電動機指導についての
実践的研究(その1)
技術科電気研究室新妻陸利 土浦第…中学校五頭 昇 附属中学校 桑 名 拠 光
§! はじめに
中学校技術・家庭(男子向き)に於ける電動機の指導については,大別して2つの系列に分けられるで あろう。すなわち
1. 「電動機を備えた電気機器」として,電動機そのものには深入りしないで,電気機器(具体例として.
は電気洗濯機)に指導の重点を置く場合。
指導要領,教科書がこの形を示し,現在の中学校でも一般的に実施されることになっている。しかし,
アンケート調査結果① ②からもわかるように,何を指導内容とするのか焦点がはっきりせず,中学校 の現場にとまどいや混乱を一与えてしまっている。
2.電動機の指導を中心にし,「奄動機を備えた電気機器」は,その発展として軽く扱う場合。
これは自主的研究グループが実践している方式で,さらにその内容を分けてみると (1)三相誘導電動機中心
(2)単相誘導電動機中心
(3) 直二流電動考幾中 〔〉
の3つになろう。
我々はこれらのうちでも,どちらかというと旧指導要領,旧教科書の内容に近い(2)の単相誘導電動機の指 導を中心に据え,いろいろな問題点,困難点①②に応えながら,実践的に砺究をすることにした。
§露 単相誘導電動機を中心とした指導計画案
く指導計画案♪・
1.題 材 電動機 2.題材設定の理由
(1)電気エネルギーを動力に変換する機械として普及している。
(2)生徒の身のまわりに家庭電気機械として普及している。
③ その中でも年間を通じて電気洗たく機が身近な電気機械として接することが多いため,洗たく機用 の電動機を中心に取り扱うことにする。
3. 目 標
(1)回路計による電動機の点検ができる。
(2)電動機の回路図がかけ配線ができる。
一Jr 1 一
(4)電動機の回転原理と構造を知るQ
⑤ 電動機⑱負荷試験を知るQ
(6)電動機の種類と用途を知る。
4. 指導計画 6時聞取り扱い
(1)電動磯の回路と運転一一一一一一一_一一..一...一.一.一__.一.一一____3時間
(2)電動機の回転原理と構造一一一一一一一一一一一一一 一一一一一一一・・一一一一一一一一一一一 一1時間
(3)電動機の負荷試験一一一一一一一一一・一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一1時…間
(4)電動機の種類と用途一一一一一一一一一一一一一一一一一一一・一一一一一一一一一一一1時間
5。準備(8班編成として) (最低必要台数と余裕台数)
(1)洗たく機工電twma一一一・一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一・一一一一一一一一・一8台(9〜10台)
(2)回 路 計一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一8台(9〜1◎台)
③洗 た く 機一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一1台(2〜3台)
(4)アラゴの円板装置一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一8台(9〜10台)
(5)電動機負荷試験用計器一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一1組
(電圧計,電流計,電力計,回転計,ばねばかb各X)
(6)カットモータ及び展用モータ
⑦各種モータ
(8) 2現象オシログラフ
(9)O ff P
⑩ 掛図,スライドなど ω 学習 カ 一 ド 6.展 開
