金沢大学 十全医学 会稚 誌 第9ニヨ巻 第3 号 42 仁 43 9 く1 9 8 射
悪 性 腫 瘍 に対 する局 所 温 熱療法と C al m et te −G u6rin 菌 療 法の併用に 関する実 験 的研 究
金沢 大学 医 学部 第一一一外科 学 教 室 く主任二岩 喬 教 授I
市 橋 匠
く昭和5 9年4 月1 4 日受付J
本研 究は局 所温 熱 療 法と B C G く助cillu sCalm et te−Guerinl 生 薗の局 所 投与を併用 し た時の治療 効 果およ び免疫 学 的パラメー タ ー への影 響を検 討す る た めに行った. 腫瘍 移 植の 31 日前にC 5 7 B Lノ6 マウス の腹 腔 内に0.1 m g の B C G 生 菌ま た は 0.2ml の生理食 塩 水を投 与し た. つ いで, Le wis肺 癌の生細 胞 2−5Xl O5個を全てのマウス の左後 肢 足 蹴に接 種し た. 腰 瘍移 植後1 4 日目に,腫 瘍を 440C,3 0分 間の温 浴に 浸漬す るか, 電気 焼 灼 くele ctr o c a ute ryl によ り切 除す るか, ま た は何も処 置を行わ ない群に分け た. 移植 後15 日目に これ らの マ ウス に対し,2 mg の B C G 生 薗ま た は 0.0 5 ml の生理食塩水の腫瘍 内 投与, ま た は 2 m g の B C G 生菌の腹 腔 内投 与を行った. 生 存 率の検 討で は, 局 所温 熱 療 法と B C G 腫 瘍 内 投 与を行った 1 0 匹 くS T H B 葺削 のう ちの1 払 お よ び 生 理食 塩水の代りに B C G で前処 置し て か ら S T H B 群と同様の処 置を行った10 匹くB T H B君削 の う ちの 2 匹 が, 腫瘍 移 植後5 0 日日にも腫 瘍の再 発な く 生存して いた. 他
の治療 群でも軽度の生 存期 間の延 長を認め た が, 全て 4 4 日 以内に死 亡 し た. W in n テスト を行う と, 腫瘍 移植3 1 日前にB C G で前 感作さ れ, 移 植後1 5 日目にB C G の腫 瘍 内投 与を熱ナ た B T B 群で は腫瘍 増殖が 完全に抑 制さ れ, ま た B T H B 群で は腫 瘍 増殖が部 分 的に抑制さ れ た. 前もって抗T hy,1.2 抗体と補体で 肺 細胞を処理 して おく と, 腰瘍増 殖 抑 制は B T H B 群で は消 失し, B T B 群で は減 少し た.
J B T H B 群にお け る T 細 胞ま た は N K くn atu r al kille rl細 胞の脾細 胞 総 数に対す る割 合は, B T B 群およ び対照群 くS T S葺削
に おけ る ものよ り多かった.
一方B T B 群において は単 球くマクロフ ァー ジ で あ る と考え ら れ たつの脾 細 胞 数に対す る割 合が増加して いた. これ らの結 果か ら, マ ウスを B C G 生菌で前 感作し, さ らに局所 温 熱療 法 と B C G 生菌の腫 瘍 内 投与の併用治 療を行うこと は, 増 加し た抗腫 瘍 免 疫の誘 導に有 利であ ること が 示唆 さ れ た.
K ey w ords hy perthe rmi a
,im m unothe r ap y ,B C G く励cillu s Calm et te−GuerinJ
悪性腫瘍に対す る免 疫 療 法は, ウイ ル スま た は化 学 物質によっ て修 飾し た 腫瘍 細胞で生体を免 疫す るか,
生腫瘍 細胞から抽 出分離し た 腰瘍 特 異抗 原も し く は腫 瘍関連 抗原 を利用 す る特異免疫の誘 導が合理的, かつ
有効であ ること はいう までも ないが, 臨 床 的には種々
の制約が あ る. これに対し, 細 菌 類, 担子菌 類, ま た はそ れ らの抽 出 物を利用 す る非 特 異 的 免 疫 療 法1 1は,
腫瘍増 殖の抑 制 効果に限 界 は あ る が, 現在 臨 床面で広 く適用 き れている.
