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「交 通 体 系 の 経 済 的 意

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Academic year: 2021

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(1)

F・フォクー

「交 通 体 系 の 経 済 的 意

義 」

FritzVoigt.

Die

votkswirtschafttiche

BedeutungdesVerkehrssystems,Bertin

t960.

'

'

'

'

1

284

(2)

てきた︒いいかえれば︑交通体系と経済構造との相互関連に

おいて︑交通論を体系化する必要性が大きくなってきた︒こ

のような分析が従来︑皆無であったと主張するつもりは毛頭

ないけれども︑必ずしも十分ではなかったし︑現在ほどその

必要性が増したこともかってなかったように思われる︒

 われわれは常日頃︑交通は国民経済の成長︑発展にとっ

て︑非常に重要であるというような表現に接することが多

い︒これは単に学問分野に限らず︑一般的な指摘でもある︒

このような表現はそれが︑交通機関の不足の状態についての

単なる知覚でしかないのか︑それともそれ以上に何か意味が

あるのか︑明らかにしてはくれない︒交通の重要性はいかな

る意味においてであるか︑交通の果す基本的機能はいかなる

点にあるかというような点について十分な分析が試みられる

のでなければ︑意味がない︒このような点についての分析は

国民経済の特質に相呼応するような分析的方法に依存しなけ

ればならない︒

 以上のような点に着目して︑国民経済の発展過程の中で︑

交通はいかなる役割を果すかという問題に正面から取組んだ

のが︑ここに取挙げたフォクトの著作である︒著者の目的

は︑﹁国民経済の発展﹂あるいは﹁工業化過程﹂Industrial‑

lsierungsprozessという問題と﹁空間の克服﹂Raumiiber‑

windungの相互関係を分析することにある︒経済理論の中

での﹁空間﹂﹁地域﹂の取扱方法は必ずしも十分なものがあ ったとはいえないし︑あったとしても交通サービスがその具体的内容をもちながら取容れられたことはなかった︒このような分析において︑交通が何らかの形で論ぜられることはあっても︑交通の積極的意義を理解する助けにはならない︒それは経済学が交通を分析するのとは自ら異質なものである︒著者の分析態度は経済学的分析手法を用いていても︑それはあくまでも交通論の体系化のための手段でしかないのである︒その意味で︑本書は交通論の新しい体系化への試みであるということができる︒

 前置はこれくらいにして︑直ちに内容に入ることにしよ

う︒本書は大きくは﹁序論﹂﹁本論﹂﹁要約︑交通政策のため

の結論﹂の三部から成立っている︒

 第一部は同問題設定 §分析用具 凶歴史的発展過程と問

題の理論的抽象化の三章からなっており︑第一章問題設定に

ついては前述のような著者自身の基本的な考え方について述

べている︒二章の分析用具については交通費用について論じ︑

経済学的費用分析の骨子を明らかにしている点は別として︑

特に関心を呼ぶ点として︑著者自身の新しい用語が説明され

ていることである︒例えば︑﹁交通価﹂Verkehrswertigkeit

であるとか︑﹁商品の︑あるいは企業の親和性AttinitatI

というがごとくである︒続く︑三章においては従来経済学に

おいて︑歴史的発展過程なり︑工業化過程が理論的にいかに

分析されてきたかに論及している︒

285

(3)

