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風力発電事業にかかる景観紛争リスクを軽減するための研究

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Academic year: 2021

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北海道大学 大学院農学院 修士論文発表会,2016 年 2 月 4 日

風力発電事業にかかる景観紛争リスクを軽減するための研究

環境資源学専攻 森林・緑地管理学講座 花卉・緑地計画学 狭間 倫哉

1.はじめに

再生可能エネルギーへの転換が進む中,特に風力発電は世界的に導入が進んでいる。一方,騒音 や景観の悪化,環境への悪影響などを要因とする環境紛争も報告され,事業者や住民に大きな時間 的・精神的負担が生じていた。特に景観への悪影響は国内外で指摘されているが,日本のガイドラ インにおける景観への対応は十分とは言えない。本研究では景観紛争リスクを軽減させることを目 的として,風車のある景観の好ましさを左右する要因について明らかにした。

2.方法

北海道において,風車との関わりが異なる 5 つの地域(寿都町・石狩市・稚内市・岩内町・札幌 市手稲区)を対象に,風車に対する景観印象評価実験ならびにアンケート調査を行った。アンケー トでは「風力発電に対する考え方」「回答者の属性」を把握した。

3.結果と考察 1) 景観印象評価

全体として,風車が存在し距離が近しいほど好ましさは低下する傾向が見られたが,その程度に は差が見られ,特に寿都町では近景に風車がある写真を好ましく評価していた。一方,過去に環境 紛争の経験がある手稲区では,風車の存在が好ましさを大きく低下させる要因となっていた。

2) 風力発電に対する考え方

回答項目を用いて因子分析を行い,その因子得点を基に階層型クラスター分析を用いて回答者を 分類したところ,風力発電に対して「期待と不安」「無関心」「肯定」「否定」の 4 群に分類された。

寿都町では「肯定」群が他の調査地よりも多く,石狩市と手稲区では「否定」群が他の調査地より も多く占めていた。寿都町では町営風車の売電利益が住民に還元され,石狩市・手稲区では過去に 環境紛争の経験があることがその理由として推察された。また稚内市では「無関心」群が他の調査 地よりも多く,岩内町では「期待と不安」群が他の調査地よりも多く占めていた。稚内では住民が 大規模な民間風車群に慣れていること,岩内では現在進行中の事業計画に住民の関心が高まってい ることがその理由として推察された。

3) 景観の好ましさを左右する要因

風車のある景観の好ましさについて,「考え方」「調査地」「属性」を独立変数として重回帰分析を 行った結果,「大気・水質・土壌への影響」「騒音」「景観に与える影響」「観光資源としての期待」

という考え方や,「手稲」「寿都」という調査地が,景観の好ましさに影響を与える要因として選択 された。

4.まとめ

本研究より,風車のある景観の好ましさを左右する要因として,風力発電に関する知識や情報,

風車の運用形態,環境紛争の経験の有無などが抽出された。したがって,景観紛争リスクの軽減に 向けては,立地選定段階では住民の不安や疑念を払拭できるような適切な情報提供と合意形成を,

建設段階では地元企業との連携を,運用段階では市民に便益を還元できるようなシステムの導入が それぞれ求められる。

参照

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