CD‑ROMによる国文学研究材料 デ ー タ ベ ー ス の 配 布
北 村 啓 子
要 旨
計算機による国文学研究支援の中でもパーソナル環境の支援として,研究材 料を研究者の手元に配布することに取り組んだ。配布媒体としてはCD‑ROM を選び,配布材料としては,(1)目録型データ(2)フルテキストデータ(3)
マルチメディアデータの3種類に分けて,順次取り組んで行くことにした。
(1)目録型データでは,高速インデックスサーチと高速表示を目的としてデ
ざ
−タ構造を設計し,マイクロ資料目録データベースの評価版を作成した。ま た,試用者によるアンケートを実施し,その分析によると良好な結果が得られ た。特に,ツールとしてはもちろんアイデアプロセッサ的な真の意味での研究
膳
システムとしての要素もあるという喜ばしい結果も得られた。
(2)フルテキストデータでは,高速文字列検索のためにデータ構造を設計 し,日本古典文學大系の中から6作品を選んでテスト版を作成した。またこの 検索システムには,日本語固有の縦書き文化に合わせた縦表示機能を開発し組 糸込んでいる。
(3)マルチメディアデータでは,4種類の実際の応用例について考察したの でその紹介を行う。
− 1 −
1 ・ は じ め に
国文学研究資料館では,国文学研究の計算機による支援を目的とし,各種研 究材料それぞれをデータベースとして大型計算機上で構築してきた[3][4]。
例えば,書誌情報データベース,所在情報データベース,目録情報データベー ス,フルテキストデータベース,イメージデータベースなどである。ネットワ ークを利用してこれらのデータベースにオンラインアクセスも可能としてい る。
次のステップとして,パーソナル環境の支援に取り組んでいる[1]。特に注 目した要件を以下に列挙する。
・パソコンで使える
・自宅の書斎で使える(スタンドアロンが望ましい)
・研究材料を個人所有できる(自分だけのメモの書き込承や自分だけのデータ 加工ができる研究ノートの電子版 プライベートライブラリィ )
そこで研究材料を国文学研究資料館の大型計算機上に集中型のデータベース として置くだけではなく,個人利用のデータベースとして研究者の手元に配布 することを考えた。配布媒体としては,大記憶容量,コンパクト,標準化が進 んでいる,取扱いが簡単,普及性,安価パソコン環境での使用などの点から CD‑ROMを選んだ。[7]
研究材料配布の構想を研究材料の種類により(1)目録型データ(2)フル テキストデータ(3)イメージデータを含めたマルチメディアデータの3つの ステップに分けて順次取り組んで行くことにした。それぞれのステップで,特 別なデータ構造と検索システムを設計してきた。また,国文学者にとって使い やすいインタフェースも重要な課題である。上記3つのステップとは別に1つ の大きなテーマとして取り組んでいるが,その成果は各ステップに組み込んで いる。ここでは,インタフェースについてまとめて議論はしないが,各ステッ
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CD‑ROMによる国文学研究材料データベースの配布(北村)
プの中で適宜触れることにする。
本論文ではこの活動のそれぞれのステップでの現在までの成果と今後の構想 についてステップを追って述べる。
2 . 目 録 型 デ ー タ
2.1.データの内容と検索システム
CD‑ROM化するデータベースとして,当館所蔵マイクロ資料目録データベ ースを選び,評価版を作成・プレリリースしテスト利用して頂↓、ている[2]
[5]。このデータベースは,オンライン公開しているデータベースの1988年度 版と同じ内容である。オンライン公開の検索システムでは,検索キーは書名,
著者名の承であるのに対し,刊行年(和暦,西暦),出版地,出版者,所蔵者,
請求番号も検索キーとして使用できるようにした。特に和暦は,年号だけの指 定によりその年号の元年から最終年までの範囲を検索できるようにしている。
国文学固有の書名シソーラスは,オンライン公開の検索システムと同等の内 容を格納している。国文学では特に重要な読承による検索と表記(漢字)によ る検索の両方をオンライン公開の検索システムと同様に可能にしている。
JIS外字の文字フォントは,オンライン公開の検索システムでは当館大型計 算機直結の端末しか表示できないが,出現頻度の高いものから188/245文字
(出現率としては90%)の文字フォントを格納し表示可能とした。
また,利用計算機をPC9800シリーズに特定することにより,画面制御上 の制約が少なくなるので,マンマシンインタフェース(MMI)の改良を行っ た。(オンライン環境では,端末として多くの種類の計算機を前提とするため 計算機によって異なる画面制御は事実上難しい。)具体的には,
①フルスクリーンを使用し,
②検索初心者向けのメニュー方式(画面のガイドに従って入力)と,検索習熟 者向けのコマンド方式(検索論理式を入力)の2種類の入力方式を用意し
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* * 国 文 学 研 究 安 料 館 H I C R O 検 索 メ ニ ュ ー * * 1 次 の 8 件 の 害 名 が 腰 当 し ま す . I 検 索 し た い 害 名 の 番 号 を 入 力 し て 下 さ い I 番 号 害 名
1 源 氏 物 旙 2 紫 明 抄 3 源 氏 物 語 釈 唆 4 源 氏 物 晤 顛 緊 抄 5 お さ な 源 氏 6 湖 月 抄 7 源 氏 物 か た り 8 十 帖 師 氏
I 番 号 [ 1 , 6 , 7 ]
llllIllIlllllIlll
存 名 [ ケ ン ジ モ ノ ガ タ リ 薯 者 名 [
晴 求 記 号 [
] 年 〜 〔 西 暦 刊 年 [
出 版 者 [ 出 版 地 [ 和 暦 刊 年 [ 所 蔵 者 名 [
終 了 消 去 決 定 前 頁 次 頁 検 紫
メニュー方式での書名シソーラスの例
* * 国 文 学 研 究 資 料 館 M I C R O
