• 検索結果がありません。

2-1.既往研究の総括

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "2-1.既往研究の総括"

Copied!
18
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

表 2-1 分類フレームの設定

2-1. 既往研究の総括

 建築・都市計画分野で大学を扱った研究は、「学問の場」ということもあって長年広範囲 にわたって展開されており、既往の研究成果は豊富な蓄積があると言える。 今日までの大学 に関する研究の流れをひもとく資料としては、山口、小篠による「大学と都市・大学キャンパ スに関する文献リスト」  が挙げられる。しかし、本文献リストは、都市と大学、大学キャン注1)

パスの計画に関係する国内の研究(一部海外を含む)を広範囲から収集したものである   た注2)

め、枠組(母集団)がはっきりとしておらず、各分類も独立していない。

 このような状況の中、体系的な分類フレームを設け、その趨勢を把握することにより、今 後の研究に示唆を与えることが求められている。

2-1-1. 分類フレームの設定

 既往研究を、計画範囲によって大きく、「施設計画」「キャンパス計画」「都市と大学」の 3 つ に分類すると共に、それぞれに対する細分類を行った(表 2-1)。

 なお、以下のような審査付論文集における約30年間(1970年1月〜2002年12月現在)の論 文を対象とする。

1)日本建築学会論文報告集(1970年1月〜1984年12月)

 日本建築学会計画系論文報告集(1985年1月〜1993年12月)

 日本建築学会計画系論文集(1994年1月〜2002年12月現在)

2)日本都市計画学会学術講演会論文集(1970年〜1972年)

 日本都市計画学会学術研究発表会論文集(1973年〜1983年)

建築・敷地レベル

都市レベル

施設計画

キャンパス計画

計画・整備 管理・運営 その他 空間構成・変容 計画理念・手法 その他 立地・分布

その他

ハード面

ソフト面 都市と大学

分類フレームの設定

計画範囲 細分類

都市と大学の 関係

(2)

 日本都市計画学会学術研究論文集(1984年〜2002年現在)

3)日本建築学会技術報告集(1995年12月創刊〜2002年12月現在)

4)造園雑誌研究発表論文集(1970年〜1994年)

 ランドスケープ研究研究発表論文集(1995年〜2002年現在)

2-1-2. 施設計画

 「施設計画」に関わる既往研究を表 2-2 に示す。

 栗原らは、研究・教育の中心となるべき大学図書館について、建築計画へ指向する観点から そのあり方を論考し、合わせてそのための基礎的資料を提供するなど、1979 年から 1982 年に かけて大学図書館の建築計画に関する一連の論文を発表した。その後、金らは、国立大学団地 の福利厚生施設について施設整備の経緯と現況を把握し、将来の福利厚生施設の整備を巨視的 に考える上での基礎的資料を提供するなど、1994 年から 1995 年にかけて国立大学における福 利厚生施設の整備特性に関する論文を発表した。この 1995 年までの期間は、施設の「計画・整 備」に関する基礎的資料の提供を目的としている論文が主流であると言える。

 一方、高野らは、研究組織単位について、人的構成の形態と使用室面積、さらに面積に対す る評価を把握し、それらの関係についての特性を解明するなど、1996 年から 1998 年にかけて 国立大学工学系学部における研究組織単位の使用室の特性に関する論文を発表した。その後、

渡邊は、電子情報活動を日常的に行う者が、コンピューターや携帯電話などの電子情報活動を 使用することによって、どのような活動や行為を発生させているか、それはどのような性格の 場所で行われているか、を明らかにするなど、1998年から1999年にかけてメディアセンター・

研究室における電子情報活動を中心とした物理的環境に関する論文を発表している。また、松 下らは、2002年に建築計画系研究室を対象とし、フリーアドレス導入の効果とプロセスの有効 性を確認した。さらに、山口らは、2002 年に国立大学キャンパスの施設・環境の物的特性の構 造把握とキャンパスの類型化及び施設・環境に対する評価を把握し、さらに物的特性と施設・

環境評価の関係を明らかにした。以上のようなことから 1996 年以降の期間は、施設の「管理・

運営」のための有効利用・評価について論じている論文が主流であると言える。

 以上のように、「施設計画」に関わる既往研究は、研究対象別に大きく図書館、福利厚生施設、

研究使用室、メディアセンターという流れを辿っており、1990 年代後半を境に「計画・運営」

に関する基礎的な資料を提供する「模索期」から、「管理・運営」のための有効利用・評価につ いて論じている「成熟期」へシフトしていることが分かる。しかし、両方の期間においても施 設自体のみについて論じている。

(3)

