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〜患者が主体的に取り組む共有看護計画を目指して〜

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Academic year: 2021

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(1)

市立千歳市民病院医誌 第6巻 第1号 (2010) 47

    共有看護計画に対する看護師の意識調査

〜患者が主体的に取り組む共有看護計画を目指して〜

4階東病棟看護科 細川 可奈子       隅田 ひとみ

門間 世史子  川嶋 麻有

キーワード: 共有看護計画 参画

はじめに

 近年、医療への参加と自己決定を求める患者の声の高ま りや、今まで以上に患者の生活の質を尊重しようとする医 療者側の動向に応じて、患者の看護への参加が再考され始 めた。当院でも2006年より患者参加型看護計画(以下共 有看護計画)が導入され、看護師一名に対し年間4例を目 標に実践してきた。当病棟は外科と整形外科・泌尿器科を 有する混合病棟で、周手術期やリハビリ期の患者が多く、

患者の目標設定が比較的容易で共有看護計画を立案し展 開しやすい。だが、年間4例の目標達成率は高いが患者・

家族が主体的に参加し、患者の意向が十分に反映された内 容であるのか疑問が生じた。

 そこで、患者・家族が主体的に参加し希望や意向に沿っ た看護計画を立案できているか、看護師の意識レベルから 調査・検討し、その結果と今後の課題が見えてきたのでこ こに報告する。

用語の定i淺

・共有看護計画:当院において2006年から年間4例を目  標に実施されている看護計画で、患者・家族が安心でき  満足いただける看護を提供するために、患者・家族と共  に立案・実施・評価していく看護計画である。

・参画:参画とは、その場の当事者が関係者と全体像を共  有化しながら、意識的・自省的に計画段階から、実施・

 評価・伝承段階に至るまで、「場づくり」そのものにか  かわり、自らその「部分」をになう開放的・創造的・包  括的なかかわり方。

1 研究方法

1.研究期間:平成21年4月〜11月

2.研究対象:平成20年度に共有看護計画を1例以上実施 した当病棟看護師24名。(以下対象者)

3.データ収集方法:

1)対象者に対する無記名アンケート用紙を作成し、回答  データを集計。

2)対象者の意識を7項国に分類して調査。(自由回答も含

む)

3)平成20年度の共有看護計画の資料を基に実績調査。

 (アンケート非対象者は除く)

4.データ分析方法:平成20年度の共有看護計画の実施件 数を百分率で割り出す。対象者の共有看護に対する意識 を5段階に分類し、実践後の自己評価と意識の変化につ いて百分率で割り出す。

5.倫理的背景:アンケートを行なった際、記載は対象者の 自由意志とし研究以外には情報を使用しないこと及び、

個人を特定せず不利益を与えないようにする。

皿 結果

 目標の4例以上の共有看護計画を実践できた看護師は 全体の58%(図1)、①共有看護計画を実践して良かった と答える看護師は67%、②ケア・ニードに沿った看護計 画を立案できたは46%、③患者・家族の意見を反映した 計画を実践できたは41%で、あまり反映できなかったと 感じている看護師は全体の約1/3に当たる29%であった

(図2)。

 共有看護計画を実践したことで「意識変化があった・少 しあった」と答えた看護師は74%。(図3)、どのような共 有看護計画が出来たかに対しては、「看護学におまかせ・

相談しあって患者が選ぶ」が共に63%(複数回答あり)

であった(図4)。目標設定に関しては、「4例を丁度いい」

と答えた看護師は42%で、「設定は無い方がいい」との回 答は25%であった。

5例以上

 210/o

4例

370/o

1例

210/o

ロ1例 ロ2例 ロ3例 口4例

口5例以上

3例

130/o

2例

80/o

図1平成20年度の実施件数(対象者のみ)

(2)

48 4階東病棟看護科 細川他 共有看護計画に対する看護師の意識調査

4

・・.S6 63

..

S1

29

  とても出来た

@   出来た

ヌちらともいえない

?まり出来なかった

@ 出来なかった

42

4

30

Q9

■共有看護計画

@を実践してよ

@かったですか

鴻Pア・ニードに

@沿った看護計

@画を立案でき

@ましたか 轟v画を説明

@し、患者・家族

@の意見を反映

@できましたか

0 4

0     20    40    60  %

図2共有看護計画実践における自己評価

     あった    少しあった どちらともいえない

 あまりなかった     なかった

20

54 13

P3 0

o 20 40 60

0/o

図3実践後の共有看護に対する意識変化

患者が積極的

に意見を言う  (%),4

相談しあって 患者が選ぶ(%),

  63

看護師におま

かせ(%),63

ロ看護師にお

 まかせ(%)

□相談しあっ  て患者が選

 ぶ(%)

ロ患者が積極  的に意見を

 言う(%)

図4実践した共有看護について(複数回答あり)

はあるが看護師の63%が「おまかせ」の計画だったと感 表1共有看護計画に対し思うこと (自由回答):

