九州大学学術情報リポジトリ
Kyushu University Institutional Repository
波動下での底泥輸送に関する基礎的研究
山西, 博幸
https://doi.org/10.11501/3147919
出版情報:Kyushu University, 1998, 博士(工学), 論文博士 バージョン:
権利関係:
第7章 浮泥層界記における連行現象 121
第7章 浮泥層界面における連行現象
7・1 緒論
底泥の輸送機構の解明には複雑に絡み合う個々の現象を明らかにすることが必要である.図1 - 5でも示 したように, 底泥輸送プロセスには," 巻き上げ(erosion)", " 沈降(settling)" • ..連行(entrainment) ", "移 流・拡散(advection, di百Usion) ", そして " 圧密(consolidation)・底泥化" がある. ここでは浮泥層界面で
の連行現象に着目する. 浮泥層に関しては,第5, 6章で検討している. 特に, 第5章では, 底面上を高 濃度で流動する浮泥の特性,つまりその層厚や層内濃度と努断応力との関係や振動流下で、の浮泥への供給 物質である懸濁物質の沈降速度についてまとめた. また, 高濃度浮泥層界面近傍での観察を通して, 界面 での混合現象について連行相当量を定義し,これと層平均1)チヤードソン数Riとの関係を導いた. そこで
の連行相当量は本来の意味での連行現象を言い表していないために,従来の研究で導かれる関係式とは異 なる結果となった ;管:濁物質を含まない密度流現象では, 乱れによる混合や拡散により, 密度勾配が小さ くなり,しかも界面がもとの状態に復することはないが,本研究が取り扱うような沈降性懸濁粒子を多量 に含んだ高濃度浮泥層界面は,粒子沈降により常に復元することになる.
本章では,このような観点から底泥の巻き上げとその輸送機構を異にする浮泥層界面からの連行につい て,理論的・実験的に明らかにしようとするものである.
7・2 浮泥界面における運行量の定式化 7 - 2・1 はじめに
玉井(1987) は密度流現象における混合過程, 特に様々な分野で用いられている連行による輸送現象に ついて統一的に整理し,その物理機構, 数学的表現についてとりまとめている. その中で,I時刻fにおい て界面上にあった流体粒子が, 時刻t+dtに界面を離れて上層側に位置しているとき, この界面位置の動き との相対速度を連行速度wJと定義している.
いま, 水平方向にx軸, 鉛直方向にz軸を持つ2次元を考える. このとき, 界面z=zo(x,t)での連行速度we を考慮した連行粒子の運動学的条件は, 次のようになる(玉井, 1987).
ヨマ L
w"
=ーと♀+
U()� + WeU
dt
VdX
ここに, uo' w。は界面と連行粒子の移動速度のx成分, z成分である.
これをもとに, 混合流体に対する質量保存式
dP +宝生1+虫 色 l =l_( K dP ) dt dX dZ dご \ dZ
J( 7. 1)
( 7. 2)
第7章 浮泥層界面における連行現象 122
から, 溶解性物質により密度分布が形成されているとき, 式( 7. 2)を上層側(z=z。から z=H(水表面と し, 一定)まで)にて積分すると次のようになる.
r ト イ ト 角川= -[吐()
rH rH
�d 1 pdz. +主 . 1 p 同 +P02 E B +P U222 - P州= - 1
K�p l
àtl こo àxJ こ{ } u at u u ax u u
L azJこo ( 7. 3)ここに,U,Wは水平・鉛直方向の平均速度で,Kは乱流拡散係数である. 式(7. 1) を式( 7. 3) に代 入し, 変形すると,
HV ,,、 1SEll- - 1 J P 一 三 「 d p 門u
wt ret--1111111L
K一-E
一一
7~ d u ny
H o
rliti-- a一む + 7LV Ju ny
H o
d可
( 7. 4)
となる. これをさらに上層の平均密度五, 平均流速Uおよび上層長さfで書き直すと,
d(下川 ムvd(予Uh*) 一月山 r
vdpl
一 一 一 一 - 一
dt
. Id x
"'0" '-l .. d
zJz
0 ( 7. 5)となる. ここに,
d u ny H o rtaagE'B.,E,,I' • 一ム凡 ご0'
l一U一一
γi
( 7. 6)である. 式(7. 5)は下層から上層への質量輸送が連行速度と乱流拡散とからなることを示している. ま た, 連行係数E(=we/vs,vs:上層流速) と層平均リチヤードソン数Rt(=A
p
gh・
/p
vs\ L]p
:上層と下層の密度差, h-:層厚,g:重力加速度) の関係についての従来の成果として次式が挙げられる.
E
=
2xlO-3Ri-3/2 ( 7. 7)なお, 式( 7. 7) は分子拡散の効果を考慮しない場合の成果であり 熱により密度差を生じさせるよう な実験では実視IJと実験値との差が顕著となる. これは流れによる移動(ν/p)と拡散(伝導)による移動(k) の比であるペクレー数Pe=k/νJpを式( 7. 7)に付加することで実測値との一致度は良好となる. このよう
に, 溶解性物質あるいは熱による密度現象における連行速度の経験式から得られる値と実測値は満足いく 結果が得られている.
一方, 高濃度浮泥層界面からの連行と溶解性物質の連行との大きな差異は,①躍層を形成している物質 が凝集性を有すること,②これら微細粒子群が沈降速度を有すること,および③層内は水と比べて高粘性 であることなどである. これらの効果が浮泥層界面からの連行速度に及ぼす影響について理論的・実験的
第7章 浮泥層界面における連行現象 123 z
Upper Water Layer
- - - u- - x
図7 - 1 浮泥界面における連行量を規定するための概念図
に検討された例は少ない. MehtaandSrinivas (1993)は乱流努断流場で凝集性物質からなる浮泥に関する 連行係数Eについて次式を提案している.
E = aR i-1 -b R i ( 7. 8)
ここに, Ri= (p一九)gh/Po[f-で p。は混合層の平均密度, a,bは実験定数である. これは乱れエネルギーの釣り 合い式から, 次元解析と浮泥の連行実験をもとに導出したものである. 右辺第l項は通常の連行速度式に 対応するもので, 第2項は粒子沈降と凝集の効果を表している. 特に係数bについての物理的意味につい ては凝集よりも沈降の効果の方が重要であることをMehtaandSrinivas (1993)は示唆した. ただし, 次元 解析的な導出のために各係数を理論的に導出するまでには至っていない. 本章では, 乱れのエネルギ一式 に加えて, 上層水中で、の懸濁物質の質量保存式を用いることで浮泥層界面からの連行現象における沈降の 効果について明らかにするとともに, 従来から使われているリチヤードソン数についても検討する.
7 -2・2 懸濁物質の質量保存式
図7- 1のような二次元の固定座標系を考える(x軸を底面に沿ってとり, 上向きにz軸をとる) . 浮泥界 面高(浮泥層厚) hは場所的 ・時間的に変化するが 水槽の上面高Hは一定であり この面を介しての物 質の出入りはない. なお浮泥界面高z=h(x, t)は濃度勾配の変曲点の高さと定義する. 浮泥界面から上層 水層中へ輸送される物質量を定式化するために,上層水内に存在する懸濁物質の質量保存式を立てると,次 のようになる.