表 2-2 「施設計画」に関わる既往研究

計画

整備

管理

運営

その

1 学問分野別にみた図書資料の出版 —大学図書館の

建築計画に関する研究・1— 日本建築学会論文報告集 1979.12 第286号、

pp.113〜123

栗原嘉一郎、富江伸 治、植松貞夫、門谷眞 一郎、木野修造、戸村 雅昭

2 研究行為において利用される図書資料の種類と量

—大学図書館の建築計画に関する研究・2— 日本建築学会論文報告集 1980.03 第289号、

pp.131〜137

栗原嘉一郎、富江伸 治、植松貞夫、門谷真 一郎、木野修造、戸村 雅昭

3 研究行為において利用される図書資料の年令 —大

学図書館の建築計画に関する研究・3— 日本建築学会論文報告集 1981.01 第299号、

pp.115〜125

栗原嘉一郎、富江伸 治、植松貞夫、門谷眞 一郎、木野修造、戸村 雅昭

4 研究領域別にみた研究者の雑誌利用 —大学図書館

の建築計画に関する研究・4— 日本建築学会論文報告集 1982.01 第311号、

pp.93〜100

栗原嘉一郎、富江伸 治、植松貞夫、門谷眞 一郎

5 大学キャンパスにおける塔の形態と典型性に関する 研究

日本建築学会計画系論文報

告集 1993.12 第454号、

pp.103〜111

宮本文人、内田暁子、

志水英樹 ○

6 国立大学における福利厚生施設の整備特性に関する

研究 日本建築学会計画系論文集 1994.04 第458号、

pp.63〜70

金 鍾石、宮本文人、

志水英樹 ○

7 国立大学における学生当たり面積から見た福利厚生

施設の整備差に関する研究 日本建築学会計画系論文集 1995.03 第469号、

pp.97〜105

金 鍾石、宮本文人、

志水英樹 ○

8 国立大学における大学会館の諸室構成と整備特性に

関する研究 日本建築学会計画系論文集 1995.12 第478号、

pp.79〜88

金 鍾石、宮本文人、

志水英樹、石田 真 ○

9 北海道帝国大学および小樽高等商業学校傭外国人教

師官舎(大正14年〜昭和2年)について 日本建築学会計画系論文集 1996.06 第484号、

pp.221〜229

池上重康、越野 武、

角 幸博 ○

10

国立大学工科系学部における研究組織単位の人的構 成と使用室面積の特性 国立大学工科系学部の施設 計画に関する研究 その1

日本建築学会計画系論文集 1996.07 第485号、

pp.107〜116

高野文雄、谷口汎邦、

山口勝巳、石田有作 ○

11

国立大学工科系学部における研究組織単位使用室の 用途別にみた面積特性とその評価 国立大学工科系 学部の施設計画に関する研究 その2

日本建築学会計画系論文集 1998.05 第507号、

pp.127〜134

高野文雄、谷口汎邦、

山口勝巳 ○

12 大学のメディアセンターにおける利用者の電子情報

活動と物理的環境に関する考察 日本建築学会計画系論文集 1998.08 第510号、

pp.147〜154 渡邊朗子 ○

13 大学の研究室における電子情報活動を中心とした諸

活動と物理的環境に関する考察 日本建築学会計画系論文集 1999.04 第518号、

pp.113〜120 渡邊朗子 ○

14 「法政大学大学院」における「近代」の意味 建築

家・大江宏の言説に関する方法論的研究 その1 日本建築学会計画系論文集 1999.11 第525号、

pp.307〜312 崔 康勲 ○

15 「法政大学58年館」における「設計変更」の意味

建築家・大江宏の言説に関する方法論的研究 日本建築学会計画系論文集 2001.08 第546号、

pp.283〜288 崔 康勲 ○

16 大学の建築計画系研究室における部分的フリーアド

レス化による空間の有効利用 日本建築学会計画系論文集 2002.07 第557号、

pp.189〜195

松下 聡、嶋村仁志、

龍向明、高嶋 猛、

福井宇洋

17 国立大学キャンパスにおける施設・環境に関する評

価と物的特性 日本建築学会計画系論文集 2002.10 第560号、

pp.89〜96

山口勝巳、谷口汎邦、

高野文雄 ○

NO.・分冊・

ページ 著者

細分類

番号 タイトル 発行・掲載誌 発行年月

(4)

2-1-3. キャンパス計画

 「キャンパス計画」に関わる既往研究を表 2-3 に示す。

 小林は、国の内外を問わず、数多くの大学キャンパス計画の既往の実情を調査・収集すると 共に、それぞれの計画の特徴を体系付けて分類・整理し、今後大学キャンパス計画をたてる場 合の有効な参考資料を提供するなど、1975年にキャンパス計画の分類的考察に関する一連の論 文を発表した。その後、宮本ら、谷口らは、建築群をヴォリュームとして捉えた時の物的要素

(例えば、配置形態、密度、高さ関係等)を中心に、さらに、建築群のファサード形態、色彩・

テクスチャー、外構等の物的要素も加えて、これらの物的要素が形容詞尺度を基にした空間の 評価に及ぼす影響を把握するなど、1985 年から 1994 年にかけて建築外部空間・囲み空間に関 する一連の論文を発表した。また、徐らは、日本と韓国の状況に着目し、両国における事例を 通してキャンパスの変遷過程、空間構成、立地条件を明らかにするなど、1990 年から 1993 年 にかけてキャンパスの歴史的発展過程・空間構成とその変容に関する論文を発表した。さらに、

鈴木らは、1995 年に建築外部空間・都市外部空間における「視覚」と「記憶」の「学習過程」

に見られる現象の把握と、これらを合わせた循環的プロセスに見られる空間構造を考察し、空 間演出の知見を得た。この 1995 年までの期間は、キャンパスの「空間構成・変容」について 論じている論文が主流であると言える。

 1996 年から 1999 年前半までは、竹下らによるファシリティマネジメント・システムに関す る論文(1996 年)、西村によるキャンパスの外構整備に関する論文(1997 年)及びランドス ケープデザインに関する論文(1999 年)、内井らによるマスターアーキテクト方式に関する論 文(1997 年)など、キャンパスの「空間構成・変容」と「計画理念・手法」に関する論文が交 互に発表されている。その後、赤尾らは、1999 年にキャンパスの景観形成過程に関する論文を 発表した。具体的には、配置計画に従いキャンパスの変遷をレビューすると共に、佐藤功一の 都市美論に着目し、その概念を把握した上で、キャンパスの変遷が一貫して佐藤の見出した「美 の法則」の影響を受けていることを明らかにした。すなわち、「空間構成・変容」と「計画理念・

手法」の両方の視点よりキャンパス計画について考察を行った。

 1999 年後半からは、小篠らによるファシリティマネジメント概念に関する論文(1999 年)、

北尾らによるマスターアーキテクト方式に関する論文(1999 年)、阪野らによるシミュレー ションに関する論文(2000 年)、岸本らによる FM データベースシステムに関する論文(2001 年)、田川らによるマスタープランとプログラムに関する論文(2001年)、ポールらによるイン ターネットを活用した参加型設計手法に関する論文(2001 年)、櫻井らによる施設整備計画の 立案に関する論文(2002 年)など、キャンパスの「計画理念・手法」について論じている論文 が主流であると言える。

 以上のように、「キャンパス計画」に関わる既往研究は、「空間構成・変容」の実態・歴史に

(5)

