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株式非公開企業による租税回避行動

―企業パネルデータを用いた実証分析―

川口 真一

【要旨】

本稿の目的は,株式非公開企業が租税回避を目的に利益分配を変化させること を検証することにある.現行の法人税制は,企業行動を考慮してデザインされて いないため,ミスマッチが生じていると考えられる.企業行動にマッチしていな い課税が行われると,税制に不備が生じることになり,企業はそれ利用して税負 担を軽減するような行動を取る可能性がある.その一つが役員報酬を利用した税 負担の軽減であり,これは法人税の租税回避として捉えることができる.わが国 における法人税の租税回避を理論的・制度的,あるいは実証的に分析した研究は 存在するものの,企業パネルデータを用いた実証的研究は行われていない.よっ て,本稿では,2001年度から2004年度までの株式公開企業・非公開企業のパネ ルデータを用いて租税回避行動に関する実証分析を行った.

本分析では,「株式非公開企業は利益を役員報酬に流すことで法人税の租税回避 を行っている」という仮説を立て分析を行った結果,仮説は実証的に支持された.

企業による租税回避行動は,企業間における実効税率・限界税率の格差を生じさ せ,税の不公平性をもたらす.さらに,租税回避は利益の分配経路の歪みをもた らし,資源の効率的な配分も阻害する可能性がある.したがって,本稿は法人税 制のミスマッチを是正するための措置として,株式の流動性を基準とした法人企 業の区分税制を提言するものである.

【キーワード】 株式非公開企業,租税回避,税のミスマッチ

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1. はじめに

わが国において,経済社会構造の改革の必要性が指摘される中,企業課税につ いても,企業間・産業間に中立的で経済活動に対する歪みをできる限り最小化す ることが重要な課題となっている.また,欠損法人の問題や国際競争力の強化を 目的とした法人税率の引き下げによる法人税収の減少をどう解決していくかも大 きな課題である.このような問題に対処するために,主要国のみならずわが国で も課税ベースを拡大しつつ法人税率を引き下げるという税制改革が行われてきた.

しかし,単に税率や課税ベースの変更によって税収をある程度コントロールでき たとしても,企業の経済活動に対する歪みを是正することはできない.よって,

経済社会の変化に対応した企業税制を再構築していく必要に迫られている.

わが国の法人税制は税法上,資本金1億円を基準として大企業と中小企業をあ る程度区別して課税を行ってきたが,基本的には法人化した企業すべてに対して 一律の制度のもとで課税を行っている1.また,個人企業からの「法人成り」が進 み,大部分の企業が法人税の適用を受けているのもわが国の特徴である.しかし,

株式公開の有無・資本規模・組織形態・法律形態の相違といった様々な企業の税 制に対する反応は必ずしも同一ではないため,政府の想定しているような課税は 行われていないと考えられる.企業行動にマッチしていない課税が行われると,

税制に不備が生じることになり,企業はそれ利用して税負担を軽減するような行 動を取る可能性がある.すべての企業は税負担を最小化するインセンティブを有 しているのである.

従来の新古典派の分析では,企業を資本規模や組織形態に関係なくモデル化し

1 資本金1億円超の企業に対しては30%,資本金1億円以下の企業については800万円 以下の課税所得に対して22の税率が適用されていた.しかし,平成21年度から平 23年度までの期間については,資本金1億円以下の企業に対して800万円以下の部 分を18とした.さらに,平成24年度から平成27年度の期間については,資本金1 億円超の企業に対しては25.5%,資本金1億円以下の企業については800万円以下の 課税所得を15とし,法人税率の引き下げを行っている.

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同質の物として扱ってきたが,実証分析ではより企業の実態に則していることが 求められる.ここで,株式の流動性を基準にして企業を株式公開企業と株式非公 開企業に分類すると,それぞれの企業タイプによって税負担の軽減方法や利益の 分配方法も異なると推測される.なぜなら,企業によって経営者と出資者の利害 関係が異なるからである.株式公開企業の多くは経営と所有が分離していると考 えられるため,経営者(役員)と出資者の利害は必ずしも一致しない.このような 企業では出資者が企業行動を監視しているので,法人税の負担を軽減するためと はいえ,出資者の利益に反するような利益分配はできない.それに対して,経営 (役員)と出資者の利害が一致しているか,もしくは近いと考えられる同族的な 株式非公開企業では,税負担の軽減を図るため利益の分配方法を操作することが 容易である.よって,利益を法人税の対象とはならない方法によって分配し,企 業の税負担を軽減する可能性がある.その一般的な分配方法として役員報酬が考 えられる.

