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藤武治 藤 淳

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Academic year: 2021

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(1)

負性抵抗スイッチ回路について

藤武治

佐佐

要約本論文はパルス技術の基本であると考えられる 単安定マルチバイブレータ,双安定マルチバイブレータ,

非安定マルチバイプレー・タを教材研究の立場から,駆動 点インピーダンスとして負性抵抗を示すスイッチ回路と してその値を測定し,特に単安定マルチについては理論

的な解析を行なったものである。

1. まえがき

電子工学におけるスイッチングというのは,厳密性を もったオン・オフではな・く回路状態の著しい抵抗変化を 意味する。この点では真空管とトランジスタとではオン :とオフの条件は非常に異なっているが,筆者等は今回ト

ランジスタ回路について検討したo

単安定マルチバイブレータは非安定マルチの二つの交 流結合のうち,その一つを直流結合としたもので, トリ

ガ入力により一定時間巾の矩形波を発生する。この場合 の時間巾は交流結合の時定数で定まりワンシヨットマル チと呼ばれるように, トリガ入力がなければ安定点に静

止している点にその特徴をもっている。

また双安定マルチは非安定マルチの二つの交流結合を ともに直流結合としたもので,一つのトリガに一つの安 定点が対応する。大別するとフリップフロップ回路とシ

ユミット形トリガ回路になる。

以上述べたマルチはエネルギー蓄積素子と共に,その 動作領域に於て駆動点インピーダンスとして負性抵抗を 示すスイッチ回路として使用される。次に筆者等の行な

った回路の解析した結果について述べる。

2. 基本回路について

負性低抗特性は能動素子の使用によって生じ,その負 性抵抗部分は常に二つの正抵抗領域によって境され,電 流制御形ヨ醗形抵抗(CNLR)と電圧制御形負性抵抗 (VNLR)とに分類されるoCNLRでは端子電圧が 電流の一価函数であるから1図の特性をもつ。

1図電流制御形負性抵抗特性

この場合電流だけは制限されないのであるから,スイッ チング過程における瞬間的な電流変化を許容するエネル ギー蓄積素子として, コンデンサを使用しなければなら ない。同様の考え方から,VNLRにおいては制御用の コンデンサの代わりに, インダクタンスが急激な端子電 圧の変化を可能にする為に用いられる。

さて負性抵抗素子として電流制御形素子を使用した基 本的なスイッチング回路を2図に示す。この回路で考慮

2図基本のCNLRスイッチング回路

すべき事は,一点において安定に動作するための条件と,

一安定点から他の安定点への跳躍の機構である。先ず回 路について節の方程式をたてる。即ち

j,‑i。+i@‑i。+c¥ (')

Vnn‑irR=〃α (2)

(1)式と(2)式とから

(Vnn‑igR)−〃α=Vt (3)

ただしVt=CR等

‑−−0

CNLR

−−−0

(2)

V>VB(VBはB点におけるピーク電圧)

なる正のパルスを加えると,電流はB点から負怪抵抗の ため急激に増大するが, コンデンサの両端の電圧は瞬間 的に変化しないので, C点に跳躍する。それからコンデ ンサの放電にともないF点までゆるやかに下降し,D点 に向って移動する。それから負憧抵抗のため電流は急激 に減少するが,電圧は線分DBを上向きに移動する事は 許されず,D点からE点に跳躍する。この跳躍にしたが ってVtは正になり, コンデンサの充電によづて徐々に 安定点Aに復帰する。

(2.2) 双安定回路

CNLRを用いた双安定回路の一例を5図に示す。今 ロードラインが図に示すように,特性曲線と3つの点A, GおよびH点に交さするようにする。ここではH点は第 しかし乍ら,Vnn‑iCRは単なる静的ロードラインであ