空間 構成

変容

計画 理念

手法

その

1 キャンパス交通計画 —阪大吹田キャンパスにおけ る事例研究—

日本都市計画学会学術研究

発表会論文集 1974 第9号、

pp.181〜186

毛利正光、三星昭宏、

塚口博司 ○

2 大学キャンパス計画の分類的考察(その1) 日本建築学会論文報告集 1975.09 第235号、

pp.65〜71 小林秀弥 ○

3 大学キャンパス計画の分類的考察(その2) 日本建築学会論文報告集 1975.10 第236号、

pp.91〜96 小林秀弥 ○

4 大学キャンパス計画の分類的考察(その3) 日本建築学会論文報告集 1975.11 第237号、

pp.127〜133 小林秀弥 ○

5 ビデオを利用した景観の評価 —キャンパス景観を 対象にして—

日本都市計画学会学術研究

発表会論文集 1982 第17号、

pp.499〜504 丹羽富士雄 ○

6

大学キャンパスの建築外部空間における意味次元と その安定性について —大学キャンパスにおける建 築外部空間の構成計画に関する研究 その1—

日本建築学会計画系論文報

告集 1985.02 第348号、

pp.27〜37 宮本文人、谷口汎邦 ○

7 キャンパスの構成要因に関する意識調査 造園雑誌研究発表論文集 1985 48(5)、

pp.222〜227

白井彦衛、斉藤一雄、

城戸敏子 ○

8

大学キャンパスの建築外部空間における意味構造に ついて —大学キャンパスにおける建築外部空間の 構成計画に関する研究 その2—

日本建築学会計画系論文報

告集 1985.12 第358号、

pp.54〜64 宮本文人、谷口汎邦 ○

9

大学キャンパスにおいて2棟の建物が構成する外部空 間の物的属性について —大学キャンパスにおける 建築外部空間の構成計画に関する研究 その3—

日本建築学会計画系論文報

告集 1986.06 第364号、

pp.112〜122

宮本文人、谷口汎邦、

山口勝巳 ○

10 京都大学吉田キャンパスの外部空間に対する意識分 析

日本建築学会計画系論文報

告集 1987.08 第378号、

pp.58〜65

小林正美、東山純一、

川崎 清 ○

11

大学キャンパスにおいて建築群が構成する囲み空間 の物的属性について —大学キャンパスにおける建 築外部空間の構成計画に関する研究 その4—

日本建築学会計画系論文報

告集 1987.11 第381号、

pp.63〜74 谷口汎邦、宮本文人 ○

12 国立大学キャンパスにおける土地利用の抵効率化要 因に関する研究

日本都市計画学会学術研究

論文集 1989 第24号、

pp.181〜186 丸茂弘幸 ○

13 大学における学生駐車場の整備水準に関する研究 日本都市計画学会学術研究

論文集 1990 第25号、

pp.43〜48

兵藤哲朗、内山久雄、

山田善靖、高橋真吾 ○

14

日韓両国における大学キャンパスの歴史的発展過程 の考察 —大学キャンパスの発展過程と空間構成に 関する研究その1—

日本都市計画学会学術研究

論文集 1990 第25号、

pp.175〜180 徐璣 ○

15 国立大学キャンパスにおける施設の成長過程に関す る研究

日本都市計画学会学術研究

論文集 1990 第25号、

pp.181〜186 丸茂弘幸 ○

16

建築群が構成する囲み空間の物理的特性について 大学キャンパスにおける建築外部空間の構成計画に 関する研究 その5

日本建築学会計画系論文報

告集 1991.11 第429号、

pp.83〜92

谷口汎邦、宮本文人、

菅野 寛 ○

17 日本における大学キャンパスの空間構成とその変容 に関する研究

日本建築学会計画系論文報

告集 1991.12 第430号、

pp.65〜76 徐璣 ○

NO.・分冊・

ページ 著者

細分類

番号 タイトル 発行・掲載誌 発行年月

表 2-3 「キャンパス計画」に関わる既往研究(その 1)

(6)

表 2-3 「キャンパス計画」に関わる既往研究(その 2)