そこで本稿では,「株式非公開企業は利益を役員報酬に流すことで法人税の租税 回避を行っている」という仮説を立て,これを検証する.この検証により株式非 公開企業が租税回避を目的に利益分配を変化させていることを明らかにする.尚,

本分析の枠組みは川口2004のモデルに基づいている.しかし,川口2004 実証分析で使用された企業データは2001年度のクロスセクションデータであり,

また対象は資本金1億円以上20億円未満の株式公開・非公開企業に限定される ものであった.それに対して,本分析で使用するデータは2000年度から2004 度までのパネルデータであり,対象とする企業は資本金100億円未満の株式公開 企業と株式非公開企業である.これらのデータを用いて仮説の検証を試みたい.

2. 法人税の租税回避

2‒1. 企業行動と租税回避

わが国の法人税制は税法上,資本金1億円を基準として課税を行ってきたが,

基本的には法人企業すべてに対して一様の課税を行っている.また,個人企業か らの「法人成り」が進み,大部分の企業が法人税の適用を受けているのもわが国

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の特徴である.株式公開の有無・資本規模・組織形態・法律形態の相違といった 様々な企業は,それぞれ独自の税務戦略によって税負担の軽減を図っていると推 測される.その結果,実際には政府の想定しているような課税は行われず,税の ミスマッチが生じることで企業による租税回避行動が引き起こされると考えられ る.市場原理を重視するならば,法人税制はなるべく企業行動を歪めてはならな い.しかしながら,企業による租税回避行動が生じると,課税の中立性は確保さ れない.租税回避が行われるのは,現行の法人税制が企業行動を考慮してデザイ ンされていないからである.

ここで租税回避に対する税法と経済学の定義の違いについて述べよう.金子

2002において税法上の租税回避とは,「私法上の選択可能性を利用し,私的経 済取引プロパーの見地からは合理的理由がないのに,通常用いられない法形式に 対応する課税用件の充足を免れ,よって税負担を減少させあるいは排除すること」

と定義されている.それに対して,本稿では経済学的な租税回避を「法的には違 法ではないが本来課税されるべき所得を適正に計上せず,租税の抜け穴を使って 税負担の軽減を図るような行動」と定義する.企業は合法的にも非合法的にも, きる限り税負担を軽減するように行動するであろう.しかし,それらの行動のう ち一般的には合法的なものは「節税」と呼ばれ罰則の規定がないのに対して,非 合法的な「脱税」は税務調査により発覚した場合,何らかのペナルティを受ける.

古川靖洋1992では,企業の節税・租税回避・脱税に焦点を当て,これらの 行動と企業の倫理的価値判断についての関係を考察している.これによれば,世 間一般的には節税対策として様々な方法が取り上げられているが,厳密な意味で の節税とはあくまでも税法上ではっきりと規定されたものであり,節税と呼ばれ るもののほとんどが租税回避の領域に分類させるとしている.ここでは,租税回 避とは税負担の軽減をはかるために合法ではあるが,異常な法形式を選択するも のであり,倫理的にも勧められない行為であると述べられている.つまり,租税 回避とは節税と脱税の中間に位置するものであり,違法ではないが制度上の抜け 穴や税務執行上の不備を税負担軽減のために利用するような企業行動であると考 えられる.

わが国における法人税の租税回避に関する問題は,主に租税法や税務会計学の

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分野で数多く議論されてきた.しかし,「租税回避」の問題は必ずしも税法上にお ける合法か違法かという議論,あるいは個々の企業内における会計処理の問題に 限定されるものではない.なぜなら,「租税回避」とは税制が与える企業行動の歪 みであり,それは企業間における税負担の不公平性や,より税負担の少ない産業 や企業規模・企業形態への資源配分の偏りをもたらすからである.それにもかか わらず,経済学の分野での議論は必ずしも十分ではなく,また理論的・制度的な 分析はあるが実証研究は不十分である.

先行研究としてあげられる西野万理1998aでは,わが国の法人税制における 抜け穴がいかに課税ベースを侵食し,租税回避を生じさせるかについて理論・制 度の両面から考察している.そこでは企業だけでなく個人の租税回避モデルも取 り上げた上で,それが企業行動分析への多くの示唆を含み企業を対象とする分析 に応用できるとしている.また企業は合法的にも非合法的にも税負担の最小化を 図るように行動するが,非合法的なものは税率・ペナルティ税率の高さ,税務調 査の頻度や真実の発覚率に左右され,合法的なものは税制の不備や優遇措置など から生じる税制上の抜け穴の存在により生じると指摘している.そのため,非合法 的な租税回避に対しては,これに対する厳しい罰則規定やペナルティ税率の引き 上げなどの対応策が効果的であり,合法的な租税回避に対してはその抜け穴を塞 ぐような税制上の慎重な整備や特別優遇措置の廃止が必要であると述べている.

