三重大学教育学部研究紀要 第 57巻 教 育科学 (2006)135‑143頁
初対面状況の違 いがパーソナ リティ認知 に及 ぼす効果
福 田 真 知キ1・
廣岡 秀 一*2
The Effects of Situational Factor on Personality Cognition in the lnitial Encountere
Machi FuKUTA and Shuichi HIR00KA
本研究 は、初めて出会 う相手 に対 して感 じる親密 さと、出会 った後 に相手 とどのような関係を築 いていこう とするかという対人期待を取 り上げ、それが様々な初対面場面 における対人認知 にどのように影響 していくの かについて検討を加えるものである。大学生 249名 を対象 に質問紙調査を行 った結果、 これまでの先行研究の 結果 と同様に、パーソナ リティ認知構造 として 「 力本性」、「 個人的親 しみやすさ」、「 社会的望 ま しさ」が見出 された。また、初対面状況 におけるパーソナ リティ認知 には、被認知者の要因が大 きな影響をもた らしている ことが示 されたが、初対面場面 と被認知者の交互作用 も確認 されてお り、初対面状況の違 いがパーソナ リティ 認知 に少 なか らず影響 していることが示 された。
Key words:パ ーソナ リティ認知、初対面状況、対人関係期待、親密性
要 約I . 問 題 と 目 的
対人認知 プロセスにおいては、様々な要因が複雑 に 絡み合 って認知に影響を及ぼ していると考えられるが、
それ らの要因は、①認知者の要因、②被認知者の要因、
③状況の要因に分 けることがで きる (Tagiuri, 195税 Shrauger&Altrocchi,1964)。従来、認知者や被認知 者の要因に関 しては比較的多 くの研究がなされてきた が、状況の要因を扱 った研究 はそれほど進んでいない と言える。 しか し、Mischel(1968)の 「状況主義論」
の研究 に始 まり、個人的要因 と状況的要因のどち らも 人間の社会的行動の決定因であり、それ らがお互いに 作用 し合 って いるとい う 「相互作用論」 (Bowers, 1973)も提唱されてお り、無視で きない要因 となって いる。
われわれ は、相手 との初対面場面 において相手 が ど の よ うな人 であるのか とい うことを考 え る。 しか し、
同 じ人 が同 じ相手 と出会 う場合 であ って も、 その相手 と出会 った場面 や相手 に対 して もって い る期待 な どの 状況 によ って異 な る要 因 に影響 を うけて、相手 に対 す
るパーソナ リティ認知 において暗黙裡に注 目する側面 が異なって くることも考え られる。例えば、サークル などの うち解 けた場所で相手 と初めて会 う場合 と、ゼ ミなどの緊張 した場所で会 う場合 とでは、同 じ相手 に 対 して も、相手 のどの部分 を認知の手がか りとす るか が異なっていることは容易 に想像できる。
Crockettら(1975)は、聞 き手である被験者を 「理 解す る」 というセ ッ トと、「評価す る」 とい うセ ッ ト を設定 し、話 し手への印象がどのように変化するのか を検討 している。その結果、相手を 「評価する」 セ ッ トよりも 「理解する」 セ ッ トの方が認知次元の数が少 ないこと、 また、相手 を 「理解する」セ ットの方が、
「評価す る」セ ッ トよりも話 し手 をよ り好意 的 に認知 す ることを見 いだ している。 日本において も宮本 0山 本 (1994)が、 日常生活 における他者の連続行動 に焦 点を当て、観察者が連続行動 をどのように観察 してい るのかを検討 した研究 において、他者の連続行動 に注 目して観察 させる記憶群 と、相手がどのような人物で あるのかに注 目して観察 させ る印象群 に分 けて他者の 連続行動を観察 させ、それぞれの群 によって情報処理
*l 二 重大学大学院教育学研究科学校教育専攻
*2 二 重大学教育学部 mailtα[email protected]― u.ac.jp
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