ね ら い 学習内容及び活動 教具・資料 指導上の留意点
(第1時)
。洗たく機の L 洗たく機をまわしてみる。(全) 。洗たく機 。 洗たく機の裏ぶたを外して,電 構造のあら ア 空回しをする。 ・学習カード 動機やペルト等等の回転状況を観
ましがわか イ 動力源……電動機 察させる。
る。 ◎ 動力源として電動機が使われて
いることを確かめさせる。
。電動機の導 2 電動機の導通試験をする。 ◎洗たく機用
通試験がで (班,個) 単相誘導電
き,内部の ア 回路計で各端子間の抵抗を測 動機(コン
接続のよう 嘱し記録する。 デンサモー
すを予測で イ 測定値から内部の接続に:つい タ) ・ 3本線の接続状態がどの程度把 きるQ て考え,学習カードへ記録する。 ◎回路計 握できたか,机間巡視によって確
ウ 各グループの結果を発表しあ かめる。
い,全体で話しあう。 o不十分な点は教師が補説する。
一52 一
ね ら い 3. 学習内容及び活動 教具・資料 指導上の留意点
電動機を始動する。
○スイソチと 11) 電動機と電源の配線を考えるQ 。電源スイツ o スイッチには,5Aのヒューズ
電動機の配 (班) チ(ヒユー を入れて乏く。
線ができる。 ア 班ごとに:話しあい,学習力 ズ付)
一ドに配線図を記録する。
イ 実際に配線し点検する。 ・接続端子台
。回転の具合 (2) 電動機を始動し観察する。 と接続コー o 教師の許可を受けてスイゾナを
いが悪いこ (班) ド 入れるように注意する。
とに気づく。 ア う左るだけQ ・ 回り方の調子が悪いことを発見
イ 手で回すとまわる。 させ,どうしたらよく回るかとい
ウ 回る力が弱いQ う疑問をもたせる。
(3) 各班の始動結果を報告する。
(全)
(第2時)
oコンデンサ
1.
洗たく機の裏側をよく観察する。 。洗たく機 。 電動機にコンデンサがついてい
があること (全) ることに気づかせる。
に気づく ア 電動機以外の部品がある。 。学習カード 。 「けい光灯」学習時のコンデン
イ コンデンサがあることに気づ サと関連させて指導する。
くQ ・ コンデンサの導通試験は,大き
Oコンデンサ
2.
コンデンサの導通試験をする。 Oコンデンサ い目盛のレンジで測定するよう指
の働きを再 (班) (各種) 導する。
確認するQ ア 回路計の針の動きを調べる。 ・ 針のふれない班に対しては,コ
イ 図か文で学習カードに記入す ・回路計 ンデンサの端子を短絡させるか,
る。 回路計の+,一をかえてから測定
(例) するよう指示する。
①_噛斜 。 回路計の針のふれ方が変る理由
説明し,コンデンサの性質とし
@ を ② て電気を貯える働きがあることに 気づかせる。
・スィソチと 3. 電動機にコンデンサをつないで 。洗たく機用
コンデンサ 回転させてみる。 単相誘導電
と電動機を (1) スイッチとコンデンサと電動 動機 Q 配線図をかいてから始動させる。
接続し,電 機の組み合せを考える。(班) 。電源スイツ
動機を回転 (2) 実際に配線をする。 (班) チ o 配線の確認をさせる。
させること (3) スイッチを入れる前の注意を ・接続端子台
ができる◎ 聞く◎ (全) と接続コー 。 安全への確認をしてからスィッ ア 配線をよく確かめ,安全に注 ド チを入れさせる。
面してスイッチを入れるよう にする。
イ まわらないときはすぐスイ ッチを切る。
一一@53一
ウ 回転している所へ指な どを 出さないe
(4)スイ 録する。ッチを入れ回転状況を記
@ (班) 。 記録しながら学習をすすめるよ
よく回る◎,何とか回る○,回らない× うにさせる◎
(5) いろいろな配線をし,よくま わるものをみつける。 (班)
(第3時置
1.