第7章 浮泥層界面における連行現象 124 d
C
+ _d( CU)
+主
(cw)=司_d(万人CWS)
dt dX '
,
dZ',
dZ ( 7. 9)ここでU,Wは.,:C,Z方向の平均流速成分, Cは�J:濁物質濃度,w-は懸濁物質の沈降速度,一(バー)は時間平均,
,
(プライム)は乱流成分を表す. この式を上層水層内(こ=h(X, t)からz=Hまで)で積分すると次式を得 る.JU CJ ν ‘v
c 一w一C ,,sa--‘、
a一hH
Ln ps'E・E・-EE'Ea'''』,d 一一 位
w c a一KH
pill-h
+
7~ ,d J叫 c ,,a,‘、 a一b
H
.ιι H川川 戸, aE目.E.'目 .. 目.'E'' 』, + ヲ~ JU
FIll--fJ
H K一h斗
dtJ
hC dz +主
dX. 人 1 C川均 |
I dt並 +u" �
" dX h II
-[州=[
c'wJ h -
[cwsJh
式(7. 1)に倣い, 界面z=h(x,t)では,
( 7. 1 0)
dh dh
h=1; +ttqJ +
(7. 11)である. ここに, wcは水の連行速度である. 式(7.11)を考慮すると, 式(7. 1 0)は次のよう に表せる.
r H r H
斗 cdz + 斗 cu dz - [�'
+CWe -CWs]h
dt
J
Ir dXJ
" ( 7. 1 2)式(7.12)から上層水層中に存在する懸濁物質量は, 乱れによる輸送, 水の連行に伴う輸送及び粒子 沈降による輸送によって表されることがわかる. すなわち, 浮泥界面からの質量輸送には, 密度流現象で は数式上現れない粒子沈降による輸送項が新たに付加されたことになる.X方向に現象が一様であるとき,
式(7. 1 2)の左辺第2項が無視できる.このとき, 式(7. 1 2)は簡単化された次式となる.
r H
斗
C dz佐z = C可戸号弓
Ir +村Ch刊w附巴- C川hWa訟t
J
h 川.
( 7. 1 3)ここで 上層水中に存在する単位面積当たりの総懸濁物質量winを次のように定義する.
、 ‘••• , , 'hH
H,,,E・‘、
一一 一fv
位 C
H'n rill-- 一一一 n 戸、 W
(7. 14)ここに.Cは上層水層内平均濃度である.式(7. 14)を用いて 式(7.13)中の濃度と速度の相関 項c'W'を表すと次のようになる.
民一副
「AU 一 + ν fL W
C
一一ω
( 7. 1 5)なお, 式(7. 1 5)の右辺第2項の成分である水の連行速度w は 上層水層の連続式
第7章 浮泥層界面における連行現象 125
ハU 伽一白
+ ゐ 一 み
(7. 16)を上層で積分して求める. この際, 界面での条件式(7. 11) を用いれば,
ヲ~
JU U HFi l-- h a 一 以 + 弘一副
一一
μ』
w= _ òh + �u(
H- h)J
( 7. 1 7)となる. ここで, Uは平均流速で次式によって定義される.
、、 ‘• • ,, 'n
H
,,EE,‘、 ,,r 7~
d u H ril--山一一U( 7. 1 8)
また, 式(7. 1 5) の右辺第3項のδwc/δfは, さらに上層水層内の平均濃度
E
と懸濁物質の上層水層内への連行速度九を定義して次のように表す.
W
一C民 一「 山 、 。 一
( 7. 1 9)したがって, 式(7. 1 5) は次のようになる.
C W = Ch Ws - Ch We +
CWeS
( 7. 2 0)7
-
2・3 乱れエネルギ一方程式上層水層における乱れエネルギ一方程式は, 乱れ場が水平方向に一様であると考える. また, 鉛直方向 の密度変化は小さく, ブーシネスク近似が適用できる. さらに, 層内での移流項及び圧力変動項が無視で きるものとすれば, 次式が得られる(椿,
1974).
� (1 k 2) = -
u'w'�竺ι σ 三子ー ε ー主(-:;.工子i
òt \
2
J òz P òz \2
I (7. 21)ここで,(l/2)K2=(14 F+手+予1 )
できしれエネルギ、ー,gは重力加速度,bは上層水層内平均密度, a=l-pw/psでんは水の密度, Psは土粒子密度である. 式(7. 21)の右辺第一項はReynolds応力による乱れのエ ネルギ一生成, 第二項は粒子群の鉛直輸送に関わるエネルギー消費, 第三項のEは分子粘性によるエネル ギーの散逸および第四項は乱れによるエネルギーの鉛直拡散を表している.
いま, 乱れエネルギ一方程式(7. 21)中の濃度・速度相関項を, 式(7. 20). で置きかえると次 のようになる.
ま(刊=-77弓刊ChW,-ChW,+ CW,,]-ε三(弓k1
( 7. 2 2 )第7章 浮泥層界面における連行現象 126
式(7. 22)を適用する際, 振動周期Tは連行現象の変化時間と比べ十分に小さいため, 左辺の時間変 化項は燕視することができる. また,代表長さを上層水層厚h・(=H-h),代表流速を上層水流速Uとする. 以 上から式(7. 22)中の乱れ生成項, 拡散項及び粘性散逸項はいずれもがjh'の形で表せる. したがって,
式(7. 2 2 )は次のようになる.
O=A U3_l_ 互 い,
I (..h w .-c...wρ!AJ _/" '" .J- r 十しWp...,l
Ih P
L - .. 一|
ただし, Aは係数である. さらに, 式(7. 23)を変形すると次式が得られる.
25=A
iι
_ ('_ Ws +旦EU σCgh域 ごu εu
Es =A
Ri"・l+21E-宅戸主
CU CU
Es =笠E U
R
f=笠ぜ
i5u2
( 7. 2 3)
(7. 24)
( 7. 2 5)
( 7. 2 6)
( 7. 2 7)
である. 式(7. 2 6)のESを懸濁物質の連行係数と呼ぶことにする. また, 式(7. 2 7)は上層厚r
内での層平均リチヤードソン数とみなすことができる. 式(7. 2 5)が浮泥界面における連行量を規定 する無次元表示式であり, 連行係数ESを与える式である. 一般に密度流現象で取り扱われる連行係数の表 示式(例えば玉井, 1987)と異なり, 粒子沈降の影響が加味された形式となっている. また, 底泥の巻き 上げ速度式Eは, 有効努断応力の関数として表示されることは第3章で示した通りである. 一般に勇断応 力τは速度Uの平方に比例する. 一方, 式(7. 24) より浮泥界面からの連行速度w岱はぴに比例する ことから, 底泥からの巻き上げ現象とはそのメカニズムが異なっていることがわかる.
第7章 浮泥層界面における連行現象 127 7・3 実験方法
7 - 2では粒子沈降を加味した連行速度W6を規定する式(7. 1 6)を導いた. 以下, この式の妥当性 を倹証するための連行実験について説明する.実験にはU字型振動流水槽を用いた(図7-2参照). 試料 は有明海に注ぐ六角川河口部で採取した現地浮泥(ps=2460kg/m3, d50=2.4μm)である. これを海水と混合 し, 所定の濃度に設定した後, 振動流水槽内へ注入した. 周期T=6sec, ピストン振幅αp=0.05mの条件のも と, 完全混合状態から水槽内の濃度分布がほぼ定常状態となるまで振動流を加えた. この後, 周期一定の
ままで振幅を増加させ連行が生じるまでを観測した. 実験中, 水路側面から所定時間毎に採水するととも に目視による濃度界面高の経時変化を測定した.また, 適宜鉛直方向の流速分布を測定した.水路側面か らの目視及び実測した濃度分布から各時間毎の界面位置を決定し, これを基準としてそれより上方に存在 する懸濁物質総量を算出し, 連行量を求めた. なお実験条件を表7- 1に示す.
