形成部位の両翼を 3 枚おろし(除 去される表皮,乳頭形成に用いる真皮弁,乳輪の植皮 を行う下床となる真皮)にする必要があり,手技がや や煩雑となるものの,挙上時のトラブルは経験しな かった。脱上皮化した skateflap に植皮を行う手技は, 過去に Nakagawa らが報告している8)。乳房切除時に 採取し凍結保存しておいた乳輪乳頭を後日移植するも のであり,10 症例のうち 1 例に skate flap を適応し ている。われわれの方法とはコンセプトが異なるもの の,冷凍技術や設備が整っている施設においては非常 に興味深い方法である。 本法では,大腿内側基部からの採皮9)を基本として いるが,同一箇所より採取した植皮片を用いることで, 乳輪と乳頭の色調をそろえることができると考えてい る。しかし大腿基部の色調が薄く,健側との差が大き い症例では,当然術後の左右差も顕著となる。よって 術前に大腿基部を診察して適応を考慮する必要があ る。 一方 tattoo と同様に,植皮の場合も経過に伴って 褪色することが知られており10),個人差はあるものの, われわれの症例においても褪色を経験している。現時 点では,色調調整のための追加処置を希望する症例を 経験していないが,植皮症例における褪色のコント ロールには UV 照射が有用との報告6,11)もあるため, 今後必要があれば,当科でも検討していきたいと考え ている。 Jabor らが乳輪乳頭再建後の患者へ行ったアンケー トによれば,最も不満の大きかった項目は,健側乳輪 乳頭との色調不一致ではなく,乳頭の高さの喪失で あった12)。乳頭の高さは術後 40~75%程度収縮する といわれており2),Nimboriboonporn らは 25~50%過 剰に作成することを推奨している13)。われわれは健側 の 150%程度の高さを目標とし作成しているが,結果 として,直径は比較的保たれたものの,高さの平均は 4.1mm(健側比 65.9%)にとどまった。高さが十分に 維持できない理由として,手術手技に起因するもので は,skate flap のデザイン上,乳頭の高さは乳輪の直 径に規定されるために,健側の乳輪が小さい症例では 作成できる乳頭の高さに限界が生じることが考えられ る。術後に起因するものでは,移植された全層植皮 片14)や脱上皮化し薄くなった真皮弁の収縮,また下着 による圧迫(後述)などが影響していると思われた。 乳頭の高さを保つ素因として,小宮らは皮弁因子と 皮弁周囲の環境因子の二つをあげている15)。乳頭形成 時の支持組織(皮弁因子)としては,さまざまなもの が報告されており8,16),Winocour らはそれらを比較検 討しているが,いずれにおいても一定の効果が得られ, 高さの維持に関して,術式間で有意差はなかったと報 告している16) 皮弁周囲の環境因子について,われわれは後療法が 重要ではないかと考えている。植皮後の固定にはポリ ウレタンフォームを用いているが,その利点として, 吸収力の高さ,非固着性,および圧力が均一になりや すい点が知られている17)。自着性のないポリウレタン フォームを用いた報告では,その固定にタイオーバー や医療用テープを要するが,タイオーバーでは再固定 がむずかしく,また医療用テープの使用は接触性皮膚 炎に注意が必要となる18)。われわれは,接着面がシリ コーンでできた自着性のある製品を使用することで, それらの問題を回避している。穴を開けたものを重ね て使用することで,乳頭部まで高さを調節しながら保 護することが可能であり,さらに,接着面が広いため ドレッシングがずれにくく安定していることも利点と 考えている。実際,われわれの症例においても,初回 図 4 術後初回ガーゼ交換時(術後 7 日目) ⒜ 術後 1 週間の状態。フィルムの辺縁は多少めくれているが,ドレッシングのズレや浮き上がりを 認めない。 ⒝ 初回交換時の状態。固着しないため,容易に剥離可能であった。 ⒞ 植皮は完全生着している。 ⒝ ⒞ ⒜

(5)

