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土からみたグスク時代1.沖縄島に分布する土壌の種類と性質: 沖縄地域学リポジトリ

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Title

土からみたグスク時代1.沖縄島に分布する土壌の種類

と性質

Author(s)

外間, 数男

Citation

沖縄農業, 47(1): 57-70

Issue Date

2015-02-12

URL

http://hdl.handle.net/20.500.12001/21494

Rights

沖縄農業研究会

(2)

# 巌

土か らみたグスク時代

1.沖縄島に分布す る土壌の種類 と性質 外 間 数 男 (JICAコロンビア支所) KazuoHOKAMA:

Gusuku periodofOkinawathatexperimentedfiom thesoil. 1.Propertiesofthemajorsoilin Okinawaisland.

は じめに 沖縄のグスク時代は12世紀前後 に始 ま り,15 -16世期 に終わる.グスク時代は,イネ,コム ギ,オオムギ,アワな どを栽培する農耕社会の 成立 した時代である (安里,1990,1991a,1991b, 1998). 沖縄 で農耕 が始 まったのは8,9-10世紀 と いわれる.沖縄最古の農耕遺跡である那崎原遺 跡 (那覇市)は9-10世紀の遺跡である.その 遺跡か らはイネやムギ,アワ,マメな どが検 出 され,鍬跡や溝跡な どの農耕遺構 も見つかって いる.貝塚時代の食料であった堅果類が検出さ れないことか ら,穀物 を栽培す る農耕が行われ ていた と考 え られている (高宮,2003,2005a). グスク時代 に先行す る農業は,丘陵地でのム ギを中心 とした畑作農業であった (甲元,2003). 13世紀頃 には, ムギや ア ワ,水稲,牛 の飼育 を加えた複合農業が成立する (安里,1990,1998). また高宮 (2005a,2005b) はグス ク時代 の農 業が,沖縄本島中 ・南部を中心 としたアワ ・コ ムギな どの雑穀農耕 と,本島北部 ・奄美諸島の 稲作農耕 の二つの農耕 システムであった と推定 している. しか し15,16世期になると,生産 の 拠点は石灰岩台地か ら低地 に移動す る.低地は 2013年12月25日 受付 石灰岩台地 にくらべて生産力が高 く,経済的に 優位 に立つ ことができた.そ こを拠点 にした有 力な按 司が強力な王権 を築 くことになった とい う (安里,1990,1991a). グスク時代は農業が本格的に行われた時代で ある.農業 を基盤 として各地 に按 司が誕生 し, 勢力争いを経て琉球王国に収赦す る.農業は土 を基盤 とす る生産活動である.土は多様な機能 をもち,人間生活 と密接 に関係す る.生産基盤 である土に焦点 をあてグスク時代 をながめるこ とで,琉球王国の成立や土のなかに眠る過去の 文化がみえて くると思われる. ここでは沖縄島 に分布する土壌の種類 とその性質 を概観す る. 1.沖縄島の地形 沖縄 島の地形は,石川地峡 を境 にして南北で 大きく異なる.地峡か ら北 (北部地域)は山地 ・ 丘陵地の卓越す る高島的性格であ り,南 (中 ・ 南部地域)は台地 ・低地の卓越す る低島的性格 である.沖縄島は高島と低島の地形的性格 を併 せ もつ島である (目崎,1980,1981,1985). 表1に示す沖縄島の地形別面積割合をみると, 北部は丘陵地 の割合が高 く (48.8%),次 いで 山地 (23.7%) とな り,山地 ・丘陵地が70%以

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58 沖縄農業 第47巻 第 1早 (2015) 表 1.沖縄島の地形別面積 l) 地 域 山 地 丘陵地 台地 .段丘 低 地 湖沼 .ダム 計 北 部 180.27 371.ll 147.15 57.96 4.33 760.82 (23.7) (48.8) (19.3) (7.6) (0.6) (100) 中 部 1.09 102.29 123.61 40.58 1.1 268.67 (0.4) (38.1) (46.0) (15.1) (0.4) (100) 南 部

