9 異文化を体験してみよう①
ワーク1
(1) 次の動作(習慣)を、「①いつも自分でやっている方法」でやってみましょう。そし て、次に「②いつもと違う方法」でやってみましょう。
そしてまた、もとの「①いつも自分でやっている方法」でやってみましょう。
A 腕を組む。 B 肩にカバンをかける。
C 「あいうえお」と書く。 D 消しゴムで字を消す。
(2) それぞれの動作を、「②いつもと違う方法」でやってみたときの感想を書いてみま しょう。
A B
C D
(3) それぞれの動作を、再度「①いつも自分でやっている方法」でやってみたときの感 想を書いてみましょう。
A B
C D
ワーク2
(1)次の文字を書き写してみましょう。
(2)アラビア文字の「書き方の基本」を聞いてもう一回書いてみましょう。
(3) (1)・(2)を体験した感想を書いてみましょう。
(4)次の①~④の文をルビを参考に読んでみましょう。
また、下の単語の意味の説明を参考に訳してみましょう。
①
ンゥトヤッニーバーヤ -ナア
①訳)
②
ンゥトザーミルィテ -ナア
②訳)
(5)次の①・②の文字を、指示に従って書き写してみましょう。
①
②
朝食の後、私の父は事務所に行く。
彼は、石油会社の社員である。
私の妹は、学校で昼まで勉強する。
それから彼女の友達と遊ぶために、公園に行く。
(6)(1)~(5)でアラビア文字を書き写したときの感想を書いてみましょう。
(7) 漢字を使わない国から来た人が、漢字と仮名ばかりの黒板の文字をノートに写そう としています。アラビア文字を書き写す体験を参考に、その人の気持ちを想像して 書いてみましょう。
ワーク3
(1) 他の言語と比べて、「日本語の難しさ」にはどのようなことがあるか考えてみましょう。
(2) 高校生活の中の規則(学則、生徒心得、生徒会会則など)に使われている言葉を5 つ書き出し、日本語を母語としない人にもわかるように説明を考えてみましょう。
言 葉 説 明
1
2
3
解説
9 異文化を体験してみよう①
1 ねらい
外国につながりのある生徒が増えているにもかかわらず、文化や習慣の違いから、彼ら は戸惑いや暮らしにくさを感じ、他の生徒との交流も誤解や無理解によってなかなか進ま ない状況にある。
日常的に異文化の中で暮らす困難さを体験し、他者の文化を理解しようとする姿勢を育 成する。
2 進め方
(1)ワーク1について
• 「①いつも自分でやっている方法」「②いつもと違う方法」とは…
例えば、A ①右手が上で腕を組む。 ②左手が上で腕を組む。
B ①左肩にカバンをかける。 ②右肩にカバンをかける。
C ①普通の書き順で「あいうえお」と書く。
②全く逆(下から上、右から左)の書き順で「あいうえお」と書く。
D ①右手で消しゴムを使う。 ②左手で消しゴムを使う。
• 感想記入後、意見を出し合って共有するとよい。
• その他、「腕時計を違う手にする」「利手ではない方の手でトランプを切る(紙を 数える)」「右脚と右手を同時に出す歩き方をする」など、様々な方法が考えられる。
(2)ワーク1
• (1)は、「書き方の基本」を知らずに書き写す作業を想定して行わせる。
• (2)の「書き方の基本」は、文字は「右→左へ」「線は上→下へ」「点は後で」。
点は後からふるが、1文字ごとにふってもよいし、1つの単語が書き終わってか らまとめてふってもよい。(英語の筆記体を右から逆に書くイメージ)
• (3)の感想記入後、意見を出し合って共有するとよい。
• (4)では、アラビア語は文字を右から左に書くため、ルビも右から左にふってあ る。例えば、①の読みは「アナー ヤーバーニッヤトゥン」となる。
なお、男性形の「あなた」は「アンタ」と読む。
• (4)の訳は、
となる。
なお、アラビア語には多くの言葉に男性形と女性形があり、ワーク2の例文で 用いられているそれぞれの言葉の形は次のとおりである。
私(女性形) 日本人(女性形) 生徒(女性形)
あなた(男性形) アラビア人(男性形) 先生(男性形)
• (5)は、クラスの列ごとに交互に「A班」「B班」とする。
・1回目は、「A班」に①(アラビア語)を、「B班」に②(日本語)を書かせる。
・2回目は、交替して各々やっていない方を書かせる。
・ 2回とも、書くときは一斉に作業を開始させて、終わったら筆記用具を置くよう に指示しておく。
• (6)・(7)は、感想記入後、意見を出し合って共有するとよい。
①「私(女性)は、日本人です。」
②「私(女性)は、生徒です。」
③「あなた(男性)は、アラビア人です。」
④「あなた(男性)は、先生です。」
3 解説
(1)ワーク1について
それぞれの国や地域にはそれぞれの文化や習慣があり、日常的に行っている習慣と 違うことをすることだけでも、違和感やストレスを感じることを体験させたい。
(2)ワーク2について
文字などは、幼い頃から少しずつ自然に書き方の基本的なルールを身につけている ものである。それが獲得されていない場合(例えば、非漢字圏からきた生徒が日本の 漢字を習う場合など)には、文字を「絵」として「写す」ことになる。
ここでは、アラビア語という日常的にはあまり接することのない言葉を使って、そ の大変さと、書き間違いなどの多さなど(日常会話が獲得できていても「書く」とい うことを習得することの難しさ)を体験することによって、異文化の中で暮らすこと について考えさせたい。
また、日本語とアラビア語を同時に書き写す作業では、作業のスピードに差異が出 ることが容易に想像できる。周囲の人たちが作業を終えていく中で慣れない作業を行 うという体験をとおして、異文化の中での暮らしにくさを想像し、日常生活の中で互 いにどのようなアプローチができるかなどについても考えを深めさせたい。
アラビア語は、西アジア・北アフリカのアラブ諸国を中心に、世界の言語の中でも 広く用いられている言語の一つである。このアラビア語を公用語としている主な国に は、アラブ首長国連邦、アルジェリア、イスラエル、イラク、エジプト、クウェート、
サウジアラビア、シリア、チュニジア、バーレーン、モロッコ、ヨルダン、リビア、
レバノンなどがある。
(3)ワーク3について
ワーク2の体験をベースに私たちが日常的に使っている「日本語」について見つめ 直し、日本語を母語としない人にどう説明したらよいか(どう接したらよいか)につ いて考えを深めさせたい。知らない言語を話す者同士が、互いに知らないことを理由 に誤解し合うこともあるため、伝える手段として「わかりやすい言葉」に言い換える すべを会得し、交流する態度を育成したい。
これは、「子どもに対して」「障害(知的障害や発達障害)がある方に対して」「高齢 者に対して」の言葉掛けの際にも同様に言えることではないだろうか。