前回に学習した,よくまわる場 ・電源スィツ 。 正しい配線図を確認させる。
合の配線図を発表しあう。(全) チ
a 正しい接続で電動機を回転させ 。電動幾
。正しく回転 る。 Oコンデンサ 。 前時に学習した安全について再
させるため (1) 電動機のスイッチを入れ, 回 。接続端子台 確認させる。
の配線がで 転状況を観察し配線図をかく。 と接続コー
き,そのと (班) ド
きの回路図 (例)
がかける。
。逆転させる (2) 回転方向を反対にする配線を o コンデンサのつなぎ方に着呂さ ための配線 考え, 逆回転させて配線図をか せて逆転を考えさせる◎
ができ,回 く。 (班)
路面がかけ (例)
る。
○
Oコンデンサ (3)(1)2 (2)の2つの回路について 。 1つの電源から,電流は2つに とコイルの 教師の説明を聞く。 (全) 分れて流れることに:着目させる◎
組み合わせ ア 2つの回路があり,2つの電 ・ 2つの回路のエ方はコイルだけ,
によって2 流が流れている。 他方はコイルとンンデンサが直列
つの交流を イ 2つの電流には違い(ずれ ︶ 。2現象オシ につながれていることから,(1),(2)
つくり出し があるQ ロスコーープ の回路図を説明する。
ていること ウ その組み合わせによ って回 。 2現象オシログラフでρ2つの
を知る。 転方向がきまるQ 波の位相の違いを観察させる⑫
a 切り替えスイッチの回路を考え, 。洗たく機 ◎ 洗たく機の自動反転を見せる。
。自動反転の 自動反転のしくみを考える。
しくみを知 (既)
る。
一5 4 一一
ね ら い 学習内容及び活動 教具・資料 指導上の留意点
(例)
(第喚時)
Bアラゴの円 ツの回転原 揩ェわかるQ
1.︵1︶︵2︶ かしてみる︒ イ ウ 向にまわる︒
アラゴの円板の実験をしてみる◎
@アルミニウム円板にふれ左い ナ寮わす方法を考える。(全)
@アルミユウム円板の近くに永 v血石をもっていき,円板を動
@ (班)
A・さわらないで蜜わる。
@ 動かした方向にまわる。
@ 反対方向に動かすと反対方
。学習カード Eアラゴの円
ツ◎磁石
o アルミニウム円板にさわらないで3
@磁石を動かすように指導する。
B これをアラゴ:の円板といってい
〆
る。発見者はアラゴ(1824年)
し侮融 であるが,その後ファラデーカ㍉
、簡 「電磁誘導」の発見(1831年)
。電磁誘導現 ロに気づく。
搏d動機の内 剥¥造を知
@る。
Bアラゴの円 ツと電動機
(3)
@ 説明を聞き,
@ つく。
@ 則
=@ア イ 回転子
@ウ コンデンサ
%d動機が回る理由を考える。
〔アラゴあ周凝)
@なぜまわるかについて教師の
@ 電磁誘導現象に気
Eフレミンゲの右手,左手の法
タ際の電動機の内部を観察する。
@ (全,班)
@固定子(コイルと鉄心)
d動機とアラゴの円板を対比し,
(全)
i全)
oフレーミン O右手,左 閧フ法則の 燒セ図 B電動機
@(内部がみ ヲるコンデ
@ンサのつい・
@たカットー
@モーターま スは,分解
@されたもの)
をして,その説明ができるように
@なったことにふれ興昧をもたせるQ E :7レーミング右手,左手の法則
ヘ,かんたんに説明し,電磁誘導 サ象に気づかせるていどとし,あ ワり深入りしない◎
k註〕「磁界」,r電磁誘導」などに ツいては3年理科で学習するため [入りしないでよい◎
掾@2つのコイルの一方にコンデン
@サを取如つけ.同時に交流を流す
@と,アラゴの円板の磁石を動かし
の対比に:よ
アラゴの円板 電 動 機 たと同じような働きをすることに 鉱構造と回
]原理につ
「て知る。
・磁石を動か キ。
B円 板
02つのコイル フ一方にコン fンサをつけ 流を流し,
@個転磁界」
@をつくるQ E回転子
気づかせ,「回転磁界」というこ ニばをかんたんに説明する。
一5 5 一一
(第5時)
