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研究の総括

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Academic year: 2021

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終章 まとめ

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研究の総括

 大学は都市によって育成され、また都市を熟成させる機能を持ち、両者は不可分の関係にあ ると考えられるが、日本において大学と周辺地域の関係は希薄化しつつあり、「学生街」という 表現自体も過去のものとなってしまっている。

 しかし昨今では、大学を核とするまちづくりが地域再生の課題のひとつに掲げられるように なり、一般市民にも開かれた大学施設の学外展開や、各種都市機能とのコラボレーションなど、

大学キャンパスと周辺地域の一体的整備が求められる新しい局面が生まれている。

 本研究は、このような研究の要請に対して、早稲田大学「西早稲田キャンパス」及びその周 辺地域を対象に、「学生街」の変容過程を明らかにし、衰退した「学生街」を大学の教育・研究・

社会貢献機能と学生・教職員の生活支援機能が集積した「大学まち」として再生するための課 題を解明することを目的とした。

 本研究の構成は、大きく序論、本論、結論、総括で構成される。

 序論は、第 1 章、第 2 章、第 3 章から成り、本研究を進めるにあたっての基礎的な事項につ いて述べると共に、「学生街」が衰退してきたことを明らかにした。

 第1章「はじめに」では、研究の背景と目的、研究の枠組と対象、研究の構成と方法、研究 の用語について的確に述べた。

 第2章「既往研究の総括と研究の着眼点」では、既往研究を「施設計画」「キャンパス計画」

「都市と大学」の3点よりレビューし、研究の着眼点として、①キャンパス整備指針、②学外施 設の計画、③まちづくり活動、④商業活動の4点を明確に導き出した。

 また、研究の位置付けを整理すると共に、研究対象の適切性を確認した。

 第3章「周辺地域の変遷」では、早稲田大学「西早稲田キャンパス」周辺地域の変遷につい て克明に調査し、「学生街」の衰退について、次の3点から明らかにした。第一に、周辺地域に 存在した学生や教職員の生活支援施設が1988年から1998年にかけて急激に減少している。第 二に、学生生活が変化し、周辺地域における学生の滞在時間が減少している。第三に、約8割 の周辺地域商店主が周辺地域の衰退を実感している。

 本論は、第 4 章、第 5 章、第 6 章、第 7 章から成り、上記の研究の着眼点に基づく研究課題 を設定し、詳細な分析を行った。

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 第4章「キャンパス整備指針の特徴」では、筆者自身も策定に参画してきた「早稲田大学西 早稲田キャンパス整備指針」を事例として取り上げ、指針策定の経緯を整理すると共に、整備 指針の特徴を「ゾーニング」「ネットワーク」「ランドマーク」「エッジ」「オフ・キャンパス」よ り明らかにした。

 その結果、第一に、保存すべき区域と高機能化を図る区域とに区分するためにゾーニングを 取り入れている。第二に、インフラストラクチャーの整備など、機能の更新を図るものとして ネットワークを捉えている。第三に、新しい機能の導入を視野に入れたランドマークの継承を 定めている。第四に、地域に開かれた「門のない大学」を目標としているなど、限られた土地 の中での施設整備を目指す都市に立地する大学ならではの特徴が見られた。

 一方で、大学施設が既成のキャンパス内にとどまらず、周辺地域を含めた広範囲に多数立地 している現状に着目し、新たにキャンパス外の周辺地域に展開する施設に対する整備指針の必 要性を指摘した。

 第5章「大学施設の学外展開に関する傾向と意識」では、学外施設に関して土地建物の購入 から建設までの一連の計画決定プロセスを整理した。これに基づく担当者・関係者へのヒアリ ング調査分析により、大学施設の学外展開に関して大学当局と周辺地域の間に意識の相違があ ることを解明した。

