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雑誌名 奈良教育大学教育研究所紀要

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(1)

奈良教育大学学術リポジトリNEAR

中学校技術科教育における問題点(I) ― 工作機 械の使用状況と男女共修 ―

著者 岡 俊博

雑誌名 奈良教育大学教育研究所紀要

巻 18

ページ 91‑100

発行年 1982‑03‑23

その他のタイトル On the Problems Concerning Education of Technics in Junior High School (I) : Actual Conditions of Operating Machine Tools and Mixed Education of the Sexes

URL http://hdl.handle.net/10105/6522

(2)

中学校技術科教育における問題点(I)*

  一工作機械の使用状況と男女共修一

岡     俊  博榊   (技術教室)

 1、はじめに

 技術教育が中学校でr技術・家庭科」として実施されてから今年で21年目を迎えたが、その間 に2回の学習指導要領の改訂が行われ、本年度(56年度)からrゆとりのある授業」という事で、

一律に中学校における授業時数の短縮に伴ない、技術・家庭科においても従前の授業時数より20

%強の減少となった。1)小・中・高校と一貫教育を行いうる他教科に比較して、20%強の削減率 はより大きく感じられ㍍その上に、次の2点で大きな変化があった。その一つは、従来から教 臭や工作機械等の購入は、産業教育振興法に基づく中学校産業教育設備費によって執行されて来

たが、今回からは新たにr教材基準」が設定され、昭和54年度を初年度として技術・家庭科教材 整備9ケ年計画が発足した事である。他の一つは、技術・家庭科における教科内容は学習領域の 再構成が行われ、従前のr男子向き」、 r女子向き」という区別をなくし、技術系列と家庭系列 とし、技術系列の中に木材加工口、2〕、金属加工〔1,2〕、機械〔1,2〕、電気〔1,

2〕、そして栽培の9領域が設定され、家庭系列の中に被服〔1,2,3〕、食物〔1,2,3〕、

住居、保育の8領域が設定され、従前の製図、家庭工作、家庭機械、そして家庭電気の4領域は 削減されたのである。そして、原則として男子にはこの9領域の中から5領域、家庭系列の領域 の中から1領域を含めて、合計7領域以上選択して履修させる、いわゆるアラカルト方式と相互 乗り入れが実施されることになった事である。2)・3)

 授業時数の大幅な削減に加えて、教材基準の設定、アラカルト方式、相互乗り入れと男女共修 等の変革をよぎなくされ、教員養成系大学学部附属中学校では阜速調査研究が開始されたが、4)・5)・6)

公立中学校における教育現場の困惑の声を聞く事が多く、従前の教具・教材の取捨選択など移行 期間中に準備出来るか危ぶまれていた。そこで、移行期間の最終年度である55年度に本学技術科 の卒業生で現在中学校技術科教育を担当している諸先生に次の2点に的を絞ってアンケート調査 を行い、参考資料になればと思い、その結果を集計して逐一返送する事によって、側面からの援 助を試みた。その第1点はr産振法」によってどの程度まで各中学校が教具や工作機械を設置し 充実させて来たか。そして、それ等をどのように生徒達に使用させているかという事である。第 2点は削減された授業時数の中でどのような学習領域を選択し、相互乗り入れと男女共修をどの 領域でどのような題材で展開するかという事である。この2点は今後の技術・家庭科教育におけ

* On the Problems Concerning Education of Technics in Junior High Schoo1(I):

 Ac血a1Conditions of Operating Machine Tools and Mixed Education of the  Sexes

**Toshihiro Oka(Department of Technology,Nara University of Education,Nara)

一91一

(3)

る最重要課題になると思われたので、本年度より完全実施となる直前に調査を行って、この結果 より若干の考察を試みる事にした。

 2.調査の方法と内容

 調査方法はアンケート形式によって行った。まず第1回目は次のような項目について質問し、

回答をお願いした。

 11〕勤務の状況について

   ①技術科担当教官数、②技術科担当教官一人当りの平均授業時数、③1時限当りの平均生    徒数、④技術榊旦当教官の年令、⑤学年別学級数、⑥他教科担当授業時数、⑦技術科関係    の教室数と延べ広さ(㎡)

