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図書館実習を経験して
櫻井 貴子(文学部教育学科)
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はじめに私は 2017 年 8 月 1 日〜13 日の 2 週間のうちの 10 日間豊島区立中央図書館にて実習さ せていただいた。幼少期より本を読むことが好きでよく地元の公共図書館を利用しており、
関心が強かったため実習館種として公共図書館を選び、事前指導の際に配布された実習受け 入れ実績リストのうちから、自分が何度も利用し最も馴染み深い図書館である豊島区立中央 図書館での実習を希望した。実習は立教大学の学生 2 人で行うこととなった。
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図書館概要豊島区立中央図書館は、昭和 33 年 6 月に豊島図書館として開館し、昭和 54 年 6 月に中 央図書館に名称変更した。その後平成 19 年に再開発により建設されたライズアリーナビル 内の 4・5 階に移転した。ライズアリーナビルは東京メトロ有楽町線「東池袋駅」と直結し ており、その他都電荒川線「東池袋四丁目駅」より徒歩 2 分、JR・東京メトロ「池袋駅」東 口より徒歩 8 分の立地にある。
蔵書数が平成 28 年 3 月 31 日時点で、図書が 266,678 冊、CD が 13,644 組、ビデオテ ープが 296 本、DVD が 3,207 組となっている。閲覧席は一般用が 213 席、児童用が 50 席、パソコン席が電子資料閲覧席 10 席、パソコン持ち込み席 16 席である。
蔵書構成の特徴として豊島区立図書館は、中央図書館と、千早、目白、池袋、上池袋、巣 鴨、駒込の 6 館の地域館と雑司が谷の 1 貸出カウンターで構成されており、それぞれ各館で テーマを決めて、それに沿った資料を収集し、郷土資料として所蔵している。中央図書館の テーマは、落語・東京・池袋モンパルナスとなっている。
また、中央図書館には点字図書・録音図書の貸出、対面朗読サービスなどを行う点字図書 館・ひかり図書館がある。点字図書館での実習は他の実習館ではあまり経験できない貴重な 機会であったと考える。
図書館職員の所属は、管理グループ、サービス調整グループ・システムグループ、児童グ ループ・学校図書館グループ、点字図書館グループ、企画調整グループがある。貸出、返却 などカウンター業務を業者委託しており、職員はレファレンスカウンターにのみ入ることと なっている。
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実習内容実習ではまず初日の午前中に、実習担当者の方より豊島区立図書館の概容や実習の全体的 な説明を受けた。その後初日の午後より、一般担当、児童担当、YA 担当、予約担当、視聴 覚担当、企画調整グループ、点字図書館という担当ごとに、午前・午後という区切り、ある いは丸 1 日を使って実習を行った。今回は特に印象深かった実習内容について言及する。
① 選書会議(一般担当・児童担当)
選書会議は毎週水曜日に午前中に児童担当、午後に一般担当が、中央図書館、巣鴨図書館
(東部の中心館)、千早図書館(西部の中心館)の 3 館の職員によって行われる。
実習では選書会議の準備として、前日に見計らい本、全点記載の図書をどの図書館が発注
図書館実習報告
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登録したか調べ、3 冊以上発注登録されている資料、東ブロック(巣鴨・上池袋・駒込)、西 ブロック(千早・池袋・目白)どちらかでしか発注されていない資料を把握する作業と、選 書会議当日の見学をさせていただいた。
選書会議では、上記のような発注登録に偏りのある資料をどの館が購入するか議論して振 っていく。振り分けた見計らい本と発注登録リストを各館ごとに包み送る用意をする。児童 担当の場合は、どの館も発注しない全落ちの資料についても、ルビが少ない、内容が薄いと いった点を確認し、全落ち含め選書した児童書の対象学年を決める。
さらに、未提供資料経過報告にて利用者よりリクエストされた資料を保留か購入、借用か 検討し、レファレンス検討報告、買い替え希望検討、各館からの連絡事項を共有する。
② 受入・エンコード(一般担当)
購入して届いた新刊を発注リストと合っているかと値段を確認する。スリップや帯を外し、
バーコードと IC タグを貼る。禁帯出資料や YA 向けの資料、特別な装備を依頼する資料は、
それぞれ R 禁(レファレンスブック)、T 禁(地域資料)、YA 装備といった指示の紙を挟む。