空間 構成

変容

計画 理念

手法

その

18 国立大学におけるキャンパス計画ならびに施設・環 境に関する問題の構造化

日本建築学会計画系論文報

告集 1992.09 第439号、

pp.45〜53

山口勝巳、谷口汎邦、

高野文雄 ○

19 キャンパスの成長過程と空間構成との関連性 —空 地利用型と敷地拡張型との比較を通して—

日本都市計画学会学術研究

論文集 1992 第27号、

pp.697〜702

大川昌之、丸茂弘幸、

盛田好典 ○

20 韓国における大学キャンパスの空間構成とその変容 に関する研究

日本建築学会計画系論文報

告集 1993.01 第443号、

pp.99〜109 徐璣、土肥博至 ○

21

建築群が構成する囲み空間の物理的特性と視覚的意 味について 大学キャンパスにおける建築外部空間 の構成計画に関する研究 その6

日本建築学会計画系論文報

告集 1993.09 第451号、

pp.155〜165

谷口汎邦、宮本文人、

菅野 寛 ○

22 福井県立大学基本計画・基本設計(福井キャンパ ス)における合意形成のプロセス

日本建築学会計画系論文報

告集 1993.1 第452号、

pp.85〜94

藤原 篤、松本伸洋、

川崎 清 ○

23

都市空間の形態認知に関する研究 —大学キャンパ スのイメージにおける基本的空間単位と言語的情報 の役割について—

日本都市計画学会学術研究

論文集 1994 第29号、

pp.583〜588 崎山 徹、宗本順三 ○

24 工科系大学の諸環境条件の分類的研究 工学院大学

をモデルケースとして 日本建築学会計画系論文集 1994.12 第466号、

pp.47〜53

安原治機、南迫哲也、

望月大介、木村幸弘 ○

25 大学キャンパスの囲み空間における物的属性と視覚

的意味に関する研究 日本建築学会計画系論文集 1994.12 第466号、

pp.75〜85

宮本文人、谷口汎邦、

鈴木重則 ○

26 建築外部空間における視覚・記憶構造に関する研究

〜大学キャンパスを事例として〜 日本建築学会計画系論文集 1995.07 第473号、

pp.91〜99

鈴木信弘、志水英樹、

内田暁子 ○

27

工学部の再開発に関わるファシリティマネイジメン ト・システムの研究 パーソナル・コンピュータを 使用した大学施設のデータベース開発

日本建築学会技術報告集 1996.03 第2号、

pp.150〜155

竹下純治、佐野寿久、

加藤彰一、清水裕之、

谷口 元

28 明治期、大正前期における東京帝国大学本郷キャン パスの外構整備について

ランドスケープ研究研究発

表論文集 1997 60(5)、

pp.431〜436 西村公宏 ○

29

滋賀県立大学キャンパス設計におけるマスターアー キテクト方式の報告 —デザインコードの役割の考 察—

日本建築学会技術報告集 1997.12 第5号、

pp.220〜225

内井昭蔵、久間常生、

川元明春、北嶋祥浩、

内井理一郎、松田 良、北尾靖雅

30 明治初期における開成学校(1868-1876)等のラン ドスケープデザインについて

ランドスケープ研究研究発

表論文集 1999 62(5)、

pp.429〜434 西村公宏 ○

31 広島大学キャンパス内の小河川におけるビオトープ 計画の景観生態学的評価

ランドスケープ研究研究発

表論文集 1999 62(5)、

pp.603〜606

近藤俊明、中越信和、

谷本 茂 ○

32

早稲田大学西早稲田キャンパスの景観形成過程に関 する研究 〜佐藤功一の都市美論と営繕組織の活動 を通して〜

日本建築学会計画系論文集 1999.05 第519号、

pp.187〜194

赤尾光司、後藤春彦、

三宅 諭、米山 勇 ○ ○

33

ファシリティマネジメント概念を用いた都市空間の 計画・設計支援に関する研究 —大学キャンパス計 画をモデルとした可能性の検討—

日本建築学会技術報告集 1999.06 第8号、

pp.179〜184 小篠隆生、小林英嗣 ○

34

マスターアーキテクト方式による建築物の集合形態 生成の研究 —大学キャンパスでの環境設計プロセ スにおける「形態」の展開について—

日本建築学会計画系論文集 1999.08 第522号、

pp.215〜221 北尾靖雅、宗本順三 ○

番号 タイトル 発行・掲載誌 発行年月 NO.・分冊・

ページ 著者

細分類

(7)

表 2-3 「キャンパス計画」に関わる既往研究(その 3)

利用しながら全面建替えを行う中規模大学キャンパ ス再開発計画の経過と課題 和洋学園国府台キャン パス再開発における環境への応答を重視したマス タープランとプログラム

空間 構成

変容

計画 理念

手法

その

35 文部省面積基準と国立大学施設規模の実状に関する

考察 国立大学キャンパスの施設計画に関する研究 日本建築学会計画系論文集 2000.01 第527号、

pp.121〜128

竹下純治、谷口 元、

名執 潔、恒川和久 ○

36

大学キャンパス逐次建替計画における総述床面積と 補正立面面積の推移シミュレーション —遺伝的ア ルゴリズムを用いた二目的最適化—

日本建築学会計画系論文集 2000.03 第529号、

pp.203〜210

阪野明文、宗本順三、

吉田 哲、岩田伸一郎 ○

37

FMデータベースとシミュレーションを用いた大学施 設の利用計画立案と意思決定プロセス —千葉大学 工学部における施設再配分の計画事例を通じて—

日本建築学会技術報告集 2001.01 第12号、

pp.151〜156

岸本達也、上野 武、

服部岑生 ○

38 大学生の環境移行に伴う生活環境評価の時間的変化

と共分散構造 日本建築学会計画系論文集 2001.02 第540号、

pp.81〜88

網藤芳男、村川三郎、

西名大作、関根範雄 ○

39 北海道帝国大学の営繕組織の沿革と建築技術者につ

いて 日本建築学会計画系論文集 2001.03 第541号、

pp.213〜219

池上重康、越野 武、

角 幸博 ○

40

大学キャンパスにおけるネットワーク環境を用いた ユーザ参加型・FMデータベースシステムの可能性

—千葉大学での取組事例を通じて—

日本建築学会技術報告集 2001.12 第14号、

pp.211〜216

岸本達也、服部岑生、

上野 武 ○

41 日本建築学会技術報告集 2001.12 第14号、

pp.217〜222

田川正毅、船岡雪絵、

塚原史雄 ○

42 インターネットを活用した参加型設計手法 —ケン

ブリッジ大学キャンパス計画— 日本建築学会技術報告集 2001.12 第14号、

pp.353〜358

ポール・リッチェン ス、マイケル・トゥリ ンダー、長島雅則

43

夏季から秋季にかけての窓開閉行為の要因に関する 研究 大学キャンパスにおける学生を対象とした調 査

日本建築学会計画系論文集 2002.06 第556号、

pp.91〜98

鈴木玉美、梅宮典子、

吉田治典 ○

44

キャンパス内施設配置の再構築を目指した施設整備 計画の立案 —東北大学工学部・工学研究科長期計 画の策定過程を通して—

日本建築学会技術報告集 2002.06 第15号、

pp.209〜214

櫻井一弥、マリン・カ トフ、伊藤邦明、野村 希晶、稲毛 豊

番号 タイトル 発行・掲載誌 発行年月 NO.・分冊・

ページ 著者

細分類

ついて論じている「模索期」から、「空間構成・変容」と「計画理念・手法」に関する論文が交 互に発表されている「転換期」を経て、「計画理念・手法」の開発・確立について論じている「成 熟期」へシフトしていることが分かる。しかし、「空間構成・変容」と「計画理念・手法」の両 方の視点よりキャンパス計画について考察を行った論文は、「転換期」における赤尾らによるも ののみである。

2-1-4. 都市と大学

 「都市と大学」に関わる既往研究を表 2-4 に示す。

 大きく、「立地・分布」と「都市と大学の関係」の 2 つに大別することができる。しかし、「立 地・分布」については、本研究との関係が薄いと考えられるため、深く言及しないこととする。

(8)

 「都市と大学の関係」について論じている論文は、両角による大学と学生用居住施設整備に関 する論文(1975 年)、岡村による地方都市人口と大学に関する論文(1976 年)、小田による大 学の生涯教育機能と住民の生涯学習行動に関する論文(1992 年)、徐らによる都市と大学キャ ンパスの関係性に関する論文(1993 年)、宗本らによる大学キャンパスとその周辺地域を対象 とした外部空間の「印象」とその要因となる空間特性に関する論文(1993 年)、小篠らによる オープンスペースに着目した大学キャンパスと周辺市街地の連続性に関する一連の研究(1997

〜 1998 年)、後藤による産学連携の観点から見た大学キャンパスの設計・整備に関する論文

(2002 年)が挙げられる。全体的な傾向としては、ハード面に着目した論文が主流であること が挙げられる。それらの論文の中で、徐らと後藤は、大学と周辺地域との関係の考察は無視で きない重要な要素であり、両方の相乗効果も視野に入れて検討することが大切であると論じる など、注目すべきである。