◎電動機の性 1.電動機の性能を知るためにはど ・図表または 。銘板に書いてあることの中には,
能を調べる うしたらよいか考える。 (全) TP 生徒に理解しにくい点が多いので,
方法を知る。 ・ 電動機の銘板を調べる。 銘板にか それらを負荷試験をすることによ
・ 負荷試験をする。 いてある って調べてみることを話す。
a 電動機の負荷試験をする。 内容 。数量的に電動機を調べる方法であ
(教師実験) ◎負荷試験装 ることを話す。
。電動機の負 (1)電動機を回転し測定する。 置 ・ 実験の配線図
荷試験の方法を知る。 。電圧E〔v〕 (全) 。電動機。電力計 A W
電圧1〔A〕 (100V, → 〉
凹
電力P〔W〕 5A,0.5 → 3 回転数N〔rpm〕 kW)
荷重W〔塘〕 ・電流計
周波数f〔Hz〕 (AC 5A)
電動機の磁極数P ・電圧計 o 測定にあたっては,全負荷,
去
プーリー半径r〔m〕 (AC100V〜 負荷,無負荷程度とする。
。電動機の特 (2)計算をしてつぎの値を出す。 ・回転計 。 それぞれの値については簡単に
性計算に:つ (班) (1.500rpm) 補説する。
いて知る。 。 すべりs〔%〕 ・回路計 トルクτ〔N・m〕 ・ばねばかり
出力Po〔W〕 (4k9) 。 実際に電動機を使用するときは 力率〔%〕 oベルト 負荷をかけた状態であることに気
。電動機の性 効率〔%〕 。プーリー つかせ,電気エネルギーを機械工 能や取り扱 3.負荷状態によって出力Poの値 ・学習カード ネルギーに変えていることを知ら い方につい などが変ることから電動機の性能 せるQ
て知る。 や使用上の注意を考える。(全)
(第6時)
1.電動機の種類と用途について調 。学習カード 〔註〕 電動機の種類と用途は、 事 べてきたことを発表し,全体でま 前に生徒各人の課題として診く◎
。単相誘導電 とめていく。 (全) 。 できるだけ実物を運転してみて,
動機の種類 (1)単相誘導電動機の種類と用途 。各種の単相 特徴と用途を説明する。
と用途,整 についてまとめる。 誘導電動機 ◎ 家庭で多く使われるア, イに:重
流子電動機 ア コンデンサーモータ……… 点を蒔いて指導する。
の特徴と用 イ コンデンサ始動型………
途を知る。 ウ 分相始動型………
エ くまどリコイル型………
オ 反発始動型………
(2)単相整流子電動機の特徴と用 。単相整流子 ◎ 特徴に応じて用いられているこ 途についてまとめる。 電動機 とにふれ,使用上の注意を説明す
ア トルクが大きい る。
イ 構造が複雑で音が大きく値 一56一
ね ら い 学習内容及び活動 教具・資料 指導上の留意点
。三相誘導電 段が高い。 oジューサま
動機,直流 (3)三相誘導電動機の特徴と用途 たはミキサ ・ 工:作機械左どに多ぐ使われてい 電動機,同 についてまとめる。 る電動機であることを説明し実物 期電動機の ア 構造が簡単,安価,故障し を見せる。
弊徴と用途 に:くい ・各電動機の (木工機械,金工機械なども参考 を知るQ イ 三相交流電源が必要である。 実物 にする)
(4)その他の電動機についてまと
める◎
ア 直流電動機の特徴と用途 。 直流電動機はスピードのコント イ 同期電動機の特徴と用途 『ロールが自由にでき,さらに電車 などに使われている直巻電動は始
・電動機のう a 電動機のうつりかわりの説明を 動トルクが大きいことにふれる。
つりかわり 聞く。 (全) 。 同期電動機はつねに一定速度で について知 直流電動機一同期電動機一三相誘 回転することを澄さえる。
る。 導電動機一単相誘導電動機 ・ 電動機の発明,発展の歴史をか んたんに述べ,蒸気機関車と電車,
自動車と電気自動車にもふれてま とめとする。
〔註〕「学習内容及び活動」の欄内で,(全)は全体で,(班)は班ごと,(個)は個人で学習することを示 す。
§3.指導計画案と問題点