り電圧・電流特性上に重畳出来る。

したがって既知の曲線からロードラインまでのたての 距離はVtに相当し,ベクトルとして取扱える。このこ

とはグラフによる解法として3図に示した。

'荊銅̲一兆,,R

3図2図の回路のグラフによる解法 ロードラインと特性曲線との交点つまり定常状態の動作 点は,瞬間的な擾乱が原点に復帰する条件をつくるなら ば安定である。(4)式はベクトルVtを定義し,特性上の 任意点からロードラインまで"αの時間的な変化の割合に 比例するように画かれる。即ちAノ点ではこのベクトルは 負であり, コンデンサ両端の端子電圧が時間と共に減少 しなければならないことを示している。若しまた外部擾 乱がAからA〃になるように与えられたとすれば, この 際のベクトルは正であって,端子電圧はA点に向かい時 間と共に増加するoA点においての承Vtは零でありこ れが安定動作点になる。

(2沙1)単安定スイッチン・グ回路

4図はCNLRを使用した単安定回路の一例を示す。

垂非さ

'│Xy

5図双定定動作{

3の安定点のように見えるが,H点は負性担航部分にあ

るため,不安定となり,霞充,電圧は安定出来なし,。し たがって正抵抗御或におけるA点とG点だけが安定点と なり,双安定になる。これは一度スイッチングがおきる と正のトリガに対してはA点からG点へ,負のトリガに 対してはG点からA点へ跳躍する。この場合の動作緒路 は矢印の方向である。

(2.3) 非安定回路

CNLRの負性抵抗部分にのぷ, ロ.一ドラインが交さす るように調整された時には,安定点は存在しない。この

. :

場合の一例を6図に示す。図において交さ点Jの近傍で は, CNLRによって与えられるエネルギーが貸髄航 で消費されるエネルギーより大きいことがわかる。コン

デンサに貯えられたエネルギーはB点或いはD点の↓、ず

れかに向って電圧のビルドアップを生ずる。一度ピーク に達すると動作経路はBCDEになり, BからCへと,

DからEへと瞬間識充の跳躍が生ずるo実際の素子では,

瞬間電流の跳躍は多少丸味をおびた動作結鵠となり,極

刈,

4図単安定動作

今ロードラインが4図のようにCNLRの特性曲線と正 抵抗領域の一点で交わるとする。この場合A点がこの回 路の唯一の安定点である。いま

(3)

《'4÷−十 R

R

Eしb

8図単安定マルチ等価回路

第8図の回路の電圧・電流特性は次の倒或から成立つ。

(1) T2が飽和でT1がオフに相当する倒或

②T1もT2もオンである時に生ずる負性 鮒領域

(3)T2オンでT1が飽和に相当する御或 (4) T2オフでT1がオンに相当する領域

⑤T2オフでT1が飽和に相当する領域

以下それぞれの場合について解析するが, トランジスタ の各御或においては,電圧,鐵充間にi醗的な関係が成 立するものと仮定するo各御或で℃aはjαの函数として次 の形をとる。

ea=Ei+Rij@ (5)

ここでRiは増分駆動点捌充である。

最初に前述の如く仮竃する。即ち (1) T2が飽和でT1がオフにある場合

この場合T1のべ−.ス電流jbl=O, T2のコレクタ電圧 ec2=Oであるから

ea=‑Ebb+izR1 (6)

ここでT2のベース電流ib2は次式で与えられる●

'"‑¥+'" (7)

よってトランジスタの飽和条件から ec2>O

即ちβib2R2>Ebb

βR鰯(¥+i@) >Eb。

よって 6図非安定動作

めて低いVLF動作では跳躍時間は十分に小さいのでそ の経路は理想に近いものになる。またVHFでは,その 経路は小さい楕円になることを6図に点線で示してあ

る。

3. 解析結果

スイッチ回路におけるエネルギー蓄積素子が,その負 性抵抗特性の立場からどのように取扱われるかの一例と してコレクタ・ベース結合の単安定マルチを検討した。

負性抵抗を示す理論的な場所は,エネルギー蓄積素子 の両端子であるから,スピードアップコンデンサを除い た基本回路を7図のように定め,解析では8図の等価回

lr

R3 /00k

7図単安定マルチバイプレータ回路 路を使用したo回路は今T2がオンでT1はカツトオフに あるものとし,飽和したトランジスタにおけるキャリヤ の蓄積効果は一応照見した。更に簡単化するために次の 条件をおいた。