7・4 実験結果及び理論の適用 7 - 4・1 鉛直方向濃度分布
図7-3はRUNlの場合の鉛直方向濃度分布の経時変化の一部を示したものである.濃度分布から求まる 浮泥界面と水槽側面からの目視による界面高とはほぼ一致していた. また, 電磁流速計による流速測定か
ら上層水層内では一様に近い速度の往復運動を行ない, 下層の浮泥は振動英断流の様相を示していた. 図 より, 時間の経過と共に浮泥層界面から上層水層中へ物質が輸送されていく様子が見てとれる. その様相 は式(7. 12)からもわかるように, 界面での乱れ, 界面の低下にともなう輸送, そして沈降による輸 送とによって決定されている. また, 界面での乱れが上方へ輸送され ある高さにおいて上方への輸送と 沈降とがバランスし, 新たな界面を形成していることが図7 - 3から容易に読み取れる.
図7- 2 振動流実験装置
WIDTH
=0.2
UNIT:m
浮泥層界面における連行現象
第7章 128
浮泥の連行実験条件
初期濃度 周期 ピストン振幅
RUN No.
CO(kg/m3) T(sec) ap(m)
9.1 0.05→0.08
2 10.8 0.05→0.14
3 10.4 6.0 0.05→0.18
4 19.9 0.05→0.08
5 19.3 0.05→0.11
表7
-
1T=30(min}
20 15 10 T=5(min}
20
10 15
5 20
言15
ω←
510
w 工
5
50 10 20 30 40
SS(kglm3 } 50 Oõ
10 20 30 40 SS(kglm3 )
nu nu nu 5
10 20 30 40 SS(kg/m3 )
。。
88分布の経時変化(RUN1 )
図7
-
3o
RUN1
�
RUN2
3.0
ロRUN3
・RUN4
Â
RUN5
2.5
A
2.0
1.5
(NEBぷ)co〉〉
1.0
Ill- o nヨ
0.5
0.0
0 30 60
ELAPSED TIME (min)
連行量の経時変化
図7・4
第7章 浮泥層界面における連行現象 129 7 - 4・2 連行量の算出
各時間毎の界面高さを基準としてそれより上方に存在する物質総量をss分布より算出し,これを単位面 積当りに換算し直したものを連行量wnとした. この経時変化を図7- 4に示す. 連行現象は実験開始初期 の段階で急速に生じ, 実験開始から30分程度でほとんど変化しなくなる. これに追随してお分布も同様
にほぼ定常状態となる. また, 同一周期では振幅が大きいほど連行量も大きくなる.
7・4 - 3 連行係数ξについて
7 - 2で求めた式(7. 2 5)による連行量の評価のため, 今回の実験から得られたデータをもとに以 下, 解析を行った.
まず式(7. 25)によって定義される連行係数ESは実験から求まる連行量Lにの経時変化(図7・4) から各時刻での勾配δ日午/δrを求め, これをCUで除して求める. 沈降速度wsは本来, 界面近傍での値を 採用すべきではあるがその実測が困難であることや現時点でこれを示しうるものがないことから, ここで
は静水中における沈降実験より求められた実験式(山西・楠田, 1992 )を用いて算定した. 界面の時間変 化δh/δfは実測に基づき その界面の経時変化より直接求めた.
図7 - 5は横軸をRI-にとり, 縦軸を(E+cws/CU-cwE/CU)にとったものである. 式(7. 2 5)より,
これらのデータはRi--lのライン上にのることが予想される. このとき,A=L41 X 10-3となる. 一方, 実測
データに基づいて得られる連行係数値ECXPと式(7. 25)から計算される連行係数値ES叫との比較を行 うためには, 式(7. 2 5)の右辺第2, 3項を何らかの関数として表示する必要がある. ここでは, 両項 それぞれのRJとの関係を求めた. その結果を図7・6,7 -7に示す. 図7 - 6は縦軸にcw_lCUを, 図7 -
7は縦軸にcwlCUをとり, それぞれRi・で整理したものである. 図7 - 6より,
ペノ旬、、}
CJ PH ハU× 一一 今、d 「、J rhU 九一
UU=c ( 7. 2 8)
また図7 -7より,
、ノ包£u
R nU
ハU×
〆O戸、J司/】一一内一U2コし
( 7. 2 9)
を得る. 式(7. 28),(7. 29)より 式(7. 25)は
*ーI n. n. "-3/2 本-0.62
Es =ARi -, + BR, -_",_ - CR, (7. 30)
となる. ここに,A=1.41 X 10・3, B=3.36 X 10・5, C=2.56 X 10-3である.
図7 - 8は実験データ上に式(7. 30)に基づく曲線を描いたものである. Ri・数の増加と共に連行係 数ESが減少し, ある地点から急激にOに近づく. 理論値と実験値に多少のパラっきは見られるものの, 連
100
|Q
コ10・1l
18f 1o t J
JO
EZ 。
104 10・4 10・3
10・1
10・2
コ
| υ :-." 10・内
dず
ω F
10・41 10・5 10・3
第7章 浮泥層界面における連行現象 130
i目"'-1日
10・2 10・1
R i *
'\..1・1
100
図7- 5 Rj・とE+cw/CU・C\1ノ/CU との関係
回
!♂回
10 -2 10・1 100
R i
図7・6 Rj・とcw/CUとの関係
101
101
lQ
コ三P
凶ω
第7章 浮泥層界面における連行現象 131
100
ζ
固
勺
-0.62ー 回
10・3
10・4
10・3 10 -2 10-1 100 101
R i
図7・7 Ri-とE+cw/CUとの関係
10-1
で、
一一Eq.(7.30)国 Exp.data"・
\
10-2
10-3
回 目 回
回-G
10-4 ト
ト 回
10-5 し一一一一一__-'-__L_ 且 i且且且i _.I.__L
10・3 10・2 10・1 100 R i
図7-8 Ri・とEsとの関係
101
第7章 浮泥屠界面における連行現象 L32 行係数Esは式(7. 30)もしく は式(7. 2 5) の形で表示 することできる.
7・5 結論
シルテーションの定量化にとって重要な要素である浮泥層に関して, 理論的検討を行ない, その妥当性
を検証した. 理論的検討では各層に対して, 懸渇物質の質量保存式と乱れエネルギ一方程式を与え, これ をもとに浮泥界面からの連行速度九を新たに定義し, 連行係数ESを式(7. 25)や(7. 30)のよう な無次元表示式で表した. 式(7. 25)をもとに導いた式(7. 30)と実験値との相関は比較的よく,
妥当なものと考えられる. また, 浮泥界面から上層水中へ輸送される懸濁物質の連行現象は, 底泥からの 巻 き上げ、とはその機構を異にすることが明らかとな った.
参考文献
玉井信行(1987):連行概念の統一化と連行係数の評価, 土木学会論文集, 第381号/ II-7, pp.l-l1.
椿 東一郎(1974):水理学II, 森北出版, 272p.
山西博幸・楠田哲也(1992):振動流下における高濃度層の形成・保持機構に関する研究, 海岸工学論文集,
第39巻, pp.286-290.
Mehta, A. J and R. Srinivas (1993): Observatons on the entrainment of fluid mud by shear flow, Nearshore and Estuarine Cohesive Sediment Tamsport (Ed. A.J. Mehta), Coasta1 and Estuarine Studies 42, AGU, pp.224-246.
