〔研究報告7〕
小 岩 信 竹
青函圏経済 開発計画前史
‑ は じめに
平成3年 8月22日付の青森市発行の東奥 日報紙 は翌 日の青函 シンポジウムについて報 じつつ、青 函圏交流の経過 を次のように論 じている。
国 としても、青函 トンネルで結 ばれた本県 と北海道南 を特別の圏域 として とらえた。青函 トン ネル開通前の昭和六十二年、国土庁の第四次全国総合開発計画 (四全総)が閣議決定 されたが、
その中で多極分散型の国土づ くりの一環 として既存のブロックを超 えた経済文化圏をつ くってい こうと 「青函インターブロック交流圏構想」を提起 した。
青函インターブロック交流圏は、仙台 と札幌の中間地点である青森一函館に、北の第三の経済 文化圏を形成 しようとするものである。国土庁だけでな く、農水、林野、水産、通産、運輸、郵 政、建設 といった省庁 も一緒 になって平成元年度、二年度 と調査 を行い、 これに基づいて今後 ど のような事業 を推進すべ きなのか、公共投資の総合的な整備計画を策定する運びだ。
国の計画に呼応 して本県 と北海道 は、交流圏の地元 として六つのシンボル事業 と七つの交流プ ロジェク トを進めてい くことを既 に決めている。 シンボル事業 は①観光物産フェア② スポーツフ ェスティバル③芸術文化祭④青少年交歓会⑤ トンネルウオーターなどである。
また、交流プロジェク トは①広域観光圏形成②教育文化交流の推進③海洋開発④先端技術産業 開発の推進⑤国際交流拠点の形成⑥複合高速交通ネッ トワークの形成一などである。(1) 青函圏に関わる経済開発が文化面 をも含めて、全国総合開発計画の一環 として組み込 まれ、地域 側の計画 と合わせて推進 され ようとしていることがわか る。 ところで、 これまで全国総合開発計画 とその内容 については、賛否入 り交 じる議論が行われて きた。例 えば、昭和44年に策定 された新全 国総合開発計画に始 まる陸奥小川原湖地域開発 は、未だに激 しい議論の的 となっている。(2)
第二次世界大戦後の日本経済 にとって敗戦か らの復興の過程での経済計画や池田内閣の所得倍増 計画など政府が立案、指導 した経済計画が果たした役割 は大 きいが、そのような経済計画 とならん で、国土総合開発計画の立案 と実施が経済的に重要な役割 を果たした。 この国土総合開発計画 は、
昭和25年の国土総合開発法の制定にはじまり、昭和30年代以降、全国総合開発計画、新全国総合開 発計画、第三次全国総合開発計画、第四次全国総合開発計画の策定へ と進み、今 日に至っている。
また、北海道 に関 してはこれ らと別 に北海道開発庁が活動 している。 これ らの施策 は府県や市町村
をも巻 き込む大規模 な ものであ り、その内容が どのようなものであるのか は地域経済 に大 きな影響 を及ぼ した。 それで は、全国的な総合開発計画に組み込 まれることの意義 はどのような ものなのか、
また、青函圏に関わる経済開発が、全国的な、 また地域的な経済計画の中で どのように位置づけら れて きたのか。 これ らの問題 は、過去の青函圏開発の実績の評価及び今後のこの地域 の経済問題 を 考 える際の前提 として重要である。本報告 はこの間題 を、国土総合開発法の成立過程 をた どりつつ 考察することを課題 としている。 もとよ り、青函圏の経済関係の緊密さは近世以来の ものであ り、
人的、物的交流が活発であった。 その交流の中には、戊辰戦争直後のように青函圏が一体 として青 森県の県域 に含 まれていた時期や、北海道開拓使が活動 した時期の もの もあ り、その影響 は今 日で も兄 いだす ことがで きる。 しか し、 ここでは現代の青函圏経済開発の直接の前史 を探 るために、明 治初年の青函圏開発 にまではさかのぼ らず、国土総合開発法制定の答申を行 った総合国土開発審議 会の発足時点か ら考察 を始めたい。(3)
二 総合国土開発審議会の発足
第二次世界大戦後の総合国土開発計画の策定 は、昭和24年の総合国土開発審議会の設置 とそこで の審議 に始 まる。 この審議会 は当初 は会の運営に関する規定 を持たなかったが昭和24年6月18日に 開かれた第四回の審議会で次の規定案が示 された。
総合国土開発審議会章程案 (二四、六、一八)
第‑条 総合国土開発審議会 は、内閣総理大臣の諮問に応 じ、わが国土の総合開発 に関 し、調査 審議 をする。
審議会 は内閣に設置する。
第二条 審議会 に会長一人 、委員若干名 を以て これを構成す る。前項の構成員の外、必要ある場 合 には、臨時委員及び専門委員 を置 くことが出来 る。専門委員 は後記の範囲 とする。
第三条 会長 は必要ある場合、小委員会 を設 けることが出来 る。
第四条 審議会 に事務局 を置 く。事務局 は審議会 に関す る事務 を司 る。
第五条 審議会の会議 は、 日時、場所及び議案 を定め会長が これ を招集する。
委員三分の一以上の要求があった場合、会長 は何時で も会議 を招集 しなければならない。
第六条 審議会 の会議 は会長が議長 とな りその議事 を総理する。会長 に事故 あるときはその指名 す る委員がその職務 を行 う。
第七条 審議会の会議の議事 は出席委貞の過半数で これを決 し、可否同数の ときは、議長の決す るところによる。
第八条 審議会事務局 は議事の経過及び議決の結果 を記録 し、 これを保管す る。(4)
‑ 152‑
この後 に記 として総理府、地方 自治庁、経済安定本部、建設省、農林省、通商産業省、大蔵省、
運輸省、厚生省、文部省、電気通信省、労働省の関係局長が列記 されている。なお、 この議案が審 議 された第四回の審議会の出席者 は、次の13名であった。会長 の庄司一郎 は欠席であ り、 また村上 委員のように他 にも欠席者がいた。
出席者 (13名)
北村一男 大西英一 鈴木清秀 飯沼‑省 内海清温 大山松太郎 諸戸北郎 山崎匡輔 大原総一郎 鈴木雅次 荷見 安 富森吉次那 瀬戸角馬(5)
このほか西野入事務局長が出席 している。 さらに昭和24年 8月20日の第八回総合国土開発審議会 か らは、石原福島県知事 と岡田新潟県知事 の二名が新たに委員 として加わった。 また、上の章程案 については飯沼委員の次の意見が述べ られ賛成 を得た。