0

94.41 65.72 29.14

0

189.27 注: 1)国土庁 (1977)土地分類 図47(沖縄県) よ り作成 上を占めている. これ に対 し中 ・南部は,山地 の割合が極めて低 く (0.2%),丘陵地 と台地 ・ 段丘 がそれぞれ40%以 上 を占め, 低地 の割 合 (15.2%)も北部 (7.6)に比べて高い. また面 積 をみ ると,北部は山地,丘陵地が551.4khiと 中南部の196.7kdに比べ2倍以上になっている. しか し北部の台地 ・段丘 と低地 の合計は205.1 khiで, 中 ・南部の259.1kdに比べて少ない.北 部は高島的であ り,中 ・南部は低島的であるこ とがわかる. 沖縄島の地形を詳細 にながめると,北端の辺 戸岬か ら石川地峡 までは,南北に脊梁山地がは しり,山地が形成されている.山地は北で高 く, 南にいくほど低 くなる.山地の周囲には,海成 段丘起源 の大起伏丘陵が取 り巻き,その縁辺 に 海成段丘が形成される.山地か ら丘陵地への斜 面は急峻で急崖をな し,流れる河川 も短 く急峻 である.河川の下流域 には小規模な沖積地が形 成される.また山地は海岸線に迫 り,海岸平野 は未発達である (目崎, 1980, 1981, 1985). また,石川地峡か ら南は,段丘 と小起伏丘陵 の続 く丘陵地帯である.丘 陵は最高位で も200 mを越す ことがない.段丘は石灰岩か らでき, 海岸 に沿 って発達 した海岸段丘である.段丘下 には海岸線に沿って沖積地が形成され 海岸低 地がつ くられ る. また段丘 をえ ぐってつ くられ た河川は深い谷をつ くり,谷底低地が形成され る (目崎, 1980, 1981, 1985). 丘陵は島尻層の泥岩か らな り,小起伏で波状 をなす ことか ら波浪状地形,低起伏丘陵 と呼ば れ る.丘陵は緩やかな斜面であるが,膨潤性粘 土鉱物 を多 く含む ことか ら,地すべ りしやすい 地域である.そのことか ら泥岩丘陵は地すべ り で形成 された ともいわれ る (前 門, 1993).ま た泥岩丘陵の発達す る沖縄島中 ・南部の東側 に は,海岸線 に沿 って沖積地が形成 されている. 2.沖縄島の主要な土壌の分布 沖縄 島には,地形や地質な どの影響 を受けた 土壌が幾つか分布す る.松坂 ら (1971)は,沖 縄本島の土壌を 6土壌群 に類別 し, 18土壌続 を 設定 した. しか し沖縄では古 くか ら土壌を区分 する言葉として,国頭マージや島尻マージ,ジャー ガルなどが用いられてきた (平野,1938;川島, 1937;松坂 ら, 1971). この土壌 を区分す る用 語は,土壌の特徴を良く表 し,土壌生成分類学 的にも優れたものであるとして,川島 (1937) は土壌型 として採用すべきとした.現在 これ ら の用語は沖縄の土壌型 として広 く用い られてい る. この3種が沖縄 の代表的な土壌である. 3土壌型は土壌の生成過程及び特性が大き く 異なる.表2に示すように,国頭マージは国頭 磯層,古生層粘板岩,千枚岩な ど,島尻マージ は琉球石灰岩, ジャーガルは泥岩な どを母材 と

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表2.沖縄に分布する主要土壌の性質. 土壌型 土壌群 母 材 土 色 pH 土 性 分布地域 国頭マージ 赤色土 国頭磯層、千 明赤褐色、 強酸性∼酸 強粘質∼粘 沖縄本島北 .中部、 (国頭磯層 .粘 板岩土壌) 黄色土 枚岩、粘板岩、安山岩等 明褐色 性 質 伊平屋島、久米島、八重山諸島など 島尻マージ 暗赤色土 琉球石灰岩 暗赤褐色∼ 弱酸性∼弱 粘土質 沖縄本島、伊江島、 (琉球石灰岩土 壌) 褐色 アルカリ性 久米島、宮古島、八重山諸島など し, 国頭 マー ジが赤色 ∼黄色, 島尻 マー ジが赤 褐色, ジ ャーガル は灰色 を示 し,国頭マー ジが 強酸性, 島尻 マー ジは弱酸性∼弱アルカ リ性, ジャーガ ルは アル カ リ性で ある. また,3土壌型 の分布 をみ る と, 国頭 マー ジ は北部地域 に多 く, 中部 の沖縄 市, うるま市石 川,読谷村 の一部 に分布す る.島尻マージは中 ・ 南部 に広 く分布 す るが,金武 町や宜野座村 の海 岸沿 い,本部半 島の本部 町,今帰仁村 の一部 に 分布す る. ジャーガ ルは 中 ・南部地域 だけ に分 布 し, 北部地 域 にはな い (図

1

)

.

この3土壌 型 の沖縄 島 にお け る分布 面 積 につ いて , 足 立 ロ 国頭マ- ジ 田島尻マー ジ 自 ジヤ-ガル ■沖積土 図 1.沖縄島の主要土壌の分布図. 沖縄県農林水産部 「沖縄の農林水産業」から作成.

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60 沖縄農業 第47巻 第1早 (2015) 表 3.沖縄本島の土壌区分と面積 1) 地 域 土 壌 区 域 面 積 (%) 面 積 (%) 北部山地の赤黄色土 古生層 .中生層山地の赤黄色土壌 200(26.9) 16.9 古生層石灰岩山地の暗赤色土壌 32(4.3) 2.7 古生層 .中生層丘陵地の赤黄色土壌 335(45.0) 28.3 第三紀層丘陵地の赤黄色土壌 21(2.8) 1.8 洪積台地の赤黄色土壌 105(14.1) 8.8 洪積世石灰岩台地の暗赤色土壌 30(4.0) 2.5 低地のグライ土壌 21(2.8) 1.8

