実施: 2019年11月25日(月) 9:10-10:40, H-401室
2019 年度 後 期 中 間 試 験 (問題
兼解答用紙)
開講学部 評点小計理工学部
問題枚数 両面印刷 別紙解答用紙 試験時間 試 験 科 目 名 クラス 出 題 者
2/3 有 なし 80 分 代 数 学 5
月曜教科書1: Original時限,( §§ 1 – 9 ) A, B 大 西 良 博
持込許可物件 所属学部 所属学科 学年 学 籍 番 号 (9桁) 氏 名
なし 理工学部 数学科 年
評 点
注意1. 最終的な答に至る途中の説明をできるだけ詳しく書くこと. 最終結果だけでは得点できない. 注意2. 学生証,記名用のペン,鉛筆またはシャープペンシル,消しゴム以外は机の上に置かないこと.
注意3. 試験場の静粛を保つために,退出は開始60分後の時点の一回限りとする.
1 (10
点) p を素数とし, K は標数 p の体とする. 任意の元 a, b ∈ K に 対し, 次が成り立つことを示せ.
3.3(3),(4)(1) (a + b)
p= a
p+ b
p.
(2) 任意の n ∈ N について (a + b)
pn= a
pn+ b
pn.
2 (10
点) 体の拡大 L/K があり , α, β ∈ L とせよ . [ K(α) : K ] = m, [ K(β) : K ] = n, gcd(m, n) = 1 ならば,
[ K(α, β) : K ] = mn であることを示せ.
5.223 (15
点) f (x) = x
3+ x
2+ 2 は F
5[x] の既約多項式である. これの根の 1 つを α とし K = F
5(α) とせよ. このとき, α
2+ 1 の逆数を α の 2 次以
下の多項式で表せ .
4.134 (10
点) 代数的拡大 L/K に対し, L ⊃ R ⊃ K なる環 R は体であるこ
とを示せ.
5.23学 籍 番 号 (9桁) 氏 名
5 (15
点) 次の体の間の包含関係を Hasse 図で示せ.
Q ( √
32, ω), Q ( √
3 i), Q ( √
32 ), Q , Q ( √
32 √
3 i).
また , 隣接する体の間の拡大次数も求め書き入れよ . 但し i は虚数単位で ω =
−1+2√3i.
6 (10
点) 代数的拡大 L/K とそれの 2 つの真の部分体 M
1, M
2で次の 様な例を挙げよ. [ M
1M
2: M
1] < [ M
2: M
1∩ M
2].
7.4後半学 籍 番 号 (9桁) 氏 名
7 (10
点) 次の問に答へよ.
(1) 体 Q ( √
32 ) の自己同型は恒等写像しか存在しないことを示せ.
(2) 体 Q ( √
32 ) から C への中への同型をすべて求めよ.
9.18 (10
点) K を体, α, β を K 上代数的な元とする. このとき, irr (α, K, x) = irr (α, K(β), x) ⇐⇒ irr (β, K, x) = irr (β, K(α), x)
であることを示せ.
9.8(1)9 (10
点) 体の拡大 L/K があり, M をその中間体とせよ. α ∈ L が K 上代数的であるとせよ. このとき [ M (α) : M ] ≤ [ K(α) : K ] であること
を示せ .
5.20学 籍 番 号 (9桁) 氏 名
記号N…自然数全体,Z…整数全体のなす環,Q…有理数全体のなす体,R…実数全体のなす体,C…複素数全体のなす体.ω=−1+ √3i2.
既習事項のまとめ
(1)体Lの部分集合KがLの演算に関して体であるとき,KをLの部分体,あるいはLはKの拡大といひ,この状況を体の拡大L/Kと記す.
(2)体の拡大L/Kに対してK上のvector空間としてのLの次元をL/Kの拡大次数と呼び[L:K]で表す.
3つの体K⊂M⊂Lについて[L:K]=[L:M][M:K].
(3)体の拡大L/Kについて,任意のα∈Lがあるf(x)∈K[x]の根であるとき,L/Kを代数的拡大と呼ぶ.
(4)体の拡大L/Kについて,[L:K]<∞のとき,これを有限次拡大と呼ぶ.
(5)体Kが体Mの部分体で,Mが体Lの部分体であるとき,MをL/Kの中間体と呼ぶ.