検 索 式 [ A 清 少 納 言 & B 岳 日 記
[
< 検 索 項 目 >
請 求 肥 号 → # 著 者 名 → A 出 版 者 → P 出 版 地 → S 西 暦 刊 年 → Y 所 蔵 者 名 → H
< 検 索 内 容 >
単 語 間 : A N D 指 定 → & O R 指 定 項 目 間 : A N D 指 定 → & O R 指 定
検 索 コ マ ン ド * *
盲 名 → B 和 暦 刊 年 → 』
N O T 指 定 → N O T 指 定 →
↓↓
終 了 消 去 切 替 H E L P 検 索
コーマンド方式の例
* * 国 文 学 研 究 資 料 館 M I C R O 検 索 メ ニ ュ ー * *
| 次 の 件 の 年 号 が 披 当 し ま す .
| 検 索 し た い 年 号 の 番 号 を 入 力 し て 下 さ い l 番 号 年 号 開 始 終 了
4 7 永 長 1 0 9 6 1 0 9 7 4 8 永 徳 1 3 8 1 1 3 8 4 4 9 永 仁 1 2 9 3 1 2 9 9 5 0 嘉 禎 1 2 3 5 1 2 3 8 5 1 永 万 1 1 6 5 1 1 6 6 5 2 永 暦 1 1 6 0 1 1 6 1 5 3 永 禄 1 5 5 8 1 5 7 0 5 4 永 和 1 3 7 5 1 3 7 9 5 5 延 久 1 0 6 9 1 0 7 4 5 6 延 慶 1 3 0 8 1 3 1 1
1 番 号 [ ]
llllllllIllllllll
香 名 [ 著 者 名 〔 柵 求 記 号 [ 西 暦 刊 年 [ 出 版 者 [
] 年 〜 [
出 版 地 [ 和 暦 刊 年 [ 所 蔵 者 名 [
終 了 消 去 決 定 前 頁 次 頁 検 索
和 暦 に よ る 検 索 の 例
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CD‑ROMによる国文学研究材料データベースの配布(北村)
た。また、
③ルックアップ機能(サブウィンドウに候補を表示し,数字で選択できる。網 羅性の向上,入力の省力化)や、
④サンプルによるガイダンス機能(サプウィンドウに表示される通りに指定す るとサンプル経験ができる)、
⑤ファクションキーの多用(機能が全てファクションキーに割り当ててあるの で、ファクションキーを押すだけで目的の機能を実行できる)を実現した。
検索結果を見る時も,オンライン環境ではデータのパッファリング(貯めて おくこと)をしないため,一方向に(前へ前へ)見るだけで戻ることができな かったが,前へ入ったり戻ったり任意の場所に飛んだりできるようにしてい る。また,一覧表示と詳細表示の間を行ったり来たりもできるようにして、、
る。
パーソナル環境での利用を考えると,検索結果をプリントしておいたり,他 のアプリケーション(ワープロ,データペースシステム)を利用して加工した りしたくなると思われる。検索結果をプリントする機能,ならびにMS‑DOS 標準ファイル形式でダウンロードする機能を持たせている。
検索キーによる高速検索と検索結果の高速表示とを目的として,CD‑ROM 上のデータ構造を設計した。検索キーの索引の構造には,多層インデックス構 造を採用し、各検索キーからポイントされた目録情報は検索結果の表示フォー マットで格納することにした。これらのデータ構造により,CD‑ROM自身の アクセスの遅さをカバーしている。
格納データは1976年〜1988度年度撮影分の100万件の目録で,データサイズ は約100Mバイトである(CD‑ROM容量の1/5程度)。データ構造と検索 システムの詳細については,[2][7]を参照されたい。
2.2.評価
このCD‑ROMは人文系研究者,大学図書館等約60サイトに配布し試用評
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価中である。広く利用者の評価を分析してシステム評価を行うためにアンケー トを作成しご協力頂いた。[7]
アンケート結果の分析によると,検索結果への満足度,使い易さ,検索スピ ード感など定性的な評価では良好な結果が得られた。検索キー,検索機能は種 類的にはほぼ充足しており,個人単位で見ると少ない種類の組み合わせで個人 の検索スタイルに合った検索方法を利用しているようである。また,単なるツ ールとして役立つの承ならず,新しい研究スタイルの発見やアイデアなど研究 の刺激となるなど,真の意味での研究支援の一面も見いだすことができた。
以下に評価方法と分析結果について述べる。
(1)評価方法
大きく次の3種類に分類して質問を用意した。
I.想定選択肢で確定できる事実:専門,利用環境,使用した検索キーと検索 機能など
Ⅱ、定性的な評価:使った感じなどを5段階分類で選択
Ⅲ.自由回答形式
アンケートの実物は,文献[7]のAppendixに添付したので本論文では割 愛した。そちらを参照されたい。
アンケート回収状況は,1990年9月末日現在,国文学研究者11名(のうち館 内5名),その他国語学等人文科学系研究者3名,人文科学系への応用を研究 している計算機研究者3名,大学図書館司書6名である。今回の分析は,1990 年4月末日回収分の承を対象としたため,国文学研究者9名(のうち館内5 名),その他国語学等人文科学系研究者3名,人文学系への応用を研究してい
る計算機研究者1名,大学図書館司書5名である。
次の観点でアンケート結果の集計を行った。今回は上記分類の1.Ⅱ、の象 の集計を行い,Ⅲ、自由回答は傾向をつかむに留めた。なお集計とグラフ作成 にはLotusl‑2‑3を使用した。以下の5項目について結果を順次紹介する。
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CD‑ROMによる国文学研究材料データベースの配布(北村)
①利用者環境の把握:使用目的,使用場所,使用機器,日本語FEP
②専門別と年齢別の使用した機能:入力方式,検索キー,検索機能
③専門別と年齢別の定性的評価:使い易さ,検索結果への満足度,スピード感
④どういう風に役にたったか?