さらに西野万理1998bでは,税制上の抜け穴を利用した課税ベースの浸食は,

本来費用に該当しないはずの所得を費用化する傾向が強いとして,主に損金に焦 点を当て分析を行っている.具体的な項目として,役員の報酬・賞与・退職金・

寄付金・交際費等を取り上げ,取り扱いしだいで政府が予想しなかった租税回避 の抜け穴に転換する可能性を示している.そして,わが国の法人税制の抜け穴は,

隠れた租税回避を許し,企業間・産業間の実効税率の格差を生み出し,税負担の 公平と資源の効率的な配分を阻害していると結論づけている.

最後に川口2004では,同一規模の株式公開・非公開企業を対象に,法人税 の租税回避について実証分析を行っている.分析結果より,株式非公開企業は内 部留保を役員報酬にまわす傾向があり,さらに役員報酬額は法人税額に対して負 の変動要因になることを実証的に明らかにしている.しかしながら,実証分析に

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おいて問題点が残されている.それは,対象企業が資本金1億円以上20億円以 下の株式公開企業691社と株式非公開企業655社に限定されており,また単年度 のクロスセクションデータのみを使用している点である.

以上のようにわが国における法人税の租税回避を理論的・制度的,あるいは実 証的に分析した研究は存在するものの,企業パネルデータを用いた実証的研究は 行われていない.そこで,本分析では2001年度から2004年度までのパネルデー タを用いて,株式非公開企業において法人税の租税回避に役員報酬が利用されて いる可能性を検証していく.また租税回避の分析は,課税ベースの適正化を図り,

租税政策の有効性を高めるためにも重要な意義を持つと考えられる.次節では,

まず政府が企業の租税回避行動を「課税ベースの適正化」という視点からどのよ うに捉えているかをみていく.

2‒2. 課税ベースの適正化

課税ベースの適正化とは,税制がもたらしているとされる課税ベースの浸食を 是正するため,税制上の抜け穴をふさぐことであると考えられる.1996年政府税 制調査会の「法人課税小委員会報告」では法人税のあり方について課税ベースの 問題を中心に専門的・技術的な検討が行われた.この報告では,課税ベースを拡 大しつつ税率を引き下げるとの方向に沿って思い切った法人課税の見直しを提案 している.課税ベースの見直しに対する要請として,まず経済社会構造の改革の 必要性が指摘される中で,法人課税についても,企業間・産業間に中立的で経済 活動に対する歪みができる限り最小化することの重要性があげられている.さら に近年,企業行動や行政の透明性の確保,納税者の視点に立った行政の重要性な どがこれまで以上に要請されており,税負担の公平・公正や税制の透明性・明確 性を求める声が一段と強くなってきていることを指摘している.

また,法人課税見直しの意義の1つとして「わが国の法人税の申告状況をみる と,全法人の過半数が赤字申告法人となっている.赤字申告法人の中には,現行 の課税所得計算のルールが柔軟過ぎたり,企業経営者による私的経費の法人経費 化が行われたりする結果,赤字となっているものも含まれる.こうした点につい ても,課税ベースの見直しによって,相応の改善が図られるものと考える.」と述

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べられており,課税ベースに関する個別的検討として様々な項目が取り上げられ ている.このような課税ベースの適正化の試みが行われていく中で,企業の恣意 的な利益操作による租税回避の効果を小さくすることができる.つまり,こうし た恣意性の排除は租税回避を防止し,適正な課税を行うことを可能にする.さら に,利益操作が行われなくなれば正確な企業利益が計上され,それを指標として 資金を提供する出資者や金融機関も正確な判断が可能となる.その結果,資本市 場が効率的に働き,企業の資金調達が円滑化することから,経済全体の最適な資 源配分も達成されると考えられるのである.

法人税の課税ベースは企業会計原則に基づいて計算された利益に対して,税法 上の益金から損金を控除したもので算定される.税法上の規定では益金から損金 を控除した額を所得と定めるだけで,具体的に何が益金で何が損金かは必ずしも 明確には規定していない.そのため企業の裁量の余地も多く,租税回避に利用さ れやすいのが現状である.企業は益金を過小表示し損金を過大表示することで,

本来課税されるべき法人所得を減少させ租税回避を図ることが可能となる.とこ ろが,税法では損金に対しては制限を加えているものが多く,租税回避防止のた めの規定が数多く存在する.これは損金の部分が特に租税回避に利用される可能 性が高いということを意味している.したがって,課税ベースの適正化を図るた めには損金がいかに法人税の課税ベースを侵食しているのかを詳しくみていく必 要がある.

2‒3. 税法上の損金とは

税法上の損金とは,費用としてみなされ課税ベースから控除されるものである.

損金として認められる用件については,「法人税法は原価としての性格」,「費用と しての性格」,「損失としての性格」を持ち,かつ債務確定済みであることを規定 している.しかし,この要件を満たしている場合でも費用としての性格の中には 不当に課税ベースを侵食する可能性があるため,租税回避を防ぐために特定の費 用項目に対する損金不算入の規定が存在する.控除項目の制限の対象となってい るのは,交際費・寄付金・役員報酬・退職金などである.これらは租税回避のた めに無制限に費用化される余地があるため,規定を満たさない部分に対しては損

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金算入が認められない.以下では,これら損金不算入の規定のある費用項目につ いて詳しく説明していく.

