奈良教育大学学術リポジトリNEAR
日本語の象徴語の語源―特に南島諸語に関連して(
その1)
著者 川本 崇雄
雑誌名 奈良教育大学紀要. 人文・社会科学
巻 23
号 1
ページ 15‑36
発行年 1974‑11‑15
その他のタイトル An etymological study of Japanese symbolic words with special reference to the
Austronesian languages‑1
URL http://hdl.handle.net/10105/2635
J5ft軒大虹.呼 T‑23世 ォ1し} (.vt二・汁会"蝣 naてlり9'f Bull. Nata Univ. Educ, Vol. 23, No. 1, (cult. & soc.) 1974
日本語の象徴語の語源‑特に南島諸語に関連して
(その1)
川 本 崇 雄 (英語学研究室) (昭和49年4月25日受理)
1.最近日本語の成立に際して果した南島諸語(マライ・ポリネシア諸語)の役割の重要性が次 第に明らかになってきた。1今ここに400余りの象徴語の語源的説明をこころみることによって,
日本語と南島諸語との親近性を一段と明らかにできれば幸であるO ここで象徴語と呼ぶのは,い わゆる擬音語(擬声語) ・擬容語(擬態語)のことであるが,いくつかの幼児語,例えば≪さよな ら≫の意味の「アバアバ」,及び感動詞(間投詞),例えば次の言葉へのつなぎとして用いる「ア ノウ」なども含めて扱う。とにかく象徴語の範囲を明確に限定することは難しく,ここで扱う意 味も極めて大ざっぱなものであることを,予めお断りする。
比較言語学の基本的な前提条件である形式と意味の窓意性が,この語類には欠けているという 理由で,この語類の語源研究には疑問を抱く言語学者が多いと思う。例えば大罪(1957, p. 119) には, 「擬態語というものは,比較の資料として重視することはできない。意味と形との間に何.
らかの心理的な関係があるので,別々の言語で,偶然同じ形をとることが考えられるからである」
とあるO しかし同じページに挙げてある15のレプチヤ語の擬容語とそれに対する日本語の訳を見 ると,著者自身も認めておられるように(同ペ‑ジ),意味と形式が日本語に一致しそうなもの は一つもないのである。擬音語でさえ英cock‑a‑doodle‑dooと日「コケコッコウ」の始め部分は なるほど似ているが,英yelpと日「キヤンキヤン」や英bangと日「ドシン」はとても似てい るとは言えない mozi‑moziを聞いて日本語を知らない英国人がwilly‑nillyを連想するだろう か。意味と形式との問に心理的関係があるのは,その言語を母語とする者,あるいはそういう 人と同じ程度にまでその言語に熟達した人について,始めて言えることではあるまいか niya‑
niya と≪意味ありげな笑い≫との関係は, sakuraと≪桜≫との関係と同じく怒意的である。日 namaeとドイツ語Name,ギ))シャ語7ZOTαMoCと北米土人語Potomac≪河≫2 のように,普 通の単語でも偶然の一致はある。
象徴語を比較言語学の資料から排除するのは,印欧語比較文法,すなわち象徴語の発達しなか った言語を扱うヨーロッパの言語学者が考え出した,無難な,消極的な態度であって,我々はE]
本語を扱う場合,ヨ‑ロッパ流の考え方に追従する必要はあるまい。印欧語の中では比較的発達 していると言われる,英語の象徴語の数が350ほどであるのに対し,3 日本語には一説によれば約 2,300あるのである04 数が多いばかりでなく,象徴語はその意味と形式が日本語の話し手にとっ ては,必然的なつながりを持っている。5 日常会話では盛んであるが,論文など硬い書きことば は勿論,新聞紙上でも案外少く,特に社説にはほとんど現れない。そんなためか我々は象徴語に 対して,幼稚な原始的な印象を持つ。6 心理的必然性と原始性とを併せ持つことは,この語類が 日本語の核心部にあって,極めて古い時代から形式も意味も余り変化せず,生き続げてきたこと
15
16 川 本 崇 雄
を暗示する。従って,例え多少の危険はあるとしても,棄てておくことは許されない程,象徴語 は日本語の語桑の車で重要な位置を占めている,と考えられるのである。この種類の語嚢が他の 言語のそれと意味が一致し,形式的には音韻法則が成立つとすれば,基礎語嚢と同じくらい,む
しろ有力な親族関係の証拠となると思う。21
文献に残る日本語の最古の象徴語「内ハ富良富良,外‑須大須夫」や「小雨曽保フル」などは 明らかに南島祖語(PAN)起源である。すなわち日 Fora<?pora: PAN *belaj ≪広がる≫;
日 subu <*sumpu <C*sumpi (a <^*iは音親の同化) : PAN *su(m)pit ≪狭い,袋のロ≫;日 sofo <,*sopu:PAN *sebu ≪小雨が降る≫のように,意味も形式もきれいに対応している。し かしこれは最も単純な対応例であって,もっと複雑な,もっと重要な対応例が,数は少いが存在 するのである.例えば南島祖語には*garis, *guris; *karkar, *kurkurといういずれも≪こす る,撞く≫の意味を持つ再建形式があるQ この四つを比較検討すれば,重複形*karkar, *kurkur はそれぞれ, *karis, *kurisの語尾が弱化脱落し, *kar,*kurとなったものが重複して成立したと 推定できるOあるいは*karis,*kurisが重腹し,それぞれ*kariskaris, *kuriskurisとなってから, 第二及び第四音節が弱化脱落した,と考えた方がよいかも知れない。さて,これらの諸形式から 直ちに遵放されるのは日 gari‑gari, gori‑gori; kari‑kari, kori‑koriの象徴語である。そして日 kak‑u≪掻く≫ kok‑u ≪(稲を)コク≫はPAN *karkar及び*kurkurの音節末尾音*rが脱 落した*kaka, *kukuに,7それぞれ対応していることが分かるO この末尾の母音*a, *uほ活用 語尾に取って代られたのである.日本語の象徴語の語根*gari, *goriはそれぞれPAN *garis 及び*gurisの五つの音素の中四つを保存しているが,動詞*kak‑, *kok‑はそれぞれPAN
*karkar及び*kurkurの六つの中半数を失っているO従ってもし日本語の象徴語kari‑kari がなかったら,日 *kak・ ≪掻く≫ PAN *karkar≪掻く≫が同源であることは証明できなか
ったであろう。できることはその可能性に対する単なる憶測であるo しかし象徴語haγi‑kari があり,しかも PAN *karkarの異形PAN*garis≪掻く≫があることにより,日*kak‑≪趣
く≫の語源は疑う余地もなく明らかとなったと言える。
太平記に「庖(サカズキ)に酒をたぷたぷと受けて」とある。このtabu‑tabuは現代語の「な みなみ」に当る.そしてtabu<^*tampuであって,本源的には*tapuに*mが挿入された形な のである。この Hapuが重複すると *tapu‑tapuとなり,第二,第四音節が弱化し*taptap‑ >
tataF‑≪湛う≫となったO これでta.ta.F‑は*tapuの重複形より派生したことが明らかであろ う。なお,この*tapuはPAN *tabu ≪水を汲む≫に対応するのであるo
上例から我々は象徴語の価値を認識すべきであると思う。意味が同じかまたは近似である象徴 語と一般語(多くは動詞)があって,形式的にも共通点がある場合,言いかえれば,いくつかの 音素を共有する場合,象徴語の形式の方が古いかも知れない。すなわち後者は前者の派生語であ る可能性がある PAN *makas <^*ma‑kas, *keγas <C*k‑er‑asはいずれも≪堅い≫で *ma‑, *‑er‑