1. βが非常に大きいのでβ+1三β 2. R>R2.そしてR3>R2

珈一R珈一出

しかるにR<BR2 であるから ia<Oとなるo

②T1もT2もオンにある場合 回路についてループの方程式を求めると

ea=‑Ebb+R1(j"+"bl) (8)

(4)

川式による

⑫式による

⑬式による

⑭式による 領域②

領域(8) 領域(4) 領域(5)

α

●︾″砂α

︑ノ︑ノ・地KK︑ノ副K〆〃0+/5+−049

一一一一一一一一一aaaaeeee

しかるにib'‑¥, (7)式から畑の値は淵であ

ec2=Ebb−βib2R2 であるから

ibl=壁旦一哩竺Ebbー幽ja

R3 RR3 R3

iblを(8)式に代入すると

ea=‑Ebb+帆+cR:(¥‑*Ebb‑¥'")

即ち

。劇‑‑国"〔1−鶚(1‑零)〕‑(・等‑R1)i@m

両方のトランジスタの利得を考慮した動作経路に注目す ると, この電圧・電流特性のスロープは負になることが わかる。この負性抵抗領域はT2がib2=Oでオフに変化

する点で制限され, #αは次の制限範囲におかれる。

篭一等≧'α≧‐等

③T2がオンでT1が飽和にある場合

T1のコレクタ,ベースダイオードと,T2のエミッタ,

ベースダイオードの回路が蕊通をもつので,入力端子は 短絡回路を形成し

ea=O O3

(4) T2がオフでT1がオンにある場合 この領域における条件から

〜Ebb

b'=一両

したがって

eo‑│SEbb:+''(R+R,) (ll

T1の飽和に対しては

i・‑‑Ebb(f‑tr)

(5) T2がオフでT1が飽和にある場合

T2がオープン回路でT1は短絡回路であるから, この領 域における方程式は次のようになる。

ea=Ebb+j"R (14)

ノ0k

7((‑ ) 2

9図単安定マルチバイブレータ回路接続図

叫堅一二≦

10図7園の回路による

単安定マルチバイブレータ電圧電流特性

4. 実験結果

7図および9図の回路について(ただしコンデンサは 除く)実測した駆動点抵抗特性と理論式による計算結果 とをそれぞれ10図, 11図に示してある。7図に掲げた単 安定マルチの特性の計算値を参考として述べると次のよ

うになる。

領域(1) ea=‑9+(1K)f@ (6)式による

(5)

v!ilju

/ /J J

J P

/5/

/ ,J

/ /J O f I ノー '

05

q5

JI 5

h辱■ワロ…

==蕊簿 …:…ェ巽語‑.…癖…当字頚f茜.蕊

た鍔俊

‑‑‑‑‑ て悪値

11

−ノ0

‑ノ5

11図9図の回路に よる

単安定マルチバィブレータ電圧電流特性 12F

7図の回路では(5)の領域は理論と実験とは必ずしも一致 しなかったが,その他の点では相当よく一致しているこ とがわかる。またl1図は10図の回路(学生実験のために 購入したセット)を使用して実験をした結果であるが,

これは理論と実験とが可成りに一致していることがわか るoいずれの実験においても履歴現象が見られたが,参 考までに11図にはそれを矢印で示しておいた。

以上のことからこのような回路の駆動点抵抗侍性は全 体としては非直線性であって, これらを直線的な各領域 に分割して回路解析を行なったが,ほぼ妥当なものと考 えられるol2図は, 9図の回路に実際に外部から負のト リガパルスを加えて, コレクタにおける矩形波を写真に 撮ったものであるが12図からわかるように,負のパルス をベースに加えたところコレクタの出力波形は完全な矩 形波であった事を参考までに附記しておく。