まず交際費とは,交際費・接待費・機密費その他の費用で,法人がその得意先,

仕入先,その他事業に関係のある者などに対する接待,供応,慰安,贈答その他 これらに類する行為のために支出するものと規定されている.資本金1億円以下 の企業に関しては定額控除限度額600万円まで支出した金額の90が損金とし て認められるが,その限度額を上回る金額については損金算入が認められていな 2.また,資本金1億円超の企業に関しては交際費の全額が損金への算入ができ ないとされている.

交際費課税制度については,交際費は企業の経済活動において必要な側面も有 しているといった意見もあり,景気情勢に配慮し課税の緩和を図るべきではないか といった議論がある.しかし,交際費を全額経費として認めた場合にその支出の 乱用を助長することになり,さらに公正・透明な取引を阻害する可能性もある. まり,無制限に交際費を損金として認めると,企業の租税回避をもたらす誘因にな ると推測されるのである.したがって,税制がこうした問題を引き起こす誘因とな らないように,交際費の損金算入に対して制限を設けるのは理論的には妥当とい える.また現行の資本金1億円以下の中小企業に対する定額控除制度についても,

経営者が私的な交際費を企業の経費として利用したり,定額税額控除を利用する ために会社分割が行われているとの指摘もある.そのため,限度額内の支出に対 しても損金算入できる割合についてさらなる議論が必要であると考えられる.

次に寄付金とは,企業が特定の文化的,教育的,福祉的目的に賛同して無償で 金銭や資産を提供するものであり,一定の限度内で損金に算入され限度額を超え る金額については損金不算入とすると規定されている.この規定の趣旨とは,企 業が活動をするうえで経費として必要と認められる寄付金は限度額内については 損金に算入するが,それを超える金額はいわば企業の恣意的なものであるため必 要経費として認めず損金算入できないというものである.これは,寄付金を利用

2 定額控除限度額は,200941日以降に終了する事業年度については年600万円,

それ以前に終了する事業年度については年400万円である.

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した租税回避の防止を図ったものであると理解することができる.また,特定の 公益増進法人に対する寄付金については一般寄付金と同じ条件の損金算入限度額 を別枠で適用される.そのほか,国や地方公共団体,その他一定の公益団体に対 する指定寄付金については全額を費用化することができ,損金に算入される.

しかし,寄付金ついては本来経費性がないことから,原則としてこれを損金の 額に算入せず,公益的な活動を支援するとの政策的な観点から特定の寄付金につ いてのみ損金の額に算入するように改めるべきではないかとの指摘がある.この 指摘に対して「法人課税小委員会報告」では,寄付金は直接的な対価を伴わない 支出であって多分に利益の処分としての性格が濃いものであるが,企業の支出す る寄付金の中には事業関連性を否定しきれない寄付金も少なくないとしている.

また,現行制度が一般の寄付金について,一定の限度を設けその範囲内で損金の 額に算入しているのは,事業関連性の判定の困難さも考慮し,税実務上の要請に 応えることとしたためであると述べている.しかし,寄付金に一部経費的な性格 のある支出が含まれているとしても,一定の限度内であればその全額を損金の中 に算入する現行の取り扱いは寄付金の本来的な性格,法人の交際費支出に対する 課税とのバランスからみても適当ではない.したがって,寄付金についても交際 費と同様にさらなる検討が必要であると考えられる.

最後に,役員への過大な報酬・退職金に対しては,法人税が課税された後の利 益処分から分配されるべきものとして損金への算入は認められない.つまり,不 相当に高額な部分について税法上費用とは認めず損金不算入とされるのである.

役員の退職時に支払われる退職金については,税法では役員報酬の後払いとして の性格を持つとされており,役員報酬と同様に過大な部分の金額に対しては損金 不算入とされている.しかし,交際費・寄付金に比べて役員報酬・退職金の不損 金算入の規定はあいまいな部分が残る.「不相当」と判断される金額については はっきりした基準があるわけではなく,毎月定期的に支払われる役員報酬につい てはどこまでが適正な金額かを判断するのは困難である.また同じ役員に利益を 分配するにしても,役員報酬とするか役員賞与とするかでは税負担に違いが生じ る.そこで,役員報酬と役員賞与の税法上における取り扱いの違いについて次節 でさらに考察してみる.