(6)体Lとその部分体Kおよびα1,···,αn∈Lに対し,Kのすべての元とα1,···,αnをすべてを含む最小の体をK(α1,···,αn)と記す.これはKに係数をもつ様なα1,···,αnの有理式の全体に他ならない.
(7)ある体Lがその部分体Kとα∈Lによつて,上の記法でL=K(α)と書けるとき,LはKの単純拡大であるといはれる.
(8)2つの部分体の共通部分は再び体であるから,どんな体Kについても,それに含まれる最小の体が存在する.それを素体と呼ぶ.素体は有理数体Qかp元体Fp=Z/pZ(pは素数)に同型である.
(9)体Kの積に関する単位元1をいくつか加へて0になるとき,その最小の個数はKの標数といはれ,それは素数である.1をいくつ加へても0にならない場合は,標数は0であるといふ.K標数をcharKと記す.前者の場合は素体がFpであり,後者の場合の素体はQである.
(10)拡大L/Kとα∈Lについて,αを根とし,最高次係数が1であり,次数が最小な多項式f(x)=K[x]が唯
1つ存在し,それをαの最小多項式と呼んでirr(α,K,x)で表す.
(11)拡大L/Kと中間体M1,M2について,M1とM2を含む最小の部分体をM1M2またはM2M1と書いて,
M1とM2の合成体と呼ぶ.また,拡大M1M2/M1を拡大M2/KのM1による持ち上げと呼ぶ.
(12)体Kを含む体Ω上に代数的拡大が存在しないとき,Ωは代数的閉体といはれ,さらにもし,Ω/Kが代数的拡大であるならばΩはKの代数的閉包といはれる.任意の体Kに対し,その代数的閉包が存在し,すべて同型である.それを一般にKと記す.
(13)多項式f(x)∈K[x]のすべての根でK上される様な体をf(x)の最小分解体といふ.
(14)拡大L/Kが,どんな既約多項式f(x)∈K[x]もL内に1つ根を持てば,f(x)がL上1次式のみの積に分解する,といふ性質を持つとき,L/Kは正規拡大であるといはれる.
(15)正規拡大の底上げや持ち上げは正規拡大である.またK上の2つの正規拡大の合成体はまたK上の正規拡大である.
(16)多項式f(x)∈K[x]が重根を持たないとき,f(x)は分離的であるといはれる.拡大L/Kにおいて,α∈LがK上の分離的多項式の根であるときαはK上分離的であるといはれ,さらに,すべてのα∈LがK上分離的であるとき,L/Kを分離的拡大と称する.
(17)分離的拡大の持ち上げは分離的拡大である.またK上の2つの分離的拡大の合成体はまたK上の分離的拡大である.
(18)あらゆる代数的拡大L/Kが分離的である様な体Kは完全体と呼ばれる.標数が0である体や有限体は完全体である.
(19)代数的拡大L/Kについて,LからKへの中へのK上の同型の個数を[L:K]sと記す.charK=p>0のとき,これはpの羃になる.
(20)分離的拡大は単純拡大である.
(21)正規かつ分離的な代数的拡大をGalois拡大と呼ぶ.
(22)有限次Galois拡大L/KとそのGalois群G=Gal(L/K)について,F(L/K)をL/Kの中間体の全体,G(G)をGの部分群の全体とせよ.各H∈G(G)に対しLH={α∈L|ασ=α(∀σ∈H)},各 M∈F(L/K)に対しGM={σ∈G|ασ=α(∀α∈M)}と記す.このときGM=Gal(L/M)である.
(23)Galoisの基本定理1
(22)の状況下で,φ:H7→LHはG(G)からF(L/K)への包含関係を逆転させる全単射であり,逆写像は
φ−1(M)=GMで与へられる.
(24)Galoisの基本定理2
(22)の状況下で,M∈F(L/K)について次が成り立つ.
(1)τ∈Gal(L/K)に対し,τGal(L/M)τ−1=Gal(L/Mτ).
(2)MはKのGalois拡大⇐⇒Gal(L/M)◁Gal(L/K).
(3)(2)の両側が成り立つとき,Gal(M/K)'Gal(L/K)/Gal(L/M)(群としての同型).