⑤自由回答のサーベイ
なお、②の検索キーと検索機能については,、(いつもよく使う)を3,○
(時々使う)を2,△(使ったことがある)を1として重承付けをした合計値 である。人数の規格化はしていないので,グラフ上、縦軸の数字の大きさ(分 類項目間の数値比較)は意味がない。分類項目内のバランスとして見ていただ きたい。また,複数回答の項目(②,③)については,選択肢ごとに重複カウ ントしているので正確な人数ではない。それ以外は,グラフ上縦軸の数字は人 数を表している。
(2)結果
①利用者環境の把握:
a・使用目的
国文学研究者は自分の研究,司書は図言館業という当然の結果であるが,そ
専門別目的
19987654321011
国 文 学 そ の 他 人 文 系 計 算 機 一 司 書 圀自分研究圏他人研究圏図書館業Z趨床圏その他
弓 一 J −
、 、
鞭
Z錘2鰯蕊
篝
の他人文系研究者は,他人の研究(他研究者の代行)で利用している人が多
い。
b.使用場所
国文学研究者は,20%弱の人が自宅書斎で利用している。国文学者の書斎化 傾向を裏付けている。
専門別使用場所
2129876543218111
国 文 学 そ の 他 人 文 系 計 算 機 司 書
蕊…鱗
圀 研 究 室 圏 自 宅 圏 共 有 翅 計 算 機 セ ン タ 圏 図 書 館 圏 そ の 他
c・使用機器
PC9800の機種は様々であるが,VX,VMが比較的多い。新しい機種では R X が め だ つ 。
CD‑ROMドライバは,約60%がNEC(CD101,CD102を含めて)であ る。他に,日立,東芝が使われている。
d . 日 本 語 F E P
ATOK,松茸,NECDICの利用者が,ほぼ同数ずついる。NECDIC利用 者には,配布状態のまま使用している人が多いと思われる。
②専門別と年齢別の使用した機能:‐
a、入力方式
表記の入力:ローマ字入力→仮名漢字変換は70%弱,仮名入力→漢字変換は20
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一 〆
CD‑ROMによる国文学研究材料データベースの配布(北村)
%強である。ローマ字入力仮名漢字変換の利用者が多い。
ヨミの入力:ローマ字入力は40%,仮名入力は35%である。ヨミによる検索は 行わない人が結描いるようである。
b.検索キー
出版地和暦刊年の利用者はゼロであった。主に書名,著者名が利用されて おり,その他の検索キーは特定少数の人が特定のキーのみ、を合わせて使用して
専門別
58
図5‑1専門別検索キー
9旧
…調鋼4
、
P1111
k1 1 1■ ■ 2 1
、 ; 1 1
髪
¥鰯…一 篭物 国 文 学 そ の 他 人 文 系 計 飾 鵬 一 一 司 回 圀勘名圃著者名圏訓求番号圏西暦刊年唖出版者鰯所蔵者年齢別 58
図5‑2年齢別検索キー
詞調99
94
I }
q
『
凸︐J00叩″
1
瀞::關《則…
0 I
│ 剛
2 6 代 3 6 代 4 6 代 5 I j 代 ‐ 一 一60以上− − 圀 冨 名 團 著 者 名 悶 訓 求 研 号 團 西 屑 刊 年 瞳 出 版 者 團 所 蔵 者
− 9 −
;いるようである。つまり個人個人は少ない種類の検索キーしか使用していな
い。
c、検索機能
どの検索機能も平均的に使用されているように思われる。プリント機能が多 少多く利用されており,検索の中間結果を見ながらさらに絞り込承をするため にプルーフリスト的な使い方をしているようである。年齢別によると30代が一 番多くの種類の機能に挑戦している傾向が見受けられる。
椰卵帽犯記9 専門別
1
1 図6‑1専門別検索機能
I
3
国 文 学 そ の 他 人 文 系 計 算 機 司 書
圀ルックアブ圏シソーーラス園プリント圏ダウンロド圏項Fオ佃鰯項鰍
卵弱咽調調畑0 専門別
図6‑1続き
職
: : 鷺 州
国 文 学 そ の 他 人 文 系 計 算 機 司 書
圀単酢佃圏単眼悶卜pT
− 1 0 −
CD‑ROMによる国文学研材料究データベースの配布(北村)
的弱畑調詞旧9 年齢別
2 6 代 3 0 代 4 0 代 5 0 代 6 0 以 上 圀 ル ッ ク ア プ 因 シ ソ ー ラ ス 悶 プ リ ン ト 圀 ダ ウ ン ロ ド 圏 項 吋 、 鬮 項 嘘
醐銅岫劉鋤旧 年齢別
図6‑2続き
…繍を鳶… …
B
2 0 代 3 0 代 4 6 代 5 0 代 6 0 以 上 圀旦鉤1,圏単峨團IねT
③専門別と年齢別の定性的評価:
CD‑ROMを使った感じ,オンラインノ検索に比べて使った感じ,
CD‑ROMを使った感じ,オンライン検索に比べて使った感じ,検索結果の 満足度,検索のスピード感の4項目をそれぞれ5段階評価で棒グラフにした。
全体的に まあまあ良い の評価が得られている。特に検索結果の満足度につ いて約85%の人が まあまあ満足 以上(70%以上目的物が見つかった)と感 じている点は,データベースの品質の面で高く評価できよう。スピード感はま あまあ速いの回答者が多かった。オンライン検索利用者はモデムの性能上(現
− 1 1 −
腰1118曲唯〃〃﹂
霊
︾︸
篝
熱 瀦、
