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国境を超える電子商取引租税回避について : アップル租税回避を例に

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Academic year: 2021

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修士論文要旨

論文題目:国境を越える電子商取引租税回避についてーアップル租税回避を例にー

英文題目:A study on Tax Avoidance of Cross Border E-commerce Transactions -

on the Example of Avoidance of Apples

学籍番号:EM18002

氏 名:YU XIAOYE

指導教授:臼井 邦彦教授

【論文の構成(目次等)】

はじめに 第 1 章 電子商取引について 第 2 章 アップル会社を例とする電子商取引国際租税回避の事例分析 第 3 章 国境を越える電子商取引租税問題に対する検討 おわりに

【論文の内容】

本論文は、国境を超える電子商取引について、電子商取引企業が実際に行っている租税回避の手 法を明らかにするために、アップルによる租税回避の実例を検討した。また、OECD/BEPS 国際レ ベルで協力して対応法を検討して中国への影響を検討したものである。 インターネットの普及に伴う電子商取引の急速な発展は、税務執行上新たな問題が起こされて、 従来の課税ルールに大きなインパックトを与える可能性がある。国際的な租税回避地としては、 ゼロ税率または低税率を設定している様々な特徴を持ったタックス・ヘイブンが出現している。 この背景には、税制優遇措置により企業を誘致し、雇用の創出、自国企業の国際競争力の保護と いった税収以外の利益の確保を目的とした各国の租税政策がある。このような各国の動きを利用 して国際的な租税回避スキームが出て来る。 2013 年米国のアップルの租税回避事件が出て来て、世界的な関心を集めた。アップル会社は世 界最大の電子商取引企業の一つとして、多国籍企業と電子商取引の組み合わせで租税回避を達し て、国境を越える電子商取引企業の共通性をよく表している。 第 1 章においては、電子商取引について、電子商取引の概要、特徴、規模、また今国境を越え る電子商取引租税の問題点について、先行文献を参考にして確認した。また、中国における電子 商取引の発展段階、租税現状と問題点を整理した。 電子商取引については、伝統的な取引形式から見えないサービスへ転換した。国境のような距 離が障害とならないので、国際的な取引が容易になる。つまり、国境を超える多くのお客に向け に様々な無形商品を展開することができる。また、無形資産からビッグデータが創出された。 電子商取引は「政府」、「企業」、「消費者」取引主体に応じて、それぞれ組み合わせると9種類 の電子商取引の形態に分けられる。企業対企業の場合(Business to Business , B to B)電子商 取引事業者数は年々増加しており、本論文は B to B 企業間の取引を中心に、法人税について検 討している。国際的な視点から見れば、中国の人口が多くて、高消費層を中心とする消費意欲も 高いのは消費市場が拡大している原因だと思われる。ところが、中国は発展途上国なので、先進 国の電子商取引租税の経験を学ぶことによって、国に相応しい政策を制定し、電子商取引発展を 促進する必要があると考えられる。 第 2 章においては、多国籍企業租税回避、アップル会社租税回避に用いられた方法について概 略する。まず、第 1 節においては、通常の多国籍企業は租税回避の意義、および租税回避の方法 について、確認を行った。電子商取引の特徴と問題点に応じて国境を越える電子商取引は何の方