第8章 波による傾斜底泥面からの洗短 133
第8章 波による傾斜底泥面からの洗掘
8・1 緒論
河道内や河口域で堆積した底泥をいかに効率よく除去もしくは沈積の制御・抑制をするかは,河道の断 面確保や河口沿岸施設機能の維持管理に直接関わってくる. 第3, 4章では, 水路床に敷設した底泥の巻 き上げについて検討したが,このように河岸に堆積した底泥を積極的に除去するといった見地から底泥輸 送を論じたものはあまり見当たらない.
本章では, 河道断面確保の立場から河岸に堆積した底泥(ガタ土)除去の一手法として, 波による洗掘 を室内実験と現地観測に基づいて検証する. ここではまず,実河岸を想定した傾斜面に波を作用させたと きに生じる衝撃砕波圧の算定法について検討する. また, 現地底泥の土質力学的特性について検討する.
これらより,発生させた波の特性と衝撃砕波圧との関係を求め,現地底泥の強度を考慮した洗掘土量の定 量的評価を行う. 最後に, 現地河道側面に堆積した底泥に航跡波を作用させる現地洗掘実験を実施し, そ こで得られた結果と室内実験での成果をもとに,衝撃砕波圧と洗掘量との関係について検討を加える. こ れより, 航跡波による現地河岸堆積泥の除去の実用の可能性について考察する.
8・2 傾斜面上に作用する衝撃砕波庄の検討
砕波により傾斜面から底泥が洗掘される主因として,砕波した水塊が底泥面に直接作用する衝撃砕波 圧を考える. 衝撃砕波圧は, 運動量が短時間で急激に変化するために生じ また このとき輸送される運 動量は噴流のように定常的でなく, 断続的で, かつ瞬間的に変化する. ここでは傾斜面に作用する衝撃砕 波圧を運動量保存則より求め,これを実験結果と比較し,波の特性と傾斜面に作用する衝撃砕波圧との関 係を導く.
波は, 波頂部での水粒子速度が波の位相速度に等しくなるとき砕波し始めるものとする. このとき, 水 平方向に砕波速度Cbを持った水粒子が砕波波高Hbから放物落水し,前方水面に対して角度θで入水する.
その後, 砕波水塊は傾斜面に対して角度Yで、跳ね返る(図8・1参照) . いま, 砕波水塊の入水地点を基点 として, 斜面方向にx軸(岸方向を正)を, 斜面垂直方向にz軸(上向きを正)をとる. 衝撃砕波圧の作 用時間をfとし, ["時間の積分値を用いて運動量保存式を導く. 衝突時間f中に衝突地点へ流入する砕波 水塊の水量をQ" また衝突中に, 傾斜面から砕波水塊がスプラッシュする水量をQ2とする. このとき,斜 面に対して垂直方向に作用する衝撃砕波圧を算出するために, z方向に対して運動量保存式を適用すると 次のようになる.
第8章 波による傾斜底泥面からの洗掘 134
x
図8 - 1 衝撃砕波圧算定のための模式図
j
。叶
。 P Q2叶
。 pQ1V1イOM2V2V2zぺ
( 8. 1)ここに, Fzは斜面に垂直な 方向の衝撃力, pは水の密度, 添字は各方向を表す. Vは断面平均流速で, vlz は砕波水塊の入射速度V,のz方向成分, V2zはスプラッシュ水塊の跳ね返り速度 V2のz方向成分, である.
A" A2は砕波水塊の入射方向とスプラッシュ水塊の跳ね返り方向の流水断面積で、A,V,=Q" A2 V2=Q2である.
いま,砕波水塊の断面積A,を角度(供ß)で傾斜面上へ投影した面積とスプラッシユ水塊の断面積A2 を 角度Yで、傾斜面上へ投影した面積は等しいものとし, これをAとする. このとき, 断面積A" A2は幾何学 的関係から
Al=Asin(e+ß) \
A2 =A
sin
Y I ( 8. 2)となる. また, 流速V'zとV2zは次式で 表せる.
Vlz =ーVlsin(e+ß)\
V2z = V2 sin
Y I ( 8. 3)式(8. 2), (8. 3) を式(8. 1)に代入すると次式が得られる.
lペ川s山川川J
( 8. 4)ここで, pは一定,
A,
V" V2,e,
rは衝撃力の作用時間中一定 とし, 便宜上, F/A三p(衝撃砕波圧)と すれば,LPdt=Pt山n2(川pt山in2y
( 8. 5)第8章 波による傾斜底泥面からの洗堀 口ち
となる. さらに, t"までに作用した衝撃砕波圧pの力積, すなわち, 式(8. 5)の左辺を次のように仮 定する.
ホ-'a砂n p 'k z φ,. ,d p
--
nu p's-aEa--a...
,,,,d ( 8.6)
ここに, k:係数,Pm'最大衝撃砕波圧, である. なお, 式(8. 6)を定義することで, 式(8. 2)で 用いられた面積Aは, この時点で係数k の中に包含されてしまう. したがって, 以後, これを考慮する必 要はなくなる.
式(8. 6)より, 式(8. 5)は, 次のようになる.
Pm イ [山2(e+ß)+山川
( 8. 7)ここで, Q1の一部がQ2に転じるので,
Q2=k 1Ql (8. 8)
とおく. ここに, k1は係数である. これより, 流速V1とV2の関係はK1=k1(A/A2)として
V2 = Kl Vl (8. 9)
となる. 式(8. 9)の関係を用いれば, 式(8. 7)は, 次のように表せる.
Pm =α�
1 [sin2(θ+ß) +Kfsin日
pg 2g (8. 10)
ここで, g 重力加速度,α:実験により定められる係数でα=2/k, である.
このようにして, 式(8. 10)より最大衝撃砕波圧Pmを算定することができる. ただし, 式(8 .
1 0)からPmを算定するには, 砕波した水塊が前方水面に入射する際の速度V1とその入射角e, 水塊の 跳ね返り角民係数α, K1を別途求めなければならない.
砕波した水塊が前方水面へ入射する速度V1と角度。を, 次式にて定義する.
V1 =
Y
v2+
C�
(8. 11)(8. 12)
。=
tan-1
( V/Cb)
ここで,
v=
行声
Cb=
Y
g(
hb+ηb)
(8. 13) (8. 14) である. ここに, Hb.砕波波高,ηb 砕波峯高 (平均水面から砕波波高頂部までの高さ),hb:砕波水深,
g:重力加速度, である.なお, ここでは微小振幅波の適用外となる砕波の波速Cbを孤立波の波速として 取り扱うものとする(例えば, 酒井ら, 1987). 一方, 跳ね返り角れ係数α,K1は実験により与えられる.
第8章 波による傾斜底泥面からのi先掘 136
8・3 固定傾斜面を用いた砕波実験と砕波圧測定
従来の研究のほとんどが傾斜の緩やかな砂浜海浜を対象としたものであり,ここで対象とする河道側面 のように比較的急な斜面勾配(1/6 ---1/4勾配)を有する場合の研究成果はない. そこで, 砕波した水塊が 前方水面へ入射する角度0を含め種々の量を求めるために, 現地河道両岸の底泥堆積状況を考慮し, その 平均的な値として, 1/5勾配の斜面を選定し, これに規則波を作用させた. 実験には, 全長14m, 幅0.5m のアクリル製直線造波水路を用い, 造波板から7 m離れた地点から傾斜板を設置した(図8- 2参照). 水 路内に造られる波は, 傾斜面や造波板の影響を受けて, 部分重複波となるため, 傾斜板の沖側に 2本の容 量式波高計((株)ケネック製)を設置し, 入反射分離推定法(合田ら, 1976 )を用いて入射波高Hを求 めた. 傾斜面に作用する波圧測定には, 圧力計((株)SSK製P-310型, 受圧面は直径10m m で定格容量 0.1 kg/cm2)を用い, 200Hzの周波数にてサンプリングを行った. また, 水路側面からのビデオ撮影により 砕波帯内を観測した. これらの実験結果をもとに,既存の研究成果も踏まえた上で, 入射波形勾配と衝撃 砕波圧pとの関係について検討する. なお, 砕波形式は巻き波型砕波を対象とした.