・・・原案の第‑条、第二条 ・・・これはすでに閣議決定 になった ものであ りますか ら、 これ はな くて もいいので はなか ろうか ・・・その他の第三条以下の条文 は多少入替 えまして、第五条 を第一条 とし、第五条即 ち 「審議会 の会議 は日時、場所及び議案 を定 め会長が これを招集する、
委員三分の一以上の要求があった場合、会長 は何時で も会議 を招集 しなければな らない。」、 これ が第一条、第六条の 「審議会の会議 は会長が議長 とな りその議事 を総理す る、会長 に事故あると きはその指名す る委員がその職務 を行 う。」これは第二条がいいので はなか ろうか、第七条の 「審 議会の会議の議事 は出席委員の過半数で これを決 し、可否同数の ときは会長の決するところによ る。」、 この第七条 を第三条 とす る。それか ら原案の第三条に 「会長 は必要 ある場合、小委員会 を 設 けることがで きるとい うような意味の規定 を新 しく第五条 としてそ こに入れたな らば、そ こで 審議会の会員がだんだん審議会 に附設 される専門委員 というような ものが一纏 まりにな りますか ら、そうすることが順序が大変 いいのではなか ろうか、それか ら事務局関係の規定 をその次 に纏 めまして、即 ち原案の第四条 ‑ ・を第六条 とし、原案の第八条 ‑ ・を第七条 とす る。(6)
この審議会 には、多 くの政府 の要人が現われ重要問題 についての報告 を行 っている。昭和24年 6 月18日の第四回の審議会には野田経済安定本部副長官が参加 し、次のような復興五 力年計画の説明
を行った。
この経済復興計画委員会 という委員会 はこれは極 く非公式 な委員会であ りますので、五月一杯 で一応 この報告 を出 して解散 しまして。六月か らは復興計画審議会に切替わって新 たな機関にな るということに相成 っているのであ ります。併 し一応 この報告が出 ましたか ら、仕事 としては一 応 の きりがついたわけであ ります。現在 この報告書 を指令部 に出 しまして発表の許可 を申請中な のであ りますが、 まだ許可が来てお りません。許可が出 ますれば、審議会の方か ら総理大臣あて に正式 に報告 をして、同時に発表 しよう。 こうい うふ うに考 えているわけであ ります。 こちらの
国土開発審議会 との関係 は、村上委員が この復興計画委員会 の方で農業関係の部会長 をしてい ら れた というような関係があ りますので、 まあ村上委員 を通 じまして こち らとは一応の連絡が ある とい うことになっているのであ りますが、 こち らとの関係か ら申します と、五 力年計画 を実施 に 移 します際 に、いわゆる地方計画 との交渉が生 じて来 るわけにな ります し、その点 を考 えなけれ ばな らん と思 うのであ ります。要するに地方計画 を地帯別 にす るか、府県別 にす るか とい うこと にな ります と、 こち らで‑つ御審議 を願わなければな らんのだろうと考 えてお ります.今後 とも 国土開発審議会 とは密接 な提携 を取 りまして御援助頂 きたい というふ うに考 えてお ります。(7) この説明か ら総合国土開発審議会が政府が立案す る経済計画 と地方での計画 との調整 の問題 を審 議す ることを期待 されていた ことがわか る。 また、第五 回の審議会での内海委員 の次の発言か ら、
審議会設置の一因が推測で きる。
・・・今鉄道電化 とい う問題が相当大 きな問題 になってお ると思 うのです。 とい うのは日本の 石炭の増産 とい う問題が大体限度 に来ておる。 そ こで石炭 に代 るもの は何か と言います と、勿論 電力である。・‑ 鉄道 を電化す ることによって鉄道が今使 っておる石炭が浮いて来 る。 これ は一 種 の石炭の増産 になる。‑ ・日本が大 きな手 を打つ とすれば、 この鉄道電化 よりも大 きな手 はち ょっ と考 えられ まい とい うような ことか ら、運輸省 の方では国鉄審議会で、 この電化 をや らなけ ればな らん とい う結論 に達 しておるし、安本の資源調査会で もあらゆる観点か らこの石炭の合理 的使用 とい う間者 を取上 げて、その結論 として鉄道電化 を国策 として取上 げて急速 に電化す るよ
り外には経済復興 の最 もいい方法 はない とい うような結論が出 まして、 これを安本長官か ら総理 大臣に勧告 しておるわ けなんです。 この審議会がで きた一つの動機 に、 それがなってお るように、
この間官房次長か ら、安本の資源委員会か ら総理大 臣宛 に勧告案が出て、 それを どう一体取扱 っ ていいのかなかなか分か らん。 そういうような問題 もこの審議会で取上 げて どうす るか、電化問 題 はどうした らいいか とい うような ことも、 ここで審議 して貰 いたい と言ったような気持が総理 にあって、 この審議会がで きた。 その外 にも沢山あるで しょうが、 この鉄道電化 とい う問題 の総 理大臣に対す る勧告案が出た とい うことが、 この審議会 を作 る動機の一つになっておる とい うふ うに聞いておるのですが、そういう意味で、 この委貞会で鉄道電化 とい う問題 を一度聞かれた ら どうか、 こうい うふ うに考 えるのです。(8)
さて、 この ように総合 国土審議会 は重要問題 の審議 をか さねつつ も、主要な課題 の一つ は、国土 開発のためのあるべ き機関や、その性格 についてであった。 その ことは第二十回の審議会での増 田 官房長官の次の発言か らも知 られる。
それで は御挨拶 申上 げます。‑ ・国土開発審議関係の法律 は、是非 ともこの国会 には提出 した い とい うわ けで、私 の手許 で皆 さんの方の代表者 と共同審議 をいた してお ります。先 だって次官 会議 にか けましたが、 まだ事務局 を誰がや るとい うような ことで非常 に争いがあ りまして審議会
‑ 154‑
自身 は皆賛成 なんですが事務局 を誰 にや らせ るか ということで争 いがあ りまして、 まだ纏 まって お りません。私が折衷案 を出 してお ります。 ‑ ・ (9)
