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ライフスタイルの変化に伴う衣生活に関する意識変化

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Academic year: 2021

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(1)

原著論文

ライフスタイルの変化に伴う衣生活に関する意識変化

中村邦子

大妻女子大学短期大学部家政科

A Study of Consciousness Change about the Clothing Life due to the Change of Lifestyle

Kuniko Nakamura

Key Words :

ライフスタイル,衣生活,意識,若年女子,アンケート調査

要旨

昨今、ライフスタイルの変化に伴い、衣生活に関 する意識が大きく変化している。ファストファッ ションによる安価な衣料品の大量販売や

e

コマース の急速な普及により、これまでの消費行動とは全く 異なってきている。消費者が居ながらにして欲しい 衣服を気軽に、安価に入手することができること で、衣服に対する意識が変化している。この現状に あって、生活者としての意識や欲求にどのような特 徴があるのかについて注目し、学生を対象にアン ケート調査を行い、主成分分析を行った。その結 果、若年女子の意識に、ファッションに関するこだ わりの強さ、ファッション選択の際の柔軟性、ジェ ンダーレスなファッションを好み、機能性を重視す るなどの特徴が抽出された。

1. 諸言

近年のアパレル産業の低迷は消費トレンドと大き く関係している。

若い女性のライフスタイルと衣生活に関する意識 は急速に変化し、「おめかし」というカテゴリーが 消えた。結婚式に招待されて着ていくドレスや晴れ 着はレンタルでいい、普段着は安価なファスト ファッションを着る、といったものである。このた め、ハイブランドとファストファッションの中間に 位置するアパレルブランドは苦戦を強いられてい る。

これは

2000

年に入ったころから日本においても ファストファッションを売り物にするアパレル企業 が増加したことによる影響受けていると考えられ

る。ファストファッションのショップでは品質やデ ザイン性の高い商品が安価で大量に販売されてい る。

また、ネットと物流の進化に伴い、消費行動がリ アルからサイバーに移行していることも消費トレン ドに影響している。消費者は居ながらにしてほしい ファッションを手に入れることができるようになっ た。

このことにより、ファッションの価値が下がって きている。若い女性に人気のカワイイファッション でも、ファストファッションを使うと、ある程度カ ワイイ洋服が安い価格で購入でき、特定のブランド のハイエンドな洋服を高い値段で買う必要がなく なってしまうため、洋服に対する憧れや満足感が薄 れてきている。また、今シーズン購入したものは来 シーズンには着ないことが多く、衣料品の家庭ゴミ が増えてきているという実態がある。ファスト ファッションは気軽に流行を追え、安価で洋服を買 えるが、消費者の洋服の回転率は上がり、家庭ごみ の中で衣料品の割合が増えてきている。

このような現状について生活者としての意識や欲 求がどのようであるかを探るため、本調査を行っ た。

2. 方法

博報堂生活総合研究所が実施している「生活定 点」調査資料を基に、若年女性の衣生活に関する意 識と欲求についての基礎的調査を行った。この「生 活定点」は、1992年から偶数年

5

月に実施されて いるもので、日頃の感情、生活行動や消費態度、社 会観など、多角的な質問項目から、生活者の意識と

(2)

欲求の推移を分析することを目的にしている。調査 対象は

20

歳から

69

歳までの男女で、首都圏と阪神 圏で実施されている。

質問項目は、生活気流・暮らし向き・食生活・衣 生活・住生活・健康・遊び・学び・働き・家族・恋 愛結婚・交際・贈答・消費お金・情報・メディア・

社会意識・日本の行方・国際化と日本・地球環境・

心理特性など

1,522

項目で構成されている。そのう ち衣生活にかかわる項目

20

項目を使用し、筆者が 担当する短期大学部授業「服飾文化論」の受講者を 対象に

2017

7

月にアンケートを行った。有効回 答者数は

79

名であった。

質問項目は表

1

の通りである。学生のアンケート 結果について、エクセル統計ソフトを用いて、主成 分分析を行った。

3. 結果および考察

2

は博報堂生活総合研究所「生活定点」の集計 表より、20歳代女性の衣生活に関する調査結果の 集計を抜粋したものである。これを見るとここ

10

年の間に、「服装は個性を表すための手段のひとつ だ」は、10.9%減少、「ファッション動向に敏感な 方だ」は

7.5%

減少、「下着など人目につかないと ころのおしゃれをしない」は

8.0%

減少、「自分は 和服が好きな方だ」は

11.2%

減少、「世界に一つし かない自分の服や小物などを作りたい」は

13.5%

減少している。これに対して「服を買うときは、そ の服が男用か女用かは気にしない」が

11.0%

増加 している。20歳代女性の衣生活に関する意識はこ

10

年で大きく変化していることがわかる。

さらに、2016年の

20

歳代女性の衣生活に関する

表 1 質問項目表

No.