一 方, 悪性腫瘍に対す る 温熱 療 法は, 丹毒を併 発し た肉腫 患 者に お いて高 熱が 腫瘍の退縮を も た ら し た と
Expe rim e ntal Stud ie s o n the Co mbin ed
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す る Bu s ch2切観察に始ま り,,その後Coley叶は直 接腫 瘍 内に連 鎖 球 菌を注入 し, 発 熱によ る腫 瘍の治 療を試
み, 温熱 療法の有用性を 示 し た. Crile ら41, Ca v alie r e
ら5切加温 血液 濯流によ る 悪性 腰 瘍の治 療 効 果が 1 9 6 0 年代に報 告さ れて から は, 悪性 腰 掛こ対す る混 熱療 法
の有用性が再 認 識さ れ る よ うになっ た.し か し な が ら,
新しい治療 法と し て の全 身性温熱療 法が 一 時 的に宿主 免疫 機能を低 下させる6 け切に対し, 局所 温 熱療 法は む しろ増強す る傾 向にあ る と さ れて おり8潮, 臨床 例で も 主 腫瘍の局所加温によ り転 移巣が消 失し た報 告叫も あ る.
M odalit y of h cillu s C alm ette−Gu色rin くB C Gト Tre atm e nt a nd L o c al Hy pe rthe r mia fo r M aligna nt Tu m o r. T ak u mi Ichih a sh i, D epa rt− m ent of SLl rge rytI H D ir e ctorこProf■ T .Iw aJ Scho ol of M edicin e, Ka n a z a w a Univ e r sit y.
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今回著 者は, 局 所温 熱療 法と B C G 投 与によ る 局所 免疫 療 法を併用 し た場合の治 療効 果と, 背景と な る免 疫 機能の諸パ ラ メ ー ター について, 動 物 実験モデル で
検 討し た.
材 料およ び方法 工. 実 験 材料
1 . 供試マウ ス
全 実 験を通 じ 約6 適 齢の雌 性C 5 7 B Lノ6, S P F くspe cific pathoge nfr e el マ ウスく静 岡実験 動 物, 浜 松う を使用 し た. 飼育 管理 は 一定の空調 室 内で行い,
給餌は固型 飼 料 くM F,オ リエンタノり 給 水は煮 沸滅 菌 水を そ れ ぞ れ自 由に摂 取さ せ た.
2 . 腫瘍な ら びに癌 細 胞 浮遊 液
C 5 7 B LJr6 マ ウス由来の Le wis 肺 癌 く国立 ガン セ ン ター よ り分与1 を同 系マ ウス の側 胸 部 皮下に移 植継 代 し, 実 験に供し た. 細 胞 浮遊 液の調製には, 移 植14 日 目の摘 出 腫瘡を 8 0 メッシ ュのステン レ ス網上 で細 切,
濾 過し, 燐酸 緩衝 液 くpE 7.4,以 下P B S と略うで 1 回 洗 浄 後,再度P B S に浮 遊さ せ, ト リバ ンプル ーく0.2%
鞍, Me r ckl 一除外テストによ り 生細胞 敷 く約30%l を
カ ウント し, ペニシリンーGく明 治 製 菓うを 10 0 Uノml に
含む P B S,ま た は ゲンタマイシ ンく塩野義 製 薬1 を 1 0 メ gノml に含む R P M I 164 0 培 地 く日水製 薬う に, 所 定 の生 細胞 濃 度と な る よ うに浮 遊さ せ た.
3 . 肺細 胞浮 遊 液
無 菌 的に摘 出し たマ ウス牌を R P M 工16 4 0培 地 中に て, 載 物ガ ラス板で軽く 圧挫, 自 由 化し た牌 細胞の浮 遊 液を 80 メッ シ ュのステン レ ス網で濾過し た.つ いで Tris−N 乱Cl緩 衝 液 処理 に よっ て赤血球を除 去し,
R P M 1 16 4 0 培地で 3 回洗 浄 後, pelletは R P M I 1 64 0 培 地に浮遊さ せ,0.2%ト リバ ンプル ー によ り 生細胞 数
く約1 0 0%1を カ ウント後, 所定の脾 細 胞濃 度 液に調 整 し た.
4. 抗血 清お よ び抗体
flu o r e s c ein is oth io cya n ate川 く以下F I T C と略 ト ウ サギ抗マウスIgGl, FI T C−ヤ ギ抗ウ サギIgG, お よ び抗ヒツ ジ赤血球ストロ ー マ抗血清1 2IくIgM 抗 体I は,
金 沢大 学が ん研 究所 免 疫生 物 部 坂井 俊之助助 教 授よ り 供 与を う け た. ま た, 抗T by−1.2抗 体 くモ ノクロ ー ナ ル抗体こClo n e5a−8,Ceda rla n e社, Ca n adal およ び 抗a sialo G M l 抗体 く和光 純 薬工業K .K .,大 阪I は そ れ ぞ れ市 販 品を供用 し た.