▽qlcoQ11110111t0郡割郡報叩胃﹄
0︒qG4dも■
図6‑2年齢別検索機能
… 繍 織
在300bps〜1200bpsを使用)遅い検索システムに慣れているのも一要因と考 えられる。
定 性 的 評 価
2189876543219111
息
#
非常に良いまあまあ良普i園少々悪い非鞠ご悪い; 鰯3鰯 ZcD‑Rdvlの使い易さ圏対わう、の使易さ圏検索結果の満足度Zスピート感
④どういう風に役に立ったか?
65%の人が*ツールとして役だったと評価していることは検索システムとし て合格点といえよう。単なるツールを越えて新しい研究スタイルの発見や新し いアイデアなど研究の刺激になったと答えた人が25%もいた。年齢別に見る と、若手より30代,40代,50代と研究活動への造詣が深まるにつれ,真の意味 での研究の支援システムに対する考察も深まることが期待されるようである。
この検索システムが(真の意味での研究支援である)アイデアプロセッサ的 な要素を多少兼ね備えていると判断してよいと思われる。
*ツールとして役立ったと他の項目とを複数選択した人は重複カウン'卜しているので正確な人 数で言うと80%程度である。
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CD‑ROMによる国文学研究材料データベースの配布(北村)
専 門 別 役 立 ち か た
642886429
1111
国 文 学 そ の 他 人 文 系 計 算 機 司 書
蕊義一蕊
囮 ス タ イ ル 園 ア イ デ ア 圏 ツ ー ル 圀 役 立 た ず 圏 そ の 他
年 齢 別 役 立 ち か た
10987654321211
{ 蕊 ;
蕊 │蕊譲露2 6 代 s 6 代 4 6 代 5 6 代 6 0 以 上 圀スタイル圏アイデア圏ツール鰯役立たず圏その他
⑤自由回答のサーベイ
自由回答の中から主な内容をリストアップし紹介する。
・手元にあるという心理的満足度が得られる .計算機音痴でも使える
・他のデータも欲しい
例えば,目録(所蔵,国書漢籍論文,連歌, ・…)
− T q −
よ り
古典作品本文(古典文学大系、和歌、俳句)
原本の画像データ
辞書(大漢和,日本国語大辞典、……)
・講習会やデモを行った
・教育に使用している(データベースの実習)
・今後データ更新を希望(累積の検索と増加分だけの検索の両方)
・ヨミによる検索は重要(新字旧字の問題があるので)
・オンラインと共存可能であろう
・中間一致検索を希望
・高度なマニュアルを希望(現在は平易なマニュアルしかない[5])
・製品化を希望(図書館や院生も購入できるよう。CD‑ROM普及の促進や価 格安定にも役立つであろう。)
なお,アンケートを実施する以前に集めた館内利用者からの声をa・オン ライン検索システムと比べたメリット,b.改良すべき点,に分類し,ここで 紹介しておく。
a・オンライン検索システムと比べたメリット
・手軽なパソコン環境で使える
・自由な時間に使える
・家庭のパソコンでも使える
・中間結果のリストを見ながら絞り込承ができる
・ダウンロードしたものに書き込みができる
・ヨミによる検索を行うことにより,網羅度が向上する 例えば、リュウノスケ→竜之介
→龍之介の両方を検索できる
・ルックアップ機能により,網羅度が向上する 例えば,
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CD‑ROMによる国文学研究材料データベースの配布(北村)
リ ュ ウ * → 竜之介
龍之介 竜 之 進
の候補の中から選択するので,漏れがない
。漢字表記による検索を行うことにより,間違いが減少する(自分でキー入力 するため)
・検索結果の表示でバックできる b.改良すべき点
・ダウンロードした結果をまたこのシステムで再利用したい
・ダウンロードした結果を市販ソフトウェアで利用したい
・日本語FEPのインライン変換をして欲しい(画面の1番下でファンクショ ンキーとの切り替えが面倒)
・検索集合の中で検索をしたい(検索集合に対するオペレーション)
・中間一致検索をしたい
・新データの追加をしていって欲しい
。その場合、増加分だけの検索も可能にして欲しい
3
. フ ル テ キ ス ト デ ー タ
フルテキストデータベース(科学研究費により岩波書店刊行日本古典文學大 系全100巻600作品をデータベース化中)から次の6作品を選び,テスト版を 作成し内部評価を行った。[6]
作品:竹取物語,伊勢物語,大和物語源氏物語5巻枕草子,平家物語2 巻
フルテキストデータベース利用上の重要な問題の一つは捜したい表現をいか に網羅的に捜せるかという点であろう。これについては,単語という概念を導
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入せず,飽くまでも単なる文字列の並びとみる方針を採った。単語という概念 を入れると,単語の切り方に一種の標準化が必要となり,その標準を知らない が故に網羅的な検索ができないという現在の大系化された検索キーと同様の危 険に陥る可能性がある。(検索キーに比してその危険性は低いであろうが。)