8 - 3 - 1 砕波波高Hbの算定
沖波と砕波点での波高に関する実験式として, Le Méhauté . Koh (19 67)により次式が提示されている.
号=
0.76 (tanめl n( �r /
4 (8. 15)Ho= KrKdKrHo ( 8. 1 6)
ここに, Hb 砕波波高, tanß:傾斜面勾配, Ho':換算沖波波高, Ho'沖波波高,Lo 沖波波長(=gT2/2π),
kr:砕波点に至るまでの屈折係数, Kd 回折係数, Kf:摩擦係数,である. ここでは式(8. 16)中の全 ての係数を 1と仮定したので, Ho'三H。とみなせる. したがって, 以下本文及び図中の沖波波形勾配の表 言己にはHiL。を用いる.
式(8. 15)と室内実験結果との関係を図8-3, 8-4に示す. 図8 - 3は実験開始初期の結果を表 している. 図より, これら両者の値にはズレが生じてはいるものの その傾向はよく似ていることがわか る. 本来, 式(8. 15)は実験式であるとともに, 適用勾配は 1/10までであり, 本研究のような急勾配 に対しての検証はなされていない. したがって, 実験開始初期では式(8. 15)に基づいて, 次式を用
いるものとする(図8 - 3中の点線).
三=0仙川l刀(司1/4
(8. 17)
第8章 波による傾斜底泥面からの洗掘 13つ
一方, 傾斜面に波を作用し続けると戻り流れの影響が強く表れる. 図8・4は実験開始後, 砕波が戻り流
れの影響を受けながらほぼ定常状態に達した時点での結果である.傾斜面からの戻り流れの影響を受ける ため,実験開始初期と比べて砕波波高Hbが減少し, 式(8. 17)では実験結果を表現できない. しかし ながら,その傾向は砕波初期の場合と同じであることから, 式(8. 17)の係数を実験データとの相関 が最も高くなるように定めた(図8 - 4中の点線). したがって, 砕波波高Hbの算定には, 戻り流れの影 響を受けない場合には式(8. 17)を用い, 戻り流れの影響を強く受ける場合には次式を用いるものと する.
会=0.55 (tan川司1/4
(8. 18)8・3・2 砕波水深hbの算定
Sunamura
(1983)は実験データをもとに砕波限界を示す次式を経験的に導いた.士=1 仰nß)0.17(合)-0.1
(8. 19)図8・5, 8 - 6に実験データと式(8. 19)による曲線を同時に示した. 図8 - 5は, 実験開始初期の 場合で、砕波波高Hbの算定同様, 両者の聞には多少の不一致が見られた. したがって,実験データとの相関 が最も高くなるように式(8. 19)に基づいて係数を定めた.
士=0州nß)0.17(合)-0.1
(8. 2 0)図8 - 6は, 実験開始後, 砕波が戻り流れの影響を受けながらもほぼ定常状態に達した時点での結果であ る. Hb同様,hbも戻り流れの影響 で,式(8. 19)では実験データを表現できない. ここでも, 実験デー タとの一致度が最も良くなるように係数を定めたところ, 次式を得た.
そ=0仰nß)Olt:rl
(8. 2 1)8・3・3 衝撃砕波圧の算定
図8・7はj中波波形勾配HIL。と入射角。との関係を示したものである. なお, 入射角θはビデオの画像 から読みとったものである. また, 式(8. 12)にて入射角。を求める際, 式(8. 13),式(8. 1 4 )中に, 未知の砕波波高Hb1 砕波水深hb1 砕波峯高りbが含まれている. そこで, Hbの算出には式(8 . 1 7)もしくは式(8. 18)を, hbの算出には式(8. 2 0)もしくは式(8. 2 1)を, ηbの算出に は実験により得られた次の関係式を用いた(図8 - 8参照).
波による傾斜底泥面からの洗掘 138
第8章
. 1 .0
�I 二 :1
(WIDTH : 0.5m , UNIT : m) 42.5_ , � 7.0
14.0
図8- 2 造波水路 4
<Initial State>
EXP.data Eq.(8.15) Eq.(8.17) 3 •
2
。Z』bz
0.1 H^/L 0 '-0
HiL。とH♂九との関係(実験初期) 0.08
0.06 0.04 0.02
。
。
図8・3
4
<Steady State>
EXP.data Eq.(8.15) Eq.(8.18) 3 。
2
1
。Z』五ヱ
0.1 0.08 0.04 0.06
Ho/LO 0.02
。
。
H。ι。とH/H。との関係(定常時) 図8・4
波による傾斜度泥面からの洗掘 139
第8章 2.5
<Initial State>
EXP.data Eq.(8.19) Eq.(8.20) 2 •
zaZ』b 1.5
0.5
。。 0.04 0.06 0.08 0.1
hb/LO 0.02
�IL。とH/�との関係(実験初期) 図8・5
2.5
<Steady State>
EXP.data Eq.(8.19) Eq.(8.21) 2 。
za、az 1.5
0.5
0.1 0.04 0.06
hb/Lo
hb江。とHb�との関係(定常時) 0.08 0.02
0 0
図8
-
6EXP.data
•
CAL.line from Eq.(8.12)
HO=5cm HO=6cm 60
55
(ωω』旬。刀)②
-・・-lO.-1om----ã:=;と而・・1・“ど而・...
1云 示
.---.- - - -
-
-- - -
.. - - - - -.- -
-. - -- ー5.夜: 宵�:.-:ご二七二一ーーーーー-ーー竹:2cm- ー ー ー ー ー - -・- ーーーーーーーーーーーー-ー
"
-2-ーーーーーーーーー�3 -cm - ー ー 50。一mWC伺MF』ω古一ωZ
45
0 0.02 0.04 0.06 0.08 0.1
HolL。
沖波波形勾配HolL。と入射角。との関係 図8・7
波による傾斜底泥面からの洗掘 140 第8章
0.10
EXP.data
Eq.(8.22)
0.08 ロ
0.06
0.04
0.02
(ε)ac
0.00
0.00 0.05 0.10 0.15
Hb(m)
砕波波高Hbと砕波峯高ηbとの関係 図8 - 8
2
EXP.data
。
1.5
1
0.5
(辺E)N〉
2.5 2
1 1.5
0.5 0
0
V 1 (m/s)
V,とV2との関係(K,=O.69) 図8・9
EXP.data Eq.(8.23}
• 50
40 30 20 (ωω』旬。刀)λ。一回cd『刀ωHUω一』ω匡
10
0.08 0.1 0.06
0.04 0.02
。
。
Ho/LO
沖波波形勾配H。ι。と跳ね返り角yとの関係 図8- 1 0
第8章 波による傾斜底泥面からの洗掘 141
可b = 0.91(Hb - 0.036
)
[m] (8. 2 2)図8・9は, 式(8. 10)中の係数KIを求めるためのもので, K1= 0.69 となった. また, 図8・10は 入射角0の観測同様,ビデオ画像から跳ね返り角Yを求め,沖波波形勾配との関係を示したものである.図 中には実測値に合うように曲線回帰を行った曲線を同時に示している. このとき,
y = 28.6
(告)007[deg]
(8. 2 3)となった.