 12〕教材について

   技術系列9領域における題材(教材)を領域別に記入する。

 13〕教具および工作機械等の使用状況について

   工作機械については、従前の「産振法」に基づく機種名を挙げ、その台数および教官なら    びに生徒の使用状況を記入す乱

 以上3項目の質問について、昭和45年度から昭和53年度迄に本学技術科を卒業して、現在国公 立の中学校に在職し、技術科を担当している先生方34人に調査用紙を送付した。返却数は27通

(校)であった。(未返却の理由は同一校に複数の卒業生が在職する場合と、このような調査の 回答には校長等の許可が必要である中学校については調査を中止したからである。)

 第2回目の調査は、第1回目の調査結果の集計を添えて次のような内容の質問を行った。送付 先は第1回目の調査で回答を返送された27校に限った。

 (1)新しく施行される指導要領に基づく技術系列の領域の選択と相互乗り入れを行う領域なら    びに男女共修について

   滋賀大学教育学部附属中学校における昭和55年度の年間指導計画例6)(表7参照)を記し    て、実施例文は計画案を同じ形式で回答するようお願いした。

 12〕男女共修ならびに相互乗り入れを行う技術系列領域については、その領域の題材(教材)

   予定例を記入する。

 13〕工作機械について

   r教材基準」以外の機種をも含めて、特に必要である工作機械あるいは教材基準のもので    台数がもっと多ければ便利であると考えられる工作機械とその必要台数ならびにその理由    について記入する。

3.調査結果

第1向日のアンケート調査回答を集計し、その主な結果を示すと次のようである。

l1〕勤務の状況について

表1に①技術科担当教官数、②技術科担当教官一人当りの平均授業時数、③1時限当りの平均

一92一

(4)

生徒数、④技術科担当教官の年令を示す。表1からわかるように、技術科担当教官は1校に2名 のところが最も多く、平均授業時数は20時間程度である。また、一時限当りの平均生徒数は41

〜45名が最も多い。④の教官の年令は調査対象の本学卒業生の年令が24〜32才であるために・25

〜30才が最も多いのは当然のことであった。

12〕教材について

 新しく実施される技術系列の中で8領域について、その教材・製作品名の種類とその枚数を示 すと表2のようである。

 木材加工〔1〕では「本立て」が最も多く15校で、同〔2〕では「椅子」が22校である。金属 加工〔1〕では「ちりとり」とrブックエンド」を合わせると20校になり、同〔2〕では「ブン チン」が9校、「ドライバー」が9校、rハンマー」が8校と三分する。次に、機械〔1〕では

「動く模型の製作」が13校で、同〔2〕では「エンジン」が最も多い。電気〔1〕では「ハンダ ごて」の製作が13校で、同〔2〕ではrラジオ」の製作が19校と最も多い。

13〕教具ならびに工作機械の使用状況について

 従前のr産振法」に基づく教具ならびに工作機械の中で代表的な14品目について、その保有台 数、教官ならびに生徒の使用状況、不使用の理由についての調査結果を表3に示す。この14品目 中、今後の「教材基準」では「手押しかんな盤」ならびに「刃物研磨盤」は除外されている。従 って、r設備基準」にあって改訂指導要領に示されている工作機械について、生徒の使用状況を あらためて表にしたのが表4である。これを見ると、r角のみ盤」ならびに「卓上ポール盤」に おいては、ほぼ全校で生徒が使用しているが、 r自動かんな盤」と「旋盤」の生徒の使用は約6 割程度である。そして、「丸のこ盤」はほとんどの学校で生徒に使用させていない事がわか乱