は接辞であるから語根は*kasである PAN は日tに対応するから, PAN*kasは日 kata
≪堅≫の*kat‑に意味も形式も一致する。関連した象徴語kaci‑kaci≪非常に堅いさま≫<*kati は*kataより古いとすれば,後者は前者の派生形であることになる。つまりkata<C*kati‑aの ように名詞ないし形容詞語幹形成語尾*一αの付着によって成立したと推定される。しかもこのよ
うな接尾辞*‑αはメラネシア諸語に存在するのである。
象徴語の保守性の活用は,日本語の語源研究に画期的な進歩をもたらすであろう。
2.象徴語の語根の構造や派生の仕組は次のように,南島祖語に似た面がある。
日本語の象徴語の語源‑特に南島諸語に関連して 17
(1)最も普通の語根が2音節から成る。
Dempwolff (1934‑8)の南島祖語再建形2216の中2081が2音節である。例 *pejes ≪苦痛, 病気≫, *DukDuk ≪坐る≫0 日boya‑boya, bonyariの語根は'boyaで2音節 ‑n, ‑nは接
辞である。
(2)普通完全重複により,ときには部分重複によって派生する。
例:マオリ語patu≪打つ≫, patu‑patu≪皆殺しにする≫, pa‑patu≪打ち合う,ぶつかる
≫22;日siQtori, sito‑sito, sito‑t0. ‑0‑は接辞O
重複形の意味は,多くの言語に見られるような,時間・空間・数量の拡大,例えば日 batan (1回の音)に対するbata‑bata (何回かの音)や上のマオリ語の例の他に,ポリネシア語やメ ラネシア語では,語根の質的意味が却って弱められることがある。マオリ wera≪暑い≫, wera‑wera ≪温い≫; mate≪死んだ,病気の≫ mate‑mate ≪病弱の≫;22トンガkata≪笑
う≫ kata‑kata≪微笑する≫; puli≪姿が見えない≫, puli‑puli≪姿がよく見えない≫;23フ ィージーvale≪家≫, vale‑vale ≪小屋≫;モタ matig ≪ココやし≫, metigtig≪野生のや し≫ ma‑, me‑は接辞)24など。そしてインドネシア語派のマレーkuda≪馬≫, kuda‑kuda
≪木馬≫; perang ≪戦争≫, perang‑perang‑an ≪戦争ごっこ≫25にも現われ,本来広く南島祖 語の諸方言全体に存在した傾向と思われるo 日本語でも biokuri, biku‑biku; oyao, oya‑oya;
koraQ, kora‑koraには同じ傾向が見られるO 各対の前者は突発的で激しく,後者は時間的に余 裕があって迫力が弱い。象徴語以外の語乗から例を挙げると,その事実は一層明らかとなろう。
すなわちata‑ ≪熟≫ (熱海・熟川など), atata ≪温≫ <^*ata‑ata¥ me ≪女≫ me‑me‑si ≪女 々しい≫; maru≪丸≫ maru‑maru≪まるまる≫など. ≪女々しい≫は≪女≫ではなく≪女 に近いこと≫, ≪まるまる≫は≪丸≫ではなく≪丸に近いこと≫である。
このような重複による意味に同じ傾向が見られることは,注目すべき重大な事実であると思う。
(3)鼻音結合と鼻音代償(前鼻音化とも言う)
一般に南島祖語にはすべての塞音類が同器官的な鼻音と結合する鼻音結合と,鼻音が取って代 る鼻音代償が存在し,意味の微妙な分化に役立っている08例えばマライ語kapit≪味方,加勢
≫, kampit≪袋≫, kamit≪噛む≫の原義は≪一緒にする?≫で,音韻交代はp: mp: mであ るO 日本語にもsuru‑suru, zuru‑zuru, nuru‑nuru≪滑る≫があって z<^*nsであるから, S : ns: nの交代であって,南島祖語の原理と全く一致する0
3.子音,母音をそれぞれC,Vとすれば,象徴語の最も普通の語根はcmcmの構造を持つ。
そしてこれが単純形及び(または)重複形によって実現する。単純形は普通語根のままでは実現 せず,拡張的接尾辞‑Q, ‑N, ‑ri, ‑ra,‑ro の中のいずれか一つを取るO さらに拡張的接中辞 蝣<?‑,
‑N‑のいずれかがC2の前に挿入されることが多いo 通常C2が無声音なら‑0‑,有声音なら‑N・
である。重複形は語根を重複させるだけのものが普通であるが,上述の拡張的接辞を加えてから 重複させる場合もある。従って例えば語根pakuの単純実現形はpakuQ,pakuN, pakuri, paokiiN, paqkuri,重複実郷βはpaku‑paku, pakuQ‑pakuQ, pakuN‑pakuN, pakuri‑pakuri, paQkuN‑paokuN
などである09
象徴語の語根は次のような音韻変化によって二次的な語根を派生することがある。
(1)鼻音化。鼻音結合(鼻結)と鼻音代償(鼻代)がある。
鼻賠: toN‑doN <C*n(oN≪叩く音≫,鼻代: hisi <C*pisi‑misi ≪圧迫感≫などo
(2)Viがi, V2がaまたはOのとき, VlはV2に逆行同化(逆同)することがある:sina‑
18 1" 木 Ls iff
syana ≪女性的な動き≫, kiro‑kyoro ≪鋭い眼球の動き≫など。
(3)音位転換(音転)によるもの: haki(paki)‑kipa ≪決然≫, siku‑zuki<^*nsuki (*sukiの 鼻結) ≪刺すような痛み≫。
(4)子音の口蓋化: zabu‑zyabu≪洗濯≫ pun ≪息≫ ‑pyuu ≪風≫ peta‑pecya≪平ら≫
など.ただしm;aの前のh,p,b; の前のbは口蓋化すると安定せず,さらに別の音旗変化 を起す: nyoro ≪蛇行≫ <l*myoro (*miroの逆同 mero 「メロメロ」 <^*miro; boso<i*byoso
*pisoの鼻姑と逆同) ‑ hiso <^*piso ≪小声≫010
4.象徴語の語根と南島祖語の語根との音韻対応の法則は,日本語一般と南島祖語との問のそ れと同様である。日本語の時代区分を便宜上pjp. (日本祖語), OJp. (上古・中古), MJp. (中 世・近世),及びNJp. (現代)とする。 PJP.とはPANとOJp.との中間に位置する仮説的言語 である PANの下位言語であるPEO (オセアニック祖語), PPN (ポリネシア祖語)を含める と,これら諸言語の問の音韻の対応関係は表1,表2,表3のようになる。11
衰1.南島祖語(PAN),オセアニック祖語(PEO) ,ポリネシア祖語(PPN) 及び日本祖語(Pjp.)の音韻対応
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表2.日本祖語(Pjp.)と古期日本語(OJp.)との音朝対応
PJp. p mp nt k k ∂ u ai la ∂i ui au OJp. d y s z y k m n y r y y w ∂o i u e e I I o
表3.古期(OJp.),中期(MJp.)及び現代日本語(NJp.)の音韻対応
OJp. y (ォ)
MJp. f p b t c d j y q NJp. h p b t c d z s
注.少はゼロ。 ( )はまれな音親もしくは多少疑問のあるもの。
なお表2には次のような例外的対応がある。
例外1. CxがOJp.顔 (ゼロ)に対応する(脱落する)ことがある。
PJp. (PAN)
(1) pura (bulan ≪月が明るい≫) (2) tumi‑numi {tubir ≪水の深み≫) (3 ) sa甲kuto (zarjgut ≪あご≫)
(4) namu (namuk ≪蚊,ブヨ≫) (5) kayuk‑ {gaywi ≪ゆれる≫)
U) a e∂ I I O∂ u
v a e i o u
h a e i o u
OJp.
