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雑誌名 北海道医療大学歯学雑誌

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Academic year: 2021

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北海道医療大学学術リポジトリ

3Dコラーゲン・グリコサミノグリカン複合体スキャ フォールドを使った再生医療研究

著者 田巻 玉器

雑誌名 北海道医療大学歯学雑誌

巻 31

号 1

ページ 33‑33

発行年 2012‑06

URL http://id.nii.ac.jp/1145/00006565/

(2)

[最近のトピックス]

Dコラーゲン・グリコサミノグリカン複合体スキャフォールドを使った 再生医療研究

田巻 玉器

北海道医療大学歯学部口腔構造機能発育学系組織学分野

Tamaki YOKOHAMA−TAMAKI

Division of Histology, Department of Oral Growth and Development, Health Science University of Hokkaido

損傷した組織を回復する再生医療の一手段として,細 胞の分化・誘導を促す細胞足場材料の開発が進められて いる.筆者は 年から 年までアメリカ合衆国イリ ノイ大学アーバナ・シャンペーン校へ海外研究員として 勤務し,Dr. Brendan Harley研究室において様々なスキ ャフォールドの開発とその応用研究について学ぶ機会を 得たので,近年の生体スキャフォールドを用いた再生医 療研究について紹介する.Dr. Harley研究室では主にコ ラーゲンとグリコサミノグリカン複合体スキャフォール ド(Collagen−glycosaminoglycan scaffolds:以下CGスキ ャフォールド)を中心とした以下の つのプロジェクト を進めている: .損傷によって失われた硬組織・軟組 織の人工構築 .細胞動態の観察モデルとしてのスキ ャフォールドの応用 .幹細胞ニッチの人工構築

.人工細胞材料としてのスキャフォールドの応用 彼らの研究室でターゲットとする組織は骨・腱・造血系 幹細胞ニッチ・心筋・血管・ガン細胞転移モデルなど多 岐にわたっており,それらの組織に最適なスキャフォー ルドの形状と構成成分が検討されている.

スキャフォールドの主な構成成分はウシ真皮由来コ ラーゲンとサメ軟骨由来コンドロイチン硫酸で,それに 酢酸を添加したものがベースとして使用されている.形 状はメンブレン型,スポンジ型,両者を組み合わせた複 合型と自在に成形できる.さらにリン酸カルシウムな どミネラル成分の配合量を調節することにより つのス キャフォールド上に,腱組織再生に適した足場層,骨組 織再生に適した層,さらに両組織が移行的に混在する様 に層成分を配置することで,複雑な生体内の組織配列を 再現できるよう改良されている.主な構成成分であるタ イプⅠコラーゲン線維の形状についてもフリーズドライ 法による温度操作によって,線維の配列方向を調節でき る点に特色がある.線維方向を異方向もしくは同一方向 に配列することによってスキャフォールドの硬度と細胞 の配列を調節することが可能となった.さらにコラーゲ ン線維間のポアサイズ(多孔性)の調節は細胞の初期接 着と増殖に直接関与している事が,ウマ由来初代腱細胞 やマウス由来心筋細胞を用いた実験からも明らかになっ ている

細胞外マトリックス上で立体的に細胞を培養すること

によってこれまでIn vitroで観察できなかった細胞の応 答が観察されつつある.特にCGスキャフォールド上に 増殖シグナルなどのタンパク質やプラスミド,siRNAを 人工的に結合させたデバイスの開発が進められている.

生体内では生理的に配列した細胞が局所的にシグナル分 子を放出し,パラクラインもしくはオートクライン作用 を示す.スキャフォールド上に局所的に結合させたこれ らの生体分子は,立体的かつ選択的に細胞を配列・増 殖・分化させる可能性がある.フォトリソグラフィ

(Photolithography)は光や電子線等を利用して平面基板 様にパターンを転写する技術であるが,CGスキャフ ォールド上に生体分子を結合させるための応用技術とし て新たに注目されている.これまでにこの技術によっ てCGスキャフォールド上の μmのスペースに μm 間隔のフィブロネクチンとN−カドヘリンが格子状に交 差するパターンを転写する事に成功している.今後数 種類のタンパクや遺伝子とそれらの濃度勾配を組み合わ せる事によって,生体内により近い培養条件下での細胞 接着や遊走,増殖,分化,遺伝子発現,細胞外基質の分 泌を検討することが可能となる.

iPS細胞やES細胞から様々な細胞の分化培養方法が確 立されつつあり,体外で増殖・分化させた細胞を生体内 へ効率的に移植する為の足場としてスキャフォールドは 不可欠な材料である.また臓器の生理的な機能は細胞の 組織学的な配列と密接に結びついており,細胞の立体培 養とドラッグデリバリーシステムを組み合わせた新しい 細胞培養技術としてのスキャフォールド研究に今後も注 目したい.

参考文献

)http : //www.scs.illinois.edu/HarleyLab/.

)Caliari SR, Harley BA. The effect of anisotropic colla- gen−GAG scaffolds and growth factor supplementation on tendon cell recruitment, alignment, and metabolic activity.

Biomaterials. 2011, 32 : 5330−40.

)Martin TA, Caliari SR, Williford PD, Harley BA, Bailey RC. The generation of biomolecular patterns in highly porous collagen−GAG scaffolds using direct photo- lithography., Biomaterials. 2011, 32 : 3949−57.

北海道医療大学歯学雑誌 ⑴ 平成 年

( )

第31巻1号   4C150 1C133/本文 ※31‐1から組体裁変更 OTF/033     トピックス 田巻  2012.07.05 19.31.28  Page 33 

参照

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