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Vol.6 , No.1(1958)043前田 惠學「「旅行の途中他世界に遭遇する物語」考」

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Academic year: 2021

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(1)

﹁族

(前

田)

﹁族

語﹂考

一 本 論 の 意 圖 凡 そ 死 者 の 露 魂 が 何 ら か の 形 で 存 綾 し、 入 間 の 生 活 に 影 響 を 與 へ る と い ふ 信 念 は、 古 來 何 れ の 民 族 に も 根 深 く 存 在 し て ゐ る。 イ ソ ド、 特 に 佛 教 の 聖 典 中 に は 輪 廻 思 想 が 読 か れ、 有 情 は 解 脱 し な い 限 り 地 獄 ・ 餓 鬼 ・ 畜 生 ・ 人 間 ・ 天 .上 等 の 諸 世 界 を 輪 廻 し て 窮 る こ と が な い と 考 へ ら れ て ゐ る。 阿 毘 達 磨 的 な 解 繹 は し ば ら く 措 く が、 一 般 に 死 後 の 世 界 は 必 ず 存 在 し、 人 間 は 死 後 何 れ か の 世 界 に 生 れ 攣 る。 そ し て こ れ ら の 生 存 堂 貫 く 原 理 は 因 果 慮 報 で あ る。 善 悪 の 業 は 何 時 か は 必 ず 結 果 す る。 現 に 我 汝 は 前 生 の 業 に ょ つ て 入 間 世 界 一に 生 を 受 け、 ま た 先 亡 者 は 必 ず 何 ら か そ れ 相 慮 の 果 を 受 け て 何 虎 か に 再 生 し て ゐ る。 さ ら に 一 歩 進 め て 言 へ ば、 先 亡 者 は こ の 世 に お け る 入 間 と か 畜 生 と か に 生 れ 代 つ て ゐ る 場 合 も あ ら う。 或 は 地 獄 と か 餓 鬼 と か 天 上 の 世 界 に 再 生 し て ゐ る 場 合 も あ ら う。 そ し て 我 汝 は ど う か す る と 全 く 偶 然 の 機 會 に 亡 者 の 世 界 に 出 會 さ な い と も 限 ら な い。 死 者 の 難 魂 は 日 常 ・生 活 に お い て も 屡 麦 我 汝 の 前 に 現 れ て そ の 力 を 獲 揮 す る が、 何 虎 か 遠 く へ 族 行 に で も 出 た ら、 何 時 か は 亡 者 の 佳 す る 他 世 界 (paraloka) に 遭 遇 す る こ と が あ る の で は な か ら う か。-古 い 時 代 の イ ン ド 入 は か か る 期 待 を 多 分 に 抱 い て ゐ た と 思 は れ る。 佛 教 聖 典 バー 特 に 本 生 経 類 ・ 磐 喩 経 類 中 に は、 何 塵 か 遠 く へ 族 行 す る 途 中、 全 く 偶 然 の 機 會 に こ の 世 と は 異 る 他 世 界 に 遭 遇 す る と い ふ 物 語 を 籔 多 く 傳 へ て ゐ る。 本 生 経 類 ・ 讐 喩 経 類 中 に は 多 種 多 様 に し て 極 め て 豊 富 な 題 材 な い しmotif が 存 し、 或 る 種 の も の は 好 ん で 屡 繰 返 し 利 用 さ れ て ゐ る が、 こ こ で は ﹁ 族 行 の 途 中 偶 然 に 他 世 界 に 遭 遇 す る ﹂ と い ふmotif を 有 す る 物 語 を 取 り 墨 げ て、 そ の 特 徴 的 性 格 を 考 へ て 見 る こ と と す る。 二 物 語 の 内 容 と 種 類

(2)