 第2回目の調査結果で技術系列の学習領域の選択状況と相互乗り入れをする領域について表に まとめると、表5に示すようになった。この結果は調査期間中に実施計画が確定した16校中のも ので、残り11校は未確定であるのでこの表から除外した。

 木材加工〔1〕、金属加工〔1〕、機械〔1,2〕、電気〔1,2〕ははとんどの学校で選択 する事がわかる。金属加工〔2〕と栽培は約半数の学校が選択する。また、家庭系列と相互乗り 入れする技術系領域は木材加工〔1〕が圧倒的に多くユ6校中11校である。ここで注目すべきは、

木材加工〔2〕が16校中12校で選択されるという事である。この12校について、木材加工〔2〕

で使用すべき木工機械r角のみ盤」、r丸のこ盤」、r自動かんな盤」についての生徒の使用状況 を表にすると表6のようである。

   表1 勤務の状況

①技術科担当教官数

人  数

学校数

15

一g3一

(5)

②技術科担当教官一人  当りの平均授業時数

③1時限当りの平均生  徒数

生徒数 学校数 15〜20

2

21〜25

1

26〜30

2

31〜35

3

36〜40

5

41〜45 8 46〜50

6

④教官の年令

授業時数

(時間/週)

10〜14 15〜20 21〜25 26〜30

学校数

2

16 8

1

年令(才)

25未満 25〜30 31〜35 36〜40 41〜45 46〜50 50以上

人数

表2 各学習領域における教材・製作品名

領     域 教材または製作させているもの(学校数)

本立て115〕、本箱14〕、工具箱13〕、小物入杣3〕、マガジンラック12〕、

1

コースター(1〕、ブックエンド11〕、巣箱11〕、自由製作16〕

木材加工

椅子幽、スツール13〕、傘立て(1)、花台11〕、パズル模型ω、本箱、

2

自由製作(1〕

ちりとりω、ブックエンドOO、鉛筆立て121、栓抜きω、ブンチン

1

(11、整理箱11〕、状差し12〕、タオルハンガー1〕、自由製作11〕

金属加工

ブンチン(91、ドライバー(9〕、ハンマー(8〕、金切りのこ(1〕、

2

ごみ箱ω

1 動く模型(13〕、カムの製同1〕、自転車の分解・組立て12〕

機   械

エンジン模型5〕、エンジンの分解・組立て③、動く模型ω、ソリ

2

ッドモデルの作成(1〕、粗大ゴミの分解・再生(1〕

ハンダごて03)、テスター4)、蛍光畑4〕、動く模型ω、ボトルスタ

1

ンド(1〕、ブラックボックス(11

電   気

ラジオ119、インタiホン17〕、アンプ13〕、トランシーバーラジオ13〕、

2

トランシーバー12〕、粗大ゴミの分解・再生(1〕

一g4一

(6)

表3 工作機械及ぴ教具の保有台数と使用状況 使   用   状   況

不 便 用 の 理 由

工作機械及び

ウ具の種類

保有台数

i学校数)

教  官 生      徒

使用し

トいる

使用して

「ない ナ小限 必 要 十分に g 用 ?ョで クラブ

使用させ

トいない

填険だから 整 備

s十分

その他の理由(学校数)