このような問題 の存在のためか、審議会で は、第二次世界大戦前の日本事例や諸外国の事例 の研 究 もお こなっている。 このような問題 について、企画院や内務省、経済安定本部 などで勤務 した経 験 を持つ酉水孜郎国会図書館支部図書館長が招かれて次のような報告 を行 っている。
我が国の国土計画 と申します と、昭和十五年 に第二次近衛内閣の ときに閣議決定 によって国土 計画 を取上 げたので ございます。 その ときに国土計画設定要綱 とい うものが一応決定 になってお
りましてその事務の機構及びその運用の ところを見 ます と
一、国土計画 は内閣総理大臣の主管 とし、 その事務 は企画院をして掌 らしむ。
二、内閣に官制 による国土計画委員会 を設置 し国土計画の策定並びに運用に関する諮問機関たら しむること。
三、各庁 は国土計画の策定に参画 し、 その所管 に従い、計画の内容 たる事項 の調査計画、実施 を 掌 る。内閣総理大臣は各庁 の行 う事業 につ き国土計画の運用上必要 なる統轄 を行 うことを得 る
もの とす ること、地方計画 について も内閣においてこれを統制す る。
四、各庁 に設置世羅れある各種会議、調査会委貞会等 は、必要 に応 じ国土計画委員会 と密接 なる 連絡の方法については別途考慮する もの とする。
こうい うふ うなことが一応規定 して ございます。00)
もっ ともその仕事ぶ りについては酉水 は次 のように説明 している0
十六年 に出発 しましてか ら間 もな く大東亜戦争が始 まりまして。 その当時、御承知か と思いま すが、東大教授 をしてお られた田辺先生が主宰 されて始めた仕事で ございますが、基本的な資料 を集 めたい。実際の調査 をや りたい。 こうい うととをお考 えになって、百ページ くらいの調査項 目とい うものを作 ったことが ございます。uV
酉水 はこの後、調査 は打ち きられ、案の策定が求 められ、大東亜計画や瀞海国土計画などがつ く られた ものの実際には殆 ど使われなかった ことなどを述べている。 また酉水 は、アメ リカの総合開 発 など諸外国の例 について も述べている。 この審議会 の設置 とそこでの審議の必要性 に関 しては次
の増 田官房長官の説明のような事情 もあ った。
それか らもうーっ、 これは外資導入 その他の関係で、急速 に総合国土開発 を具体的に立てる必 要 に迫 られ まして、先般来事務局長 な り皆様 と相談 をいた しまして、各府県に急速 に、その府県 の総合開発計画 を立 って欲 しい。 そうして中央へ月末 くらいまでに送 って欲 しい という通牒 を、
昨 日、今 日あた り執行 しておると思いますが、出 しました。 それを取纏 めて総合国土開発計画 と い うものを、一応プランで も立 てたい と思ってお ります。Oか
各都道府県が作成 したプランを総合 しまとめるのが この審議会の課題であるとい うことである。
例 えば日本の電力全体 を千二百万 キロワッ トなら千二百万 キロワッ ト出す必要がある。 こうい うようなことにな ります と、それを各川なら川へ割当てまして、 この川ではどれだけ出す、あの 川な らどれだけ出す とい うような、下か ら上 まで一貫 した計画 を立てる、又各道路の改修 はどう い うふ うにしたい、治山の関係 はどうしたい、治水の関係 はどうしたい、た とえ五兆な ら五兆か かって もいたし方ない。そういうような案 を得たい というのであ ります。03)
電源開発問題、外貨事情、都道府県の境界 を越 える地域的な経済開発計画樹立の必要性、 これ ら が総合国土開発審議会 を発足 させた背景であることがわかる。全国的な、経済問題解決のための施 策 として、国土総合開発計画 は出発 した と言 える。
三 総合国土開発審議会の審議
総合国土開発審議会 は委員のほかに時 に応 じて各省の関係者 を招いて審議 を行 った。その審議事 項 は多岐 にわたるが ここで は比較的にまとまった原案 を持 った審議事項 について経過 を振 り返 って お きたい。昭和24年 8月20日の第八回の審議会で電源開発についての審議が行われた。審議の原案 は大山委員 を委貞長 とする特別小委貞会 で作 られたもので次の ものであった。
一、電源開発の必要性
平和 日本再建 の道 は、 自立経済 を確立 し、民生の安定 を期す る以外 にな く、そのためには動力 と燃料の確保 を先ず第一 に図 らねばな らない。石炭、石油等、資源の賦存乏 しきに拘 らず、幸 に わが国は豊富な水力資源 に恵 まれているか ら、 これ を急速 に開発 し、現在 も尚電力不足のために 悩みつつあるわが国鉱工業生産 を増強 し、復興 の促進 を図るべ きである。
二、電源開発資金の調達
現在 における電源開発の陸路 は資金である。現行の低料金 の下 においては、資金の自己調達 は 極 めて困難であ り、一 に見返資金 の投下に侯つ以外 にな く、 これが積極的促進 を図る必要がある と共 に、電気料金の適正 なる値上 をも実現 し、電気事業が企業 として健全 に自立 し得 るようにす べ きである。尚電源開発のための外資導入 については考慮 の要がある。
三、電源の合理的開発
(j) 電源の開発 に当たって は治山、治水、利水、農地等、各種権益が錯綜 しているので、 これが 合理的な調整 を図 り、開発の促進 に関 し、遺憾 なき措置 を講ず る要あ り。
桓) 電源の合理的開発のため、既存資料 を利用するの外、開発地点の選定、開発計画の決定等 に つ き、新 たに徹底的なる調査研究 を必要 とす る。 よってこれ に要す る経費 については予算的措置 を講ずる必要がある。
四、開発の主体
‑ 156‑
(j) 電源の開発 は従来主 として 日本発送電株式会社が当たっていたが、今後 はこれに限定するこ とな く、一定の条件 の下 に一般 に解放 し、開発 を急速 に実現すべ きものである。
(ロ) 大規模電源の開発 について必要がある場合 は、国家的規模 による特別の開発形態 を考慮する。
Ul) 電気事業の再編成 は、電源の開発 に過渡的な混乱 を与 えるので、慎重 に考慮す る.