図8-1 1 (a)(b)は, 固定傾斜面上に作用した衝撃砕波圧を圧力計にて記録したものの一例(T= 1.5sec,
H142.km)である. 実験開始及び定常時における最大衝撃砕波圧Pmは, その最大値が各波毎にばらつ くため, これら数波の平均値として求めた. 圧力計からの出力サンプリング周波数は, 服部・白井 ( 1993)が指摘するように, センサーからのサンプリング速度をより高速にすべきである. 別途, サン プリング周波数を変えた予備実験 (200Hz, 5 00Hz, 1kHz, 2kHz)において, 第 l波の最大衝撃砕波圧 以外はどの衝撃圧も平均的にはほぼ同じであること, サンプリング周波数の高速化に伴って最大衝撃砕 波圧Pmも増加するといった傾向は無いことを確認している. さらに, ここでは単発の衝撃圧を対象とす るものではないこと, 衝撃圧の作用する対象物が木板やコンクリート板といった剛性の高いものでな
く, むしろ粘弾性に富む粘土底質が対象であることなどから, 本研究の目的に関しては, サンプリング 周波数は200Hz程度でも問題は ないと判断した.
砕波する巻き波型砕波の水塊が前方水面に入水する地点を第l突込み点 (P.P.l)とし その後水塊がス プラッシュすることでスプラッシュ水塊がさらに岸側水面に入水する地点を第2突込み点(P.P.2)とする.
実験では第 3, 4の突込み点も確認されたが, その相対的なスケールの大きさからして, これらが底泥洗 掘の主要因として影響を与えているとは考えづらく, ここでは考慮しないこととする. 図8 - 1 2は固定 斜面上. P.P.1での最大衝撃圧Pl.mを圧力計にて測定し, これをpg (VI2/2g)[sin2(8 +ß) + K12sin:!yJと比較し たものである.図より,データにばらつきはあるものの,式(8.10 )の係数αが実験開始初期で、はα=0.7 9 (k=2.5), 定常状態ではα=0.72(k=2.7)となる. これより, 入射波形勾配HI/L1とPl.mとの関係を求めると図 8
-
1 3のようになる. ここで Llは入射波の波長で周期Tと水深hから微小振幅波理論における分散方 程式によって求める. 図 8-13 より, 実験開始初期及び定常状態のいずれも, 入射波高Hlが一定であれば,Hl/Liの増加とともにPl.mは減少することがわかる. また, 同一波高, 同一波形勾配において, 実験開始初
期と比べ, 定常時でのPl.mは最大で15%程度減少する. したがって, 傾斜底泥面に連続的に波(砕波)を 作用させる場合と波を数波だけ作用させる場合とでは, 算定する衝撃砕波圧を区別する必要がある.
図8 - 1 4は,圧力計からの実測値をもとに第 l及び第 2 突込み点(P.P.l, P.P.2)での最大衝撃砕波圧
波による傾斜底泥面からの洗掘 142
第8章
30
P.P.1
。 (ευ)切とa
slope) rigid
(on the T=1.5sec,Hi=12.1 cm
-30
0 5 10 15
Time(sec)
圧力計からの出力例(実験開始初期) 図8・1 1 (a)
P.P.1 30
。 (EU)句会a
slope) rigid
(on the Hi=12.1cm
T=1.5sec,
ー30
0 5 10 15
Time(sec)
圧力計からの出力例(定常時) 図8・1 1 (b)
EXP.data(initial state) EXP.data(steady state)
Initail state 5teady state
。
•
4
3
2 1
(何色ぷ)εJa
4
pg(V 12/2g)[ sin
2(8
+ß )
+ K12 sin2 y]
(kPa) 2
3。
。
pg(V [2/2g){訂正(8+日)+K[2sin2y}とp[.mとの関係 図8 - 1 2
j皮による傾斜底泥面からの洗掘
第8章 143
o Exp.da也.(1 nitial state) ð. Exp.da也.(Steady state) 2.0
, 企 , 公'
P2.m=0.68P1.m 。
1.5 1.0
0.5 H j(cm)
皇
伺12
モ
a. N
8 6 10
4..
3.0
Initial State . Steady State
2.0
1.0
(伺仏ぷ)EJa
P2.m=0.43P1.m 4
。 。
0.0 0 0.02 0.04 0.06 0.08 0.1 0.5 1.0 1.5 2.0
P1.m(kPa)
P1.mとP2.mとの関係
図8・1 4 Hi/Li
Hl/LlとPl.mとの関係
図8- 1 3
T=1.7sec, Hj=11.5cm
• EXP.data (a) 2
O.
(伺av-)εa
50 B.P.
25 P.P.1 -25 。
(b)
o min 5 min 10 min 30 min 60 min
at the bottom line
。
ε ω
三
-10。ω
-20
200
o 50 100 150
Distance from the shoreline (cm) -30 -f
・50
(b)洗掘実験状況(T=1.7sec,Hi=11.5cm) (a)傾斜底泥面の衝撃砕波圧分布と
図8- 1 5
第8章 波による筒斜底泥面からの洗掘 144 Pl.m とP2.mを比較したものである. 図より実験開始初期での勾配は0.68であり,定常状態では0.43であっ た. したがって連続的に波を作用させたときの第2突込み点での最大衝撃砕波圧P2.mは, 図8・14およ び図8・13か ら判断して,実験開始初期のP.P.lでの最大衝撃砕波圧p,.mに対して最大で37%程度 とな り,底泥の強度によってはP.P.2での洗掘効果が無視でき ること が わか る.
図8-1 5 (a)は傾斜面に長時間砕波を作用させた際の最大衝撃砕波圧の空間 分布の例(周期T=1.7秒,
入射波高HI=11.5cm)である. 図よりP.P.l, P.P.2での衝撃砕波圧が他に比べ大きな値を示していることは 明らかであり,Pl.mがP2.mよりも斜面に対して強い衝撃を加えること も容易に見て取れる. また,図8- 1 5 (b) は, 図8・15 (a) と同一条件下で行った洗掘実験結果の一例 であり,衝撃砕波圧 分布 と洗掘状 況 との相関性 が見られる. なお,P.P.2の方 がよく洗掘される理由は後述する.
8・4 現地底泥(ガタ土)の土質力学的特性
底泥のj先掘 現象を明らかにするには,底泥に作用する外力としての衝撃砕波圧の他に ,現地泥の土質力 学的特性を把握する必要がある. すなわち, 現地に沈降・堆積した底泥は,その堆積状況に応じて 底泥強 度 が変化する. 楠田ら(1989 )は現地 底泥の撹乱試料 と不撹乱試料のそれぞれを用いて波による巻き上げ 実験を行い,巻き上げ量や 巻き上げ限界勇断応力が異なることを明らかにした.一般に比較的柔らかい底 泥の流動現象を考える上では底泥の流動限界強度 ,すなわち降伏値を求め ること がよくなされる. 底泥の 降伏値の測定には通常,回転粘度計(例えば, 楠田ら(1985), 青木ら(1990)) ,ベーン第断試験(例え ば, 永井ら(1983 )), スランプ試験(例えば, ?毎回ら(1988 ), 鶴谷ら(1989 ), 中野(1995)) などが用 いられている. ここでは現地及び室内の両方で簡便に測定可能なべーン勇断試験器((株)丸東三友製作 所製 , ポケットベインSH-63A,SH-63B)を用いてガタ土の土質力学的特性について検討をした. 室内実
験の ために 現地でガタ土を採取すると同時に , ベーン努断試験を行った.試験に用いたベーンはガタ土の 強度に応じて ,幅15mm X高さ 30mm(SH-63A,最大容量 9.8N. cm) と幅 20mm X高さ 40mm(SH-63B,
最大容量19 .6N. cm)の2種類を使い分けた. 現地ガタ土数カ所にベーン羽を所定の位置まで挿入し,ベー ンの角速度を 0.5deg/sになるよう回転させ,その ときの最大トルクを測定した. なお,勇断強度えは式 ( 2. 1) より算出した. また,同時にベーン努断試験を実施した近傍でアクリル製カラム(内径55mm)
によりガタ土を採取し 採取泥の鉛直方向の含水比を測定し ベーン努断試験結果との関係を求めた.