ura‑ura ≪月が明るい≫
umi ≪侮≫
agito, agi, ago ≪あご≫
amu ‑^ ;ブ̲Tj、
ayok‑u ≪ゆれる≫
例外2. C2が歯茎音のとき, V2のiカ OJp. 6になることがある.
(6) piri (piliq ≪拾う≫ Fin‑FU, FirO‑FU ≪拾う≫
日本語の象徴語の語源‑特に南島諸語に関連して
(7) pisi (8) siti
例外3. VxがNJp.
(9) kata
(10) ♪〟∫∂
(ll)紺rα‑
(12) piru
{pisi ≪ささやく≫) (rintik ≪滴る≫) eになることがあるO
(kata ≪笑う≫) (pusej ≪へそ≫) itera符≪明るい≫) (biluk ≪蛇行する≫)
例外4. Viのpjp. ∂ (13)如ra 例外5. Vlのpjp. 〟
(14) puku
(15) tuntuku
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Fis∂≪密,ささやき≫
sit∂ ≪滴る≫
NJp. keta‑keta ≪笑い声≫
OJp, FOSO, NJp. heso ≪‑そ≫
OJp, NJp. tera‑su ≪照らす≫
OJp. Firo‑r0‑gu≪よろめく≫ MJp.Fero‑
Fero‑yaへロへロ矢 NJp. hero‑hero
(PAN e)がaの前でuになることがある。
(gela♪ ≪暗い≫ OJp. kura‑si ≪暗い≫
(PAN u)がiになることがあるo V2がuである場合が多いようである。
(bin)kuk ≪曲る≫:トンガpuku‑puku ≪背の低い≫) OJp. Flku, Ftki ≪低い≫
{tuDuq‑tuNDuq ≪楠≫) OJp. siduku ≪楠≫ <^*tintukuなお(3)の 第2音節。
例外6. PJp.ォ(PAN u)がOになることがある。
(16) kusu (gusuk ≪こすってきれいにする≫ NJp. kosu‑ru ≪こする≫O その他上の(3),
(5), (12)c
例外7. PJp. i (PAN OがeになることがあるO
(17) (m)pi(m)pi (bibiR‑mbimbiR ≪陰唇≫) Mjp. FeFe, bebe≪陰唇≫Oその他上の(12)c 上述のようにPANの構造は一般にclvlc2c3v2c4であるが C¥, C2及びC4はゼロのことが ある。そしてこれに日本語の象徴語の語根CJSR)が対応する仕方には2種ある。
対応A. C3V2C4に新たに母音を追加する: *bisbis ≪滴る≫ JSR bin <*mpisi≪滴る≫, OJp. bisi‑bisi 「鼻ビシビシ」; *lemlem≪曇≫, *DeDem≪暗≫, JSR domi, MJp. domi≪曇≫
<*nt∂mi; *paspas≪ほこりを払う≫ JSR pata, NJp. pata‑pata ≪ほこりを払う≫などO 対応B. C2とC4を脱落させるOただしC2が鼻音のときは保たれることがある。 :*ta(m)bun
≪多量≫, JSR tapu, NJp. taQpuri ≪十分≫ *a{m)bay≪手を振る≫ JSR aba<^*ampa, NJp. aba‑aba ≪さよなら≫; *lemlem ≪曇≫, JSR doyo <^*ntoro, NJp. doNyori ≪曇≫など0 5.語源説明に掲げるPAN, PEO, PPNやその下位言語の相互関係を図示し,それぞれの略号
を付したのが図1である。12次の語源表の見出しは日本語の象徴語の語根をアルファベット贋に 配列したo例えば, 「チンバ」, 「デップリ」, 「ドンヨリ」は ciNba,deopuri,donyoriの接 辞蝣N‑, ‑Q‑, ‑riを除いた形 ciba, depu, doyoで挙げてあるO ((名))は忠詞, ((形))は形容詞, ((動))
HK<C
は動詞; ((莱)), ((近江))などはそれぞれ東方言,近江方言; ((幼))は幼児語。
語 源 表13
aba aba, aba‑aba人と別れる時,普通手を振りながら言うo 〔関連語〕 ami嫡,エビに似た 節足動物; ebiエビ<j*ampi; kame ≪亀≫ <^*kama‑i,u kaFi‑na ≪腕≫ <?kapi‑: ‑pjp.
AMPA≪手を振る≫, AMPI ; KAMA, KAPl ≪(手足などが)ゆれ動く≫
PAN a(m)bay: Tb. m‑abe‑abeなびく, ambe腕をぶらぶらさせる, Ja. awe手を振って
合図する, Ml. ambai魚網,磯蟹の一種; [異形] PAN k‑apayゆれ動く: Ml. kapai (演
20
北部南鼠言'H‑
(台湾語)
用 木 ・''* =!l三
図1.引用する南島諸語の相互関係
If‑; <!:. ;・" ..・'
(77‑(・*蝣I)
,'L甘、を「∴∴
(インドネシア語)
▲
タジトマガホ(
バ ジ マ ガ . ユ xI で ヤバレ.
