広島県民の支出・資産選択行動の特徴点と
金融リテラシーの現状
2 0 1 9 年 3 月 1 日
日本銀行広島支店
本稿の執筆は、日本銀行広島支店営業課 谷本 智祐が担当しました。また、執筆にあたっては、広島県金融広 報委員会の協力を得ました。本レポートで示された意見は執筆者に属し、必ずしも日本銀行広島支店の見解を 示すものではありません。本稿の内容について、商用目的で転載・複製を行う場合は、予め日本銀行広島支店 までご相談ください。転載・複製を行う場合は、出所を明記してください。 <本件に関する問い合わせ先> 日本銀行広島支店営業課 〒730-0011 広島市中区基町8番17号 TEL:082-227-4110 FAX:082-502-0165 本資料は当店ホームページ(http://www3.boj.or.jp/hiroshima/)にも掲載しています。本レポートの概要
広島県民の支出行動をみると、全体としては目立った特徴は窺われないものの、仔 細にみると、スポーツ観戦には支出を惜しまないことや、節約志向が強いためか、消 費増税時には比較的駆け込み需要が大きくみられるといった特徴が見受けられた。 ―― また、県民の支出行動を人生の三大費用(住宅、教育、老後)という観点から みると、住宅取得行動や老後の支出行動に大きな特徴はみられなかったものの、 教育に対する支出は、私立志向や大学進学率の高さもあって、全国の中でも比 較的高い傾向がみられた。 広島県民の資産選択行動をみると、貯蓄保有率・保有残高ともに全国を上回ってい るほか、預貯金のウェイトが高いなど、堅実な県民性が窺われた。一方、有価証券 のウェイトは相対的に低く、残高も他地域に比べて大きく減少するなど、投資を主体 とした資産形成は他地域に比べて遅れている可能性がある。 広島県民の金融リテラシー(お金の知識・判断力)は概ね全国並みの水準にはある が、「お金について長期計画を立てる人の割合」や「老後の生活費について資 金計画を立てている人の割合」は全国の中でも低く、中長期的な計画に沿った 支出行動に対する意識は低いという課題がみられた。先行き成年年齢が引き下 げられることを踏まえると、若年層の金融リテラシーの底上げも重要な課題。 ―― この間、公的機関等で構成される広島県金融広報委員会では、金融広報アド バイザーの派遣事業等を通じて、県民の金融リテラシーの向上に向けて活動。 特に、最近では、成年年齢引下げを展望し、県内高校生に向けた「巣立ち教室」 の展開を開始するなど、若年層への金融教育に注力。【図表1】平均消費性向(二人以上の勤労者世帯) 4 【図表3】消費支出の品目別構成比(2014年) 【図表2】世帯主の年齢階級別にみた消費支出額(2014年)
(1)広島県民の支出行動の特徴点:全体観
~広島県民の支出行動には、全体としては目立った特徴はみられない~
広島県民の消費支出をみると、平均消費性向および支出品目の構成比とも に概ね全国並みとなっており、全体としては目立った特徴はみられない。 ―― なお、広島県は、一般的に新製品のテストマーケティングに適して いるといわれるが、こうした背景には、県民の支出行動に目立った特 徴がなく全国平均を映じている等の事情も影響しているとみられる。 73 75 77 79 81 83 1999年 2004 2009 2014 広島県 全国 (%) (注)1.本レポートでは、「全国消費実態調査」および「家計調査」については、特に断りのない限り、二人以上の世帯の計数を使用している(以下同じ)。 2.消費支出額は1か月あたり。 0 10 20 30 40 35歳未満 35~44 45~54 55~64 65歳以上 広島県 全国 (万円) (構成比、%、%p) 全 国 と の 差 (広島-全国) 食料 23.7 ▲ 1.0 外食 3.7 ▲ 0.7 交通・通信 16.1 0.7 自動車等関係費 8.8 0.7 教養娯楽 9.5 ▲ 0.5 光熱・水道 6.7 ▲ 0.5 住居 5.9 ▲ 0.1 保健医療 4.4 0.0 被服及び履物 4.2 0.1 教育 4.1 ▲ 0.5 家具・家事用品 3.9 0.4 その他の消費支出 21.5 1.2 諸雑費 8.3 0.5 交際費 6.8 0.5 仕送り金 2.6 0.5 広 島 県0 20 40 60 80 合計 衣料 品 飲食料品 家具 家庭 用電 気 機械 器具 あ 家庭用 品 全国 広島県 (前年比、%)