-196-と こ ろ で、 他 世 界 と い ふ も の は こ の 入 間 世 界 と は 次 元 を 異 に す る も の で あ る か ら、 世 俗 の 一 般 入 が 意 識 的 に そ こ へ 行 か う と 考 へ て も 達 し え ら れ る も の で は な い。 從 つ て さ う し た 他 世 界 を 族 行 の 目 的 地 と す る こ と は で き な い。 た だ 他 世 界 は 必 ず 何 塵 か に 存 在 す る も の で あ る か ら、 そ こ へ 行 か う と 思 は な く て も、 何 時 か 何 ら か の 機 會 に 他 世 界 に 遭 遇 す る こ と が あ る 、 で あ ら う。 他 世 界 に 遭 遇 す る 機 會 は 全 く 偶 然 性 に 支 配 せ ら れ る。 若 く は 宿 縁 の 結 果 で あ る。 ま た 他 世 界 は 何 塵 に で も 存 在 す る と は 言 ひ 得 な い。 他 世 界 に 遭 遇 し 易 い 揚 所 は 自 ら 限 定 せ ら れ る。 や は り 遠 隔 の 地 が そ れ に 相 鷹 は し か ら う。 そ れ 故 こ こ に 取 り 基 げ る 物 語 は、(一) 遠 距 離 族 行 に 際 し、(二) そ の 途 中 で、 日 全 く 偶 然 の 機 會 に 他 世 界 に 遭 遇 す る と い ふ こ と を そ の 基 本 的 前 提 條 件 と し て ゐ る。 そ し て こ の 種 族 行 は 自 ら 海 上 族 行 と 陸 上 族 行 と に 分 た れ る。 ︹ A ︺ さ て そ れ で は 海 上 族 行 の 途 中 他 世 界 に 遭 遇 す る 物 語 に は 如 何 な る も の が あ る か。 (一) ︹ 欲 望 追 求 の 遍 歴 談 ︺ 先 づ 海 上 族 行 の 途 中 主 人 一公 が 他 の 入 汝 か ら 離 れ ば な れ に な つ て 漂 流 す る 中、 偶 然 に す ぐ れ た 天 女 の ゐ る 天 宮 (vimana) に 遭 遇 し、 ﹁ 金 ・ 銀 ・ 水 晶 ・ 摩 尼 等 の 幾 つ か の 天 宮 を 欲 望 の 赴 く ま ま に 遍 歴 し て の ち、 足 る と こ ろ を 知 ら な い た め 最 後 に 恐 し い 他 世 界 に 行 き 着 く に 至 る ﹂ と い ふmotif 開 を 有 す る も の が あ る。 こ れ は パ ー り L o sakajata -( 1) ( 2) k a (jat.41)、 Catudvarajataka (Jat.439)、 漢 諜 ﹃ 六 度 集 ﹂経 ﹄ ( 3) ( 4) 第 三 九 経 や 或 ひ は ﹃ 雑 寳 藏 経 ﹄ 巻 一 ﹁ 慈 童 女 の 縁 ﹂ 等 の 物 語 に 見 ら れ る。 こ の ﹁ 欲 望 追 求 の 遍 歴 談 ﹂ に は 攣 種 が 存 在 す る。 ﹁ 寳 探 し 的 遍 歴 談 ﹂ と も 言 ふ べ き も の が こ れ で あ る。 こ の 種 の も の は、 他 世 界 に 赴 い て 財 寳 を 求 め よ う と し、 從 つ て 他 世 界 そ の も の を 族 行 の 目 的 地 と し、 他 世 界 遭 遇 を 必 然 性 を も つ て 語 ら う と し て ゐ る。 こ の 黙、 こ こ に 取 り 基 げ る べ き 基 本 的 前 提 條 件 に お い て す で に 性 格 を 異 に す る も の と 言 ふ べ き で あ る。 し か し 因 に 他 世 界 を 族 行 の 目 的 地 と す る こ と が 如 何 に し て 可 能 と さ れ て ゐ る か と 言 へ ば、(一) 先 づ 主 入 公 ( 菩 薩) が 衆 生 濟 度 と い ふ 崇 高 な 願 ひ を 起 し、 世 の 衆 生 を あ ま ね く 潤 す に 足 る 財 寳 を 求 め て、 銀 城 ・ 黄 金 城 ・ 琉 璃 城 等 の 他 世 界 を 遍 歴 す る 揚 合 が あ る。 崇 高 な る 精 神 が 他 世 界 到 達 を 可 能 な ら し め て ゐ る。 し か る に こ の 揚 合、 族 行 の 目 的 地 た る 他 世 界 は 實 は 龍 宮 で あ つ て、 こ の 種 物 語 は 龍 宮 へ の 費 探 し の 話 な の で あ る。 例 ( 5) ( 6) ( 7) へ ば、 ﹃ 六 度 集 経 ﹄ 第 九 経、 ﹃ 佛 読 大 意 経 ﹄、 ﹃ 賢 愚 経 ﹄ 巻 八、 等 の 物 語 が こ れ で あ つ て、 こ れ ら は 龍 宮 読 話 の 一 種 と 言 ふ べ き で あ る。(二) ま た 財 を 求 め て 船 出 し、 神 通 力 あ る す ぐ れ た 導 師 に ょ つ て 寳 の 海 や 寳 の 山 を 韓 汝 遍 歴 す る と い ふmotif も あ る。 こ こ で は 寳 の 海 や 山 は 有 情 の 佳 す る 他 世 界 と い ふ 意 味 を 失 つ て ゐ る。 例 へ ば、supparakajataka(8) (jat.463) や ﹃ 賢 愚 ﹁ 族 行 の 途 中 他 世 界 に 遭 遇 す る 物 語 ﹂ 考 ( 前 田)