‑!.
ネシア祖語) PAN
モ サ フ ロ ト サ フ ラ マハ
イ ロ
1ト ン モ ト ト オ ワ ジ ン グワクlク ァ) タ アl マ ガ ア ナ ガリ イ Tg.Ja. Tb.Ml.Ng.Ho.fMg.) Mo. Sa. Fi. Ro. To. Sm. Fu. Ra.Ma.Ha.
など)翻る, (初心者の水泳のように)手足をばたばた動かす, ke♪aiエビ abu I溺れる‑すaPu
abu IIよだれ‑→zabu II
agu aguQ, aguri大口で食いつく aNguri, ((岩手)) waNguri大口をあける agu‑aguがつがつ 食べる, (犬がふざけて)軽く噛む; 〔関連語〕 ago, OJp. agiito)あご, agito‑Fuあごを動かす
<*a甲kut∂‑p一蝣蝣‑pjp. ∫a甲kilt∂ ≪あご(を動かす)≫
PAN zangrutあご
ana OJp. ana, ana‑ana感動,驚き na; ono, no<^*n∂ ara, ara‑ara; are, are‑are軽い 詠嘆,念をおす,相手の関心を引く; [関連語1 OJp. ana, na二人称代名詞, on∂ ‑人称代名 詞: ‑PJp.26 ENA, ENO, E尺A ≪指示的≫.
PANini: PPN eniこれ,ここ,自分の近く;メラネシアLifu語eni私; PPN enaそ れ,そこ,相手の近く; PNP elaあれ,あそこ,自分からも相手からも遠く: Ma.na,no.
そこ;はら,僕の言う通り; andそこ;そら(注意をうながす), anana称賛の間投詞; ara 向うの方 ara,are(驚き)何と; anei ここ。
ano ano‑「アノネ,アノナ」, anooためらうとき,あとの言葉が出ないときの挿入的な語:[凋 連語1 ani豊? <^*ani <^*ano‑i,u nani何? <*n・arii *n‑ano‑i: PJp. anu, nanu ≪何?≫.
PAN anu, n‑anu何? 〔 n‑naは冠詞の一種〕: Mg. and…an6あとの言葉(物の名)が出 ないとき,何度も繰り返す挿入的な語0人の名を思い出せないときは,人称冠詞iを付して i and…i an∂を用いる(Codrington 1885, p. 135)
apu aQpu‑aQpu, abu‑abu溺れる; 〔関連語〕 OJp. ugaF‑u((動))吹,ウガイをする: ‑PJp. KA‑
日本語の象徴語の語源一一一特に南島諸語に関連して
1M
(m)pu, vjKAP‑ ≪ロをばくばくさせる≫.
PANgap: qegapあえいで口をばくばくさせる Tb. m‑ogap溺れる; PANkab: unkab:
Ml. ung(k)ap‑ung(k)ap, ngap‑ngap (溺れる人,魚が)口をばくばくさせる.
ara 驚き‑ana are 驚き‑a∫la
an ari‑ari あるべきさまを摸して真実らしく,現実のように,明瞭に見えて; [関連語]OJp.
αr‑〟((動))神霊・天皇など神聖なものが出現する;αrα一現。アラガミ(現神),アラヒトガミ(覗 人神)など<*ari‑a, ara‑Fa顕,明白,むきだし ara‑Fa‑ru 動)〕現れる,神仏が姿や霊験を 現わす; ara‑ta目に鮮やか,結果が著しい,霊験アラタカ <C*ari‑a‑pa/ta: PJp. sari, sam‑als
≪出場≫
PAN Rari: PPN ali: Ha. alt, aliali透きとおった; Ma. ari, ariaγi明白な,むきだし の; arid現れる,ぼんやり見える;類似,概念,思想,感情;空想上の存在,妖術的媒体;
ariarid似ている。
asa 簡単‑saba ata 鴇‑aza
aza OJp. aza‑aza, aza‑yaka鮮明, aza脆; [関連語] asa, ((方言)) asari朝; ata熟海・熟 川など MJp. ata‑ataアツィ,アツイ atata‑ka温<C*ata‑ata‑ka; OJp. ata‑kata, ata‑kaア タカも(ata,kata類似);ada徒,実質のないもの;kata形,壁,原物に似たもの,絵,彫刻;
katar‑u ((動))編,本物を真似る: ‑PJp. a(n)sa(ri) ≪鮮明≫ a(n)ta≪熟;見せかけ≫, kata(r) ≪類似≫
PAN qantaD: Ja. antar赤熟する To. ataあけぼの,早朝; ata‑ata薄明るい; 'ata 影,映像,像,絵; Ha.aka 影,象,類似; akaaka,akaka明瞭な,透明の,輝く; Ma.
ata形,型, (実質のない)見せかけ; whaka‑ata水に映る,真似る,振りをする(whaka一 動詞化の接頭辞)0
bacya はねかす‑basya
bara I bararらbara‑bara, parari, para‑para, harari, hara‑hara, MJp. wara‑wara, OJp.
Fara‑Fara髪の毛が垂れる,抜け落ちる,花びら・木の葉・涙などが落ちる,雨がちょっと降 る bara‑su ((動))あぱく OJp. Far‑u ((動))墾る borori, boro‑boro, porori, poro‑poro, horori, horo‑horo, OJp. For・0‑Foro涙,木の葉などが落ちる Fun‑Fun舞い落ちる hur‑u, OJp. Fur‑u ((動))降るo l多分関連1 or0‑oro 涙もろい ‑PJp. (m)para, (m)puru≪軽いものが落ちる≫
PAN palpal脱毛。はげ; pulpul落葉。
bara II MJp. barari <C*mparari, Farari <^*parari巻いたものを開く。脱ぐ; abaraすき 問が多いQ あけ広げた; aba‑ku 働))顕わにする <^*ampa‑; OJp. Far‑u ((動))網・旗・帆・
弓の弦などを張る:‑PJp. ampa(ra), (m)para ≪広げる,張る≫
PAN qampafr]広げる。伸ばす: Ml. hampar毛布・蓮などを敷きのべる,綱・テント
・帆などを張って広げる。
bara III bara‑バラ播く bara, bara‑bara, ma‑bara, OJp. Fara‑ra散在 Fara‑ra‑ku {(動)) ばらばらにする ‑PJp. (m)para ≪播く≫o
PAN bar: seba[r]播く: Ml. sebar種をまくo 流布する; sebar‑an散らばった
basya basyao, basyaN, basya‑basya; bacyao, bacyaN, bacya‑bacya; pasyaQ, pasyaN, pasya‑
'サ')
用 木 崇iff
pasya; pacyao, pacyaN, pacya‑pacya, pisyao, pisyaN, pisya‑pisya, picyaQ, picyaN, ♪icya‑
picya, picio, pictN, pici‑pici水などはねかす; bisya‑bisya, bicya‑bicya濡れる: [多分関連]
han‑eru, OJp. Fan・u ((動))擦る ‑PJp. (m)PASA, (m)PATA, (m )PISA, (m)PITA, PITl, PAN‑
≪はねかす≫, MPISA, MPITA ≪濡れる≫。
PAN pancarはねかす; basaq濡れる; Ma. piha, pihapihaカヌーの後ろの披 pit 鯨の吹く潮; Ml. bechak, bechek道などのぬかった.
