(様式6号)「課程博士用」
学 位 論 文 の 要 旨
専 攻 名 材料科学 専 攻 氏 名
ふ り が な
西尾
に し お友
ゆう志
じ○
印学位論文題目
新規
pH応答ガラス電極の開発に関する研究
(英訳又は和訳
Study on the development of pH-responsive glass electrode)pH
は、環境水、上水、工場プロセス、排水、研究などで必要不可欠な水質指標となっている。こ れらの測定は、
pHガラス電極を用いられることがほとんどであり、近年では、より広範で過酷な条 件でも使用できる電極が求められている。本学位論文では、pH の応答原理から見直し、これらに適 用できる
pH応答ガラスの研究開発を行った。
pH
応答ガラスが発見されてから、
100年以上経過した現在でも、未だにガラス電極の電位発生機 構の議論がなされている。その
pH応答機構の解明の手がかりを得るために、
SIMS(Secondary Ion
Mass Spectrometry)やESCA(Electron Spectroscopy for Chemical Analysis)などの表面元素分析法を用いて、深さ方向における
pH応答ガラスの元素分析を行った。その結果、水に浸漬させた 後の表面層とバルク層において、元素の構成比率が異なることが分かった。最表面から水素イオン とリチウムイオンが概ね一定となったところまでを、本研究では水和遷移層(水和層)と見なし、
この水和層における
Hと
Liが
pH応答に対して大きな役割を果たしていると思われる。この
pH応 答機構では、pH 応答ガラス表面で相界電位が生じていると考えられる。さらに、水和層の厚さが
pH応答速度に影響し、厚さが薄いほど応答速度が速くなることが分かった。
pH
応答ガラスの研究は、元素を添加して性能を確認するという経験によるところが大きい。これ まで様々な元素の効果が試されてきたが、イオン選択性に寄与する三価の元素うち、La を除く希土 類元素に関する報告は、ほとんどなされていない。La は、
SIMSや
ESCAの分析から、水和層の厚 みに大きく寄与することが分かっている。そこで
pH応答ガラスの表面分析で得られた知見をもと に、pH 応答ガラス組成中の
La2O3を、Sc
2O3や
Y2O3に置換することによって、ガラスの構造骨格を 強化することを試みた。しかし、この置換だけでは、アルカリ溶液においてアルカリ誤差が生じ、
満足する性能が得られなかった。アルカリ誤差を抑制するために、Sc
2O3や
Y2O3だけでなく、ガラ
ス内部へアルカリ金属イオンの侵入を抑制する
La2O3の存在も重要であると考えた結果、それらを共
存させることによって、求める性能を達成することができた。これらのガラス試料の
2次イオン質
量分析(SIMS)を行った結果、Sc
2O3を添加することによって水和層の厚さが
100 nmから
40 nmへ
薄くなり、応答性が向上したと思われる。また、今回開発した
pH応答ガラスは、JIS の規格を十分
続紙 有■ 無□
(様式6号-続紙) 「課程博士用」
氏 名
ふ り が な
西尾 友志 ○
印に満足しており、実用に耐える仕様であった。作製したガラスの耐久性評価のために、pH 標準溶液 の繰り返し測定と蒸気滅菌(SIP 殺菌)の耐久性を調べた。標準溶液の繰り返し耐久性では、pH7、
pH4、pH9