バーコードをパソコンで読み込み、書名と請求記号を確認し、IC コードを登録する。
実習では、バーコード、IC タグ貼り、パソコンでの蔵書追加、エンコードを、説明を受け て実践し、さらに、寄贈図書を用いて判子押し、ラベル貼り、ブッカーかけといった装備も 自身の手で行い、実際に排架する作業をした。
③ 予約処理(予約担当)
紙で予約された資料がパソコン上でちゃんと予約されているか確認する。借用の場合は、
予約処理されていることを確認したうえ、さらに豊島区内に所蔵がないことを確認し、都立 図書館ホームページの統合検索で都内のどの図書館に所蔵しているか調べ、4ブロック(練 馬区、板橋区、中野区、杉並区)に所蔵していれば優先してそちらから予約する。借用図書 は、返却処理されているか確認のため一度返却処理をし、宛名書きをして送る。豊島区から 他区へ資料を貸出するときは貸出処理をして送る。
さらに、予約担当での実習では上記のような事務作業だけでなく、次に予約者がいて1ヶ 月以内の延滞をしている利用者に督促の電話掛けを行い、利用者と接する機会があった。督 促の電話では、個人情報であるため利用者本人にしか貸出している書名を伝えないことに注 意する。
④ 点字図書館
まず職員の方より点字図書館サービスの概要を説明していただき、墨字版の「今月の本棚」
を印刷し、その後厚労省委託資料についての業務を行った。
厚労省委託点字図書について、点字図書の書名、著者名などの書誌事項をカードに記入し、
裏にバーコードを貼り、蔵書カードを作成し、厚労省委託デイジー図書の装備として、シー ルに書名を点字で打ち CD ケースに貼って、ケースの内側に資料の書誌事項が書かれたシー ル、バーコードを貼り、背に書名と分類記号、図書記号が書かれたシールを貼る作業を行っ た。蔵書カードの作成、装備をした、点字図書とデイジー図書は WEB 図書館に蔵書登録を した。
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⑤ おはなし会(児童担当)
中央図書館では毎週日曜日の午後におはなし会を開催し、職員 2 人で 2 冊ずつ計 4 冊の本 を読み、最初と最後にろうそくうた、2 冊読んだところで月ごとの手遊びをやる。実習期間 中 1 度目のおはなし会では、会場の準備や、おはなし会参加者の人数を大人と子どもそれぞ れカウントする仕事をし、読み聞かせを見学させていただいた。おはなし会終了後には来た 子にスタンプを台紙に押し、10 個集まったらプレゼントを渡すことになっている。
実習期間最終日のおはなし会では実習生 2 人で読み聞かせをすることとなった。おはなし 会1週間前に職員の方より読み聞かせをする絵本を渡され、練習をしてアドバイスをいただ いた。おはなし会当日の午前中にリハーサルを行い、本番に臨んだ。読み聞かせをする絵本 のテーマは毎回決まっているわけではないが、季節感を心掛けており、夏休み中の実習とい うことで私は『うみべのハリー』、『おかしなゆき ふしぎなこおり』を読ませていただいた。
おはなし会終了後、パソコンで日付と参加者人数を入力して登録し、Excel の表に日付、
読み聞かせの絵本の書名、やってみての意見や考察を記録することになっている。
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考察図書館実習を振り返って、私は実習を受けさせていただくにあたって、実習前に司書課程 の授業で学んだことを復習することももちろん重要であるけれど、最も大切なのは心身を万 全な状態にすることだと考える。
実習に行く前に「図書館実習への心構え」を提出するが、自分が図書館実習でどのような ことを学びたいか明確にしておくべきである。私は幼少期より図書館を利用していたからこ そ、利用者の立場として公共図書館に対する関心や疑問を持っており、実習中にぜひ職員の 方々に尋ねてみたいことや、経験してみたいことがあり、それらを達成できるよう事前にま とめていた。
実習前の担当者の方との打ち合わせの際に、実習中どんなことを行ってみたいか、どのよ うな図書館業務の関心があるか尋ねられ、普段から利用することの多いサービスである予約 処理と伝えたところ、予約担当の実習の時間を多く設けていただくことになった。ただ実習 館に組んでいただいた実習スケジュールを受け身にこなすのではなく、自分の関心を伝え、
積極的に取り組む方がより有意義な実習を行うことができると考える。