糸のこ盤

114〕、218〕、314〕

S16〕、513〕、712〕 25 2 7 18 2 2 1 O 形式が古いω

角のみ盤

1O刀、219〕、311〕≡

24

3 9 16 1 0 O 1 手仕事をさ世るためω

丸のこ盤

O15〕、1⑳ 27 O 2 O o 19 14 1 必要がない12〕

闔d事をさせるω 自動かんな盤

012〕二1㈱

25

1 12 3 3 9 4 1

合板を使用したからω

闔d事をさせているからω

手押しかんな盤 O1協、1112〕 8 19 O O O 8 6 4

刃物研磨盤

O14〕、1吻、0ω 17 1O 1 1 O

20

8 7 時間がないω、必要なし13〕

ヨ用困難13〕、マスクがないω

卓上ボール盤

119〕、313〕、2ω

S11〕 27

O

1O   17

O O O

齒¥一9   4

旋   盤

012〕、201〕、111ω 15 1 9 必要がない13〕

黶。■

Q4 12

R

 11

v L …   一 ■ 皿 0  一 … ■ I …  …

@19

 O

c 一■  ユ

両頭研削盤

Oω、1口2〕、213〕

@12

R111

3 O 2 必要がない14〕、使用困難ω

電気ハンドドリル O12〕、1㎝〕、214〕

24

3 4 6 2

12

4 1 必要がない12〕、使用困難ω

?繝{ール盤を使用するから11〕

組立用エンジン O15〕、113〕、212〕

R15〕、417〕、515〕

20

7 8 1O O 4 O 2 必要がない11〕、使用困難11〕

w入したばかり11〕

オッシロスコープ

0ω、工09,2ω 20

7 5 1 2

17

0 3 台数が少ないω、必要なし11〕

フ障の原因となるからω、使用困難11〕

誘導電動機

O16〕、1(13〕、213)

R12〕、612)、9ω 21 6 4 3 0 lo O 3 見本にする12〕、必要なしω

g用困難ω 整流子電動機

O115〕、119〕、212〕

17

10

2 2 O 7 0 3 見本にするω、必要なしω

g用困難11)

(7)

表4 設備基準である工作機械の生徒の   使用状況

  使用状況 H作機械

使用させて

「る (校) 便用させて

「ない(校) 工作機械が ネい (校)

角のみ盤 26

O 0

丸の こ盤

2

19

6

自動かんな盤

18

9 0

卓上ボール盤

27

0 0

旋    盤

14

11 2

表5 技術科系列の学習領域の   選択数

技術科系列の学習領域

選択数

相  互謫?齔

木材加工1 16

11

木材加工2 12

1

金属加工1

14 2

金属加工2

6 O

機 械1

16 1

機  械2 15

0

電  気1

16 1

電 気2 15

O

栽   培

8 2

表6 木材加工2で使用する工作機械の使用状況

学校名 角のみ盤 丸のこ盤 自動かんな盤

A

X

B

C

X ×

D

×

E

X

O

F

×

G

× ×

H

X X

I

X ×

J

×

O

K X ×

L X

×

使

最 小 限 X 不 使

 4.工作機械の使用状況に対する考察

 技術系列の学習領域における生徒の工作機械の使用状況は表3ならびに表4の結果でわかるよ うに「糸のこ盤」、 r角のみ盤」、r卓上ボール盤」はよく使用されているが、r丸のこ盤」、

r自動かんな盤」、 「旋盤」、 r両頭研削盤」等の使用はあまり行われていない。その理由の第 1は<危険である>事で、次いで<必要がない>又は<整備不良>という理由である。改訂指導 要領においては、木材加工〔2〕における指導項目13〕にはr木工具と木工機械の使用法及びそれ らによる加工について次の事項を指導する」とあり、指導事項力に木工具や木工機械を適切に使 い材料の切断と切削が出来る事とある。この中の木工機械とは「丸のこ盤」、「自動かんな盤」、

「角のみ盤」である事が明記されている。しかし、これらの工作機械の中では「角のみ盤」のみ

一96一

(8)

が手工具「のみ」に代って使われている事は、その他の工作機械を便用させなくても製作実習が 可能であるような材料が与えられている事を意味する。また、金属加工〔2〕における指導項目

(3)にはr金工具と工作機械の使用法及びそれらによる加工法について、次の事項を指導する」と あり、指導事卿イ〕には工作機械を適切に操作して、穴あけや旋削が出来る事とされ、その工作機 械とは「卓上ボール盤」と「旋盤」である事が明記されている。しかし「ボール盤」の使用はよ く行われているが、r旋盤」の使用はあまり行われていない。また、題材の選び方の項では木材 加工〔2〕の(5〕では木工機械の使用を考慮するものとあり、金属加工〔2〕の15〕で工作機械の使 用を考慮するものと指示されており、学習指導上の留意事項には、いずれも手加工と機械加工を 比較させ、その得失を考えさせるようにするとある。上記の他に、工作機械の使用を省略すると、