744(100) (62.8) 南部台地 .丘陵地の 未熟土 .赤黄色土 古生層 .中生層丘陵地の赤黄色土壌 24(6) 2.0 第三紀層丘陵地の赤黄色土壌 55(12) 4.6 第三紀泥灰岩台地の石灰質未熟土壌 160(36) 13.5 洪積世石灰岩台地の暗赤色土壌 150(34) 12.6 低地の灰色低地土壌 52(12) 4.4

441(100) (37.2) 沖 縄 島 計 l,l85kn弓 100 注: 1)足立嗣雄 (1978)沖縄本島の土壌地域区分. 日本土壌肥料学会講演要旨集24:B76. (1978)は国土庁 の土壌 図か ら面積 を算 出 した. 沖縄 本 島の面積 を1,185khiとし, 国頭 マー ジは7 93khi(66.9%), 島尻 マー ジ180khi(15.2%), ジ ャーガ ル が212khi(17.9%)で あ る. 沖縄 島 の半分以 上は国頭 マー ジで 占め られ て いる.足 立は北部 を赤黄色土地域,南部 を未熟土 ・赤黄 色土地域 とした (表 3). また大屋 (1973)は, トレッシングペーパー によ る秤量法 で沖縄 島18土壌続 の面積 を算 出 し た. 各土壌続 を土壌型別 に分 け る と,国頭マー ジは247,07khi(47.1%)とな り, 島尻 マ ー ジ は126.39khi(24.0%), ジ ャーガ ル が152,19khi (28.9%)で あ る (表4).調査 が沖縄 島の43.3 % (525,65kd) で あ る こ とか ら, 沖 縄 県 全 体 の土壌型別面積 を知 る ことはで きな い. 沖縄県全体 の土壌型別面積 をみると,国頭マー ジは1,244khi(55.4%)で, 島尻 マー ジは596.9 khi(26.6%), ジ ャーガ ル が196.Okhi(8.7%), 表 4.沖縄本島の土壌型別面積 1) 土 壌 型 面 積 ha 割 合 % 国頭マージ 25,413 48.3 島尻マージ ll,928 22.6 ジャーガル 15,216 29.0 注: 1)大屋一弘 (1973)沖縄農業11:1・2併号 は県土 の半分以 上 を 占め るが,耕 地面積 でみ る そ の他208.6khi(9.3%)とな る. 国頭 マ ー ジ と3割 程度 にす ぎな い.そ の殆 どは森林な どで あ り,耕地 としての利用は少ない.また島尻マー ジは県 土 の ほぼ26%を占めて いるが,耕地面積 でみ る と県 土 の40%を占める. また ジ ャーガル は県 土 の9%を 占め るが,耕地面積 では17%を 占める. 島尻マー ジ及び ジャーガ ル の耕地利用 がかな り進 んで いる ことがわか る (渡嘉敷 ・亀 令,2007).

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3.沖縄島の主要土壌の性質 沖縄の主要な土壌の物理性,化学性について は多数報告されている (足立 ・輿古 田,1981; 鎮西 ・大屋,1973;鎮西 ら,1967;石原,1975; 亀谷,2007;国吉,2007;久場,1993;松坂 ・ 浜崎,1967;松坂 ら,1971;宮城,1982;登川 ・ 寺沢,1982;翁長 ・宜保,1984;翁長 ・吉永, 1988;沖縄農試,1981;大城 ら,1979;大城 ・ 浜川,1980;大城,1984;大城,2007;渡嘉敷, 1993;渡嘉敷 ・亀谷,2007). これ らの報告か ら,3土壌型の物理化学性 をまとめると下記の 様になる. 1)物理性 土壌の物理性は,土壌を構成する粒子 の大き さや硬 さ,透水性,保水性,作物の根の生長や 耕 し易さな ど農作業や作物の生育に直接関わる 性質である. また土壌の生物相 にも大きな影響 を及ぼす. 各土壌型の物理性をみると,国頭マージは, 強粘質∼粘質の土壌であ り,透水性が悪 く,降 雨後 の土壌浸透が少ない.表面滞留や表面流出 が多 くな り,土壌浸食 を受けやすい.また耐水 性団粒が少な く,分散率の高いことか ら土壌浸 食が激 しく, 農地 が荒廃 しやす い土壌であ る (登川 ・寺沢,1982;翁長 ・宜保,1984;翁長 ・ 吉永,1988). また島尻マージは粘土含量が最 も高い土壌で あるが,土壌構造が高度 に発達 していることか ら通気性,透水性は良好である.降雨1日経過 した後で も畑地の作業は可能であ り,土壌が膨 軟であることか ら耕転作業のや り易い土壌であ る. しか し土壌の排水が良い反面,保水性 (水 もち)が低 く,干ばつの被害を受けやす い. ま た耐水性団粒が多 く,分散率が低いことか ら土 壌浸食の起 こり難 い土壌である. これに対 しジャーガルは,土壌構造の発達が 弱 く,排水の悪 い保水性の高い土壌である.ま た粗孔隙に乏 しく,垂直方向への重力水の移動 が極めて悪 い.母材は不透水であ り,土層 中に 停滞水が生 じ,湿害 を起 こしやす い.降雨後は 土壌が膨軟化 し,粘着性が極めて強 くな り,農 機具な どへのへば り着きで農作業が極めて難 し くなる.降雨後は農作業 をす るのに数 日待たな ければできない.強雨後は土壌表面に微密な土 壌皮膜が形成され 通気性,透水性が悪 くなる. また硬 い土の被膜によ り出芽障害 を起 こし,乾 くと収縮 し,著 しく固く亀裂 を生 じて作物根を 傷めるな ど劣悪な物理性 をもっている. 2)化学性 土壌の化学的性質は,土壌 に含 まれ る無機及 び有機な どの物質や交換性塩基,有効態 リン酸, 可給態 リン酸, 塩基置換容量 (CEC)な ど植 物の生育 と密接 に関わる養分の含量やその保持 す る能力の ことである. 表5は,沖縄県農業試験場 (1981) による地 力保全基本調査 の結果 を示 してある.表中にあ る国頭磯層 ・粘板岩系統は国頭マージ,石吹岩 系統は島尻マージ,泥灰岩系統がジャーガルを 示す. 作土 (表層土 ・耕土) の化学性 をみると,国 頭マー ジは強酸性で,全炭 素 (TIC),全窒素 (T-N)が他の土壌 に比べて少ない. またCaや Mg