実際の例として, 御前辺り の場合,それぞれ 御前 と 辺り それぞ れを一単語とすべきか, 御前辺り で一単語(複合語)とすべきか議論の分 かれるところであろう。この場合,複合語として切っていれば,それぞれの
御前 と 辺り,,のどちらで検索してもヒットしないという事態が起きる。
逆に 御前 と 辺り それぞれを一単語として切った場合も同様に 御前辺 り で検索してもヒットしない。他に次のような例が該当するであろう。
複 合 語 の 類 : 端 近 う 午 前 近 く 御 座 有 り 御 出 有 り 今 一 度 故 姫 君 春 三 月
地名の類:近江国滋賀
官職名前の類:太政大臣鎌足柿本朝臣人磨法勝寺執行御坊 相 模 守 孝 義 平 相 模 守 孝 義
固有名詞類:橘大夫元家九代目市村羽左衛門東海道往來之記
単純な文字列検索の場合,単語の部分に含まれるものもヒットするため,ノ イズが入る可能性はあるが漏れは少ないことが期待できる。即座にKWICリ ストを見せることにより,ノイズを容易に除けるという便利さ(利用環境)で ノイズが入ってしまう点をカバーしようと考えた。
機械翻訳などで形態素解析と呼ばれている,文法ルールを参照しながら大規 模な辞書と比較を行うことにより単語を認識し,文の構成を解析する研究がな されている。品詞の接続関係や活用形を始めとして文法を明文化することが必 要であり,また単語認識の正当率は辞書の品質(語数)に依存する。現在の研 究対象は現代語の承でありそのまま利用することはできないが,古典の電子辞 書を構築,文法を明文化することにより,同様の方法で単語の認識をすること
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CD‑ROMによる国文学研究材料データベースの配布(北村)
は期待できる。
実用に耐える大規模な辞書の電子化は息の長い仕事であるので,もう少し将 来を目標とし,現状では文字列以上の扱いはしないことにする。どう表現され ているかの可能性は,利用者の専門知識に頼ってしまう方法である。例えば,
狂言尽し の言葉の由来,内容,思想性などを調べるため, 〜づくし の 用例を集めたいという時,捜したい表現が書かれている可能性のある表記と読 承すべて
尽 し 識 し づくし つ く し
の4通りをあげれば,システムは漏れなく捜すことができるという着実な方法 である。
また,国文学だけでなく文学一般に言えることかもしれないが,上の例のよ うに非独立語が重要視されているという傾向があるようである。 狂言尽し"を 調べるために,独立語である 狂言 は辞書本の索引などにより用例も比較 的収集しやすい。非独立語である 〜づくし となると,用例は採集されてい なかったりするようである。また,従来の索引は名詞の承(または名詞と動 詞)が一般的なので,索引の利用はあまり期待できないであろう。非独立語に 注目するという意味でも,単語の概念を入れず,単なる文字列として扱う方針 を選んだ。
もう一つの重要な問題は,いかに速く文字列を捜せるかという点である(国 文学者にとっては先の網羅度に比すれば大した問題ではないかもしれないが,
計算機の専門家にとっては興味あるところである。国文学者にとって必須でな くとも嬉しいであろうということでここで取り上げる。)特にパソコンの計算パ ワーでは死活問題となるであろう。CD‑ROMは他の記憶媒体(ハードディス
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ク,フロッピディスク等)に比べてアクセスが遅いという欠点がある。この欠 点を克服し、フルテキストデータベースー般に利用できるデータ構造の設計を 行った。
我,々の採ったアプローチは,テキストを一文字一文字見ながら文字列を捜す ことをやめるという方法である。検索処理をある程度まであらかじめ行なって おき,その中間結果を保存しておく。実際に検索する時は,それらの情報を参 照することにより,テキスト上を一文字ずつ見ることなく,捜すものに速く辿 りつくという方法である。端的な例が索引である。前もって索引を沢山作って 格納しておこうというアプローチである。
データ構造の設計にあたって,次の3点にポイントを置いた。
⑬本文はテキストをべたづめにする
CDExtensionや市販アプリケーション,ユーザプログラムでの利用を可能 とするため検索のための特殊な記号などを書き込まず、純粋なテキストデー タのゑを格納する。(オープンデータ)
●1字インデックスを格納
1文字単位で全ての文字が本文中に出現する場所のアドレスを索引にして格 納しておく。捜したい文字の1字インデックスを利用することにより,本文 中のどこに出現するかが即わかる。
●KWICリストを格納
全ての文字に対する1文字単位のKWIC(KeyWordlnContext)を格納 しておく。捜したい文字列すべてのKWICリストである。
先にもインタフェースの重要性については述べたが,国文学者にとって自然 なインタフェースの研究は1つの大きな課題と認識し,取り組んでいる。マイ