五、電力開発審議会の設置
電力開発に関す る重要事項 を調査審議 し、電力開発 の促進 を図るため電力開発審議会 (仮称) を設 ける要がある.uD
この原案 は‑の電源開発 の必要性が削除 され、代わ りに電源開発 についての意見 を付 し、 また、
字句の修正 をお こなうことを前提 として、同年9月3日の第九回の審議会 で可決 された。 また第九回 の審議会で は、次 の鉄道電化 に関す る答申案が、小委貞会 の委員長である山崎委員か ら紹介 され、
審議の結果、可決、承認 された。
鉄道の大規模 な電化計画 を樹立 し速かに実施することは国家の当面する問題である。
一、国有鉄道電化 の必要性
貧弱な資源的環境 にある我が国平和 日本 として自立す る為 には限 られた資源 を最 も合理的に利 用 して平和産業 の振興 に当 らねばな らない。電力 と石炭 は此の目的のために欠 くことの出来ない 二大原動力である。然 るに、我が国 は世界で も最 も石炭資源の乏 しい国であって、欧米 のように 石炭ベースの上 に産業 の構造 を築 くことは不可能 に近 いO
国有鉄道 は石炭産業 の二〇パーセン トに近 い ものを消費 し、 しか も機関車動力 として石炭 はそ の効率 は極めて低 い。仮 に三千四百 キロを電化するとして も、現行の石炭電力単価で は、年間八 十三億 円の経常費節減が出来 る、又電力単価が現行 の八倍、石炭単価が現行 の三分 の一の範囲に おいて も採算可能である。従 って石炭 はそれ を不可欠 とす る産業 にまわ し、車動力 としては最 も 効率のよい電力 を使用す ることは、わが国の下 においては、資源的に も、経済的にも、極 めて妥 当かつ緊要である。
二、国有鉄道電化 による効果
国有鉄道電化 によって利す るところは、節約 された石炭 を火力発電、セメン ト、陶磁器、人絹 パルプ、硫安生産 その他の化学機械工業等の輸出産業 に直接間接 につなが りを持つ ものに振 り向 け得 るばか りでな く、国鉄 自身の経営 に関 して も経費の節減輸送力の増大、サー ビスの改善 をも たらし、経営合理化 の方途 に役立つばか りでな く、延 いては低運賃政策 にも効果がある。国有鉄 道の電化 によ り、全国に電力網の普及 を促 し、農漁村 の電化並 に工業化 を助長す ることも看過 し てはな らない。又、鉄道電化工事 により自由労働者および熟練労働者 を直接に吸収 して、失業救 済 に若干の効 あるは言 うまで もないが、 これにもまして重要なるものは、 これに関連する車両、
電気機器、電線工業等諸産業の振興 と技術水準の維持向上 に役立 ち、間接 にその輸 出能力 を培養
す る効果があ り、 これに従事する高級労働者の吸収 を図ることが出来 る. (以下略)u5)
同年10月29日の第十三回の審議会では国土開発法の制定 に関す る答申が審議 された。 これ は飯沼 委員 を委員長 とする6名の委員 よりなる小委員会での審議 を元 にした ものである。審議の原案 は次 の ものであった。
国土開発法 (仮称)の制定 に関す る答申
総合 国土開発審議会 は、国土の総合開発 を図る方途 として、以下の理由によ り、別項の趣 旨に よる、 『国土開発法 (仮称)』の制定 を急務であると考 える。
‑、わが国土 は、いちじるしく狭小 となったのであるか ら、その高度の利用計画 を図 り、その保 全の全 きを期 し、諸般の施策 と相侯 って、直接間接各種の生産 を増進 し、人 口の収容力 を増大 し、
永久 に平和 で豊 な国民生活 の基盤 となるようにしなければな らない0
二、然 るに国土の利用、開発及び保全 の事業 は、一つの根本方策 に基いて総合一元的に行われる ときに真 にその効果を挙 げることがで きるものであ り、然 らざるときは往々にして、一方の損失、
目前の利益 は将来の損失 とな り、全体 として失 うところ多 く、ひいては国土の減耗荒廃 を来す こ ととなる。
特 に、 これ らの事業の多 くは、長 い年月 と、国民経済の少か らざる負担 によって成就 され、将 来 にわたって効果 を挙 げ又 は禍根 を残す ものであるか ら、所謂百年の計 に基 く根本方策 によるこ
とが必要である。
現状 は、国及び地方公共団体 を通ずる行政機能のいち じるしい分化 によってか 、根本方策 は樹 立 されて居 ないのみな らず、個別的な見地か らその事業が行われるため、その間に総合性統一性
を欠 き、従 って貴重な経費 は尚投ぜ られてない状況であるといわなければな らない。
三、従来 の中央集権的な国家構成 は、 この狭小 な国土のうちに、尚中央 に比 して多かれ少かれ後 進的な地方を残 して来た。 これ らの地方の積極的な振興発展 を図 ることは、真 に民主的に国家 を 育成す る重要な課題であって、国土の利用、開発及び保全 というも、その目標 の一つはここにあ るといわなければならない。各地方の状況 に応 じて、各種の産業が適正 に立地 されることが、地 方の振興発展の条件である。
現在地方において、か 、る機運 は極 めて原著 な ものがあ り、或 は特定の区域 により、或 は特定 の地域 により、或 は数府県にわたる。地方によ り、その振興発展 を図るべ き総合開発計画が熱心 に作成 されつ 、ある。然 るにこれ らは、国地方を通 じ、一貫 した計画の うちに包含 され、 これが 現実の行政のうちに着々反映 されて行 くとい う裏付 けを得ないため、徒 に机上 に重ね られるとい
う状況である。
四、以上 の弊 を打破 し、国土の総合的な利用、開発及び保全 を図 り且つ、産業等の適正 な立地の 促進 を図るためには。
‑ 158‑
‖ 国民の凡ゆる知能 を集中 して、国土の総合的な基本的な開発計画 を樹立する必要がある。
(I) この計画 は、国、地方 を通 じ、夫々の発展の調和 を目標 としなければならない.