また、実習期間中のちょっとした時間に職員の方々より図書館業務について聞いてみたい ことがないか尋ねられることがあり、ここぞとばかりにかねてからの疑問を尋ねることがで きた。実習内容と直接関係がないことでも丁寧に教えていただき、非常に勉強になった。図 書で働く方々とたくさんの時間を過ごし話すことができる貴重な機会なのだから、「聞きた いことは特にないです」などと言ってしまっては非常にもったいないと思う。そのため、事 前に聞きたいことをまとめておくとよいと考える。
さらに、実習中に業務について説明していただいて、分からないことや疑問があれば、躊 躇することなくその場で質問すべきである。「こんな簡単なこと訊いて迷惑ではないだろう か」と思うこともあるかもしれないけれど、どんな質問でも快く答えていただき、職員の方 によれば、図書館で働く方々は業務について話すことが好きで質問することはむしろ喜ばれ るとのことだった。分からないことをそのままにするのは熱心に教えてくださる職員の方々 に対して失礼であり、また、自分のためにも全くならない。実習中に大切なのは業務の飲み 込みの速さなどよりも、積極的に挑む姿勢だと考える。
身体面の備えについては、事前指導の際に実習開始前に体力をつけておくように言われ、
図書館実習報告
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過去の図書館実習アンケートでも体力が大事と書かれているのを閲覧していたが、正直なと ころぴんときていなかった。しかし、実際に実習が始まると、ハードワークをこなしている わけではないのに、毎日実習が終わって帰宅するとすぐ眠くなり、また、お昼休み前と実習 終了間際は非常に空腹感があった。目まぐるしい仕事現場というわけではないため、自分で もあまり自覚はなかったけれど、図書館実習はかなり体力が消費された。体力をつけておく ために実習前に何をすべきか当時は分からなかったけれど、実習を終えた今、毎日十分な睡 眠と食事をとるという当然のことの重要性を実感することとなった。
図書館実習が始まるまで、図書館業務というと利用者の立場からよく見えるカウンター業 務や書架での作業の印象が強かった。しかし、豊島区立中央図書館は、カウンター業務は委 託しているため、実習中レファレンスカウンター以外にカウンターに立つ機会はなく、基本 的に事務室での業務を行った。司書課程の授業で学んだ知識が役に立つ場面もあったが、そ れ以上に授業で学ぶだけや利用者として見ていただけでは分からない図書館業務を知るこ とができた。例えば新刊がどのように選書され、どのようにデータが登録され、どのような 装備がされ書架に並び利用者の手に届くかは、利用者の立場からはもちろん、授業で学ぶだ けでは分からなかった。しかし、実際に実習で自分の目で選書会議の様子を見て、教えてい ただきながら、自分の手で本のデータを入力して登録し、装備をして開架に排架することで、
経験や知識を自分の血肉とすることができた。
また、授業で視覚障害者サービスが行われていることを知識として学ぶことと、デイジー 図書の書名を自らシールに点字で打ち装備することとでは、実感が全く異なった。絵本の読 み聞かせは授業でも行ったけれど、同年代の学生の前で読むのとは異なり、おはなし会で子 どもたちの前で読むのは非常に緊張し、さらに、途中で物語のこれからの展開を口に出す子 や、自分の好きなことを話し始める子がいて、何度も中断や脱線してしまった。全く自分が リハーサルで思い描いていたようにはいかず、戸惑いが大きかったけれど、聞き手である子 どもたちと言葉を交わし、同じ目線で一緒に読んで楽しむことができ、授業の読み聞かせだ けでは得られない経験をすることができた。
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おわりに図書館実習に行く前は、2 週間という期間が長く感じ、不安と緊張でいっぱいであった。
しかし、実際に実習が始まると、授業で学んだことを生かせる喜びがあり、利用者の立場か らは分からなかった図書館業務の面白さや苦労を知り、図書館で働く人々と有意義な話を聞 くことができ、実習を楽しんでいるうちに 2 週間はあっという間であった。
図書館実習を行わなくても、司書資格を取得することはできる。しかし、実習はこれまで 学んできた司書課程の集大成であると同時に、実習でしか得られない経験がたくさんある。
そのため、ぜひ司書課程を受講している学生には図書館実習に行って欲しいと考える。私自 身この図書館実習という経験は、司書課程における学びというだけではなく、自分の人生に おいてかけがえのない時間であったと強く感じ、ぜひ実習で得たものを今後に生かしていき たいと考える。
最後になったが、忙しいなか私を受け入れ多くのことを教えていただいた豊島区立中央図 書館の皆様、実習の手配や指導をしてくださった先生方や事務の方々にこの場を借りて心よ り感謝申し上げる。