,K

な どの置換性塩基含量が乏 しく,養分 保持 力 (CEC)も小 さい. これ に対 し, 島尻 マー ジは弱アルカ リ性 を示 し,全炭素 (TIC), 全窒素 (T-N)が他 の土壌 に比べて高 く, また CaやMg

,K

な どの置換性塩基含量は国頭マー ジよ り多 く,ジャーガルよ り少ない.養分保持 力の比較的高い土壌である. またジャーガルは アルカ リ性 を呈 し,全炭素 (T-C),全窒素 ( T-N)は島尻マージよ り低 いが,国頭マージよ り 高 い. またCaやMg,Kな どの置換性塩基含

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62 沖縄農業 第47巻 第 1早 (2015) 表5.沖縄本 島の主要土壌の化学的性質 1) 土壌型 (HpH20) T-(%)C T-(%)N mCEC

e

/

1

0(也 Ca置換性塩基Mg (meK/100g)Na 石灰 飽和度% 燐酸 吸収係数 国頭磯層 . 作 土 4.9 1.03 0.09 10.6 2.21 0.39 0.18 0.20 34 906 粘板岩 系統 下層土 4.8 0.30 0.06 8.8 1.55 0.37 0.07 0.31 15 1190 石灰岩 系統 作 土 7.1 1.30 0.14 18.4 22.72 1.48 0.38 0.41 123 817 下層土 7.2 0.89 0.10 17.8 10.76 1.35 0.17 0.35 57 910 泥灰岩 系統 作 土 7.5 1.08 0.13 22.6 45.12 2.51 0.39 0.34 206 553 注: 1)沖縄県農業試験場 (1981)沖縄県農業試験場百年史 :583. 量は他の土壌型に比べて多 く,養分保持力の高 い土壌である.下層土 (心土) について も,作 土 とほぼ 同じ傾向にあった. 沖縄の土壌の腐植含量は全般的に少ないが, 3土壌型のなかでは島尻マージが最 も多 い.吹 いでジャーガルであるが,国頭マージは極めて 少ない. ジャーガルは養分に富み,養分保持力が高 く, 本県で最 も肥沃な土壌である. これ に対 し,国 頭マージは養分が乏 しく,養分の保持力も小さ いことか ら,本県では最 も癖薄な土壌である. また島尻マージは国頭マージに比べて養分に富 み,養分の保持力も大きいが, ジャーガルよ り やや劣る. 国頭マージは沖縄で最 も癒せた土壌である. これ について足立 ・輿古 田 (1981)は,九州北 部の耕地及び林地 における類似土壌の塩基欠乏 面積 を比較 した ところ,国頭マージは殆 どが欠 乏状態にあったが,九州は10%にすぎなかった. 林地では両者 に殆んど差がなかった ことか ら, 国頭マージにおける塩基の欠乏は耕地化 に伴 う 流亡 に起因す ると推定 している.

3)

生物性 土壌中には,多 くの微生物や大小の動物が生 息 し,多種多様な生態系がつ くられている.土 壌生物は土壌の物理性,化学性に大きな影響を 及ぼす.特 に土壌微生物は,有機物の分解や養 分の無機化 (吸収できる形態へ分解)な ど大き な役割 を果た しているが,土壌の無機養分や温 磨,酸素, pHな どに強 く影響 され るものであ る. 沖縄の主要な土壌の微生物相をみると (図2), 量的,質的に大きな違いがみ られ る.土壌の細 菌数や放線菌数はジャーガルで最 も多 く,国頭 マージや島尻マージの2倍近 くもあ り,細菌数 は3倍以上になった.またジャーガルは細菌数 /放線菌数,細菌数/糸状菌数,放線菌数/糸 状菌数の値が3土壌型中最 も高 く,国頭マージ は最 も低かった.ジャーガル と国頭マージは全 く相反する微生物的性質 をもち,島尻マージは 両者の中間であった.島尻マージは細菌数がジャー ガルに次いで多 く,色素耐性菌の相対数が最 も 高い土壌である (外聞, 1998b). また土壌の深 さ別 に微生物数を比較すると, いずれの土壌型でも表層か ら下層 に向か うにつ れて微生物数は減少する.ジャーガルの細菌数 は表層か ら下層 に急減す るが,島尻マージや国 頭マージはやや緩やかに減少する傾向にあった (外聞, 1999). ミミズは 自然の鍬や大地の腸 と称 され その