質問項目

1

服装は個性を発揮するための手段のひとつだと思う

2

着るものを決める時は、異性の目を意識するほうだ

3

家でのふだん着には気をつかわない方だ

4

服を買う時は、その服が男用か、女用かは気にしない方だ

5

従来のスタイルや基本形にはこだわらない服装をする方だ

6

服を買う時はバーゲンやセールを利用することが多い

7

ファッション動向に敏感な方だ

8

下着など人目につかないところのおしゃれをしている

9

自分はおしゃれな方だと思う

10

和服(着物、ゆかたなど)が好きな方だ

11

服を選ぶ時は自分ひとりではなかなか決められない方だ

12

異性の下着売り場に行くのは恥ずかしい

13

服や小物のオーダーメイドを利用したい

14

社会人でも制服はある方がいい

15

外出着はデザインやスタイルよりもリラックスできるかを重視する方だ

16

世界に一つしかない自分の服や小物などを作りたい

17

服の品質や機能が気に入れば、プライベートブランドなどでも気にしない方だ

18

インターネットで実物を見ずに服を買うことに抵抗はない方だ

19

服の素材は体温調整や筋力アップなどの機能性を重視する方だ

20

着るものを選ぶ時は

SNS

などでの写真ばえを意識する方だ

(3)

2 

「生活定点」

1992

 年〜

2016

 年調査結果 衣生活に関する項目抜粋 回答率(

%

調査年

1992

1994

1996

1998

2000

2002

2004

2006

2008

2010

2012

2014

2016

対象人数

225

人)

228

人)

230

人)

229

人)

221

人)

218

人)

305

人)

292

人)

299

人)

275

人)

272

人)

254

人)

235

人)

服装は個性を発揮するための手段 のひとつだと思う

78.2 69.2 73.4 75.1 77.7 75.6 72.4 75.7 66.9 66.8

るものを決め時は異性の目 を意識する方だ

24.9 22.6 24.8 23.3 25.7 21.7 22.2 22.8 23.2 23.4

家でのふだん着には気をつかわな い方だ

67.2 71.0 74.8 77.7 75.3 77.3 77.5 71.7 74.8 77.0

服を買う時は、その服が男用か 女用かは気にしない方だ

51.1 47.5 40.8 33.8 26.0 26.4 26.5 30.9 32.3 37.0

従来のスタイルや基本形にはこだ わらない服装をする方だ

29.7 22.2 27.1 19.3 25.3 22.4 20.7 19.5 25.2 20.4

を買う時、バゲンやセール を利用することが多い

58.8 59.4 63.8

ファッション動向に敏感な方だ

30.1 32.6 29.8 33.4 39.0 36.1 34.5 32.0 26.0 31.5

下着など人目につかないところの おしゃれをしている

26.2 24.9 29.4 24.9 30.1 23.7 26.9 23.2 20.1 22.1

自分はおしゃれな方だと思う

28.0 23.7 25.2 24.5 22.2 16.5 23.3 23.6 24.1 25.1 23.2 21.7 23.8

自分は和服(着物、ゆかたなど) が好きな方だ

34.5 28.5 26.6 31.1 32.9 23.4 29.5 30.1 23.6 21.7

を選ぶ時、自ひとりではな かなか決められない方だ

23.1 26.2 20.2 20.0 16.8 27.4 18.2 17.6 24.8 17.0

異性の下着売場へ行くのは恥ずか しいと思う

19.1 18.3 13.6 11.5 15.7 14.4 14.0 12.7 12.1 13.0 13.2

や小物のオーーメイドを利 用したいと思うことがある

34.1 27.6 27.5 26.2 26.0 27.8 29.5 25.0 24.8 23.0

社会人でも制服はある方がいいと 思う

42.8 34.4 39.4 35.7 36.0 35.8 37.1 29.0 39.4 37.4

外出着はデザインやスタイルより もリラックスできるかを重視する 方だ

21.0 15.4 16.1 14.8 14.4 15.1 18.9 9.2 15.4 15.7

世界に一つしかない自分の服や小 物などを作りたいと思う

42.8 43.9 40.4 38.4 39.0 36.8 36.0 29.8 30.3 25.5

服の品質や機能が気に入れば

PB

などでも気にしない方だ

68.0 68.5 59.1

インターネットで実物を見ずに服 を買うことに抵抗はない方だ

36.8 39.0 37.0

服の素材は体温調整や筋力アップ などの機能性を重視する方だ

7.1 10.6

着るものを選ぶ時は

SNS

などでの 写真ばえを意識する方だ

6.4

(4)