 徐らは、キャンパスとそれが立地する都市との相関関係に着目し、以下のようなことを明ら かにした。

1)日韓両国のキャンパスを対象として、都市と大学の関係を明らかにするため、その要因とし て 24 項目を設定し、主成分分析を行った。その結果、日韓共に 5 因子が得られた。

2)5 因子はそれぞれ①周辺地区成熟度、②キャンパス開放性、③都市集積度、④立地条件、⑤ 大学の比重と命名できるが、これらは都市と大学の関係性を表す軸と言える。

3)その中で、特に第 1 因子の「周辺地区成熟度」と第 2 因子の「キャンパス開放性」は、都市 とキャンパスとの関連の構造を把握できる最も良い指標と解釈される。

4)第1因子に現れた寄与率から判断すると、日本のキャンパス周辺市街地の形成は漸進的に行 われ、それに伴って大学と地域の関係が成長してきたと言える。これに比べて韓国はキャンパ ス面積、学生の数など、外部的・物理的要因によって変化する傾向が見られる。

5)最後に、学生街の成立条件について分析した結果、学生街の成立には周辺市街地の都市形成 状況と大学の開放的性格の 2 条件が大きく作用することを明らかにした。また、この点につい て日韓両国を比較すると、日本の方が時間的影響がより強く作用している。

 また、後藤は、産学連携の中枢を担う共同研究センター注3)  についての現状と課題を検討す ることにより、以下のようなことを明らかにした。

(9)

表 2-4 「都市と大学」に関わる既往研究

1)「教官一人当たり共同研究件数」と「センター設置後経過年」には相関関係がほとんどな く、同一年度設置のセンター間での共同研究実施割合に差異があり、比較的新しく設置した センターにも実施割合が高いものが見られる。

ハー ド面

ソフ ト面 1 大学と学生用居住施設整備に関する研究 —熊

本市における大学街の考察—

日本都市計画学会学術研究

発表会論文集 1975 第10号、

pp.187〜192 両角光男 ○

2 地方都市人口と大学 —熊本市についてのケー ス・スタディ—

日本都市計画学会学術研究

発表会論文集 1976 第11号、

pp.25〜30 岡村幸一郎 ○

3 大学生の新規就職時の移動に関する研究 日本都市計画学会学術研究

発表会論文集 1979 第14号、

pp.25〜30 和泉 潤、守屋高弘 ○

4 大学等の郊外立地の現状と問題点 —南関東地 域の場合—

日本都市計画学会学術研究

発表会論文集 1979 第14号、

pp.217〜222 大阪谷吉行 ○

5 国立大学におけるキャンパスの立地類型の変化 と敷地の拡張に関する研究

日本都市計画学会学術研究

論文集 1988 第23号、

pp.313〜318 丸茂弘幸 ○

6 国立大学キャンパスの分布形態の変化に関する 研究

日本建築学会計画系論文報

告集 1987.11 第381号、

pp.122〜131 丸茂弘幸 ○

7 地方中核都市における大学の生涯教育機能と住 民の生涯学習行動

日本都市計画学会学術研究

論文集 1992 第27号、

pp.631〜636 小田利勝 ○

8 都市と大学キャンパスの関係性に関する考察 日韓両国の事例研究を通じて

日本建築学会計画系論文報

告集 1993.10 第452号、

pp.125〜132 徐璣、土肥博至 ○

9

外部空間の「印象」とその要因となる空間特性 についての研究 九州芸術工科大学キャンパス とその周辺市街地の外部空間について

日本建築学会計画系論文報

告集 1993.11 第453号、

pp.95〜104 宗本順三、崎山 徹 ○

10

市街地整備の計画枠組としてのオープンスペー スの研究 —大学都市ルーヴァン・ラ・ヌーブ のキャンパスマスタープランを事例として—

日本都市計画学会学術研究

論文集 1997 第32号、

pp.37〜42 小篠隆生、小林英嗣 ○

11 オープンスペースからみたキャンパス計画にお ける大学と市街地との空間的関連と構造

ランドスケープ研究研究発

表論文集 1998 61(5)、

pp.727〜730 小篠隆生、小林英嗣 ○

12

利用者意識からみた大学キャンパスと周辺市街 地の連続性 —大学キャンパスのオープンス ペースに着目して—

日本都市計画学会学術研究

論文集 1998 第33号、

pp.241〜246 小篠隆生、小林英嗣 ○

13 戦前期東京における高等教育機関キャンパスの 形成段階と分布形態

日本都市計画学会学術研究

論文集 2000 第35号、

pp.139〜144 木方十根 ○

14

産学連携の観点から見た大学キャンパスの計 画・整備に関する研究 —国立大学における共 同研究センターの現状と課題に関する分析—

日本建築学会計画系論文集 2002.05 第555号、

pp.171〜176 後藤 裕 ○ 都市と大

番号 タイトル 発行・掲載誌 発行年月 NO.・分冊・ 学の関係

ページ 著者 立地

分布

その 細分類

(10)

2)共同研究、技術相談、講演会・情報提供にそれぞれ特化した共同研究センターがあり、産 学連携活動状況に差異が見られる。

3)共同研究センター施設の大きな特徴は、利用者が入れ替わり研究実験空間を使用する点に ある。このような教育研究の流動化を支援する施設にあっては、計画時は学内外の産学関連 施設整備状況を考慮した立地の検討、設計時は建物全体の柔軟性と周辺施設の複合化や共用 化の検討、運営時はファシリティマネジメント的視点からの施設設備の管理と実施体制づく りが特に重要と言える。

4)学外共同研究センターは政策的にテクノポリス等に設置されてきた。今後、産学連携を進 める上で国以外の資金による整備や民間施設利用が見込まれることから、学内外立地の有利 性を十分検討して施設の計画・整備を図る必要がある。

5)共同研究センターは実験研究を保証しながら、地域の窓口として大学を開かれたものとす る計画と運営上の工夫が欠かせないが、学外に大学施設を計画整備する場合は有すべき機能 を確保し、周辺の支援施設との相乗効果も視野に入れて検討することが大切である。