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0 100 200 300 400 500 600 700 図2.土壌型別の微生物致. 糞は黄金の土 といわれ る. ミミズによる有機物 の分解や糞の排出,土壌空隙の形成は土壌の物 理 ・化学性にも大きな影響 を及ぼ し,農業上重 要な土壌生物である. ミミズの生息する環境は 生産性の高い土壌であ り, ミミズは地力のバ ロ メーター ともいわれる (中村,2011). 沖縄の3土壌型のミミズの生息数 をみると, サ トウキ ビ畑 に限った調査ではあるが,新植畑 では,国頭マージでミミズ類の生息数が最 も多 く,次いでジャーガルであった.島尻マージは 国頭マージの1/10, ジャーガルの1/2にすぎな かった.また株出栽培でも,国頭マージは他 の 土壌 に比べて極めて多 く, ジャーガルのほぼ2 檀,島尻マージのほぼ4倍の値 を示 した.いず れの土壌型 も株出 しす ることで ミミズ数は増加 し,国頭マージは約2倍,島尻マージが約8倍, ジャーガルで約5倍に増加 した. この結果は, 国頭マージが ミミズの生息環境 として良好であ り,島尻マージは不良であることを示 している (外聞 ・村上,2007). ミミズは表層か ら10cmの範囲に密度が高 く, 特 に国頭マージの夏植新椿は生息数の81%が表 層 に分布 し,島尻マージやジャーガルでも70% 近 くが表層 に生息 していた. しか し株 出しでは 島尻マージが表層に80%が生息 していたのに対 し,国頭マージやジャーガルは表層か ら下層に 分布域 の広 が る傾 向があった (外聞 ・村 上, 2007). 4.土壌 と病害虫の発生 沖縄 に分布す る3土壌型は,病害虫の発生に も違いがみ られ る.野菜の青枯病は県 内に広 く 発生するが,国頭マージや島尻マージで常発 し, ジャーガルで少ない.また疫病は冬春期や梅雨 時の長雨で多発するが, ジャーガルで多 く,国 頭マージ,島尻マージは排水不良畑に限 られる. つる割病は島尻マージの連作畑で多 く,ジャー ガルで少ない (外聞, 1988).

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64 沖縄農業 第47巻 第1早 (2015) セ ンチ ュウ類は作物 に大きな被害 を与えてい る.特にネコブセ ンチ ュウ類は野菜類で発生が 多 く,根 にコブを形成 し,養水分の移動吸収阻 害や土壌病原菌の感染 を助長す るな ど被害が甚 大である.その被害程度は土壌型で異な り,島 尻マージや砂壌土な ど軽 しょう土で発生 しやす い. オクラはネコブセ ンチュウ類の被害を受けや す く,連作の難 しい作物である.ネコブセンチュ ウを人工的に汚染 させた3土壌型にオクラを栽 培 し,被害の程度 を比較す ると,国頭マージで はネコブセ ンチュウの寄生によ り切 り返 し後 の 減収率が著 しく,収穫は皆無 となった. また島 尻マージも減収率は80%を示 したが,ジャーガ ルでは40%と,3土壌型のなかで最 も低 くかっ た.ネコブセ ンチ ュウによるオクラの被害は土 壌型で異な り,ジャーガルは被害が少な く,国 頭マージや島尻マージで多 くなる傾向にあった (外聞,1998a). ハ リガネムシやアオ ドゥガネはサ トウキビの 地下茎を加害 し,株出 し不萌芽の大きな原因 と なっている. この2種の土壌害虫は土壌型で発 生程度が異なり,島尻マージで発生が多く,ジャー ガルで少ない傾向にある.島尻マージは土壌害 虫の発生によ り,株出 しが難 しく,株出 し圃場 の割合 も低 くい.そのためサ トウキ ビは毎年更 新せざるを得ないため,生産性は著 しく低下す る. これ に対 しジャーガルは発生が少な く,秩 出 し圃場の割合 も高 く,株出 し回数 も4回近 く に及んだ 国頭マージは両者の中間的な様相を 示 していた (外聞 ・村上,2007). 土壌は根な ど地下部の病害虫だけでな く,秦 の病害発生にも影響する.サ トウキビの葉焼病 は葉に赤褐色の小斑点を生 じ,次第 に拡大 し葉 を早期 に枯れあが らすな ど被害の大きい病害で ある.その発生は土壌型で違 いがみ られ サ ト ウキビの系統Nco310は,国頭マージ,島尻マー ジで発生が多 く,ジャーガルで少ない.また葉 に黄褐色か ら白色病斑を生 じる白星病でも同じ よ うな傾向がみ られた.葉枯病はIRK67-1系 疏,サ ビ病はNco376系統で発生 しやす いが, 発生程度は土壌型間で大きく異なる.両病害は 国頭マージで発生が多 く,次 いで島尻マージに 多 か ったが, ジ ャーガルは極 めて少なか った (外聞 ・宮良,1982). 5.土壌の生産性 土壌は作物の生育 ・収量に大きな影響を及ぼ し,土壌の良し悪 Lが収量を決定する.特 に化 学肥料な ど施肥管理の未発達段階では土壌条件 が収量の決定要因になることが多 い.沖縄 の土 壌 と作物収量については,幾つか報告 されてい る (鎮西 ・大屋,1973;池原 ら,1975;野瀬 ら, 1987;大城 ・浜川, 1980;大城, 1984;新城 ・ 山田, 1962).ここではサ トウキ ビの地域別収 量か ら土壌の生産力を比較 してみた. 表6.沖縄本島の土壌型別サ トウキビ株出し面積と株出し回数1) 土壌型 調査農家数 調査面積a 株出面積a 株出割合% 株出回数 薬剤処理農家数2) 国頭マージ 46 72.7 44.6 62.6 2.6 83.9 島尻マージ 40 59.3 21.1 34.2 1.2 84.2 ジャーガル 52 45.4 32.4 74.6 3.9 61.8 注 :1)2001年沖縄本島現地調査結果 2)植付け時の薬剤処理