プラスイメージ

・信頼関係が深まる

・個別的な看護が展開できる

・目標設定するとゴールが明確化となる

・担当者がはっきりしていて相談しやすい

・ケアに対する不満が激減する

・達成感が得られる

・次のケアに繋がり意欲的になる

マイナスイメージ

・電子カルテとなり書式が面倒

・患者の意見を引き出せず押し付けになって いる気がする

・患者が積極的でないとやりにくい

・無関心(共有しても用紙が放置される)

・ノルマ達成目的に行なっている

・患者が問題と感じていないと共有しにくい

皿 考察

 今回の調査結果から、共有看護を実践して良かったと感 じている看護師は67%と半数以上を占めている。しかし、

患者・家族の意見をあまり反映できなかったと感じる看護 師は全体の1/3(29%)と突出している。更に複数回答で

表2患者の関わり方の変化:

       看護師 患者

参集(第一段階) 説明 傾聴

参与(第二段階) 調整 表出

参画(第三段階) 支援 実行

(3)

じている。このことから当病棟の看護師は、共有看護に対 する意識が高く患者主体であるべきとの考えからおまか せの計画はおしつけのような思いにつながり、患者・家族 の意見が反映できていないと感じていることが明らかと

なった。

 表2は、林の参画理論1)に基づき、患者の関わり方の 変化を簡潔にまとめたものである。参画理論には三つの段 階があり、看護においても適用できることが明らかとなっ ている。

 参集(第一段階)は、看護師が説明しながら情報提供し 患者は説明を傾聴し聞かれることに返答する。参与(第二 段階)は、看護師が患者の表出を誘導しながら計画内容を 調整し、患者はその中から方法を選択する。参画(第三段 階)は、看護師が患者を支援・協力し、患者はそれまでの 知識・認識を活用しそれを自分の生き方や行動に移し学び 取っていく。この関わり方の変化は個人によって差があり、

参集でとどまることもあれば、参集から参画にステップア ップするなど様々である。

 平山は「『おまかせ』は選択の一つであり、情報量と医 療者への信頼の度合いにより参加のレベルは変化してい

く。」2)と述べている。

 今回の調査で、患者・家族の意見が反映できていないと 感じる看護師は多いが、患者が看護に参加するレベルは 個々によって違いがある。患者に寄り添ってその思いに近 づくことで、信頼関係が構築され計画がステップアップし 次のケアに生かされる。そのため、最初は「おまかせ」の 看護計画であっても良いと考える。

 表1の自由回答からわかることは、患者の目指す目標を 明確にし、達成できるよう共に実践することで、患者の満 足につながり信頼関係が深まり次のケアに生かすことが できると感じている。その反面、患者が問題と感じていな い・積極的でない・うまく表現できないなどの場合は、共 有できにくいと感じている。

 山田は「看護計画の存在すら知らなかった患者が看護に 参画していくためには、専門職である看護職者の意図的な アプローチが必要不可欠となる。」3)と述べている。

 看護の専門性や力を理解していない患者は少なくない。

その結果、問題と感じていない・積極的でないなど、自分 の事として捉える事が出来ない状態に陥ると考える。この ことから看護計画の存在や看護の専門性を知ってもらう よう看護師のアプローチが必要不可欠であり、患者が主体 的に自身の病気や健康問題に対して向き合い、セルフケア 能力を向上するための課題であると考える。

IV 結論

1.「おまかせ」の看護計画は決して悪いことではない。

 患者が計画に参加するレベルはそれぞれで、おまかせ  の計画は選択肢の一つであり看護師の関わりの中で

参加のレベルは変化していく。どのように参加するか  は患者が決定することである。

市立千歳市民病院医誌 第6巻 第1号 (2010) 49

2.患者の目指す目標を明確にし、達成できるよう共に実  践することで信頼関係を築き、意向に添った計画が展  開できる。

3.患者が主体的に参加するためには、看護計画の存在を  知ってもらうよう看護師がアプローチしていくこと  が必要不可欠である。

おわりに

 共有看護は、患者・家族の思いに寄り添い展開していく ため、達成感・満足感が得られる看護の手段の一一つである。

電子カルテ化に伴うとまどいにより新たな弊害はあるが、

共有看護計両を実践することで相互的効果があると感じ ている看護師は多い。今後もより多くの共有看護の実践を

目指し、患者・家族に看護の専門性を知ってもらいよりよ い看護を提供できるよう活動していきたい。

 最後に、本研究作成においてご指導して頂いた先生方、

調査に協力して頂いた病棟スタッフの皆様に心より感謝 申し上げます。

引用・参考文献

1)林 義樹ほか:「参画理論」から見た看護計画への「患  者参加」 看護技術 vo144 no,5p18−221998−4

2)平山 妙子:患者参加型看護 患者がケアを評価・修  正する新しい看護の形(第1版第1刷) 1ヨ総研 2008

3)山田 聡子:「患者参加」により活きた看護計画にす  るために 看護技術 vo144 no,5p23−261998−4

4)林義樹:参画教育と参画理論(第1版第1刷) 学  文社 2002

5)社会保険京都病院:患者参画型看護計画(第1版第2

 刷) 日総研 2008

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