質問項目と同様のアンケート調査を本学短期大学部

1

2

年生対象に行った。その単純集計の結果を「生 活定点」の集計結果と比較したものが図

1

である。

「服装は個性を発揮するための手段の一つだと思 う」98.5%、家出の普段着には気を使わない方だ」

88.2%、「プライベートブランドでも気にしない方

だ」82.3%が、学生の回答率が高いことがわかる。

また、20代女性と学生の回答率に差が大きかっ たのが、「和服(着物、浴衣)が好きな方だ」(20 代女性

21.7%、学生 54.5%)、「服や小物のオーダー

メ イ ド を 利 用 し た い 」(20代 女 性

23%、 学 生 52.9%)、「世界に一つしかない自分の服や小物を作

りたい」(20代女性

59.1%、学生 82.3%)であり、

回答率が低いが「着るものを選ぶときは

SNS

など の写真映えを意識するほうだ」が

20

代女性では

6.4%

であるのに対し、学生は

17.6%

となっている。

学生のアンケート結果について、エクセル統計ソ フトを用いて、主成分分析を行った。

3

に主成分分析の固有値表を示す。第

6

主成分

までの累積寄与率は

56.53%

であった。表

4

に各主 成分の主成分負荷量を示す。

図 1 衣生活に関する「生活定点」と本学学生の比較

表 3 固有値表

主成分 固有値 寄与率 累積寄与率

1 2.576 13.56% 13.56%

2 2.137 11.25% 24.81%

3 1.889 9.94% 34.75%

4 1.460 7.69% 42.44%

5 1.403 7.38% 49.82%

6 1.274 6.71% 56.53%

7 1.252 6.59% 63.11%

8 1.066 5.61% 68.72%

9 0.936 4.93% 73.65%

10 0.764 4.02% 77.67%

(%)

(5)

4 主成分負荷量

変 数主成分

1

主成分

2

主成分

3

主成分

4

主成分

5

主成分

6

着るものを決める時は、異性の目を意識する方だ

0.1282

0.0361

0.3882

0.2121

0.2369 0.0774

家でのふだん着には気をつかわない方だ

0.4865 0.3240 0.1981 0.0108

0.1688

0.4892

服を買う時は、その服が男用か、女用かは気にしない方だ

0.4935

0.3860 0.4781

0.1521 0.0120 0.0028

従来のスタイルや基本形にはこだわらない服装をする方だ

0.3959

0.4146 0.3000 0.2401 0.0773

0.4264

服を買う時はバーゲンやセールを利用することが多い

0.3154 0.4185 0.1369 0.1105 0.5452

0.1764

ファッション動向に敏感な方だ

0.3457 0.4951

0.2570

0.0890 0.4689 0.1389

下着など人目につかないところのおしゃれをしている

0.4576

0.2446

0.3585

0.2010

0.2218 0.0729

自分はおしゃれな方だと思う

0.5101

0.0455

0.2737 0.1307 0.2572 0.2157

和服(着物、ゆかたなど)が好きな方だ

0.3844 0.0082 0.5795 0.1045

0.3422 0.1103

服を選ぶ時は自分ひとりではなかなか決められない方だ

0.5866

0.0324 0.0731 0.2621 0.1187 0.4093

異性の下着売場へ行くのは恥ずかしい

0.1956 0.4794

0.2557 0.0572

0.4015

0.0096

服や小物のオーダーメイドを利用したい

0.4782 0.4467 0.1081 0.2157 0.0246

0.1783

社会人でも制服はある方がいい

0.2115 0.3791 0.2767 0.0305

0.2486 0.5152

外出着はデザインやスタイルよりもリラックスできるかを重視する方だ

0.2589

0.1741

0.0842 0.6910

0.0578

0.2286

世界に一つしかない自分の服や小物などを作りたい

0.4759 0.4388 0.4192 0.1408 0.2279 0.1796

服の品質や機能が気に入れば、プライベートブランドなどでも気にしない方だ

0.2318 0.0778 0.4714

0.2526 0.0581 0.0390

インターネットで実物を見ずに服を買うことに抵抗はない方だ

0.2076

0.2124 0.1911

0.6695 0.3347

0.1153

服の素材は体温調整や筋力アップなどの機能性を重視する方だ

0.0016

0.4886

0.2046 0.3035 0.3917 0.1798

着るものを選ぶ時は

SNS

などでの写真ばえを意識する方だ

0.1996 0.3758

0.3383

0.1575 0.0273

0.3689

(6)