(3)

﹁ 族 行 の 途 中 他 世 界 に 遭 遇 す る 物 語 ﹂ 考 (前 田) 経 ﹄ 巻 九、 等 に こ れ が 見 ら れ る。 (二) ︹ 島 的 他 世 界 へ の 漂 着 談 ︺ 他 世 界 が 海 上 に お い て 如 何 な る 形 態 を 具 へ て ゐ る か に 注 目 し、 特 に は つ き り と 他 世 界 が 一 つ の ﹁ 島 ﹂ と し て 描 爲 さ れ て ゐ る 揚 合 を 取 り 墨 げ る と、 海 上 族 行 の 途 中 偶 然 に 島 的 他 世 界 に 漂 着 す る 物 語 と な る。 そ の 典 型 的 な も の は Samudda vanijajataka (jat.466) で あ る が、 特 にCeylon に ま つ は る も の と し てValahasasjataka (jat. ( 10) 19 6)、 ﹃ 根 本 読 一 切 有 部 毘 奈 耶 ﹄ 巻 四 七、 四 八、 ﹃ 大 唐 西 域 記 ﹄ ( 11) ( 12) 巻 一 一、 な ら び に Sussondjiataka (jat.360) 等 も こ の 種 の も の に 關 係 が あ る。 (三) ︹ 雲 馬 王 に よ る 羅 刹 界 脱 出 談 ︺ 海 上 族 行 の 途 中 夜 叉 や 羅 刹 の 恐 し い 他 世 界 に 遭 遇 し た 入 女 が、 雲 馬 王 (asbsansed) に よ つ て 敷 は れ、 脱 出 す る 物 語 が あ る。 例 へ ば、 ﹃ 中 阿 含 ﹄ 一 ( 13) ( 14) ( 15) 三 六 経、 ﹃ 六 度 集 経 ﹄ 巻 六、 ﹃ 佛 本 行 集 経 ﹄ 巻 四 九 や ﹃ 塘 登 阿 ( 16) ( 17) 含 ﹄ 巻 四 一、 ﹃ 出 曜 経 ﹄ 巻 二 一、 等 で あ る。 前 項 でCenysun 島 に 關 係 す る と 述 べ た Valarkdsdsasa ﹃ 有 部 毘 奈 耶 ﹄、 ﹃ 西 域 記 ﹄ の 三 者 も 本 來 的 に は こ の 種 の も の で あ る。 ︹ B ︺ 次 に 陸 上 族 行 の 途 中 他 世 界 に 遭 遇 す る 物 語 に 目 を 韓 ず る と、 海 上 族 行 に 關 す る も の よ り 遙 か に 資 料 が 少 い。 こ れ は 海 が こ の 世 と あ の 世 を 匪 劃 す る と い ふ 思 惟 方 法 が 張 く 働 い た 結 果 か も 知 れ な い。 し か し 陸 上 族 行 の 他 世 界 遭 遇 談 も 幾 つ か 存 す る か ら、 海 と い ふmodesas が 絶 封 的 な も の で な い こ と は 當 然 で あ る。 陸 上 族 行 に 關 す る も の と し て 考 慮 す べ き は 次 の 如 き も の で あ る。