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2‒4. 税法上の役員報酬と役員賞与

役員報酬とは役員の労務に対する対価である.会社法上の規定によって,その 支給される額が定められていない場合には株主総会の決議によって報酬額が定め られることとされている.税法上では,これによって決定された役員報酬の金額 が適正であるとみさなれる限り,損金に算入され課税ベースから控除される.他 方,2006年度税制改正以前の役員賞与については利益処分からの分配であるとみ なされて損金には算入されなかった.しかし,税制改正後は,業績連動賞与のよ うな利益を基礎とする賞与については損金算入が認められていないが,確定した 時期に確定した額を支給するものについては損金算入が認められることになった3

基本的に役員報酬とは企業にとって必要な経費であり,企業会計上も費用とし て処理されることになる4.しかし,税法においては特に同族会社5に関して過大 な報酬が支払われるということもありうるとして,役員が不相当に高額な報酬を 受け取る場合には,その不相当に高額な部分は損金には算入しないものとしてい る.この規定は同族会社だけに適用されるものではないが,非同族会社について は株主総会・取締役会において内部統制が働きやすいことから,一般的には否認 される例はほとんど見当たらない.これに対して同族会社では経営者自身が株主 であることが多く,株主総会において役員報酬の額をある程度自由に決定できる のである6

ここで問題となるのは,役員の報酬については客観的な基準を算定するのは非 常に困難であるということである.不相当に高額な部分であるとみなされる金額

3 本分析では2006年度税制改正以前のデータを用いているため,役員賞与は損金算入さ れていない.

4 この点は監査役の報酬についても同様である.

5 税法上の同族会社とは,出資者等の3人以下及びこれらの同族関係者(個人及び法人)

が有する株式の総数又は出資金額の合計額が,その法人の発行済株式の総数又は出資金 額の50以上に相当する法人である.

6 2006年度税制改正では,同族会社のうち役員とその同族関係者が90以上の株式を

所有し,かつ業務に従事する役員の過半数を占める場合,その役員に支給する役員報酬 のうち給与所得控除額に相当する部分については損金算入を認めないこととした.

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は損金の対象とはならないとしているが,「不相当」という基準自体があいまいで ある.特に経営者(役員)と出資者の利害が近い場合には,支払配当や税制改正前 では役員賞与として利益を分配するよりは,役員報酬として費用化したほうが税 制上有利となる.そのため,否認されるぎりぎりまで役員報酬を過大にすること で,課税所得を減らし法人税を逃れるということは十分に考えられる.また法人 税と所得税の税率差を考慮すると,法人税課税後の利益から配当や役員賞与とし て分配,あるいは内部留保するよりは役員報酬として分配する方が有利となる場 合がある.本分析では,このような役員報酬を利用した税負担の軽減を企業の租 税回避行動としてみなし検証を行っていく.

3. 株式非公開企業による租税回避行動の検証

3‒1. 仮説の提示

本稿では,株式非公開企業による租税回避行動を検証するにあたり,川口

2004のモデルの枠組みに基づいて分析を行う.ここで,株式公開企業と非公開 企業を以下のように定義する.まず株式公開企業とは,所有と経営が分離してい る法人で,利益が個人(役員・出資者)に分配されたときの税負担は考慮しないよ うな企業である.一方,株式非公開企業は,所有と経営が完全には分離されてい ない同族的な法人で,法人と個人の両段階の税負担に関心を持っており,利益が 個人(役員・出資者)に分配されたときの税負担も考慮するような企業である.

上記のような定義の下で,株式非公開企業は法人自体の税負担と出資者や役員 に対する税負担の合計額を最小とするように行動する.この場合,法人税率と所 得税率の差を利用することにより,税負担の軽減が可能であるならば,本来は利 益として計上すべき所得を役員報酬として分配することは合理的であると考えら れる.その反面,株式公開企業の場合は必ずしも役員と出資者の利益は一致しな い.そのため,もし出資者が企業行動を監視しているならば,株式非公開企業の ように本来は利益として計上し,出資者への利益分配とするべき所得を役員報酬 として費用化することはできない.なぜなら,役員に対する過剰な利益分配は出 資者の利益に反するからである.そのため,役員報酬を利用した租税回避行動は

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行われにくいと考えられる.

役員報酬は「販売費および一般管理費」という費用項目に計上され,法人税の 課税所得の対象とはならない.それに対して支払配当と2006年度税制改正以前 の役員賞与は法人税課税後の利益処分から出資者や役員に分配される.また最終 的に残った利益は企業の内部留保となる.このとき,もし役員に分配したときに かかる所得の限界税率が法人税率よりも低ければ,企業の利益を内部留保するよ りは役員報酬として分配した方が税負担は小さくなる.あるいは,わが国では個 人段階で給与所得控除が認められているため,法人税ではなく所得税の適用を受 けた方が税負担を軽減できる7.さらに,2006年度の税制改正以前であれば役員 に対して役員賞与よりも役員報酬として分配した方が税制上有利となる.そこで,

株式非公開企業による租税回避行動を検証するにあたり以下の仮定をおくことに した.これらの仮定をもとに「株式非公開企業は利益を役員報酬に流すことで法 人税の租税回避を行っている」という仮説を検証したい.