クロ資料目録CD‑ROMでは、種々の試糸を検索システムに盛り込んだ。国 文学を扱う場合の一般的なインタフェース上の大きな問題として,書物を縦に 読み,縦に書くという日本語文化と,パソコンなどキャラクタディスプレイの
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CD‑ROMによる国文学研究材料データベースの配布(北村)
横書き文化のギャップがある。この問題は,特にフルテキストデータベースを 扱う場合顕著に現れる。そこで,テキストを表示する際共通に使用できる縦表 示機能を開発することにした。日本語文字を縦に速く表示し,左右にスムーズ かつ速くスクロールする機能を持つ。パソコンはピットマップディスプレイを 持たず,キャラクタディスプレイとグラフィックスディスプレイしか持ってい ないため,縦専用の表示関係のソフトウェアを開発することにした。この縦表 示のソフトウェアはフルテキストCD‑ROMに組承込んでいる。利用者は,
テキストの表示,検索結果の表示、KWICの表示,などの機能をこの縦表示 機能を通して利用できる。
このテストバージョンでは,フルテキストデータベースをCD‑ROMに格 納する際の我々が設計したデータ構造を評価することが主な目的であるため,
文字列検索システムはその評価を行うだけの基本的な機能だけにとどめた。以 下に主な機能を説明する。
①テキスト表示(画面1)
指定した作品のテキストを縦に表示する。日本古典文學大系本の1行は画面 上の1行に入らないので,折り返して画面上2行使って表示している。横スク ロール,次のページ,前のページ,先頭ページ,最終ページへの移動ができ る。画面の右端に現在位置(本のページ,行数)と最後の位置(本のページ,
行数)を表示している。
②検索文字列の指定(画面1)
キー入力のファンクションキーを押すと,検索キー入力の促進記号が表示さ れる。MS‑DOS上の任意の日本語フロントエンドプロセッサを組承込んで利 用することができる。最大23文字の文字列を指定できる。
③文字列の検索(画面2)
指定された文字列を捜し、①テキスト表示と同じ画面を表示し,該当する文 字列をカラーの反転表示する。①テキスト表示と同様に横スクロールとページ
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CD‑ROMによる国文学研究材料データベースの配布(北村)
*検索キー入力画面*今29頁1行最後67頁5行
唾射噸麺澤鯉の生ひ立ち△いまは昔︑竹取の翁といふもの有けり︒野山にまじりて竹を取りっj︑ロよるづの事に使ひけり︒名をば.さかきの造となむいひける︒その竹の中に︑もと光る竹なむ一筋ありける︒あやしがりて寄りて 麺 見るに︑筒の中光りたり︒それを見れば︑一一汗ぽかりなる人︑いとうつくしうてゐたり︒翁いふやう︑畑躍逹と夕ごとに見る竹の中にぉはするにて函鰕騨溌灘霊溌綜き人なめ妻の女に 唖 す︒うつに入れて養ふ︒△竹取の翁︑竹を取るに︑この子を見つけて後に竹とるに︑節を隔てきよごとに金ある竹を見つくる事かさなりぬ︒かくて翁やう 函 十十量になり行も△この兒︑養ふ程に︑すぐ++と大きになりまさる茎龍荊雌蕊籠髪上げなどさうして︑髪 室上げさせ︑裳着す︒帳のうちも出ださず︑いつ去養ふ︒この兒のかたちけなる事世にな蓋 く︑屋のうちは暗き所なく光り滿ちたり︒翁
乱詠施鱈しま畷議寧遼舞い︑腹立たしきこ
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画 面 1
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画 面 2
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画 面 3
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の移動ができる。また,ファンクションキーを押すことにより現在見ている位 置のKWICリストに移れる。
④KWIC作成(画面3)
指定された文字列を捜し,該当する文字列の前後を取り出し1件としてリス トを作る。リストの1件を画面縦表示の1行として表示する。ファンクション キーを押すことにより現在見ている位置の③文字列の検索へ移れる。
⑤ダウンロード
テキスト,KWICリストをMS‑DOSテキストファイルに格納できる。
⑥プリント
テキスト,KWICリストをプリントアウトできる。ただし,現バージョン では、横書きで印刷される。縦書きで印刷したい場合は,PC9800のハードコ ピーを利用するか,またはダウンロードした後,縦印刷のできるワードプロセ ッサを利用されたい。
テスト版を開発し,このデータ構造の効果を確認した。館内での紹介を行 い,国文学研究者から検索機能の面(非独立語のKWICなど),検索スピー ドの面,使、、やすさの面(テキストの縦表示)から,好ましい評価が得られ た。マルチメディアCD‑ROMにもテキストを表示する場合に縦表示ソフト
ウェアを利用する予定である。テスト版の評価をもとに設計の見直しを行い,
1991年春に改良したCD‑ROMを大量作成し,人文科学系研究者に配布し試 用していただく予定である。
4. マ ル チ メ デ ィ ア デ ー タ