bata I batan, pataN戸が閉まる。強打; baotari, paQtari出会う bata‑bata, pata‑pata片 付ける。打つ; MJp. Fa(o)ta硯む,強打 OJp. Fata‑tak‑u ((動))身づくろいする; Fadak‑u
くしけずる; hata‑ci 20歳; mata股 matag‑u跨ぐ; mata‑si全 ‑PJp. (m)pa(n)ta(k), mata(符K) ≪整える,二つが一緒になる≫
PAN pasan, masaij整える Ml. pasang馬具をつける.武装する。配置する。 (錠前を) 下す。 (戸を)締める。射る。 (弾,げんこつを)打ち当てる。謡撒]させる。正しく合わせる。
一対。一組。一着; To. mahangal 双子,勝負の引分け。
bata II bata‑bata, pata‑pata物事が順調に進む,捗る; hatas‑〟 ((動))栄,遂行,実現; hata‑
raku ((動))働,効果 MJp. wasa‑wasaあわてる, wasa‑, wase早生:‑PJp. (m)pata, mpasa
≪順調≫。
PAN pantas効果,成功 Ml. pantas速い,元気のよい,活動的,上手な,短時間の, 性急な。
bata III batao, bataN, baQtari, patao, pataN, paotari, bata‑bata, pata‑pata, hata (病気 で,死んで)倒れる; baQtari, paqtari止む; bate‑ru ((動))壊 hate‑ru ((動))終,死; OJp.
Fata‑te, Fate果,終; [多分関連1 made迄: PJp. (m)pata, mante ≪死,終≫。
PANpatay, matey死,終: Ma. mate死,病,完成,終。
bebe bebe, 0‑bebe ((幼))着物:‑PJp. MPEMPE?
Ml. ∂β∂β小児服,少女服
becya becya‑becya, becya‑kucya, pecya‑pecya, pecya‑kucya喋る ‑PJp. (m)pita≪喋る≫
Ml. bechang‑bechok騒がしい;口論; bichara 討議; ber‑binchang‑binchang繰り返して 話す
bero bero‑bero泥酔 mer0‑meroだらしのない hyoro‑hyoro よろめく <C*Fyoro<C piro [逆同]; MJp. biro‑biro探しまわる Fero‑Fero‑ya 弱い矢 OJp. Firo‑rog‑u {{動))よろめく
<C̲*pirog‑, fiγ0‑meku ((動))腰がふらつく。蛇がうねるo稲妻が光る Ftru‑muたじろぐ;[多分 関連1 nyoro‑nyoro蛇など‑蛋 3 (4) : PJp. (m)piru(りk), miru ≪蛇行≫
PAN biluk (‑miluk): Ml. belok船を風上に走らせる.方向を変えるo 曲がる; belok‑
belok撰じれるO うねり曲がるO よろめき進む; Sa. hiluhiluジグザグ。 [OJp. mi≪曹曲 した地形.,蛇≫, mir‑u≪まわる。めぐる≫は*muγ‑または*m∂r一に逆のぼると思われ, PAN belit, belut, melut≪廻る。曲りくねる.奪曲o うなぎ≫と比較されるO]
beso beso, mes0‑meso泣く; biQsyori, bisyo‑bisyo, biocyori, bicyo‑bicyo濡れる; bici‑bici, OJp. Fiti‑Ftti下痢; OJp. bisi‑bisi鼻汁がたれる ‑PJp. (m)piti, mpisi, misi ≪滴る≫
PAN bisbis滴る,戻;濡れる[このbisとbasaqのbasは日本語と平行している→
basyal
beta I beQtari, beta‑beta, beta‑一面に,隙間なく,平ら,粘る<C beta<^*bota; peQtaN,
日本語の象徴語の語源‑特に南島諸語に関連して 23
petari, pesyaN‑ko, pecyaN‑ko, peta‑peta粘りつく,貼りつける,一面に,平たい<i*peta‑pesa
・C*pota‑p∂sa; mozya‑mozya, mosa‑mosa, musα蝣musa, musya‑musya 毛などの密生; OJp.
mosi ((形))茂<C*mosa‑mosi; beQtorらbeto‑beto粘りけのある濃いものが一面に,粘りつく;
[多分関連] OJp. foto‑foto近迫,非常に ‑PJp. (m)POT, MPOS, MOS ≪隙間なく,平ら,濃い≫
PAN petpet (‑metmet) mpetmpet濃い,密生: Fi. mbomb0日をつむる Ml. pepat 充満,平ら;枝を刈りこむ,歯にやすりをかけて平らにする cf. Ma.poto短い, potopoto 間もなく;残らず
beta II 太った >bote bici 下痢‑→beso bicya 濡れる一斗basya bicyo 濡れる‑→beso
biko biQko, biQko‑syaoko, kata‑bigkoちんば¥̲kataについては‑gataj; biku 「ビクともし ない」 bikuQ, biokuri驚。 biku‑biku小心; hiQkuri‑kaeru ((戟))転倒,混乱[deguと比較];
OJp. Fiku, Fiki <C*puku低; peko‑peko, pekon, pekoriおじぎ, peko‑peko, ‑peko空腹, ‑ラ ペコ; heeko‑ra, heko‑heko卑屈<* 丘o <C*puku: PJp. (m)piku, puku ≪片足の曲った' 身を縮める,身を曲げる≫
PAN birjkuk足の曲った To. piko, piko‑piko曲った, pi‑piko気の進まない; Ma. piko 曲る,かがむ, pikoko空腹の; Ml. bengkok曲った,ゆがんだ, bingong狼狽した,混乱 した,途方にくれた; PANbuijkok曲った: Ml.bongkokせむし,うやうやしく身をかが める, bongokずんぐりした,馬鹿な; To. puhu‑puhu背の低い
biku 小心‑biko
biri biribiri下痢 biri, birtQ‑kecu最後(‑放出する場所): PJp. mpiri ≪下痢≫
PAN piRpiR‑miRmiR 噴出 Tg. p‑al‑igpig17よどれる, Tb. mimirどっと湧き出る, Ma. mimi小便,放尿。 [OJp. Fir‑u ((動))≪尼・大便・鼻汁など放出する≫の母音は乙類;
恐らく PANqa(m)buR≪播く≫: Tb. abur≪したたり出る≫ MI. hamboγ≪播き散ら す, (血・汗・涙などを)たらす≫ PANsa(m)buR≪播く,水をはねかす≫ PAN tabuR ≪(軽く)撒布する≫から抽出されるbuRと関連があると思われる。 beroの[ ]
一蝣‑ア.照。]
biro 探し回る‑bero bisi I 鼻汁‑beso
bisi II biasiri詰まる, plCIQ, plQCin隙間がない miQsiri, miQcin十分,充実 bisi‑bisi, piSI‑piSI遠慮なく(‑ゆるみがない,隙がない), bisi‑bisi, misi‑misi押されてきしむ, OJp.