一Vinamavvsdsds 84=kyikui 84=Paskdfsdsdf IV. 2. の Sdgsnaad夜

叉﹃の物語と Paskdajsd IV. 3.の一ペータ(餓鬼)の境界に遭 遇 す る 物 語、 等。 二 Maaksdkasaasds (jat.493)、Jslukszsdna(jat. (18) 256)、 ﹃ 賢 愚 経 ﹄ 第 九、 等 に 存 す る 龍 宮 読 話。 (三) 特 殊 な 形 態 を 有 す るTdskffsdfkdkfddkdf (jat 96)、 Cum-biyslsakcasdas (jat 366)、 等 に 見 ら れ る ﹁ 大 森 林 道 路 ﹂ (mahavat-ta niatavi) の 物 語。 こ の 中 第 三 の 読 話 は、 族 行 の 途 中 通 過 せ ね ば な ら な い ﹁ 大 森 林 道 路 ﹂ に、 人 に 危 害 を 加 へ る 夜 叉 等 が 出 没 す る と い ふ 物 語 で あ る。 大 森 林 道 路 は 豫 め そ の 存 在 位 置 が 知 ら れ て を り、 偶 然 に 遭 遇 す る 揚 所 で は な い。 從 つ て 今 は 直 接 究 明 の 封 象 と は な ら な い。 第 二 の 物 語 は 一 慮 は 我 女 の 目 的 に 合 す る や う に 見 え る。 し か し 龍 宮 読 話 は 海 上 族 行 に 關 す る 物 語 の 揚 合、 直 接 究 明 の 封 象 と な る や う な 形 態 を と る も の が 見 當 ら な か つ た。 今 陸 上 族 行 の 揚 合 の 第 二 の 龍 宮 読 話 も、 實 は 古 井 戸 や 古 木 の 中 に あ る 龍 宮 の 物 語 で あ つ て、 か か る 形 態 の 龍 宮 が 充 分 な 意 味 で の 他 世 界 と 言 へ る か ど う か、 多 少 の 疑 問 が 淺 る。 從 つ て 本 來 的 に 陸 上 族 行 の 途 中 偶 然 に 他 世 界 に 遭 遇 す る 物 語 の 例 と し て は、 第 一 の 部 類 が そ の 圭 た る も の と な る。

(4)