次に上記2種類のタイプのデータにイメージデータも含めたマルチメディア の試行を考えている。マルチメディアのデータベースでは,利用者がデータタ イプの違いを意識しなくても良いという点が重要である。データの種類を越え たデータ間のリンク付けが最重要課題である。システムのユーザインタフェー
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スとしては,マルチウィンドウシステム上でビットマップディスプレイを使用 し、イメージデータの表示,テキストデータの縦表示,ウィンドウからウィン
ドウへの移動や情報を受け渡しなどの機能が必要であろう。
現在応用例として,科学研究成果[8]である次の4種類を考えている。科研 では,大型計算機上にそれぞれ異なるメディアのデータベースが存在するとい う前提での研究であった。それらのデータベースのサブセットをCD‑ROMに 格納する方法,また逆に数枚のCD‑ROMに分割して全データベースを格納し てしまう方法も考えられる。いづれにせよ,科研の成果はCD‑ROMでも実現 することが可能である。以下に4種類の応用例をそれぞれ簡単に紹介する。
(1)原文献資料捜し
国文学者が日常的に原本を捜(し紙焼きを入手)すときに行っている活動を 計算機支援する形態である。書誌情報や所在情報を別ウィンドウで参照しなが ら古典籍目録データベースやマイクロ目録データベースを検索し,範囲を絞っ ておいて,その原本のイメージデータをブラウジングすることにより,最終的 に必要な本を決定する。
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図1原文献資料捜しへの応用例
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CD‑ROMによる国文学研究材料データベースの配布(北村)
(2)挿絵の研究
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図 2 挿 絵 の 研 究 へ の 応 用 例
これは科研 挿絵データベースシステム の成果[10]を応用した例である。
挿絵に描かれた構成物をピックアップし,それをその挿し絵のキーワードとし てデータベース化する。キーワードを検索することにより,該当する挿絵を捜 すという研究である。例えば,刀を持った侍が出て来る絵を捜すといった具合 いである。刀や侍,また刀のさし方などが時代とともにどう変遷してきたかな どを調べるのに有効であろう。キーワード検索→イメージデータブラウジング
→挿絵の前後の本文を読む(挿絵を持つ原本のイメージを見る)→挿絵を持つ 本の書誌情報を見て,傾向,特徴などを分析するとル、った典型的な研究の流れ が考えられる。
(3)翻刻作業
翻刻作業は,1つの底本を多くの異本と照らし合わせながらの最適な解釈が 要求される。同時に多くの異本を覗けることが必要である。
マルチウィンドウを利用して,底本(イメージ)を中心に,複数の異本(イ メージ)を見ながら翻刻したテスストを別のウィンドウにワードプロセッサを
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図 3 翻 刻 作 業 へ の 応 用 例
使って入力していく。注釈を入れたいところでサブウィンドウを開き,テキス ト入力する。
同様のツールを利用して,複数の人で定本(スタンダード)を作成するのも 可能であろう。1つの翻刻テキストに対して,各人の注釈・意見をサブウィン ドウに書き込んで行き,全員がそれらの意見を読承合いながら つの新しい著 作物を作り上げていく。Hypertext技術の典型的応用例である。
(4)CAI(教育用)
ツールとしては,(3)翻刻作業とほぼ同じで実現できるのだが,目的を原文 献資料を読むという教育の支援とする。具体的には,原文献資料(イメージ)
を1つのウィンドウで読んでいく。つまった時には翻刻されたテキスト(定 本)の該当場所を参照しながら読む。また,不明な言葉はサブウィンドウで注 釈を見たり,電子辞書を引いたりしながら読む。それでも不明な点,気付いた 点は原文献資料に書き込承をしておく。また,(3)翻刻作業と同様に外字の参 照も役立つであろう。
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CO‑ROMによる国文学研究材料データベースの配布(北村)
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図4CAI(教育用)への応用例
ここであげた(1)(2)の応用例については、先出の科研報告書[8]に付録と して採録してある通り,MachintoshHypercard上でプロトタイプを作成しユ ーザインタフェースについて現在評価中である。
また,CD‑ROM上のデータ構造についても現在検討中である。画像データ のサイズが大きいため,大容量CD‑ROMでも一般的な圧縮方法を採用して概 算で3000〜4000枚分の画像データしか格納できない。より効率のよい圧縮方 式の検討,複数CD‑ROM化の検討など,技術的な検討課題が多く存在する。