[仮定]

① 株式非公開企業は役員と出資者の利害が一致しているため,法人税額を下げ るために本来は利益として計上するべき所得を役員報酬として分配(費用化)

することが可能である8

② 企業側が利益とみなして分配できる所得は,役員報酬と役員賞与・支払配当・

内部留保の合計額である.

税引き前当期利益=売上高−売上原価−その他の費用(役員報酬等)

        =法人税等+役員賞与+支払配当+内部留保・・・(1 企業が分配できる利益=役員報酬+税引き前当期利益−法人税等

      =役員報酬+役員賞与+支払配当+内部留保・・・(2

③ 役員報酬として分配した時にかかる個人所得の限界税率の方が法人税率より

7 田近・八塩2005では,日本では利益を法人に留保せず給与として事業主に分配すれ ば,給与所得控除のため課税所得を縮小でき,税金を軽減できると主張している.

8 役員と出資者は同じ利害関係者グループであると想定している.

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も常に小さい9.また,役員報酬として分配した場合,給与所得控除が利用で きるため,法人税よりも所得税の適用を受けた方が税負担を軽減することが できる.

3‒2. 分析データとモデル

データは「日本経済新聞社総合経済データバンクNEEDS」の株式公開企業・

株式非公開企業の企業財務本決算のパネルデータ2000年度から2004年度) ある.具体的には,資本金100億円未満の有価証券報告書提出会社(株式公開企 業・株式非公開企業)2104社の財務データを使用した.また,積極的に租税回避 を行う企業は継続的に利益を出していることが求められるので,5期連続黒字企 947社の財務データも使用した.これらの企業の数値データをもとにしてパネ ル分析を行う.

まず図表1には本分析で取り上げた全企業の資本金階級の構成を示している.

次に図表2では,資本金階級別の株式公開・非公開企業の割合と2004年度の国 税庁企画課「税務統計から見た法人企業の実態」から作成した同族会社の割合を 示している.これらの統計をみると本分析で使用した株式非公開企業の割合と同 族会社の割合は,資本金1億円以上5億円未満の資本規模を除いて概ね近い値で あることが分かる.データの制約上,株式非公開企業が同族会社であるか否かは 区分できないが,図表2から株式公開企業の多くが同族会社,あるいはそれに準 じる同族的な会社であると推測される.最後に,図表3には株式公開企業・株式 非公開企業それぞれの財務データの平均値を示した.

ここでは,推計するモデルを以下の3式と4式のように設定する.

DRi, tα1β1REi,tγ1 REi, t×UNLISTi)+δ1RBi, tζ1 RBi, t×UNLISTi

η1DIVi, tθ1 DIVi, t×UNLISTi)+ι1EMPi, tκ1 EMPi, t×UNLISTi

λ1ROAi, t+ +μ1ROAi, t×UNLISTi)+ε1 i, t・・・(3

9 法人税の実効税率は40.69である.この値は法人事業税が損金算入されることを調整 したうえで,法人税・法人住民税・法人事業税の税率を合計して求めたものである.ま た,所得税率は地方税を含めた場合,15から50の累進税率となる.

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図表 1 資本金階級別構成

[出所]1国税庁企画課「2004年度分 税務統計から見た法人企業の実態」

資本金 株式公開企業 株式非公開企業 株式非公開企業の割合 同族会社の割合

1億円未満 2 27 96.81% 95.19%

1億円以上5億円未満 60 212 77.94% 41.76%

5億円以上10億円未満 197 115 36.86% 27.09%

10億円以上50億円未満 880 184 17.29% 15.27%

50億円以上100億円未満 409 18 4.22% 5.58%

図表 2 資本金階級別の比率

株式公開企業 株式非公開企業

資本金 3210.1百万 1382.64百万

役員報酬額 132.14百万 55.99百万 内部留保額 568.20百万 269.09百万 役員賞与額 14.94百万 8.41百万 支払配当額 217.52百万 61.24百万

従業員数 581.36 364.47

ROA 25.80% 22.95%

法人税額 546.32百万 335.37百万

売上高 36356.08百万 25151.53百万

企業数 1548 556 図表 3 株式公開企業と株式非公開企業の比較(平均値)

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CTi, tα2β2DRi, tγ2 DRi, t×UNLISTi)+δ2SALEi, tζ2 SALEi, t× UNLISTi)+ε2 i, t・・・(4

