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論 文 審 査 の 結 果 の 要 旨

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Academic year: 2021

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論 文 審 査 の 結 果 の 要 旨

報 告 番 号

博(生)甲第219号

氏 名

Fadi FARHAT

学 位 審 査 委 員

主 査 中 村 聖 三 副 査 高 橋 和 雄 副 査 才 本 明 秀 副 査 奥 松 俊 博

論文審査の結果の要旨

Fadi FARHAT

君は母国シリアで

2002

9

月に

Damascus University

を卒業後,

2004

4

月に国費留 学生として来日した。その後,1 年間の研究生期間を経て,2005 年

4

月に長崎大学大学院生産科学 研究科博士前期課程環境システム工学専攻に入学し,2007 年

3

月に同専攻を修了,同年

4

月に生産 科学研究科博士後期課程に進学し,現在に至っている。

生産科学研究科博士後期課程においては,システム科学を専攻して,所定の単位を取得するとと もに,既設構造物の耐震補強や最適化手法の土木構造物への適用に関する研究に従事し,その成果 を「Optimal Design Method for Seismic Upgrading of Existing Structures using Buckling Restrained Braces

(座屈拘束ブレースを用いた既設構造物の最適耐震補強設計法)」と題する主論文に取りまとめ,

2009

12

月に,参考論文として,学位論文の印刷公表論文

5

編(うち審査付き論文

2

編),印刷 公表予定論文

1

編(うち審査付き論文

1

編),その他の論文

1

編(うち審査付き論文

0

編)を付し て,博士(学術)の学位の申請をした。長崎大学大学院生産科学研究科教授会は,2009 年

12

16

日の定例教授会において論文内容等を検討し,本論文を受理して差し支えないものと認め,上記の 審査委員を選定した。委員は主査を中心に論文内容について慎重に審議し,公開論文発表会を実施 するとともに,最終試験を行い,論文審査および最終試験の結果を

2010

2

17

日の生産科学研 究科教授会に報告した。

1995

年の兵庫県南部地震では多くの構造物に甚大な被害が生じた。その後,このような惨事が二 度と発生しないように,新設構造物の耐震設計が高度化されるとともに,既設構造物の耐震補強が 実施されてきている。既設構造物に対する有効な耐震補強デバイスの一つとして座屈拘束ブレース

(BRB)が挙げられ,近年適用事例が増加してきているが,その特性や設置位置はパラメトリック 解析の結果に基づき,試行錯誤的に決定されているのが現状である。

本研究は,BRB による構造物の耐震補強において,その特性および設置位置をシステマティック

に決定することを目的として実施されたものであり,以下のような内容となっている。

(2)

まず,仮定した

BRB

の設置位置に対して,その特性(ここではコアメンバーの断面積)を決定す る問題を,所要の耐震性能を満足することを制約条件とし,BRB のコストを目的関数とする最適化 問題(Single-Objective Optimization Problem: SOP)として定式化した後,それを非線形動的応答解析 と遺伝的アルゴリズム(GA)を用いて解く方法を提案するとともに,その妥当性を数値解析例によ り検証している。一般に非線形動的解析や

GA

を用いた最適化は計算時間が非常に長くなるため,

レベル

1

地震動に対して震度法による静的設計を実施することにより,探索領域を狭くする工夫も 行われている。

次に,同一の問題を

BRB

のコストと地震による構造物の損傷の

2

つを目的関数とする多目的最適 化問題(Multi-Objective Optimization Problem: MOP)として定式化し,同様の方法で両者のトレード オフ関係,すなわちパレート解を求める方法を提案している。SOP の場合と同一の数値解析例に対 して,GA のパラメータの組み合わせを変えた

7

ケースの解析を実施することで,パラメータのチ ューニングを行っている。また,主構造の許容ひずみがパレート解に及ぼす影響についても検討し ている。

さらに,SOP に関しては,得られる最適解の入力地震波に対する感度が高いことを数値解析例で 明らかにし,計算時間の長さおよび最適解の入力地震波による変化という問題を解決することを意 図して,動的応答解析を

Pushover

解析に置き換えることの可能性を検討している。すなわち,耐震 性能の評価に必要な最大応答を,動的応答解析ではなく,Pushover 解析とエネルギー一定則より算 定される応答に補正係数を乗じる方法で求めるように修正し,数値解析例で動的応答解析と同様な 結果が得られるかを検証している。

最後に,BRB の設置位置および特性を同時に最適化する手法を提案している。設置位置の最適化 においては,

BRB

の設置数をできるだけ少なくすることを目指すとともに,

BRB

による吸収エネル ギーと損傷の集中度合いの両者を考慮するため,効率性指標(Efficiency Index)という新しい概念 を導入している。特性の最適化には,SOP を用いている。提案した方法を比較的シンプルな骨組構 造物に適用し,満足できる結果を得ている。

以上のように本論文は,数多く存在する耐震性能不足の構造物に対する補強設計の合理化・効率 化に多大の寄与をするものと評価できる。

学位審査委員会は,耐震工学の分野において極めて有益な成果を得るとともに,工学の進歩発展

に貢献するところが大であり,博士(学術)の学位に値するものとして合格と判定した。

参照

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