 江上のような序文に続いて︑本論はさらに五章から成立っ

ている︒この主要内容について述べてみよう︒

 B発展のインパルスの目標達成可能性についての交通体系

  の意義

本章はさらに︑山交通価︵交通機関数を測定するための尺度

といってよい︶の貧弱な交通体系dasminderwertigeVer‑

kehrssystemにおける︑所与の発展のインパルスの目標達

成可能性 ②理想的交通体系における発展のインパルスの目

標達成の二節に分れているが︑このタイトルをみただけでも

かなり明らかなごとく経済構造における市場経済的成長機会

marktwirtschaflicheWachstumchancenが交通体系の

相違によって︑その影響効果が異なるという基本的見解をと

る︒その効果は交通価によって異なるという形で︑経済的波

及効果に及ぼす交通体系の貢献度を測定することを意図する

のである︒

 白父通手段の発展能力に対する市場経済的条件

本章においては経済構造とそれから生ずる輸送需要の増大の

関係について述べ︑この両者の関係が市場経済的機能を果す

過程において新しい交通手段の発展可能性が規定されること

を指摘する︒

 同市場経済的発展過程に対する交通体系の形成力Gestalt‑

ungskraft

本章と次章は本書の最も中心的な部分を形成するのであっ て︑基本的には交通体系の発展が経済構造に及ぼす作用についての分析を主目的としている︒このような作用か﹁交通体系の形成力﹂と呼ばれる概念であって︑その場合︑交通の与える作用は経済の費用構造と需要構造に対して︑与えられる影響が主たるものである︒しかし著者の論点はこのような交通の影響があるという指摘にとどまってはいない︒むしろ︑交通の作用はその影響度が地域的に︑あるいは国によって︑異なり︑地域的な発展格差の基本的要因を作り出すことを主張したいのである︒この点は著者が筆者に寄せた私信の中においてもはっきり伺うことができる︒﹁交通体系が惹起する差別化過程について研究すれば︑交通体系の市場経済的発展への影響を理解できる︒したがって︑世界の特定地域において︑工業化への自給的過程がいかにして推進され︑他の地域においてはそれが排除されるかを認識できる︒また︑所得効果と生産力効果の地域的分散についての説明も新しいものである︒歴史的発展過程の中で投資活動からの誘発的所得はある地域に同じようには拡大しないで︑塊状となって︑他の地域とは完全に接触をもたないことを︑はっきり確認できる︒﹂この文面からも明らかなごと︿︑地域的工業化過程に対して及ぼす交通の意義︑あるいは所得効果︑生産力効果の地域的波及に対して交通のもつ重要性を分析することが著者のもつ目的のようである︒

 辨個別的交通手段の形成力の展開

‑286‑

(4)

本章において述べられているような交通の形成力を信別的交

通機関について︑その展開過程を論じている︒特に︑各種交

通手段の発展動態Entwicklungsdynamikの特殊性と影響

を種々の角度から分析している︒前章と本章の二章は本書の

半分近くのべlジを占め︑本書の中核となっているのであ

る︒

 匈景気変動過程における交通体系の形成力の変化と作用

本章における目的は交通体系における種々の活動が景気変動

にいかなる影響を与えるかについて分析することである︒例

えば︑交通投資の一般的影響はいかに波及し︑そのような過

程において︑いかなる差別化が現われるかというような問題

について論及している︒

 本論において論ぜられることは︑以上に述べたごとくであ

るが︑基本的には経済構造に対して︑交通はいかなる影響を

もつか︑このような影響の結果として経済構造の工業化過程

がいかにして促進されるのかという点を︑個別的交通手段と

の関連において分析することであるということができるだろ

 最後に︑第三部の﹁要約と交通政策のための結論﹂につい

て述べよう︒要約の部分は別として︑交通政策はどのように

立てられるべきかということが︑結論的な問題である︒ここ

では多くは論じられていないけれども︑低開発国の交通政策

と先進諸国のそれに分けて論じている︒  後進国の交通政策については︑本論において度々論じられたような市場経済的発展プロセスの中で交通を考えることはできないとして︑次のように述べている点が注目される︒ ﹁後進国は交通制度の秩序原理として︑市場経済の原則を受入れるような贅沢は決して許されない︒交通部門の政策としては不経済とさえみえるような方向にムードを盛上げなければならない︒﹂ それでは︑先進国の場合はどうか︒先進工業国は後進国と異なって︑市場経済の原理が妥当しやすい︒したがって︑交通体系はより一層の発展への必要なインパルスを与えることが可能であって︑先進工業国の交通体系は市場経済の原理によって拡張され︑それが成功裡に達成されることが理解されるというのである︒ 以上において述べたごとく︑本書は経済の発展と交通体系の相互関係に着目して︑交通の経済的意義を分析的に展開しており︑その意味で︑これまで十分に行われることのなかった交通論の新しい方向を示唆する礎石としての役割を果すといえるであろう︒       ︵KiyoshiOkada︶

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参照

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