2 第 1、第 2

主成分散布図

(7)

3 第 3、第 4

主成分散布図

(8)

また、図

2

は、第

1

主成分と第

2

主成分の散布図 を、図

3

に第

3

主成分と第

4

主成分の散布図を示 す。

1

主成分には、「自分はおしゃれな方だと思う」

「服を買うときにはその服が男用か女用か気にしな い」「服や小物のオーダーメイドを利用したい」「世 界に一つしかない自分の服や小物などを作りたい」

「下着など人目につかないところのおしゃれをして いる」が正に高く付加しており、「服を選ぶときは 自分では決められない」「家でのふだん着には気を つかわない方だ」「服を買うときはバーゲンセール を利用することが多い」が負に高く付加している。

このことから第

1

主成分は、ファッションに関する こだわりの強さを表す因子と考えられる。

2

主成分には、「ファッション動向に敏感な方 だ」「異性の下着売り場に行くのは恥ずかしい」「服 や小物のオーダーメイドを利用したい」が正に高く 付加し、「服の素材は体温調節や筋力アップなどの 機能性を重視するほうだ」「従来のスタイルや基本 形にはこだわらない服装をする方だ」が負に高く付 加している。このことから、第

2

主成分はファッ ション選択の際の柔軟性を示す因子と考えられる。

3

主成分には、「和服が好きな方だ」「買うとき にはその服が男用か女用か気にしない」「服の品質 や機能が気に入れば、プライベートブランドでも気 にしない」が正に高く付加し、「着るものを決める 時は、異性の目を気にする方だ」「下着など人目に つかないところのおしゃれをしている」「着るもの を選ぶ時は

SNS

などでの写真映えを気にする方だ」

が負に高く付加している。このことから第

3

主成分 はジェンダーレスなファッションを好み商品価値自 体を評価する姿勢を示す因子と考えられる。

4

主成分は「外出着はデザインやスタイルより もリラックスできるかを重視する」が正に高く付加 し、「インターネットで実物を見ずに服を買うこと に抵抗はない方だ」が負に高く付加している。この ことから、ファッションに置いての機能性を重視す る因子と考えられる。

4. 結論

近年のアパレル産業の低迷は消費トレンドに大き く関係している。若い女性のライフスタイルの変化 とそれに伴う衣生活に関する意識も急激に変化して いる。

この背景にある生活者としての意識や欲求がどの

ような特徴を持っているのか、基礎的資料を得るた め本研究を行った。

今回「生活定点」調査を資料として、本学学生の アンケート調査と比較した。

「生活定点」の調査結果から読み取れたことは、

この

10

年間に「ファッションは個性を表す手段で ある」とか、「ファッション動向に敏感」などの回 答率が下がり、「男性用、女性用課は気にしない」

などジェンダーレスなファッション意識が強くなる 傾向があった。

本学学生のアンケート結果からは、「服装は個性 を表す一つの手段」という回答率は高く、今回「服 飾文化論」を履修しているファッションに興味があ る集団の特徴を示している。

加えて、「和服の興味」、「オーダーメイド」、「世 界に一つしかない服や小物を作りたい」との回答率 も高かった。

最近の

SNS

映えを意識するという回答率も学生 では

2

割弱の回答率で一般の女性より高い回答率で あった。

さらに主成分分析結果より、第

1

主成分は、ファ ションに関するこだわりの強さを示す因子、第

2

成分は、ファッション選択の際の柔軟性の因子、第

3

主成分は、ジェンダーレスなファッションを好み 商 品 価 値 自 体 を 評 価 す る 因 子、 第

4

主 成 分 は、

ファッションの機能性を樹脂する因子と解釈した。

以上の結果から、現代若年女性の衣生活に関する 意識の変化について基礎的な資料を得ることができ た。今後はさらに対象を広げて調査を行いたいと考 える。

謝辞

今回、アンケート調査にご協力いただいた皆様に 感謝いたします。

引用文献

1)

博報堂生活総合研究所「生活定点」調査、2016

2)

中島義明、神山進

;

まとう─被服行動の心理学

─、朝倉書店、1996

3)

谷口正和

;

ライフスタイルコンセプト、繊研新 聞者、2008

4)

ジョアン・フィンケンシュタイン 成美弘至訳

;

ファションの文化社会学、せりか書房、2013

参照

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