なおトリガパルス巾は150"sで, 出力波形のそれは 650 であり,出力電圧は9Vである。ただしこれらの 値に関しては負性抵抗特性から解析したわけではなく,

唯実験結果の承を述べたものである。

V↑ぬ

ノD十

5

淀A

t久

孝一

ひ︲llllllloIjllOllvlllllOllllll

q2 Q5

〆・ざ

ーノ0

13図単安定‑マルチバイブレータ電圧電流特性(参考l)

(6)

5. 補足実験および考察

単安定マルチについて9図の回路で;駆動点抵抗特性 は測定の方法によっては, 13図のようにプロットされた

場合がある。目下いろいろ検討中であるので,その解析

については本論文では割愛したい。また同じ回路でスピ ードアップコンデンサとしての200P..F.の両端からみ た駆動点撰抗特性を求めると14図のような結果が得られ

た。ここではグラフには明確に表わし得なかったが,原

点で多少の不安定な特性が承られ,なお正抵抗領域の一

端から急激にかつ不安定に原点のちかくに復帰して後は

電流軸に並行して電流増加が観測された。

ノ0k ノOK

1−:

庇(‑9の

f−

15図双安定マルチバイブレータ回路掛売図

冠引

dC−O・LJ

14図単安定マルチバイプレータ電圧電流特性

(参考2)

次に時間の都合で理論釣に十分解析したわけではない が,学生の実験用に購入したセットの中で,双安定マル 非安定マルチについてその回路および実験結果をそ れぞれ15函,

16図双安定マルチバィプレータ電圧電流特性

晩(‑9V)

17図非安定マルチバイプレータ回路接院図

(7)

(4)太田諦二: トランジスタカウンタフリップフロ ップの解析,,, 信学誌, 48, 8, P、 1400, (昭和 40‑08)

(5)平嶋岸: 接合トランジスタ双安定回路の転移 条件とトリガパルス条件について",信学誌, 45,

12,P. 1656(昭37‑12)

(6)川上彰二郡: 二つの状態の承有する可変回路の 一般理論,,,信学誌, 49, 2,P. 220(昭41‑02) (7)宮田武雄,三浦努,真野国夫: 非纈彦性を考慮

したトランジスタの大振巾ターンオフ応答",信学 誌, 50, 1, P. 115(昭42‑01)

(8) 川上正光箸: 電子回路 ,共立(昭和40‑01)

⑨イ.エム.カプチンスキー箸,関根智明訳: 子回路と振動論,,東京図書(1962‑12)

⑩新美吉彦: 負性鯛充の種食な特噛丘似による 発掘待性の解析",信学会非直線理論研資I(1967‑

06)

18図非安定マルチバイブレータ電圧電流特性 16図および17図, 18図に示した。双安定マルチ 非安定 マルチについても単安定マルチの基本回路で考察したよ うに,エネルギー蓄積素子の両端から承た駆動点抵抗特 性は単安定回路で得られた結果にほぼ類似の電圧・電流 特性であることがグラフから考察される。この結果の検 討については今回は割愛させていただいた。

6. むすび

以上甚だ不完全ながら単安定,双安定,非安定マルチ について基本回路の考察と実験結果をまとめ,特に単安 定マルチについては,理論的な解析を行なったo5で述 べてあるように検討し且つ解析しなければならぬ問題が 残されて居り,加えて実験中に得られた本論文に発表し なかった測定結果もあるのでこれらについては今後の研 究にまつことにしたい。

(1)青柳健次,宮脇一男,佐盈木次郎: 不飽和トラ ンジスタ・フリップフロップ回路について',, 信学誌 40, 11, P. 1196, (昭和32‑11)

②米山正雄箸: パルス回路,, ,朝倉書店(昭和 41‑05)

(3) L・Strauss: C。WavegenerationandShaping'' McGraw=HillBookCompany, Inc. (1960)

参照

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