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池原 ら (1975)は,戦前,戦後 におけるサ ト ウキ ビの地域別収量の比較検討 を行 っている. 図3は,昭和前期 (1927-1939年) の13年間に おける年平均収量の頻度分布 を示 してある.北 部では,13ケ年中3トン未満の年が2回あ り, 5トン以下の年は13年の間に11回もあった. こ れ に対 し中部では3トン未満 の年度はな く,5 トン以下の年が5回,5トン以上の年が13年の 間に8回もあった. また南部では 3トン未満の 年はな く,5トン以下 も 4回で,5トン以上の 年が9回もあった. 中 ・南部地域は,年平均 5 トン以上の年が13ヶ年の間に8-9回もあった が,北部は 1回のみであ り,サ トウキ ビの反収 が北部で少な く,中 ・南部で多いことがわかる. また昭和後期 (1953-73年)の21年間におけ る年平均収量の頻度分布は図4に示すように, ・J 、\ /' ・、ヾ∴ ・ .了 / ∴ 収 量 t/10a ■北部 中部 ■南部 図3.サ トウキビの年度平均地区別収量の頻度分布 (1927-1939)(池原 ら,1975) 了 、\ 了 ∴

∴ 了 ∴ 了 ■北部 中部 ■南部 図4.サ トウキビの年度平均地区別収量の頻度分布 (1953-1973)(池原 ら,1975)

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66 沖縄農 業 第47巻 第1早 (2015) 北部は21ヶ年の間に年平均 3トン未満の年度は な いが,5トン以下が 4回,5トン以 上が17回 あった.大部分は7トン以下で,8トン以上の 年は 1回のみであった. これ に対 し, 中部は5 トン以下 の年が 1回,5トン以上が20回もあっ た.殆 どは7トン以上で,8トン以上の年 も21 年間で8回 もあった. また南部では,5トン以 下が 1回あ ったが7トン以上が14回もあ り,8 トン以上が21年の間に5回もあった.戦後になっ て もサ トウキ ビの反収は北部で少な く, 中 ・南 0 0 0 0 ハU 0 0 0 O ハU

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; W T 部で多 いことは戦前 と変 らな い. 鎮西 ・大屋 (1973)は 1970/71年期のサ トウ キ ビ収量 を夏植,春椿,株 出 し3作型 について 地域別に収量を比較 している.サ トウキビ10アー ル 当た り平均収量は南部で最 も多 く,8.6トン を示 している.次 いで中部の7.5トン,北部6.8 トンとな り,八重山6.2トン,宮古5.9トンであ る.南部及び中部が多収である原 因 として肥沃 度 の高 い土壌が分布す る ことによるという (図 5). ㌔ ㌔ 密 _itkh