実験には,佐賀県六角川の河道側面に堆積した現地 底泥( ガタ土 )を用いた. 図8- 1 6は現地に て採 取した底泥の鉛直含水比分布である. 上層部でやや含水比が高いものの 下方へいくにしたがい平均含水 比が140%程度になっている. また, 密度は2540kg/m3, 中央粒径は6μm,強熱減量は深さ方向にほぼ一
様で15%程度であった.
第8章 波による傾斜底泥面からの洗掘 145
図8 - 1 7は含水比Wとベーン努断試験から求められる現地ガタ土(不撹乱試料 )の勇断強度えとの関 係を求めたものである. 一般に粘性土の勇断強度えは粒子聞の噛み合わせや圧密といった土粒子間構造に
よる抵抗力 (降伏値)℃と粘着力Cとの和で表される.図中の・は現地不撹乱試料の結果であり, 0は現 地で採取したガタ土を実験室まで持ち帰った後, 撹#装置で十分に練り返した撹乱試料の結果である.撹 乱 ・ 不撹乱試料ともに, 含水比Wの増加とともに努断強度え は指数関数的に減少する. したがって, こ れらの結果をもとにえをWの関数として表せば次のようになる.
不撹乱試料:τs.1= 1.42x 1010 W-4.47 [kPa]
撹乱試料: τ's.2= 4.49x 1Q9W-4.47 [kPa]
(8. 2 4) (8. 2 5) 不撹乱試料と撹乱試料とでは,勇断強度が異なり, 試料の練り返しによりその強度が減少する.この練り 返し効果の一指標として土質力学では鋭敏比を用いるが, ここでは次のような指標rを定義した.
r=τs.1 - τ5.2
τ5.2 (8. 2 6)
式(8. 2 4), (8. 2 5)を式(8. 2 6)に代入することでロ2.16を得る. すなわち, 底泥試料の練 り返しの有無による努断強度の差は, 撹乱試料の第断強度の2倍程度であることを示す.
8 - 5 現地底泥を用いた室内洗掘実験
現地にて採取した底泥を不撹乱の状態で実験室まで持ち帰り, 造波水路内(全長14m, 幅0.5m)に斜面 勾配が1/5 となるように厚さO.lmで敷き詰めた. その後, 水路に水道水を注水し, 水深0.3mとした. 実 験は, 周期Tを1.0� 2.0sec の範囲内で, 入射波高Hlを数通りとし, すべての実験において砕波形式は巻 き波型砕波であったことは, 水路側面からの観察からも確認することができた. 室内実験の条件を表・1 に示す.なお, 表中, 各波浪条件におけるP.P.lでの衝撃砕波圧Pl.mは, 室内実験の波が連続的に作用す ることを考慮した定常時のものを図8 - 1 3より求めたものである.
図8・1 5 (b)は傾斜底泥面の経時変化の一例である(周期T=1.7sec, 入射波高Hl=11.5cm). 図中の↓は,
水路側面からのビデオ撮影により得られた, 実験開始初期における砕波点(B.P.)および第1, 2の水塊が 水面に突込む地点(P.P.l, P.P.2)を表している. 図 より第1, 第 2 突込み点での洗掘, すなわち, 衝撃砕 波圧の大きな部分で洗掘が著しいことが分かる. また, 実験観察より, 第 l 突込み点では戻り流れの影響 を受けて底泥面ではなく水面をたたく一方で,第2突込み点で、は直接水塊が底泥面へ衝撃力を与えていた.
さらに, 底泥は泥塊として剥ぎ取られるように洗掘された. このため, 衝撃砕波庄の大きさとは異なり,
j先掘量はP.P.2の方が大きくなっている. 実験開始10分後の洗掘状況を観察したところ 洗掘の著しい部 分のすぐ沖側に多数の小泥塊(直径2� 3cm)が存在しており, また, さらに沖側(汀線より150 - 200cm)
では直径5...7cmの大きな泥塊が堆積していた. これは洗掘された泥塊が傾斜面上での非対称な振動流下
波による傾斜底泥面からの洗掘 146
第8章
W(O/o)
150 200 250
o Column A
・Column B t:.. Column C Â Column 0 100
0
5 ε υ
トJ 10
15
現地底泥の含水比分布 図8 - 1 6
• Non-disturbed data - Eq.(8.24)
。 Disturbed data - Eq.(8.25) 51・
o
a 0'.
0‘、"0. '0
.‘0 '0・--0・ ー'--ー 0_
4
•
•
3 2 1
(何色ぷ)ωド
180 200 W(%)
含水比Wと底泥勢断強度えとの関係 160
120 140 図8 - 1 7 0 100
実験条件
周期T(sec) 入射波高Hj(cm) τs(kPa) P I.m(kPa)
1.0 9.2 2.30 1.00
1.5 9.6 1.39 1.24
2.0 6.6 2.30 1.05
1.5 12.3 1.39 1.51
1.5 11.3 1.39 1.42
1.5 9.9 2.46 1.28
1.5 8.4 2.30 1.13
1.3 11.2 4.20 1.33
1.5 11.0 1.96 1.40
1.7 11.5 2.54 1.51
表8・1
第8章 波による傾斜底泥面からの洗掘 1的
においてコロのような運動を行い, 泥塊としての粘着力を強化させながら沖側へ輸送された結果であり 砂浜の洗掘状況では見られない凝集性土特有の現象である.
図8- 1 8は, 固定傾斜面上での砕波帯内の定常流速分布の一例である(図8- 1 5と対応). 図中に表 示されているデータは10周期分の位相平均値をl周期にわたって平均したものである. 図より,傾斜面上 には, 速度勾配を有する定常流速が存在し, 常に沖側に底面勇断応力が作用している. しかし, 実験結果 よりこの定常流による努断応力は,傾斜底泥の洗掘に対する寄与よりも,むしろ上述したような洗掘泥塊 の沖向き輸送に対する寄与の方が大きい. なお, このような洗掘された泥土が泥塊として沖向きに輸送さ れる現象は, 後述する航跡波による現地底泥洗掘実験でも同様に確認されている.
図8- 1 9は作用させた波の数Nと単位幅当たりの底泥洗掘量Wj/B(水路幅B=0.5m)との関係を示し
nu 司44・・Dali-DE (cm)
。 10
30 ωz=ω』OZω
40
s w pv ,s・‘、ON
ω
mm川86 0守・ ON・ o
42
086420,・1例d・4・・4・・4・・4・・4E
50 60
_---r---・ー・『・
.ーー一--ー---
Crest Trough
S.W.L
図8-1 8 定常流速分布(T=1.7s,Hi=11.5cm)
150
�
切 100トぷ
... m ω
3: 50
o T=1.3s Hj=11.2cm
・ T=1.5s Hj=11.Ocm
.6, T=1.7s Hj=11.5cm A ・
.6,- 。
.6,0 -
。
。
。
ム
500 1000 1500
Accumulated number of acting wave N
図8・1 9 傾斜面に作用した波の数Nと単位幅当たりの底泥洗掘量ws/Bとの関係
波による傾斜底泥面からの洗掘 148
第8章
1.5
EXP.data in lab .
