看護識者の能力を活かし合う看護管理に関する研究 : SHIENマネジメントに関するメカニズムの解明
著者 吉越 光代
発行年 2018‑12
出版者 静岡大学
URL http://doi.org/10.14945/00026687
(課程博士・様式9) 審 査 要 旨
専攻 情報科学 学籍番号 55245032 学生氏名 吉越 光代
論文題目 看護識者の能力を活かし合う看護管理に関する研究 ―SHIEN マネジメントに関す るメカニズムの解明
(1,000字程度)
組織において、現場で働く人々とマネジメントサイドとの意識の乖離は古くて新しいテー マである。特に、21 世紀に入り競争がますます激化する中で、求められる組織の高度な成 果を達成するために、働く人々は肉体的にも精神的にも疲弊しつつある。これは病院組織と て例外でない。特に、看護現場では人間関係のこじれや労働負荷が極めて高いため、多くの 病院で離職率が高く、医療の質を保つには危機的状況にあるといえる。本論文はこのような 状況を画期的に改善することを目指すものである。専門性を発揮しながら、互いの力を引き 出し合い、強い仲間意識を持ち、働き甲斐を感じられれば、看護師の早期離職を予防できる と考えられるが、従来の原因追求、条件を変えるやり方では、効を奏することが出来ていな い。本論文は、互いが支援し合うようになるマネジメント手法(SHIEN 学)を導入し、病院 組織においてその効用を検証しながら、SHIEN マネジメントのメカニズムを明らかにする ものである。
第1章では、まずどのような病院が、離職率が低いのかについて、米国のマグネットホス ピタルを参考とした。その上で組織特性を評価するため、職務満足度、管理システム、仕事 上の人間関係、専門職性、燃えつき度について日本の現状の調査を行い得点化した。
第 2 章では、導入する SHIEN 学の理論の概略を紹介し、従来行われるマネジメント(管 理)とSHIEN学の違いを明らかにした。
第3章では、A病院の看護管理職に対しSHIEN研修を実施して導入前後の変化を調べた。
量的データ(EQS)及び質的データ(SCAT)とも向上し、離職率が劇的に減少し、SHIEN学の 効果を検証した。
第4章では、なぜこのような効果がSHIEN学で生み出されるのかついて明らかにするた めに、A病院、B病院、C病院の3施設を対象に質的研究を行い、SHIENマネジメントの プロセスを探求した。その結果、互いの力を引き出し合うような意識変化がおこり、それに よって自発性(自ら行動を起す)が生まれ、他人事、他部署事が自分事、自部署事に自然に 変わり、助けてもらうことによって他者を助け、それが遣り甲斐に繋がっていることがわか った。
第 5 章では、前章までの成果を纏め、組織変容モデルを構築し、「利他的スパイラル」と 命名し、D施設にてこれを検証した。
本論文は、悪化する病院現場の看護師離職の歯止めとなるマネジメント手法を明らかにし ただけでなく、経営層、働く人々が相互にSHIENしあうことによって意識の乖離がなくな ることを示した組織変容において極めて汎用性の高い内容になっている。以上のことから、
本論文は博士(学術)の学位論文としてふさわしいものと認められる。