三 物 語 の 特 徴 的 性 格 ( 結 論) さ て、 以 上 の や う な 各 種 の 形 態 に お い て 見 ら れ る、 海 陸 爾 族 行。 の 途 中 偶 然 に 他 世 界 に 遭 遇 す る 物 語 に、 一 般 的 共 通 的 な 二 三 の 特 徴 的 性 絡 を 結 論 的 に 見 出 し て お か う。-(1) 一 般 に 物 語 の 圭 人 公 は 如 何 な る 経 過 を 経 て 他 世 界 に 遭 遇 し て ゐ る か。 つ ま り 他 世 界 は こ の 世 と は 次 元 を 異 に す る か ら、 族 行 の 途 中 何 の 攣 化 も な く 遭 遇 す る こ と は な い で あ ら う が、 経 典 作 者 は 如 何 な る 表 現 を 用 ひ て、 圭 入 公 を こ の 世 か ら あ の 世 へ と 途 り 込 ん で ゐ る で あ ら う か。 こ の 黙、 海 上 族 行 に お い て は 船 が 難 破 し て 漂 流 す る と い ふ 筋 書 き が 好 ん で 用 ひ ら れ、 陸 上 族 行 で は 道 に 迷 ふ と い ふ こ と が こ の 種 族 .行 談 の 常 套 手 段 と な つ て ゐ る。 ( こ れ は 別 種 の 物 語 に お い て 圭 人 公 を 他 世 界 (19) (20) 昏 連 わ 出 す た め に 意 識 を 失 は し め た り、 眠 ら せ た り す る 筆 法 に 封 磨 し て ゐ る。) と に か く 入 は 入 間 的 な 意 志 や 意 識 の 喪 失 の 歌 態 に お い て 他 世 界 に 遭 遇 せ し め ら れ る。 入 間 は 自 分 の 力 で 意 識 的 に あ の 世 に 行 く こ と は で き な い が、 何 か 偶 然 の 機 會 に、 換 言 す れ ば 過 去 の 業 の 結 果 と し て、 長 い 放 行 の 途 中 こ の 世 の も の な ら ざ る 他 世 界 に 迷 ひ 込 む の で あ る。 こ の ﹁ 迷 ふ ﹂ と か ﹁ 漂、 流 ﹂ す る と か い ふmotif 隊 は、 裏 返 し て 見 れ ば こ の 世 と あ の 世 と の 断 絶 性 を 表 現 し て ゐ る。 そ の 意 味 で こ れ は 他 世 界 を し て 他 世 界 た ら し め る 基 本 的motif で あ る と 言 ひ う る。 (2) 他 世 界 に 遭 遇 す る 場 所 は 必 ず し も 族 行 の 途 中 な ら 何 虎 で も よ い わ け で は な い。 陸 上 族 行 を 見 て も、 道 に 迷 ひ 易 い 揚 所 が 選 ば れ て ゐ る。 そ し て 一 般 に 他 世 界 遭 遇 は ﹁ 難 庭 ﹂ (kan-tara 膿 野) に お い て 起 る と 考 へ ら れ て ゐ る。Jataka の 中 に は ﹁ 難 塵 に は 盗 賊 難 庭 ・ 猛 獣 難 塵 ・ 無 水 難 塵 ・ 非 入 難 庭 ・ 飢 饒 難 虚 ( 21) の 五 種 が あ る ﹂ と 述 べ て ゐ る。 こ の 中 ﹁ 非 入 の す み か ﹂ (ama-nussadhitthita) な る ﹁ 非 入 難 塵 ﹂ (amasasaksre) に お い て 他 世 界 に 遭 遇 す る こ と に な る。 こ の や う に 他 世 界 遭 遇 の 揚 所 が 難 庭 的 性 格 を も つ て ゐ る こ と は 海 上 族 行 に お い て も 同 様 で あ る。 大 抵 の 揚 合 船 が 難 破 ・ 漂 流 し な く て は 他 世 界 に 遭 遇 し え な い か ら で あ る。 從 つ て ﹁ 海 の 中 に は 血不 難 甚 だ 多 し。 水 浪 ・ 廻 波 ・摩 犠蜴 大 魚 ・ 亜 心龍。 ( 22) 羅 刹 ・ 水 色 の 山、 是 の 如 き の 衆 瞼 経 過 す 可 き ご と 難 し ﹂ と 言 ( 23) ぴ、 或 は 海 に 三 難 を 歎 さ、 ま た 餓 鬼 ・ 畜 生 ・ 地 獄 を も つ て 深 ( 24) 海 の 難 と も 名 づ け て ゐ る。 或 る 経 に は ﹁ 諸 有 の 衆 生 四 方 に 奔 趣 し、 瞼 難 を 輕 歴 し て、 或 は 虎 狼 ・ 盗 賊 ・ 毒 蛇 ・ 悪 鬼 ・ 荊 棘 ・ 深 林 ・ 無 入 の 鍵 跡 に 遇 ひ、 或 は 刀 創 の た め に 屠 割 せ ら る る に 遇 ひ、 復 大 海 に 入 り、 諸 上 の 衆 難 に 遇 ひ、 或 は 暴 風、 廻 波 の 曲 折 し て 大 船 を 傷 壌 す る に 遇 ひ、 或 は 黒 山 の 鬼 魅 に 遇 ひ、 羅 刹 界 に 堕 つ ﹂ と 海 陸 の 難 を ま と め て 読 い て ゐ る。 か か る 難 塵 的 な 性 格 が 特 徽 の 一 つ と な つ て ゐ る。 (3) そ れ で は 族 行 の 途 中 遭 遇 す る 他 世 界 に は 如 何 な る 有 情 ﹁族 行 の 途 中 他 世 界 に 遭 遇 す る 物 語 ﹂ 考 (前 田)

(5)