電動機指導上の問題点,困難点① ②を少しでも解決しようとし,前記指導計画案が立てられた。さら にもう少し詳細にこの案を検討して赴く。
1.指導計画配当学年と配当時間について
この指導計画案は第2学年の最後の時期に実施するための計画である。したがって,それまでには,回 路計,屋内配線,螢光灯などの学習が終了していることに『なる。電気領域はすべて第3学年に移し,増幅 器などまで連続して指導すべきであるという意見もあるが,それらの検討は別の機会に譲り,ここではと
りあえず現行実施されている形を踏襲することにした。
配当時間については,他領域との兼合いから,電動機指導に:のみ多くの時間を裂くことはできないQ現 在では平均・輔位①の励であるが,ここでは6時間伽として詣導内容砂し深くしてみた。ただ,
時間不足で6時間扱いが無理kときには,第5時間目の電動機負荷試験(1時間扱い)のところを省略し て5時間扱いの指導計画にすることも止むを得左いが,電流計だけでも接続して電動機に負荷をかけ,そ の状態を観察させることは,教師実験としてやって見せる必要があろう。
Z 電気洗濯機用電動機について
電気洗濯機に使われている電動機は,コンデンサランモータが普通である。しかし,古い電気洗濯機に
一一 57一
3本出ているものと4本出ているものとがあるので,その区分けをして使用する必要がある。ここでは,
その中でも多く使われている3本リード線コンデンサランモータを数多く集めることにした。もし班分け を8班とすれば,8台以上が必要になり,1台は電動機とスイッチ,タイマーなどの部分だけを取出して,
機構的部分を観察させたいし,他の1台は教師が説萌したり負荷試鹸をするためにも欲しいし,さらに違 転でき憎くkつた電動機があれば分解してit5・・Viて,内部構造を理解させる手助けにしたいから,けっきょ
く10台位は必要になってくるのである。
3.アラゴの円板装置について
電動機の初歩的原理を指導するために,アラゴの円板装置が欲しいし,できれば各班ごとに生徒自身の 手で実回してみたいので,これも8台以上用意したい。しかし,既設の装置は高価であるし,あるいは不 備なこともあって,台数を揃えるのは容易ではない。軽い円板で軸受けの摩擦が少左く,強力な磁石 を必要とする装置であるため,我々は,古物の積算電力計を分解し,アルミニn. 一ム円板とその支持 部分だけを利用することにし,また磁石はスピーカの古物から円筒形の小形磁石を取b外し,磁石2個を
軟鉄板で馬蹄形に連絡して使用してみた。磁石間の距離をできるだげ息づけて利用すれば,円板がなんと か動いてくれるため,電磁誘導現象の観察ができるようになる。古物の積算電力計やスピーカーが入手で
きないときには,教師実験に切換えることも止むを得ないであろう。
4.電動機の負荷試験につhて
これには,電力計(10eV,5A, O.・5 kW),電圧計(100V),電流計(5A),回転計(
1,500rpm),ばね秤(4㎏)など・各種の測定器具が必要になってくる。電気洗濯機に洗濯物を入れて 雄魂をかけてみても,電動機の電気的特性や負荷された状態左どは,明確iではないし理解しにくい。その ためできれば1.5級ていどの計器類でよいから揃えられるだけ揃え,悪くても電流計だけは用意して負荷 試験をすることが必要である。な澄,これらの計器類は,他への利用も可能である。
この負荷試験は教師中心の実験であるが,何人かの生徒代表に各種計器を読みとらせたb,各班ごとに 特性計算をさせてみたりして,生徒を参加させながらまとめる必要がある。ただ,この計画案通りに実施 するか,もう少し省略するかは,前述のような指導計画時聞や施設,設備などとの関連もあって,担当教師 の判断にまかされる部分の多いところである。
5. 2現象オシログラフと各種電動機について
これらの機器も,前項と同じように,中学校に品物がある左ら,どんどん利用することを考えてみて欲 しい0