推計式3は,企業の利益分配を検証するものである.被説明変数DRは役員 報酬額であり,添え字iは企業,tは期間を示している.説明変数のREは内部留 保額,RBは役員賞与額,DIVは支払配当額,EMPは従業員数,ROAは総資 産利益率10UNLISTは非上場ダミー,ε1は誤差項を示している.また,以上の 説明変数と非上場ダミーとの交差項も取り上げた.なお,非上場ダミーについて は,株式非公開企業は1,株式公開企業は0であるようなダミー変数となってい る.説明変数の中で特に着目したいのは,内部留保額と役員賞与額,支払配当額 と非上場ダミーの交差項である.株式非公開企業が本来は法人税の対象となる利 益を役員報酬に流しているならば,それらの交差項は役員報酬額に対して負の変 動要因になるので,パラメータγ1ζ1θ1のいずれかが負で有意な値となることが 期待される.次に従業員数は企業の規模を表す変数であり,従業員数が多い企業 ほど役員数も多いと考えられるため,役員報酬額も高いと推測される.よって,

予想されるパラメータι1とパラメータκ1の値は正である.最後に,総資産利益率 が高い企業は役員に対する給与も高いと考えられるため,パラメータλ1μ1の値 は正であることが予想される.

推計式4は,役員報酬が法人税の軽減に関係しているかどうかを検証するも のである.被説明変数CTは法人税額であり,説明変数のDRは役員報酬額,

SALEは売上高を表している.説明変数には上記であげた変数と非上場ダミーと の交差項も取り上げた.役員報酬額の増加に伴い課税所得が増加する場合,役員 報酬額のパラメータは正となる.逆にこのパラメータが負である場合は,役員報 酬額の増加に伴い課税所得が減少し,法人税額も減少することを意味する.ここ で,役員報酬額と非上場ダミーの交差項は,この実証分析において重要な説明変 数となる.なぜなら,株式非公開企業において役員報酬が法人税の租税回避に利 用されているのであれば,役員報酬額は法人税額に対して負の変動要因となるか

10 ここで取り上げる総資産利益率とは,総資産に対する売上総利益の比率である.

(16)

らである.したがって,パラメータβ2は正の値であるか有意ではないこと,パラ メータγ2は負で有意な値となることが期待される.次に売上高が大きい企業ほど 課税所得が大きい場合,パラメータδ2ζ2は正の値となり,それと逆の場合には これらのパラメータは負の値となる.

3‒3. 分析結果と解釈

まず推計式3の検証にあたり,推定Iでは黒字・赤字企業の全てをサンプル とし,推定IIでは5期連続黒字企業をサンプルとした.F検定およびHausman Testの結果,いずれも固定効果モデルが選択されたため,図表4にはそれらの推 定結果を示した.

推定Iの分析結果をみると,全企業における内部留保と役員賞与と支払配当が 役員報酬に与える影響を示すパラメータβ1δ1η1はいずれも正で有意な値

0.00130.22770.0082となった.他方,株式非公開企業の内部留保と役員賞 与のパラメータγ1ζ1は負で有意な値–0.0023–0.2266となったが,支払配 当のパラメータθ1は有意とはならなかった.これらの推定結果は,株式非公開企 業が内部留保と役員賞与を役員報酬に回す傾向があることを示している.また,

企業の規模を表す従業員数のパラメータι1は正で有意な値0.0514となったが,

株式非公開企業のパラメータκ1は有意ではなかった.この結果は,全企業では規 模に応じて役員報酬額は増加する傾向があるが,株式非公開企業では予想には反 し,その傾向がみられないことを意味する.さらに,全企業の総資産利益率のパ ラメータλ1は負で有意な値–0.1639であったが,株式非公開企業のパラメータ μ1は正で有意な値0.2973となった.この点についても予想とは異なり全企業 では総資産利益率が低い企業ほど役員報酬額が高いという結果となったが,株式 非公開企業においては予想通りの結果であった11

11 全企業においては,総資産利益率が低い企業ほど役員報酬額が高いという結果になっ た.この結果は,経営効率の低い企業ほど役員に対する給与が企業全体として高いこと を意味する.つまり,経営効率の低い企業は役員に対して過大な利益分配を行っている 可能性が指摘できる.

(17)

推定I 推定II

内部留保額 0.0013***

3.12

0.0025***

2.70 内部留保額×非上場ダミー –0.0023*

–1.83

–0.0047**

–2.06

役員賞与額 0.2277***

5.33

0.1697***

2.94 役員賞与額×非上場ダミー –0.2266*

–1.73

–0.1837

–1.13

支払配当額 0.0082***

2.98

0.0091***

3.26 支払配当額×非上場ダミー 0.0077

0.47

0.0080

0.49

従業員数 0.0514***

13.24

0.0419***

7.12 従業員数×非上場ダミー –0.0147

–1.41

–0.0178

–1.16 総資産利益率ROA –0.1639***

–2.74

–0.4050***

–4.72 総資産利益率ROA×非上場ダミー 0.2937**

2.11

0.6669**

2.42

定数項 85.43***

36.09

103.72***

25.31

標本数 10,237 4,535

自由度修正済みR2 0.1773 0.1092

Hausman検定 167.74

0.00

46.69

0.00

F検定 26.2

0.00

12.81

0.00

モデル 固定効果モデル 固定効果モデル

図表 4 役員報酬額の推定(推定期間2000 年度から 2004 年度)

(注) 1*10有意,**は5%有意,***は1%有意.