FISl‑FISl混み合う,詰まる,迫る,床が鳴る; [関連語3 mic‑u<^mit‑u ((戟))満つ:‑pjp.
(m)pISl, MISI, MIT≪隙がない,押しつける≫
PAN pitpit (‑mitmit)締めつける; cf. PAN petpet濃い,密集‑beta I bisya 濡れた *‑basya
bisyo 濡れた‑beso bocu 少し‑bucu I
boko I bokoN凹, ana‑boko穴凹, deko‑boko凸凹, boko‑boko穴だらけ; [関連語 ] hek0‑mu
ォ,*Feko‑ <*poku‑)凹む: PJp. (m)poku ≪凹≫
24
用 †こ 崇 yi:Ha. po'o空洞 po'0‑po'02a(病人の目など)窪んだ Ma.poko穴 cf. PAN be(り)kuu琴曲 boko II 打つ音‑poka III
boro I 滴る‑bara I
boro II boro‑boro (OJp. Foro‑Foro)崩れる,破れる poro‑poro飯など乾いてばらばら, 0‑boro, so‑boro魚粉 OJp. Foro‑r0‑gu I働))ばらばらにする moro‑si ((形))脆い ‑pjp. (ォ)‑
PURO, MURO ≪脆い≫
PAN buDbuD粉砕,粥: Tg. budbud粉末状の Ml. bubor粥
boro III boro‑boro破れいたんだ boro使い古しの布,着古して破れた着物; [多分関連]
OJp. Furu‑si ((形))古い For‑obu ((動))亡ぶ:‑PJp. (̲M)PURU
PAN buRuk腐敗: Tb. buruk使い古した Ho. vuzu元気のない Ml. burok腐った, 汚い, (紙幣など)ぼろぼろの, (衣服の)すりきれた,疲れ果てた,衰載した, kainburok ぼろ布(kain布)
bosa bosao, mosao, bosa‑bosa, boyao, boNyari, boya‑boya不注意,歴然; muya‑mi盲目的, MJp. muza‑muza, musa, muJa‑ntusa無為 otaN‑ciN, otaN‑konasuまぬけ utata‑ne (<^*ota‑
ota‑ <i*pota‑)居眠り ‑PJp. mpo(n )sa, mo(n)sa/(m)puta, muta ≪目をとじる≫
PAN pezam‑mezam目をとじる,梶,不注意: To. mohemohe始終居眠りばかりしてい る PAN buta盲 muta眠病: Ml.buta盲,眠る,休む,向う見ず
boso ささやく‑hiso bota 太った‑すbote
bote bote‑bote, bota‑bota太った, (鼻など)太い, ((近江)) buta‑buta腿; buta豚(‑太った 動物) ; pocya‑pocya, hocya‑hocya, maru‑pocyaふっくら hoo‑beta, siri‑beta, hoQpeta, siriQ‑
peta脹らんだ部分; [関連語]MJp.bote腹 bote‑ru腹がふくらむ PJp. (m)puta≪脹らんだ≫
PPN puta?: To. puputa,putoputa太り過ぎの Sm. puta肥えた,丸ぽちゃの boya だ然‑bosa
bucu I bucu‑giri魚・肉の切れ, buQCUγi, pucuN, pucuri, puacuri, huQcuri (OJp. futu‑futu) 切れる,止める; bocu‑bocu少しずつ pocu‑pocu少しずつ,あちこち, pocuri, pocuN一人, 淋しく ‑PJp. (m)putu ≪切断≫
PAN putun puTus, puTul切断 To. motu (綱・棒など)切る;分かれる, mutu切り 落す,急に終る; Ma. motu切れた,孤立した。
bucu II 粒立つ‑cubu II buka I 浮かぶ‑puka
buka II buka‑buka衣類の大き過ぎ, boke呆; pokan (OJp. foka)ロを開く,馬鹿づら,不 注意, poQkari穴が開く; uQkari, uka‑uka不注意; [多分関連J uga‑cu, OJp. uka‑tu ((戟))穴 を開ける; muk‑u ((動))皮をほぐ, (目を)大きく開ける; OJp.Fok‑u((動))ぼける, Foga‑ra情 れ渡った,朗ら ‑pjp. (*)ォ/(ギ)ka, muka≪開く,弛む≫
PAN buka (‑muka): Ml.buka開く,むき出しになる,脱ぐ,地める,広がる, (目, 口を)開ける Ma. huke掘り出す,魚の腹わたを取り出す, huke‑huke馬鹿
buku I buku‑buku, muokuri, muku‑muku, huokuγa太った, muku‑mu, huku‑ramu ((動))版, huku‑ro袋 hugu‑ri (<C*pu(ji)ku‑} 陰のう; macu‑∂oQku・ri松かさ OJp.Fuku‑Fuku‑si肺:
‑PJp. (m)to(り)ku, muku ≪ふくれ≫
口本譜の象徴語の語源‑特に南島諸語に関連して 2r>
PAN buku (‑muku): Ha. ♪〃'〝・♪〟'〟20隆起の多い,癖だらけの,脹れた;丸い部分, 脹れた部分,にきび,いぼ,喉,心臓,冒, Ma.puku張れ,将,冒,内臓
buku II 泡‑puka
buri buri‑buri,puri‑puri, buu‑buu怒,不平; MJp. i‑bur‑i不平,すねること:‑PJp. (m) PVRI ≪不平≫
PAN buru, buRu: Tb. i‑buruねたみ Fi. vu‑vu妬みっぽい
buru buru‑buru, MJp. buri‑buri振える pun‑pun小刻みに揺れる; [関連語] hur‑u ((動)) 振・・‑PJp. (m)puri ≪振る≫
PAN pelik: Ho. pelika, ♪eli‑pelika振る,扱える buu I 不平‑buri
buu II buu, puuおなら; pu(u)Q,puu‑puu,huuQ吹く; huu‑huuあえぐ byuu‑byuu, pyuuo, pyuu‑pyuu風; hoQため息; OJp. Fyoo矢が風を切る ‑PJp. (m)puu≪吹く≫
PAN puput吹く PPN pu: To.ma‑♪u口笛を吹く, p涼 おなら, Ha.puほら貝 Ma.
