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図書館実習のすすめ
鈴木 彩夏(文学部文学科日本文学専修)
はじめに
私は大学 1 年次から司書課程を履修し始め、今回 3 年次に図書館実習への参加を決めまし た。2017 年 8 月 1 日から 13 日まで豊島区立中央図書館でお世話になっていました。
本稿で何を伝えようかとても迷ったのですが、率直に実習にまつわる私の体験記を語ろう と思います。
実習参加を決めるまで
さて、図書館実習に参加する人数が何人かご存知でしょうか。そう、とても少ないのです。
司書課程自体には教室一杯に人が座る程履修生が存在するはずなのですが実習に向かう人 数は二桁に及ばない程度です。その事から図書館実習は司書課程の中でも優秀な人が参加す るものだと私は思っていました。こうして文章を書かせて頂いておりますが私は正直そんな に優秀ではありません。教室では真ん中あたりに座り、成績もそこそこで、よくいる学生で す。図書館実習へ参加したとして受け入れ先の図書館で迷惑をかけないかという不安があり ました。さらに三年生の夏といえば進路についても考えなければならない時期です。また、
所属していた部活も執行学年であった為夏は合宿もあり忙しいと分かっていました。
このような状況でしたので図書館実習に参加するか否かとても迷いました。ぎりぎりまで 悩んで司書課程の先生に相談もしました。そこで中村百合子先生の「迷うくらいなら行って みればいい」という言葉にひと押しされました。色々と悩んではいましたが、3 年間司書課 程を学んできた身として実際に図書館での業務を経験したいという思いはやはり強かった です。今現在図書館実習に参加できて本当に良かったと考えているのでこの先生の一言に感 謝しています。
実習で経験したこと
私の実習先である豊島区立中央図書館について少し説明をしたいと思います。豊島区立中 央図書館は豊島区区長の「文化によるまちづくり」の流れの中で「豊島区立舞台芸術交流セ ンター・あうるすぽっと」と共に「ライズアリーナビル」の中に生まれました。文化施策の 中に位置づけられている為、演劇や落語に関する資料が集められている、豊島区ゆかりの漫 画家の作品を集めたトキワ荘のコーナーが存在している等の特色があります。また、目の不 自由な方のための点字図書館も併設されています。今回点字図書館でも実習をさせていただ いたので後述します。
池袋には図書館運営における 8 つの拠点(図書館 7 館と貸し出しコーナー1 か所)があり、
館によって運営の形態が異なっています。その中でも中央図書館は窓口業務のみ外部委託を しています。したがって司書は図書の貸し借り等のカウンター業務を基本的に行いません。
今回の実習では中央図書館で司書が行っている業務を一通り経験させていただきました。
企画調整や予約、視聴覚、児童、一般と毎日それぞれの仕事を担当している方々のお話を聞 き実際に業務を体験した十日間は本当に密度が濃かったです。全て刺激的な経験であったの でできる事なら満遍なく述べたいのですが、この場では実習中に特に印象に残った業務を挙 げます。
図書館実習報告
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まず、選書会議です。実習では図書館のコレクション形成にも関わる重要な選書の作業を 実際に見学させていただきました。中央図書館では水曜日の午前中に児童書、午後に一般書 の選書会議を行っています。池袋を東・中央・西の三つの地区に分けそれぞれの地区の代表
(東は巣鴨図書館、西は千早図書館、中央は中央図書館)により話し合いがなされます。興 味深く感じたのは児童書と一般書で選書の基準が全く異なっていることでした。児童書は基 本的にどの館にも入れる代わりにルビや作者、絵や内容まで様々な要素を考慮して選書して いました。対して一般書は児童書よりも数が多い分、サクサクとオークションのようにどの 図書館にどの本をいれるかを決めていました。限られた時間の中で進められる選書会議はま るで戦場のようで、こうして毎週会議が行われているのだと思うと作業量の多さとそれをさ ばく手腕に驚きました。
続いて点字図書館です。前述しましたが中央図書館にはひかり文庫という点字図書館が併 設されています。点字図書・録音図書の貸し出しや対面朗読、点字指導などのサービスを行 っています。私は CD の点字データの蔵書カード作成やデイジー図書へ点字のシールのラベ ルを張る作業を担当しました。点字のシールは一から先生に点字を教えて頂き自ら打ってラ ベルを制作しました。この実習を終えてから身近にある点字にふと気が付くことが多くなり ました。図書館実習生の中でも点字図書館にこのように関わることができたのは恐らく豊島 区立中央図書館だけだと考えられるのでその点でもとても貴重な経験でした。
最後に読み聞かせについて挙げたいと思います。実習の最終日がちょうど中央図書館で児 童におはなし会を行う日であった為、初日から児童担当の方に「最終日に読み聞かせをして みよう」と声を掛けられていました。テーマに沿った絵本を自分で選び、とにかく練習ある のみと声に出して練習をしました。児童担当のみなさんも夏休み中で児童の来館数が多い中 声のトーンや間の取り方、絵本の持ち方などとても親身にアドバイスをしてくださりました。
蓋を開けてみるとお盆とぶつかっていたためおはなし会に参加した児童は 4 人と少なかった のですがその分緊張も少し落ち着き、子どもたちとの会話を楽しみながらアットホームに読 み聞かせを終えることができました。普段は同年代か大人としか関わることがないので年の 離れた子どもたちとの触れ合いに新鮮さや元気をいただきました。
この他にもレファレンスカウンターに出たり、返却を促す督促の電話連絡をしたり、新刊 を受け入れてから装備して書架に送り出すまで等様々な司書の業務を実習させていただき ました。夏休みという忙しい時期に我々実習生を受け入れて面倒を見てくださった豊島区立 中央図書館の皆様に本当に心から感謝しております。ありがとうございました。
実習で得たものとは
司書がどのような仕事をしているのか。世間で想像されるのはカウンター業務であるよう に感じます。事実私の家族がその例で、図書館実習に行くという私に対して「本の貸し借り とかやるの?」と尋ねられました。実際には中央図書館は外部委託しているので実習でもカ ウンター業務は行いませんでした。いざ「司書って何するの?」と問われた際、3 年間司書 課程を履修していても今までの私にはどう司書の専門的な業務を説明すればよいのか言葉 が出なかったのです。しかし、今回の実習で知識として蓄えられていた司書の業務が実体の 伴ったものになったと思います。
また、実習を後悔の無い、より実のあるものにするにはわからないことをどんどん質問す ることが大切であると思います。私も初めは不安でいっぱいだったのですが、途中から折角 の実習なのだからどんどん質問していこうと気持ちを切り替えました。今回の実習ではフロ
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アにいた時間よりも職員のエリアで作業をしていた時間の方が遥かに長かったです。つまり それだけ普段は利用者の見ることのできない図書館の業務に触れていたことになります。当 然分からない事も沢山あります。折角未知の領域にいるのに口をつぐんでいてはもったいな いです。些細なことでもひっかかった点があったら聞いてみるといいと思います。恐らく質 問をしたら担当の司書さんは優しく質問した以上のことを教えてくださいます。
おわりに
初めの方でも述べましたが、私は図書館実習に参加するか否かとても迷いました。正直ハ ードルが高いと感じる方も多いのではないでしょうか。しかし、現在図書館実習に参加して 良かったと心から思っています。授業で学んだ事が実際の現場ではどう扱われているのか知 ることができる図書館実習はまさに司書課程の集大成です。大勢司書課程を履修しているに も関わらず実習希望者が僅かである現状はもったいないと思います。初めから自分には無理 と決めつけないで一考するきっかけに本稿がなれば幸いです。