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地 域 図5.サ トウキビの地区別収量 (鎮西 ・大屋,1973) また大城 (1984)はサ トウキ ビの収量 を土壌 型別 に比較 している.それ によるとサ トウキ ビ の10a当た り収量は, ジ ャーガ ルで最 も高 く 9.64トンを示 し,県平均の6.71トンを大幅に上 回っている.次 いで国頭マージの6.40トン,島 尻マージの5.03となったが,いずれ も県平均 を 下回るものであった.その理 由に, ジャーガル の肥沃性,島尻マージの干ばつ,国頭マージの 養分溶脱 による癖せ地を挙げ,排水対策や深耕, 客土な どの土壌改 良で克服できるとして いる. このジャーガルの肥沃性が沖縄本島南部地域 を 政治,経済 の中心地 にした要 因である とい う. 池原 ら (1975)は沖縄 島18土壌続の肥沃度 を 概 略 して い る. それ によ る と, 石灰質 未熟土 (レゴ ソール) が ジャーガル にあた り,稲嶺, 伊集,安慶 田,小那覇の4土壌続 はいずれ も肥 沃度上 とし,サ トウキ ビの生産 力 も安慶 田続が 中であるが,他3土壌続はすべて高である.赤 褐色土 (島尻マージ)では,糸洲続が肥沃度上 であるが,摩文仁続,並里B続は 中であ り,サ トウキ ビ生産 力 も糸洲続,並里B続が 中,摩文 仁続 は低 とな って いる. 岩屑土 (2土壌統),

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赤黄色土 (3土壌統),褐色低地土 (3土壌統), 灰色低地土 (3土壌統)は国頭マージに該 当す るが,すべて肥沃度は中か ら低である.6土壌 続が中で,5土壌続が下である.サ トウキ ビ生 産力も中か ら低である.ジャーガルはサ トウキ ビの生産 力が最 も高 く,次 いで島尻マージであ るが,国頭マージが最 も低 い土壌であることが わかる. 鎮西 ら (1967)は相対的作物生産性の指標 と して作物 ごとの土壌適正度 を示 している.沖縄 島の18土壌続について各作物の適正度 をみると, サ トウキビでは小那覇続,稲嶺続,伊集統のジャー ガル と並里続の島尻マージを最適 とし,名護続, 屋部続,安田続,屋名座続 の国頭マージ,摩文 仁続,具志堅続の島尻マージは適正度が低いと している.またサツマイモは,国頭マージの名 護続,ジャーガルの小那覇続,島尻マージの糸 洲続 を最適 とし,奥続,屋名座続の国頭マージ は適正度が低 いとしている. 沖縄島に分布す る3土壌型は土壌の肥沃度や 生産 力に大きな違 いがみ られた.ジャーガルは 肥沃度が高 く,国頭マージは低 いが,島尻マー ジは高 ・低あわせ持つ土壌であった.またサ ト ウキ ビに限った ことではあるが,ジャーガルは サ トウキビの生産力が最も高 く,次いで島尻マー ジとな り,国頭マージは最 も生産力の低 い土壌 であった.土壌の適正度か らも,ジャーガルは サ トウキ ビにとって最適であるが,国頭マージ は適正度が低 く,島尻マージは最適 もあ り,逮 正度 の低 いのもあった. おわ Uに 沖縄 に分布する主要な土壌は,国頭マージ, 島尻マージ, ジャーガルである. これ らの用語 は古 くか ら用 いられていた.かつては粘板岩土 壌,国頭磯層土壌,珊瑚石灰岩土壌,泥灰岩土 壌などの名称 も使われていた (沖縄農試,1981; 新城 ・山田,1962).これ らの名称 は,母材 を 反映 したものであ り,粘板岩土壌,国頭磯層土 壌が国頭マージ,珊瑚石灰岩土壌が島尻マージ, 泥灰岩土壌が ジャーガルである.1960年代か ら新土壌分類に基づ く土壌続が使われ,併せて 母 材別 の名称, 通称 な どが併記 され て いた. 1980年代以降に国頭マージや島尻マージ,ジャー ガルなどの名称が一般的に使われてきた.現在, この用語は沖縄 の土壌を表す名称 として広 く使 用 され るよ うになっている. この3土壌型は沖縄島に広 く分布す るが,国 頭マージは北部地域 と中部地域の一部 に限定さ れ,島尻マージは中 ・南部を中心 に北部地域に 散在 し,ジャーガルは中 ・南部地域に分布する. この3土壌型は物理化学性が大き く異な り,国 頭マージは酸性∼強酸性で,塩基 に乏 しく,癖 せ地が多い.また島尻マージは弱酸性∼弱アル カ リ性で,養分 に富むが,保水力が弱いので干 ばつの被害 を受けやすい.ジャーガルはアルカ リ性で養分の富み,沖縄で最 も肥沃な土壌であ るが,排水が悪 く,農作業に難点がある.沖縄 に分布する土壌は, いずれ も一長一短 を持 って いる.農業技術 の未発達段階では,土壌の短所 が農業生産上の大きな制限要素にな り,その克 服が安定生産 を導 くことになる. グスク時代は農業 を基盤 とした社会である. 農業生産 を基礎 に政治権 力が集 中し,海外交易 による鉄の導入で農業生産は飛躍的に伸び,経 済的に発展する契機 になった.農業生産力を高 め,経済的に発展 した有 力按 司が権力の集 中を 果た した.農業生産 力は,政治力の基礎であっ た という (安里,1991a). 農業は土 を基盤 としてな りたち,土の良否が 生産 を決める.土の良否は物理性や化学性,坐 物性な ど作物生産 をする上で好適条件であるか