﹁ 族 行 の 途 中 他 世 界 に 遭 遇 す る 物 語 ﹂ 考 (前 田) が 佳 し て ゐ る で あ ら う か。 こ れ に は 種 六 の も の が あ る が、 圭 役 を 演 ず る の は 夜 叉 (takayama) な い し 夜 叉 女 (冒 葵 ぼ n 圃) と 羅 刹 (rakkhasa) で あ る。 こ れ ら 相 互 の 匿 別 は 明 確 で な く、 性 格 も 善 悪 優 劣 様 々 あ る。 夫 女 の 揚 合 に 憲 じ て 天 紳 (deva) ・ 天 子 (devaputta) ・ 天 女 (denansaas) と か ペ ー タ (peasiumas 鬼) と か の 異 名 を も つ て 呼 ば れ て ゐ る。 も し こ れ を 総 括 す る 名 構 を 求 め れ ば や は り ﹁ 非 入 ﹂ (ansemaaensa) と 言 ふ べ き で あ ら う。 從 つ て こ の 種 族 行 談 に お い て 遭 遇 す る の は 非 入 の 世 界 で あ つ て、 我 汝 は こ の 種 物 語 の 本 質 を ﹁ 非 入 読 話 ﹂ で あ る と 規 定 す る こ と が で き る で あ ら う ゆ 要 す る に ﹁ 族 行 の 途 中 他 世 界 に 遭 遇 す る 物 語 ﹂ は、 本 來 的 に は 海 陸 の 族 行 の 途 中 難 塵 に お い て 道 に 迷 つ た り、 漂 流 し た り す る 中 偶 然 に 夜 叉 や 羅 刹 等 の 非 入 の 世 界 に 遭 遇 す る 物 語 な の で あ る。 1 ま た ﹃ 六 度 集 纏 ﹄ 三 三 経 ( 大 正 三、 一 九) 参 照。 2 Cf. Jat. 82; 104;369. 3 大 正 三、 一 二 上。 ま た ﹃ 佛 本 行 集 経 ﹄ 巻 五 〇 ( 大 正 三、 八 八 四 下-八 八 七) 滲 着。 4 大 正 四、 四 五 〇 下。 ﹁ 慈 童 女 の 縁 ﹂ で は、 行 き は 水 道、 麟 り は 陸 道 で、 そ の 蹄 途 の 陸 上 族 行 に 他 世 界 遭 遇 を 配 し て ゐ る が、 便 宜 上 こ こ に 置 い た。 5 大 正 三、 四 上。 6 大 正 三、 四 四 六。 7 大 正 四、 四 〇 六 下。 8 Cf. Jatakamala 14. 9 大 正 四、 四 一 二。 10 大 正 二 三、 八 八 七 下。 11 足 立 喜 六 氏 ﹃ 大 唐 西 域 記 の 研 究 ﹄ 下、 八 五 七 以 下。 12 Cf.Jat. 327. 13 大 正 一、 六 四 二。 14 大 正 三、 三 三 中 下。 ま た 同 纏 巻 四 ( 大 正 三、 一 九) 滲 着。 15 大 正 三、 八 七 九。 16 大 正 二、 七 六 九 中。 17 大 正 四、 七 一 八 下。 18 大 正 四、 四 一 六 中 下。 19 例 へ ば、Jat. 531 (=V, p. 281) で は 帝 繹 天 ぶ 王 妃 に 意 識 を 失 は せ て 三 十 三 天 に 連 れ て 行 く。 20 例 へ ば、Jat. 543 (V I, p.167) で は 眠 つ て ゐ る 聞 に 龍 が 人 を 龍 宮 へ 連 れ て 行 く。 21 Jat. 1. (1, p.99). 22 ﹃ 賢 愚 経 ﹄ 巻 八 ( 大 正 四、 四 〇 八 中)。 23 ﹃ 生 維 ﹄ 巻 一 ( 大 正 三、 七 五 下)。 24 ﹃ 出 曜 纏 ﹄ 巻 七 ( 大 正 四、 六 四 六 中)。 25 ﹃ 出 曜 経 ﹄ 巻 四 ( 大 正 四、 六 三 二 中)。 附 言 本 稿 に お い て 意 の 鑑 せ な か つ た 黙 は 別 に 機 會 を え た い と 思 つ て ゐ る。

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