Ej この計画 は、政府、地方公共団体又 は関係団体 に勧告 されて、 その各々の施策の基準 とな らなければならない。
榊 この計画 は、総合的なその実施 について、不断に推進 されなければならない.
(司 この計画 を樹立 し、その目標 を失わず、 これ を勧告 し、その推進 を図るため、独立 してそ の職務 を行 う機関 を設置す る必要がある。
囲 この機関 は、‑の国の機関 として国に、‑ は地方公共団体 の機関 として地方公共団体 (都 道府県)に設置 され、協同 してその職務 を行 うようにしなければな らない。
五、国土の総合的な開発 は、多年にわた り、長期の経費 の投下 によって成就 されて行 くのである か ら、前記の機能 は、一時的でな く恒久的な制度によって発揮 されることが必要である。qQ 同時に、次の国土開発法案 (仮称)要綱 もつ くられ、審議 された。
国土開発法案 (仮称)要綱 (二四、一〇、二九) 第一 日的
国土の総合的な利用、開発及び保全 を図 り、且つ、産業等の適正な立地 を促進することを もってこの法律の目的 とすること。
第二 国土開発計画
この法律で、国土開発計画 とは、第‑の目的を達成す るために必要な土地及び資源の利用、
開発及び保全並びに重要施設の配置等 に関する総合的基本的計画 をいうもの とすること。
第三 計画の作成
国土開発計画 は、都道府県の区域 により国土開発地方審議会が、全国の区域により国土開 発全国審議会がその現状 と将来の発展に関する周到且つ総合的な調査研究の結果に基いて、
これを作成するもの とす ること。
2 国土開発地方審議会 は、国土開発都道府県審議会又 は国土開発地方審議会 に対 して、国土 開発計画の基準 となるべ き事項及びその総合調整 を行 うため必要 と認める事項 を指示す るこ
とがで きるもの とす ること。
3 国土開発計画 は、情勢の変化 その他 に応 じて、随時、修正又 は再作成 されなければな らな いもの とすること。
第四 地方の設定
経済的、社会的又 は自然的に一体 の地域 として計画す ることが適当な地域で、二以上の都 道府県に亘 るものは、 これ を地方 として設定すること。
2 関係都道府県知事 は、国土開発都道府県審議会 に諮 り又 はその勧告 に基 き、協議 して、地
方 を設定するもの とす ること。
3 内閣総理大臣は、その必要があると認 めるときは、国土開発全国審議会 に諮 り又 はその勧 告 に基 き地方の設定 を、関係都道府県知事 に指示することがで きるもの とすること。
第五 勧告
国土開発都道府県審議会、国土開発地方審議会、又 は国土開発全国審議会 は、第三の規定 により国土開発計画 を作成 した ときは、その実施 について、 これを政府、関係地方公共団体 又 は関係団体 に勧告するもの とす ること。
第六 勧告の効果
政府又 は地方公共団体 は、第五の規定 による勧告 に依 り難い と認 めるものについて、 これ に依 らないでその施策 を行お うとそろときは、あ らか じめ、国土開発都道府県審議会、国土 開発地方審議会又 は国土開発全国審議会の意見 をさかなければな らない もの とすること。
第七 国土開発計画 に基 く特定事業
政府又 は地方公共団体 は、その効果がいちじるしい と認 めるときは、国土開発計画 に基 く 一定 の事業又 は一定の地域 における事業 を特定 して、その執行等 に関 し、特別の措置 を講ず ることがで きるもの とすること。
第八 公表
国土開発都道府県審議会、国土開発地方審議会又 は国土開発全国審議会 は、国土開発計画 を作成 した ときは、 これ を公表 し且つ、必要があると認 めるときは、政府、関係地方公共団 体又 は関係団体が、 とち及び資源 の利用、開発及び保全並びに重要施設 に関 して、為 しまた
は為 そうとす る事業又 は行政処分若 しくは計画決定等の状況 について、総合的な調査 を行い、
その結果 を公表 しなければな らないもの とす ること。
第九 政府、地方公共団体等の協力義務
政府、関係地方盆共団体又 は関係団体 は、国土開発都道府県審議会、国土開発地方審議会、
又 は国土開発全国審議会がその職務 を遂行することがで きるよう、 これ に協力 し、必要な調 査 を行 い、若 し くは資料の提出意見の開陳又 は説明 を為 さなければならない もの とすること。
第十 国土開発都道府県審議会及び国土開発地方審議会
都道府県 は、 この法律 に基 き、国土開発都道府県委員会 を置かなければな らない もの とす ること。
2 内閣総理大臣の所轄の下 に、地方 ごとに国土開発地方審議会 を置 くもの とす ること。
3 国土開発都道府県審議会又 は国土開発地方審議会 は、地方公共団体の議員、関係官公吏及 び学識経験 ある者一人以内をもって構成す ること。
4 国土開発都道府県審議会又 は国土開発地方審議会 に、事務局 を置 くこと。
‑ 160‑
第十一 国土開発全国審議会
内閣総理大臣の所轄の下 に、国土開発全国審議会 を置 くこと。
2 国土開発全国審議会 は、国会の議員、関係官公吏及 び学識経験 ある者一人以内をもって構 成す ること。
3 国土開発全国審議会 に事務局 を置 くこと。
第十二 その他
右の各号 に規定するものを除 くの外、 この法律の目的の達成 を確実な らしめるため必要な 事項 は別 に法律で定 めるもの とす ることouの
これ らは、二週間後 (同年11月12日)に開かれた第十四回の審議会 において採択 された。法案の その後 について は、昭和25年 3月25日の第二十二回の審議会での庄司会長の次の発言によって知 る ことがで きる。