【BOX1】2014年の消費税率引上げによる支出行動の変化
当地では、前回の消費増税時の駆け込み需要(2014/3月)は、全国よりも 強くみられた。また、消費増税前(2013年)と消費増税後(2015年)の支 出額の変化率をみると、節約志向が強いこともあってか、全国に比べて大 きく落ち込んだ品目が目立つ。 【図表4】前回増税時における財への支出額 【図表5】前回増税直前(14/3月)の大型小売店販売額(商品別) 【図表6】品目別にみた消費増税による支出額の変化 (出所)総務省「家計調査」 ▲ 15 ▲ 10 ▲ 5 0 5 10 15 20 25 13/1-3月 7-9 14/1-3 7-9 広島市 全国 (前年比、%) 消費税率引上げ(5→8%) ▲ 20 ▲ 15 ▲ 10 ▲ 5 0 5 10 保健 医 療 食料 被服及 び 履物 光熱・水 道 家具 ・家 事用品 その 他の 消費支出 教育 住居 教養 娯楽 交通 ・通 信 全国 広島市 (支出額の変化率<2015年と2013年の比較>、%)【BOX2】広島県民はスポーツ観戦が好き
広島市のスポーツ観戦に対する支出額は、この5年間増加傾向にあり、全 国の水準を大きく上回っている。また、他地域と比較しても、1年間にス ポーツ観戦した者の割合やスポーツ観戦に対する支出額は突出しており、 地元プロ野球球団等の人気もあって、「スポーツ観戦には支出を惜しまな い」という特徴がみられる。 【図表7】スポーツ観覧料に対する支出額 【図表8】スポーツ観戦者の割合とスポーツ観覧料に対する 支出額(都道府県別) (注)支出額は1か月あたり。 (出所)総務省「家計調査」 0 1,000 2,000 3,000 4,000 5,000 13 14 15 16 17 広島市 全国 (円) 年 (注)スポーツ観覧に対する支出額(1か月あたり)は、各県庁所在地 の計数。 (出所)総務省「家計調査」、「社会生活基本調査」 0 1,000 2,000 3,000 4,000 10 15 20 25 30 35 40 (1年間にスポーツ観戦した者の割合<2016年>、%) (スポーツ観覧料に対する支出額<2016年>、円) 広島県 山口県 鳥取県 島根県 岡山県88.6 86.1 84.6 83.7 80.5 0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100 富 山 県 福 井 県 滋 賀 県 三 重 県 山 形 県 新 潟 県 岐 阜 県 徳 島 県 秋 田 県 茨 城 県 鳥 取 県 山 梨 県 栃 木 県 奈 良 県 石 川 県 香 川 県 和 歌 山 県 静 岡 県 群 馬 県 岡 山 県 長 野 県 千 葉 県 埼 玉 県 青 森 県 岩 手 県 島 根 県 兵 庫 県 広 島 県 京 都 府 熊 本 県 愛 媛 県 福 島 県 愛 知 県 神 奈 川 県 大 分 県 北 海 道 山 口 県 高 知 県 宮 城 県 佐 賀 県 大 阪 府 宮 崎 県 鹿 児 島 県 東 京 都 長 崎 県 福 岡 県 沖 縄 県 (%) 全国82.6 広島県の持ち家率は約8割と概ね全国並み。 ―― 年齢別にみると持ち家率の上昇に伴い、負債保有率・負債額は上昇 し、40歳代半ば頃までにピークを迎える。当該世代に到達するまでに 確りとライフプランを立て、住宅の購入に備えておくことが重要。 【図表9】持ち家率(2014年) (注)持ち家率=持ち家世帯数÷集計世帯数 (出所)総務省「全国消費実態調査」
(2)広島県民の支出行動の特徴点:住宅費用
~広島県民の持ち家率は概ね全国並み~