•
0.5
z~ ω と(ω雲町
ω 〉〉)
1 1.5 0.5
。
。
Pm/'ts
衝撃砕波圧と底泥洗掘量との関係 図8
-
2 0まず, 水路幅中央部での横断測量から得ら なお, 底泥i先掘量LRを求めるに当たっては,
たものである.
れる洗掘深をもとに,水路幅一様に同じ変化が生じたものとして洗掘体積を求めた.次に,底泥敷設高さ 10cmの平均含水比より見かけ密度p'を求め, 先に求めた洗掘体積量に乗じて底泥i先掘量wjを得た. 図よ また, 繰り返し砕波が作用することは底泥強 り,波の数Nの増加とともにWSが増加することがわかる.
度の低下をもたらし, 底泥塊が段階的に洗掘されるものと考えられる.
ここでは, 傾斜底泥から泥塊が洗掘・破壊 次に最大衝撃砕波圧Pmと底泥洗掘量W5との関係を求める.
されるとき,衝撃砕波圧はその泥塊の自重と底泥内部の努断強度に打ち勝つものと考え次のような無次
(弔J
=m[(そ) -(そ)J
元の関係式を得る.
2 7) 2 7)は, 波の である. 式(8.
ここに,As:底泥の洗掘面積, (Pmlえ)c:無次元洗掘限界値,m 係数,
数Nも考慮した無次元化底泥洗掘速度を与える式となっている.
図8
-
2 0はP.P.lでの定常時の衝撃砕波圧をPmとして, 横軸に(Pm/r)をとり, 縦軸に(W$IA5)/r/Nを また, 最大衝撃砕波圧Pmの算定には図8・1 wjは波の数Nが500波での値とした.取ったものである.
を用いて求めている. 図 3を用い, 底泥の勇断強度ξはべーン勇断試験の結果もしくは式(8.
および無次元洗掘限界値(Pm/r5)Cが存在する より, (Pm/r)の増加とともに(玖glA)IえINも増加すること,
を変形してtrtl/
2 6) このときm=1.4, (Pm/rs)c=0.37である. 先に求めた式(8 . ことカfわカ、る.
上述の無次元洗掘限界値からpmf0.37t lなので,Pmcとえ2はほぼ同程度となる. すなわ (1 +r)キ0.32rs.l'
ち, 本実験のように現地の不撹乱底泥を洗掘するには, 最大衝撃砕波圧Pmは必ずしも底泥の努断強度
第8章 波による傾斜底泥面からの洗据 l約
えl以上である必要はなく, 少なくともえ2程度の強度を超えさえすればよいことになる.ただし,撹乱 底泥の場合はpmcf0.3712となる.また, (Pm/え)fRとするとき, i先掘限界衝撃圧Pmc=ncえとなる. えは式
(8. 2 4), (8. 2 5) より含水比Wの関数として表現可能であるから,Pmcは底泥の撹乱・不撹乱状
態によって異なり,次式のように表せる.
不撹乱試料 Pmc.I=81W n 撹乱試料 Pmc.2=82Wn
(8. 2 8) (8. 2 9)
ここに, δ[=5.1 1X 109, 82=1.62 X 109, n=-4. 47である. したがって,底泥の撹乱・不撹乱の状態とその 平均的な含水比が既知であれば, 洗掘限界衝撃圧Pmcを予測することが可能となる.
8
-
6 航跡波による現地底泥洗掘実験 8 -6・1 航跡波による波浪の特性Havelock (1908)が,Kelvinの理論を使って求めた深水状態での航跡波の相対波高の関係をもとにVerhey and Bogaerts (1988)は次式を導いた.
旦=αJ(斗 ー0.33
Fアh \ hl
Fs =主と Y gh
(8. 3 0)
( 8. 3 1)
ここで,s 船から岸までの距離(m), Hj:船からsだ、け離れた地点で、の入射波高(m),h:水深(m),us:船速 (m/s), g:重力加速度(m/s2),Fs:船速と水深に基づくフルード数(ー)である.なお,αlと α3は室内実験及び 現地スケールでのデータをもとに決められる.VerheyandBogaerts (1988)は既存のデータを再整理し,
α3=4.0を提唱している.α1についても同様に従来の研究成果から,a)α[-生2三;無載荷の通常の内陸用モー ターボート,b)α[-生三;無載荷のパージ船,c)α[=.LQ_;タグボート,巡視船および積載された通常の内陸用 モーターボート,の 3通りに場合分けしている.
また, Kelvin の理論と深水波の条件を用いると航跡波の波長Lwüは次式となる.
Lwo = 2πu;cos2
(
3 5.301
=0.67.2πdg g
さらに,式(30),(32)の両式より波形勾配H/Lwüは次のようになる.
αtf _l_ ) -0.33
FsCX3 h 司Hi =_\ h/ =0.244-OH4 Lwo 0.67.2πusi. \ h/ gh
g 一方, 周期Tは深水条件より次式で表される.
(8. 3 2)
(8. 33)
第8章 波による傾斜底泥面からの洗掘 l50
T=
戸ヂ
(8. 34)以上の式を用いることで船の航行によって生じた波の特性を求めることができる.
8
-
6・2 航跡波の現地観測結果平成8年3月11 - 12日, 佐賀県六角川河口から上流6.8km右岸側にて航跡波による底泥の現地洗掘実験 が建設省武雄工事事務所により行われた. 現地実験回数は, 満潮位において2回(第1,3回実験), 平均 潮位において2回(第2,4回実験)の計4回である.各実験毎に船を30回程度走らせ, その間, 航跡波の 波高を現地に設置した波高計で測定した. また, 傾斜底泥面の洗掘状況をビデオカメラで撮影した.
航跡波の波高Hlは式(8. 30)によって決定される. そこで現地に設置した波高計データをもとに式 (8. 30)を検討する.この際, 波高Hlを規定する量は, 船が航行した場所の水深h,船の側面から波高 計まで、の距離5,および船の航行速度usである.船が航行した場所は必ずしも一定ではなかったが,満潮時
と平均潮時を考慮して, おおよその位置を定め, そのときそれぞれの水深h を河道断面図より求めた. 船 の航行速度usは各実験毎の速度の会平均とし, us=2.8m/sとした. なお, 式(8. 3 0)中のパラメータαl とα3は, 実験に用いた漁船と従来の研究成果を参考にα1= 1.0,α3=4.0 とした.船の航行毎に得られた波高 データの最大値は各実験毎に単純平均して最大平均波高Hm叫として求めた. また,式(8. 3 0)による 計算波高H叫(=H)の算定にはそれぞれの実験での平均水深を用いた. さらに, ここで生じる航跡波は流れ による影響を受ける. 今回, 河川の流速の空間分布を測定していないため, 詳細な計算はできないが, 理 論的には航跡波の進行方向に対する流れの向きによってその波高は増減する. すなわち 航跡波が流れの ある場へ入射角δで進入し, 角度ゆで屈折・進行するものとするとき,流れによる波高変化は波作用量の 保存則から次のように表せる (首藤, 1981).
H2ーベI cos (5 C
H, V cosゆÝ
ci( ci+
2Usinゆ)ここに,H:波高, c:波速, U:河川流速で, 添字1,2 は入射と屈折後を表し,
である.
c,イ 穿
叶lf吋l
いin-1
[ (
1-�
sinðド
inð1
( 8. 3 5)
(8. 36) (8. 3 7) ( 8. 3 8)