 しかし、徐らの論文はやや統計的かつ概念的であり、後藤の論文は特定学外施設のみを対象 としている。

 一方、小田はソフト面に着目し、広く住民一般の生涯学習に対する関心や学習行動を踏まえ ていなければ、生涯学習を提供している側の大学や行政機関の体制づくりや計画はもとより、

長寿社会における生活の充実を図るための地域の教育・文化の活性化や地域社会における生涯 学習社会の建設という目的へ向けた都市・地域計画を実効あるものにすることはできないと論 じた。

 以上のように、「都市と大学」に関わる既往研究は、そのほとんどがハード面に着目してお り、ソフト面に着目した論文は、小田によるもののみであるなど、多方面からのアプローチを 進めていくための「模索期」に位置付けられる。

2-1-5. 既往研究の趨勢

 既往研究の趨勢を図 2-1注4)  に示す。

 建築・都市計画の分野で大学を扱った研究は、1990年代になってから本格的に発表されるよ うになり、その中でも「キャンパス計画」に関わる研究が「模索期」「転換期」「成熟期」を辿 りながら着実に取り組まれ、様々な学会誌において発表されてきたことが分かる。また、「施設

(11)

図 2-1 既往研究の趨勢

計画」「キャンパス計画」に関わる研究は、現在「成熟期」に位置付けられるが、「都市と大学」

に関わる研究は、未だに「模索期」に位置付けられることが把握できた。

19 70

19 71

19 72

19 73

19 74

19 75

19 76

19 77

19 78

19 79

19 80

19 81

19 82

19 83

19 84

19 85

19 86

19 87

19 88

19 89

19 90

19 91

19 92

19 93

19 94

19 95

19 96

19 97

19 98

19 99

20 00

20 01

20 02

▲大学と学生用居住施設整備(両角)

▲地方都市人口と大学(岡村)

■都市と大学キャンパスの関係性(徐ら)

■大学キャンパスとその周辺市街地を対象とした外部空間の印象(宗本ら)

▲★オープンスペースに着目した大学キャンパスと周辺市街地の連続性(小篠ら)

■産学連携の観点から見た大学キャンパスの設計・整備(後藤)

▲大学の生涯教育機能と住民の生涯学習行動(小田)

■建築外部空間(宮本ら、谷口ら、鈴木ら)

■キャンパス計画の分類的考察(小林)

空間構成・変容

空間構成・変容/

計画理念・手法

都市と大学の関係【ハード面】

都市と大学の関係【ソフト面】

■大学図書館(栗原ら)

計画・整備

■福利厚生施設(金ら)

■メディアセンター(渡邊)

■物的特性と施設・環境評価の関係(山口ら)

管理・運営

■▲キャンパスの歴史的発展過程・空間構成とその変容(徐ら)

★キャンパスの外構整備(西村)

■●マスターアーキテクト方式(内井ら、北尾)

★ランドスケープデザイン(西村)

■キャンパスの景観形成過程(赤尾ら)

■シミュレーション(阪野ら)

●マスタープランとプログラム(田川ら)

●参加型設計手法(ポールら)

模索期 転換期

成熟期

■研究使用室(高野ら、松下)

( )筆者名

計画理念・手法

●ファシリティマネジメント(竹下ら、小篠ら、岸本ら)

■日本建築学会論文報告集  日本建築学会計画系論文報告集  日本建築学会計画系論文集

▲日本都市計画学会学術講演会論文集  日本都市計画学会学術研究発表会論文集  日本都市計画学会学術研究論文集

●日本建築学会技術報告集

★造園雑誌研究発表論文集  ランドスケープ研究研究発表論文集

(12)

図 2-2 研究の着眼点

2-2. 研究の着眼点と位置付け

 本研究の着眼点を図 2-2 に示す。

 「施設計画」に関わる既往研究は、図書館、福利厚生施設、研究使用室、メディアセンターな ど、施設自体のみの「計画・整備」「管理・運営」について論じている。しかし、建築単体とキャ ンパス、ひいてはキャンパスとその周辺地域との調和を保つためには、今後、施設の外部空間 までを視野に入れた研究が必要とされる。

 また、「キャンパス計画」に関わる既往研究は、赤尾らによる論文を除くと、キャンパスの「空 間構成・変容」と「計画理念・手法」に大別される。しかし、その両方の視点より研究を進め ることは、新たな機能をキャンパスに導入しながらも、これまで受け継いできたキャンパスの 文脈を継承していく上で重要であると言える。今後は、「空間構成・変容」と「計画理念・手法」

の両方を総合的に捉えた研究の充実が必要とされる。

 さらに、「都市と大学」に関わる既往研究は、ハード面に着目し「都市と大学の関係」につい て論じている論文が主流であり、やや統計的かつ概念的であるか、特定学外施設のみを対象と している。また、ソフト面に着目し「都市と大学の関係」について論じている論文は、大学側 の生涯学習を取り上げた小田によるもののみである。今後は、集合体としての学外施設に対す る具体的な方策について論じる研究及び、周辺地域側のソフト面に着目し「都市と大学の関係」

について論じる研究の充実が必要とされるなど、多方面からのアプローチが求められる。

・集合体としての学外施設に対する 具体的な方策について論じる研究が 必要とされる。

・施設の外部空間までを視野に入れ た研究が必要とされる。

・「空間構成・変容」と「計画理 念・手法」の両方を総合的に捉えた 研究の充実が必要とされる。

・周辺地域側のソフト面に着目し

「都市と大学の関係」について論じ る研究の充実が必要とされる。

求められる課題 既往研究の総括

・施設自体のみの「計画・整備」

「管理・運営」について論じてい る。

・赤尾らによる論文を除くと、キャ ンパスの「空間構成・変容」と「計 画理念・手法」に大別される。

・ハード面に着目し「都市との関 係」について論じている論文が主流 である。

・ソフト面に着目し「都市との関 係」について論じている論文は、大 学側の生涯学習を取り上げた小田に よるもののみである。

・周辺地域側の地域振興・コミュニ ティづくりの支援を目的としたまち づくり活動に着目する。

・周辺地域側の生活を支えていると 考えられる商業活動に着目する。

・周辺地域までを視野に入れた集合 体としての学外施設の計画に着目す る。

・キャンパスの「空間構成・変容」

と「計画理念・手法」の両方を骨子 とするキャンパス整備指針に着目す る。

・やや統計的かつ概念的である。

・特定学外施設のみを対象としてい る。

研究の着眼点

(13)