【図表10】世帯主の年齢階級別にみた持ち家率と負債 保有率・金額 (2014年、広島県) (注)負債保有率=負債保有世帯数÷集計世帯数 (出所)総務省「全国消費実態調査」 0 1 2 3 4 5 6 7 8 0 20 40 60 80 100 35歳未満 35~44 45~54 55~64 65~74 75歳以上 住宅・土地のための 負債額(右軸) 持ち家率 住宅・土地のための 負債保有率 (%) (百万円) 広島県民の教育関係費は、世代とともに上昇し、45~54歳にかけてピーク を迎える。こうした傾向は全国と同様であるが、ピーク時(45~54歳)の 教育関係費は、全国の中でも高めの水準となっている。 (注)教育関係費は1か月あたり。 (出所)総務省「全国消費実態調査」 【図表11】世帯主の年齢階級別にみた教育関係費 (2014年) 【図表12】他県と比較した教育関係費の水準 (2014年)
(3)広島県民の支出行動の特徴点:教育費用①
~ピーク時の教育関係費は、全国の中でも高めの水準~
(注)教育関係費は1か月あたり。 (出所)総務省「全国消費実態調査」 0 1 2 3 4 5 6 7 8 35歳未満 35~44歳 45~54歳 55~64歳 65歳以上 広島県 全国 (万円) 0 1 2 3 4 5 6 7 8 35歳未満 35~44歳 45~54歳 55~64歳 65歳以上 47都道府県の レンジ 広島県 中央値 (万円) 広島県の教育関係費が高い背景として、①大学進学率の高さ(全国4位)、 ②私立志向の強さが挙げられる。 【図表13】大学進学率(2017/3月)と教育関係費(2014年) 【図表14】私立の学生の割合(2017年度) (注)教育関係費は、45~54歳の1か月あたり。 (出所)文部科学省「学校基本調査」、総務省「全国消費実態調査」 (注)高等学校は全日制+定時制。 (出所)文部科学省「学校基本調査」
(3)広島県民の支出行動の特徴点:教育費用②
~大学進学率の高さや私立志向の強さが教育関係費を押し上げ~
(%) 都道府県 割合 1 東京都 24.4 2 高知県 18.1 3 京都府 12.8 6 広島県 9.8 17 岡山県 4.8 26 山口県 3.3 36 鳥取県 2.1 39 島根県 1.4 46 秋田県 0.0 46 山形県 0.0 7.2 … 全国平均 … … … 中学校 … … 都道府県 割合 1 東京都 55.6 2 京都府 44.1 3 福岡県 41.4 8 広島県 32.3 11 岡山県 31.8 19 山口県 30.0 34 鳥取県 23.2 35 島根県 22.1 46 沖縄県 6.1 47 徳島県 4.5 31.9 全国平均 … … … … … 高等学校 都道府県 割合 1 東京都 4.2 2 奈良県 3.7 3 京都府 3.5 11 広島県 1.2 13 岡山県 0.9 1.2 全国平均 小学校 … … … 青森県、秋田県 山形県、新潟県 富山県、鳥 取 県 島 根 県、山 口 県 香川県、愛媛県 佐賀県、熊本県 36 0.0 2 3 4 5 6 7 8 9 30 40 50 60 70 (教育関係費、万円) (大学進学率、%) 広島県 山口県 鳥取県 島根県 岡山県 全国平均 全国平均(+3.5) (+0.1) (▲0.5) (+2.3) (+1.4) 0 20 40 60 80 100 幼稚園 小学校 中学校 高等学校 大学 (進学率) 2007年度 2017年度 (%) 161 824 380 313 362 145 916 398 311 376 0 200 400 600 800 1,000 幼稚園 小学校 中学校 高等学校 大学 06年度 16年度 (万円) 大学卒業までの教育費<全て私立の場合> 06年度:2,041万円→16年度:2,146万円 73 200 141 156 243 68 193 143 135 243 0 50 100 150 200 250 300 幼稚園 小学校 中学校 高等学校 大学 06年度 16年度 (万円) 大学卒業までの教育費<全て公立の場合> 06年度:813万円→16年度:783万円 この10年間で、私立志向、大学進学率ともに高まっている。この間、幼稚 園~大学卒業までにかかる教育関係費をみると、私立は上昇している。 もっとも、世帯における教育関係費の負担は、政府による高等学校無償化 等の施策もあって今後低減する可能性がある。 10 【図表16】公立、私立別にみた教育関係費(全国) 【図表15】私立の学生の割合と大学進学率(広島県) (注)幼稚園~高等学校は、学習費総額(学校教育費、学校給食費、学校外活動費)。 大学は授業料と入学料の合計(文部科学省の国立大学および私立大学のデー タを用いて、日本銀行広島支店が作成)。高等学校は全日制。 (出所)文部科学省「子供の学習費調査」、「2016年度私立大学等入学者に係る (注)大学は国公立を含む進学率(07/3月と17/3月の計数)。高等学校 は全日制+定時制。 (出所)文部科学省「学校基本調査」