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68 沖縄農 業 第47巻 第1早 (2015) どうかが判断基準 にな る.物理性が良 くて も化 学性が悪 ければ収量は上が らず, またそ の逆 も 同 じである.生物性は養分 の分解や生育 阻害な ど,作物 に対 して直接,間接の影響 を与 える. 物理化学性,生物性な ど三拍子そ ろった土壌は 少な く,何 らかの対策 を講 じて優 良な土壌 にな る. 土壌の肥沃度は地力あるいは土壌生産 力 と同 義 に用 い られ るが,地 力は作物 を生産 しうる土 壌の能力すなわち土壌 の化学的,物理的,生物 的諸性質 の総合である.土壌生産 力は地 力 と作 物や栽培環境 との組み合わせでな りたつ能力で, 作物 生産量 の大小で示 され る (三枝,2001). 農業技術 の未発達段階では,地 力あるいは土壌 生産 力が収量 の決定要 因になる. 地 力は,外部か ら作物の必要 とす る養分の投 入や天然供給が途絶えると徐 々に低下 していく. 農業生産 は土か らの養分奪取でな りたつ もので あ り,養分が減少 して くると収量 も落ちて くる. 収量 を恒常的 に維持す るためには,奪 った分 の 養分 を土 に返す ことが必要 にな る. 沖縄 に分布す る3土壌のなかで国頭マージは 養分 に乏 しく,生産 に見合 う養分 を投入 しなけ れば収量 をあげ る ことが難 しい. また養分の天 然供給 のある河川 の沖積地で も,土 の養分の減 少 とともに収量は落ちて くる. 島尻マー ジは養 分 に富む土壌であるが,開畑後 は養分が流亡 し やす く,長期間にわた り富栄養状態 を維持す る ことが難 しい.常 に養分 を土 に投入 しなければ 収量は低下 してい く. また ジャーガルは肥沃で あ り,養分の天然供給 も多 く,高収量 を長期間 維持す る こともできるが,新たな養分の投入が なければ,収量の低下は避 け られな い. 農業生産 を阻害す る要因は数多 くあ り,病害 虫は生産 を皆無 にするほど発生す ることもある. 沖縄 の主要な3土壌は,病害虫発生に違 いがみ られた.特 に土壌害虫は作物 を枯死 に至 らす ほ ど被害 の大 きいものである.サ トウキ ビの土壌 害虫は島尻マー ジで発生が多 く, ジャーガルで 少なかった.またサ トウキビの葉の病害 もジャー ガルは他の土壌に比べて発生の少ない土壌であっ た.サ トウキビ病害虫の発生か らみると,ジャー ガルは発生の少ない土壌である. 沖縄 に分布す る3土壌型は,いずれ も長所, 短所 をもち,そ の克服 を果た した指導者が地域 を治め,権 力を集 中させ ることができた と思わ れ る.交通 の未発達な段階では,技術 の普及 も 遅 々 として進 まない.新規技術 の取得 の如何が 農業生産 を向上 させ るか どうかの鍵 をにぎるも のである.海外交易 による鉄 の導入は,沖縄 の 農業 を画期的に変え,不 良土壌の克服,基盤整 備 による面 の拡大,施肥管理な どの技術的進展 をもた らす契機 とな った.そ の ことでグス ク時 代 の基盤はつ くられた と思われ る. 謝 辞 本稿 をと りま とめるにあた り,貴重なご助言 と参考文献 を貸 して いただいた大城書信 (元沖 縄県農林水産部長)氏 に感謝 の意 を表す. 引用文献 足立嗣雄 1978.沖縄本 島の土壌地域 区分.土 肥要 旨集 24:B76. 足立嗣雄 ・輿古 田幹也 1981. 沖縄県 に分布す る畑土壌の化学的性質.土肥要旨集 27:344. 安里進 1990.考古 学か らみた琉球史 (上) I 古琉世界 の形成 -.ひ るぎ社 (那覇). 安里進 1991a.考古学か らみた琉球史 (下) I 古琉球か ら近世琉球へ.ひ るぎ社 (那覇). 安里 進 1991b. グス ク時代 開始 期 の再検 討 . 琉球新報社編,新琉球史 一古琉球編.琉球新 報社.pp.65-90.

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表 2.沖縄に分布する主要土壌の性質. 土壌型 土壌群 母 材 土 色 pH 土 性 分布地域 国頭マージ 赤色土 国頭磯層、千 明赤褐色、 強酸性〜酸 強粘質〜粘 沖縄本島北 .中部、 ( 国頭磯層 .粘板岩土壌) 黄色土 枚岩、粘板岩、安山岩等 明褐色 性 質 伊平屋島、久米島、八重山諸島など 島尻マージ 暗赤色土 琉球石灰岩 暗赤褐色〜 弱酸性〜弱 粘土質 沖縄本島、伊江島、 ( 琉球石灰岩土壌) 褐色 アルカリ性 久米島、宮古島、八重山諸島など し, 国頭 マー ジが赤色 〜黄色, 島尻 マー ジが

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