pu一笛
buyo buyo‑buyo柔らかで脹れて:‑PJp. MPvru Ml. buyut, boyot筋肉の弛んだ,肥満したo byuu 風‑buu
ciba ciNba, kata‑ciNbaびっこ:‑pjp. ≪びっこ≫
PAN [t]impanびっこをひくo
CICI CICIQ,CICl‑CICl小鳥が鳴く MJp. jiji‑meku, ciji‑meka, sizi‑meku ((動))小鳥が鳴く, sizi‑me雀; OJp. sit∂一t∂雀の一種:‑PJp. sITl, TITl ≪小鳥の声≫
PAN (itcit小鳥の声
ciga ciga‑ciga, ciN‑ciN(‑moga‑moga)片足を後方に上げて一本足で跳ぶ遊戯, ‑ken; ciga‑
cigaちんば歩き; [関連?] zyaka‑zyakaせわしい三味線く*zika <^*ntika [逆同]: PJP.
Ti(tJ)KA, TINTIN ≪びっこ, (律動)≫
PAN ti(n)kaq律動的: Tg. tikaびっこをひく, Ml. tingkab拍子を取る; cf.Ml.jingkat びっこを引く, jingkek片足とび; PAN tirjtir): Ml. tingting, tengtengぴょんぴょん跳
,*蝣*
′<Ko
cika cikaQ光が強い, cika‑cika星など光る,まぶしい,光で目が痛い,とげなど痛い; [多 分開運1 tekaQ, teka‑teka光る:‑PJp. TIKA≪光,とげの痛み≫
PAN [t]ikam: Ml. tikam (針,刺,槍など)刺す, ber‑tikam‑tikam刺し合う,刺し違 える。
ciku I 少し‑cyoko ciku II 刺す‑zuki cima小一cubu I
cin I ciN‑ciN金属を叩く音 ciN‑doN, ciN‑ciN‑doN‑doNチンドン屋[‑don], ten‑ten, ten‑cuku, deN‑deN, deN‑cuku鼓・小太鼓の音[‑とukuは‑don]:‑PJp. TIN≪高い音で叩く≫
PAN Tir), TitfTig高い音,金属性の音; cf. PAN TurjTui)にぷい音。 cf. MI. singチリ
ンチリンC,
II CllN, CIN‑CIN鼻をかむ cIN‑CIH湯が沸き素気が狭い口から噴出する ‑PJp. Hn≪
26 川 本'・J三 雄
噴出の音≫
Ml. sing鼻をかむ音,風を切る音[Ml. sing: NJp. ciNについては‑cin I]
cincin I 片足とび・‑ciga
cincin II 犬が後足で立ち前足を垂れてバランスをとる: ‑PJp. TINTINバランスをとるo PAN zirjzigバランスをとる Tb. zingzing高く捧げる, Ja.zinzingすらりとした, Ml jinjing軽い物を手に提げる。
cira ciraQ, cirari, cira‑cira見える,見る,光る:‑PJp. TIRA≪瞬間的・断続的に光る≫
PANsilak: Tb. sillak明るい, Ja. silaひらめく, Ng. silak隙間 Fi. zila (天体が) 光る To.hilaちらっと見る, hilehileちらちら見る。
ciri ciri‑cin胸やけ,辛い物が食道にしみる ‑PJp. TIRI ≪辛い物がしみる≫
PAN siriq (食物が)辛い。
ciro 滴る‑→cyoro
cubo cuNbo, mimi‑cuNbo聾, hana‑cuNbo鼻が利かない, MJp. cuNb0‑musya指物をささぬ武 士, cubu・su ('動))機能を失わせる,目・耳をツブス:‑PJp. TUMPU≪麻痔≫
PAN lumpuq: Ml. lumpoh麻挿した,政の,中風の。
cubu I cubu粒 cubu‑cubu,C音転]bucu‑bucu粒々 cubu‑su ((動))粉砕する, cyoboQ, cyoNoori, cyobo‑cyobo小,細; OJp. tubu‑tubu 小粒, tubu少しも tubara‑tubara, tuma‑Ftraka詳;
tum・u, tuma‑mu ((動))捕,孤 ciNmari, ko‑ziNmari, cima・cima 小; [多分関連] cyobi‑, cyoNbiri, cyobi‑cyobi, cyoQpiri少:‑PJp. TOMPU, TOMPA, TO(M)pl ≪小,細≫ TUM‑ ≪摘 む≫
PAN repuk, rempak崩壊: Tg. limpak破片 remuk: Tb. romuk‑romuk小片 Ml.
remok粉砕する; PAN zemput, zu(m)put指で孤む: Fi. zovut‑a小さく折り取るo cubu II 沈む‑zubu I
cuka zuka‑zuka, cuka‑cuka平気, zuke‑zuke, cuke‑cuke無遠慮, cuokeN‑doN無愛想[この
*cuAe‑don (<^*‑ntun)はdoN‑cuku ≪太鼓の音≫とほとんど同音異義語をなす。 →don Ij; nuke‑
nuke厚顔; cunすました cUN‑CUN無愛想,上方に突出 sUN‑SUNりりしい; [関連語J suka・su ((戟))気どる:‑PJp. (n)tuka, nuka, tun ≪気どる≫
PAN g: sugar: Ml. songar気どった,きざな Tb. sungar‑sungar鼻であしらう, Ja.
sungar自慢する PAN ziujzuり Tb. zurjzu符an指揮者 Ho. dz払乃dzuna 誇らか Ml.
Junjong亘酎こ載せて運ぶ;主人,領主;敬うo
cuku I cuku‑neN (OJp. tuku), cuku‑zuku じっと, nuku‑nuku平和・, [関連語] cuk‑u ((動)) 着席; [対応B] MJp. todo坐ること; [多分関連] toro,((方言)) noro‑noro水の淀んだ所, nodo 閑, yodo淀; OJp. ‑do住居,所 ‑PJp. (njtuku, nuku; tuntu, nuntu, turu, nuru;
ⅣTU ≪静止,安住≫
PAN Duk住居 DukDuk: PPN ruru: Ha. /〟J〟凪,平和,静,安全な所,碇泊 Ml.