その次に展開される学習領域、特に機械/1〕と電気〔1〕における製作実習Iに支障をきたすも のと考えられる。即ち、機械〔1〕ならびに電気〔1〕における製作では〔木材加I〕や〔金属 加工〕で習得した加工技術を活用し、製作意図を実現するための設計の仕方に重点をおいて目標 の達成に努めるとあり、加工技術が手工具によるだけという事になれば、おのずとその設計段階 において数段の技術的後退をよぎなくされる筈である。なぜなら設計を行う時には、まず加工技 術を念頭に置いて行うからである。機械〔1〕ならびに電気11〕における指導事項の中に、市 販の半完成模型教材の使用は避けるようにするとあるが、特に旋盤を使用しないという事であれ ば、簡単な必要部品の製作すらもおぼつかなく、ただr卓上ボール盤」で市販半完成模型部品の 穴あけ程度しか出来ないであろうし、従って生徒一人一人のアイディアによる設計から製作とい う創造的な学習は不可能となり、画一的な教材の製作が行われている筈だと推察せざるをえない。

この事は表2からもうカ)がわれる。

 5、男女共修についての考察

 技術・家庭科の男女共修問題は、従前の授業時数が削減されなかった時点で、女子にも消費的 な家庭領域のみを教えるのではなく、生産的な技術領域を教え、男子にも家庭領域を教え理解さ せるべきであるという主張がなされていた。7) 8)しかし、今回の改訂で、授業時数の削減が伴って おり、男子には技術領域で、女子には家庭領域でどうしても確保しておかねばならないと考えら れる学習領域があり、また実習を必ず伴なうので効果的な時間の短縮も出来ない事から、色々な 意見、主張、希望を包含した、アラカルト方式を採用しながら、どの学校も相互乗り入れ(男女 共修)の領域は1〜2領域程度にとどめられた模様である。これは一中学校における技術系教官と 家庭系教官の配置人数と一週当りの授業時数のバランスをも考え合わせねばならず、片寄った系 列の学習領域を展開する事も出来ず、今までの主張、意見、希望の主旨から多少それたように思 える。アンケート調査の配布の時期がいく分早かったのかも知れないが、確定していたのは27校 中16校であり、他の11校は所属地区での検討あるいは技術系教官と家庭系教官による計画・打合 わせが最終までにつまらなかったようである。冷静になって、短縮された授業時数を併せ考えた 最終結果として、男女共修による相互乗り入れする学習領域は技術系列では木材加工〔1〕が、

家庭系列では食物〔1〕が選択されたのだと思われる。

・一 №V一

(9)

 そこで、技術系領域における男女共修を行う木材加工〔1〕について考えると、学習のために 必要な製図器ならびに手工具は従前から個人持ちが良いとされ生徒一人一人に購入させていたわ

けで、今回からは女子が使用する個数は一回限りの学習では女生徒に購入させるわけにはいかず、

学校側で用意する事になる筈で、個人持ちが良いとした従前の主張と矛盾し、逆にせっかく個人 負担で高価な木I具を購入させた手前、無理に木材加工〔2〕を男子に学習させなければはらな い事情と推察される。

 上記の矛盾を避けるためには、男子生徒に個人購入させた木工具は木材加工〔1〕でその使用 方法を教え、これを引き続き活用するのは機械〔1〕と電気〔1〕の製作で行う事にし、木工機 械が危険であるとして生徒に使わせない木材加工〔2〕を学習させるよりは、木工機械よりもは

るかに安全なr旋盤」を操作させる金属加工〔2〕を学習させた方が機械〔1〕、電気〔2〕の 学習につながり好結果を産むのではないかと考えられる。そこで、男女共修の領域は家庭系列の