(3)広島県民の支出行動の特徴点:教育費用③
~私立志向、大学進学率の上昇に伴い、教育関係費の負担は増加~
<公 立> <私 立>12 13 14 15 16 17 18 神奈川 県 千葉 県 奈良 県 東京都 埼玉県 兵庫県 愛知 県 大阪 府 滋賀 県 京都 府 茨城 県 三重県 広島 県 静岡県 岐阜 県 山口 県 和歌山県 群馬 県 栃木県 福岡県 岡山県 宮城 県 山梨 県 香川 県 富山県 長野県 北海道 石川 県 愛媛県 福井 県 長崎県 新潟 県 大分県 福島県 佐賀県 島根 県 高知 県 徳島県 鳥取 県 鹿児島 県 熊本 県 沖縄県 岩手 県 山形 県 青森 県 宮崎 県 秋田県 (万円) 全国平均:147,927円 広島県の年金受給世帯の消費支出は受給額に概ね見合った水準。また、消 費支出の品目別構成比をみても、全体としては目立った特徴は窺われない。 ―― 因みに、広島県の年金受給者の年金額は全国並み。なお、繰上げ受 給者の割合は全国の中で最も低い。 11 順位 都道府県 繰上げ 受給率 1 山形県 58.0 2 山梨県 56.6 3 栃木県 55.3 26 鳥取県 34.9 27 島根県 34.1 43 岡山県 21.3 45 山口県 17.6 46 北海道 17.1 47 広島県 16.9 34.2 … … … 全国平均
(4)広島県民の支出行動の特徴点:年金受給層
~広島県の年金受給層の支出は年金受給額に概ね見合った水準~
【図表18】厚生年金保険(第1号)受給者の平均年金月額(2016年度) 【図表19】老齢年金受給者(新規 裁定者)の繰上げ受給率 【図表20】老齢年金受給者の 繰上げ受給率(2016年度) 【図表17】年金受給世帯の消費支出 <消費支出の品目別構成比(2014年)> (注)消費支出額は、主な年間収入が年金等の世帯(二人以上の世帯) の1か月あたり。平均年金月額は厚生年金保険受給者。 (出所)総務省「全国消費実態調査」、厚生労働省「厚生年金保険・ <消費支出額と年金受給額> 0 5 10 15 20 12 13 14 15 16 広島県 全国 (%) 年度 (注)基礎年金月額を含む。 (出所)厚生労働省「厚生年金保険・国民年金事業年報」 (構成比、%、%p) 広 島 県 - 全 国 26.1 27.0 ▲ 0.9 4.2 6.2 ▲ 2.0 7.5 8.0 ▲ 0.5 4.4 4.0 0.4 3.1 3.1 0.0 5.8 6.1 ▲ 0.3 15.2 13.0 2.2 自動車等関係費 8.9 7.3 1.6 0.1 0.2 ▲ 0.1 11.4 11.3 0.1 22.3 21.0 1.3 その他の消費支出 家具・家事用品 被服及び履物 保健医療 交通・通信 教育 教養娯楽 光熱・水道 広 島 県 全 国 食料 住居 18 20 22 24 26 28 30 10 12 14 16 18 広島県 山口県 島根県 鳥取県 岡山県 (消費支出額<2014年>、万円) (平均年金月額<2014年度>、万円) 広島県民は、世代別にみても貯蓄保有率・貯蓄残高ともに概ね全国を上 回っている。 ―― 特に、60歳以上では、貯蓄保有率と保有残高ともに全国を上回って おり、老後に向けた備えが比較的できているものとみられる。 【図表21】世帯主の年齢階級別にみた貯蓄保有率(2014年) 【図表22】世帯主の年齢階級別にみた貯蓄残高(2014年)
(1)広島県民の資産選択行動の特徴点:貯蓄状況①
~貯蓄保有割合、貯蓄保有額ともに全国を上回っている~
