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多文化社会を創造的に生き抜くための異文化跳躍力育成について

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報 告

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東京外国語大学総合文化研究所 総合文化研究 第 23 号(2019)

Tokyo University of Foreign Studies, Trans-Cultural Studies, Vol. 23 (2019)

教育研究者である藤倉憲一氏をお招きした(講演タイトル)。藤倉氏は大阪市教育研究会において理科部長を務めた実践研究者であり、大阪教育大学教育学部附属天王寺小学校および、大阪市立小学校において長年、様々なアイディアを持つ子どもたち同士が話し合うディスカッション型教育実践の開発を行ってきた。本講演では、藤倉氏の実践経験および研究成果をもとに、子どもたちの主体的な学びをリードし得る教員のリーダーシップについて、「権威(ダーの力)」および「権力(フォロワーを従わせる力)」をキーワードとして、お話いただいた。

  教員の権力は一般に、学習者の主体性を奪う働きとして受け止められる概念である。しかし藤倉氏は、学習者の主体性を促進するための高度な学習環境を組織し、彼ら一人ひとりの学びを深化させる繊細かつ困難な働きかけを行う上で、教員が自分自身の権力を自覚し、子どもたちの間で的確に行使できることが重要と指摘する。そしてこのような授業のモデルとして、「黒板を子どもに渡す」と呼ぶ実践プランを提案する。ここでいう黒板とはあくまでも象徴的なものであり、黒板を子どもに渡す実践とは、子どもたちが学ぶべき「正解」(

藤倉憲一氏(新授業デザイン研究会) ×

武元康明氏(半蔵門パートナーズ株式会社)連続講演会

多文化社会を創造的に生き抜くための異文化跳躍力育成について   報告   田島充士

    

1.はじめに

  報告者が研究代表を務める科学研究費補助金・基盤研究(

育成について」と設定し、その内容について報告する。 「多文化社会を創造的に生き抜くための異文化跳躍力セプトを 本レポートでは両講演会に共通するキーコンそ二百名だった。 およ依頼していた。来場者はそれぞれ、要性に言及するよう、 力(能)の重シ 場を参照しながら、新たな言説を創造するようなコミュニケー 異質な活動文脈を背景とする者が協働し、わせ、それぞれの立 それぞれの講演者には科研のテーマにあ続講演会を実施した。 氏(康元武)を本学に招き、連と あに関する実践究者で研る氏(一憲倉 』異文化跳躍力」の提案成の主催事業として、人材育成:「

C

養生多文化社会を創造的にきプ抜くためのリーダーシッ)『

2.藤倉憲一氏講演について

  二〇一八年十二月十四日には、小学校現場を中心に活躍する

本稿の著作権は著者が保持し、クリエイティブ・コモンズ表示 4.0 国際ライセンス (CC-BY) 下に提供します。

https://creativecommons.org/licenses/by/4.0/deed.ja

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東京外国語大学総合文化研究所 総合文化研究 第 23 号(2019)

Tokyo University of Foreign Studies, Trans-Cultural Studies, Vol. 23 (2019)

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)を表現する教員の権利を子どもたちにゆずり、彼ら自身の声を授業展開に深く反映させるような実践を示す。そしてこの種の授業では多くの場合、教員が「黒板」となって子どもたちの間に入り、異なる意見をとりまとめながら、教室全体の物語を構成する権力を行使することになる。  藤倉氏は、このような教員の権力の行使により、子どもたちは彼ら単独ではなし得ない水準で、自らの活動文脈を率直かつ自律的に開示し得るようになるのだと主張する。そしてこの種の相互交流を通し、互いの視点を参照しつつ、自分自身の意見を豊かに構成していく異文化跳躍力を実現させるのだという。また教員のこの権力行使は、次第に子どもたちが教員に向ける信頼感としての権威を醸成し、将来、彼ら自らが他者との出会いにおいて異文化跳躍力を発揮するリーダーシップの源泉にもなるのだと論じる。

3.武元康明氏講演について

  二〇一九年一月十一日には、武元康明氏をお招きした(ル『る、)。武元氏は経済界・医学界を中心に活躍する著名なヘッドハンターであり、ビジネス界における実践経験から、実社会において活きる人材開発に関する研究を進めてきた。本講演では武元氏のこれまでの研究成果をもとに、実社会において求められるリーダーの具体像について、武元氏自身が監修したテ レビドラマ(テレビ東京ドラマ

Biz

『ヘッドハンター』(二〇一八)の映像資料も交えながら解説していただいた。  武元氏は、自分の見解と他者の異質な見解との創発的な接続を可能とする「バランス感覚」、必要に応じて自分の見解に対するこだわりを捨てることが出来る「切断力」、他者との協働関係の見通しを持つ「大局観」が、異質な活動文脈を背景とする他者との協働において発揮され得るリーダーシップのリソースになると指摘する。これらは科研で設定した異文化跳躍力を構成する具体的な要素といえる。そしてこの種の能力の養成に当たっては、自らの能力に対する「自尊心」および、他者に対する「尊重」が高いことが必要になるとされる。しかし武元氏によると、諸外国と比較して、日本の多くの若者にこれらの心性が十分に育っているとはいえない状況だという。  特に今後予想される労働環境のグローバル化および、就労期間の長期化により、これまでのように最初に所属した組織で最後まで働き続けるケースは少なくなると考えられる。このような状況においては、自尊心を持って自らのキャリアをコーディネートし、また様々な組織に属する他者との協働をリードする力が必要になってくる。そのためには学校において、藤倉氏が提案したような、課題について学習者自ら考え、自ら他者と交渉し、共に学ぶ仲間にとって納得のいく「物語」を生みだしていく教育・学習環境を提供することが必要であると武元氏は主張する。

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東京外国語大学総合文化研究所 総合文化研究 第 23 号(2019)

Tokyo University of Foreign Studies, Trans-Cultural Studies, Vol. 23 (2019)

4.さいごに

  藤倉氏と武元氏による連続講演を聴き、改めて感じたのは、異文化跳躍力を育成する上で、学習者自らが課題について考え、自ら課題を遂行し、自ら成果を評価出来る自律的な学びを支援することが必須になるということだった。これらの学びは、次期学習指導要領()にも唱われる「主体的・対話的で深い学び」にも通じるものである。その意味で、科研で設定したテーマは時宜を得たものであったといえる。しかし学校現場においてこのような教育・学習環境を提供することは容易ではなく、また現状では、その具体的な方法について十分に検討されているともいえない。今後も、異文化跳躍力を育成し得る教育のあり方について、実践現場の専門家との協働を通して検討を重ねていきたいと考えている。 連続講演会「多文化社会を創造的に生き抜くための異文化跳躍力育成について」主催:科学研究費補助金・基盤研究(

「異文化跳躍力」の提案』 た:成養プッシーダーリのめく抜き生に的造創を

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)『会社化文多

共催:東京外国語大学総合文化研究所・グローバルキャリアセンター

講師:藤倉憲一氏(新授業デザイン研究会)二〇一八年十二月十四日

   

日二一十月一年九一〇 武康明氏(

参照

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