またパソコン環境では,イメージデータを表示するのにディスプレイ精度が不 十分である。より高精度のディスプレイ上でのシステム化考えるか,またはデ ィスプレイ上でアウトライン表示やズーム機能などマルチピューの環境を整備 するか,ディスプレイと紙(印刷物)のように機能を分担し組承合わせて利用 する方式を検討するかなどについても検討中である。
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5 . ま と め
CD‑ROMによる研究材料配布の構想と現状を述べた。目録型データとフル テキストデータのCD‑ROM上のデータ構造と検索システムの設計を行った。
目録型CD‑ROMは,評価版をプレリリースし,利用者アンケートの分析によ り,良好な結果が得られた。フルテキストCD‑ROMは,テスト版の開発ま でこぎつけ,データ構造の有効性を確認した。現在CD‑ROMというメディ
アで配布するということに関しては,利用者の関心が高く,国文学の研究スタ イルにも変化を与えているようである。国文学固有のインタフェースとて開発 し,CD‑ROMシステムに組み込んだ縦表示機能も利用者から好評を得た。
アンケートの回収状況は23名で分析の母集団としては小さかったのが残念 である。この分析は引き続き行いたい。また自由回答の分析手法も開発されて
きているので,それらを利用した分析にも取り組ゑたい。
次なる目標のマルチメディアデータについては,データタイプの違いを知ら ずに使えることが重要である。インターフェースとしてハイパメディアの考え 方を応用したシステムを考えている。マルチメディアのデータを扱う場合,利 用者は沢山の異なるタイプのデータを参照するであろうから,大きなディスプ レイが必要になると思われる。そろそろパソコンからWSへの過渡期かもし れない。
研究材料を配布する媒体として,CD‑ROMが適していることを確認した。
これまで,パソコンでの国文学者向きの使いやすいインターフェースや高速検 索の実現を行ってきた。このアプローチはこれからも続けるが,同時に計算機 パワーやユーザインタフェースの面でより可能性の高いWS上でのCD‑ROM システムにも取り組ゑたい。
[謝辞]
本研究の機会を与えてくださった,国文学研究資料館長小山教授,同研究情
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CO‑ROMによる国文学研究材料データベースの配布(北村)
報部情報処理室長安永教授に感謝いたします。また,日頃から国文学研究者の 立場から計算機への要求や貴重なアドバイスを頂いている,同研究情報部長新 井教授,武井助教授を始め同部教官の方々,ならびに同文献資料部教官の方々 に感謝いたします。最後に,科研 挿絵データベースシステム の研究に参加 させていただいた同文献資料部岡教授に感謝いたします。
(参考文献)
(1)北村啓子, 国文学とパーソナルデータベース",京大型計算機センター第28回 研究セミナー,ISSNO910‑3201,pp.15‑16,(1990)
(2)北村啓子,安永尚志, マイクロ資料目録CD‑ROMと検索システムの開発 一パーソナル環境での国文学研究支援一",情処全大第40回,6R‑1,pp.1578,
(1990)
(3)安永尚志, 国文学研究支援のためのコンピュータ利用",人文科学とコンピュ ータ研究会,89‑CH‑2,2‑6,(1989)
(4)安永尚志, 国文学データベースの形成,管理,利用'',国文学研究資料館紀 要、vol.16pp.124,(1990)
(5)国文学研究資料館, マイクロ資料目録CD‑ROM検索システムユーザ利用マ ニュアル",(1989)
(6)北村啓子,安永尚志, 古典作品テキストCD‑ROMと文字列検索システムの 開発一パーソナル環境での国文学研究支援一",情処全第41回,1F‑7,vol.4, pp.142‑143,(1990)
(7)北村啓子,安永尚志, 目録型CD‑ROM検索システムの評価",情処人文科 学とコンピュータ研究会,90‑CH‑5,5‑6,(1990)
(8)北村啓子,"Hypertext技術を応用した横断的利用技術の提案一既存DBを活 用して"−,文部省科研費一般研究(B)63450059"国文学異次データベース群 間の横断的利用方式に関する研究 研究成果報告書,pp.27‑50,1990年3月
(9)北村啓子, テキストDBに対するユーザ要求のモデル化とプログラム合成", AI学会知的ソフトウェア開発研究部知的ソフトウェア開発第1回ワークショッ
プ論文集,1989年8月
(10)岡雅彦(代表者), 挿絵データベースシステム",文部省科研費一般研究研(A) 62410010究成果報告書,pp.22‑30,1989年3月
(11)J.Conklin,"Hypertext:AnlntroductionandSurvey''Computer,Vol.20, No.9,pp.17‑41,(1987)
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