2現象オシログラフは一部の中学校にしかないようであるが,2つの交流の位相の違いを直観的に把握 させるには,とても便利な測定器なので使用してみることにした。
また,カットモー一・B,展開式電動機,その他各種の電動機は,相当数持っている①ようであるから,こ の指導計画案では,後半の部分にこれらの電動機を活用するようにした。
導入段階では,生徒の身近かにある実物の電動機(ここでは電気洗濯機用のコンデンサランモータ)か
一一T8一
ら入り,実物の概念を把握させてから,アラゴの円板や展開式電動機などを利用して,その構造,原理を 指導したい。
また,各種電動機もできるだけ実物の運転を中心にして,その種類や用途を説明するようにしたい。も ちろん掛図やスライドなども併用して,生徒の理解を助けるようにしたい。
6.電動機の技術史的扱いについて
発明,発見の歴史は,生徒にとって興味,関心が深いばかりではなく,技術教育にとっても重要な意義 を含んでいる。中学校段階で「技術!£1という系統立てた指導は無理であろうが,機会があるたびに指導 内容へ含ませて,技術の発達と人間社会との関連をつかませる必要がある◎
電動機の場合も,「アラゴの円板」の発見(1824年)やrファラデーの電磁誘導」の発見(183 1年)から今日の誘導電動機が生まれてきたことに関心を持たせ,さらには直流電動機や交流整流子電動 機,そして各種の単相誘導電動機などの種類や用途にまで,思考を発展させる必要がある。
さらには広くエネルギー変換機械として,各種の原動機を考えさせ,その中で電動機はどのような役割 を担い,どのよう左変遷をし,これからどのように利用されようとしているのかなど,広く人聞社会との 結びつきを学習させる必要があろう。
§4. ま と め
中学校段階では,生徒の日常身近かに存在する教材を利用して学習を展開することが望ましい。工業高 校ftどでの学問体系的学習とは,時間上,施設,設備上などいろいろの面から八一ってぐるのは当然であ ろう。例えば工業高校では誘導電動機といっても三相誘導電動機が中心であるし,それ以前にも電磁気,
交流理論,三相交流左どの学習をしているし,直流電動機や同期電動機,交流整流子電動機などについて も学習し,単相誘導電動機については,三相誘導電動機の特殊な形として学習するにしか過ぎない。した がって中学校段階では,理科学習との関連や,時問上の制約などもあって,電動機の構造や原 理に深入りできないことは明らかである。しかし,構造や原理についてぜんぜん学習しなくて よいわけではなく,必要最低限にしぼって軽く学習する必要がある。それは,単相誘導電動機 の理解に必要なばかりではなく,電気機器の保守,点検や他の電動機へ学習を発展させるため
にも必要なのである。
この指導計画案は,生徒の身近かにある電気洗濯機用電動機の回路学習から入り,運転や反転も生徒自身 に実施させ,興味,関心を高めて鉛き,そこから構造,原理に入り,負荷試験もやり,各種の電動機にも ふれ,その間に電動機発展の歴史も扱うなどe盛沢山の形になっている。したがって,場合によっては,
指導計画案の一部組換えなども起きるであろうし,一部省略しなければ左らkくなるかも知れ左い。それ らについては,この指導計画案を実践してゆきながら詰めることになっている。その実践結果については 次の機会に発表したh。
参 考 文 献
①新妻陸利「電動機教材の研究」19γ4茨城大学教育学部教育研究所紀要第7号
②新妻,五頭「電動機指導についての一研究」1975日本産業技術教育学会誌18号
③文部省「中学校指導書技術・家庭編」昭和45年
一一一 5 9 th
高木純一 「電気の歴史」 オーム社 昭和49年 電気学会 庵気工学ハンドブック」 昭和46年
坪島・中村 「モータ活用マrユアル」 オーム社 昭和49年
産業教育研究連盟 「技術教育」 国土社 昭和43年〜昭和50年各号
一6 O一