2説明変数の( )内はt値,F検定・Hausman検定の( )内はp値.

3非上場ダミー上場・非上場ダミー

(18)

次に推定IIの分析結果をみると,全企業における内部留保と役員賞与の示すパ ラメータβ1δ1η1はいずれも正で有意な値0.00250.16970.0091となった.

一方,株式非公開企業の内部留保のパラメータγ1は負で有意な値–0.0047 なったが,役員賞与と支払配当のパラメータζ1θ1はいずれも有意とはならなかっ た.また,従業員数のパラメータι1は正で有意な値0.0419となったが,株式 非公開企業のパラメータκ1は有意ではなかった.最後に,全企業の総資産利益 率のパラメータλ1は負で有意な値–0.4050であったが,株式非公開企業のパラ メータμ1は正で有意な値0.6669となった.以上の結果から分かるように,推 IIは役員賞与のパラメータが有意でない点を除き,推定Iと同様の分析結果が 得られている.

推計式4の検証においても推定Iでは黒字・赤字企業の全てをサンプルとし,

推定IIでは5期連続黒字企業をサンプルとした.F検定およびHausman Test の結果,いずれも固定効果モデルが選択されたため,図表5にはそれらの推定結 果を示している.

推定Iの分析結果をみると,全企業における役員報酬が法人税額に与える影響 を示すパラメータβ1は正で有意な値0.9050),株式非公開企業の役員報酬額の パラメータγ1は負で有意な値–1.5123となり,共に期待通りの結果であった.

また,売上高のパラメータδ1は正で有意な値0.0166となったが,株式非公開 企業のパラメータζ1は負で有意な値–0.0066となった.つまり,全企業の場合 は売上高に応じて課税所得が大きくなり,株式非公開企業の場合には売上高に応 じて逆に課税所得が小さくなることが示された.

次に推定IIの分析結果をみると,全企業における役員報酬額のパラメータβ2 正で有意な値1.0757となり,株式非公開企業のパラメータγ1は負で有意な値

–1.7831となった.また,売上高のパラメータδ1は正で有意な値0.0278 なったが,株式非公開企業のパラメータζ2は負で有意な値–0.0134となった.

以上のように推定IIは推定Iと同様の分析結果が得られている.

ここで,分析で行った推定結果をまとめたい.第一に,推計式3の結果から,

株式非公開企業は利益として法人税の対象となる内部留保を役員報酬に流してい ることが明らかとなった.また,黒字・赤字企業の全てをサンプルとした推定I

(19)

推定I 推定II

役員報酬額 0.9050***

6.37

1.0757***

3.71 役員報酬額×非上場ダミー –1.5123***

–3.37

–1.7831**

–2.33

売上高 0.0166***

26.56

0.0278***

22.92 売上高×非上場ダミー –0.0066***

–3.73

–0.0134***

–3.80

定数項 –112.9984***

–4.63

–191.0786***

–3.54

標本数 10,082 4,567

自由度修正済みR2 0.1677 0.26

Hausman検定 245.86

0.00

144.14

0.00

F検定 13.69

0.00

13.77

0.00

モデル 固定効果モデル 固定効果モデル

図表 5 法人税額の推定(推定期間2000 年度から 2004 年度)

(注) 1*10有意,**は5%有意,***は1%有意.

2説明変数の( )内はt値,F検定・Hausman検定の( )内はp値.

3非上場ダミー上場・非上場ダミー

では役員賞与も役員報酬に流しているという結果になった.第二に,推計式4 の結果からは,株式非公開企業は役員報酬を利用して法人税の租税回避を行って いることが示された.また,すべての企業を対象とした推定I5期連続黒字企 業を対象とした推定IIを比較すると,どちらの推計式でもほぼ同様の結果が得ら れた.以上の分析により,本稿の「株式非公開企業は利益を役員報酬に流すこと で法人税の租税回避を行っている」という仮説は支持された.すなわち,これら の推定結果は,株式非公開企業が利益を役員報酬として分配することで,法人税 の負担を軽減している可能性を実証的に支持するものである.

4. 結論

本稿では,株式公開・非公開企業のパネルデータを用いて検証を行った結果,

図表 1 資本金階級別構成 [出所]   1 ) 国税庁企画課「 2004 年度分 税務統計から見た法人企業の実態」資本金株式公開企業株式非公開企業 株式非公開企業の割合 同族会社の割合1億円未満2社27社96.81%95.19%1億円以上5億円未満60社212社77.94%41.76%5億円以上10億円未満197社115社36.86%27.09%10億円以上50億円未満880社184社17.29%15.27%50億円以上100億円未満409社18社4.22%5.58%図表 2 資本金階級別の比率 株式公開

参照

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