る19)ため,われわれの症例においても,乳頭の高さが 安定するまでの間に,下着による圧迫など外力がかか り乳頭の収縮を助長した可能性がある。そこで最近の 症例では 1 年間程度,保護を継続するよう指導してい る。今後は乳頭保護の期間と収縮率の関係についても 症例を重ねて検討していきたいと考えている。 結 語 再建乳輪乳頭の着色に tattoo を要しない方法とし て,脱上皮化した skate flap に植皮を行う方法を提示 し結果を検討した。本法は乳頭の高さや色調において, 健側と比較したうえで適応を考慮する必要があるが, tattoo の施行が困難な施設においてよい選択肢の一つ となりうる。今後は術後の乳頭保護期間と収縮率の関 係性についても検討していきたい。 利益相反:本論文について他者との利益相反はない。 なお,本論文の要旨は第 62 回日本形成外科学会総会・ 学術集会(2019 年 5 月 15 日,於札幌市)にて発表したも のである。 文 献 1 )WellischDK,SchainWS,NooneRB:Thepsychologi-cal contribution of nipple addition in breast recon-struction.Plast Reconstr Surg,1987;80:699–704. 2 )SistiA,GrimaldiL,TassinariJ,etal:Nipple-areola

complex reconstruction techniques:a literature re-view.Eur J Surg Oncol,2016;42:441-65.

3 )El-AliK,DalalM,KatCC:Tattooingofthenipple-areolacomplex:reviewofoutcomein40patients.J Plast Reconstr Aesthet Surg, 2006;59:1052-7. 4 )Little JW III:Nipple-areola reconstruction. Clin

Plast Surg,1984;11:351-64.

5 )Nicolò Bertozzi1, Francesco Simonacci, Marianna Pesce, et al:Nipple Reconstruction Techniques: Which is the Best Choice? Open Medicine Journal, 2018;5:62-75.

8 )NakagawaT,YanoK,HosokawaK:Cryopreserved autologousnipple-areolacomplextransfertothere-constructedbreast.Plast Reconstr Surg,2003;111: 141-7. 9 )酒井成身,伊沢宏和,鈴木 出:乳房再建における乳 輪乳頭の再建:真皮皮弁に大腿内側基部から遊離植皮 する方法,手術.1989;43:853-8. 10)DeanNR,NeildT,HaynesJ,etal:Fadingofnipple- areolareconstructions:thelasthurdleinbreastre-construction?Br J Plast Surg,2002;55:574-81. 11)Little JW, Spear SL:The finishing touches in

nip-pleareolar reconstruction. Perspect Plastic Surg, 1988;2:1-22.

12)JaborMA,ShayaniP,CollinsDR,etal:Nipple-areo-la reconstruction:Satisfaction and clinical determi-nants.Plast Reconstr Surg,2002;110:457.

13)Nimboriboonporn A, Chuthapisith S:Nipple-areola complexreconstruction.Gland Surg,2014;3:35-42. 14)Stekelenburg CM, Simons JM, Tuinebreijer WE, et

al:Analyzingcontractionoffullthicknessskingrafts intime:Choosingthedonorsitedoesmatter.Burns, 2016;42:1471-6. 15)小宮貴子,海瀬博史,山田公人:乳頭乳輪再建 患者 満足度の高い術式選択と術式の要点.Oncoplastic Breast Surgery,2019;4:8-16.

16)Winocour S, Saksena A, Oh C, et al:A systematic review of comparison of autologous, allogeneic, and synthetic augmentation grafts in nipple reconstruc-tion.Plast Reconstr Surg,2016;137:14e–23e.

17)Di Benedetto G, Pierangeli M, Scalise A, et al:An improvedtie-overdressingtechniqueforskingrafts usingahydrocellulardressing.Plast Reconstr Surg, 2000;106:507-9.

18)Satake T, Muto M, Nagashima Y, et al:Polyure-thaneFoamWoundDressingTechniqueforAreola SkinGraftStabilizationandNippleProtectionAfter Nipple-Areola Reconstruction. Aesthetic Plast Surg, 2018;42:442-6.

19)ShestakKC,GabrielA,LandeckerA,etal:Assess-ment of long-term nipple projection:A comparison ofthreetechniques.Plast Reconstr Surg,2002;110: 780-6.

図 1 Denudedskateflap ⒜ 原法に準じ,健側より楕円になるようデザインする。 ⒝ デザインどおりに刺青し,脱上皮化する範囲の皮膚表面にも塗布しておく。 ⒞ 乳輪乳頭作成部すべてを真皮浅層で脱上皮化する。 ⒟ 皮弁の両側は真皮深層で挙上し,真皮弁とする。 ⒠ 真皮弁挙上後。 ⒡ 皮弁中央は皮下脂肪層をつけて剥離し,皮弁全体を挙上する。 ⒢ 両側の真皮弁で皮下脂肪を包む。 ⒣ 中央の皮弁採取部は縫合閉鎖する。 ⒤ 形成された乳輪乳頭部すべてに植皮を行う。⒝⒜ ⒞⒠⒟⒡⒣⒢⒤ 図 2 ドレッシン

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