(出所)総務省「全国消費実態調査」 (出所)総務省「全国消費実態調査」 512 713 825 1,378 1,468 1,785 2,341 0 500 1,000 1,500 2,000 2,500 35歳未満 35~39 40~44 45~49 50~54 55~59 60歳以上 広島県 全国 (万円) <世代平均> 広島県:1,711万円 全 国:1,565万円 95.6 88.1 98.1 96.3 93.4 97.2 97.5 85 88 91 94 97 100 35歳未満 35~39 40~44 45~49 50~54 55~59 60歳以上 広島県 全国 (%) <世代平均> 広島県:96.2% 全 国:94.4%0 500 1,000 1,500 2,000 2,500 3,000 400 500 600 700 800 (貯蓄現在高、万円) (年間収入額、万円) 広島県 全国平均 全国平均 年間収入額は全国を 下回る一方、貯蓄残高 は全国を上回っている 島根県、岡山県 鳥取県 山口県 広島県民の貯蓄残高の水準は、全国の中でも比較的上位に位置。 年間収入額は全国平均を下回っている一方、貯蓄残高は全国平均を上回っ ており、年間収入額に対する貯蓄現在高の比率は、全国でもトップクラス。 【図表23】貯蓄現在高 【図表24】年間収入額と貯蓄現在高
(1)広島県民の資産選択行動の特徴点:貯蓄状況②
~広島県民の年間収入額に対する貯蓄残高の比率はトップクラス~
(出所)総務省「全国消費実態調査」 (出所)総務省「全国消費実態調査」 年間収入額に対する 貯蓄現在高の比率(上位5県) 1 和歌山県 3.1倍 2 香川県 3.0倍 3 奈良県 2.9倍 4 山口県 2.9倍 5 広島県 2.8倍 順位 都道府県 万円 1 東京都 1,967 2 神奈川県 1,904 3 福井県 1,856 11 広島県 1,711 14 山口県 1,666 15 岡山県 1,665 16 島根県 1,664 25 鳥取県 1,476 46 青森県 862 47 沖縄県 575 1,565 全国平均 … … … … 貯蓄保有率を資産別にみると、各資産とも全国の中で比較的上位に位置。 ただし、貯蓄の内訳をみると、定期性預貯金にやや偏っており、有価証券 の割合は全国を下回っている。 【図表25】貯蓄保有率(2014年) 【図表26】貯蓄の資産別構成比(2014年) 96.2 77.1 66.8 26.9 0 20 40 60 80 100 合計 定期性預貯金 生命保険等 有価証券 全国 広島 (%) 6位 10位 14位 12位 全国で の順位 (出所)総務省「全国消費実態調査」 41 47 22 22 21 19 14 11 0 20 40 60 80 100 全国 広島 % 定期性預貯金 生命保険等 通貨性預貯金 有価証券 その他 (出所)総務省「全国消費実態調査」
(2)広島県民の資産選択行動の特徴点:資産構成
~広島県民は定期性預貯金を選好する傾向~
有価証券の保有割合を世代別にみると、広島県民は殆どの世代で全国を上 回っている。もっとも、過去5年間における資産の残高の増減をみると、 預貯金が増加しているのに対し、有価証券の減少額は他地域と比べて大き い。投資を主体とした資産形成が相対的に進んでいない可能性。 【図表27】世帯主の年齢階級別にみた有価証券の保有割合 (2014年) 【図表28】預貯金と有価証券の増減金額(2009年→2014年) <預貯金> <有価証券> 6.8 15.6 17.9 21.4 24.9 27.3 35.0 0 5 10 15 20 25 30 35 40 35歳未満 35~39 40~44 45~49 50~54 55~59 60歳以上 広島 全国 (%) (出所)総務省「全国消費実態調査」 (注)預貯金は定期性預貯金と通貨性預貯金の合計。 (出所)総務省「全国消費実態調査」 順位 都道府県 増減額 1 東京都 +192 2 和歌山県 +66 3 熊本県 +54 5 山口県 +46 9 鳥取県 +21 14 島根県 +12 42 岡山県 ▲ 51 45 広島県 ▲ 71 46 徳島県 ▲ 85 47 香川県 ▲ 121 14 … … … 全国平均 … …
(3)広島県民の資産選択行動の特徴点:有価証券
~投資を主体とした資産形成は他地域より遅れている可能性~