・・・仮称開発法案のその後 の取扱い、経過について簡単 に御報告申上 げます と ・・・そこで 昨 日は午後四時 より閣議 において、私共の審議会案 を閣議の議題 として貰 う、 そういう日程 に入 れて貰 ったのでございますが、 その閣議が労働対策問題 その他 に長時間をとりましたために、昨
日の閣議 には上程 され ませんで した.多分本 E]の閣議の協議議題 になると存 じます.u8
また この 日の審議会では次の国土計画策定要綱が提案 され、審議の結果了承 された。
国土計画策定要綱
本計画 は今後凡 そ十五 ヶ年の期間 に達成すべ き諸 目標の総合的計画 とし、右計画中昭和二十九 年度迄 に達成せん とす る内容 (以下五 ケ年計画 と称す る)をも併せて記載す る。
一 計画の内容
今後十五 ヶ年の期間における日本の経済、社会状態 をして順調 な進運 を遂 げしめ、人 口の自 然増加量 は既設都市、農村及 び未開発地帯の開発又 は再開発により夫々吸収せ しめることを前 提 とし、人 口増加 に伴 い必要 な生産 の増強、生産 コス トの低減、国土保全、交通、文化、厚生 等の諸施設の整備計画 に付 いて、関係行政庁の企図する計画 を基礎 とし総合的 に作製する。
二 前項 の長期計画 はブロック毎 に施設の重点及び特性 を説明 し、長期計画の大綱 を鮮明にす る。
三 五 ケ年計画
五 ケ年計画 は昭和二十五年度 よ り昭和二十九年度 までに完成すべ き事業計画で国民の生活水 準が消費の面で昭和二十九年 までに昭和五年一九年の水準 に達すべ きことを一座の前提 とし且 つ二十九年 に於 ける人 口を就業 させ、海外市場 に於 ける経済競争 に耐 え得 るために必要な産業 の規模 と生産性 を確保す ることを目標 として各行政庁の企図す る経済計画及 び地方公共団体 の 意見 を照合調整 し、其の結果 を長期計画図に記入 し且つ之が調書 を作成す る。
四 計画書作成要領
計画書 は左記の通 り計画する施設の位置別数量及び事業費 をブロック別及び施設別 に集計 し、
右施設 を必要 とする計画説明書 を課 目別 に記載する。
‖ 計画図
1、計画図 は、五十万分 の‑及び百五十万分の‑ とし施設済み箇所、五 ケ年計画施行箇所 は長 期計画箇所 を色分記入す る。
2、計画図 は各課 目別 に作製 した上 これを土地利用、電力図、鉱産図、林産図、交通施設図、
民生施設図の七種 に総合する。
計画書
課 目別 に事業箇所別 に延長又 は数量及び施設別 に集計 し、 これ をブロック別及び施設別 に集 計 し、右施設 を必要 とす る計画説明書並 に右施設 による経済其他 の効果 を課 目別 に記載 す る.09)
この提案 は可決承認 され、 また審議会の中に多 くの専門小委員会が設 けられ、審議会のあ り方 も 変わった。即 ち、「・・・尚、今後の総会 は一定 日を予定 して申上 げておったのであ りまするが、当 分実際問題 として は、 この九つの専門委員会 をしょつ中開催 しなければな りませんので、全員のお 集 まりを願 ういわゆる総会 は、当分冬眠状態になると思 うので ござい ます。そこで必要な場合 は少 くとも五 日前 くらいにお知 らせ を申上 げることにいたしまして、当分 は今 までの定期の会合 日の集 まりはない ものと御了承 を願 って置 きます。専 ら九つの専門委員会 に遺進 したい と思いますので、
当分総会 はない もの と、御了承 を願 って置 きます。」 (庄司会長 の発言)伽 なお、 この時に決 められた専門小委員会の構成 は次の通 りであった0 第一、(河川、治山、治水、造林)
村上、諸戸、鈴木 (雅)、内海、岡田委員 第二、(農業、開墾、干拓、潅概)
荷見、村上、富森、志田、浜田、大竹委員 第三、 (発電、重要工業建設増強)
大山、大原、倉田、北村、石原、鈴木 (雅)、三鬼、弘世、内海、西村、浜田、岡田、大西、瀬 戸委員
第四、 (港湾 「海運」漁港 「漁業」修築) 鈴木 (雅)、志田、田中、松野、村上委員 第五、 (国際観光施設整備)
飯沼、永久保、富森、青木委員 第六、 (陸運鉄道建設電化)
鈴木 (清)、山崎、内海、三輪、志田、大山、松野委員
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第七、 (道路橋梁)
大橋、石原、松野、岡田、鈴木 (雅)委員 第八、 (都市住宅上水道)
飯沼、青木、石原委員 第九、 (鉱業)
三鬼、倉 田、大原委員伽
審議会が決 めた作成要綱 は各省の担 当者 の間で不評であったので、更 に詳 しい計画立案の概要 (莱)がつ くられた。 それ は次の ものである。
国土開発計画立案の概要 (莱) (昭和二十五年四月七 日) 第一 本計画の基本 目標
一、本計画 は今後十五 ケ年後 を計画の最終年度 として此の期間内に於いて 日本の経済社会状態 をして順調 な推進 を遂げさせ、十五 ケ年後 に一億〇〇、‑九二、〇〇〇人 に達するもの と推 定 され る人 口は之 を既設 の都市、農村 の振興及 び未開発後進地域 の総合的開発等 によって 夫々吸収せ しめることを前提 とし、 この人 口増加 に備 えて産業の高度化、特 に重化学工業 を 中核 とする工業の積極的拡充 と、貿易の振興等 を図るための国土の開発保全等に資する交通、
産業、文化、厚生等諸施設の整備 についての総合的国土計画である。
二、尚前記 の長期計画中昭和二十九年迄 の五 ケ年間 は之 を中間計画 として経済社会等安定諸状 態の速かな振興、災害の防止等 に重点 を指向 し併せて将来の建設の基本 となる重要問題特 に、
電源の画期的開発、未開発重要資源の総合的開発、交通網の整備等 について積極的対策 を講 ず るもの とす る。尚、その期間に於 ける国民生活 を消費の面で昭和五〜七年の水準 に達せ さ せ るもの とす る。
第二 本計画の内容 一、人 口の配分