 また、既存の46箇所の学外施設の全てを対象にそれぞれの現況を克明に調査し、次に示す5 つの傾向を明らかにした。第一に、1985年から学外に立地する施設が著しく増加している。第 二に、学外施設の8割は土地・建物共に大学が所有している。第三に、大学から 100 〜 350m 圏内の東側に大規模な施設が多数立地している。第四に、小規模施設が点在することに関して 大学当局は管理上好ましくないと考えている一方、大規模施設に関して近隣住民は住環境の悪 化等の不安を感じている。第五に、大学側は倉庫などの低利用の施設を周辺地域に設置したい との意向を持っているが、周辺地域側は活気の減少に繋がるような施設用途の設置には反対し ている。

 さらに、大学施設の学外展開に関してまちづくりに関する総合的な視点が不足しているも のの、周辺地域商店主および町内会らは大学に対して信頼感を抱き、大学による周辺地域の 整備を望んでいる。

 以上より、早稲田大学「西早稲田キャンパス」とその周辺地域が「大学まち」となり得る潜 在性について指摘した。

 第6章「まちづくり活動への参加意識」では、これまでに周辺地域商店会が中心に取り組ん できたまちづくり活動について「教育・研究」「集会・イベント」「組織・施設」の 3 つの分野 より分析した。その中で、特に大学との連携の下で周辺地域商店会が取り組んだ「エコサマー

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終章 まとめ

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フェスティバル」(1996 年〜 1999 年)や「エイジングメッセ」(1999 年)などの「集会・イ ベント」に着目し、まちづくり活動への参加意識の強弱について、「活動への動機づけ」「活動 の姿勢」「成果の評価」「成果の広報」の 4 項目より明らかにした。

 その結果、周辺地域商店主がまちづくり活動へ不参加となる要因は、大学と周辺地域間の問 題ではなく、情報共有の不足など地域内部に存在する問題であることを指摘した。

 第7章「生協に対する周辺地域商店主の意識と生協経営」では、周辺地域の商業活動と競合 する存在と批判されがちな大学生活協同組合を取り上げ、その経営状態に関する詳細な分析を 行った。

 その結果、周辺地域商店と同様に大学生協も経営状態が悪化していることを確認し、周辺地 域商店主の大学生協に対する批判的意識は、大学生協のおかれている現状を正確に認識した上 でのものではないことを明らかにした。

 以上より、「学生街」の衰退は、大学生協の存在が主な原因ではなく、地域全体の構造的な問 題であり、「大学まち」として再生することで周辺地域商店と大学生協の共存共栄の途がひらか れることを指摘した。

 結論は、第 8 章から成り、衰退した「学生街」を「大学まち」として再生整備するにあたっ ての課題を導き出した。

 第8章「大学まちの再生整備」では、「大学まち」としての一体的整備の実現のために大学と 地域の連携を進めるための基本指針として、以下の 3 つを挙げた。

 第一に、大学の教育・研究・社会貢献の場を、既成のキャンパス内にとどめることなく、周 辺地域へ展開し「大学まち」を形成することは、大学と周辺地域にとって有益であることを両 者が確認する。第二に、大学は「大学まち」の地域社会の中心的役割を担う既存の商店会組織 との連携を図り、学生と教職員のみならず地域住民にとっても良好な環境を整える。第三に、

「大学まち」における大学施設の整備は、周辺地域のまちづくり活動や商業活動への波及も視野 に入れ、総合的に進める。

 これらの指針は、筆者が研究対象とした早稲田大学「西早稲田キャンパス」及びその周辺地 域のみならず、「大学まち」の実現を目指す諸都市においても普遍性を有するものと考えられ る。

 総括は、終章「まとめ」から成り、本研究における分析内容、分析結果について整理し、各 章を総括した。

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 本研究は、大学キャンパスおよびその周辺地域を研究対象として、包括的な「大学まち」と いう概念を提示した。そして、多角的な視点から詳細に実態を分析・把握することにより、従 来、既成のキャンパス内にとどまっていた大学施設整備の対象空間をその周辺地域にまで拡大 し、大学と地域社会の連携による「大学まち」としての地域再生の基礎的な指針を導いた。

 以上より、大学施設整備と地域再生を融合するための知見を与え、真に社会に開かれた大学 像を描き出すことを試みた。

参照

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