(万円) (万円) 順位 都道府県 増減額 1 山口県 +201 2 島根県 +193 3 和歌山県 +142 7 広島県 +94 14 岡山県 +53 44 鳥取県 ▲ 95 46 徳島県 ▲ 124 47 香川県 ▲ 172 37 … … … … 全国平均0.0 100.0 1.家計 管理 2.生活 設計 3.金融 取引 4.金融 基礎 5.保険 6.ローン 7.資産 形成 8.外部 知見 広島県 全国 金融リテラシー調査における各分野の設問の正答率をみると、広島県民は 全ての分野においてほぼ全国並みとなっている。 ―― なお、金融知識に対する自己評価は、全国の中でもトップクラス。 【図表29】金融リテラシーの特徴(2016年) (注)各分野の設問に対する正答率(%)。 (出所)金融広報中央委員会「金融リテラシー調査」 【図表30】金融知識に対する自己評価(2016年) (注)「金融知識についての自己評価」について、「とても高い=100」、「どちらかといえば高 い=75」、「平均的=50」、「どちらかといえば低い=25」、「とても低い=0」、「わからな い=計算対象外」として集計対象者の平均値を算出。 (出所)金融広報中央委員会「金融リテラシー調査」
(1)広島県民の金融リテラシーの現状①
~広島県民の金融リテラシーは全国並みであるが、自己評価は高め~
42.3 41.7 41.4 40.9 40.5 35 37 39 41 43 45 香川 県 島根 県 岐阜県 鳥取県 広島県 青森県 山形県 石川 県 和歌 山県 福島県 東京都 神奈川 県 福井 県 奈良 県 山口県 茨城県 兵庫 県 宮崎県 大阪府 長野 県 岡山 県 静岡県 群馬 県 埼玉 県 千葉県 三重県 京都 府 鹿児島県 滋賀県 徳島県 高知 県 栃木 県 福岡県 愛知 県 熊本 県 愛媛県 北海 道 長崎県 新潟 県 秋田 県 佐賀県 岩手県 富山 県 大分 県 宮城県 山梨 県 沖縄県 全国平均:40.1 ただし、「お金について長期計画を立てる人の割合」や「老後の生活費に ついて資金計画を立てている人の割合」は、全国の中でも低く、長期的な 目線に立ったお金の使い方はあまり得意ではない様子。 19 【図表31】長期計画を立てる人の割合(2016年) 【図表32】老後の生活費について資金計画を立てている人の割合(2016年) 51.1 48.2 47.6 47.4 43.7 30 35 40 45 50 55 福井 県 大分 県 滋賀 県 香川県 山口県 長野 県 群馬 県 青森 県 熊本 県 鹿児島 県 静岡 県 長崎県 宮崎県 兵庫 県 北海道 埼玉 県 神奈川県 奈良 県 徳島 県 鳥取 県 福岡県 福島 県 山形 県 愛媛 県 岡山 県 千葉県 沖縄 県 島根 県 岐阜 県 愛知 県 佐賀 県 宮城 県 東京 都 大阪 府 茨城 県 三重県 栃木 県 新潟 県 秋田 県 京都府 和歌 山県 広島 県 富山 県 岩手 県 山梨県 石川 県 高知 県 全国平均:47.4 (%)
(1)広島県民の金融リテラシーの現状②
~長期的な目線に立ったお金の使い方は得意ではない~
43.0 37.9 35.5 34.5 29.3 20 25 30 35 40 45 岡山 県 奈良県 福井 県 熊本 県 香川 県 京都府 山口 県 埼玉 県 北海道 兵庫 県 高知 県 新潟 県 岐阜 県 神奈 川 県 青森 県 山梨 県 愛知 県 東京 都 岩手 県 宮崎 県 群馬 県 鳥取 県 福島 県 千葉 県 栃木 県 富山 県 滋賀 県 和歌山県 広島 県 長崎 県 静岡 県 沖縄 県 山形 県 大阪府 愛媛 県 石川 県 長野 県 福岡県 茨城 県 大分 県 宮城 県 佐賀 県 鹿児島 県 三重 県 島根 県 徳島 県 秋田 県 全国平均:35.6 (%)都道府県 相談件数 1 鳥取県 11.25 2 福岡県 11.14 3 宮崎県 11.05 5 広島県 10.38 8 山口県 10.02 11 岡山県 9.54 24 島根県 7.82 45 福島県 6.15 46 秋田県 5.89 47 沖縄県 5.44 8.20 全国平均 … … … … … 金融リテラシー調査における正答率が低い都道府県ほど、金融トラブルの 経験者の割合は高い傾向。広島県の消費相談件数は、全国の中でも高い水 準にあることに加え、先行き成年年齢が引き下げされることも踏まえると、 若年層の金融リテラシーの底上げは重要な課題。 【図表33】金融リテラシーと金融トラブルの関係(2016年) (出所)金融広報中央委員会「金融リテラシー調査」 【図表34】人口千人あたりの消費相談件数(2014年度)