dudok着席する,住む,留る Ho. ruru就寝
cuku II 立つ一斗suku
cuku III 太鼓‑don I
cun すました‑→cuka
cura 遵‑zura
日本語の象徴語の語源‑特に南島諸語に関連して
mcuru 1 curuN, curunすべって転ぶ curu‑curu うどんを噛まずに飲みこむ cururi, sururi 抜ける, suru‑suru紐などたぐる,順調に進む zurun手答えなく抜け落ちる zuruQ‑kokeru ((動))ゆるんでずり落ちる, zuru‑zuγu (OJp. nuru‑nuru)ほどける; nurun, nuru‑nuru うなぎ
・池など: PJp. (n)turu, nuru ≪滑らかに抜ける≫
PAN lur: lurus滑り落ちる: Tg. luros下流へ; Ml. lurut脱落する,擦り落す,滑り出 る, (指輪を)スルリと外す, (稲を)こく, (紐を)指の間を滑らせる, (川が)流れ下る, lulor中へ滑りこむ,噛まずに呑みこむ ge‑lulor (ズボンなど)滑り落ちる, (油で)汚れ
た, (ボールを追いかけながら)転ぶ<C*lurlur
II curu‑curu滑る MJp. turu‑turu ((Hポ辞書))ツルツルトハシル; zuru‑zuru引きず られる zorori, zoro‑zoro多勢続く,裾を曳く; [対応B] soso‑kusa, sosoQ‑kasi慌てる, [関 連語] suso裾; [部分重複] OJp. su‑zuro, s6‑sorb落ちつかない:‑PJp‑ (n*)suru, su(n)suru
≪急いで後を追う≫
PAN suRsuR: Tg. sugsog17 後を遣う Th.sursur 滑ってついて行く, Ja. susu, Ho.
susu‑susu急ぎ, Ng. tusoh物をざあっと空ける Ml.susor衣服の裾,物の縁[curu I, II の差は微妙である]
curu III curu‑hage, curuQ‑page, curu‑curu禿 ‑PJp. TURU <C*TURA?
PAN sulaq禿; [異形] PPN tula?: Ha. o・kule, To. tula禿, tulo‑tulaォ*tula‑tula) はげ始める,ところどころ禿る。
cyapo cyaNpoNまぜこぜ ‑PJp. SAPU ≪まぜる≫
PAN ca(m)pur: Ml. champorませる,混同,混乱
cyapu 滴る一斗zabu II
cyobo 小‑*cubu I
cyoki cyokiN, cyokiri, cyoakiN, cyoki‑cyoki鉄の音, cyookiri T度, teokiriきっと, teki‑
paki手際がよい¥̲pakiは‑kibi], [関連?] tok‑u{{動))鰭, OJp. toki時:‑PJp. TOKl≪鉄 で切る≫
PAN tektek: Ml.tetak斧・鈷などで叩き切る To.toki斧;丁度,たった今 Ma.
tokitoki掘り棒;刻む,土を柔らかくする。
cyoko cyokoQ, cyokoN, cyoko‑cyoko小さい動作, cyoQkuraちょっと, cyoku‑cyoku頻繁[以 上ciko, cikuの逆同], ciNko小さい人,子供 cikuri, ciku, ciku‑ciku, ciN‑ciku‑riN小 sikiri, siku‑siku頻繁:‑PJp. TIKU, TIKI ≪小≫
PAN TikTik, Dikiq ≪小(片) ≫ Sa. tsitsi続けて幾つも刻み目をつける, To.faka‑
likiliki少しずつ増える Ua‑ka一動詞化接辞1, Ma. rikiriki細かに,過度に。
cyoku 少し一寸cyoko
cyoro cyoro‑cyoro, ciro‑ciro滴る[例外2,逆同], [多分関連] siri尻(‑たれる所) ‑biri:
‑PJp. TIRI ≪滴る≫
PAN tiRis滴る: Ml. tiris漏る,ぽとぽとたれる Tg. tigis・an樹液を取る容器, Ja.
tins‑anヤシの幹(‑樹液の垂れる所)
dabu I dabu‑dabu (MJp. tabu‑tabu)容器に十分の液体,汲む水, tabu淵,どぶ,田圃, [関 連語] OJp. tataF‑u <C*tap‑tap‑ ((動))港; [多分関連] ta, taNbo田園: ‑PJp. (n)ta(m)pu
≪水を張る≫
28 用 木'Ii S
PANtabu: Ja. tawu水を汲む, Tg. tabo'[ココヤシの殻・空権などの]汲み桶 Tb.
tabutabu桶; cf. Ml. tambok泥沼
dabu II dabu‑dabu(MJp. tabu‑tabu)ゆるい, MJp. taNtnari心のゆとり ‑pjp. (/v)TAMPU, T。4〟A ≪緩い≫
PAN labuq: Ml. laboh裾や袖が岳すぎる> lambok地盤がゆるい,ズボンが緩いo dabu III dabu‑dabu, debu‑debu, debu, deQpuri肥満, tac/puri (MJp. tabu‑yaka), taNmari 十分; yama陵,積重ね,大量, yama‑yama大量,至極,甚だ: ‑PJp. (n)tampu, tapu, (jv)TAMA ≪肥満,積重ね≫
PAN ta(nv)bun: Tg. tabon堤;土をかJS号せる; Ml. tambun, tembun肥満した,積重ね た,山程の,多量,土手,塚,小山; PANtambaq: Ml. tambah増大する Fi. i‑ndamba 堆積 PANtambak: Tg. tambak堤,山積み,穴埋め Tb.tambak塚 Ml. me‑nambak 土砂を積む
dakvt 汗‑ziku
dara I dara・dara, tara‑tara (不快な)連続 sarari, sara‑sara (快く)滞りなし, [関連語]
nara‑bu ((動))並ぶ; [多分関連] OJp. ; 「マサ冒」 ‑PJP. (n)taRA, SARA, NARA≪連続,列≫
PAN zar: zaza[r]: Ml. jajar列,連続, se‑jajar一列に,平行に, ber‑jajar・an並ん で; PAN banzaOJ列;並ぶ; Fi. mbasa直線をなして,同一平面上にo
daraII 滴る‑doro I debu 肥満*dabu III
degru deNguri‑gaesi逆さ,転回して起きる, deko凸, deko‑boko凸凹[‑boko I], cuki‑dasu 突き出す, OJp. tuku‑baFu ((動))蹄 ‑PJp. (N)TO(甲)KU ≪凸≫
PAN dekur)身を曲げる: Tb, dohuり腰が曲がる, Ja. かがむ; cf. Ml. jongkok前 かがみに坐る, tengong‑tenging頭を上げたり下げたりする, tonggeng尻を斜にもち上げ る, (自転車に乗り,拝礼しながら)尻をつき出す, (舟が)頭から沈む,底を乾すために舟 をひっくり返す,瓶がひっくり返る, tenggek, chenggek Lゃがむ, (女が)尻をつき出し て歩く, tonggek尻をつき出す。 [ 「曲」と「転倒」の聞係は日本語bikuにも現われてい る。 「ヒックリ返る」は立ち上ることは意味せず,いわば消極的であることは関連語を見て も理解できる。それに対し「デンダリ返る」は立ち上ることを含み,積極的であるのは,凹 に対する凸とも言えるかも知れない]
den 小太鼓一斗cin I