〔住居〕を行ない、その見返りに女子には電気11〕を別学で行うような方式の方が良いのでは ないかと考えたので、表7に示した年間指導計画例を調査用紙に記したわけである。

表7 男女共修のための年間指導計画の例

学期

1 2

年性

3

総時 ヤ数

木材加工1(35) 金属加工1(35) 70

I

女 被 服1(35)

物1(35) 70

金属加工2(25) 住居(20) 機械1(25) 70

女 食 物2(25) 住居(20) 被服2(25) 70 機械2(30) 電気1(26) 電気2(29)

105

栽 培(20)

被 服3(35) 食物3(20) 保育(20) 105

1(30)

 6.おわりに

 本学技術科の卒業生で現在技術科を担当している比較的若い年令層の諸先生の御協力を得て、

工作機械の使用状況と男女共修問題について調査結果を集計し考察したわけであるが、本学が教 員養成大学である事を念頭にして次の点で技術教室において考え直す必要があると考える。

11〕現在中学校で使用されている同一機種の工作機械を設置し、これらの安全な使用方法を研究 し、修理・保守に関する授業科目の充実ならびに授業時数を増加すること。

12〕木材加工、金属加工、機械、電気に至る複数の学科目間で中学校で利用出来る題材(融合教

一98一

(10)

材)を開発し、授業計画を作成してこれらを通した実習を在学生に履習させておくこと。

⑭ 中学校における一学習領域の展開出来る時間数は大学におけるよりも非常に短いので、大学 における実習製作においては作業時間を重視した実習形態を考え、一学期中に最小二つの題材を

こなす訓練を行っておくこと。

(4〕改訂された指導要領は各中学校の主体性を重視し、弾力的な運用を配慮した記述がなされて いるが、これを消極的・独善的な解釈で行うのではなく、指導要領を一字一句丁寧に読み返し、

その主旨を正確に解釈出来るよう指導する授業を展開すべきである。9)

 以上技術教室における再考事項を挙げたが、今後中学校におかれても「教材基準」としての工 作機械の設置ならびにその使用が見直され、相互乗り入れによる男女共修における試行錯誤が数 年続くと考えられるが、将来への展望をもって広く社会の変化に注目しつつ、常にその物的条件

の改善充実を図られ、技術・家庭科の発展のために研錆される事が望まれる。

 終りに、本研究調査に対して色々と御助言、御協力いただ一きました奈良女子大学文学部附属中

・高等学校上浦一道教諭、本学附属中学校吉田誠教諭、ならびに奈良市立春日中学校椎木俊哲教 諭に深く感謝の意を表します。

      引  用  文  献

1)文部省:r中学校学習指導要領」 (1977)、大蔵省印刷局 2)文部省:「中学校指導書技術・家庭編」 (1978)、開隆堂出版

3)馬場信雄、鈴木寿雄、小笠原ゆり編:「改訂中学校学習■指導要領の展開技術・家庭編」

  (1977)、明治図書出版

4)吉田 誠:ギ技術・家庭科における男女共学について」近畿地区二部・三部会合同研究会資   料(1979)

5)上浦一道、藤沢きみえ、辻本美奈子:「技術・家庭科の男女共学を実施して」奈良女子大学   文学部附属中・高等学校研究紀要2ユ集(1980)80

6)冨山朝司、虎丘美代1r学習の成立を求めて一新学習指導要領をふまえた教科指導のあり方」

  近畿二部・三部会合同研究会資料(1980)

7)愛知教育大学技術・家庭科研究会編r技術・家庭科の男女学習に関する研究」(198])

8)池本洋一:r男女の性差と技術教育」KGK Joumal Vol.16,N皿7(1981)6、開隆堂 9)産業技術研究連盟編r男女共学技術・家庭科の実践」(1977)、民衆社

一99一

(11)

lOO

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