(1)広島県民の金融リテラシーの現状③
~金融トラブルを防ぐためにも金融リテラシーの向上は重要な課題~
(出所)消費者庁 以 上 45 47 49 51 53 55 57 59 61 63 65 0 2 4 6 8 10 12 (正誤問題25問の正答率、%) (金融トラブルの経験者の割合、%) 広島県 岡山県 山口県 鳥取県 島根県(参考)金融リテラシー向上に向けた取組み
~広島県金融広報委員会の活動~
広島県金融広報委員会は、公的機関や県内の金融機関等から構成される中 立・公正な組織。広島県民の金融リテラシー向上に向けて、金融に関する 情報提供や学習支援を実施。特に、金融広報アドバイザーによる講師派遣 回数は、ここ数年で大きく増加しており、依頼テーマも多岐に亘っている。 【参-図表1】広島県金融広報委員会の組織 【参-図表3】金融広報アドバイザーの無料講師派遣の実績 【参-図表4】講師派遣依頼におけるテーマの内訳(2017年度) 0 50 100 150 200 250 300 12年度 13 14 15 16 17 (回)
(1)広島県金融広報委員会について
~広島県民の金融リテラシーの向上のために活動する中立・公正な組織~
■講師派遣 公民館や学校等で行われる学習会に、専門家で ある「金融広報アドバイザー」を無料で派遣。 ■情報提供 講演会の開催のほか、学校や家庭での学習・指 導に活用できる様々な教材・資料等を作成・配付。 会長 広島県知事 副会長 中国財務局長、日本銀行広島支店長 委員・幹事 広島県内の官公庁、金融機関、報道機関、 関係団体の代表者 事務局 日本銀行広島支店 【参-図表2】広島県金融広報委員会の主な活動 ■金融・金銭教育研究校制度 教育研究費の助成、研究・実践内容の企画 立案のサポート、金融・金銭教育に関する教 材・資料の提供等。 (出所)広島県金融広報委員会 21.2 14.3 13.5 11.0 10.2 8.2 7.3 3.3 11.0 0 20 40 60 80 100 小中学生 向け講座 金融・経済 消費者問題 資産 形成 老後の生活設計 ライフプラン 年金・社会保障 相続・贈与 その他 (%) 2022年4月より成年年齢が引き下げられる(20歳→18歳)ことを踏まえ、 2018年度より県内の高校生を対象に新たに巣立ち教室を展開。契約や取引 のルール等、成年になる前に必要な最低限の知識を身に付けてもらうこと が狙い。 【参-図表5】成年年齢引下げと巣立ち教室の重要性 【参-図表6】「巣立ち教室」の展開
(2)若年層の金融リテラシー向上に向けた取組み①
~成年年齢の引下げを展望して、県内の高校生を対象に金融リテラシーを
身に付けてもらうべく、2018年度より新たに巣立ち教室を展開~
22/4月より成年年齢が20歳から18歳に引下げ 成年までに必要な知識を身に付けてもらう ① 「成年(=法的主体)になることの意味」を理解させ、 消費者トラブルに遭わないための見識を身に付けさせる ② ライフデザイン(人生に必要なお金の把握と家計管 理、貯蓄のコツ等)を考えることを通じて、豊かな人生の 実現を目指す ③ 一人一人の社会的・職業的自立に向け、必要な基 盤となる能力や態度を育てることを通して、キャリア開発 を促す(キャリア教育) ▽「巣立ち教室」の内容 契約に関する基本的な知識がないまま無防備に 成年となることがないよう、18歳になる前に、 契約や取引のルール、消費者トラブルの回避法 など、最低限の知識を身に付けておく必要。 (出所)広島県金融広報委員会 金融・金銭教育研究校制度を通じて、学校現場における金融教育の普及に 向けて活動。研究校は、教育機関からの申請に基づき指定。最近では、研 究校数が大幅に増加しており、金融教育に対する関心の高まりが窺われる。 【参-図表7】金融・金銭教育研究校制度の概要 【参-図表8】金融・金銭教育研究校数の推移