 本研究は、上記のような既往研究における課題を基に、以下のような着眼点を導きだし、そ れらに沿って研究を進めていくこととする。

1)着眼点 1

 キャンパスの「空間構成・変容」と「計画理念・手法」の両方を骨子とするキャンパス整備 指針に着目する(第 4 章)。

2)着眼点 2

 周辺地域までを視野に入れた集合体としての学外施設の計画に着目する(第 5 章)。

3)着眼点 3

 周辺地域側の地域振興・コミュニティづくりの支援を目的としたまちづくり活動に着目する

(第 6 章)。

4)着眼点 4

 周辺地域側の生活を支えていると考えられる商業活動に着目する(第 7 章)。

 従って本研究は、「施設計画」においては、その課題とされる施設の外部空間までを視野に入 れた新しい論点を持つものとして位置付けられる。

 「キャンパス計画」においては、「空間構成・変容」と「計画理念・手法」の両方の視点によ りキャンパス計画について考察を行った赤尾らによる論文の延長上に位置付けられる。

 「都市と大学」においては、「都市と大学の関係」のソフト面に着目し大学の生涯教育機能と 住民の生涯学習行動について論じた小田による論文及び、「都市と大学の関係」のハード面に着 目し共同研究センターについての現状と課題を検討した後藤による論文の延長上に位置付け られる。

(14)

2-3. 研究対象の確認

 本節では、研究の着眼点を踏まえ、「1-2-2. 研究の対象」で述べた研究対象の選定理由を 確認する(図 2-3)。

 4 つの着眼点ごとの対象の条件及び、それに該当する対象の選定理由について以下に記す。

 着眼点 1 に関しては、「空間構成・変容」と「計画理念・手法」が把握できるための同敷地 における長い歴史を有している(条件 1)対象の選定が求められるが、西早稲田キャンパス の選定理由 1)がその条件を満たしている。また、「空間構成・変容」と「計画理念・手法」

図 2-3 研究対象の確認

・周辺地域側の地域振興・コミュニ ティづくりの支援を目的としたまち づくり活動に着目する。

着眼点3

・周辺地域側の生活を支えていると 考えられる商業活動に着目する。

着眼点4

・キャンパスの「空間構成・変容」

と「計画理念・手法」の両方を骨子 とするキャンパス整備指針に着目す る。

「空間構成・変容」と「計画理念・

手法」が把握できるための同敷地に おける長い歴史を有していること。

・大学や高専における学生消費組合 の本格的発展の第一歩とも言える

「東京学生消費組合」の最初の支部 が前身であり、50年を超える歴史を 誇る日本における最も古い生協の一 つである早大生協が設立された敷地 である。

大学との連携の下、周辺地域側で取 り組まれた様々なまちづくり活動が 見られること。

選定理由3)

西早稲田キャンパス

研究の着眼点 対象の条件 対象の選定理由

着眼点1

・百年を超える長い歴史を有する創 立以来の敷地でありながら、都市の 中に立地しつづけてきている。

・現在、行政に先立ち、多くのまち づくり組織・団体が発足し、それら を中心に大学と連携した様々なまち づくり活動が行われているなど、日 本における先進的位置づけにある。

周辺地域

・全早大生協施設(32個所)の約半 数が西早稲田キャンパスとその周辺 地域(15個所)に集中しており、そ の影響を強く受けている地域であ る。

選定理由1)

・キャンパスが受け継いできた空間 構成原理を導き出すと共に、キャン パス計画の原則を掲げ、キャンパス の将来像を提示するキャンパス整備 指針を有している。

選定理由2)

選定理由1)

「空間構成・変容」と「計画理念・

手法」の内容を含むキャンパス整備 指針を有していること。

条件1

条件2

周辺地域側の商業活動に匹敵する大 学側の活動がみられ、お互い影響し 合っていること。

・周辺地域までを視野に入れた集合 体としての学外施設の計画に着目す る。

・46個所に及ぶ様々な学外施設が周 辺地域に立地しており、その影響を 強く受けている地域である。

周辺地域における多様な学外施設 の集積が見られること。

着眼点2 条件5 選定理由3)

条件4 条件3

選定理由2)

(15)

の内容を含むキャンパス整備指針を有している(条件 2)対象の選定も求められるが、西早 稲田キャンパスの選定理由 2)がその条件を満たしている。

 着眼点 2 に関しては、周辺地域における多様な学外施設の集積が見られる(条件 5)対象 の選定が求められるが、周辺地域の選定理由 3)がその条件を満たしている。

 着眼点 3 に関しては、大学との連携の下、周辺地域側で取り組まれた様々なまちづくり活 動が見られる(条件 4)対象の選定が求められるが、周辺地域の選定理由 2)がその条件を満 たしている。

 最後に、着眼点 4 に関しては、周辺地域側の商業活動に匹敵する大学側の活動がみられ、

お互い影響し合っている(条件 3)対象の選定が求められるが、西早稲田キャンパスの選定 理由 3)及び周辺地域の選定理由 1)がその条件を満たしている。

 以上より、本研究の対象の選定理由は、4 つの着眼点に沿って研究を進めていくための条 件を満たしていると言える。すなわち、西早稲田キャンパスと周辺地域は、本研究における 適切な対象であることが確認できた。

(16)

注記

注 1)参考文献 1)

 その分類フレームを示すと以下のようである。

 Ⅰ類:論文  ・都市と大学  ・立地  ・大学周辺  ・学園都市

 ・キャンパス計画・空間構成  ・外部空間・学生行動  ・設計方法

 ・交通

 ・キャンパス内施設計画(施設配置、施設規模、講義室・演習室、研究室、図書館・メディアセン   ター、福利厚生施設、体育施設、学生寮、病院・医学部、工科系施設、文化系施設、薬系施設、美術系  施設、バリアフリー環境、その他の施設)

 ・学生居住  ・歴史  ・その他

 Ⅱ類:単行本・雑誌(海外文献を含む)