都市農村の配分 は向 う五 ケ年間に於 ける復興の施策 に即応 して、一応戦前の正常状態にか えるもの とする。
爾後 は都市農村 の有業人 口配分 は別表 に示す通 り概ね五対五か ら六対四の割合 に向 うもの とす る。但 し京浜地方、阪神地方におけるが如 き人 口の不健全な集積 は極力之を防止 し、地 点産業の開発中小都市の振興 に努めるもの とする。
二、産業配置 (1)工業
a 重工業 は現状の立地 をつづけるもの とする。
b 化学工業、就中電気化学工業 に重点 を指向するか、その立地 は資源電力源の賦存位置 と近接せ しめる如 く配置す。
C 地方の特性 を尊重 しつつ既存工業の振興 を図るほか特 に北海道 ・東北 ・瀬戸内地方の 工業化 を図る。
(2)鉱業
優良炭の増産、硫化鉱 その他金属及非金属の増産 に対 し吾が国の自給度、海外 との取引 の難易等 を勘案 し、その増産 を図る。時 に石炭については将来 に於 ける供給可能量 を年最 大六、〇〇〇万頃程度 とする。
(3)農林業及び漁業
a 林業 については、現在の伐採量以内に止 め、山林 の荒廃 を防止 し、奥地未開発林の開 発 に努めるほか、極力植林 を促進する。
b 漁業 については沿岸漁業か ら沖合漁業 に重点 を置 き漁法の改良 に努める。
C 農業 については土地生産力の増大 に主力 を置 き開墾干拓 に対 して は経済効果の大なる ものを実施す る。
(4)その他
特 に貿易産業 を重視 し、過去 に於 ける輸出産業の有利性 と今後 に於 ける貿易対策を正確 に把握 して立地条件の整備 を図 る。尚海運の強化並に観光地帯 の整備 については貿易外収 支の増加 を図る等の観点か ら之 を推進する。
三、施設計画
交通、生産、文化、厚生等の各種施設 は人口の配分産業 の配置及び各種施設の総合 と緊密な 連繋の もとに、その優先順位 を考慮 しつつ計画の合理化 を図 る。本計画期間に於 ける公共施設 は国民所得の増進 によって生ず る国家財政力の拡大 と見返資金其の他の外資 を予想 し、当初五 ヶ年 に於ては国費 と見返資金 を併せて (七、五〇〇億 円程度)後期計画 においては同 じくして
(二兆円程度)を想定する。尚電力開発、鉄道建設その他重要なる基幹的建設事業 については、
国外 の資金の援助 により之が達成 に努めるもの とし、就中水力発電 に重点 を指向 し当初五 ケ年 間に最大出力 (一五〇万kw)後期‑ ヶ年同 じく (二〇〇万kw)の開発 を目標 とする。
(参考) 本計画の性格
本計画 は国土総合開発計画立案の概要第一項及び第二項の趣 旨内容 を一応の目標 とし、今後 十五年後 に一億 に達する人 口を国内に収容 し、国民生活の向上 と経済の自立 を図るため予想 さ れる諸政策 に対 し、国土 を最高度 に利用するための総合計画であるが、同時に今後確立 され る べ き国策 により更に検討補正 されて完成すべ き国土の総合的基本計画の第一次の目標試案であ
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る。 (以下、略)班
なお、昭和25年 4月24日の第二十五回の審議会で は、先に決め られた各部会の主査がそれぞれの 報告 を行 っている。 こうして、殆 どの省庁が関わ り、地方公共団体 をも巻 き込んだ国土総合開発計 画の基本的な枠組 みがで きあが っていったのである。なお、 この国土総合開発計画案が 目標 とした、
人 口及びその産業別割合 は表1の通 りである。
四 国土総合開発の出発
昭和25年5月の国土総合開発法の成立 により、国土開発が本格的に出発 した。 また同時に、国土 開発審議会が設 けられ、活動 を開始 した。昭和25年8月29日の第‑ 回の審議会 に出席 した吉田首相 は次のような挨拶 を行 った。
一言御挨拶 を申述べ ます。我が国が現在経済の安定 を図るに止 まらず、進んで積極的な経済 自 立対策 を推進すべ きときであ りますが、 これがため最 も緊要な ものの一つ として、先ず、戦後 の 荒廃 した国土の保全 を図 り、又国土及び資源 の合理化、効果的な開発利用 を期する総合的な国土 開発計画 を定 めなければな らん と存ずる次第であ ります。 もとより従来 において も、経済安定本 部、建設省、或 はその他の各省 にお きまして、それぞれの見地か ら国土計画の立案 に努力 し参 っ たのであ りますが、何分 にも問題が各広汎な部門に亘 り、内容が複雑多岐であ りますために、国 土計画の名 に価する真 に総合的な立案 は遺憾 なが ら未 だできてお らないような実状 にあるのであ ります。本審議会の設置せ られ ましたの も、 これ らの施策の策定又 は実施 に関する現行の行政組 織 の機能 を補 い、真 に総合性 を発揮するところに主なる目的があるのであ りまして、本 日ここに 諸君の御参集 を得て本審議会の発足 を見 るに至 りました ことは誠 に喜ばしい ことと存 じます。諸 君 は国土総合開発 につ きましては、おのおの専門のお立場か らして優れた御意見 をお持ちになる 方々であ りますか ら、政府 は本審議会が十分その機能 を達成 し得 るよう、諸君の適切 なる御協力 を衷心か ら期待するものであ ります。尤 も総合開発計画の内容 としては、我が国の国力の現状 を 十分考慮 に入れ られて、理想的の計画 と申す よりは、む しろ実施本位の計画 を立案せ られるよう に希望いたす次第であ ります。C3)
また この日の審議会で、地方の概況 について建設次官の中田委員か ら次の説明があった。