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法を使って租税回避するかについて検討している。それで、アップル会社の世界運営ネットワー クを確認したうえで、国境を越える電子商取引租税回避の方法を論じている。 第 2 節では電子商取引企業が実際に行っている租税回避の手法を明らかにするために、アップ ルによる租税回避の実例を検討する。アップルは、コスト・シエアリング を通じて知的財産権の 法的権利と経済的利益を分離し、米国の API(本社)が法的権利をすべて持つよう巧妙に設計す ることで、知的財産権の帰属が動揺せず、利益配分にも少なめに払うことができる。実際の投入 から見れば、開発はすべて米国で進められ、経済的利益はすべて米国API に属しなければならな かった。しかし、コスト・シエアリング によって API は米州地域のアップル製品知的所有権に よる利益のみを占有することになり、相対的にもっと広い海外市場の経済的権利はすべてアイル ランで設立された会社であるASI に帰属した。つまり、実際の開発と法的所有権の二つの面から、 知的財産権の開発はAPI で行われ、コスト・シエアリング は API に対する必要性はないと考え られる。単にASI があるからである。コスト・シエアリング本当の機能はアップル社のライスセ ンス付与を譲渡することで、利益の分配を回避すると思われる。 ところが、アップルはコスト・シエアリングを通じた利益移転が行われた後も、外国持株会社 制度であるCFC を規制する問題に直面した。アイルランド AOI 社はサブパート F の納税要求対 象のうち、外国子会社という概念に含まれており、アップルのいくつかのアイルランド会社間の 相互取引行為は相互に関連性がある。アイルランドに登録されたASI 会社の場合、チエック・ザ・ ボックス規則の選択によりアップルはAOI、AOE、ASI、その他の関連会社を取引関係ない単一 の事業体として取り扱い、法人課税するべきである。ところが、居住地認定により、ASI、AOI、 AOE はアイルランドでも米国でも課税上居住者とされない。これを合法的に租税回避することが できた。アップルの例から見れば、国境を越える電子商取引企業の租税回避の方法が一つではな く、伝統的な租税方法を組み合わせて租税回避になった。 第 3 章においては、アップル租税回避の問題について、「アイルランドの立ち位置」、「EU の立 ち位置」、「米国の立ち位置」の現状を確認する。第 2 節では、OECD/G20BEPS プロジェクトによる 国際課税ルールの改革による、発展途上国中国への影響とこれからの方向性について検討してみ るものである。アイルランドは低い法人税のことを積極的に容認していたのである。欧州委員会 は課税の公平を守るために、その規定に基づき、アイルランドに対してアップルへの追徴を指示 している、また、共通連結法人税の課税ベース(CCCTB)と「パテント・ボックスの是認」による 新しい課税制度を提案した。米国の立ち位置から見れば、米国のアップルなどの IT 企業や巨大グ ローバル企業の米国外での節税策が封じられ、その上 EU では過去税金分を追徴されるとなると、 中長期的には米国グローバル企業の企業価値に負の影響をもたらす可能性は大きいと思われる。 第 2 節では、OECD/G 20BEPS プロジェクトによる国際課税ルールの改革を確認した。BEPS の行 動計画については 15 個行動を提案した。その中に、電子経済の課税上の問題への対処、納税者に よる ATP の開始義務、移転価格文書化・国別報告、相互協議の効果的実施、多数国間協定の策定、 CFC ルールの強化、PE 認定の人為的回避の防止、リスクと資本に係る移転価格ルール、無形資産 に係る移転価格ルールについての概要を説明した。 第 3 節においては、先進国などの経験を中国への影響と方向性と指摘した。歴史的理由と科学 技術の問題により、現在世界の大多数の大手電子商取引会社は主に米国、欧州などの先進国に集 中している。また、先進国は経済力が強いため、電子商取引に関する国際立法および規則制定で 優位に立っている。それ以来、両者が相互に促進し、電子商取引においては先進国の優位を拡大 している。中国は発展途上国の代表の一つとして、国境を越える電子商取引に規則の制定に参加 し、より多くの話の権利を確保しようと努力してこそ、中国の国境を越える電子商取引の発展を さらに円滑にすることができ、国際的な電子商取引の均衡をよりよくとれることができると思わ れる。 このような目的を達成するために、中国の租税機関はまず、世界各国の租税主権を尊重し、そ の租税利益を認めて、OECD の各規定や、米国や欧州などの国々の関連租税回避対応の経験を含め、 各国と経済組織の国境を越える電子商取引における租税回避について対応の経験を学んだほうが いいと思われる。国境を越える電子商取引の多くの分野で、中国は依然として輸入国の地位にあ ることを認識しながら自らの特徴を結合して電子商取引とその租税回避の問題についての規則を 定めるよう努めなければならず、国家の租税利益を保護し、発展途上国の国際貿易における税収 の公平を守るために努めると思われる。 ところが、アップルの事例分析は、十分な資料やデータが足りないため、深さに欠ける恐れが ある。また、先進国と途上発展国、国々の状況が違うので、中国の企業に対応するかないかにつ

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いて今後続いて検討したいと思われる。

【主要参考文献】

参考文献 (1) 本庄資(2018)『国際租税法概論』 (2) 金子宏(2019)『租税法(第 23 版)』、弘文堂 (3) 森信茂樹(2019)『デジタル経済と税―AI 時代の富をめぐる攻防』 (4) 武田知佐(2014)「国際的租税回避に対抗する法人税制についての考察」 ―BEPS 対抗策と包括的租税回避否認規定の導入を中心にー (後略) 以上

参照

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