工工. 実 験 方法 1 . 抗腰瘍試 験
本 研 究において,局 所 温熱 療 法と免 疫 療 法を単 独に,
あるいは併用 して行う実験の プロ トコ ー ル およ び群 別
は図1 に 一括 捷示 し た. B C G く助cillu s Calm et te.
Guerinl 弱毒 株 製 剤 く日本B C G K.K.,生 菌 数4 へ 6 x l O7lm gl の生理食塩 水 く以下P S S と掛 浮遊 液eo.5
m gl ml1 0.2 m 卜をマ ウス腹腔 内に投 与し た B C G 感作
マ ウス群と, 対照 と し てのP S S O.2 mlの腹 腔 内投与 群に大 別し たくDay−31l.B C G 感 作 は た は P S S 投与I 3 1 日後, Lewi s肺 癌 細 胞2■5X lO5個ノ0.0 5ml P B S を
全マウス の左後 肢 足 庶 皮 下に移 植し た のayoう. 腫瘍 移 植 後1 4 日目に, 4 410 士0−lOCの温 水 中に, 腫瘍を移 植し た患 肢を 30 分間 浸 漬し た群, 電気 焼灼 くele ctr 。.
C a ute ryl によ って患肢 を大腿部で切 断し た群, およ び
無 処 置の群に分 別し た のay 抽 . さ らに腫瘍 移植後 15 日目に, 腰痛 内に B C G 2 m gノ0.0 5 ml P S S を注入 し た群, P S S O .0 5 ml を注入 し た群, およ び腹 腔内に B C G 2 m gIO.05 mi P S S を注入 し た群を 設定し, 分別
し た くDay 1 5コ.
効 果 判 定につい ては, い 生命 延 長はm ed ia n s u r vi.
V al tim e く以下M S T と略l, およ び腫 瘍 移 植後5 0 日 目 くDay5 0J に おけ る生存 率の 比較によって, ま た 2 J 局 所腫瘍の増殖 抑制は移 植後18 日目 のay 1 81 に お いてスラ イ ディ ング キャリバ ー で腫腐の長 径くL,m mう と短 径 くW ,m ml を計 測し, 次 式によって算 出し た腰 痛サ イ ズ の比較によった.
腫瘍重量くm gンこLx W 2ノ2
なお,温 熱 療 法 時,腰 痛 中心部の温度と直 腸温を サー ミスタ ディジ タル温度 計T D−31 1 と サ ー ミ スタ測温体 N S T くと もに芝 浦 電子製 作 所1 に て測 定し た.
2 . マ ウス牌 細 胞によ る腫 瘍 細 胞傷 害 試 験くW in n,s
te st1 3り
S T S 群こP S S 投 与 くDay − 31l ぅ腫瘍 移 植 m ay Ol
づ P S S 投 与 くDay 151.
B T B 群二B C G 投与 くDay −31l 一 腰瘍移 植くDay OI J+ B C G 投 与 くDay 15l.
S T H S 群こP S S 投 与 のay−3 い ぅ 腫瘍 移 植 m ay Ol
一温 熱 処 置 eDay 1 4I N+P S S 投与 くDay 15l.
B T H B 群こB C G投 与 くDay−31l 一腫 瘍 移 植 くDay OI 一握 熱 処 置 くDay 1 4l − B C G 投与くDay 1 5l.
以 上のよ う な処 置を行っ た各 群 く図1 参照う およ び 非 担 癌正常 群に つ いて, Day 2 1 に 1群1 0 匹分を プー
ルし た脾 細 胞浮 遊 液を調 製し, 実 験に供し た.
ま た各 群の牌 細 胞 浮 遊 液の 一部を, 抗T hy−1.2抗体
の 40倍 希 釈 液で 4 0C, 3 0 分処理 し た後, R P M I 1 64 0 培 地で2 回洗 浄し,さ らに新鮮ラッ ト補 体の 10倍 希釈 液で3 70C, 3 0分 反応さ せ, R P M I 1 64 0 培 地で2 回洗 浄し た も の を仁抗T hy−1.2 抗体+補 体コ処理肺細 胞と
し た.