只今福島委員か ら、国土総合開発法 の内容 を‑亘 り御説明 され ましたが、 この法律 で要求 いた してお ります計画 は四つありまして、一つは国全体 に関す る計画で ございます。 これ は国におい て主 として立案するもので ござい ます。他の三つ はいずれ も地方か ら自主的な機構 において燃 え 上 る要求 と熱意 を織込 んで作 るいわゆる地方的な計画で ございます。従 いまして、今後 これ らの 地方的な計画 をやるために、 これ まで地方においてはどうい う状況 にあったか、 この総合開発法
表1産#別人口配分表 年次産業別1930年昭和5年1940年昭和15年1947年昭和22年1954年備考実数割合実数割合実数割合昭和5年比に依る配分昭和29年計画割合 総人口(万)6,445%(万)7.308%(万)7,810%(万)8,838(万)8,838%昭和39年度の有業人口を次の通り推定するo総人口10,019万 有就業者2,995対総人口3,410対総人口3,399対総人口3,9003,900対総人口 (46.5)(46.7)(43.5)(44.1)有業者4,400万内農林水産業者1,800万 有業者2,962〟3,410〟3,333〟3,9003,900〟 博打博打ト嵩」[%1‑)其の他2,600万 農林業1,41347.71.43642.21,71051.31,8651.70043.6 水産業571.9581.7712.174711.8 鉱業321.1631.8672.043721.8 製造工業49116.685725.158117.564977920.0 建設工業963、21324.01252305.9 商業49116.650714.93269.864950012.8 交通業953.11474.31514.51212105.4 公務自由業2016.72499.32407.12612706.9 家事業802.7712.1551.7105601.6 其の他70.6220.6880.2 無業3,451対総人口(540)3,898対総人口(533)4,411対総人口(56.5)4,9384,938対総人口(55.9) (出典)総合国土開発審議会事務局r第23回総合国土開発審議会議事速記録』、1950年、5貢
の関係 において どうい う実際の動 きが示 されたか とい うことを簡単 に御報告申上 げます。
この法律が制定せ られ る前 にお きまして も、 自然発生的、或 は行政 の指導によ りまして、 それ ぞれの地方にお きまして は大凡 そ四つの種類 に分 たれ る総合 開発計画が逐次進 みつつあったので ござい ます。 その第‑ は府 県の開発計画で ござい ます。 この府県の開発計画 と申しますの は、文 字通 り府県 を単位 としてそれぞれの府県がその府県内における総合 開発 を如何 にすべ きか とい う ことについて、県知事以下種々検討 をいた しまして、積極的 に立案 を急いでおったわ けで ござい ますが、特 に群馬、栃木、鹿児島、山形、岡山等 の県にお きまして は、県知事が率先 して、或 は 県議会等 にも呼びか けて特殊 な機構 を設 け、或 は調査費 を計上 して県政 の指針 となるべ き開発計 画 を検討 し調査 を進 めてお りまして、 これ らに対 して は、我が建設省 にお きまして も助言指導 を 加 え、又安本 のお知恵 を拝借 してそれぞれ指導 をいた しておったわけで ございます。第二 はいわ ゆる特定地域開発計画で ござい ます。 その特定地域 開発計画 とい うの は、別 な言葉で申上 げます と後進的未開発地域 を特定 しまして、その地域 に如何 なる方途 でやればうま く開発で きるであろ うか、 この後進的な地域 を どうすれば開発で きるか とい うことを狙 った計画で ござい ます。 これ は建設省 の前身である内務省以来、国土 の開発の一環 としてサ ンプル的 に未開発地域 を特 に指定 いた しまして、その指定 された地域 において、地方でそれぞれ これが開発計画 を如何 にすべ きか を工夫立案 いた しまして、中央へ これ を申達 させ るとい う作業 をいた したわ けで ございます。 こ れ は現在 までに約四十三地域 を調査 の対象 とし、特定地域 として認定 した地域が十四地域 に上 っ てお ります。 この地域 と申 しますの は、文字通 り後進的未開発資源の多い地点 を選 んでいるわ け で ございまして、例 えば北 の方で申上 げますれば、秋 田県の阿仁 田沢 とか或 は只見川の上流 とか、
或 は石川県の能登半島、或 は山陰地方の大 山、島根半島 とい うような ところ、中国四国の方で は 西南端、いわゆる高知 県の西 と愛媛県の西側、そうい うところ。九州 で は大隅、薩摩、そ うい う ような比較的後進地域 で、埋蔵す る資源 を開発す るに適 した ような地点 を選 んでいるようなわ け で ござい ます。 これ らにつ きまして は可成 り調査が進 み まして、或 る程度 の計画 を粗案なが ら作 りまして、中央へ提 出いた してお ります。 おれ を実施 に移す につ きまして は、 もとよ り巨大 な資 金が要 り、 またその順序、方法等 にお きましては更 に検討 を要す るもので ございますので、今 日 の段階 にお きまして は、公共事業 の予算 を執行 す る上 において、安本 において、又 その関係各省 において、で きるだけ特定地域 の総合計画 にマ ッチす るように援助御指導 を願 うとい う段階で ご ざい ます。第三 の計画 はいわ ゆるブロック計画で ございまして、ブロック計画 と申 しますのは、
中国五県 とか四国四県、 そ うい う地方別 に数府県に跨 る一地域 を開発 の対象 といた しまして計画 を樹立せん とするもので ござい ます。これにつ きましては中国地方が最 も進歩的にしてお り、・‑‑
次 には四国地方が これに次 いでやや進歩的で ございます。‑‑最後 に第四の開発計画 は、特定の 地点、例 えば河川の流域、或 は一定 の都市の地域 とい うものを対象 とした開発計画で ござい ます.