 ・都市と大学  ・キャンパス計画  ・外部空間  ・歴史  ・大学論  ・大学施設計画  ・その他

 Ⅲ類:計画書・報告書

 Ⅳ類:文教施設の計画・設計に関する参考資料  ・文教施策関係

 ・施設長期計画関係  Ⅴ類:HP、URL

注 2)下記の資料及び計画・報告書で公表されている研究、HP、URL などを収録した。

 ・日本建築学会論文報告集、日本建築学会計画系論文報告集、日本建築学会計画系論文集

(17)

 ・日本建築学会大会学術講演梗概集

 ・日本建築学会支部研究報告集(北海道、東北、関東、東海、北陸、近畿、中国、九州、中国・九州)

 ・日本建築学会技術報告集

 ・日本建築学会情報・システム・利用・技術シンポジウム論文集  ・日本建築学会地域施設計画研究

 ・日本建築学会研究報告

 ・日本都市計画学会学術研究発表会論文集、日本都市計画学会学術研究論文集  ・大学研究、筑波大学大学研究センター

 ・都市問題研究  ・現代の高等教育  ・単行本、雑誌  ・文部省資料

注 3)共同研究センターは、国立大学における社会的連携・協力を図るための施設として、共同研究や受 託研究、技術相談、技術研修等を行う目的で 1987 年度から整備が開始された。国立学校設置法施行規則 に基づき「学内共同教育研究施設」として設置し、所要の定員及び汎用設置を配置する。

注 4)「施設計画」「キャンパス計画」「都市と大学」における「その他」及び、「都市と大学」における「立 地・分布」を除く趨勢である。

参考文献

1)山口勝巳、小篠隆生:大学と都市・大学キャンパスに関する文献リスト、大学立地は都市を変えるか:

観と論(1999 年度日本建築学会(中国)都市計画部門パネルディスカッション資料)、日本建築学会、

1999.09

2)徐・土肥博至:都市と大学キャンパスの関係性に関する考察 日韓両国の事例研究を通して、日本 建築学会計画系論文報告集、第 452 号、pp.125 〜 132、1993.10

3)後藤裕:産学連携の観点から見た大学キャンパスの計画・整備に関する研究 −国立大学における共 同研究センターの現状と課題に関する分析−、日本建築学会計画系論文報告集、第555号、pp.171〜176、

2002.05

4)李彰浩、後藤春彦、三宅諭:大学周辺地域の衰退とまちづくり活動の展開 〜早稲田大学「西早稲田 キャンパス」と周辺地域を事例として〜、日本建築学会計画系論文集 第 542 号、pp.175-182、2001.04 5)李彰浩、後藤春彦:大学生活協同組合に対する大学周辺地域商店主の意識と今後の大学まちの課題 

〜早稲田大学生活協同組合と西早稲田キャンパス周辺地域を事例として〜、日本建築学会計画系論文集  第 560 号、pp.193-200、2002.10

(18)

表 2-1 分類フレームの設定2-1. 既往研究の総括  建築・都市計画分野で大学を扱った研究は、「学問の場」ということもあって長年広範囲にわたって展開されており、既往の研究成果は豊富な蓄積があると言える。 今日までの大学に関する研究の流れをひもとく資料としては、山口、小篠による「大学と都市・大学キャンパスに関する文献リスト」  が挙げられる。しかし、本文献リストは、都市と大学、大学キャン注1)パスの計画に関係する国内の研究(一部海外を含む)を広範囲から収集したものである   た注2)め、枠組(母集団)がは
表 2-2 「施設計画」に関わる既往研究 計画 ・ 整備 管理・運営 その他 1 学問分野別にみた図書資料の出版 —大学図書館の 建築計画に関する研究・1 — 日本建築学会論文報告集 1979.12 第286号、 pp.113〜123 栗原嘉一郎、富江伸 治、植松貞夫、門谷眞一郎、木野修造、戸村 雅昭 ○ 2 研究行為において利用される図書資料の種類と量 —大学図書館の建築計画に関する研究・2 — 日本建築学会論文報告集 1980.03 第289号、 pp.131〜137 栗原嘉一郎、富江伸 治、植松貞夫、
表 2-3 「キャンパス計画」に関わる既往研究(その 2) 空間 構成 ・ 変容 計画理念・手法 その他 18 国立大学におけるキャンパス計画ならびに施設・環 境に関する問題の構造化 日本建築学会計画系論文報告集 1992.09 第439号、 pp.45〜53 山口勝巳、谷口汎邦、高野文雄 ○ 19 キャンパスの成長過程と空間構成との関連性 —空 地利用型と敷地拡張型との比較を通して— 日本都市計画学会学術研究論文集 1992 第27号、 pp.697〜702 大川昌之、丸茂弘幸、盛田好典 ○ 20 韓国に
表 2-3 「キャンパス計画」に関わる既往研究(その 3) 利用しながら全面建替えを行う中規模大学キャンパ ス再開発計画の経過と課題 和洋学園国府台キャン パス再開発における環境への応答を重視したマス タープランとプログラム 空間構成・変容 計画理念・手法 その他35文部省面積基準と国立大学施設規模の実状に関する考察 国立大学キャンパスの施設計画に関する研究日本建築学会計画系論文集2000.01第527号、pp.121〜128竹下純治、谷口 元、名執 潔、恒川和久○36大学キャンパス逐次建替計画における総述
+4

参照

関連したドキュメント

2020 年の 40 歳代後半から 50 歳代にかけ ての第二次ベビーブームの人口層は比較的 多いが、2030 年には当然 50 歳代後半から 60

⑦ 間質性膀胱炎の診療ガイドラインの改訂  間質性膀胱炎の診療ガイドラインは 2007 年

 さて、先生は岡山大学から 1961 年に東京女子大学文理学部教授に招聘さ れるが、1973 年には磯村英一教授の後任として、東京都立大学人文学部(社

したがって、本研究班における aHUS サ ブグループの目的は、当研究班の解析 システムを用いて aHUS の疫学的、蛋白

という形に頼らない。」 という具体的な方向性を打ち出した 1) 。これは、アウトリーチチー 

TAK  470  例を集積例のうち  6.4%(30  例)が  UC  を合併していた。 HLA-B*52  保有率は  TAK 単独例の 50.7%に比べ UC 合併 TAK 例  で 

の成人における障害支援区分判定の妥当性に関する検証, ②ASD の成人における Quality 

10~20人のCAM Therapistが加わり、患者